今回は映画「散歩する侵略者」について!
- 宇宙人って結局なんだったの?
- あの結末は、どう解釈すればいいの?
ラストは謎が残ったままというか「読者の想像に委ねる」的な最後でした。
なので今回は改めて諸設定について解説しつつ、特に結末について私なりに解釈していきたいと思います!
ネタバレ解説
『絶望がやってきた。愛する人の姿で』
これは映画原作小説の帯に書かれていたフレーズです。
「散歩する侵略者」というタイトルは作中に登場する「宇宙人」を形容した言葉ですが、そもそもこの「宇宙人」という存在についての設定が一風変わっていて面白いですよね。
まずは作品の要である「宇宙人」について整理していきましょう。
宇宙人とは?
作中に登場する宇宙人は3人。
加瀬真治、天野、立花あきら。
彼らはもともとただの人間でしたが、ある日を境に「宇宙人」に変わってしまいました。
いや、より厳密に言えば「宇宙人でもあり人間でもある状態」に変わった、と説明した方が正確でしょうか。
というのも、作中に登場する「宇宙人」には物質としての実体がないんですね。
桜井の言葉を借りれば「脳という神経ネットワークの上を走る、プログラムのようなもの」
彼らは人間を「乗っ取る」ことで、初めて世界に干渉できるようになります。
ただし、ここが面白いところなのですが、宇宙人には「人格」はありません。
彼らは宿主である人間の思考回路や記憶をそのまま自分のものとして使っているのです。
だから宇宙人に乗っ取られたといっても「人格が上書きされた」わけではありません。
真治はこの点について次のように説明しています。
「俺は真治の上にいる。真治のため込んだ情報をそのまま使ってるんだ。そこから立ち上がってくる俺は真治そのものだろ。だからこそ思い出話を本当に笑うことができたんだよ」
・乗っ取られる以前の真治の意識は消失している。
・乗っ取られた後の真治は、以前と同じ思考ベースや記憶を持っている。
この状態を宇宙人と呼ぶべきか人間と呼ぶべきかは、判断が分かれるところでしょうね。
作中でも、桜井が彼らを「宇宙人」として認識していたのに対して、鳴海は「それでも人間だ」と結論付けていました。
★目的と手段
彼らの目的は「地球を侵略するための準備段階として、敵となる『人間』について調査すること」
彼らの言葉でいえば「この世界固有の概念を収集すること」です。
概念とは、例えば「自由、時間、信仰、愛情」のようなもの。
宇宙人たちは会話を通して相手に「概念」をイメージさせることにより、その概念を奪うことができます。
概念を獲得したことにより宇宙人はその概念を理解できるようになるのですが、それは言い換えれば「概念を収集すればするほど人間に近づいていく」ということ。
結末で「愛」を獲得した真治は「もう自分が宇宙人なのかどうかわからない」と考えています。
この状態の真治が宇宙人なのか人間なのか…この部分に関しても意見が分かれるところでしょうね。
一方、概念を奪われた人間は、その概念を失うことになります。
例えば「愛」が奪われれば「言葉としての『愛』は知っているが、人からの愛を感じることも、人を愛することもできない」という状態になります。
家族の概念を奪われた明日実は、家族という人間関係を理解できなくなり、両親や姉を「知らない人」「怖い人」と認識するようになりました。
来る侵略も脅威ですが「概念を奪われる」という現象もゾッとするほど恐ろしいものですよね。
★結局、宇宙人って何?
「宇宙人」という呼称が便宜上のものであるということは、彼ら自身が口にしています。
作中では「他の星から来た存在なのか?」という点には言及されておらず、彼らがどこへ「帰る」のかも判然としません。
※彼らは任意のタイミングで「帰る」ことができます。その際、憑依していた人間の肉体(生命)は活動停止します。
要するに、何もかもが謎。※結論
ただ、ふと思うのは「彼らが実体を持たない存在なのだとしたら、どうやって地球を侵略するつもりなのだろうか?」ということです。
「侵略=暴力的に地球を支配する」というイメージで合っているのなら、彼らには実体が必要なはず。
例えば、今回の「宇宙人」は彼らの真の姿ではなく、彼らが収集した概念を持ち帰った先に実体を伴う宇宙人がいる…というのなら少しは納得できそうです。
※その場合「実態を持たない宇宙人」は本当の宇宙人にとっての道具(プログラム)のような存在なのかもしれませんね。
あるいは、彼らの言う「侵略」は戦闘行為を伴うものではない、という考え方はどうでしょうか。
今回の3人のように、いつの間にか地球人全員が宇宙人と入れ替わっていたとしたら?
…かなりゾッとする想像ですが、それはそれで「侵略」と呼べるものでしょう。
もしかしたら、彼らはそういう存在なのかもしれません。
結末の解釈は?
「散歩する侵略者」の結末をざっくりまとめると…
- 鳴海から「愛」の概念を奪ったことで真治が極限まで人間化する
- 人間になったことで、真治は愛する鳴海から「愛」を奪ったことに絶望する
- 鳴海を元に戻したい。あるいは鳴海のために何かがしたい
- 意味深なラスト一行「もう逃げない。僕はね、君たちに話があるんだ」
こんな感じでしょうか。
「あとは読者の想像に任せる」タイプのラストですね。
私は正直「え、ここで終わり!?」とビックリしてしまいました。
もし映画でも同じラストなら、何人かは私と同じ驚き方をすることでしょう。
個人的にもこのままではスッキリしないので、この結末をどのように解釈すればいいのか考えてみることにしました。
★結末の解釈は?
まず注目したいのは、やはり意味深な最後のセリフ。
「もう逃げない。僕はね、君たちに話があるんだ」
文脈的に、ここでの「君たち」とは「人類」のことを指しているのだろうと思われます。
だから、このセリフの解釈はこう。
「もう逃げない。僕(鳴海のことを誰よりも愛する夫であり宇宙人)はね、君たち(人類)に話があるんだ」
では、「話」とは何か?
このときの真治にとって何よりも優先したいのは鳴海のことであるはずです。
目的があるとすれば
- 侵略によって鳴海に害が及ばないようにしたい
- 鳴海がいるこの世界を守りたい
- 鳴海を元に戻したい
といったところでしょう。
ということは…
「話がある」とは「人類にとって有益な情報を提供する」という意味合いのはず。
つまり、真治は宇宙人側を裏切って人類に味方するつもりなのではないでしょうか。
宇宙人の一員である真治ならば、彼らの侵略から身を守る方法を知っていてもおかしくありません。
また、もしも真治が宇宙人側に帰らなかったとすれば、調査(概念収集)は不十分ということになるので、それだけでも侵略を遅らせることができるかもしれません。
※もともと3人で収集した概念を補完し合う予定でした。ずっと入院していたあきらはほとんど概念を奪えていません。作中では天野が「真治の分を合わせればコンプリート出来る」と口にしているので、逆に真治の分がなければ不十分ということになります。
作中では、桜井が人類を守るためには「宇宙人の協力が必要だ」と考えています。
まずは宇宙人の存在を証明し、全ての情報を開示し、地球上の人類を(国境や人種を超えて)団結させる。
その後に、来るべき侵略に向けて必要な手順に取り掛かる。
結末の向こう側、そんなストーリーが続いていればいいな、と思いました。
そういえば「散歩する侵略者」に登場する日本では、隣国との戦争が始まっています。
より大きな脅威(宇宙人による侵略)に立ち向かうため、世界から戦争がなくなった。
そんな「結末の向こう側」もいいんじゃないでしょうか。
まとめ
今回は映画「散歩する侵略者」のネタバレ解説や、設定の解釈などをお届けしました!
宇宙人とは結局何だったのか?
意味深な結末のセリフの意味は?
私なりの解釈は本文のとおりだったのですが、見る人が違えば解釈も違ってくることでしょう。
映画を観終わったあと、一緒に行った人とそれぞれの解釈の違いについて話し合ったりしたい作品です。
映画『散歩する侵略者』の配信は?
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