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「盗まれた顔」のあらすじとネタバレ!本当の結末に鳥肌!千春の正体は?

      2018/10/17

こんにちは、若竹です。

羽田圭介「盗まれた顔」がWOWOWドラマ化!

玉木宏さんが主演を務めることで話題になっていますね。

私は原作小説を読んだのですが、これ、めちゃくちゃ面白いです!

『見当たり捜査』という新たなテーマの警察小説であることはもちろん、なんといっても衝撃的だったのはその結末!

事件の裏に隠れていた『本当の結末』が明らかになったとき、私は心の底から「うわ、やられた!」と驚かされました。

・消えたはずの元刑事を巡る陰謀の全貌とは?

・最後に待ち受けている『本当の結末』とは?

今回は「盗まれた顔」のあらすじとネタバレをお届けします!

 

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「盗まれた顔」のあらすじとネタバレ!

『見当たり捜査』

それは雑踏の中から己の記憶だけを頼りに手配犯を見つけ出す捜査方法。

見当たり捜査員は常に300人ほどの手配犯の『顔』を記憶しており、目の前を通り過ぎていく100万人もの人々の中からその『顔』を見つけ出す。

たった1人の犯人を追いかける通常の捜査とは違い、いつどこに誰がいるのか、見当たり捜査員は片時も気を抜くことができない。

人間の目と脳に頼ったこのアナログな捜査方法は、時に最新のデジタル捜査より優れた成果を上げる。

 

白戸崇正(39)は警視庁刑事部捜査共助課に所属する見当たり捜査員だ。

見当たり捜査歴5年のベテランで、常に500人の『顔』を記憶している。

正面からの顔写真と、横顔の写真。

たったそれだけの手がかりで変装・整形している逃亡犯を見つけるのは至難の業だが、実際に白戸は年に10人~12人ほどの手配犯を逮捕している。

『目の奥が緩むような感覚』

馴染みのある独特の感覚は、視界に知っている顔が存在しているという脳からのサインだ。

相手が手配犯なのか、ただの知人なのか、部下の谷や安藤なのか、それとも恋人の千春なのかで分け隔てはない。

それでも「記憶に該当する顔がある」という脳からの合図だけが、見当たり捜査員としての白戸の武器だった。

 

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亡霊の影

見当たり捜査員が携帯している『顔手帳』に収められている顔写真のうち、1割ほどは外国人が占める。

ある中国人手配犯を捕まえたとき、男は白戸に言った。

「あなた、スナミ・トオルの知り合いか?」

須波通。

かつて白戸と同期だった見当たり捜査員だが、4年も前に亡くなっている。

その名前がどうして今、出てくる?

いぶかしむ白戸を見て、手配犯はニヤニヤした表情を浮かべた。

 

また別の日。

今度の獲物も中国人。

王龍李は強盗殺人犯として広域手配されている凶悪犯だ。

手配元が大阪なので、逮捕後は白戸が大阪まで移送することに。

新大阪駅に到着し、あとは改札の外の出迎えに引き渡すだけ……というその時、王が血を吐いて倒れた。

処置を施す間もなく、そのまま息を引き取る。

あとからわかったことだが、王は背中から毒物を注射されていた。

……中国人組織による何かしらの口封じか?

騒然とする新大阪駅のホームをぐるりと見渡した白戸は、脳からのサインに導かれ、1人の男に目をとめた。

須波通。

すでにこの世にいないはずの元刑事の顔。

一瞬で視界から消えた須波は、果たして白戸が幻視した亡霊だったのだろうか?

 

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須波通

須波通には在日中国人二世の恋人がいた。

名前は林小麗(リン・シャオリー)

彼女が中国マフィアに殺されたことで、須波の復讐は始まる。

須波は刑事としての本分を逸脱し、ただ復讐のためだけに中国マフィアの構成員を次々に仕留めていった。

そして、最後は中国マフィアからの報復により命を落とした。

須波の遺体は原形をとどめないほどに焼け焦げていたという。

 

…そう、須波通は4年前に確かに亡くなっている。

白戸は新大阪駅で見た顔のことを「誰か別人に須波の顔を重ねてしまったのだろう」と結論づけた。

 

襲撃

見当たり捜査で手配犯を見つけられるかどうかは、言ってしまえば運による。

二日連続で犯人を見つけられることもあれば、何か月も見つけられないときもある。

そして現在、白戸は約3か月も犯人を見つけられていない。

意識しないようにしても、焦りと不安に心をむしばまれていく。

犯人を見つけられない見当たり捜査員など、ただの散歩者だ。

誰にも咎められないからこそ、白戸は自身の存在意義を見失いかけていた。

見当たり捜査員になって、5年。

犯人を逮捕するときの手際こそ成長したが、肝心の「顔を見つける能力」はむしろ退化しているのかもしれない。

そろそろ潮時なのかもしれない、と白戸は思った。

 

空振りの日々の中、何の前触れもなく襲撃は起こった。

車の中から突如現れた大柄な男たちは、白戸を拘束し、車の中に押し込めようとしてくる。

「※※※※※※!」

中国語の怒声。襲撃者は中国マフィアか…!?

なんとか拘束を振りほどき距離をとると、男たちはすぐに車に乗り込み去っていった。

いったい誰が、何のために自分を襲わせたのか?

「見る側」である自分が「見られる側」になっていたという事実に、白戸は身震いした。

 

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情報と仮説

尾行をまいてたどり着いたのは、小池から指定された店。

この日、白戸は同期であり組織犯罪対策課の小池から秘密裏に呼び出されていた。

頼んでいた情報について、何か掴めたのか。

わざわざ電波の届かない半地下の店を選んでいるあたり、よほど重要な情報なのかもしれない。

薄暗い店内に小池の姿を見つけると、白戸はさっそく情報提供を求めた。

 

1.王が何者かによって始末された件

小池によれば、地下銀行の頭首でもあった王に工作活動を行おうとしていた公安部員がいたらしい。

名前は川本。

生前の須波と最後に接触し、中国マフィアに1人で闘いを挑もうとしていた彼に協力を持ちかけようとしていた人物。

王を消したのも、この男なのか?

 

2.須波通の亡霊

結論からいえば、須波通が死んだという記録には不審な点がある。

・司法解剖を担当した法医学者が、後に偽の診断書を請け負っていた人物だと発覚していること

・そもそも中国マフィア2人と一緒に車の中で焼かれていたという状況が不自然であること

総合的に判断すれば、須波が生きているという可能性は捨てきれない。

 

3.須波が生きていた場合の仮定

須波が亡くなったとされる頃から、川本は協力者として1人の有能な男を使い始めたという。

もし、須波の死を偽装したのが川本だったとしたら…

「須波は…公安捜査員の配下で暗躍し続けてきたということか?」

白戸の言葉に、小池は無言でうなずく。

おそらく須波は、復讐のために川本と何らかの取引をし、見返りのために川本の協力者になったのだ。

 

4.須波(仮)の現在

川本の配下にいる須波らしき男は、先日、独断で中国人の密航船を爆破した。

そうして現在、須波の顔写真はあらゆるチャイナタウンで出回っている。

同胞をやられた中国マフィアは、報復のため、須波らしき男を血眼で探し回っているという。

「つまり、なんらかの理由で須波が川本から離れ、川本は須波の情報をマフィアに流した、というところか」

公安も中国マフィアも、須波を追っている。

そして、白戸は須波の顔を知っている見当たり捜査員で、しかも事件に首を突っ込んでいる。

白戸もまた公安や中国マフィアから目をつけられていると考えるのが妥当だろう。

そう考えてみると、先日の襲撃やここ最近の尾行にも納得がいった。

 

5.川本の動向

川本はつくばにある「日本ネクソス社」という医療・介護用の機器メーカーと接触しているという。

「日本ネクソス社」の親会社は米国の「ネクソス社」で、軍需産業を主とした企業。

特に情報の監視や整理が得意分野だという。

そんな企業に、川本はいったい何の用があるというのか…?

手がかりは1つ。

ネクソス社員の社員で、数か月前に弁護士と歯科医の命を奪ったとして逮捕されている人間がいる。

「塚本孝治。おまえが見当たりで捕まえた男だよ」

小池の言葉で白戸は思い出した。

逮捕のとき、塚本は確かに「濡れ衣だ!国策逮捕だ!」と叫んでいた。

当時は聞き流したが、あるいは……

 

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存在

非通知番号からの着信に出ると、聞き覚えのある低い男の声が聞こえてきた。

「俺を見つけられたか?大阪では驚いたよ。あの白戸が隙だらけで」

この世にいないはずの、須波通の声。

「梅川亭で待ってる」

一方的にそう告げられ、通話は切れた。

突然の呼び出し。危険であることは承知しつつ、白戸は指定の場所へと向かった。

 

老舗鰻屋の梅川亭には、須波の姿はなかった。

その代わり、店の外には堅気ではないとわかる人間が数人いる。

……電話が傍受されていて、連中(公安と中国マフィア)も須波を探しにきたのか。

そこまで考えて、ふと気づく。

須波の狙いは、川本一派と中国人たち「敵」の動きを見ることだったのではないか?

「敵」の実力を見極めるための囮として、白戸は使われたのだ。

 

…結局、梅川亭に須波は現れなかった。

しかし、これではっきりした。

須波通は、生きている。

 

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川本とネクソス社の陰謀

東京拘置所で塚本孝治と接見。

塚本は相変わらず無実を主張し、すべては警察とネクソス社によるでっち上げだという。

では、なぜ警察とネクソス社はそんなことをしたのか?

塚本は順を追って経緯を説明した。

 

1.日本ネクソス社はDNA採取事業を隠れ蓑にして、米国の情報機関に日本人のDNA情報を売却していた。

2.弁護士の田島が始末されたのは、市民派で知られる彼がネクソス社の『裏』に気がついたから。

3.歯科医師の赤荻が始末されたのは、彼が田島の友人で、田島からネクソスの『裏』を聞いていたから。

4.塚本が2人を手にかけた犯人に仕立て上げられたのは、彼が赤荻からネクソス社の『裏』を聞かされていたから。

 

つまり、すべてはネクソス社による『口封じ』

警察組織が口封じに加担したのは、ネクソス社による技術提供を受けていたから。

犯行当日、塚本にはアリバイがあったが、立ち寄ったコンビニの防犯カメラ映像は何故か消されており、田島宅からはありえないことに塚本の指紋が採取されたという。

すべては警察とネクソス社によるでっち上げだったのだ。

 

事件後、身の潔白を証明することは不可能だと判断した塚本は全国を逃亡。

潜伏先で「消されたはずのコンビニの防犯カメラの映像が手に入った」という同僚からのメールを受けて東京に向かったところ、待ち合わせ場所に着く前に白戸に逮捕されたということだった。

……塚本にメールを送ったのは、本当に同僚だったのだろうか?

 

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宮坂千春

白戸にはつき合って5年、同棲して4年の恋人がいる。

名前は宮坂千春。

33歳になる彼女は介護ヘルパーとして働いており、今のところ結婚の話は出ていない。

そんな彼女の様子が、近頃おかしい。

白戸に隠れてメールや電話をしているようだし、隠れて誰かに会っているような気配もある。

……浮気、なのか。

携帯電話を盗み見ると「海老原貫一」という男とやり取りをしているらしい。

決定的な証拠ではない。

しかし、だからこそ疑いは晴れない。

 

白戸はふと思う。

……考えてみれば、自分は千春のことを何も知らない。

出会い系サイトでプロフィール写真の顔を見て、好みだったから連絡した。

会ってみたら思いのほかに気が合って、付き合うことになった。

それから5年が経過し、もう4年間も一緒に暮らしている。

しかし、千春の過去のことは一切知らない。

自分も尋ねないし、千春も話さない。

……果たして宮坂千春とはどんな人間で、今、何を考えているのだろうか?

 

こんなことばかり考えているからか、最近はよく変な夢を見る。

塔を背景に立っている女。

明るい髪色と派手な化粧の女は、素朴な千春とはタイプが違うが、なぜか別人とも思われない。

女の視線はどこかよそに向けられていて、白戸のことは視界に入っていない。

これは「千春の気が別の男に移ったのではないか」という不安が見せる夢なのだろうか?

 

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接触

休暇を合わせて、千春と一泊二日の熱海旅行へ。

温泉から上がり部屋に戻ると、なぜか室内に千春の姿はなかった。

どうやら先に戻ってきて、またどこかへ行ったようだ。

千春が淹れてくれていたお茶を飲んで待っていると、なんだか眠くなってくる。

……いや、それだけではない。

気がつけば白戸は、体を自由に動かすことができなくなっていた。

 

…と、その時、部屋に人の気配がした。

「白戸、俺を探しているのか?」

聞き覚えのある低い声の主は、須波通。

指一本動かせない白戸の視界の外で、須波は語り始めた。

 

1.小池の仮説は的を射ていた。須波は川本の下で働いていて、つい最近離反した。

2.白戸が新大阪駅で見かけたのはやはり須波で、王の始末が川本の下での最後の仕事だった。

 

「話はわかった。だが、なぜ会いに来た?」

「白戸、俺の顔を見つけろ」

須波の目的は川本を社会的に抹殺すること。

そのためには、川本の目が直接須波に向いていては都合が悪い。

川本の目が「須波を見つけることのできる見当たり捜査員」に向いている状態が、須波にとって最も動きやすいのだという。

……つまり、囮か。

「俺を巻き込むな」

「そうはいかない。おまえは王龍李を見つけてしまった。顔だけで犯人を見つけられる男が、俺のかつての同僚。巻き込まれないわけにはいかないだろう」

須波の指摘通り、今や白戸は公安の川本一派や、彼らと協力関係にある中国マフィアから目をつけられている。

すでに十分に、事件に関わってしまっているのだ。

 

川本たち公安は、独自の情報システムにより監視網を敷いているが、先日までその配下だった須波はその弱点を知っている。

顔認証システムに引っかからない整形を施しているため、川本に捕まることはないという。

機械をも欺く別人になった須波を見つけられるのは、元の須波の顔を知っている見当たり捜査員である白戸だけ。

「自分で自分を欺かないようにしろ。そうすれば、俺の顔だけでなく、おまえはすべてを見つけられるはずだ」

意味深な言葉を残して、須波は消えた。

 

…あとから話を聞くと、千春は部屋の外でうっかり眠ってしまっていたらしい。

須波も千春は無関係だと言っていた。

 

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困惑

須波の期待とは裏腹に、白戸は120日連続で無逮捕の日々が続いていた。

原因の1つは、白戸の記憶力の性質だ。

白戸は携帯している『顔手帳』の500人に加え、これまで記憶した約3000人の手配犯の顔を覚えている。

そして、それを忘れることができない。

すると、どうなるか。

ある時は、手配犯だと思って追いかけた男が、かつて自分自身が捕まえた元犯罪者だったことがあった。

男は仮釈放中の身で、捕まえる必要はなかったのに、白戸の脳は相変わらず「手配犯かもしれない男がいる」と反応してしまったのだ。

そして最近では、事態はもっと深刻になっている。

脳から「知っている顔がある」というサインを受けて追尾した男は、なんと大学生時代のバイト仲間だった。

しかも、男と白戸は会話したことがなく、バイトの期間も1週間しか被っていなかった。

考えてもみてほしい。

20年前にすれ違っただけの人間の顔を覚えている人間がどこにいる?

見当たり捜査を始めた頃と比べて、記憶力に関する白戸の能力が変質しているのは明らかだ。

そして「知っている顔が視界内にいる」という感覚に頼って見当たり捜査をしている白戸にとって、それは絶望的な変質だった。

 

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対峙

その瞬間は、本当に突然やってきた。

脳からの指令はいつになく具体的で、しかも確信に満ちている。

『あの男は、須波通だ』

「俺の顔を探せ」という須波の言葉を思い出すまでもなく、反射的に白戸は須波の追跡を始めた。

 

複雑なルートを経由してたどり着いたのは、とある倉庫。

白戸を尾行していた中国マフィアの気配はすでになく、最終地点にたどり着いたのは須波と白戸の2人だけだ。

意を決して倉庫内に足を踏み入れると、そこにはまったく知らない顔の男が立っていた。

かつての須波通の面影は一切ない。

しかし、白戸にはその男が須波であることが理解できた。

巧妙な整形だが、白戸の目は誤魔化せない。

「見つけてくれたか。本庁の認証コンピューターにも引っかからないこの顔を、よく見つけられたな」

声だけが須波通であることに、違和感を感じる。

ともかく、男はやはり須波通だった。

白戸がぶつける問いに、須波は1つ1つ答えていく。

 

1.なぜ須波は白戸に目をつけたのか?

塚本孝治の協力者と偽って塚本を東京に呼び出したのは、川本チーム時代の須波たちだった。

須波はそこで白戸の存在に気がついた。

 

2.川本から離反した理由は?

川本こそが恋人の真の仇だったから。

須波の恋人だった林小麗は、川本が抱える中国人協力者の1人だった。

では、なぜ林小麗は中国マフィアから始末されたのか?

それは川本が、当時自分から離れようとしていた中国人協力者たちへの見せしめとして、林小麗がスパイだという情報を中国マフィアに流したから。

その後、復讐に狂った須波は恋人の仇をとるため中国マフィアに無謀な戦いを挑むことになるが、それすらも川本の計算のうちだった。

須波の激しい報復によって中国人犯罪組織間のパワーバランスは崩れ、最終的には川本が中国人たちの弱みを握る形で落ち着いた。

と、同時に、川本は中国マフィアへの報復をエサに、須波という有能な配下を得た。

つまるところ、すべては川本による策略だったのだ。

川本は林小麗を切り捨てることで、中国人協力者たちの離反を食い止め、中国マフィアの弱みを握り、さらに須波という男を得た。

ある情報筋からその真実を知った須波は即座に川本から離れ、こうして敵対しているというわけだ。

 

裏切った駒を始末しようとする公安だけでない。

川本の庇護がなくなった今、須波は復讐のために敵対した中国マフィアからも追われている。

……とても1人で立ち向かえる相手ではない。

須波はいったい何を狙っているというのか?

 

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決着

車の音が聞こえた直後、銃を持った男たちが倉庫内になだれ込んできた。

中国マフィアと公安の混成部隊。

最後にゆったりと姿を現した男こそ、リーダーの川本だ。

その右手には拳銃が握られている。

「白戸警部補、あんたは関係ないんだ。早く銃をしまった方がいい」

白戸は川本の言葉を鵜呑みにするほど鈍くはない。

須波もろとも白戸も始末しようとしていることは明白だった。

 

距離をとってにらみ合う、須波と川本。

先に沈黙を破ったのは、須波の方だった。

「俺という存在を世間に知られたら、おまえは終わるな」

「その通り。元捜査共助課刑事の死亡偽装工作に関わり、公安で運用していたなどという事実が知られたら、マズすぎる。マズすぎるよ、須波。だからこうして、今度は本当の仏にしてやろうと来てるんだろう」

「また仏になるつもりはない。俺はお前に用があった。俺が、お前を呼んだんだ」

白戸を追えば須波を見つけられることを、川本は知っていた。

そして、須波もまたそれを承知の上で白戸の前に現れた。

つまり、この状況を仕組んだのは須波だといえる。

「そうだったな。さて、どうする?俺を撃つか?」

川本の挑発に、須波は淡々と答えた。

「もう済んだよ。まだ気づかないのか?」

須波は倉庫内に設置されている防犯カメラを指さす。

「お前らに教えられたやり方で、10台以上設置してある。もちろん音声も拾っている。会話は全部、映像とともに記録されているというわけだ」

須波による王手。

しかし、川本の余裕は崩れない。

「だから何だ。すべての記録媒体を処分してしまえばいい。無線でどこかへ飛ばす仕掛けだったとしても無駄だ。ジャミングで妨害している」

 

会話が止まり、一触即発の空気が流れる。

須波の策が失敗に終わった今、敵は次の瞬間にも銃撃してくるかもしれない。

極限の緊張感の中、白戸はふと『目の奥が緩む感覚』に襲われた。

中国人たちをまとめているリーダー格の男。あの顔は…!

「6年前、家電窃盗の際一緒だった連中はどうした?」

刑事課時代、家電チェーン店の防犯カメラに写されていた横顔を、白戸は思い出した。

正確にいえば、自分の無意識下で自分を欺くことなく、脳が顔を想起することをそのまま受け入れた。

須波に言わせれば『覚醒』した状態。

過去にほんの一瞬目にしただけのその顔を、白戸は鮮明に思い出すことができている。

「東京一帯で総額二億円近くの窃盗を行っていたチームにいたよな。あとで遺体で見つかった他の四人は、おまえが消したのか?」

白戸の一言で、場の均衡が崩れた。

「※※※※※※!」

中国マフィアたちはたちまち内輪もめを始め、公安のチームはうろたえている。

 

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ようやく敵が混乱状態から抜け出したとき、今度はまた別の要素が場の均衡を乱した。

規則正しく甲高い音は、聞きなれたパトカーのサイレンだ。

「まっすぐこっちへ向かってるんだよ、ただの通りすがりじゃない」

勝ち誇った顔で須波が告げる。

「俺が…いや、違う、おまえらが呼んだんだよ」

「どういう意味だ?」

「俺が乗り、おまえらが追いかけまわしてた車のナンバー、気づかなかったのか?」

須波が倉庫までの移動に使った車。

そのナンバーは、広域手配されている凶悪犯が逃走に使ったとされているものだった。

わざとNシステムの監視網に引っかかるように走行することで、須波は警察を呼び寄せていたのだ。

「Nシステムでおおまかな場所を特定されたうえ、不審な妨害電波を検知。Nもジャミングも、おまえらの愛してやまない武器がそのまま弱みになったというわけだ」

サイレンの音は近い。今から逃げることは不可能。

呆然と立ちすくむ川本に、須波はあらためて王手をかけた。

「記録データを処分することができるのか?時間はないだろう。武装しうる広育手配犯を確保するために、大勢の人員がここへもうすぐやってくる。交番、所轄あわせての大隊かもしれない」

 

中国人たちが母国語でわめき散らす中、その瞬間は訪れた。

怒声をきっかけに、強化ポリカーボネイト製の盾を持った警官たちが出入り口を固め、なだれ込んでくる。

その中には本庁の組織犯罪対策課に所属する小池の顔もあった。

「白戸!?公安の川本さんに、あんた…こんな所でなに、してる?」

小池が『須波通』に気づいた。

と、同時に、川本の目が大きく見開かれ、顔面が白くなっていく。

詰み、だ。

倉庫の奥から、須波が両手をあげて川本へ近づいていき、三メートルほどしか離れていない場所に立った。

そして、口を開く。

「おまえも、死んだな。今日からは、俺と同じだ」

須波のその言葉が起爆剤となった。

川本の両腕が上がり、銃声が響く。

後ろへ吹き飛ぶ須波の姿が視界に入ると同時に、白戸は銃口が自分の方に向けられていることに気づいた。

白戸が物陰に姿を隠すと、何発かの銃声が倉庫内に響いた。

 

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結末

須波は川本の銃弾を受けて死亡。

川本らは逮捕され、警察による箝口令(かんこうれい)も虚しく、事件の全貌はメディアによって連日大きく取り上げられた。

塚本は弁護士団を結成し、警察とネクソス社を相手に訴訟を起こす予定。

警察組織はなおも不祥事を隠ぺいしようとやっきになっているが、いずれすべての真実は明らかになるだろう。

 

……余談だが、須波が倉庫内に設置していた防犯カメラはすべてダミーだった。

最後の最後で、須波はアナログな心理戦によって川本に勝利したのだ。

 

もうひとつの結末

「海老原貫一」のことは、職権濫用ながらも刑事としての情報網を使って調べた。

結論からいえば「海老原貫一」は千春の幼なじみで、数か月前から東京で飲食店を経営している人物だった。

千春はその店の従業員として、たまに手伝っているということらしい。

白戸も店に足を運んで確認したが、海老原と千春の間に男女の関係があるとは思えなかった。

 

やましいこともないのに、千春はなぜ店で働くことを隠していたのか?

少しためらってから、それでもやっぱり尋ねてみると、千春は「怪しまれたかったから」だと答えた。

つき合って5年、同棲して4年。

居心地のいい関係ではあるが、白戸は千春という人間にいま一つ踏み込めていない。

結婚のこともそうだ。

千春は何も言わなかったが、心の中では焦る気持ちもあったのだという。

そんなことさえ、白戸は知らなかった。

千春がわざと疑われるような行動をとったのは、お互いの関係を見直す機会をつくりたかったからなのだろう。

白戸はあらためて自分がいかに千春に甘えていたかに気づき、反省した。

千春への疑念を直接ぶつけることもせず、こそこそと刑事の領分で調べまわっているようでは話にならない。

 

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ともかく、千春の浮気疑惑は晴れた。

これからはもっとちゃんと千春と向き合わなければならない。

そんなことを考えながら、千春と一緒に歩く。

ほどけた靴ひもを結びなおすために立ち止まった千春を振り返った、その時。

白戸の脳は『ある光景』を鮮明に想起した。

夕暮れ。

背景には東京タワー。

どこか自分ではない方を向いている女の顔。

それは、白戸が最近何度も見ている夢と一致する光景……いや、違う。

これは、記憶だ。

その光景を見たのは白戸が見当たり捜査員になる前の、7年前。

当時、刑事だった白戸は国際的芸術品詐欺グループを追っていた。

その中枢メンバーの1人の男には懇意にしている女が何人もいて、特に熱を注がれていたのは赤いアストンマーティンの女だった。

その日、白戸は協力者を洗い出すため中枢メンバーの男を尾行していて、東京タワーにも寄っていた。

夕暮れの塔を背後に歩く男の隣には、男の顔に視線を注ぐ赤いアストンマーティンの女。

服装もメイクも今よりずっと派手だが、それは間違いなく千春だった。

 

『覚醒』した脳が見せる鮮烈な記憶に、白戸は愕然とした。

(なんてこった!)

偶然ではなかったのだ。

組織が一斉検挙されたあと、千春は地に足の着いた男との出会いを求めて出会い系サイトに登録し、年齢と職業と趣味だけを載せた白戸のプロフィールに惹かれた。

一方、白戸が出会い系サイトで千春のプロフィールの顔写真に目をとめたのは、それが「記憶にある顔」だったからに違いない。

出会ったのは、運命ではない。

すべては、白戸の脳が引き寄せた繋がりだった。

 

内心の驚きを隠しながら、白戸は何気なく千春に言った。

「思い切って外車でも買おうか」

「たとえば?」

「メルセデス、BMW、フェラーリ……アストンマーティン」

進行方向右側の車道へ目を向けながら白戸が言うと、千春が苦笑した。

視界の端に、ずっと自分の方へ向けてくる彼女の視線を白戸は感じた。

何かを偽ろうとするとき、男は目をそらし、女は凝視する。

「…嫌だな、そんな車。全然憧れない。私は、ホンダ、トヨタでいいです、もう」

白戸が左横に立つ千春の目を見つめると、彼女は目を大きく縦に開き、大げさなほどの笑顔で白戸の視線を受け入れた。

白戸も、笑顔を返した。

 

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エピローグ

相変わらずの見当たり捜査の日々。

都会の交差点には無数の『顔』が集まっている。

人ごみにまぎれて横断歩道を渡っていると、ふと、いつもの感覚がする。

知っている顔を見つけたという弛緩と、見つけてしまったという緊張が入り混じる。

そもそも手配すらされていないあの男を、捕まえるべきかどうか。

迷っているうちに、男の顔は人ごみの中に消えてしまった。

<盗まれた顔・完>

 

関連記事:羽田圭介「盗まれた顔」のネタバレ解説と感想!




まとめ

羽田圭介「盗まれた顔」がWOWOWドラマ化!

今回は原作小説のあらすじとネタバレをお届けしました!

ちょっと難しい話だったので、あらためて要点をまとめてみましょうか。

・亡くなったはずの元刑事・須波通が生きていた。

・須波は公安の川本の下で暗躍していたが、川本こそが恋人の仇だと知り敵対。

・最終的には命と引き換えに(?)、川本の悪事を暴き、社会的な立場を失墜させた。

・一方、白戸は事件に巻き込まれる中で、見当たり捜査員として『覚醒』する。

・それによって思い出したのは、衝撃的な千春の過去であり、千春と出会った理由だった。

……こんな感じですかね。

須波と川本の因縁にまつわるメインストーリーも緻密なミステリーで面白かったのですが、それ以上に衝撃的だったのは千春との結末!

今回の簡単なあらすじネタバレでは伝わらないかもしれませんが、白戸が千春の過去を思い出すラストシーンは本当に鳥肌もので、読んでいて思わず「おおっ!」と声が出てしまいました。

この感動はぜひ原作小説、あるいはWOWOWドラマで味わっていただきたいですね。

 

さて、そんなWOWOWドラマ「盗まれた顔 ~ミアタリ捜査班~」は2019年1月より放送!(全5回)

玉木宏さん演じる(ちょっとカッコ良すぎる)白戸がどんな『顔』を見せてくれるのか楽しみです。

お見逃しなく!

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