森見登美彦「夜は短し歩けよ乙女」が映画化！
大の森見登美彦ファンとして、これほど嬉しいことはありません！
しかも、劇場アニメ化に当たってはアニメ「四畳半神話大系」のスタッフが集結し、そのうえ主演は星野源さんって…最高すぎる！
今回はいつもよりテンション高めに映画「夜は短し歩けよ乙女」のあらすじ紹介や原作小説の感想、映画化に当たっての見どころなどについてチェックしていきたいと思います。
※追記：映画「夜は短し歩けよ乙女」観てきました！映画の感想や内容はコチラからどうぞ！
関連記事：映画「夜は短し歩けよ乙女」の感想！アニメ四畳半とのリンクも！
「夜は短し歩けよ乙女」あらすじと感想
森見登美彦といえば京都、そしてバカな大学生。
その要素をこれでもかと詰め込んだ氏の代表作と言えば「四畳半神話大系」（2005）と「夜は短し歩けよ乙女」（2006）のツートップでしょう。
この2作を読んで京都と森見的大学生活に好感を抱かない人間がいるだろうか、いやいない。
そう断言できるほど、森見登美彦初期作品に当たるこの2作は不思議な魅力を有しています。
まずは、映画化される「夜は短し歩けよ乙女」のあらすじについて見ていきましょう。
「夜は短し歩けよ乙女」あらすじ
主人公である「先輩」は、大学の後輩である「黒髪の乙女」に恋をしていた。
しかし、そこはヘタレで奥手な先輩のこと。
男らしく果敢に黒髪の乙女に近づいていくことなどは到底できない。
そこで、先輩が考案したのが「ナカメ作戦」
正式名称「なるべく彼女の目にとまる作戦」である。
夜の先斗町で（1章）、下鴨神社の古本市で（2章）、大学の学園祭で（3章）、先輩は偶然を装って彼女と出会い外堀を埋めようとする。
しかし…
「奇遇ですねえ！」
天真爛漫純真無垢の権化である彼女には一向に想いは伝わらない。
さらに、無駄にややこしい事態を引き起こす連中に巻き込まれて、いつも事態は思わぬ方向に…。
果たして先輩の恋の行方は！？
そんなことはともかく、この上なく可愛い彼女の勇姿と、から回ってばかりの先輩の滑稽な姿は必見である。
あらすじの補足
※ネタバレ要素を含みます。ご注意ください。
小説「夜は短し歩けよ乙女」は全4章で構成されています。
1章：夜は短し歩けよ乙女
・乙女が初めて夜の先斗町を冒険しつつ奇妙な出会いを楽しむ一方で、乙女を追う先輩がもみくちゃにされていく話
2章：深海魚たち
・乙女が下神神社の古本市で不思議な少年に出会う一方で、乙女の思い出の絵本を手に入れるために先輩が地獄の暑さ我慢勝負に挑む話
3章：御都合主義者かく語りき
・大学祭を舞台に、乙女がゲリラ演劇のヒロインに抜擢される一方で、先輩が乙女の相手役になるべく命がけで奔走する話
4章：魔風邪恋風邪
・京都で質の悪い風が流行する。風邪をひいてしまった先輩を助けるため、乙女が奔走する話
「夜は短し歩けよ乙女」では先輩と乙女の2人が語り部であり、交互に語り部が入れ替わりながら物語が進んでいくのですが、2人の語り口のギャップがまた面白いんですよね。
基本的には（無自覚に）物語の中心にいるのは、いつも乙女。
1章では先斗町の大人物と飲み比べをして勝利をおさめ、2章では思い出の絵本を手に入れる。3章ではゲリラ演劇の主人公となり、4章ではただ一人猛威を振るう魔風邪に立ち向かう。
一方で、先輩はというと「主人公になろうとして、ことごとく失敗する」という役回り。
結局、先輩の「ナカメ作戦」はこれ以上ないほどの失敗に終わります。
では結局、先輩の恋は実らなかったのか？
ネタバレをしてしまうと、物語の結末で2人は両想いらしき関係になります。
ここで、結末部分の乙女のパートを一部抜粋――
その日、お恥ずかしいことですが、私はワクワクしてしまって午前六時に起きました。
先輩から電話があり、喫茶店で珈琲を飲もうと誘われたのです。
これはもしや、世に言う「デート」というものではありませんか？
そうなのです。そして私はそういう行事に誘われたのは初めてのことなのです。これは一大事。
あれこれと物思いに耽ったり、掃除をしたりしているうちに、いつの間にか時間が経ちました。
私は身支度をしながら、先輩と何を喋ろうと考えていました。
私には先輩に色々と聞きたいことがあったのです。
先輩はあの春の先斗町で、どんな夜を過ごしたのでしょう。
また、夏の古本市で食べた火鍋の味はどんなものだったのでしょう。
そして秋の学園祭では、偏屈王を演じるために、どんな冒険をしたのでしょう。
私の知らないところで、先輩はどんな時間を過ごしていたのでしょう。
私はそれがとても知りたいのでした。
どうです！可愛いでしょう！
そんなわけで「夜は短し歩けよ乙女」はこれ以上ないほどのハッピーエンドで締めくくられます。
「夜は短し歩けよ乙女」個人的な感想
私は基本的に同じ小説を2度読むという事がありません。
映画でも漫画でも同じで、面白いからと言って1度見た作品を見返すことはありません。
そんな私ですが「夜は短し歩けよ乙女」に関しては本がボロボロになるまで読み返しました。
さらには出先で読むために同じ本をもう一冊買ったり、聖地巡礼のために京都に出かけたりもしました。
それほど「夜は短し歩けよ乙女」は私にとって特別な作品なのです。
では「夜は短し歩けよ乙女」の何がそんなにいいのか？
思うに、最大の要因は森見登美彦的ともいえる文章の面白さにあるのでしょう。
言葉の選び方や独特のリズムが一文一文に不思議な魅力を与えているのです。
おそらく、同じ内容を一般的な小説風に清書すれば「夜は短し歩けよ乙女」の面白さは1割も残らないのではないでしょうか。
なんでもない地の文すら心地いい。
この「森見登美彦ワールド」を未読の方に言葉で伝えるのは非常に困難なのですが、既読の方であれば「わかるわかる」と頷いてくれるのではないかと思います。
また、あえてもう一つ「夜は短し歩けよ乙女」の魅力を挙げるなら、それは「青春」です。
ストレートに言ってしまえば「こんな青春を過ごしてみたかった！」と憧れる気持ちが湧いてくるんです。
私も羽貫さんや樋口さん（四畳半神話大系にも登場）と一緒に、夜の先斗町を飲み歩いてみたい！
私も激動の学園祭で命からがら芝居の主役を手中にして、乙女から「先輩はまことに熱演で、お上手でした」と言われてみたい！
文章を追っている間は、自分がまるで物語の登場人物の1人のように感じられます。
だから、私は面白おかしい大学生活の一端を味わうために、何度も「夜は短し歩けよ乙女」を開いてしまうのでしょう。
映画化の見どころは？
まずは、映画の特報動画（期間限定公開）を見てみましょう。
絵の感じもBGMもアニメ「四畳半神話大系」と同じ雰囲気でGOOD！
純粋にこの雰囲気の映像を映画館で見られるというだけでもワクワクしますね。
特報動画から見て取れるのは小説1章に当たる先斗町のシーンが多いですが、古本市のような描写もあるので、一応最後までやるのかな？
さて、映画「夜は短し歩けよ乙女」が劇場アニメである以上、注目ポイントの1つは「声」
特報動画では先輩役・星野源さんの声は公開されていませんでしたが「星野源×先輩」という組み合わせがどんな化学反応を起こすのか非常に楽しみですね。
アニメ「四畳半神話大系」では主人公役・浅沼晋太郎さんの早口なセリフ回しが印象的でしたが、星野源さんも早口セリフに挑戦されているのでしょうか。
また、同じく重要な「声」である黒髪の乙女の声優は現時点では未発表なのですが、特報動画の声から察するに「花澤香菜さんでは？」という意見が多いようです。
「星野源×花澤香菜」という組み合わせだとすると、（多くの人がそうであるように）個人的な感想としては最高のCV！
目で見て良し、耳で聞いて良しの隙のない作品になりそうです。
あとは、アニメ「四畳半神話大系」と共通するキャラクターである羽貫さん・樋口さんの声が続投なのかという点にも注目したいと思います。
以下、少なくとも映像化されるであろう小説第1章部分に関する見どころ。
・実在するBAR「ムーンウォーク（作中では月面歩行）」の描写
・ついに映像化される（？）「詭弁踊り」
・乙女と李白翁による偽電気ブラン飲み比べ勝負
・乙女によるおともだちパンチ
結婚祝いとタダ酒飲み会と歓送会と還暦祝いとが合流して繰り広げられる大宴会！実のところすべてのシーンが見どころなのかもしれません（笑）
まとめ
森見登美彦「夜は短し歩けよ乙女」が映画化！
アニメ「四畳半神話大系」スタッフが集結し、アジカンが主題歌を担当し、主役の声優は星野源って…最高でしょう！
映画館に何度も足を運ぶことになりそうです（笑）
基本的には何も考えずに楽しめる作品なので、原作ファンの方はもちろん、作品を知らない人にもぜひ見てもらいたい！
恋愛ものと謳いながら、基本的にはただただ愉快なだけの物語です。
毒にも薬にもなりませんが、元気をもらえることだけは請け合いですよ。
注目の映画「夜は短し歩けよ乙女」は2017年4月7日（金）公開！
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