山崎紗也夏『レンアイ漫画家』を読みました!
天才だけど変人な少女漫画家(おっさん)に脅されて、ネタ提供のための恋愛をすることになるヒロイン。
ふつうなら最後には少女漫画家とゴールインしそうなものですが……?
- 痛すぎる失恋
- 炎上騒動
- まさかの電撃結婚!?
今回は漫画『レンアイ漫画家』結末までのあらすじネタバレをお届けします!
同名ドラマの原作漫画ですが、ドラマでは設定がそこそこ変更されています。詳しくは後述。
あらすじ
久遠あいこ、葬儀屋に勤める23歳。
彼女は昔大好きだった男の葬儀で、その兄、他人を見下す男・清美(きよみ)と、彼の子供、愛想のない子供・レンと出会う。
あいこはお節介で、レンの叔父にあたる清美に身寄りのなくなってしまったレンを引き取ってほしい、とお願いした。
清美はとんでもない条件を突きつける。
「オレの下僕になれ!」
(モーニング公式サイトより)
補足
清美の発言があまりに突拍子もなさすぎるので、ちょっと補足を入れます。
要するに清美は「(自分の甥っ子である)レンを引き取ってほしかったら、(赤の他人である)あいこが下僕になれ」と言ってるんですね。
はい。意味不明です。
普通なら「は?」と眉をひそめて断るところです。
ところが、あいこは漢気(おとこぎ)のある性格というか、面倒見がとってもいいタイプでして。
幼くして両親を失ってしまったレンくんのために、なんと清美の条件を受け入れてしまいます。
あいこ「やるよ。だから約束、守れよ」
少女漫画ならここから清美とあいこのラブストーリーが幕を開けるところですよね。
しかし、清美は【下僕】であるあいこに、予想外の要求を突きつけるのでした。
「恋愛しろ。俺のために、だ」
※担当編集である向後による意訳↓
「漫画の話づくりのために、あいこさんの恋愛体験を参考にしたいんです。恋の過程を教えてほしい」
ネタバレ
【清美にネタ提供するため、誰かと恋愛しなければならない】
なんとも奇妙な状況に立たされたあいこですが、いざミッションが始まってみると悪いことばかりでもありませんでした。
指定された恋の相手の名前は早瀬剛(はやせつよし)
- 建設営業
- さわやかイケメン
- 親切だし紳士
非の打ちどころのない早瀬との恋愛はとんとん拍子に進み、いつしかあいこは本気で早瀬のことを好きになっていました。
次のデートではついにお泊り……!
あいこはすっかり上機嫌です。
あいこ「なんか、感謝。仕事柄出会いもないしさー。早瀬さんかっこいいし、あんな素敵な人と出会えたんだもん。ありがとう」
ところが、です。
清美はそんなあいこの浮かれっぷり目の前にして、表情一つ変えずに言い放ちました。
「よし、次は別れてこい」
清美が欲しかったのは「恋の始まりから終わりまで」の過程であり、最初からあいこを別れさせるところまでがセットだったのです。
もちろんあいこは「絶対無理!」と抗議しました。
あいこ「お互いもう真剣なんだけど!」
けれど、清美に「子ども(レン)捨てるぞ」と最低な脅し文句を言われてしまうと、もうあいこには選択肢なんかありません。
結局、あいこは本気で恋していた早瀬を一方的に振ることになってしまったのでした。
早瀬「残念だな……さよなら」
※早瀬はあいこが清美の命令で恋愛していたとは知りません。かわいそうなやつ。
あいこの恋、続々
ここからあいこは3人の男性といい感じになります。
名前 | 備考 |
前田 | 仕事で接点のある花屋 |
大倉シンゴ | レンの担任の先生 |
二階堂藤吾 | 職場の新人で、ダンサー |
しかし、結論からいえば誰とも恋人になることなく、三連敗します。
清美に強制的に別れさせられたから、ではありません。
いつのまにか相手が元カノとよりを戻していたり、結局同僚(友だち)以上には見られなかったり、ふつうに恋が進展しなかったんですね。
これにはさすがのあいこも激しく落ち込みました。
あいこ(全力で愛したい 誰か)
……と、なると?
あいこの目はいよいよ「気づかなかったけど身近にいた人」に向けられます。
そう、印象最悪の変人漫画家・刈部清美です。
刈部清美
刈部清美、36歳。職業は少女漫画家。
掲載誌のアンケートでは常に1位を走り続けている超売れっ子作家で、一言でいえば天才です。
※代表作『銀河天使』は既刊46巻
レンを引き取るまで一人で住んでいた家はちょっとした豪邸で、間違いなく高収入。
いわゆる《成功者》と言って差し支えないプロフィールですが、その実態はイメージとはあまりにもかけ離れていました。
浮浪者のように小汚い身なり。
引きこもりで重度のコミュ障。
外に出たかと思えば職務質問の嵐で、しかもそれを自分では解決できない。
※編集者の向後に助けてもらう
まるで漫画の才能と引き換えに人として最低限の能力をすべて差し出してしまったかのような人物、とでもいいましょうか。
気難しくて偏屈で頑固で、清潔感もなければ会話も成立しない。
とてもじゃないですが、そんな清美を異性として好きになる女性が現れるとは思えません。
……けれどなんと、現れてしまうんですよねえ。しかも2人も。
結婚
1人目は、もちろんあいこです。
長い時間を一緒に過ごすうち、あいこの清美に対する印象は少し変化していました。
いつも傲慢で上から目線に見えるのは、実は人との接し方がわからないだけなのでは?
不器用なだけで、悪い人ではないのかもしれない。
ふとした瞬間に清美の優しい一面を垣間見てからというもの、あいこはそう思うようになりました。
「刈部くん、いいと思うわよ。あの人は真っすぐ」
人生経験豊富な15歳年上のあいこの姉も、清美をそう評します。
実際、清美の漫画にかける情熱は並外れたもので、たとえ体が壊れようと描くことを止めようとはしませんでした。
これまで欠点に見えていた部分がただ「不器用さ」の裏返しで、本人に悪意がなかったのだとしたら?
本当は漫画にどこまでも真っすぐな尊敬できる人だとしたら?
いつのまにか、あいこは清美のことが好きになっていました。
そして、ひょんなことから二人は急展開を迎えることになります。
結婚、です。
漫画一筋の清美はいつもどおり「どうでもいい」といった態度で、さらさらと婚姻届にサイン押印してしまいました。
一日だってつきあってないけど、それでも夫婦は夫婦です。
そんなわけで金條カレンは計画通り刈部清美の妻になったのでした。
金條カレン
清美を好きになった2人目の女性、金條カレン。
刈部と同じ少女漫画家で、掲載誌のアンケートでは常に二位につけている人気作家です。
彼女は昔からずっと刈部眞理子(清美のペンネーム)のファンで、心の中で「お姉さま」と呼び慕っていました。
はい。実は刈部真理子の正体が男であることは秘密にされていて、レンを引き取るまでは向後の他には編集長しか知らないトップシークレットでした。
人気少女漫画家の正体が男……それも清美みたいな偏屈なおっさんだと知られるのはやっぱりマズいですからね。
ところが、金條カレンは熱心なファン心が高じて「刈部眞理子の正体」という最高機密を嗅ぎつけてしまいました。
というのも、金條の姪っ子がたまたまレンと同じクラスで、そこから情報が漏れてしまったんですね。
金條カレンは最初こそ「刈部眞理子は男だった」という事実にショックを受けていたものの、持ち前の強いメンタルで立ち直ると、清美を相手になんと婚姻届にサイン押印までさせてしまいました。
といっても、厳密には金條カレンは別に清美が好きというわけではありません。
金條カレンはあくまで「刈部眞理子」のファンです。
清美の作家としての才能に心酔してはいても、清美の人間性には少しも興味がありません。
とはいえ「刈部眞理子」の新妻として喜色満面で(ハイレベルな)食事を用意したり、家のこと全般を取り仕切る金條カレンは幸せいっぱいです。
せっかく恋心が芽生えたと思った矢先に失恋してしまったあいこは、レンの保護者代わりという役割まで失い、いよいよ刈部宅に出入りする理由までなくなってしまったのでした。
大事件
そんななか、重大な事件が起こります。
身バレ、炎上
金條カレンのアシスタントから漏れた情報が巡り巡って、刈部眞理子の正体がSNSで拡散されてしまったのです。
- 「詐欺だ」
- 「ガッカリした」
- 「もう読まない」
心無い(元)ファンたちはSNSで騒ぐだけに留まらず、清美の家を特定して押しかけて来さえしました。
いくら世情に疎い清美でも、さすがに何が起こっているのか気づきます。
といっても、図太い精神の持ち主である清美は炎上もどこ吹く風で気にしない……かと思われたのですが……
庭に目をやれば、ぞんざいに投げ込まれた漫画の数々。
清美にとって魂に等しい作品たちが雑に捨てられている光景は、ぽっきりと彼の心を折りました。
連載開始から初めての休載。しかも二号連続。
次の号こそ落とせないのに、原稿は真っ白のままです。
そして……
清美「もう描かねえ」
とうとう清美は筆を折ってしまいました。
けれど、清美から漫画を差し引けば、あとには何も残りません。
連載当初から連れ添った向後は激怒し、金條カレンは幻滅して去っていきました。
※実は婚姻届は役所に提出されておらず、清美と金條はまだ夫婦になっていなかったのです。
そんななか、あいこは今さら清美の漫画を読み始めました。
刈部宅にふらりと来ては、時間が許す限り読み進めました。
清美のため、ではありません。
ただただ漫画がおもしろかったから。
最終回
清美にどんな心境の変化があったのかはわかりません。
けれど、きっと何か、思うところがあったのでしょう。
清美「邪魔だ出てけ。……描く」
清美は再び漫画を描き始めました。
一方、あいこ。
結局、清美は金條カレンと結婚していなかったわけで、そうするとだいぶ話が変わってきます。
あいこ「私、アパート引き払って引っ越すから。一緒に住んでいい?」
押しの強さで部屋あまりの苅部宅に住み始めたあいこ。
金條カレンがいなくなった穴を埋めようと慣れない家事に挑戦してみては、失敗ばかり……。
客観的には「同棲」みたいなものですが、清美は相変わらず無口だし部屋にこもっているしで、何を考えているのかわかりません。
あいこ(清美さんてどう思ってんだろ……)
とはいえ、すっかり完成している清美の偏屈な性格が一夕一朝で変わるはずもなく、まともな恋愛に発展するなんて夢のまた夢だと、あいこも今ではすっかり理解しています。
そんな、ある日のこと。
あいこがレンくんと近所の川辺を歩いていると、珍しいことに清美から電話がかかってきました。
「え、清美さん!? ウソ……え? なに……?」
戸惑うあいこの耳に、いつもどおりそっけない清美の言葉が聞こえてきます。
「一緒にいろ」
メッセージはそれだけ。
けれど、あいこにはそれだけで十分でした。
「あいこ!」
立ち止まってしまったあいこに、先を歩いているレンくんが声をかけます。
「うんっ」
あいこはレンくんのほうへ、そして清美の待つ家へと駆けだしました。
<完>
エピローグ
以下のエピローグは最終回の1話前に掲載されたもの(49話)です。
掲載順では最終回より前なのですが、内容的には明らかにエピローグだったため、順番を入れ替えています。
―8年後―
あれから長い月日が流れました。
清美の漫画『銀河天使』は80巻まで刊行されていて、まだ連載中。
向後は編集長になり、レンくんは高校三年生になっています。
※レンくんと金條カレンの姪っ子(麻央)は小学生からの幼なじみで、そのうち恋人になりそうな雰囲気です。
では、あいこと清美は?
あいこは葬儀社をやめて、いまは向後と同じ会社で編集者をしています。
※ちなみに金條カレンの担当編集者です
清美とはつかず離れずの関係が続いていて、今ではもう刈部宅には住んでいません。
金條カレン(ああいう関係もいいのかもね)
清美はというと、外見も中身もびっくりするくらい変わっていない様子。
ただし……
清美「……あいこはどうしてる?」
向後にあいこの様子を尋ねるくらいには、気にしているようでした。
<完>
ラストの感想
わかりやすいハッピーエンドではありませんでしたが、清美とあいこらしくていいな、と思いました。
あれだけ偏屈に描かれていた清美があいこにデレデレになってたりしたら、むしろちょっと気色悪いですしね(笑)
不器用で煮え切らない大人二人の代わりにレンくんと麻央(金條カレンの姪っ子)がいい感じに甘酸っぱい雰囲気になっていたのが良かったです。
ドラマでは設定が違う
ドラマ『レンアイ漫画家』は原作と比べてかなり設定が変えられています。
※以下、ドラマ公式サイトのイントロダクションより抜粋
………
今作は、漫画一筋で恋愛下手なレンアイ漫画家と“ダメ男ホイホイ”と呼ばれる崖っぷちアラサー女子、そんな恋に不器用な二人の、笑えて、ほろっとくるハートフルラブコメディーです。
主人公・刈部清一郎(かりべ・せいいちろう)は、人付き合いが苦手の変わり者で、外に出ることもほとんどなく、常人には理解できない思考回路を持つ天才漫画家。
(中略)
一方、夢無し、彼無し、仕事なしのアラサー女子・久遠あいこ(くおん・あいこ)は、初恋の人の葬儀で、その兄の清一郎と衝撃の出会いを果たします。
「俺のためにレンアイしろ!」と清一郎があいこ出したとんでもない仕事の依頼。
それは、漫画のネタのために疑似恋愛のミッションをする、というものでした。
清一郎のむちゃぶりのもと、疑似恋愛相手と淡い恋に発展したり、発展しなかったりの悲喜劇を繰り返すあいこ。清一郎と喧々諤々(けんけんがくがく)、丁々発止を繰り広げていくのですが……。
恋愛を始めることが難しい現代にお送りする、不器用だらけのコミック・ラブストーリーです。
…………
ざっと原作との違いを抜き出すと
- あいこの年齢が上がってる
- あいこが無職になってる
- 清美の名前が変わってる
- 清美のキャラが柔らかくなってる
- ラブコメ……?
といったところでしょうか。
※あと清美は鈴木亮平ほどカッコ良くない!
基本的な設定は踏襲しつつ、とっつきやすい(≒王道の)ラブコメに路線変更した感じですね。
おそらく結末も原作とは違って、清美(清一郎)とあいこがくっつくような形になるのではないかと予想します。
ドラマ情報
キャスト
- 鈴木亮平
- 吉岡里帆
放送日時
- 2021年4月スタート
- 毎週木曜夜10時~(フジテレビ)
まとめ
今回は山崎紗也夏『レンアイ漫画家』のネタバレあらすじをお届けしました!
ジャンルとしてはラブストーリーに分類されるのだと思いますが、清美とあいこの間には最後まで明確な恋愛めいたシーンがありません。
けれど決してバッドエンドというわけではなく「いつかもっと年を取ってからくっついたりするのかな」と想像させるような、ほんのり温かい素敵なラストでした。
おまけ
作中ではあいこの姉がすごくいいキャラクターだったのですが、なかでも「名言だな」と思うシーンがあったのでご紹介します。
以下、お姉さんがあいこに「早く結婚しな」とすすめる場面です。
…………
(あいこ)「結婚とかさあ、いいなとは思うけど、もっとさぁ……こうっ、自然ななりゆきに任せたいんだッ」
(姉)「自然ななりゆき? 結婚て不自然な作業よ。100%満足なんかないから、無理でもしなきゃ決断できない。勢いでしてしまった方がいいのよ」
「そ、それって……幸せなの……?」
「そうね、バカみたいなことでケンカして、我慢もいっぱいして、ウンザリすることもいっぱいあって……でもね、それでもね……
おつりがくるほど2人って楽しいわよ」
…………
以上、わたしが好きだったシーンでした。
山崎紗也夏『レンアイ漫画家』を読みました❗️
人気少女漫画家(男)に命令されて、ヒロインがいろんな恋愛を経験していく、というお話
ふつう最後にはその少女漫画家と恋に落ちそうなものですが……?🤔#鈴木亮平 さん主演でドラマ化予定
⬇️原作漫画のあらすじhttps://t.co/1fIgIo3Piy
— わかたけ@読んでネタバレ (@wakatake_panda) February 7, 2021
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