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映画「嘘を愛する女」ネタバレ解説!結末や原作の実話は?

映画は「嘘を愛する女」

少しずつ恋人の素性に近づいていくドキドキ感が面白く、結末で明らかになるある真相には感動させられました。

というわけで今回は、映画「嘘を愛する女」のあらすじとネタバレ解説をお届けします!

なぜ、彼は嘘をついていたのか…!?

あらすじ

川原由加利は大手食品メーカーで働く29歳。

キャリアウーマンとして活躍する一方で、そろそろ恋人との結婚を考えている。

そんな由加利が5年間同棲してる彼氏の名前は小出桔平。

職業は研究医、年齢は37歳、出身は北海道、家族はなし。

物静かで優しい桔平は最高のパートナーだが、唯一、結婚に対して煮え切らない態度をとる点だけが不満だった。

 

そんなある日、話の流れで上京してくる母親に桔平を紹介することになった。

…もしかしたら、これがきっかけで結婚話が進むかもしれない。

密かに期待していた由加利だったが、当日、いつまで待っても桔平は現れなかった。

何通かメールを送ったが、返信はなし。翌朝になっても家に帰ってこない。

怒り心頭に発した由加利は桔平に電話をかける。

すると…

「こちら、医国堂病院と申します。この電話の持ち主が、当院に搬送されてきています。あなたはこの電話の持ち主のお知合いですか?」

くも膜下出血で倒れ、現在は昏睡状態。

病院に駆け付けた由加利を待っていたのは、厳しい現実だった。

昨夜、桔平は新宿駅付近で倒れ、そのまま病院に運び込まれたのだと聞かされる。

だが、由加利の不幸はこれだけでは終わらない。

「それがですね、神奈川医科大学付属病院へ問い合わせたところ、小出桔平さんという職員は、存在しなかったんですよ

「は?」

自分でも確かめてみたが、間違いない。

桔平の職員証は偽造されたものであり、聞かされていた職場には在籍していなかった。

…戸籍も保険証も、ない。

…家族も友人も、いない。

いったい彼は何者なのだろうか?

 


 

手術から2週間。まだ桔平は目覚めない。

由加利は探偵である海原に調査を依頼し、桔平の素性について探ることにした。

細い糸を手繰って見つけ出したのは、桔平が荷物を預けている月極のレンタルロッカー。

ロッカーの中には、ノートパソコンと紙袋が入っていた。

紙袋の中身は無造作に入れられた数十枚の一万円札。

破られた白い帯は、かつてそこに数百万円入っていたという事実を示している。

一方、ノートパソコンの中に入っていたのは小説らしき文書ファイル。

「僕」と「佑子」と「雄太」

幸せな家族のなんでもない日常が延々と700ページ以上も書かれていた。

小説を読み進ていくうちにわかってしまう。

この「僕」というのは桔平自身だ。きっと、桔平には妻子がいるのだろう…。

小説から読み取れる情報を頼りに、由加利は桔平が生まれ育った場所を探すことにした。

目的地は瀬戸内。数ある離島の中のどこか1つが、桔平の出身地だ。

 

桔平は何者なのか?

そして、あの日、桔平は新宿駅の近くで何をしようとしていたのか?

桔平は月極のレンタルロッカーの更新を、来月でストップすると言っていたらしい。

(もしかして桔平は…わたしから逃げるつもりだった?)

果たして真相は…?

 


 

ネタバレ解説

「嘘を愛する女」では少しずつ「桔平の素性」や「過去の事件」、「倒れた日の真実」などが明らかになっていきます。

今回はわかりやすく時系列順に整理して、物語の構造をネタバレ解説していきたいと思います!

 

小出桔平の素性は?

本名は安田公平(記事内での呼称は桔平で固定)

職業は臨床医。出身地は瀬戸内のとある島。

由加利が直感したように、桔平には妻子がいました。

妻の名前は万里子。まだ幼い子供の名前は晄(ひかる)

両親は健在で、天涯孤独の身という話も嘘。

結局、桔平が由加利に語った情報のうち、年齢以外は嘘だったということになります。

 


 

桔平の過去に何があったのか?

なぜ桔平は単身、東京に流れてきたのか?

過去に起きた『ある事件』が桔平の人生を大きく狂わせました。

 

★ある夜の事件

その夜、桔平はいつものように疲れきった体を引きずりながら家路をたどっていた。

手入れの行き届いていない荒れた庭を通り、玄関の鍵を開ける。

小説の中で描かれていた幸せな家庭とは程遠い現実。

夫婦仲は冷めきっており、夜遅く帰ることもあって最近はまともに妻の顔すら見ていない。

…だが、その日は珍しくまだ妻が起きていた。

しかし、明らかに様子がおかしい。

冷蔵庫の前にうずくまり、ぶるぶると震えている。意思疎通はできそうにない。

嫌な予感がした桔平は晄を探すが、寝室にはいない。

晄は…風呂の中でぷかぷかと浮いていた。

医師として蘇生を試みるも、すでに手遅れだった。

警察に通報する。

後日、桔平は警察から詳しい事情を聞かされた。

その日、万里子は晄の首を絞めて絶命させ、「生き返らないように」と風呂の中に沈めたらしい。

その後、自身も頸動脈を切って後を追おうとしたものの、結局は実行できなかった。

育児ノイローゼ。

桔平を激しい後悔の念が襲った。

(僕のせいだ…。自分の役割は生活費を稼ぐことだと割り切って、家事育児をすべて妻に任せていた。万里子は一度も「疲れた」とも「助けて」とも言わなかったが、それは僕が『言わせなかった』からだ。人命を救うという意義ある仕事にかかりきりで疲れきっていた僕に、万里子は何も言えなかったんだ…)

万里子は罪状を認めて逮捕された。

桔平は財産の半分を万里子に残し、離婚届を出すと、財産のもう半分を手にあてもなく旅立った。

証人として裁判への出廷を求められていたが、そうするしかなかった。

それからの日々、桔平が妻子のことを思い出して苦しまない日はなかった。

万里子が公判中に自ら命を絶ったということを、桔平は後から記事を読んで知った。

 

神戸…名古屋…桔平は「誰でもない男」として各地を転々とし、最後には最も他人に無関心な街・東京に流れ着いた。

宿は簡易宿泊所。身なりはくたびれていて、目は虚ろ。

日がな一日、公園などでボーっとしてすごす日々。

ほとんどホームレス同然の生活だ。

手持ちの金が尽きたら、桔平はすべてを終わらせるつもりだった。

それまで苦しみ続けるのは、己の罪に対する罰。

 


 

桔平と由加利の出会い(桔平視点)

2011年3月。

2人が出会ったのは、あの大震災の日。

地下鉄が急に止まり、慌てて地上へと走る人ごみの中、由加利はパニックになり過換気症候群を起こしていた。

「だいじょうぶですか?」

誰もが横目でちらりと見るだけで通り過ぎていく中、桔平だけが由加利に声をかけた。

本来であれば極力人と関わりたくないはずの桔平だったが、医師として身体が勝手に動いていたのだ。

数十分後、由加利の呼吸は回復。

桔平は「ハイヒールでは危ないから」と自分のスニーカーを脱いで渡してその場を去った。

「コイデ」という偽名は、名前を聞かれたとき目に入った看板に書いてあった文字だ。

「お礼がしたい」と渡された名刺は、角を曲がったところで破り捨てた。

 

「コイデさん!」

それから数か月後、街中で由加利に声をかけられたときは本当にびっくりした。

「必ず連絡をください」と言って、由加利は再び名刺を渡してくる。

桔平はその名刺を捨てようとして…できなかった。

彼女の何が桔平の心の琴線に触れたのかはわからない。

単純に明るく可愛い由加利が眩しかったのか、自分の人恋しさが原因か。

一度だけ…。

桔平は自分にそう言い聞かせると公衆電話から由加利に電話し、デートの約束をした。

その日のために新しい服を買い、髭を剃り、髪を整え、偽造した保険証でプリペイドの携帯電話を契約した。

『小出桔平』という人物の物語を創造し、『安田公平』を抹消した。

 

デートの当日。

おしゃべりな由加利の話の聞き手になるのは、心地よい気分だった。

久しぶりに感じる温かさ、優しさ。

一度だけのはずだったのに、その後も桔平は由加利との時間を待ち望んでしまう。

桔平にとっての由加利は希望、あるいは救いだったのかもしれない。

気がつけば、桔平は由加利との同棲生活を始めていた。

 


 

あの日の真実、桔平の本心

病院へと運び込まれたあの日、桔平は何をしようとしていたのか?

由加利は桔平が倒れた現場へと赴き、救急車を呼んでくれた花屋の店員と会うことでその答えを知りました。

今回はせっかくなので、桔平視点でお届けしましょう。

 

★あの日の真実、桔平の本心

由加利から「母に会ってほしい」と言われたとき、潮時だと思った。

ずっと嘘をつき続けてきたのだ。

事情を説明することができない限り、僕は消えるしかない。

安田公平を抹消したように、今度は小出桔平を抹消するのだ。

由加利の母親と会う約束の前夜、そう決意した。

翌朝。

いつものように新宿へと行き、ノートパソコンを開いた。

書いているのは40代になった「僕」と30代の「佑子」、そして5歳に成長した「雄太」

家族三人の平凡な日常の物語だ。

続きを書きながら、僕は思った。

罪を償うなどと言いながら、僕はずっと逃げ続けている。

僕の逃亡に、万里子はいったいどれだけ絶望したのだろう。

キーボードを打つ手を止め、たった今も疑うことなく、僕を待っている由加利を思った。

そして、もう逃げるのはやめようと決めた。

今夜、由加利にすべてを打ち明ける。それもまた、彼女を傷つけることには変わりないが、逃げない限り、謝罪し、許しを請うことができる。

「終章」を書き上げると、僕はパソコンをロッカーに戻し、受付に来月は更新しないと告げた。

駅に向かう途中、由加利の母親へ何をプレゼントをと思い、小さな花屋に立ち寄った。

いつか由加利が母娘ともども気に入っていると話していた白いチューリップを花束に入れてもらった。

 

…。

 

そうして花束を受け取って駅に向かおうとしたところで、桔平はくも膜下出血で倒れました。

救急車を呼んだのは桔平が立ち寄った花束の店員。

あの日、桔平は逃げようとしていたのではありませんでした。

由加利の母にきちんと挨拶し、由加利にすべてを打ち明けるつもりだったのです。

桔平がちゃんと母に会おうとしていたということを知った由加利は、急いで桔平の病室へと向かいました。

 


 

結末(小説版)

「きっちゃん、わたし、瀬戸内に行ってきたよ。きっちゃんが生まれ育った島にも、行ってきた」

桔平はまだ眠っているが、意識はちゃんと由加利の言葉に耳を傾けていた。

「きっちゃんが書いた小説も、見つけた。秘密にしていたことも、知った」

(そう、ごめんね。君を傷つけたくはなかった)

「それからね…。さっき、新宿からここに来るまでの電車の中でね、小説の、最後の章を読んだよ」

(そうか…呆れただろう?僕は大きな罪を背負いながら、あんな幸せを夢見ていた大馬鹿者なんだ。だけれど、夢見ずにはいられなかった。それは、君と出会えたからだ。君は、僕の安心、希望、そして拠りどころだったから)

「帰ってきて、きっちゃん。お願いだから、帰ってきて。わたし、ずっと待ってるから」

涙を流しながら叫ぶ由加利の声を聴きながら、桔平は思った。

(由加利、僕も帰りたい。何の偽りもない両手で、君を抱きしめたい)

 

…。

 

小説の「終章」に書かれていたのは、これまでと同じ幸せな家庭の日常。

部屋には、いつか由加利が「素敵ね」と言っていた絵が飾られてある。

子供が男の子なのは、いつか由加利が「産むなら絶対に男の子」と言っていたからだ(万里子との子供である晄は女の子)

そう、「佑子」のモデルは万里子ではなく由加利、「雄太」のモデルは晄ではなく、まだ見ぬ由加利との子供だった。

そして小説の中の2人は、由加利と桔平がいつか交わした会話を再現する。

「わたしのどこが好き?」という佑子の質問に照れて答えられない「僕」に、佑子が「僕」の好きなところを指折り数えていく。

「そのくせっ毛がかわいくて好き。あったかい唇も好き。細い指も好き。無口なところも好き。それに優しいところも大好き。風邪で寝込んだとき、親身になって看病してくれた。深夜残業が続いたとき、お風呂を沸かして待っていてくれた。夜急に雨が降った日、傘を持って駅まで迎えに来てくれた」

「うん」

「あと今夜、チキンとトマトの煮込んだやつを作ってくれる」

「ええ、なんだよそれ」

「お願い、あれ好きなの。作ってくれるなら、許してあげる」

「ちぇっ、降参だ」

笑いながら「僕」は料理の準備に取り掛かった。

さっき答えられなかった佑子の好きなところを、鼻歌のメロディーに乗せて並べていく。

「わがまま」

「おっちょこちょい」

「明るい」

「楽しい」

「まじめ」

「すぐ泣く」

「すぐ怒る」

「すぐ信じる」

「すぐ夢中になる」

「すぐ笑う」

背後から、メロディーを真似した鼻歌が聞こえてきた。

振り向くと、佑子がベランダの洗濯物を取り込んでいる。

桃色に染まった頬が、夕陽の欠片を反射させて、きらきらと輝いていた。

「そして世界一、美しい」

「僕」はもう一節歌い、鍋を火にかけた。

<嘘を愛する女・完>

 

補足

小説版のラストでは、桔平は目覚めませんでした。

桔平が書いた小説のオチが明らかになり、キレイな結末といえばそうなのですが…どこか「え?目覚めないの!?」という気もしますね。

ただ、小説の裏表紙にはこんな一文が書かれています。

『もう一つの結末に涙する、小説版「嘘愛」』

どうやら映画と小説版では、少し結末が異なるみたいですね。

果たして映画本編ではどんな結末になるのか?

もちろん公開と同時に観に行く予定なので、そうしたら小説と映画の比較をしてみようと思っています!

※追記:映画の結末はやっぱり小説とは違いました!この下に映画のネタバレがあるので注意!

 


 

結末(映画版)

映画は完全に由加利視点で描かれていて、小説では描かれていた「桔平視点の物語」がありませんでした。

そのため、映画では「あの日、実は桔平はちゃんと由加利の母親に会いに行こうとしていた」という真実も明らかにならないまま。

映画をご覧になられた方には、ぜひ桔平視点が明らかになる小説もお勧めしたいです。

さて、映画と小説の違いといえば気になるのはやはり『結末』

小説では最後まで目覚めなかった桔平でしたが、映画では…ちゃんと目覚めてくれました!

「由加利の声で目覚めて大団円!」という形ではなく「ひっそりと桔平が目を覚ます」というシーンでエンドマーク。

ご都合主義的な印象を受けない、実に「嘘を愛する女」らしい素敵な結末だったと思います。

 

原作の実話とは?

「恋人の素性がすべて嘘だった」というミステリアスな導入が印象的な「嘘を愛する女」ですが、実は完全なるフィクションというわけではありません。

原作とも言える実話が存在します。

映画のもとになった事件が起きたのは1991年のこと。

奥さんが5年間連れ添った旦那さん(50歳)を病気で失ったときに「嘘」が発覚しました。

戸籍が偽物だったのです。

それどころか、生前には勤務先が「嘘」だったことも発覚していました。

もちろん奥さんは旦那さんを問い詰めましたが、旦那さんは何も語らず。

結局、旦那さんが亡くなった後も「本当の身元」はわからないままでした。

…警察の協力もあったにも関わらず、今なお実話の方の真相は闇の中。

もしかしたら「嘘を愛する女」のような事情が本当にあったのかもしれません。

まさに「事実は小説より奇なり」という感じですね。

 


 

まとめ

今回は「嘘を愛する女」をもとに物語のネタバレ解説をお届けしました!

まとめ

・小出桔平の本当の名前は安田公平。職業は臨床医。

・桔平には妻子がいた。夫婦仲は冷めきっており、やがて妻が育児ノイローゼにより子どもの命を奪ってしまった。妻は公判中に自らの命を絶った。

・すべては自分の責任だという罪の意識から桔平はあてのない旅へ。命の終わりを待つばかりだった桔平だったが、由加利との出会いによってすべてが変わった。桔平にとって由加利は希望であり救い。

・桔平はすべてを由加利に打ち明けるつもりだった。その矢先のくも膜下出血だった。



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