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漫画「坂道のアポロン」のネタバレ!最終話と番外編の内容は?

小玉ユキ「坂道のアポロン」を買って一気読みしちゃいました!

今回は漫画「坂道のアポロン」のあらすじネタバレ(と感想)をお届けします!

アニメ放送後に掲載された「最終話のその後」を描いた番外編の結末とは!?

あらすじ

1966年(昭和41年)

船乗りの父親の都合で、高校1年生の西見薫は佐世保の学校へと転校してきた。

転校続きの対人関係がストレスになり、すぐに吐いてしまう癖のある薫が出会ったのは、学校でも「札付きのワル」として有名なクラスメイト・川渕千太郎。

評判に反して豪快で正義漢な千太郎や、千太郎の幼馴染・迎律子と接していくうちに、薫は息苦しさを感じなくなっていく。

そして、薫はジャズに出会う。

クラシックピアノしか弾けなかった薫だったが、ドラムの千太郎に乗せられて、いつしかどっぷりとジャズにハマっていく。

坂道ばかりの長崎で、太陽のような男に出会い、薫の青春が幕を開ける。

 

一方通行の恋愛事情

いつしか薫はそばかす顔の女の子・律子にほのかな恋心を抱くようになる。

しかし、その律子が子供のころからずっと好きだったのは幼馴染の千太郎。

千太郎はそのことに気づきもしないが、律子を見つめていた薫にはすぐにわかった。

一方、その千太郎は偶然出会った美人の2年生・深堀百合香に一目惚れ。初恋に戸惑う。

 

千太郎への嫉妬心に葛藤する薫。

おまけに律子には自分(薫)が百合香のことを好きだと勘違いされてしまう。

覚悟を決めた薫はジャズの練習場になっている「ムカエレコード」の地下に律子を呼び出した。

(君に聴いてもらうために、誰にも内緒でこっそり練習してきたんだ。このロマンチックな曲で、少しでも律っちゃんに幸せな気持ちになってもらいたい)

ピアノで奏でる曲目は『いつか王子様が(Some Day My Prince Will Come)』

演奏を終えた薫に笑顔の律子が声をかける。

「百合香さんに聴かせるために練習したっちゃろ?これ…予行演習ね!?」

「…違うよ。これが本番だよ。俺が好きなのは君だよ」

「え…うち…?」

「今すぐ…答えを出さなくていいんだ。俺にとって律っちゃんは世界一かわいい女の子だよって、それだけ言いたかったんだ」

律子の気持ちは変えられなかったが、薫は気持ちを伝えたことを後悔はしなかった。

 

その年のクリスマスパーティー。

薫たちは外国人バーでジャズの演奏を任されることに。

ピアノは薫、ドラムは千太郎、ベースは律子の父・迎勉、そしてトランペットは千太郎が兄貴と慕う大学生・淳一。

少しトラブルはあったものの、淳一が機転と歌声でカバーし、パーティーは成功。

その夜、千太郎が招待した百合香は淳一に恋をした。

淳一がアドリブで演奏した曲目は、チェット・ベイカー『But Not For Me』

 

『薫 → 律子 → 千太郎 → 百合香 → 淳一』

薫たちジャズバンドの周辺では、一方通行だらけの恋が進行していた。

 


 

薫と千太郎

薫は千太郎から「ボン」と呼ばれている。

薫は代々医者家系である西見家の跡取り息子であり、佐世保で居候している伯父の家も金持ちだからだ。

薫の父親は一度船に乗ればしばらく家に帰ってこない。

母親は薫がまだ幼かったころに子供を置いて消えたと聞かされている。

伯父の家では伯母と従妹に嫌味を言われ続ける毎日。

大好きなピアノも自由には弾けず、孤独で窮屈な暮らしをしていた。

そんな薫にとって人生で初めての親友・千太郎と、自由に音楽に身を任せられる「ムカエレコード」地下の練習場は、かけがえのない居場所。

時には衝突しつつも、薫にとって千太郎は(もしかしたら律子よりも)大切な存在になっていく。

 

一方、周囲から恐れられていて友達のいなかった千太郎にとっても、薫は特別な存在だ。

下に4人の兄妹がいる千太郎の家は大家族。父は出ていったため、母と千太郎が子供たちの面倒を見ている。

しかし、千太郎は川渕家とは血がつながっていない。

アメリカ人とのハーフである千太郎はもともと教会に捨てられていた孤児であり、川渕夫妻にとっては養子。

川渕家はとても仲の良い家族だが、千太郎もまた心の奥底では家の中に居場所がないと感じていた。

寂しさと孤独感の表れか、クリスチャンである千太郎は、いつも首に母の形見かもしれないロザリオをつけている。

自分を遠巻きにする連中とは違って、真正面からぶつかってくる無二の親友・薫。

同じ孤独を抱えた薫と過ごす時間は、千太郎にとってもかけがえのないものだった。

 


 

恋愛事情の変化

薫たちは二年生になった。

ジャズバンドを取り巻く人間関係にも変化が訪れる。

 

百合香は学生運動から離れて地元に帰ってきた淳一と事実上の恋人関係になった。

偶然、淳一の部屋に百合香がいるところを見てしまった千太郎は失恋。

(わかっとった、あん女には手が届かんことぐらい、わかっとった…はずやっか)

教会のマリア像の前、千太郎は1人、静かに涙を流した。

その後、淳一は百合香を連れて東京へと駆け落ちした。

 

一方、律子はいつのまにか薫のことを目で追うようになっている自分に気づく。

(はあ…自分がわからん…。今日、うちなんで薫さんのこと気にしたり、あがんドキドキしたっちゃろ)

(確かに、うち薫さんと一緒におるとすごく安心できるし、楽しかし…)

最初は「千太郎のことが好きなはず…」と戸惑っていた律子だったが、時が経つほど自分の本心に気づいていく。

落ち込んでいたときには支えてくれて、自身をなくした時には励ましてくれて、一番大事に想ってくれている人…。

「今度は、ちゃんと言いたいんです。今うちが一番大事にしたいのはあなたですって」

律子は、駆け落ち前の百合香にそう打ち明けた。

 

そして、律子と千太郎の関係にも、一つの区切りがついた。

薫に言われてやっと律子から好かれていたことに気づいた千太郎が、不器用に言葉を詰まらせながら律子を振ったのだ。

「すまん、俺、今までお前の気持ちに気づかんで…知らんうちに無神経なこと言うてお前のことば傷つけてしもうたかもしれん。悪かった。でも、その…なんちゅうか、俺は、お前の気持ちには…」

律子は笑って「勘違いだよ」と言って千太郎を安心させた。

「今の話聞いたとが、ちょっと前のうちじゃなくて、よかった…」

結局、気持ちを伝えることなく終わってしまった千太郎への恋。

今度は…新しく胸に灯った薫への恋では同じ失敗はしない、と律子は強く思った。

 


 

薫と律子

律子から手編みの手袋をプレゼントされた薫。

しかし、千太郎への劣等感からか「律子から好かれている」と自信を持つことができない。

「俺があいつに敵うわけないんだよ…。顔だって男前だし、中身だって男らしくて…明るくて…言うことないじゃないか。律ちゃんは、あいつと一緒にいた方がきっと…」

「もうやめて!…うち、もう帰るけん…」

風邪の見舞いに来ていた律子が去っていく。

(…あれ、何やってんだ、俺。俺が今まで、ひたすら望んできたことは…)

薫の心に、屈託なく笑う律子の顔が浮かぶ。

熱で倒れそうになりながらも薫は律子を追いかけて、そして言った。

「律ちゃん…もう一回、告白させて」

「…好きだ。俺は…律ちゃんが好きだ!!」

「好きだ好きだ好きだ!」

「ちょっと、お家の人に聞こえるよ」

口をふさぐ律子の両手をそっとどかして、薫は微笑む。

「構うもんか」

「俺…男らしさは足りないかもしれないけど、律ちゃんのこと好きな気持ちは誰にも負けない。それだけは、自信あるよ…」

目を閉じる律子の顔に薫の顔が近づき、そっと口づける。

「…風邪、うつしちゃうと、いけないから」

律子の頬から顔を離したところで限界を超えて、薫は熱に倒れてしまった。

 

そうして、薫たちは3年生になった。

最初こそ少しぎこちなかった薫と律子だったが、千太郎のおせっかいのおかげか、自然な恋人関係に落ち着いていった。

 


 

ネタバレ

いよいよ終盤!

ここから結末にかけて物語は大きく動き出していきます。

最終話と番外編には、どんな結末が待っているのか!?

さっそく見ていきましょう!

 

消えた千太郎

千太郎がバイクで交通事故を起こしてしまった。

幸い千太郎は軽傷だったが、たまたま後ろに乗せていた妹の幸子は意識不明の重体。

ただでさえ自分を川渕家における『異物』だと感じていた千太郎は、後悔と責任感から抜け殻のようになってしまっていた。

「なんで…俺はこう、自分のいちばん守りたかもんば、自分で傷つけてしまうとやろうか。神様…俺は、一体なんのために生まれてきたとですか…」

薫と千太郎は、お互いの顔が見えないようにして泣いた。

 

ひと眠りした薫が目覚めると、幸子は奇跡的に快復していた。

ところが、どこをさがしても千太郎がいない。

いつも肌身離さず身につけていたロザリオすら置いて、千太郎はどこかへと消えてしまっていた。

 

東京へ

千太郎不在の喪失感を抱えたまま、薫は高校を卒業した。

進学先は東京の大学の医学部。

県内に残る律子とは離ればなれになってしまうが、仕方がない。

西見家の跡取りである薫は医者になり病院を継がなければならないのだから…。

 

大学生になった薫はジャズ研究会に入った。

バーでジャズピアノを弾くアルバイトも始める。

もちろん医学部の勉強も忙しい。

充実した生活を送っているはずなのに、なぜか心が弾まない。

毎日、疲れだけが蓄積されていく。

ふと、律子から餞別に渡された紙袋の底に写真を見つける。

とびきりの笑顔で笑っている千太郎と薫の写真。

「千、何がおかしいんだよ。俺は真面目に君のことを忘れようとしてるのに。なあ、どこいっちまったんだよ…」

写真を裏返すと、千太郎の筆跡。

『ばか2人 友情は一生もん。昭和41年~ コケのむすまで』

「はは、何がコケのむすまでだ。あはははは、バカだあいつ」

(あいつ、どこいったんだろう…)

その日から、薫は写真を手に東京で千太郎を探し始めた。

 

千太郎は見つからなかったが、話が伝わって東京の出版社に勤めている淳一とは再会できた。

飛び込みでトランペットを吹きだした淳一とセッションして、久々に薫の胸は躍った。

一方、長崎に残していた律子とは文通こそしているものの、久しく会ってはいない。

その文通も返事の間隔がだんだん長くなっていて、最初は便箋に2,3枚だった手紙も、今では葉書になってしまっている。

葉書に電話番号を見つけた薫はドキドキしながら律子に電話をかけるが、出たのは聞きなれない男の声。

「西見?ああ…あんたか、律子にしつこく手紙ば出してきよるとは。やめてもらえんですか、彼女も迷惑しとります」

ガチャ

(律子って呼んでた。そういうことか。俺だけが、時間を止めていた。本当はもうとっくに終わってたんだ…)

思い出の中の律子の笑顔が遠ざかっていく。

薫はうつむき、肩を丸めて泣いた。

 

大学を卒業し、薫は医者になった。

多忙で味気のない毎日。

夢のない灰色の日々に疲れ、薫はいつしか笑わなくなっていた。

 

そんなある日、病院に百合香が訪ねてきた。

友達の結婚式の時のものだと言われて渡された写真の中に、見覚えのある人物が写っている。

その人物の顔を見つけた瞬間、薫の表情がさっと変わった。

「…百合香さん、この写真借りてもいいですか」

「そう言うと思って、写真の裏に住所と島への行き方書いといたわ。全く…人の人生ってわかんないものね。だから面白いのよね」

 


 

最終話

長崎のとある離島。

千太郎は島の教会に身を寄せ、神父見習いになっていた。

大勢の子供たちや温かい住民に囲まれ、千太郎は生き生きとしている。

 

ふと、教会の方からオルガンの演奏が聞こえてくる。

それは、思い出の曲。親友と出会った頃から何度もセッションしてきた曲。

アート・ブレイキー『モーニン』

教会の扉を開け、その姿を見つけた千太郎はニヤリと笑って言った。

「なんや、その登場の仕方は。格好つけすぎや、ばーか」

勝手にオルガンを弾いた不届きものを怒りに、神父様が走ってくる。

「逃げるぞ。こっちだ、ボン」

千太郎は薫の手を引いて走り出す。

「ははっ。なんか前にも、こがんことあった気のするな」

「はっ。忘れたよ。そんな昔のこと」

二人は笑いあいながら、教会に続く坂道を駆け下りた。

 

後日。

薫は次期院長の座を蹴って、九州の病院へと移った。

千太郎のいる島には医者が足りない。

薫は医者として島に通うようになる。

 

そして、この日も薫は島へと来ていた。

今日は医者としてではなく、幸子の結婚式に参列するためだ。

式が終わり教会を出たところで、薫は懐かしい人に出会った。

「久しぶりだね、律ちゃん。綺麗になったね。短い髪もよく似合ってるよ」

「か、薫さん…怒っとらんと?電話のこと…」

「いいよ…もうよそう、そんな話…」

「あの人とはつき合っとらんやったとよ」

「…え?」

電話に出た男は律子を狙う強引な男で、恋人ではなかった。

しかしながら、寂しさからその男を家に上げていたのは事実。

そのことが気まずくて、律子は薫に連絡できなかったのだという。

「え、じゃあ、その…今…は」

うつむく律子。突然現れた千太郎が2人の肩を抱いて言う。

「そらもう、花婿候補大募集中やんなリッコ。それとも先約ありか」

「…せ、先約は…無かけど…」

「…だそうだ、ボン。お前らその気になったらいつでも相談しろ!お前らの式は俺が面倒見てやるけんな!」

そういって千太郎は式の余興の準備をしに去っていった。

「あはっ、何言いよるっちゃろうね千太郎。薫さんはもう東京の人とにね。すぐ東京に帰るとやろ?」

「…帰らないよ。俺は、ずっとここにいるよ」

「…え?」

寂しそうな顔から驚きの表情へと変わった律子に、薫は微笑みかける。

「おいで、律ちゃん」

薫は律子の手を引き余興へと加わった。

神父姿の千太郎がドラムをたたき、勉がベースを爪弾き、薫がピアノを奏で、律子が歌う。

式の余興のジャズセッションは大盛り上がりのうちに終わった。

…。

……。

………。

そして今日も、薫は島の診療所に出張ってきていた。

教会へと続く坂道を上る。汗ばむほどの陽気。坂の傾斜がきつい。

「くそっ、なんで毎回こんな試練受けなきゃならないんだ。全く…忌々しい坂道だ」

佐世保の高校に転校してきたときと、同じ言葉をつぶやく。

しかし、今の薫の口元には柔らかな笑みが浮かんでいた。

<坂道のアポロン・完>

 


 

番外編(最終話のその後)

薫が島にすっかり馴染んだ頃、島に淳一がやってきた。

「あの…百合香さん、お元気ですか?」

「ああ、元気だ」

そう言って淳一はちょいちょいと薫を手招きし、こっそりと耳元につぶやく。

「ええっ、双子が生まれたっ…!?」

「…本当か!なんでもっと早う言わんとや、水臭かやっか!」

薫は千太郎と協力して淳一を羽交い絞めにし、双子の写真を手に入れる。

「一卵性の女の子だ」

写真には、赤ちゃんながら百合香によく似た美人な顔立ちの双子が写っている。

「こりゃ、大きゅうなったら絶世の美人になるばい。俺が保証する」

 

3人が写真を巡ってじゃれあっていると、ベースを運んできた勉が現れた。

「なんや、えらいまた盛り上がっとるな。もうセッションの始まっとるかと思うたばい」

今日は4人でセッションする会。勉の車に乗っている律子を、薫が迎えに行く。

その間に、淳一が勉に言った。

「あ、そうだ、去年の結婚式出られんですみませんでした。薫君には手紙で謝ったとばってん。俺もセッションに参加して、一緒に祝いたかった…」

「前祝いのセッションなら、今日、今からできるばい、淳兄」

「前祝い…?」

淳一が振り向くと、大きなおなかを抱えた律子の姿が目に入る。

あれから、薫と律子は結婚

今は第一子を妊娠している。

 

驚く淳一をよそに、律子の腹の前にかがみこんだ千太郎がまだ見ぬ子どもに語りかけ始めた。

「おい、聞こえるか。そっちも今居心地よかやろうけど、外に出てくれば楽しかことのいっぱい待っとるばい。音楽に夢中になったり、人ば好きになったり、笑ったりケンカしたり、そがんことば一緒に楽しめる友達ば見つけたり…」

「もちろん、楽しかことばっかりじゃなくて、悲しかことや辛かことも起こるやろう。でも、そん時は父ちゃんか、母ちゃんか、俺が、絶対お前の味方になってやるけん、安心して出てきてよかとぞ」

「待っとるけんな」

 

4人は赤ちゃんにはサックスを吹かせてはどうかと話しながら、久しぶりのセッションを始める。

音楽を聞きつけて、島の人々が次々にやってくる。

あの頃と同じ4人。笑顔の絶えない最高のセッション。

律子はお腹の中の赤ん坊に話しかける。

「聞こえる?楽しかろ?早う出てきて一緒に混ざらんね。みんなで待っとるけんね」

抜けるような青空に、楽し気なジャズの音色が響いていた。

<坂道のアポロン番外編・完>

 


 

感想

まずは舞台設定がいいですよね!1960年代の長崎。

律子や千太郎は基本的にごりごりの方言で話すのですが、方言ならではの温かみや可愛らしさを感じられて素敵です。

また、60年代という時代背景も薫たちの純朴さを際立たせていて、特に恋愛(=男女交際)に関する考え方のウブさは見ていてとても甘酸っぱくてキュンキュンしてしまいます。

現代が舞台の少女漫画に慣れていた感覚からすると、それがとても新鮮で良かったです。

 

恋愛がいい!

最初は一方通行だらけで「叶わない恋の切なさ」が胸を突いた薫たちの恋愛事情。

失恋に涙を流しつつも、誰かを恨まず「これからも支えていこう」「相手の恋を応援しよう」をする登場人物たちのいじらしさには温かい気持ちになりました。

そして、そんな登場人物が救われていく様子もまたイイんですよね。

最終話と番外編では数年越しに薫と律子が身も心も結ばれ、子供まで設けるというハッピーエンドが待っていて本当に良かった!

一時は「あ、律子は遠距離恋愛に耐えられず彼氏つくったんだ…」と切ない気持ちにさせられましたが、本心では律子も薫もずっと相手を想い続けていたんですよね。

今では失われつつある(?)昭和の純愛…うん、最高です!

 

また、今回のあらすじ・ネタバレではあまり触れませんでしたが、淳一と百合香の恋愛も素敵でした。

学生運動から逃げて大学もやめた将来性ゼロの淳一はどこか危険な香りのする色男。

自分を慕ってくるお嬢様の百合香と付き合うものの、最後は相手のことを大切に思って1人東京に戻ろうとします。

ところが、百合香が(当時の価値観から考えると多大な勇気を振り絞って)淳一に自分の気持ちをぶつけた結果、思わず淳一は東京行きの列車に百合香を引きこんでしまったんですよね。

これぞ「駆け落ち!」といえる淳一の衝動的な行動には痺れました。

その後も、淳一は同棲を始めた百合香をあえて束縛せず「自由に生きろ」と言って寂しがらせるのですが、最後は出ていこうとした百合香を電車のホームで「行くな!」と引き留めて元鞘。

「引き止めてほしかった!」という百合香を淳一が抱きしめるシーンには昭和ロマンが漂っていて素敵でした。

 


 

友情がいい!

読んでいて「これは本当に少女漫画か?」と思うほど、「坂道のアポロン」では薫と千太郎の友情が色濃く描かれていました。

薫と千太郎との絆は何物にも代えがたいものであり、2人にとってその友情は「恋心」よりもよっぽど重要だったように思われます。

※実際、薫にしても律子とのシーンより、千太郎とのシーンの方がはるかに多くドラマティックでした。

自分の孤独感や弱さをすべて受け入れて、まるで我がことのように喜び悲しんでくれる無二の親友。

「坂道のアポロン」を読んでいると「ああ、こんなふうに強く結びついた相棒がいるってなんて素敵なんだろう」と思わされました。

男と男の爽やかで根強い『一生もん』の友情。

あれだけ何年も一生懸命に探したのに、いざ親友の目の前に現れる時には、思い出の曲をピアノの演奏して呼び寄せるという気取った方法をとった薫。

そんな薫に対して「格好つけすぎや、ばーか」と笑って返す千太郎。

最終話の再会シーンでは「会えない時間もずっと芯ではつながっていた」という感じがする2人のやりとりに感動しました。

 

ジャズがいい!

「坂道のアポロン」を語るうえで外せないのは、なんといってもジャズ!

作中では往年の名曲がいくつも登場しています。

となると、誰もが気になるのは「これ、どんな曲なんだろう?」ということ。

そこでさっそく実際にその曲を聞いてみると…これがまたいいんです!!

「ああ、このシーンではこの曲が流れていたのか」と思うと、作品の世界により深く入れたような気がして心地よくなります。

また、実際に曲を流しながら漫画を読むというのも最高!

思わず「坂道のアポロン」のサントラが欲しくなること間違いなしです!

私の場合、もともとジャズは「詳しくないけどなんかいいよね」という印象だったのですが、漫画「坂道のアポロン」を読んでからは「ジャズ大好き!」に変わりました(笑)

ちなみに、作中に出てくる曲の中で、私のお気に入りの1曲になったのは「But Not For Me」

淳一がアドリブで演奏して百合香を惚れさせた曲ですね。

漫画を読んでからこの曲を聴いたのですが「これを淳一が…?ダメだ!格好良すぎる!!」と衝撃を受けました。


まとめ

今回は漫画「坂道のアポロン」のあらすじ・ネタバレ・感想などをお届けしました。

  • 切ない恋
  • 固い友情で結ばれた男同士の絆
  • ジャズ

見どころ満載の「坂道のアポロン」ですが、とりわけ終わり方が素敵でした。

数年を経て再会したにも関わらず、薫と千太郎との友情はあの頃から何も変わっていない。

敷かれたレールから外れて夢を追い長崎へと戻ってきた薫は律子とも再会し、ついに結ばれる。

番外編で描かれた「最終話のその後」では、淳一や薫に子供まで出来ている。

高校生だった薫が大学を卒業し医者になるほど時が経っているにも関わらず、あの頃と同じ音楽と笑顔とメンバーがそこにある。

とても爽やかで、温かな気持ちになれる結末でした。

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