池井戸潤作品と聞くと「社会派・硬派」というイメージが浮かびますが、「民王」は軽いタッチで描かれるエンタメ小説。
「総理大臣の父と、就活生の息子の心が入れ替わってしまった！」というトンデモストーリーとなっています。
今回はドラマ化もされた小説「民王」ネタバレ解説をお届けします！
あらすじ
父・武藤泰山は総理大臣に承認された与党議員。
息子・武藤翔は就活真っ最中の大学生。
泰山がねじれ国会や大臣の失言問題に苦しみ、翔が六本木のクラブ（ドラマ版では定食屋「キッチン・やみくも」）で過ごしていたその時、2人は突然意識を失ってしまった。
次に目を覚ました時、泰山と翔は「心と体」が入れ替わっていることに気付く。
原因は不明。
2人はとりあえず、入れ替わったままでそれぞれの生活を送ることに。
しかし、翔は総理大臣を演じようにも「未曾有（みぞう）」を「ミゾユウ」と呼んでしまうほどのバカだった！
一方、泰山も「就職活動」には連戦連敗…。
このままでは武藤親子も、国の政治も危ない！
果たして民衆に選ばれた「民王」こと武藤泰山親子にいったい何が起こったのか！？
元に戻る方法は？この現象の犯人は誰？
ネタバレ！
翔が飾らない政治発言を連発し周囲をヒヤヒヤさせる一方で、泰山は面接官を論破・説教してしまい就活は失敗続き。
そんな中、泰山は経済産業大臣の鶴田洋輔の異変に気付く。
実は鶴田親子もまた「心と体が入れ替わっている」現象の被害者だった。
これは、いよいよおかしい。
調べを進めていくうちに「入れ替わり現象」の正体が「盗まれたCIAの最新技術」であることが発覚。
リモート・ビューイングと呼ばれるこの技術は、装置を通じて脳波に影響し「2人の心（脳波）を入れ替えていた」のだという。
武藤親子、そして鶴田親子に共通するのは「最近虫歯治療のため歯医者に行き、親知らずが抜かれている」という点。
きっとその時に装置がつけられたに違いない。
この入れ替わり現象には「犯人がいる」
犯人は誰？
「犯人は誰なのか」
泰山はかねてからの政敵である野党第一党・憲民党の蔵本志郎党首が怪しいと推測する。
しかし、調べを進めるうちに蔵本もまた「入れ替わり現象」の被害者であることが発覚。
※ちなみに蔵本の子どもは別れた妻との子で名前は「村野エリカ」。エリカは翔の同級生で、モデル級の美女だったが中身が性格の悪いおっさん（蔵本）だったとは…。
さらに政界ではスキャンダル・問題が続出。
与党である民政党、野党第一党である憲民党の支持率はどんどん下がっていた。
つまり一連の事件の犯人として怪しいのは、この状況で支持率を上げている野党第二党の共和党！
裏でつながっていたのは…
「民王」こと総理大臣すら陥れた一連の事件の犯人は共和党の冬島一光党首だった！
目的はもちろん政治的な思惑から、民政党・憲民党を出し抜くこと。
しかし、なぜ冬島はこんな大がかりな事件を起こせたのか？
CIAの最新技術を盗んだのは海外の製薬メーカー・メディシス。
共和党はマニフェストとして新薬の承認規制の緩和を掲げていて、裏ではメディシスと結託していたのだ。
そして、冬島と裏でつながっていたもう一人の人物は「南真衣」
真衣は翔が恋心を抱いている相手であり、翔が意識を失った時もその場にいた人物。
実は真衣は病気で母親を失っていたのだが、当時未認可だった海外の新薬を使えば助かっていたかもしれないという。
そこで「新薬の承認規制」を謳う冬島と利害が一致し協力関係になっていたのだった。
結末
結局、冬島はメディシスからの資金提供（政治資金規正法違反）が発覚して失脚。
それぞれの親子も、元の体に戻ることが出来た。
その後、翔は希望していた会社の内定を獲得！
泰山は政治家としての初心を取り戻し、新薬の認可に関する法案を可決させた後に衆議院を解散させた。
「日本を変えてみせる！」
泰山は民意を問う良き政治家として新たな一歩を踏み出したのだった。
まとめ
今回は池井戸潤「民王」のネタバレ解説をお届けしました！
遠藤憲一さんと菅田将暉さんが出演したドラマもおもしろいのでおススメです。
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