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映画「虐殺器官」のネタバレ解説と感想!原作での真の結末とは?

映画「虐殺器官」がついに公開されましたね!

延期続きで首を長~くして待っていたので、さっそく初日に見に行ってきました!

結果から言えば、映画のクオリティには大満足!

作画や声優陣にはもはや文句なし!

ストーリーがテンポよく進んでいくので2時間があっという間でした!

…ただし、難を挙げるとすれば「原作小説未読の場合は、ちょっとわかりにくい部分が多いのかな」とも思いました。

そこで今回は映画「虐殺器官」のわかりにくい部分についてネタバレ解説しつつ、感想もお伝えしていこうと思います。

映画では描かれなかった真の結末とは!?

 

※原作小説の結末までのあらすじはコチラ!

関連記事:小説「虐殺器官」のあらすじをネタバレ!

映画「虐殺器官」のネタバレ解説と感想!

ではまず、映画「虐殺器官」の世界設定を確認しておきましょう。

・舞台は9.11以降、テロを根絶するために徹底的な管理・認証社会を実現させた世界

・それにより世界の覇国たるアメリカでのテロは劇的に減少した一方で、世界の貧国・後進国では内紛が多発するようになった

主人公・クラヴィスは軍の精鋭アサシン部隊の一員であり、世界各国で内紛・虐殺を先導している要人を始末する任務についています。

その中で、最近特に重要視されているターゲットこそがアメリカ人「ジョン・ポール」

物語の中では、このジョン・ポールこそが世界中で多発する内紛の原因であることが発覚します。

ただし、だからといって単純に「主人公(クラヴィス) vs ラスボス(ジョン・ポール)」で終わるはずないのが伊藤計劃作品!

いよいよ、次項からは作品のネタバレ解説です!

※映画・原作小説の重大なネタバレを含みます。ご注意ください。

 


 

ジョン・ポールって何者?その目的は?

ジョンはもともと言語学者であり、虐殺に関する研究をしていました。

そのことに興味を持ったアメリカ政府がジョンの研究を援助。

ジョンは飛躍的に研究を進め【虐殺の文法】を解き明かすことに成功しました。

そんな彼の契機となったのは世界中を震撼させた大規模テロ事件。

これによって妻子を失ったジョン・ポールは「国の文化宣伝次官(スピーチの内容考えたりする顧問)」という立場を利用して、行く先々の小国で【虐殺の文法】を広め、内紛を引き起こしていきました。

※アメリカ軍に捕まらなかったのは、管理システムを潜り抜ける技術を持っている<計数されざる者たち>の協力があったため

大悪人。大犯罪者。

では、彼はなぜそんなことをしたのでしょうか?

・サイコパスだったから?

・妻子を奪ったテロ国(世界)への復讐として?

・人間の残虐性を証明するため?

いいえ、違います。

彼の目的は『アメリカをテロから守ること』だったのです。

 

実のところ、9.11以降に整備された管理・認証システムでは突発的なテロまでは防ぐことができません。

では、どうすれば愛すべき隣人を、自分にとっての『世界』を守ることができるのか?

ジョンが出した答えは「内紛を引き起こすこと」でした。

自国で紛争など起きてしまっては、アメリカでテロを起こしている暇などありません。

ジョンは「自分の世界(アメリカ)」の安全を守るため、「目に見えない世界(貧国や後進国)」の人々の命を犠牲にすることを選択したんですね。

ジョンはその罪を身に負いながら、後悔はしていませんでした。

 


 

結局「虐殺器官」って何?

かつての時代、人間の数に対して食料が足りない場合、どのような処置がとられていたか?

答えは、いわゆる「口減らし」

人間には『ある条件下においては、大勢の命を奪わなければならない』という『命令(器官)』が生まれた時から備わっています。

言い換えれば「虐殺」は遺伝子にプログラミングされている機能。

これこそが『虐殺器官』です。

ジョン・ポールはこの器官を目覚めさせる「文法」を各国の言葉に翻訳し、演説などの形で国内に浸透させることによって、自在に内紛を引き起こしていたのです。

「文法」入りの言葉を聞いた人間はその影響を受けて脳の機能の正常なバランスを崩し、やがて必ず国は紛争状態に突入してしまいます。

 


 

物語の真の結末とは?

ジョンには、その使命のために絶対にやらなかったことが1つだけあります。

それは『文法を英語に翻訳すること』

そんなことをしてしまえば、守りたかったアメリカを滅ぼしてしまいかねませんからね。

 

映画の結末、ジョンは自らが必ず始末されると確信し、すべての証言をクラヴィスに託しました。

それと同時に、ジョンはクラヴィスに自らの研究成果も渡します。

クラヴィスは告訴され、証言の場で管理システムの欠点など、世間に証言を与える情報を口にしました。

…と、同時に

クラヴィスは独自に英語に翻訳した「文法」を、メディアに流していたのです。

クラヴィスはジョンの意志とは反対に「世界のためにアメリカを犠牲にする」ことを選択したのでした。

映画の結末はこのあたりのシーンですね。

 

一方、原作小説ではもう少し先の未来までが描かれています。

クラヴィスが流した「文法」によってアメリカの秩序社会は崩壊。

連日、発砲事件が起こるような恐慌状態に突入しました。

アメリカで内戦が発生するのも秒読み段階。

もはや、アメリカではテロ事件など起きうるはずもありません。

その価値すら、もうないのだから。

そして、原作小説は次の文章で締めくくられました。

外、どこか遠くで、ミニミがフルオートで発砲される音がする。

うるさいな、と思いながらぼくはソファでピザを食べる。

けれど、ここ以外の場所は静かだろうな、と思うと、すこし気持ちがやわらいだ。

クラヴィスの心が正常な状態なのか、それとも壊れてしまっているのかは想像するしかありません。

…というわけで、物語の真の結末は「クラヴィスが自らの意志で母国・アメリカを滅ぼす」というものでした。

 


 

原作と映画の違いは?

大幅にカットされてはいるものの、映画は基本的に小説に忠実なつくりだといっていいでしょう。

ちょっと違いが目立つ改変としては

・インドの任務後、ヘリが撃墜されて戦闘に突入した点(小説ではヘリから列車に乗り換え、そこで襲撃された)

・最後にクラヴィスがジョンを撃った(と思われる)点(小説では実際にジョンを撃ったのはアメリカ軍の人間)

あたりには気がつきました。

後は、前述したように結末の違いですね。

映画では「クラヴィスがアメリカに文法を使っている」という場面で終わりでしたが、原作小説では「実際に文法の効果があらわれて、アメリカ崩壊寸前」という場面まで描かれています。

個人的には原作小説版の結末もアニメで見たかったなぁ、と少しだけ残念です。

(映画のラストも嫌いじゃないんですけどね)

 


 

映画「虐殺器官」の感想!

いやぁ、面白かった!

私は原作小説を読んでから映画を見たのですが「印象的だったあのシーンやこのシーンが映像で見れるなんて!」と大興奮でした(笑)

で、1つだけ思うのは…

『この映画は、確実に小説を読んでから見た方が楽しめる!』

ということです。

・クラヴィスが指の先から追跡用のフェロモンを垂らしていて、そこに蝶が止まることでルーシャスがフェロモン「追跡犬(ハウンドドッグ)」の存在に気づく

・クラヴィスがヘリ撃墜後の戦闘で一瞬(このまま隠れていれば助かる?)と考えて、そのあとすぐに「最低だ!」と言って突撃していく

…なんてこと、映画の一瞬の場面ではほぼ読み取れないでしょう。

また、映画では任務と任務との間がバッサリとカットされていて展開の速さに驚いてしまいますが、原作を読んでいればその間も脳内で補てんできるので問題なし!

逆に映画を見てから原作を読んでも楽しめると思うので、映画と小説はあわせてチェックすることをおススメします。

 

あと、事前に気にしていた「グロさ」ですが…こちらは思ったほど気になりませんでした。

いや、当然のようにR15指定ではありますし、作中ではバシバシ血しぶきや肉片なども登場するのですが、原作小説から連想していたレベルよりは下でしたね。

ただ唯一、最後にルツィアがウィリアムズに撃たれたシーンだけはヤバかった…。

「くるぞ…」とわかっていたんですけどね…あれはエグい。グロ的にも心情的にも。

映画では尺の都合で、クラヴィスがいつの間にかルツィアにべた惚れ状態だったのですが、本当に真摯に大切に思っていたんですよ。

それが目の前で…って、あのシーンは心構えがあってもやっぱり衝撃的でした。

結末でクラヴィスがアメリカを崩壊させたのは、ルツィアの件の復讐の意味もあるのかなぁ…とか思ったり。

ともかく、全体的には案外グロさ控えめだったので、ある程度の耐性があれば気にならないとは思いますよ!(屍者の帝国の冒頭平気だった人なら余裕)

 


 

まとめ

映画「虐殺器官」ついに公開!

延期が続きましたし、何やらごたごたしてたようなので「クオリティ大丈夫?」とちょっと不安だったんですが、全然大丈夫でした!

「面白かった!満足!」って感想ですね(笑)

ただ、原作未読の方が少しおいていかれるような場面もあったように感じたので、今回は原作をもとに映画「虐殺器官」のネタバレ解説をお届けしました。

ただ、この映画を200%楽しむためには、やっぱり原作も読んでおいた方がいいですね。

大幅なシーンカットや、一瞬しか描写のないシーンとかも多かったので、それについていければ更に面白さが増します。

もしくは原作未読でも、2回目を見てみるというのもアリですね。

きっと1回目では気づかなかった発見がたくさんありますよ!



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POSTED COMMENT

  1. いかちぃー より:

    こんにちは
    虐殺器官の考察と感想を読ませていただきましたが、
    映画の感想で、最後にルツィアが撃たれたシーンは、
    アレックスではなくウィリアムズでしたよ。

    >ご指摘ありがとうございます!

  2. Mads より:

    こんにちは。

    最後にルツィアを撃ったのはアレックスじゃなくて
    ウィリアムズですよ。

    >ご指摘ありがとうございます!

  3. ななし より:

    私は劇場版でシェパード大尉の罪悪感と人格形成に関わる重要な両親の喪いかたが全く描かれなかった事が大いに不満です。

  4. もも より:

    読み応えたっぷりの記事を書いてくださりありがとうございます。考察が細かくてとても面白かったです。原作は読みましたが、映画はまだ観ていません。小説のラストは映画で表現されてないんですか・・・残念!でも確かに、映像で観れるっていうのは良いですよね^^ハリウッド映画化もあるらしいので、そっちも楽しみです。

  5. 匿名 より:

    SF見ると昔はつじつまを気にしすぎてたけど、ある程度理にかなってて皮肉な結末ってこれぞSFだなって思ったよこのお

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