漫画「王様ゲーム(無印＆終極)」あらすじとネタバレ！結末は？

漫画「王様ゲーム」がアニメ化！

主人公の金沢伸明を宮野真守さんが演じられるということで私も期待しています！

もともと「王様ゲーム」は金沢伸明さん（主人公名と一緒！）の小説シリーズなのですが、アニメの内容は漫画化されている一作目（無印）と二作目（終極）を組み合わせたストーリーになるとのこと。

おそらく「終極」の物語から始まって、「無印」の内容を回想しつつ進んでいくのではないかと予想しています。

というわけで今回は、漫画「王様ゲーム（無印＆終極）」のあらすじとネタバレについて！

命がけの「王様ゲーム」の果てにたどり着く衝撃の結末とは！？

王様ゲーム（無印）

『王様メール』

それは、何の前触れもなく県立玉岡高等学校1年B組の全員に送られてきた。

送信者の名前は「王様」であり、メールの内容は「命令」

『王様ゲーム』の始まりだ。基本的なルールは以下の通り。

クラス全員強制参加
王様メールの命令に24時間以内に従わなければならない
命令に従わなかった場合やゲームに負けた場合には「罰」がある
途中でやめることは絶対に出来ない

最初は軽い命令だったが、日を重ねるについて命令はエスカレートしていく。

誰もがイタズラだと考えていた。

しかし、ついに命令に従わなかった2人に「罰」が下されたことで、高校生たちは思い知ることになる。

この王様ゲームは『本物』なのだと。

命令を実行しなかった2人に言い渡されたのは「首吊りの刑」

その2人は、その日のうちに自ら首を吊って亡くなっていた。

残るクラスメイトは、30人。

悪魔のゲーム

命令の形態は1つではない。

例えば「人気投票」ではクラスメイトの投票数が少なかった方に強制的に罰が与えられた。

罰を受けるということは、すなわちそこで人生が終了することを意味している。

「王様ゲーム」はすでに「生き残りをかけた潰し合い」にその姿を変えていた。

疑心暗鬼。

誰が味方で、誰が敵なのか？

クラスの人間関係が崩壊していく。

いったい王様は誰なのか？

どうやって命令に服従したことを確認しているのか？

それ以上に、王様はどうやって「罰」を与えているのか？

そして、王様の目的とは？

あまりに謎が多すぎる。

奈美

現実的に考えれば、王様の正体はクラスの中の誰かである可能性が高い。

そこで、伸明の味方である奈美は「自分で自分に命令を下せ」という王様メールに対して「王様に触る」という賭けに出た。

クラスメイト全員に触っていって、服従確認メールが届いた人物こそが王様だ。

…しかし、奈美が全員に触っても「服従確認」のメールはこない。

失敗だ。

『永遠の闇を与える』

奈美は罰として盲目にされてしまった。

王様からは、伸明たちをあざ笑うかのように「クラスの中に私はいる」というメールを送られてくる。

ふと気がつくと、伸明の隣にいたはずの奈美が消えていた。目が見えないのに、いったいどこへ！？

そして、次の命令が下された。対象者は伸明。

『大切なものを失え』

命令を無視して一日中奈美を探し回っていた伸明のもとに、奈美から電話がかかってくる。

奈美「伸明の大切なものって…私の命を引き換えで大丈夫かなぁ？」

伸明「バカなこと言ってんじゃねえ！俺が奈美を守る！だからもう一度俺を信じてくれ！」

奈美「…ありがとう。一緒にいられた時間忘れない。バイバイ伸明…」

電話が切れる。

（まずい！このままでは！）

…伸明が駆け付けた時、奈美はすでに海の中へと消えていた。

奈美の足跡が、すなはまにくっきりと残っている。海へと向かって伸びている。

そのすぐ近くでは、奈美が最後に残したメッセージが波にさらわれようとしていた。

『ノブアキ　ダイスキ』

伸明「奈美ーーー！奈美！！ああああああああ！！」

…海岸に辿りつく前に、伸明は智恵美に電話して、心にもない酷い言葉を浴びせかけていた。

『服従確認』

奈美が消える必要などなかったのに…！

伸明は自分の非力さと無念さを噛み締めながら、大声で泣いた。

残り、26人。

王様への手がかり

現在、王様についての手がかりは2つある。

1つは「カミハテ」という人物。

カミハテは世界でもトップクラスのハッカーであり、屈指のゲームマニアとしても知られている謎の人物。

今回の王様ゲームには、カミハテが関わっている可能性が高い。

もう1つの手がかりは、犠牲者の携帯電話に必ず残されている一文字だけの未送信メール。

この文字をつなぎ合わせていけば、王様へとたどり着けるかもしれない。

伸明たちは未送信メールの収集を始めたが、自分たちの前に未送信メールを消して回っている人物がいることに気がつく。

出席番号6番、岩村莉愛。

いったいどういうつもりなのか？

莉愛と接触した伸明は、意外な事実に気がつく。

伸明「ま、まさかお前が…カミハテ！？」

莉愛「やっと気づいてくれた。ほんと鈍いよね」

莉愛＝カミハテ。しかし、カミハテは王様ではなかった。

莉愛の目的は「ゲームに勝つこと」

そのためにはクラスメイトを犠牲して「未送信メール」を集めることもいとわない。

純粋に勝ちたいという莉愛と、全員を救いたいという伸明では、方向性が真逆だ。

莉愛「これはゲームなんだから、あなたはあなたのやり方でやればいい。だけど、あなたは必ず王様に負ける。そして、私は王様に勝って生き残る」

…莉愛の言うように、全員を助けたいという願いは無謀なのだろうか？

急展開

『命令11　クラス全員　この王様ゲームで不要なことを犯すな』

この命令が届いてからわずか数分のうちに、次々とクラスメイトたちが「罰」を受けはじめた。

次から次に犠牲者を知らせるメールが届く。

…どうやらメールの着信を拒否したり、携帯を解約したものに最初に罰が与えられたようだ。

しかし、それだけではない。何もしていないはずのクラスメイト達までもが次々に罰の対象者になっていく。

多くの犠牲者が出た頃、伸明はやっと気がついた。

『不要なことを犯すな』とは『涙を流すな』という意味だったのだ！

だが、友人がこの世から消えたと知って涙を流すのは、人として当然のことではないか！

伸明は王様を呪った。

残り、14人。

王様ゲームのルーツ

仲間の陽介が新たな情報を手に入れた。

陽介「王様ゲームは過去に夜鳴村という場所で行われていた！夜鳴村に行けば王様ゲームについて何か重要なことがわかるはずだ！」

陽介は泣いたことによるペナルティにより窒息が始まってたが、最後の気力をふり絞って伸明に情報をメールして散った。

伸明は夜鳴村に向かい、そこでゲームについての資料を見つける。

しかし、陽介と両想いだった香織が罰を受けたことに耐えられず、ついに涙を流してしまう。

頭が割れるような頭痛が襲ってくる。

伸明の目の前には、先に夜鳴村にたどり着いていた莉愛。

伸明は最後に自分たちが手にしていた未送信メールの文字を莉愛に伝えると、その役目を終えた。

伸明「…絶対、王様を倒してくれ…！莉愛！！」

伸明（智恵美、ごめん…。直也…後は頼む。任せたぞ…）

『王様の命令に従わなかった為に心臓麻痺の罰を与える。出席番号12　金沢伸明』

残り、9人。

生き残りを賭けたゲーム

日付が変わった。新しい王様メールが届く。

サイコロを振った者が、出目の数だけクラスメイトを指名する。サイコロを振った者も、指名された者も罰を受ける。

つまり、最高で7人が消えることになる。

…生き残れる可能性の方が低い。

そんな中、生き残ったメンバーが一堂に会した。

場はパニック寸前。

今にもゲーム抜きの大惨事が始まろうとしていた、その時…

「やめろ！！」

夜鳴村から戻ってきた伸明と莉愛が、現場に駆け付けた。

実は伸明が泣いたのはギリギリ12時を過ぎてから。

王様からのメールは莉愛が送ったフェイクだった。

そう、伸明は生きていた！

そんな中、自分だけが助かりたいという思いから、利幸が凶行に走る。

智恵美を人質にとって伸明を脅し、サイコロを振らせようとしてきたのだ。

だが、伸明がサイコロを振る寸前、直也がそのサイコロを奪い取る。

直也「この先、智恵美ちゃんを守って王様に勝つためには伸明が必要なんだ！それに今こそ借りを返す時だ。俺は伸明と智恵美ちゃんを守れるなら喜んで振るよ！」

伸明「やめろ、直也！」

直也「ああああああ！」

出目は、最悪の「６」

直也は利幸から智恵美を守るため、次々とクラスメイトの名前を口にしていく。

そして、直也が最後に口にした名前は「阿部利幸」

自分だけ助かろうとした利幸も、結局は無惨な最期を迎えた。

そして…

直也「伸明…天国ってどんなとこだろ…。いいところだよな、きっと。だって誰も帰ってきたことがないんだから…」

伸明「直也？直也！？直也ー！！」

自己犠牲の末に、ついに直也までが力尽きた。

生き残りは3人。

伸明、智恵美、莉愛。

王様ゲームの正体

莉愛はPCを操作しながら、夜鳴村で得た知識を話し出した。

かつて夜鳴村で次々と人が亡くなる事件があったこと。

その原因は、村の古い因習にもとづいた強力な暗示だったこと。

ある研究者が、その暗示法のプログラム化を進めたこと。

その研究者は暗示法の恐ろしさに気づいて削除しようとしたが、逆にプログラムの暗示によって消されていたこと。

莉愛「その研究者とは本田奈津子…智恵美、あなたの実の母親よ！」

研究者亡き後もプログラムは自ら「究極の暗示法」を研究し続けていた。

そして「究極の暗示法」を完成させるための最後の実験こそが、今回の「王様ゲーム」だった。

伸明たちのクラスが対象になったのは、研究者の娘である智恵美がいたから。

プログラムは智恵美の携帯をベースにしてクラス全体に「王様ウイルス」を拡散していた。

そう、王様の正体は「暗示プログラム（王様ウイルス）」

クラスメイト達はみな携帯を見ることで、その暗示にかかっていた。

効果を高めた暗示には、肉体に影響を及ぼすほどの力がある。

不可解な「罰」の正体は『究極の暗示』

携帯に残されていた未送信メールの全文は次の通り。

『お前達31人の命を捧げ、本田奈津子を生き返らせるための犠牲となれ』

これは、奈津子の夢だった「究極の暗示法」を完成させることこそが、王様の目的だったということを意味している。

だが、この未送信メール自体は王様の意志ではなく「バグ」

莉愛はそのバグを利用して王様ウイルスを駆逐するためのアンチウイルス（ワクチン）を完成させていた。

莉愛「これで全世界の王様ウイルスを駆逐するわ！ゲームスタート！！」

次々に王様ウイルスの存在が消えていく。

そして…

莉愛「王様ウイルスデリート完了ね。意外とあっけなかったかしら」

メールが届く。

『出席番号6　岩村莉愛　ルール違反により焼身の罰を与える』

莉愛「まさか…このバグも王様の罠だったというの…？」

莉愛が燃え始める。

莉愛「…たった今わかった。世界を支配しうる力『究極の暗示法』を持つべき人類の王様を決めることが王様ゲームの真の目的。伸明、智恵美、私のかわりに必ずあなたたちが…王様に勝って！」

そう言い遺して、莉愛は燃え尽きた。

残り、2人。

最後のゲーム（結末）

『命令13　金沢伸明　本多智恵美　5分以内に最も愛する者の命を奪う。さもないと2人とも首切りの罰を与える』

智恵美は自らの命を差し出して伸明を助けようとするが、伸明は「2人で生き残るんだ！」と説得する。

王様ゲームが強力な暗示ならば、『生きる』という強い意志でそれを跳ね返すことも可能なはず！

10…9…8…

（生きる生きる生きる生きる生きる！）

2…1…0

伸明「…生きてる。俺たち生きてる！智恵美！俺たち勝ったんだ！」

智恵美「私たち勝ったのね…」

ふと見ると、智恵美の太ももから大量の血が流れている。人質にされたときに利幸から刺された深い傷だ。

智恵美「伸明…私…もっと伸明と一緒に…やりたいことがたくさん…あったんだ…」

伸明「なに言ってんだよ！これからいくらでもできるじゃないか！」

智恵美「ごめんね。伸明…大好き」

その一言を残し、智恵美は息を引き取った。

メールが届く。

『あなたがこの世界の王様です。あなたはこの世界をどうしたいですか？』

伸明「どんな世界にしたいかって…決まってんだろ、そんなこと」

伸明の脳裏に、智恵美との思い出が浮かぶ。

春、満開の桜の下で智恵美に告白した時。

2人が恋人になった時の記憶。

それは、もう2度と取り戻すことのできない、幸せだったころの記憶。

<王様ゲーム・完>

伸明の最後の願いは明かされないまま。

世界の幸せを祈ったのか、憎しみから世界を呪ったのかはわかりません。

ただ「終極」では「王様ゲームのない世界を望む」が最後の願いだったということになっています。

王様ゲーム（終極）

県立呉広高等学校2年1組に来た転校生の名は、金沢伸明。

伸明は前回の王様ゲームの惨劇がトラウマになり、心を閉ざし、友人をつくれないようになってしまっていた。

周囲のクラスメイト達はみんな優しく、伸明と友達になろうとしてくれるが、伸明はそのことごとくを拒絶する。

しかし、隣の席の女子「本多奈津子」は根気よく伸明に話しかけてくれる。

明るくお節介な奈津子につられて、伸明は少しずつかつての自分を取り戻していった。

──そして、再び『王様ゲーム』が始まった。

『クラス全員　王様ゲームで不要なことは犯すな。深い安息につくな。定められた道を進め』

時刻は深夜。

まだ、誰もがこのメールをイタズラだと思っている。

そんな中、伸明だけは最後の一文が「眠るな」ということだと気づき、行動を起こす。

だが、間に合わない。

次々とクラスメイト達が「罰」を受けていく。

伸明は生き残りのクラスメイト達を公園に集めて事情を説明するが、恐慌状態に陥ったクラスメイト達は伸明を信じない。

それどころか伸明は犯人だと決めつけられ、クラスメイト達からリンチを受けて満身創痍になってしまう。

泣き叫び、戸惑い、パニックに陥るクラスメイト達。

そんな中、一人だけ異様な落ち着きぶりを見せる人物がいた。

「本当に知らないんだ。王様ゲームから抜け出す方法。伸明が王様ゲームを一度体験してるっていうから期待してたのに…」

本多奈津子だ。

奈津子「私は絶対生き残る。そのためだったら何だってする」

その目つきは険しく、その口元は偽善者をあざ笑うかのように歪んでいる。

優しく快活だったかつての奈津子の姿はどこにもない。

伸明「おまえ…？誰なんだ？」

残り、23人。

敵と味方

奈津子は王様ゲームの本質を理解していた。

『他人がどうなろうと、自分だけが生き残る』

奈津子は狂気の本性を包み隠した演技でクラスメイト達を操り、伸明にさらなるリンチを加える。

味方は誰もいない…。このまま終わってしまうのか…？

そんな中、遅れて公園に到着した大柄で豪気な男子・健太だけが伸明に加勢した。

健太「仕方なかったじゃと！？一人を複数で寄ってたかってボコるのがか！？どんな理由があったにしろリンチは許せん！そんなに暴れたいんなら次はワシが相手してやる！」

健太と闘って勝てる者がいるとは思えない。クラスメイト達は健太の大喝に怯む。

健太「伸明、しっかりせぇ！」

伸明「…あ…う…ありが…とう」

カクン

健太「伸明？おいって、冗談だろ？悪い冗談はよせ、なあ！？…心臓が動いとらん」

クラスメイト達に動揺が走る。

健太「痛かったろ？辛かったろ？ワシがもう少し早く来ていれば違ってたか？伸明…っ」

誰もが自責の念から俯き、暗い表情を見せる。ただ一人を除いて。

奈津子「つまんない奴ぅ。呆気なかったな～。もっと派手に逝ってほしかったのに。クスクス」

健太「！！性根が腐っとるのぉ。今までのお前はどこ行ったんじゃ。猫を被っとったのか？」

奈津子「うざいっ！うざいうざいうざいうざい！」

健太「『奈津子を暴け』…か。さてと、そろそろ伸明を病院に連れて行かんとな」

奈津子「！？の…伸明は生きてるの！？」

健太「ワシの演技、最高だったろ。騙し合いはワシの勝ちじゃの」

健太は伸明を連れて公園から出た。「何があっても守る」と約束した美月も一緒だ。

伸明は王様ゲームを終わらせるためのヒントは「夜鳴村」にあると考える。

伸明は健太・美月をつれて再び夜鳴村へと向かった。

その間にも、続々とクラスメイト達は「罰」を受けていく。

残り、16人。

脱落

伸明が夜鳴村で見つけたのは智恵美の両親の遺体。

どうやら本多家はもともと夜鳴村の住人であり、智恵美の父親は王様ゲームの生き残りだったらしい。

また、公園での話によれば奈津子の親もまた王様ゲームの生き残りだったとのことだ。

伸明（王様ゲームで、2人以上生き残る方法がある！？）

伸明はかすかな希望を抱く。

一方、その頃、健太は様子のおかしい美月を追っていた。

美月に与えられた命令は『2人のクラスメイトにメールを送ること』

もちろんメールの受信者には罰が与えられる。

美月「でも、危機的状況で落ちた恋は実らない…。私、決めた。健太を守りたい。だから送るよ、奈津子と…私自身に」

健太「馬鹿！やめろ！」

美月「私は健太のことが好きだよ。この数時間、一緒にいられてよかった。…バイバイ」

走り去ろうとする美月を抱きしめて止める健太。

健太「…危機的状況で落ちた恋を実らせてみんか？」

美月「嬉しい…健太、大好き。これなら、私の本当の想いを伝えられる。…聞いて」

健太「何じゃ？」

幸せそうに涙を流す美月を見て、ほっとした表情を浮かべる健太だったが…

美月「私と一緒に死んで？」

美月「王様ゲーム続けるの辛いでしょ？私が健太を苦しみから解放してあげる！救うの！守るの！」

健太は半狂乱になった美月を気絶させて携帯を奪うと、奈津子と自分（健太）を指名するメールを送った。

だが、いくら待っても服従確認メールはこない。

美月は一度携帯を壊して機種変していたのだが、それではダメだったのだ。

このままでは美月が罰を受けてしまう…。

気絶している美月と絶望している健太のもとへ、伸明が駆けつけてくる。

伸明（でも…美月には悪いが健太が無事でよかった…）

健太「…実は、伸明に黙ってることがあるんじゃ」

その瞬間、健太と美月に罰を与える旨の王様メールが届く。

伸明「どういうことだ！？そういえば健太に下された命令…『思うがままの命令をクラスメイトの誰かに下す』は何にしたんだ！？」

健太「…ワシはワシ自身に命令したんじゃ。『美月の命を守る』と。だから美月と一緒にワシも罰を受ける。…すまん」

美月は健太が自分に下した命令を知っていた。だから美月は自分が罰を受けることで健太と心中しようとしていたのだ。

伸明に説明を終えると、健太は苦しみながら倒れ伏した。

同時に、気絶から目が覚めた美月ももがき苦しみ始める。

2人は最後の力を振り絞って這いずりながらお互いに向かって手をのばし…触れ合う直前に事切れた。

2人の亡骸を前にして、伸明はしばらく泣くことしかできなかった。

残り、11人。

指折りゲーム

広島に戻った伸明は、クラスメイトの里緒奈から呼び出された。

里緒奈「奈津子は、王様ゲームを体験している」

伸明「…え？」

実は奈津子は転校生であり、前の学校で行われた王様ゲームの生き残りだったのだ。

伸明と奈津子。

今回の王様ゲームには「生き残り」が2人も参加していることになる。

そんな中、新たな『王様ゲーム』が始まった。

『出席番号順に一人ずつクラスの誰かに自分の手の指を切断して与えよ。骨を折ることでも可。与える指の本数は自由。ただし、右手の指は1本につきプラス1ポイント、左手の指は1本につきマイナス1ポイントとする。自分の持ちポイントを複数の人に分け与えることもできる。点数がマイナスになった者に罰を与える』

※自分自身にポイントを与えてもいいし、パスも有効

現在の生き残りは11人。

出席番号順は、伸明を含めた前半の6人が男子、後半の5人が女子だ。

このゲーム、全員がパスを選べば誰も罰を受けない。

伸明を含む前半の男子5人がパスを宣言した。

そして、6人目。男子最後の輝晃の番。

パキン

輝晃「うああああああああ！」

輝晃は自らの指を折った。美容師になるのが夢だという輝晃の、夢が詰まった自らの指を。

伸明「馬鹿野郎！なにやってんだ！？」

輝晃「奈津子に思い知らせてやる。脅しなんかじゃ人は動かせないって。そのためには…マイナスが必要なんだ！左手全部まとめてやってやるよぉぉぉ！！」

最初こそクラスのみんなは奈津子に味方していたが、そのどす黒い本性が明らかになった今では、奈津子はクラス共通の「敵」だ。

そして、男子たちを中心に、クラスメイトたちは伸明こそが希望なのだと理解していた。

だからこそ輝晃は、希望をつなぎ、奈津子に抵抗するために、右手の人差し指と左手の全ての指を折った。石で叩き潰して。

輝晃「伸明にプラス1、奈津子にマイナス4！愛美（自称奈津子の親友）にマイナス1差し出す！！」

輝晃「次は奈津子の番だ。残りの4人がそれぞれ1本ずつ差し出せばおまえについたマイナス分が差し引きでゼロ。奈津子はパスしたって楽勝だろ？」

追い詰められた奈津子。だが、自分の指を折ることはできない。

奈津子「パ…ス…」

輝晃「ハッ、人の命はおもちゃみたいにもてあそぶくせに、自分の指1本折れないんだな…」

残る女子たちは次々にパスを宣言していく。

残るは最後の1人、愛美。

だが、愛美は「私のために指を折って！」と迫ってくる奈津子を悲しそうな目で見つめるばかり。

そんな愛美の態度に業を煮やした奈津子は、自らの手で愛美の指を石で潰した。

ゴッゴッゴ！

愛美「キャアアアア！！」

自分が生き残るためなら、友達だと言ってくれる人間さえ容赦なく利用し、切り捨てる。

奈津子はまさに王様ゲームが生んだ『怪物』だった。

だが、それでも愛美は奈津子との友情を信じ抜き、奈津子にプラス4点、自らにプラス1点を加算した。

プラスマイナスゼロ。

このゲームでは誰も罰を受けなかった。

仲間との絆を信じて王様ゲームに立ち向かおうとする伸明とクラスメイト達。

どんな手段を使っても自分一人だけは生き残ろうとする奈津子。

両者の闘いは激しさを増していく。

亀ケ首遺跡へ

新たな命令が下った。

『クラス全員で亀ケ首遺跡まで走る。8時間ごとに、亀ケ首遺跡から計算して一番遠い場所にいるものに罰を与える。※交通機関、器具などは使ってはならない』

亀ケ首遺跡までは100キロ以上。

伸明はお嬢様育ちで体力のない里緒奈と並走しながら、最後尾を走る。

伸明は自分がゴールすること考えず、仲間のフォローをすることを第一に考えているからだ。

時間は刻一刻と過ぎていく。

8時間ごとに伸明はわざと里緒奈の後方に回り「罰」を引き受けようとしたが、仲間割れによる脱落者や負傷者が対象となり、なんとか伸明も里緒奈も生き残る。

そして、ついに伸明は亀ケ首遺跡へと辿りついた。

奈津子の妨害や精神攻撃に耐えきれず脱落した者も多い。

生き残ったのは伸明、里緒奈、遼、彩、そして奈津子。

残り、5人。

凄絶

『クラス全員、己で己の体を引き裂き、切り裂いた部位をつなぎ、人形を形づくれ。切り裂く個所は頭部、胴体、右腕、左腕、右脚、左脚。何人で行っても構わない。形づくらなかった場合、全員に罰を与える』

現実的に考えて、めちゃくちゃな命令だ。

この命令を遂行することは不可能に近い。

自分が犠牲になるという遼の目の前に、奈津子がどこから拾ってきたチェーンソーを差し出す。

遼は伸明を気絶させると、チェーンソーを手に取った。

遼「里緒奈ちゃん、ボクね、ずっと誰かの役に立ちたかった。輝君が信君にしたみたいに…。今が、その時なんだ」

ギュイイイイイイ！

自らの左脚に遼がチェーンソーの刃を突き立てる。

遼「あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”！！！」

骨で止まっている刃を、奈津子が足で無理やり押し込む。

ボトリ、と遼の左脚が切断された。

奈津子「ほら遼、もう1本もやるんでしょ？グズグズしてると出血多量で…あら、もう死んだの？」

奈津子はチェーンソーを拾い上げると、遼の仇を取ろうと掴みかかってきた彩を返り討ちにした。

残るは3人。

奈津子、伸明、里緒奈。

このまま奈津子が全員の命を奪って生き残るのか？

緊迫した雰囲気の中、着信音が響き渡る。

伸明は非通知番号からの電話をとった。

絶望の真実

電話は夜鳴村のことを研究していた宮澤という男からだった。

宮澤「33年前、私は夜鳴村で亡くなった少女を病理解剖した時、突然変異と思われる新種のウイルスを検出した。私はそのウイルスに『ケルドウイルス』と名付けた。このウイルスには『意志』…すなわち『自我』があると予想された。ケルドウイルスは感情…それも恐怖という感情で増殖する。恐怖が極限に達したとき、体内にある60兆を超える細胞は自ら変化すると考えられる」

奈津子「勝手に首が切れるのも変化かしら」

宮澤「そうだ。そして、このウイルスはネットワークを通じて自己増殖する。今のところ予想できるのは、ウイルスが拡張子の変更を故意に行い、それによりメールを送っているのではないかということだ」

王様ゲームの正体は新種のウイルス。日々進化するケルドウイルスには抗体では対処できないという。

伸明「そんな…それはつまり…」

宮澤「ウイルスを根絶することは不可能だ。ただ、できることはある。ウイルスに感染した者全員…つまりこの事件に関与した人間すべてをこの世から消すことだ。夜鳴村の遺体はすべて火葬した。あとは君たちが判断してくれ。すまない…だがこのウイルスを放っておけば…」

『人類は滅亡する』

そして、電話は切れた。

つまり宮澤は、人類のために犠牲になれ、と言っていたのだ。