いくえみ綾「あなたのことはそれほど」が実写ドラマ化!
正直、内容的には「昼顔」のインパクトを簡単に超えていくくらい濃い作品なので、かなり話題になるのではないかと思います。
ちなみに「あなたのことはそれほど」を読んでいるときの私の反応はこんな感じでした。
①「なにこの主人公!開き直って図太く不倫しやがって!早く天罰が下れ!」
②「よし、やっと制裁が下ったか!…って、あれ?どうしてそうなるの…?」
③「もう何もかも怖すぎる…(ドン引き)」
とにかくメインキャラ4人がみんな濃くて、さらにどこかしら狂っていたりして、そしてそれがいやにリアルで…。
要するに、めっちゃ面白いです(笑)
というわけで、今回はそんな「あなたのことはそれほど」のあらすじについてチェック!
作品のネタバレを盛大に含むので、ご注意ください!
「あなたのことはそれほど」のあらすじとネタバレ!
「三好だよね?…あれ、覚えてない?」
渡辺美都(わたなべ みつ。旧姓:三好)は眼科の受付をしている29歳。
美都「うん!有島君!」
飲み会の帰りに偶然再会したのは、小中の同級生だった有島光軌(ありしま こうき)だった。
美都にとって、有島はずっと心のなかで「一番好きな人」だった憧れの相手。
2人は久しぶりに再会した夜、体を重ねた。
美都「また会いたい…な」
有島「うん、俺も」
それから2人はデートと体の関係を何度も重ねていく。
しかし…
有島「ごめん、今日つきあえない。子供が産まれた」
有島は既婚者で、美都は妻が出産で里帰りしている間の遊び相手だったのだ。
美都は去ろうとする有島を引き留めて言う。
美都「私も結婚してるから大丈夫。おめでとう!落ち着いたら電話してね」
昔、実家のスナックに来た占い師に言われた。
「二番目に好きな人と結婚するといいわ。一番目はダメよ」
美都の夫は「二番目に好きな人」だ。
美都(――私はいつかきっと罰が当たる)
夫・涼太
美都の夫の名前は渡辺涼太(わたなべ りょうた)
美都の勤める眼科で知り合って、まもなく結婚した。
涼太は善良な「いい人」で、美都を心から愛していた。
ところが…
美都「有島くぅん…」
美都の寝言をきっかけに不安を覚えた涼太は、その日から美都の携帯電話をチェックするようになった。
『有島 光軌』
涼太(誰だろう?僕の奥さんにあんな甘い声を出させたこの男は…)
涼太(僕の奥さんが浮気をしてるなんてこと、まさかありませんよね?)
妻・麗華
有島の妻の名前は有島麗華(ありしま れいか)
有島とは高校時代のクラスメイトだったが、麗華は派手な有島のグループとは縁のない地味な委員長だった。
たまたま麗華がバイトしている焼肉屋に有島家族が訪れたことで、2人は少し交流を持ち始める。
そして…
麗華「有島君は誰かと付き合っているんですか?」
有島「つきあ…ってないですけ」
麗華「そう!」
麗華は強引に有島の顔を引き寄せて口づける。
麗華「気持ちいーね!」
麗華(私たちがつきあい結婚まで至ったことは、あの頃の同級生たち誰もが驚いた)
麗華(私は今、充実している)
涼太からのプレゼント
美都(私の友達は私のことをバカだと思ってる)
香子「はぁ?子ども?結婚してたの有島?いや!問題はそれ以前だよね。あんた旦那いんじゃん。ありえないよ三好!」
美都(友達の正論も陳腐な説教。そうよ私バカよ?無節操よ?今かなり動物よ?それの何が悪い?)
麗華の出産が終わり、有島のもとに帰ってくる。
美都(私たちは続くと思う。確信がある。)
――夢見続ける気満々の乙女
子供が生まれてから、有島が美都に割く時間は減った。
それでも、2人の体の関係は続いている。
しかし、有島は家族を蔑ろにしているわけではない。
有島「あ~こ~しゃ♡亜胡しゃ♡よしよし、今日も一日かわいいぞ~」
むしろ娘の亜胡を溺愛している。
美都の誕生日&結婚記念日(1周年)となるその日を、美都と涼太はレストランで祝っていた。
美都「涼ちゃんのプレゼントは?」
涼太「…君が夜中に呼んだ名前の情報を僕の端末に入れておいた。かけたらどんな人間が出るんだろう。僕は確かめることができる」
涼太「でも、かけない。聞いたら…知ったら自分がどうなるか、怖い」
涼太は美都の浮気を知っていた。美都が「友達と」と嘘をついて有島と会っていたこともすべて。
涼太「みっちゃん、僕はこの先どうあろうと、今の君がどうあろうと、ずっと君を愛する」
涼太「大丈夫なんだ。ずっと君を変わらず愛することができるよ。誓うよ」
涼太「これが僕のプレゼントです」
接触
有島「ルール違反だ」
美都は2度、麗華と会っている。
一度目は通っている陶芸教室で偶然。2度目はものを渡すという口実で自分から家に押しかけて。
美都「二度としません。本当にごめんなさい」
あの日から、涼太はまるで何もなかったかのように、いつもどおりの態度で美都に接してくる。
美都(あの日から、夫には「笑顔」が貼りついたまま)
美都(私は、少しも笑えない)
『しばらく会わないでいよう。連絡する』
有島からのメール。
美都(しばらくって、どれくらい…?)
昼下がりの公園。
亜胡と麗華を連れた有島に、涼太がぶつかる。
涼太「幸せそうで羨ましいなあ。ねえ、“有島さん”」
涼太「お幸せに」
涼太は何をするでもなく去っていった。
有島「美都、もうやばいわこれ。終わろう」
美都(やばいのは、最初から承知でしょうが)
美都は帰ってきた涼太に尋ねる。
美都「涼ちゃん…どうしてずっと笑ってるの?どうして私に何も…言わないの?」
涼太「言っとくけどね、僕は別れないよ。僕にはみっちゃん以上の人はいないし、みっちゃんにも、僕以上の人はいないよ」
涼太「なじるのも話し合いも無駄だ」
涼太「それよりもこれからをどう楽しくやっていくか。そういう話し合いなら大いにしたいけどね」
美都(有島君…ここにもルール違反の人がいるよ)
泥沼
美都「有島君の奥さんに会ってどうするつもり?」
涼太はまた公園で麗華と接触していた。
涼太「なんで僕が怒られるの?みっちゃんよく考えて?誰が悪いの?」
涼太「子育てで大変なのに浮気までされて…取り乱したりするのかな?」
美都「ねえ…ちょっと楽しんでない?」
涼太「二人でさんざん楽しんだくせに、とぼけたことを…」
美都(もう…だめだ)
美都「無理。涼ちゃんとは、もう無理!」
美都はあてもなく家を出て、その後友人の香子の家に泊まることにした。
そして…
有島「俺たち友達に戻らないか」
美都「私たち…友達だったことってあったっけ」
有島「ないな…」
美都はまた有島と会っていた。
美都「二人っきりになりたい」
有島「言っとくけど、今日、できない」
ホテルに入って話し合う美都と有島。
有島「美都。お前ふつうにつきあったらすごいかわいい女だと思うよ。ごめんな、俺が悪い」
有島「家に帰れ、な?まだ間に合うから」
美都「じゃあ、最後にやろう」
そうやって、2人はまた体を重ねる。
美都は実家に身を寄せることにした。
そして、有島家では…
麗華「布団使わなかったの?」
麗華が留守にした夜、有島は美都とホテルにいた。
有島「ああ、ソファで寝た」
麗華は、勘の鋭い女だ。
壊れていく関係
娘を親に預けて、麗華は久しぶりに有島とデートをする。
麗華の口ぶりはまるですべてを見透かしているような…。
麗華「亜胡を私にくれてありがとう」
有島「待って、麗華…なんでそんな話ばっかりする?」
麗華「幸せだからよ。あなたは、なぜ泣きそうな顔をしているの?何が辛いの?」
有島「……バカだった。軽い…ノリと…昔の思い出と…」
有島「俺はバカだったけども、何があってもお前以外は」
麗華「光軌」
麗華「なんの話?」
有島「だっ…しっ…てんだろ?」
麗華「何を?」
麗華「私が知ってるのは“ワタナベ”という女が訪ねてきた。日を置いて私の前に二度現れた男も“ワタナベ”と言った。あなたは、私に聞かれて困ることがあると、ちょっとフリーズする」
麗華「――それだけよ」
麗華「帰りましょう。亜胡が待ってる」
すべてを知ってなお、麗華は有島を問い詰めなかった。その代わりに…
麗華「手を、洗ってください」
亜胡に触れようとした有島にそういう麗華の顔は無表情だった。
有島(ばい菌かよ…)
一方、美都は実家に涼太が迎えに来て、また同居する家に戻ってきていた。
美都は離婚届を涼太に手渡し、新しく済む物件を探す。
しかし…
美都(離婚はまだ…できない)
経済的な理由や、自分の生活力のなさ。美都が1人で暮らすことは条件的に難しい。
美都(もう、有島君に会うことは、ない)
そして、致命的な事件が起こる。
美都「私、妊娠したかもしれない」
間違いなく有島の子供だ。それを涼太に告げた。
美都(もう、これで私を見限ることができるね、涼ちゃん)
ビーーー
それを聞いた涼太が離婚届を破く。
美都「何するの!?」
涼太「みっちゃん、それは、僕の子だよ。あの男にはもう頼れないんでしょ?大丈夫だよ、みっちゃん」
涼太「僕が守るよ。僕の子供として育てるよ」
涼太「きっと愛情をもって、育てられるから」
美都(一刻も早く、アパートを…オートロックどころか、床の抜けそうなアパートでいい)
美都「無理です。本当にそんなことを考えてるなら…あなた…頭おかしい…」
美都(すぐに出ていこう)
そう思うのに、美都の体は動かないままでいた。
美都(私も…頭おかしい…)
後日、美都が妊娠していなかったことがわかった。
後悔
『実家に戻ります』
有島が帰宅すると、麗華からの書置きが残されていた。
すぐに麗華に電話をかける有島。
麗華「私が怖い?」
有島「いなくなってしまうことが…怖いです」
麗華「おやすみなさい」
電話は一方的に切られた。
翌朝、有島は急いで麗華のもとに。
しかし、荷物を触られるのも嫌というほど徹底的に拒絶されてしまう。
有島「ごめん、悪かった。反省してる。二度としない。どうしたら許してもらえる?土下座でも何でもするから」
麗華「やめて。そんな情けないことしたら一生許さない」
麗華「帰って…ください。今は離れていたいんです」
一方、美都は涼太と別居中。
有島のことをふっきって1人焼肉していたところに、涼太からのメッセージが届く。
『みっちゃんが1人で頑張っていく決心があるのなら僕も一人で頑張ろうと思います』
『離婚届、郵送してくれたら出しておきます。では、お元気で』
美都「…ん?アレ?終わり?」
有島からも涼太からも縁を切り、美都は1人になった。
美都(私は自分の本性をつくづく知って、有島君は逸れた道を後悔した。私たち、そこが違ったね)
美都(私、後悔なんてしない)
美都(有島君、あなたはあなたの道を取り戻すべくこれから孤軍奮闘するのかしら?頑張ってください。応援なんかしないけどね)
――後悔の海で、溺れるのは真っぴら
終わり
有島は片道2時間半かかる麗華の実家に毎日通い、亜胡に「いってきます」「ただいま」を言う生活を始めた。
麗華「こういうのって、アレみたいね。『自分』が頑張って努力する姿を見せつけて、プロポーズを受けてもらおうとする人の心理…」
有島がいくら頑張っても、麗華や亜胡には関係ない。
有島は「亜胡と麗華に会えるだけでいい」と言い返す。
そんな有島にを見て、麗華の中の怒りが蘇る。
麗華「あの人はあなたを愛してくれた?悪いことを二人でするのは楽しかった?…こんな私にさせた、あなたのことが…憎いです」
有島「愛してるよ、麗華」
麗華は有島の頬を平手打ちする。それでも有島はやめない。
有島「麗華…愛してるよ…」
有島は美都から届いた「離婚しました」のLINEに返信する。
『もう会いません。連絡もしません。ブロック削除していいですか。それと、うちは絶対別れません。ごめんなさい』
すぐに美都からの返信が来る。
『了解です。あやまることは、ありません』
一方、美都は有島からの絶縁連絡を見て、ぼんやりとしていた。
美都(終わり、オワリ、みんな、おわり)
もう一度…
美都の母親が倒れ、急きょ入院した。
知らせてくれたのは涼太。
美都が病院へ行くと、そこには涼太がいた。
涼太「心配だよね…意識戻ったんなら顔見せて安心させてあげたいもんね。みっちゃんは優しいね」
美都(まだ、そんなことを言うか、この人は)
涼太「帰っても別にすることもないからさ。みっちゃんウチに寄ってかない?」
美都が久々に暮らしていた家に戻ると、すっかりインテリアが涼太色に染められていた。
涼太「どう?」
美都「うん、もう私んちじゃないね」
涼太「でしょ?気軽に来れるでしょ?」
それから美都は涼太と一緒にピザを食べ、ワインを飲んだ。
涼太「みっちゃん、僕ともう一度夫婦になろう」
美都「涼ちゃん。涼ちゃんの愛は、優しい暴力だよ。だけど私は、あなたを傷つけたことを忘れずに生きていこうと思います…。ごちそうさまでした。さようなら」
涼太の家からの帰り道、母親の意識が戻ったとの連絡を受ける。
ため息をつくと、美都は腕を振り上げて伸びをしながら口を開く。
美都「はああ…ありしま、くん…」
美都(「有島君」って、誰だっけ?)
最終回
ある日、有島が家に帰ると、そこには麗華の姿が。
思わず有島は麗華を強く抱きしめる。
麗華「有島くん」
有島「…何?委員チョ」
麗華「あなたの浮気一つでこんなにも乱される自分の心に、興味が湧きました。なので、もう少し様子を見ましょう…」
有島はその言葉に泣きそうになりながら、抱きしめた腕に力を入れる。
一方、美都と涼太の離婚は正式に成立。
美都は母親の介護やらなにやらで忙しく日々を過ごす。
たまたま有島夫婦を見かけても、もう何も思うことはない。
涼太はいつまでも送れない美都への未送信メールをながめる。
『ありがとう、みっちゃん。短い間だったけど、僕と夫婦でいてくれてありがとう。みっちゃんは間違いなく僕が一番愛した人でした。みっちゃんに最後に聞きます。疲れていませんか?誰かの助けは要りませんか?もし僕にできることがあればいつでも力になります。友人として』
涼太「いいかげん、しつこいと思われるよねぇ。もう思われてるか、ははは。でもね、ほんと、僕は力になれると思うんだよね」
1人きりでつぶやく。
物語のラスト。
美都と麗華の姿にモノローグが重なる。
『そうね、嫌いじゃあなかった。憧れでもなかった。羨ましくもないし、不幸なことなど一度もなかった』
『ほんと、それほどには、ね』
<あなたのことはそれほど・完>
まとめと感想
というわけで、改めて「あなたのことはそれほど」のあらすじ・ネタバレでした!
今回のネタバレでは伝えきれない部分、特に各キャラクターの『表情』にはゾクっとさせられたりするので、気になった方はぜひ原作漫画の方もチェックしてみて下さいね。
それにしてもこの作品、読めば絶対に「浮気不倫なんか絶対にしねぇ…」という結論にたどり着きます。
美都も有島も調子に乗っていたのは最初のうちだけ。
行為の代償としてどんどん“えげつない”事態に転がり落ちて行くさまは「こんなふうにはなりたくない」と読者に思わせるに余りあります。
つまり、パートナーの浮気防止に効果的なのでは!?(笑)
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