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映画「幼な子われらに生まれ」のあらすじと結末は?ネタバレと感想も!

   

こんにちは、若竹です。

重松清さんの小説「幼な子われらに生まれ」が映画化!

主演キャストが田中麗奈さん&浅野忠信さんということでも話題になっていますね。

ということで、さっそく1996年(20年前!)に刊行された原作小説を読んでみました!

その感想と一言で表すなら…

『本作は実に感動的な名作である』

巻末に掲載されている「幼な子われらに生まれ」の解説はこのように締めくくられていますが、まったくもって同意見です!

圧倒的に現実的な主人公「私」の心情描写。

どこまでも奥行きが広がる味わい深い物語。

そして何より「人生で大切なことを学べた」とすら感じられる充実した読後感!

まさに「感動的な名作」という言葉がぴったりな作品だと思います。

というわけで、今回はそんな小説「幼な子われらに生まれ」のあらすじや結末についてチェックしていきましょう!

※映画・小説のネタバレを含みます。ご注意ください!

 

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「幼な子われらに生まれ」あらすじ・ネタバレ

主人公「私」は妻と2人の娘を持つ37歳(映画では田中信40歳)

妻・奈苗が新しい子を妊娠したことから物語は始まります。

 

★「幼な子われらに生まれ」あらすじ

「私」は奈苗(37)の妊娠を喜ぶと同時に、人口中絶の期限を気にしていた。

(この子を産むことで、家庭に不和が生まれるのではないだろうか?)

まだ幼い次女の恵理子(5)は無邪気に姉になることを喜んでいたが、事情を知る長女の薫(10)は露骨に反抗的な態度をとるようになった。

私たち4人家族には、ちょっとした「過去」がある。

私と奈苗は4年前に再婚したバツイチ同士の夫婦なのだ。

 

薫と恵理子は、奈苗が前夫「沢田」との間につくった子供であり私と血はつながっていない。

そして、私は別れた前妻・友佳との間につくった娘・沙織(10)との年4回の面会の日を何よりも大事にしている。

もちろん薫と恵理子のことは愛している。

しかし、私にとって沙織はそれ以上に愛おしい存在なのだ。

同じように、離婚前の記憶がある薫にとって「私」は父親ではなく「赤の他人」なのだろう。

いつしか薫は私のことを「パパ」と呼ばなくなり、意地悪く恵理子に「昔」のことをほのめかしだした。

私はそんな薫に対し、情けなくも媚びるような態度で接するにようになっていく。

 

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奈苗の妊娠を機に、家庭内にギスギスとした空気が漂うようになった。

最初こそ余裕をもって構えていた私だったが、徐々に心が摩耗していらだちを抑えきれなくなっていく。

妊娠を機に始めた禁煙。

自分で考えることなく、何事に関してもこちらを頼ってくる妻。

前夫のDVの影響か屈折した性格の薫は、私がどんなに誠実な父親を演じても心を開く様子はない。冷たい無機質な目で私を見つめてくる。

まだ幼い恵理子は漠然とした不安からか、おねしょをぶりかえした。

 

実のところ、私は身を焦がす恋愛の末に奈苗と結婚したわけではない。

今度こそ、ちゃんとした家庭を築くため。

4年前に再婚してから、私は仕事よりも家庭を優先するようになった。

本音では沙織のことを一番に思いながらも、最大限誠実に血のつながらない娘たちにも接してきた。

しかし、そんな努力もむなしく、私たちの家族はすでに決定的に壊れていた。

人工中絶のタイムリミットが迫っている。

 

私にはもはや家族が他人のように感じられる。

仕事から帰ってくると、奈苗が「妊娠中毒症にかかるかもしれない。どうしよう?」と、またも私にもたれかかってくる。

そんなことを言われても私に何かわかるわけがない。

私「べつに話さなくていい。俺には関係ないんだから」

奈苗「聞いてよ、あなた。大事な話なんだから」

私「赤ん坊がいるから中毒になるんだろ。じゃあ、堕ろせよ。それでいいだろ」

絶句する奈苗の表情が、視界の隅に貼りつく。

私「慰謝料は出す。金も毎月払う。それでいいだろ。今だったら間に合うんだ。赤ん坊のことも、俺たちのことも」

私は奈苗に離婚を言い渡した。

奈苗は「産むからね」と言って聞かないが、もうこの家族は終わっているのだ。

 

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家族のことについて心理学の研究者である前妻・友佳に相談しようと電話をした。

すると、電話を取ったのは沙織だった。

今、沙織の新しい父親は末期がんを患って入院している。

そんな折に私と友佳がつながっていると知ってショックだったのだろう。

沙織に「ひどい」と言って、電話を切ってしまった。

 

ある日、仕事から帰る途中に沙織が待ち伏せていた。

一時的なショックで私にひどいことをしたと謝りに来たらしい。

私は沙織を連れて喫茶店に入り、新しい父親・江崎氏の容体について尋ねる。

沙織は6年間父親だった江崎氏の命の火が消えようとしていることに対して、なぜか泣くことができないと言う。

私「仕方がないさ。沙織とお父さん(江崎氏)や、パパ(私)と薫や恵理子は、ほんとうの親子じゃないんだから」

その時、沙織の携帯電話が着信を告げる。

電話を取り、みるみる表情を変える沙織。

江崎氏の危篤を知らせる電話だった。

 

運悪く外は雷雨で電車は止まっている。

バスもタクシーも人が並んでいる。

病院から離れたこの場所から、一刻も早く沙織を父親のもとに送り届けなくてはならない。

私は理由を告げず奈苗に車を持ってきてもらうことにした。

 

車には恵理子も乗っていた。

奈苗と恵理子は初めて沙織に顔を合わせる。

奈苗は沙織の存在に不機嫌さを隠さなかったが、事情を知ると「先に私たちを家に送って。それからは好きにすればいい」と言ってくれた。

私は運転席に乗り込み、迷わずに病院へと車を走らせる。

奈苗は何も言わなかった。

沙織は周囲に気を遣えるできた子だ。車内ではうるさい恵理子の相手をしてくれた。

沙織「えりちゃんのパパと私はお友達なの」

 

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そして車は病院に到着する。

沙織「どうもありがとうございました。助かりました」

奈苗は沙織の挨拶を無視した。

沙織が車から降りた直後、奈苗が顔を動かさずに言う。

奈苗「一緒に行ってあげなさいよ。」

私「…え?」

奈苗「途中まででも一緒についてってあげた方がいいんじゃない?」

照れくさそうに、少し怒ったように、奈苗は口元と顔をもぞもぞさせていた。

奈苗「ここで待っててあげるから。置いてったりしないから。早く行って、早く帰ってきて」

私「いや、だけど…」

奈苗「友達なんでしょ。いいから、早く」

私は鼻の奥がツンと熱くなるのを感じながら車を降りた。

奈苗「その代わり、赤ちゃん、絶対に産むからね」

私は振り向いて、小さくうなずいた。

 

足早に追いつくと、沙織は心から父親の喪失が悲しくて泣くことができると私に言った。

沙織「みんな、仲良しなんだよね?ウチもそうだし、パパのところも、みんな。しょうがなくなんか、ないよね。ほんとうの親子じゃなくても、一番好きになること、できるよね。絶対、できるよね?」

「できるよ」と私は言った。

 

外に出ると、恵理子が手を振ってくる。

こっちを見ていた奈苗は、目が合うと少し頬をふくらませてうつむいた。

私は照れ隠しのしかめつらで車に向かう。

無理に笑顔をつくるのはやめよう。

私は、私のために泣いてくれる人のもとへ、一歩ずつ戻っていく。

その日、私と奈苗は恵理子に『昔』について話した。

恵理子が私の実子ではないこと。沙織が恵理子の異母姉妹であること。そして、みんな大切な家族であること。

恵理子は難しそうな顔をしていたが、そのうちに「わかった!」と声を上げた。

恵理子「だから、えりとさおりちゃんって、おともだちなんだ!」

私は「ピンポーン!」と答えた。

奈苗は得意そうにする恵理子を胸に抱きよせた。

 

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結末

1月。いよいよ新しい家族が増える日が来た。

新しい家族は男の子。「つばさ」という名前は薫が命名した。

結局、薫は私と暮らすことに耐えかねて奈苗の母のいる千葉で暮らすことに決めたが、家族であることには変わりない。

 

いつか私は、私にとって初めての息子に、長い話を聞かせるだろう。

父と母について、3人の姉について、彼がお腹の中にいた頃の様々な出来事について。

幸せとは、一番近くにいる人を一番好きでいられることで、遠く離れてしまった人に「おかえり」と言えることで、助けを求められたらいつでもどこへでも駆け付けられること。

38歳の私が思う幸せの定義に、38年後の息子はうなずいてくれるだろうか。

 

ドアが開き、しゃっくりのような泣き声が廊下にこぼれ落ちた。

私たちの新しい家族が、ありったけの力で泣いている。

私は恵理子を強く抱き、かたわらにたたずんだままの薫の肩を軽くつついた。

薫が、ゆっくりと、ためらいながら顔を上げる。

「弟だぞ」と私は言った。

<幼な子われらに生まれ・完>

 

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感想と解説

今回のあらすじ・ネタバレでは大筋のみを追っているので、正直なところ小説「幼な子われらに生まれ」の持つ魅力の半分も伝えられていないと思います。

なぜなら「幼な子われらに生まれ」の魅力は細部と行間に宿っているからです。

冒頭では「新しい子供が生まれる」という希望を感じられたのに、ストーリーが進むにつれて増していく家庭内不和の絶望感。

そこから再び「私」が家族に希望を見出すまでの心情の変化。

とても「こういうことがあったので、こうなったんですよ」とまとめることのできない圧倒的な「生の人間の心」が「幼な子われらに生まれ」には描かれていました。

『家族とは何か?』

小説「幼な子われらに生まれ」は私たちにそう問いかけると同時に、その答えを見つける手助けをもしてくれます。

また、この作品のテーマには「私」の抱える「中年の危機」という側面もあるでしょう。

万人にとって教訓となる小説だと思いますが、特に30代以降の男性の心に突き刺さるような内容になっています。

 

私の場合、重松先生の鮮やかな文章力のおかげもあり、約300ページのボリュームをかなり速いペースで一気読みしてしまいました。

感想・解説の締めくくりとして、家族のいるすべての人に小説「幼な子われらに生まれ」をおすすめしたいと思います。

 

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まとめ

以上、小説「幼な子われらに生まれ」のあらすじ・ネタバレでした!

結末から見れば、妊娠から不安定になった家族が、ちょっとした危機を迎えつつも無事に新しい家族を迎えることができたというお話。

しかし、その9か月あまりの間に「私」が体験した出来事は、圧倒的な生々しさをともなって私たちを作品の中の「リアル」に引きずり込んでいきます。

そして、最後に残るのはどこか爽やかで温かい充実した読後感。

小説「幼な子われらに生まれ」は20年前の作品とは思えないくらい、今の私たちの胸に突き刺さってくる名作です。

※作中にゲームボーイやら公衆電話やらが登場することには時代を感じましたが(笑)

 

さて、そんな「幼な子われらに生まれ」が映画化ということですが、個人的には浅野忠信さんというキャスティングに期待大!

複雑かつ繊細な「私」の心情を、浅野忠信さんならきっと素晴らしい演技で表現してくれるはずだと信じています。

映画公開は2017年という事で、封切りが今から楽しみです。

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