大人の恋

島本理生『Red』ネタバレと感想!小説の結末は?鞍田の秘密とは?

島本理生『Red』を読みました。

言ってしまえば不倫の物語なのですが、昼ドラのようなドロドロしたものではなく、言い方は変ですが《純愛》に近い印象を受けました。

※くわしい感想は記事後半で

読みながら気になっていたのは、やっぱり「結末はどうなるんだろう?」ということです。

今まで通りの生活に帰っていくのか、それとも鞍田と一緒になるのか……。

それがまさか、あんな結末になるとは思ってもみませんでした。

ぱんだ
ぱんだ
どゆこと!?

というわけで今回は小説『Red』のネタバレと感想をお届けします!

あらすじ

誰もがうらやむ夫、かわいい娘、“何も問題のない生活”を過ごしていた、はずだった塔子。

10年ぶりに、かつて愛した男・鞍田に再会する。

鞍田は、ずっと行き場のなかった塔子の気持ちを、少しずつ、少しずつほどいていく…。

しかし、鞍田には“秘密”があった。

現在と過去が交錯しながら向かう先の、誰も想像しなかった塔子の“決断”とは――。

(映画『Red』公式サイト Storyより)

ぱんだ
ぱんだ
映画の予告編もどうぞ!

もっとよくわかるあらすじ

村主塔子(30)は大学生の頃、妻帯者だった鞍田と不倫していました。

それから10年、今は塔子のほうが結婚していて、鞍田はバツイチの独身。

で、塔子は鞍田にコロッといっちゃうわけです。

とはいえ、別に塔子が倫理観ゆるゆるのゆる女だというわけではありません。

  • 夫の実家で義両親と同居
  • 夫は坊ちゃん育ちで姑にべったり
  • 女性として扱われない日々(夜の営みもなし)
  • 復職したいと思っていた仕事も辞めさせられた

我慢、我慢、とにかく我慢の毎日。

こんな息の詰まる環境にいては、誰だって精神がガタガタになります。

人生に疲れ果てて、それなのに妻として母として崩れることすら許されなかった塔子にとって、鞍田との出会いは『溺れる寸前の息継ぎ』のようなものでした。

夫と違って自分のことを「魅力的な一人の女性」として扱い、求めてくれる鞍田の存在は、塔子にとって生きるための支えだったといってもいいでしょう。

とはいえ、不倫は不倫。

まだ幼い愛する娘の翠(みどり)のことを思うなら、関係は断ち切らなければならない……と塔子もちゃんとわかっています。

ただ、頭で理解していることと、体と心が求めることは別です。

塔子はいつも「やめてください」「嫌です」と口にしているのですが、塔子の本心を見抜いている鞍田に強く求められると、もう抵抗できなくなります。

……と、こんなふうに、小説『Red』の大部分は

「鞍田との関係をやめたい。でもやめられない」

という塔子の葛藤で構成されています。

※せっかく鞍田との関係を終わらせようと決意しても、夫が(無自覚に)いらないこと言って塔子をボロボロにするもんですから、そうすると鞍田にケアしてもらわないといけなくなるんですよね……。

日常と非日常の間で揺れ動く塔子の心情描写はそれはもう「いいから読んでくれ!」ってくらいに見事なのですが、今はネタバレを優先して物語の終盤へ。

塔子はついにきっぱりと鞍田と別れることを(今度こそ)決意します。

塔子「本当にもう終わりにします。今までありがとう」

鞍田さんとは別れるべきだった。

罪悪感ではなく、倫理観でもなく、自分自身が混乱せずに生きていくために。

で、本当に距離を置くことに成功します。

あれから鞍田さんは連絡してこない。

淋しいけれど、正直ほっとしていた。

正しいところに戻ってきたという実感があった。

ただ、ここで終わるはずがないですよね!

ここからは重大なネタバレを含みますので、「やっぱり自分の目で確かめたい」という方はご注意ください。

ネタバレ

塔子は鞍田の紹介で正社員として再び働き始めていて、その日は金沢まで出張していました。

仕事は問題なく終わったのですが、記録的な大雪の影響で東京に帰ることができなくなります。

仕方のないことなのに、夫は「誰が子供の面倒みるんだよ! なんでもいいから帰ってこい!」なんて最悪な発言をする始末。

せっかく鞍田との関係を終わらせて息の詰まる日常に戻ってきたのに、そこに待っていたのは以前と変わらないストレスに耐える日々……。

ぽっきりと心が折れそうになっていた塔子の前に現れたのは、鞍田でした。

なんと、鞍田は飛行機も新幹線も一部高速道路すら使えない大雪のなか、東京から金沢まで10時間も車を運転してきたのです。

しかも、鞍田は塔子の話を聞くと「東京まで車で送っていくよ」と言うではありませんか!

別にこれ、鞍田がめちゃくちゃタフというわけではありません。

鞍田は作中で

  • 枯れ木のよう
  • 10年前と比べてひどく痩せている

と描写されている線の細い40代で、実際、金沢に到着したときはフラフラでまともに立っていられないほどでした。

それほどしんどい思いをしながらも、鞍田は塔子のもとに駆け付けたのです。

これはもう、愛ですよね。

こうして塔子と鞍田は大雪のなかの東京までの帰路、ちょっとした『旅』に出るのでした。

ずっと好きだった

※以下、小説から一部抜粋。

十時間かけてふらふらになりながら、まだ平気なふりをしてハンドルを握る横顔を見て思った。

私はこの人から逃げられない。だから

「今の家を出ようと思って」

鞍田さんは驚いたように、私を見た。

「あなたのことは好きだけど、それで、どうしてほしいっていうわけじゃなくて。頭の固い自分があなたとここまでした時点で、もう夫とはだめだったんです」

彼は嬉しそうな顔は、しなかった。

私は目を伏せた。そこまでじゃない、と言われるのを待って。

だけど彼は手のひらで強く顔を擦ると

「ずっと好きだった」

とはっきり言った。

「君のことが、ずっと好きだった。会わなくなってからも、忘れたことはないよ。苦しいときはよく思い出した。君とだったらもっと手放しに楽しんだり見られる景色があったと思った。本当に、君のことだけは純粋に、本気で、好きだった」

(中略)

「君は離婚なんて考えずに、家に帰ったほうがいいよ」

「え?」

私はびっくりして、彼を見返した。

「娘さんも小さいし、君のところはまだやり直しがきくよ。今日はちゃんと送っていくから」

今さらなにを言い出すのか。それならどうして金沢までやって来たのか。

怒りと混乱が湧きあがってきて、心臓がどんどん強く鳴った。

(中略)

私は気がつけばもう半分あきらめかけていた。

「分かった。ありがとう、金沢まで来てくれて」

私がようやく告げると、彼はわずかに落ち込んだような顔をしながらも、俺が勝手にしたことだから、とだけ答えた。

(中略)

私は助手席に深く座りなおして、ああ、本当に終わるのだ、と思った。

家に着いたら、いつもの日常が待っている。

かすかに目の前が暗くなる。

だけど私自身の問題だ、と厳しく思い直す。

もう誰に甘えるのも期待するのもおしまい。

塔子はやっと離婚する(=鞍田と生きていく)決断をするのですが、なんと鞍田は塔子のことが好きだと言いながら「離婚しないほうがいい」と言います。

これはもう、意味がわかりません。

もちろん娘のことを考えて、とかもっともらしい理由をこじつけることはできるのですが、ここはもう完全に塔子の気持ちを受け入れる流れでした。

なのに、なぜ?

この発言の裏には、そう言わざるをえない《鞍田の秘密》が隠れていたのでした。

最後の夜

「どこか泊まるか、休んでいきませんか?」

そう提案したのは塔子のほう。というのも鞍田の体力が限界で、これ以上運転させられないと悟ったからです。

こうして、ふたりはホテルに泊まることに。

鞍田がシャワーを浴びている間、塔子は会社の同僚(小鷹)からのメールを受け取ります。

『さっき会社のやつに電話で聞いたんだけど、たなちゃんが電撃結婚! 来週お祝い飲みするそうです。前もって知ってたほうが予定空けやすいと思って。念のため。』

「たなちゃん」というのは棚橋という女性社員で、作中では「鞍田と親しく話していた」という意味深な描写がさりげなく挟まれていました。

塔子は何げなく「ちなみに結婚相手はどんな方ですか」とメールを送り返すのですが……

※以下、小説より一部抜粋

少し間があってから、返事が届いた。

私はメールを開いた。

百年くらいの時間が、自分の脇を通り過ぎていったような錯覚を覚えた。

関節がすべて凍り付いて思考まで冷たく停止していくようだった。

(中略)

「鞍田さんっ」

と私は叫んだ。彼は答えなかった。

振り返ったら泣きそうになったので堪えたら、自然と睨みつける目になった。

「私に、なにか隠してることないですか?」

彼は表情のない顔で、ないよ、と答えた。

私はもう一度強く言った。

「私に隠しごとしてますね」

彼は今度こそはっきりと医師のこもった、頑固な表情をつくった。そして

「ないよ」

と言い切った。それですべて分かった。

(中略)

あの人は最後に私を抱くために金沢まで来たんだ。

馬鹿じゃないか。本当に、馬鹿だ。

「あなたとはもうしない。お願いだから休んで」

鞍田さんが上半身を起こしたかと思うと、腰にしがみつかれた。

私は驚いて言葉をなくした。

「君と寝たい」

「いいから、眠ってください」

とふるえる声で訴えた。

「君と寝たい」

顔を埋めて一つ覚えみたいにくり返す彼のつむじを、冷え冷えとした気持ちで見下ろした。

こういう場面においてはずっと彼のほうがうわてで、こんなふうに駄々をこねるように懇願されたことはなかった。

ああ、やっぱりこの人は最後のつもりなのだと悟った。

「……分かった。でも、横になってください」

こうして塔子は鞍田と『最後の夜』を過ごします。

身体を重ねている最中の、塔子の心情が印象的でした。

私はたしかに、この人のことが好きだった。すごく。すごく好きだった。

鞍田の秘密

鞍田が塔子の気持ちを受け取らなかった理由。

鞍田の秘密。

それは他の女性と再婚すること……ではありません!

塔子に送られてきたメールには、こう書かれてありました。

 

『鞍田さん、がんが再発して来週から入院するって本当か?』

 

鞍田は自分の身体が病に侵されているから、いつまで命がもつのかわからないから、塔子と一緒になろうとしなかったんですね。

鞍田は入院する前に、最後の思い出として塔子と一夜を過ごしたかった……というのがあの夜の真実でした。

塔子の決断

家に帰ると、不機嫌な表情の夫。

塔子は我慢の限界を超えて、ついに本音をぶちまけます。

※以下、小説より一部抜粋

「私は、あなたの家に家具として搬入されたわけじゃないんだよ」

「なに言ってんだよ。家具みたいに思ってるなんて、俺、一言も言ってないだろう。そういうの被害妄想だよ」

「被害妄想はあなたのほうでしょう? いつだって機嫌が悪くなると、私の失言みたいに怒るけど、私の話をちゃんと理解して受け入れてくれたことないじゃない。そのうえ、どうして先に麻子さん(姑)の意見を」

すると、夫はふいに、あー、と思いついたように声を出した。

「分かった。塔子はさ、おふくろに嫉妬してんだよ。だけどそれが言えないから、そういう小難しいこと言って怒るんだよ」

「嫉妬っ!?」

その単語を聞いた瞬間、両腕に鳥肌が立った。

(中略)

病気が再発したことを頑として告げなかった鞍田さんを思い出す。

あの人に私の人生を今からすべてあげることはできない。

それはすでに半分は翠(娘)のものだ。

それでも――。

「私、この家を出る」

そう宣言したら、急激に胸のつかえが取れたみたいに軽くなった。

「この家を出る?」

夫が復唱した。自分にもう一度問い直す。

やっぱりちっとも淋しくなかった。

なんて自由で清々しい選択肢なんだろう、とさえ感じた。

夫の制止を振り切って、塔子は翠ちゃんを連れて家を出ます。

向かったのは鞍田が保有している鎌倉の別荘。

といっても、鞍田がそこで待っているわけじゃなくて、本当に家を借りるだけです。

以下は、塔子が鎌倉の家から鞍田に電話をかけるシーン。

「……あなたが、来ると思ってた」

絞り出すように言うと、彼はすっと厳しい声になって

「うん。でも、俺は行けないよ」

と諭すように言った。

すべて事情を分かっていても言ってしまう。私は子供だ。

なんて身勝手なのだろう。

涙が止まらなくなる。

「会いたいです」

「俺だって会いたいよ」

彼はまっすぐに告げた。

(中略)

「今だって一緒にいたいよ。どうせ入院したって助かる保証もないんだったら、いっそ寿命を縮めても君のそばにいて幸せに暮らしたい。だけど、それで俺が先に逝って、残された君はまだ小さな子を抱えてどうする? 夢は覚めるし、いつか現実とは向き合わなきゃいけないんだ。いや、違うな。えらそうなこと言ったけど」

「はい」

「期待、させないでくれ」

彼は絞り出すように言った。私は強く目をつむって、言った。

ごめんなさい。

この会話の直後、鞍田は遠回しに塔子に「愛している」と伝えます。

誰に対しても踏み込むことができず、これまで心から誰かを愛することができなかった鞍田。

そんな鞍田がぽろりともらしたその言葉には、どうしようもなくウルっとさせられました。

結末

お互いに冷静になるための期間を置いてから、塔子はあらためて夫と話し合いました。

今度は夫も落ち着いていて、塔子の言い分にもちゃんと耳を傾けてくれます。

そして……

「三人で暮らそうか」

突然、夫が切り出した。

私はびっくりして、カップを置いた。

「塔子の気持ちはよく分かったよ。たしかに、いいよな。こんなふうに自分の家があって、夫婦でゆっくり会話したり、たっぷり翠と過ごしたり。別に実家だって、そんなに離れなければ、いつだって行けるわけだし」

「真君(夫の名前)。本当に、そう思う?」

「うん。思うよ。だから、とりあえず帰ろう。塔子。それで、おふくろとも話そう」

私はまだ信じられなかったけれど、ひさしぶりに心の芯から夫を頼る気持ちになって頷いた。

これにて一件落着。

結局、落ち着くべきところに落ち着く結末ね、と思ったのですが……

なんと夫はあっさり母親(姑)に説得されてしまいます。

「私だって、いきなり真や翠ちゃんが離れちゃったら、淋しいじゃない」

「いや、それは俺だって、本当に心配なんだよ。だから正直、俺は別に家を出たいなんて思ってなくて。今のままでも、十分に満足だし」

こっそり夫と姑の会話を聞いていた塔子は、完全に心が折れてしまいました。

そのまま音を立てずに、家から飛び出します。

もう家には戻りたくない。

かといって鞍田のところにも行けない。

気がつけば駅に来ていて、ちょうど電車がホームに入ってくるところ。

なんだか嫌な予感全開のシチュエーションで、最後の一文は……

 

『私は少しずつ、足を前に踏み出していた』

 

エピローグ

安心してください。塔子は線路に飛び込んだりしていません。

※そうとれるような書き方でとても不安になりました(汗)

あと、「最後の一文」と書きましたが、本当はまだエピローグが残っています。

エピローグは大きく前半後半に分かれていて

  • 前半では十数年後の状況(翠視点)
  • 後半では塔子と鞍田が最後に会ったときの場面(塔子視点)

が描かれています。

では、まずは前半の内容から。

《エピローグ前半》

翠は成長していて、中学生か高校生。

塔子は夫と離婚していなくて、夫の実家から出てマンションで3人暮らししています。

本編の後、どうやら塔子はいろいろと吹っ切れたみたいで、今は義両親とスッパリ距離をとっている様子。

夫に対してもズバズバ言いたいことを言っていて、まるで別人のようにたくましくなっています。

一方、翠は天使のように無邪気だった二歳児の頃とは打って変わって、なにやら思い悩んでいる様子。

「父方の祖父母と母親の折り合いが悪いのは自分が本当の子どもではないからではないか?」と思い込んで、ついには自ら命を絶とうとしたり……。

翠がそんなふうに誤解してしまったのは、うっすらと残っている幼いころの記憶が原因でした。

それは、塔子が翠を連れて最後に鞍田に会った時のこと……

 

《エピローグ後半》

本編ラストから約半年後。

塔子は夫と別居していて、いつ離婚してもおかしくない状況でした。

そんななか、塔子は翠ちゃんを連れて鞍田に会いに行きます。

夏の鎌倉。海辺の砂浜。

治療を終えて退院した鞍田は、嬉しそうに、そしてとても自然に翠ちゃんと遊んでくれます。

※以下、小説より一部抜粋

二人を眺めていた私はふいに呆然とした。

どうしてこの二人が親子じゃいけないのか分からなくなっていた。

茫漠としたイメージが具体的な手触りを持って立ち上がりかけたとき、鞍田さんがすっとかがんで、(肩車から)翠を下ろした。

ありがとうございます、と私はお礼を言った。

そのとき、うつむいた翠がため息をついた。

本当に、ごく一瞬。

本人さえも気づいていないくらいに小さく、緊張から解放されたように。

黙り込んだ私に向かって翠は、ママーっ、と走り寄ってきた。

「君たちは、今日の予定は?」

鞍田さんは、こちらの動揺には気づくことなく言った。

「はい。お昼を食べたら、帰ろうかと。あんまり遅くはなれないので」

(中略)

翠はそっと私を見上げて言った。

「ママ、美味しいもののお店にはパパも来る? みどちゃんはね、パパとママで行きたい」

その瞬間、揺らいでいたすべてが砂に書いた文字のように消えるのを感じた。

鞍田さんが聞こえなかったふりをして、すっと目をそらした。

私は目をつむってから、すぐに開いた。

私はなにごともなかったふりをして、鞍田さんに声をかけた。

「翠がお腹を空かせてるみたいだから、そろそろお昼に行こうかと思います」

鞍田さんは不意を突かれたように、ああ、と声を出した。

「俺は、ちょっと犬を連れてるから。いったん戻ってから、追うこともできるけど」

私はつかの間、黙ってから

「もしかしたら席がないかもしれないから、空いてたらお電話しますね」

と返した。

(中略)

「じゃあ、ここで」

と私は翠を抱いたまま、頭を下げた。

鞍田さんは今度こそはっきりと滲むような目をして

「また」

と強く言った。

終わったのだ、と突然、悟った。

熱い涙が頬を流れた。

振り向いたらきっと鞍田さんはまだ見送っていると思った。

今すぐに戻ってきてほしいという目をして。

だからまっすぐ歩いた。

見えなくなるまで。

翠の重みで、サンダルの踵は砂に何度も埋もれた。

これが小説『Red』のラストシーンです。

塔子は鞍田と一緒になる未来に心が傾いていたのですが、幼い翠ちゃんの言葉がすべてをひっくり返し、塔子と鞍田の関係を断ち切ったんですね。

なんともいえない切ない結末でした。

ぱんだ
ぱんだ
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エピローグ後半では、別居中の夫が塔子にあてた手紙も印象的でした。

ざっくりまとめると

  • 厳しい家庭に育ち、母だけが味方だった
  • 周囲からはマザコンと呼ばれ、女性と付き合うのが怖くなっていた
  • 本当は塔子が初めての恋人だった
  • 今でも愛している

という内容です。

至らないところが多々あったにせよ、夫も別に悪いやつじゃないんですよね。

だから、家族三人で実家から離れて暮らすという選択肢は、それはそれでアリだったのではないかと思います。

感想

地の文が、すごい。

これが小説『Red』を読んでいちばん思ったことです。

※地の文……セリフ以外の文章

ぱんだ
ぱんだ
え、そこ!?

もちろんストーリーや登場人物に対する感想もいっぱいあるのですが、なにより感動したのはやっぱり地の文でした。

たとえば、こんな文章。

『女性扱い。どうしてその欲求からこんなにも逃れられないのだろう』

『女という性を内包したまま、母親という役割を生きることがどれほど危ういか。あれほど軽薄で自分勝手だとわかっていた小鷹さんにさえも、言い寄られたらあっけなく傾いてしまうくらいに。もうこんな機会はないかもしれない。夫と子供までいる自分にアプローチしてくれる。そう考えてしまうことが私の弱さだ。自覚はあるのに』

『いずれ私たちは子供をつくるために抱き合うことになるのだろうか。そのほうが本来の機能としては正しいはずなのに、とっさに強い嫌悪感を覚えた』

一部分だけ切り出しても伝わらないかもしれませんが、読んでいて何度も深く頷いたりハッとさせられたりしました。

普段もやもやと感じているあやふやな感情が、寸分のズレもなく言語化されている感動、とでもいいましょうか。

「それ、わかる!」

という共感がすごかったです。

そんな共感MAXな地の文が数ページに1つは必ず登場するものですから、これはもうバイブルですね。

もちろん読む人によって感じ方は異なると思いますが、女性、特にアラサー世代の女性にはぜひとも一度は読んでほしいと思います。

「どっからその表現もってきたの!?」とびっくりするくらいあなたの気持ちにピッタリな地の文がきっと見つかるはずです。

ぱんだ
ぱんだ
島本理生さんホントすごい

彼氏、夫に読ませたい小説No.1

さきほど「アラサー女性に読んでほしい」と書きましたが、ぜひ読んだ後は彼氏さんや旦那さんに読ませてください。

小説『Red』では塔子の夫である村主真が一種の敵役として描かれています。

「自分では夫としてちゃんとやってるつもりの勘違い野郎」ってとこですね。

真はイケメンで高収入で家柄も良くて紳士。

一見、非の打ち所がない夫ですが、そんな長所は別にどうだっていんです。

真はあまりにも塔子のことをわかっていません。

いや、正確にはわかろうとしていません。

自分が正しいと思い込んでいて、意見が食い違うと塔子のほうが間違っていると決めつけてハイ終わり。

塔子が勇気を出して夫婦の営みについて相談しようとしたときなんか「女性からそういうこと言い出すのは好きじゃない。萎える」なんて言い出す始末。

アホか!

もうね、塔子のことを所有物かなにかと思っちゃってるんですよ。

妻であり母である『装置』として見ていて、ひとりの女性であることを忘れちゃってるんですよ。

アホか!

……とはいえ、別に村主真はダメ夫として極端な例ではない、と思います。

こういう人、めっちゃいますよね。

夫婦や恋人の問題はどちらか一方だけに非があるものではないと思いますが、それでも世の男性が女性についてあまりにも無知なのはたしかです。

※まあ、逆もまた然りなんでしょうけどね……

『Red』を読んでもらえば、きっと「村主真みたいになるのはごめんだ」と反面教師にしてくれるはず。

というわけで彼氏さんや旦那さんにも、ぜひ。

余談ですが、映画『Red』で村主真役を演じた超絶イケメン間宮祥太朗くんも次のようにコメントしています。

どうなろうとも女性が女性であるという事を忘れるべからず。
私はまだ結婚した事も子供を持った事もありませんが、いつかのその時の為にその事を覚えていなければと思いました。思ったと言うよりも痛感したと言った方が近いかもしれません。
自分が演じた真と同じ轍を踏まない様に。

あの間宮くんですら「気をつけたい」と言っているのですから、いわんや世の殿方をや、って感じですね。

まとめ

今回は島本理生『Red』のネタバレと感想をお届けしました!

では、最後にまとめです。

3行まとめ
  • 塔子と鞍田はくっつかない
  • 塔子は夫と離婚しない
  • 結末ではたくましくなった塔子が描かれている

「村主塔子っていう人は実在してて、赤裸々に経験談を書いたんじゃないか?」ってくらいに30代女性既婚子持ちのリアルが描かれている小説でした。

鞍田と一緒にならないのが切ないんですけど、それもまた《現実》って感じがします。

文庫で500ページとボリュームがあるので、時間がない方は映画をチェック!

ちなみに『Red』というタイトルの意味は

「赤は官能的かつ危険を帯びるというイメージがある(から)」

ということだそうです。

実際、作中ではめちゃくちゃベッドシーン多かったです(映画はR15指定)

映画情報

キャスト

  • 村主塔子……夏帆
  • 小鷹淳……柄本佑
  • 村主真……間宮祥太朗
  • 鞍田明彦……妻夫木聡

おおむねイメージ通りで素敵なんですが、小鷹だけは原作と違いすぎる……。

柄本さんは好きなんだけど、小鷹は可愛い系のイケメンだったはずなのに……。

公開日

2020年2月21日(金)公開

ぱんだ
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またね!

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