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サバイバルウェディングのネタバレ!原作小説のあらすじ名言結末は?

      2018/07/14

こんにちは、若竹です。

今季イチオシの夏ドラマは「サバイバル・ウェディング」!

波瑠さん・伊勢谷友介さん・吉沢亮さんなどキャストもいいのですが、なんといっても原作小説がめちゃくちゃいいんです!

最初は「婚活ものか…How toっぽいやつかな?」と正直あまり期待していなかったんですが、食わず嫌いしなくて本当に良かったです。

・独身アラサー世代に刺さりまくる恋愛あるある

・気心の知れたドS上司と年下イケメン君、どっちに行くの!?と気になりすぎるストーリー

・予想外の感動が待っているラスト!

ホントにおすすめポイントしかありません!

「おっさんずラブ」に引き続き、次は「サバイバル・ウェディング」がトレンドになりそうな予感…!

というわけで今回はドラマの原作小説「サバイバル・ウェディング」のあらすじ・ネタバレをお届けしていきたいと思います!

さやかの結婚相手は祐一?それとも宇佐美!?

アラサーの心に響く宇佐美の名言の数々にも注目です!

 

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サバイバルウェディングのあらすじとネタバレ!

「これ、わたしのパンツじゃないんだけど…」

それは、あまりにも間抜けな幕切れだった。

和也の浮気を追及したら、返ってきたのはまさかの言葉。

「もう終わりにしよう。さやかといると辛いんだ」

冗談じゃない。

3か月後に予定していた結婚式はどうなるというのか。新婚旅行の予約は?

そっちが浮気したくせに「もっと自由な時間が欲しい」ってなんだ。

それになにより、さやかは結婚のために7年間勤めた出版社を辞めている。

 

突然の婚約破棄。

黒木さやか(29)独身・無職の誕生だった。

 

ドS編集長・宇佐美

復職先は、同じ出版社内の別の雑誌。

『riz』は30代の女性をターゲットにしたライフスタイル誌だ。

編集長の宇佐美はやり手の編集マンとして有名で、『riz』の売り上げをV字回復させたスゴ腕と聞いている。

いったいどんな人なんだろう…?

 

「俺が復職できるように手配してやってもいいが、1つだけ条件がある」

「なんですか条件って?」

「半年以内に結婚しろ」

「…は?」

宇佐美が命じたのは体当たり婚活コラムの執筆。

その締めくくりとして半年以内に結婚することが復職の条件だという。

「なに、俺の言った通りやれば余裕だ。日本で一番恋愛に詳しいのは俺だからな」

「はい?」

「いいか、rizの結婚特集はな、今まで9回やってすべて完売してんだ。なぜだかわかるか?毎回、読者の悩みを聞いて、男にアンケートとって、俺が完璧な分析をしたから、売れるべくして売れたんだ。つまりな、ここには客観的なデータに基づいた日本最高の戦略があるんだ」

自信たっぷりにそういう宇佐美は確かに顔もいいし、身に着けているのは高級ブランドばかり。

しかし、全然モテそうではない。

「あ、俺の言う通りやらなかったらクビだからな」

こうして、さやかの不安たっぷりな婚活の日々が始まった。

 

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宇佐美の恋愛戦略その1・自分の価値を上げろ

ひどい別れ方をしたにも関わらず、さやかはまだ元カレ・和也のことが忘れられなかった。

というわけで最初の目標は和也との復縁。

宇佐美は自信たっぷりに、さやかにアドバイスをした。

「いいか、男が喜ぶことをするんじゃなくて、男の脳が喜ぶことをするんだ」

「どういうことですか?」

「人間の脳っていうのは、不安になるとな、興奮するんだ」

宇佐美が語ったのはいわゆる『つり橋理論』

不安な状況じゃないと恋愛感情が生まれないという。

その状況をつくりだすためにあえて他の男といるところを和也に見せろというのが宇佐美のオーダーだった。

「お前の価値は相対的な基準で決まる。お前が魅力的な男に誘われていることを知れば、それが判断基準になって、一緒にいるお前も価値が高いと認識されるんだ」

 

作戦当日。

和也との久しぶりの再会に、さやかの胸はときめく。

作戦なんて無視して素直に復縁を申し込もうかと思った、その時だった。

「よっ!」

赤いフェラーリに乗った宇佐美が現れ、和也の前でさやかをかっさらっていってしまった。

「…え?」

俳優のケイタが来るはずだったのに、どうして宇佐美が?

「ケイタだと力不足だと思ってな。俺は完璧主義なんだ」

どう考えても41歳のおっさんより、きれいな顔をした若手俳優の方がいいに決まっている。

自己評価どうなってるんだ、このおっさんは。

 

最後に見た和也は青い顔をしていた。

これは、やってしまったかもしれない…。

 

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宇佐美の恋愛戦略その2・自分を愛せ

「次にお前がやるべきことは、安売りしないことだ。高めた価値が下がってしまうからな」

さやかは相槌を打つ。

「自分のものだと思っていたものが、他の男のものになりかけている。お前の男は自分のプライドを満たすためにも、お前を取り返したいと思うだろう。お前を自分のものだと認識するために、あいつは必ず体を求めてくる。でもな、人間ていうのは苦労して手に入れたものほど大切にするし、楽に手に入れたものは大切にしない。大切にされたかったら体を許すなよ

「わかってますよ。そんなこと」

宇佐美にはきっぱりとそう言ったが、いざ和也を目にするとダメだった。

作戦失敗。

和也に強引に迫られて、さやかは体を許してしまった。

それからは体だけの関係がずぶずぶと続いていくばかりで、復縁の気配はゼロ…。

 

「終わったことはしょうがない。そいつと別れて、また1からやり直せばいい。自分の価値を上げて、他の男と出会うための行動をすれば…」

「もういいです。そういうの。自分の価値を上げるなんて無理です。わたしもうすぐ30だし、太ったし…」

和也との復縁に失敗して、さやかの心身はボロボロ。

そんなさやかに、宇佐美は突拍子もないことを尋ねた。

「お前はルイ・ヴィトンが日本で初めて出した広告がどんなのか知ってるか」

「…は?」

「それはな、『ルイ・ヴィトンはネクタイをつくっていません』という新聞広告だ。ルイ・ヴィトンが日本に進出すると同時に、偽物を売る業者が出始めた。だから、偽物に気をつけてくださいって注意喚起の広告を出したんだ。何年たっても価値が変わらないことを保証するために、価値を上げる要因は徹底的に排除する。それがルイ・ヴィトンだ」

宇佐美はさらに話を続ける。

「それにルイ・ヴィトンは160年を超える歴史の中で、1度もセールをしたことがない。ヴィトンは価値を下げないために、売れなかった服はおそらく処分している」

その後も宇佐美はいかにルイ・ヴィトンが利益を度外視してまでブランドの価値を守ろうとしてきたかについて語った。

「どうしてそこまでできるんですか?」

「自分のブランドや商品を愛しているからだ。決して商売の道具だなんて思ってない。自分の命のように愛しているからこそ、損をしても嫌われてでも、ブランドを守ろうとする。俺はそう思う」

宇佐美は一呼吸置くと、さやかをまっすぐ見つめていった。

「お前は自分が好きか?」

「…え?」

「いかなるときも、自分だけには愛を注がなければならない。自分を愛するっていうのは、自分を甘やかすってことじゃないからな」

「どういう意味ですか…」

「自分を愛すれば、時間を無駄にすることはないし、自分を磨くことができる。自分を傷つけることもなければ、自分の体を大切にする。お前が体だけの関係を続けているのは、自分への愛が足りないからだ」

さやかは宇佐美の顔を見た。いつものような威圧感はなく、穏やかな表情をしている。

「バッグは代わりがいくらでもあるが、お前の体はこの世にたった一つしかない。お前自身が愛を注いでやらないでどうする」

熱いものがこみあげてくる。さやかは涙がこぼれないように顎を上げた。

「自分を愛せ」

 

最後に「…俺みたいにな」なんて付けくわえるから、さやかは思わず笑ってしまった。

励まそうとしているのか、素でやってるのか。

いずれにせよ、もう少し頑張ってみよう、という気持ちがわいてきた。

「編集長、次の戦略を教えてください」

「よし、次の戦略はリセットだ。今日から新しい自分に生まれ変わって1からやり直せ」

 

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新しい出会い

和也との思い出の品を一切合切捨てたとたんに、新たな出会いがあった。

あの電報堂(※)に勤める年下のイケメン・柏木祐一(27)

※電通と博報堂を足して2で割ったような…

一目見た瞬間からタイプだと思った。

仕事もできるし、おしゃれだし、幸いなことに彼女もなし。

まさに理想の相手だ。

しかし、それに比べて自分はどうだろう…?

風邪気味だからとメイクも薄めで、服装も地味。二の腕のたるみなど見るに堪えない。

宇佐美の言うように男ウケするようなモテ服の一つでも着ていればまだ良かったのだろうが、これでは選ばれるはずもない…。

 

宇佐美の恋愛戦略その3・自分から動け

「今日は特別に、確実に結婚できる方法を教えてやろう」

「なんですか、その方法って?」

「男に囲まれておくことだ」

「えぇ~…」

大勢の人からモテるよりも本当に好きな人から愛されたい、とさやかが言うと、宇佐美はため息をついた。

「本当に好きな人ってなんだ?」

「それは…運命を感じる人?」

「そいつとはどうやって出会うんだ」

「それは…」

さやかは言葉に詰まった。

「いいか、一人や二人に出会ったところで、いい男に出会えるわけないだろ。本当に自分に合う男を見つけたいなら、出会う男の数を増やせ

「そんなこと言ったって、そもそも出会いがないから困ってるんですよ」

「だったら自分から声をかけろ」

「えー。なんでわたしがそんなことしなきゃいけないんですか」

「お前が黙っててもアプローチしてくる男っていうのは、他の女にも接点をつくれる男ってことだ。そういう男は浮気しやすいし、他の女という選択肢があるから、気持ちが移る可能性が高い。でも、そいつらのうしろにはスペックが高くても、女がいない男っていうのが大勢いる」

「どうしてですか?」

「男の立場になって考えてみろ。基本的に女は受け身で、男に誘われるのを待つだろ。つまり男の恋愛に最も求められるのは行動力。自分から誘えない男には何も起こらないってことだ。それなのに恋愛に行動を起こさない男は増える一方。だからスペックが高くても女がいない男は大勢いる」

「なるほど」

「だからお前はそういう男を引っぱりだすために、最初の一言でいいから話しかけて、相手の射程距離に入ってやれ。そうすれば女にアプローチできない男でも、誘いやすくなる」

 

宇佐美の指示通り、さやかは男子のいるイベントに参加しまくった。

ある合コンで運命的に祐一と再会したが、会話はいまひとつ盛り上がらず…。

連絡先は交換できたが、あまり進展したとは言えなかった。

 

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30歳とダイエット

そうこうしているうちに、ついに30歳。

さやかは寂しい誕生日に耐えきれず、つい和也の誘いに応じてしまった。

ホテルのバーラウンジで飲んだ後は…

「さやか、今日、うちに来ないか」

ダメだと思いながら和也の部屋に行くと、そこにいたのは和也の元浮気女にして現本命女。

「和也、あなたのことただのセフレだって言ってました」

対抗心丸出しの女から追い出されて、部屋から出る。

悔しくて悔しくて、さやかの目から涙がこぼれた。

気づけば深夜十二時。誕生日が終わっていた。

 

次の日から、さやかは悔しさをバネにして真剣にダイエットに取り組んだ。

というのも、次の『riz』はダイエット特集なのだ。

「いいか、お前がやるべきなのは、男を捕まえるためのダイエットだ」

言い方は気に入らなかったが、宇佐美が言いたかったのは要するに「健康的な生活習慣を身につけて自然に痩せろ」ということだった。

過度なダイエットは逆効果。

必要なのは適切な栄養と運動と睡眠。

ダイエットの効果はすぐにあらわれた。体重が減っただけではなく、体調も肌の調子も絶好調だ。

ノースリーブのブラウスを着た自分を鏡に映した、少しだけど体つきも変わってきた気がする。

好きな人と手をつないで歩きたい。そんな気持ちになった。

思い浮かべるのは祐一だった。

 

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宇佐美の恋愛戦略その4・デートの行き先は…

「彼を食事に誘います」

自作のデートプランを話すと、宇佐美は眉間にしわを寄せた。

「やめておけ。イルミネーションはお前が行きたいところであって、男が行きたいところじゃない。顧客のニーズがどこにあるか、もっと考えろ」

そんなことを言われても、どうすればいいのか思いつかない。

「いいか、男とデートするんだったら、男に力を使わせることを考えろ。それでお前はそれを認めてやることだ。そうすれば、男の自尊心を満たせる」

「で、編集長、どこに誘えばいいんですか」

「お前の強みを活かせ。お前の強みは…薄汚い居酒屋に行ける女ってことだ」

「へ?」

「1人だと入りずらい居酒屋があるから一緒に来てほしいって誘え。それは言い換えれば、力を貸してくれ、ということだ。男は自分の力を頼られていると考えるだろう」

「でも最初のデートでそんなとこに言ったら、恋愛対象として見てもらえなくなるんじゃないですか」

「ドレスアップしていけば大丈夫だ」

「居酒屋なのにですか?」

「そうだ。女っていうことをいつも以上に意識させられるだろう。それに自分だけ女を連れているんだから、店にいる他の男性客に、女を連れていることを誇示できる。つまり、お前の強みを活かして、男の要望にも応えている。完璧な戦略だ」

 

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トラブル

祐一との初デートの日。

行き先は宇佐美の戦略通り、安居酒屋だ。

デートのそのものは特に進展もなくやや失敗という感じだったが、一本の電話が事態を大きく変えた。

仕事でトラブルがあり、膨大な量のチラシを朝までに修正しなくてはならなくなったのだという。

「黒木さん、すみません。今度、埋め合わせさせてください」

店の外に走っていく祐一の背を、さやかは呼び止めた。

「柏木さん、わたしも行きます」

 

だだっぴろい倉庫に2人きり、黙々と作業を進めていく。

どうして応援を呼ばないのかと尋ねると、祐一は声のトーンを落として身の上話を始めた。

「僕、コネ入社なんです…」

祐一の父はテレビでも顔を見かける名物経営者・柏木惣一だった。

父親の七光りと思われるのが嫌で、祐一は必要以上に仕事を一人で背負ってしまうのだという。

そんな祐一だから、途中で何度もさやかのことを帰そうとする。

「もう遅いからあがってください。こんな時間まで手伝ってもらってありがとうございました」

しかし、さやかは祐一の気遣いを無視して言った。

「わたし、二個上だから甘えていいです」

「え?」

「仕事がうまくいかないときって、誰かに甘えたり愚痴を言ったりしながら、やればいいと思うんです。つらいときに誰かに助けられると、自分一人じゃ生きていけないことがわかるから、人にやさしくなれるじゃないですか」

祐一はきょとんとした顔をしている。

恥ずかしいことを言ってしまったと顔を赤くしながら、さやかは作業を続けた。

朝までにはすべての修正作業が終わった。

 

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宇佐美とさやか

「あのさ、さやか。わたし思うんだけど」

同僚で親友の多香子が改まって言った。

「さやか、ボス(宇佐美)と付き合った方がいいんじゃないの?」

「は?何言ってんの、急に」

顔が急に熱くなっていく。

「なんか仲良さそうだし。さやかにはボスが一番合ってる気がする」

「やめてよ。変なこと言うの」

「わたしもそう思う」

ちょうど近くを通った先輩のユウコが肩をたたいた。

「編集長もさやかをいじるときが一番いきいきしてる」

「やめてくださいよ。先輩も」

横目で宇佐美のことをちらっと見た。

デスクにおいてある鏡の位置を、自分がよく見える場所に直している。

ないない、とさやかは口の中でつぶやいた。

 

宇佐美の結婚戦略その5・結婚できる女子とは

宇佐美の恋愛戦略講座。今回のテーマは「結婚」

宇佐美に言わせれば、人間は放っておけば勝手に引き寄せられて結婚する生き物なのだという。

「じゃあ、なんで最近の男は結婚したがらないんですか」

「結婚したくない男なんているわけないだろう。一生、孤独に生きていくことになるからな。そんな覚悟ができているのは、まあ俺くらいだ」

あなたは結婚しないんじゃなくて結婚できないんですよ、という言葉は呑み込んでおいた。

「いいか。社会がどんなに男女平等になっても、男が稼いで家族を養うっていう何万年も続いた生き方が染みついているんだ。女がいい条件の男がいないって悩むのと同じように、男は養っていく自信がないと不安になる。だから男は結婚に二の足を踏む」

それはわかる気がした。時代が変わっても社会通念は変わらない。

「まあ、逆に言えば、お前がその不安を補ってやれば結婚できるってことだ」

「女が経済的に支えろって意味ですか?」

「違う。男だって、できれば自分で養いたいと思ってんだ。補うべきものはもっと精神的なものだ」

「精神的なもの?」

「無職になったら養ってやるって言ってやれ」

「えー…」

やっぱり結婚となれば、先行きの見えない生活は送りたくない。

無職になったら私が養う、なんて到底思えない。

「つまりな、誰かに幸せにしてもらうんじゃなくて、人を幸せにできる人間になれってことだ。外見の美しさなんていつかは価値が下がるだろう。でもな、人を幸せにする力っていうのは、年をとっても価値が下がることはないからな」

さやかは思わず宇佐美の顔を見た。そんなことを宇佐美が言うとは思ってなかった。

「二十歳の顔は天からの授かりもの、三十歳の顔は自分の生き様、五十歳の頃には価値がにじみ出る。これはココ・シャネルの言葉だ」

 

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宇佐美の恋愛戦略その6・時は金なり&貪欲になれ

週末は祐一と過ごすようになった。

何度もデートを重ね、毎回すごく楽しい。

でも、いつまでたっても祐一は何も求めてこない。

これはいったいどうしたことだろうか…?

約束の期限まであと1か月。

さやかには時間がなかった。

 

宇佐美に相談すると、すぐに返事が返ってきた。

「じゃあ、今すぐ関係を確認することだな」

「それって、付き合ってるかどうか聞くってことですか?」

「そうだ」

「それは、ちょっと…」

重い女だと思われたくないし、告白の言葉はやはり男から聞きたい。

「だめだ。自分と付き合う気があるのか、付き合った後は結婚する気があるのか、相手の意志は必ず確認しろ」

「どうしてですか。そんなこと聞かなくったって一緒にいるうちに自然と恋人になったり、結婚したりする場合だってあります」

「甘いな」

宇佐美が鼻で笑う。

「お前の目的は結婚だろ。その目的を達成するために、今、一番失ってはいけないものはなんだ?」

「そりゃあ、彼じゃないですか」

違う、時間だ。このまま、あやふやな関係が続いて、5年後に付き合ってるつもりはなかったって言われたらどうするんだ。つらいぞ、女の35で独り身は」

「それは…」

「男なんてな、世の中にいくらでもいる。でも、お前の時間は失ったら戻ってこない。だからお前は付き合ってるのか確認して、ダメだったら別れて次を探せ」

「話が極端すぎますよ。何かないんですか、なんていうか…男の人が俺にはこいつしかいないって思う瞬間みたいなの」

「まあ、病気か転勤だろうな。男が結婚を決める理由の一位と二位だ」

宇佐美は病気を待つのではなく病気にさせてしまえばいいという。古いものでも喰わせればいい、と。

「そんなこと、できるわけないじゃないですか」

「手段を選ぶな。お前はアルノーを知っているか。世界最大のブランドグループLVMH(モエヘネシー・ルイヴィトン)の会長だ。アルノーがルイ・ヴィトンを買い取った時なんかな、七十代の経営者に、四十歳のアルノーが相談に乗るふりして乗っ取ったんだぞ」

「最低じゃないですか、その人」

「ああ。裁判にもなって、フランス史上最も醜い買収劇と叩かれた。だがな、俺が言いたいのは、それでもアルノーはヴィトンが欲しかったってことだ。欲しいものを手に入れるためならどんな軋轢や批判も恐れない。その貪欲さがLVMHという最大のグループをつくったんだ」

宇佐美はネクタイを締め直しながら言った。

結局な、結婚できるやつっていうのは、目的意識が強いだけなんだ。どうしても手に入れたいって思いがあるから、まわりの評価とかプライドとかをかなぐり捨てて行動できるんだよ」

さやかは学生時代の友人のことを思い出した。

その子は医者か官僚と結婚するといって、そういう人たちとの飲み会を繰り返し、本当に開業医と結婚した。

「お前も目的に貪欲になれ。ココ・シャネルだってな、翼を持たずに生まれたなら、翼を生やすためにどんなことでもやれって言ってんだ」

 

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結婚の幸福と不安

「わたしたち、付き合ってるのかな」

いつも通りの週末デート。さやかは思い切ってその一言を祐一にぶつけた。

「そのことなんだけど…」

祐一の声のトーンが下がる。

あ、わたし今からフラれるんだ…、とさやかは思った。

ところが…

「さやか、俺について来てほしい」

「へ?」

「一緒にインドに来てほしいんだ」

祐一にインドのバンガロール支店への転勤の話があることは知っていた。

男が結婚を決める理由の二位は「転勤」

宇佐美の言葉がよみがえる。

と、いうことは…?

「さやかさん、好きです。僕と結婚してください」

祐一はジャケットのポケットから指輪を取り出すと、さやかの手の薬指に通した。

 

わたしは今、世界で一番幸せだ!

そんなさやかの有頂天は、残念ながら長くは続かなかった。

「なかなか言えなかったんだ。会社を辞めてチェンナイに行ってくれなんて」

…ん?チェンナイ?バンガロールじゃなくて?

「やっとチェンナイで開業許可が下りたんだ。小さいけど都心にオフィスも借りられたし、ビジネスパートナーも…」

まとめると、どうやら祐一は会社を辞めてインドで起業するつもりらしい。

2,3年の転勤だと思っていたさやかの頭は、一瞬でパニック状態に陥った。

成功するの?

安全なの?

帰ってこれるの?

どんどん体から力が抜けていくのがわかる。

「ねえ…わたしのどこがよかったの?」

「短い時間だけどさやかと一緒にいてわかったんだ。さやかって一緒にいて楽しいし、いつも笑っていられる。それに倉庫で袋詰め手伝ってくれた時に思ったんだ。この人とならどこでもやっていける、俺の結婚相手はこの人しかいないんじゃないかって」

「あ、うん…」

どうやら祐一は、さやかのことをタフで姉御肌な女子だと思っているようだった。

けど、ホントは全然そんなことはない。

本当に、この人と夫婦になってもいいの…?

さやかの胸中には不安が渦巻いていた。

 

祐一の決意は固かった。

すでにもろもろの手続きは終えており、三か月後には日本を出てインドで起業するという。

もしついていくなら、向こうに永住することになるかもしれない…。

 

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本当の宇佐美

「ほら、お前が会社辞めた次の日に戻りたいって言ってきただろう。あのとき、この子は才能があるから、rizで引き取りたいって宇佐美君が言ってきたんだよ。お前がやってたグルメ記事を読んでたらしくてな」

前の雑誌の編集長から聞かされたのは、さやかの知らない裏話だった。

てっきり宇佐美は婚約破棄された女を面白がって、婚活の企画をやらせているものだと思っていたのに…。

「いいか黒木。本当にいい上司っていうのは、社員をよく見ているもんだ。そういう上司は大切にした方がいいぞ」

思えば祐一との結婚が決まったのは、宇佐美のおかげだ。

宇佐美の指示で書き始めた婚活コラム連載は好評で、夢だった書籍化も決まった。

いつもは憎まれ口しか言い合わないが、本当に全部、宇佐美のおかげで…。

 

さやかの選択

婚活コラムの最終回。テーマは「選択」

祐一のことは好きだけど、インドでの結婚生活には不安だらけ。

さやかはまだ、どうするべきか選択できないでいた。

 

さやかが結婚について悩んでいる一方で、riz編集部は空前絶後のスケジュールに追われていた。

宇佐美が海外出張しているので多香子が編集長代理として仕切っているのだが、どうしても実力不足は否めない。

締め切りまであとわずか。

ピリピリした空気の中、ついにさやかと多香子は口げんかを始めてしまう。

「前から思ってたんだけど、さやかはもっと自分に向き合った方がいいと思う」

「どういう意味?」

「結婚ってするまでじゃなくて、したあとが大変なんでしょう。楽するために結婚したら、ゆくゆく困るのはさやかじゃない」

「そんなこと思ってない。決めつけないでよ」

「さやかは思ってる」

「そうだとしても、パートナーを支える生き方だってあると思う」

「さやかの場合は支えるんじゃなくて、頼ろうとしてる。彼のこと好きなんでしょ。だったら、インドでもどこでも行って彼を支えてあげればいいじゃない。そうしないのは、条件で男を選んで、計算が外れたからでしょう。彼は決心してプロポーズしたのに、さやかは仕事だって結婚だって自分のことしか考えてない」

結局、多香子とは険悪な雰囲気のまま別れた。

 

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多香子と言い合って分かったことがある。

インドは無理だ。

出版の仕事も続けたいし、友達と過ごす時間も大切にしたい。

離婚して1人で暮らしている母親とも離れたくない。

子どもはちゃんとした場所で産みたいし、先行きの見えない不安な生活はしたくない。

(…わたしは、祐一を支えることができるような女じゃない)

さやかは足早に祐一の部屋へと向かった。

扉が開くなり口を開く。

「ごめんなさい、わたしいろいろ考えたんだけどやっぱり…」

そこで口が止まった。

祐一の顔を見たら、さっきまでの思いがどこかに消えていた。

どこに住むとか、どんな仕事をするとか、そんなことはどうでもいい。

目の前の人とただ一緒にいたい。

(わたし好きなんだ、この人のこと)

さやかの全身から力が抜けた。

弱々しい声が口から漏れる。

「…わたし、祐一が思ってるような女じゃない。祐一がかっこよくて、ちゃんとした会社で働いてるから好きになったし、インドだって観光地にしか行ってない。物乞いする小さな子を見て、かわいそうだなって思ったけど、すぐにエステに行った。そんな女だよ」

「そんなことはどうでもいいよ。俺は自分の目でさやかを見てきた。それで一緒にやっていきたいって思ったんだ。今までどんなことをしてきたかなんて関係ない」

穏やかな口調だった。人生の覚悟のようなものを感じて、さやかは動けなくなった。

「あ、そうだ。これ」

祐一から渡されたのは、チェンナイ行きの航空券。さやかの母親の分もある。

「これから家族になるわけだし、俺のわがままで見知らぬ土地に連れていくわけだろ。だからさやかのお母さんを案内する。みんな誤解があるけど、チェンナイって安全だしいいところだから」

祐一は笑う。

「さかやだけは頻繁に日本に帰れるようにする。今すぐには無理だけど、さやかのお母さんが望めば、将来は向こうで一緒に住めるようにしたい。そのためには、とにかく頑張らないとな」

気づいたら、祐一を抱きしめていた。

玄関で服を脱がし合って、ベッドに倒れこんで求め合った。

 

「さやかに寂しい思いはさせないから…」

眠りに落ちる前、祐一は微笑みながらさやかに言った。

 

迷いは消えた。

祐一は結婚に対して責任を果たそうとしている。

愛されていて、必要とされているのだと実感できる。

この人に飛び込んでいいと思った。

 

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不適格

柏木惣一、つまり祐一の父親が主催するパーティーの日。

会場の隅の方に、さやかと祐一はいた。

夫の両親との顔合わせ…だけではない。

実は、祐一はまだ父親から海外で起業することへの許可をもらえていない。

だから今日は、許可をもらえるよう父親を説得しなければならないのだ。

しかし、柏木惣一といえば頑固で厳しいと評判の人物である。

案の定、祐一の言葉は少しも聞き入れてもらえなかった。

「話は家に帰ってからだ。祐一、車を回してこい」

許可をもらえないまま、祐一は会場から出ていく。

残されたさやかに、柏木惣一は吐き捨てるように言った。

「あいつに事業は無理だ。何もできずに帰ってくるのがオチだ」

「でも、そんなことやってみないと…」

「知ったような口をきくな!だいたい君は、自分の旗を揚げようとしているやつを支えることがどんなことかわかってんのか。どうせ、あいつがなんとかしてくれるとでも思ってるんだろ」

興奮した柏木を、お義母さんが「もういいでしょ」となだめた。

柏木は咳払いをする。

「悪いことは言わない。覚悟ができていないのなら、今のうちにやめてほしい。あいつのためにもならないし、君のためにもならない」

涙が込み上げてきた。

お義父さんの言うとおり、覚悟なんてできていない。

インドに行くのは不安だし、心のどこかでは事業に失敗して日本に帰ってくることを望んでいた。

どうして日本で働いてくれないんだ。

どうして会社を辞めてしまうのか。

プロポーズされてからずっと、結婚した後の生活を計算していた。

最初から祐一を頼ろうとしていたのだ。

自分を幸せにしてくれるかどうか、そういう観点でしか見ていなかった。

そんなわたしが祐一と結婚したら足手まといになる。

祐一のことが好きだったら、プロポーズは受けるべきじゃなかった。

さやかはどうしようもない自己嫌悪に襲われた。

 

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宇佐美博人からの最後の教え

トイレに行くふりをして、その場を離れた。

廊下を走り角を曲がると…宇佐美がそこにいた。

なぜか蝶ネクタイとシルクハットを身につけている。

「…なにしてるんですか?」

呆気にとられて、泣き顔のまま聞いた。

「広告を入れてもらうために、お前の結婚をマジックで盛り上げて、ダメ押しするつもりだった」

今日一日、宇佐美は金魚の糞のように柏木について回り、ご機嫌取りに余念がなかった。

その締めくくりを企んでいたということか。

「だが、今考えが変わった。言いたいことを言いに行く」

なんと宇佐美は柏木惣一に文句を言いに行くというのだ。

「なに言ってるんですか…。そんなことしたらスポンサー探しどころか、あとで問題になりますよ」

「俺をなめるな。それくらいなんとかなる」

「もう、わたしのためにそんなことをするのはやめてください」

「黒木、それは違うぞ。俺は自分のやるべきことをやるだけだ」

「どうして、これが編集長のやるべきことなんですか。本当はrizのために広告とることがやるべきことじゃないんですか。取締役出世の話だってあるのに、わたしの結婚に首を突っ込むことが、どうして編集長のやるべきことなんですか」

「それはな…」

宇佐美はシルクハットを脱ぎ捨てた。

「お前が俺の部下だからだ」

 

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宇佐美はずんずんと柏木惣一に向かって歩いていく。

柏木の後ろに立つと、肩を掴んで無理やり振り向かせた。

「コムデギャルソンのデザイナーは誰だか知ってますか!」

「そ、そうしたんだ宇佐美君」

「コムデギャルソンのデザイナーは川久保玲だ。川久保玲はな、もともと日本企業のOLだった。ファッショんがやりたいって三年で会社を辞めて、スタイリストになった。今度は着せたい服がないから、自分でつくるって言ってデザイナーになった。そのあと日本人のデザイナーなんて鼻で笑われる時代にフランスに渡ってな、コレクションで世界の度肝を抜いた。まわりから無理だと笑われても、一歩踏み出して世界を変えた日本人だっているんだ」

「何を言ってるんだ。無礼だぞ」

柏木の言葉を無視して、宇佐美は問い詰めるように語り続けた。

次世代の人材を育てることこそが年長者の役割のはずだ、と

「おい、誰か」

柏木の一言で、とうとう宇佐美は警備員に取り押さえられてしまう。

だが、それでも宇佐美の口は止まらない。

宇佐美は戻ってきていた祐一を指さして言った。

「いいか、まわりがなんと言おうと、絶対負けるんじゃねえ。相手がインド人だろうと宇宙人だろうと、関係ないからな。失敗したって、勝つまでやればいい。格差とかルールとか小さいこと言ってんじゃねえぞ」

警備員たちにもみくちゃにされて、宇佐美のティファニーのネックレスが床に落ちる。

それでもなお、宇佐美は抗い続け、引きずり出されまいとしている。

さやかにはそんな宇佐美の姿が、弱い自分の代わりに戦ってくれているように見えた。

恋人でもない、父親でもない、出会って半年しか経っていない、ただの上司が…。

胸が熱くなり、たまっていた涙が頬を伝った。

「おい、黒木、よく聞け」

宇佐美が顔だけ向けて叫ぶ。はい、の声が出ないので、何度もうなずいた。

「お前もな、今この瞬間からどんな選択をしてもいいんだ。どんな家で育ったとか、どんな人生を送ってきたとか、そんなことは関係ない。最後は自分がこれからどうあるべきか、自分によく聞いて自分で決めろ。そうすればどんな困難にぶつかっても乗り越えられる」

警備員の肘が宇佐美の顔に入った。だが、宇佐美は倒れない。

「大切なのはどんな選択をするかじゃない。自分が選択した人生を強く生きるかどうか。ただそれだけだ」

警備員たちに宇佐美の大きな体が組み敷かれ、引きずられるようにして連れ出される。

白いシャツが床に落ちた残飯で汚れていた。

「編集長」

そう呼びかけると、宇佐美が小さく笑ったように見えた。

 

さやかは柏木惣一に向き直ると、頭を下げて言った。

「やっぱり、祐一さんの独立認めてもらえませんか。祐一さん、いつもお父さんの話をするんです。きっと、お父さんみたいになりたいんだと思います。お父さんが応援してくれたら、最後まで頑張れると思います。だからお願いします」

「もういい、勝手にしろ」

そう言い残すと、柏木は憮然とした表情で帰っていった。

 

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覚悟

その日の帰り道、祐一はぽつりとさやかに言った。

「俺、さやかに甘えてた。心のどこかでさやかが助けてくれるんじゃないかとか、失敗したときに慰めてくれるんじゃないかとか、事業に失敗した時のことを考えてた。まだ何も成し遂げたわけじゃないのに、さやかに仕事とか家族とか捨てさせて向こうに連れて行こうとしてた俺が間違ってたのかもしれない。一人で行って、安心して生活できるようになってから呼ぶべきだった…」

さやかのマンションについた。

祐一は肩を落として「明日また話そう」と去っていった。

 

インドでやっていく覚悟があるかと聞かれれば、うんとは言えないし、自信もない。

でも辛いことはひとつひとつ乗り越えていけばいい。

それに祐一は自分を必要としている。

だったら支えてやろうじゃないか。

祐一が弱音を吐いたら尻を叩いて働かせるのだ。

それが一番わたしらしい。

 

行ってやるか、インド。

インドカレー好きだし。

 

さやかは祐一を追いかけて走った。

祐一を追い越すと、正面から目をまっすぐ見つめる。

「わたし、一緒にインド行くから」

「でも、無理して行ってもお互いのためによくない」

「無理なんかしてない」

「本当?」

「うん」

「もしかしたら、失敗して無職になるかもしれないよ」

「もし無職になったら、わたしが養ってあげる」

心の底から嘘偽りない気持ちで、さやかはそう言った。

 

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結末

その後の顛末。

例の事件で宇佐美の昇進は取り消しになったが、それ以上の大きな問題にはならなかった。

祐一は父親を説得し、正式にインド起業の許可をもらった。

多香子とは仲直りした。

婚活コラムの書籍化の仕事も終わった。

 

そして今、さやかはウエディングドレスを着ている。

今日は祐一とさやかの結婚式だ。

母子家庭のさやかと一緒にバージンロードを歩くのは、父親代わりの宇佐美。

「おい黒木、どうして俺がお前とバージンロードを歩かなきゃいけないんだ」

そう言ってるわりに、派手な燕尾服を着こみ、鏡に向かって決め顔の練習をしている。

本当はやりたくてしょうがないのだ。

控室を出る直前、宇佐美は持参した紙袋の中からあるものを取り出すと、さやかに手渡した。

それは、いつかさやかが欲しいと言っていた、世界に1つしかないルブタンのシンデレラの靴。

「え、いいんですか…」

「俺とレッドカーペットを歩くからには、それくらい履いてもらわないとな」

「ありがとうございます、編集長」

目頭が熱くなり、声が擦れた。宇佐美と過ごした日々は、全部いい思い出だ。

笑っているのに涙で視界がにじむ。

「黒木、つらくなったら戻ってきていいからな」

背を向けてそういう宇佐美も泣いていた。

「何泣いてんですか」

多香子がハンカチを持っていくと「泣いてねえよ」とそれを奪い取った。

「本当はさやかのこと好きなんじゃないですか」

「好きじゃねえ、なんで俺がこいつのことなんか…」

「素直じゃないんだから、ボスは」

 

大きな扉の前に、宇佐美と並んで立つ。

赤いバージンロードの先には白いタキシードを着た祐一がいる。

わたしの旦那さんは世界一かっこいい。やっぱり結婚してよかった。年下だけど当分の間は甘えさせてもらおう。

人生で一番幸せな時間だ。こんな幸せを味わったからには、これからの人生どんなに辛いことがあっても頑張るしかない。

宇佐美が肘を出した。

そこに手をのせ、一歩目を踏み出す。

「黒木、一つ言い忘れた」

バージンロードを歩きながら、宇佐美がささやいた。

「なんですか?」

「…お前、また太ったな」

神父さんに見えないように、宇佐美の背中を殴った。

<サバイバルウエディング・完>

 

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まとめと感想

今回はドラマ化する大橋弘祐「サバイバルウエディング」のあらすじ・ネタバレをお届けしました!

かなり終盤まで「祐一と見せかけて実は宇佐美と結婚するのでは?」と思っていたのですが、ラストはそのまま祐一とハッピーエンドでしたね!

でも、試合に負けて勝負に勝った(?)というか、作中で最もカッコよかったのは間違いなく宇佐美でしょう!

クライマックスで、宇佐美が祐一の父親に食って掛かるシーンは涙なしには読めませんでした。

あのシーンがドラマで放送された日には宇佐美が「上司にしたい男No.1」になること間違いなし!

視聴者が手のひらを返したように宇佐美を褒めたたえる姿が目に浮かびます!笑

 

さて、そんなわけで物語としての「サバイバルウエディング」にも大満足だったわけですが、恋愛婚活ノウハウ本としての側面についても言及しないわけにはいきません。

作中には宇佐美がさやかにアドバイスをする、という形でさまざまな「How to」が登場するわけですが、これがまた独身アラサーの心に響く響く!

正直、巷の恋愛教則本を読むより、よっぽどタメになることが書いてあると思いました。

小手先のテクニックではなく、恋愛や結婚の本質を突いている感じが心にグサッと刺さります。

安直ですが「これを愚直に実践したら恋愛がうまくいくのでは…?」と思えてくるレベルです。

かなり無理やりですが、宇佐美の言葉を総括すると「自分を磨け!自分から行動しろ!男の立場に立って考えろ!」という感じでしょうか(違う気がする)

今回カットした部分にもタメになるアドバイスがたくさんあるので、「宇佐美のアドバイスを受けたい!」という方はぜひ原作小説の方もお手に取ってみてください。

文庫版が出ていますし、かなり読みやすいですよ。

独身アラサー、一家に一冊、「サバイバルウエディング」

巻末の予告によると続編の「サバイバルウエディング2」も発売される予定とのことです。

登場するのは宇佐美と、35歳のヒロイン。うーん、続編も気になる…!

 

最後にドラマ「サバイバルウエディング」について!

まずはキャストを眺めてみましょう。

黒木さやか…波瑠
宇佐美博人…伊勢谷友介
柏木祐一…吉沢亮
三浦多香子…高橋メアリージュン
奥園千絵梨…ブルゾンちえみ
石橋和也…風間俊介

ブルゾンちえみさん演じる「奥園千絵梨」はドラマオリジナルのキャラクターですね。

その他のキャストについては若干「美男美女すぎないか?」という感はありますが、概ねイメージ通りかと。

※もし波瑠さんがさやかだったら婚活とか全く必要ないだろ、という野暮な突っ込みはしないことにします。

個人的にはやっぱり宇佐美が大好きなので、最初から全力で注目していきたいと思います。

ラブコメとしても、恋愛婚活ノウハウとしても楽しめるドラマ「サバイバルウエディング」は7月14日から放送スタート!

話題作になりそうな予感です!

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 - ドラマ, 小説

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