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アニメ映画「あした世界が終わるとしても」あらすじとネタバレ!

劇場アニメ「あした世界が終わるとしても」がおもしろい!

全体的には王道の展開で、結末まで中だるみのないまとまった物語という印象でした。

今回は原作小説をもとに、アニメ映画「あした世界が終わるとしても」のあらすじとネタバレをお伝えしていきたいと思います!

あらすじネタバレ

あした世界が終わるとしても、別に構わない。

母が亡くなってから逃げるように仕事ばかりしている父にも、トレンドについて話すクラスメイト達にも興味はない。

僕の心を動かすのは、幼なじみの琴莉(ことり)くらいのものだ。

友達以上恋人未満の関係。

最近、琴莉はずっと僕からの『ケジメ』を待っている様子だ。

焦った僕の口からは、こんな言葉が出てきた。

「あした、デートしませんか?」

我ながらダサすぎるセリフだ。

それでも、「はい!」と元気よく答えた琴莉は嬉しそうだった。

 

翌日、デートは順調に進み、ついに告白のときが来た。

「僕は、琴莉のことが……」

さあ、これから言うぞ!と意気込んだその瞬間、琴莉の携帯電話が着信を告げた。

……最悪だ。

もはや告白の空気は失われてしまった。

 

父親からだと断って電話に出た琴莉は、みるみる顔を青ざめさせていく。

通話を切った琴莉は、こちらをまっすぐ見つめて言った。

「真……落ち着いて聞いて」

 


 

α世界-Ⅱ

父親が急死した。

最近話題になっている《原因不明の謎の突然死》だった。

琴莉からそれを知らされたのは、父である狭間源司が泉重工(琴莉の父親の会社だ)の研究所で働いていたから。

父親とは近頃疎遠になっていただけに、もっと言葉を交わしておけば、と胸が痛んだ。

……これで僕は、両親を失った。

こんな世界に期待することなんて、やっぱりない。

 

そんなことを考えながら歩いていると、突然声をかけられた。

「見つけた」

正面の男は、フードを目深にかぶっていて顔が見えない。

「……あんた、誰だ」

「ジンだ。お前を守りに来た」

 

そこからの出来事は、僕の理解の範疇を軽々と越えていた。

僕を狙って襲いかかってきた剣を持つ女の子。

その女の子から僕を守るように現れたドクロの面の人形。

どうやら巨大な人形の方はジンと名乗った少年が操っているらしい。

人形と女の子が激しく戦っている隙に、ジンは僕の手を引いて走り出す。

フードの下から現れたジンの顔は、僕とまったく同じだった。

……もう、わけがわからない。

とにかく僕は命を狙われていて、ジンは味方のようだけれど……。

 

やがて、僕たちはジンが拠点にしている廃墟へとたどり着いた。

ひとまず落ち着いたところで、僕はジンに状況の説明を求める。

ジンは真剣な表情で僕に言った。

「俺はお前だ。この世界と相対するもうひとつの世界から来た。俺とお前の命はリンクしている。どちらか片方が死ねば、残った片方も死ぬことになる」

ジンによれば、流行している突然死の原因はこの《2つの世界の法則》によるものらしい。

父・狭間源司が亡くなったのも、異世界でジンの父親が処刑されたからということだった。

「俺の両親は公女に処刑されたんだ。俺は公女の《相対》を殺すために来た」

ジンのいる異世界を、仮にβ世界とする。

そこは公女の独裁によって支配されている《日本公民共和国》

ジンの両親は優秀な科学者であり、僕たちのいるα世界とジンたちのβ世界を行き来する技術を確立し、遠隔人型兵器《アルマ》を開発したが、それらの技術は公女によって奪われ、2人は始末されたのだという。

 

ジンの話を聞いているうちに、僕はある事実に気がついた。

「公女って……琴莉なのか」

ジンの仇である公女の名は『コトコ』

その《相対》となる人物は幼なじみの泉琴莉に違いなかった。

……つまり、ジンは琴莉の命を狙っているわけだ。

僕は頭を抱えた。

なんてことだ。

あした世界が終わるとしても、別に構わない。

でも、琴莉だけは例外だった。

 


 

α世界-Ⅲ(琴莉)

あまりにも急すぎる展開だったから、起こったことだけを並べてみる。

1.どこかへ消えた真の行方を知っているという美少女と出会った

2.たどりついた廃墟に足を踏み入れると、恐ろしいドクロの面の人形が襲ってきた

3.人形の一撃が直撃する寸前、謎の美少女と意識が《リンク》した

4.そこからは頭も体も急に軽くなって、美少女と一緒にドクロの人形を打ち倒した

……以上。

 

信じられないことに、謎の美少女は生身ではなくロボットのような存在だったらしい。

名前は「ミコ」

私はミコと契約《フィックス》することによって、意識や感情を共有している状態にある。

だから、とても信じられないようなこの状況を、私はすぐに受け入れることができた。

・もうひとつの世界から来たジンの目的は、公女の相対である私を亡き者にすること

・ミコはジンを始末するために公女によって送り込まれた人工知能搭載型の人型兵器《マティック》

・《2つの世界の法則》によって、ジンと真の命はつながっている

 

「真は……私が守る」

私はジンから真を取り返すと、その場から離脱した。

ジンの《アルマ》と《マティック》であるミコの性能は段違いだ。

きっとこれからも、真を守っていくことができるはず。

……気がかりなのは、すっかり混乱して弱っている真のことだ。

両親を失い、妙なことに巻き込まれて、怖い思いまでして……。

でも、大丈夫。

これからは私が守ってあげる。

 


 

α世界-Ⅳ(真)

あした世界が終わるとしても、琴莉だけは守る。

そう思っていたのに、僕は何もできなかった。

僕を心配して「今日は泊まるから」と宣言した琴莉は、よほど疲れたのだろう、もうすでに寝息を立てている。

時刻はすっかり夜。

訪問者を告げるチャイムの音で玄関に出てみると、そこにはジンの姿があった。

 

「お前ら……どういう関係なんだ?」

とりあえず近くの公園へ移動すると、ジンは用件を切り出してきた。

当然の質問だろう。

僕は琴莉が幼なじみであることを説明した。

できればジンに思い直してほしかった。

でも……

「公女は今まで大勢の人間を殺して権力を維持してきたんだ。お前には悪いが、あいつだけは必ずこの手で始末する」

ジンの返答は、ある意味、予想通りだった。

 

……いや、ちょっと待てよ?

僕はジンの言葉にひっかかるものを感じた。

『あいつ<だけ>は』?

このところ、突然死と並んで連続殺人事件が世間を賑わせている。

ミコに確認すると被害者は全員、日本公民共和国の権力者である公卿(くぎょう)たちの相対ということだった。

だから、僕はてっきりジンが公卿の相対たちを手にかけていると思っていたのだけれど……どうやらジンは犯人ではないらしい。

なら、いったい誰が公卿の相対を消しているのだろう?

 

「真!」

僕の思考は、ジンの鋭い声によって中断させられた。

ジンの目線の先を追うと、そこにはミコそっくりな人影が見える。

人影の片腕は、すでに剣に変わっていた。

「見つけました」

言うや否や、ミコに似た少女はすさまじい勢いで迫ってくる。

僕はなすすべもなくその刃にやられることを覚悟した。

けれど、刃が僕の身体に届くよりも先に、ミコが少女の行く手をふさいでいた。

「やはり来たのね、リコ。状況が変わったの。説明をしたいから、武器を収めてくれるかな」

「わかりました。ミコ姉様」

すべては一瞬の出来事だった。

目まぐるしい展開に戸惑っていたのは、どうやら僕だけではなかったらしい。

「どうなっているんだ……」

ジンのつぶやきに、僕は心から共感した。

 

「あなた方にも、話したいことがあります」

ミコとリコから聞かされたのは、公女コトコの計画の全貌だった。

曰く、公女は独裁者ではなく、実際には公卿たちの操り人形。

日本公民共和国の実権を握り、圧政を敷いている黒幕は公卿たちなのだという。

公女コトコはそんな現状を憂い、国を公卿たちから解放するためにリコとミコをα世界に送り込んだ。

ミコの役割は琴莉を守ること。

そして、リコの役割は公卿たちの相対を始末すること。

「ジン、我々の目的は本来同じだったのです」

リコとミコ、そして僕はジンを見つめた。

真実を知った今、琴莉を狙う必要はもうないはずだ。

ジンはしばらく閉口していたけれど、3人分の視線に耐えかねたのか、やがて両手をあげた。

「あぁもう、わかったよ。休戦だ。これまでの苦労はなんだったんだよ、まったく」

 


 

α世界-Ⅴ(琴莉)

一時の休息。

今日は一日、ミコとリコ、それにジンと真を連れて遊びまわった。

戦いに身を投じる彼らに私ができることは、それくらいしかない。

ミコとリコは機械(マティック)というよりも年ごろの少女のようで、初めて目にする可愛いものや面白いものに夢中になっていた。

 

休日の夕暮れ。

ちょうど2人きりになったところで、私は真にチャンスを与えることにした。

「ジンとコトコもさ、ほんとは気が合うんじゃないかな。もしかしたら、そのうち普通に恋したりして。そのまま結婚とかしちゃえばいいのに……」

遠回しのプロポーズ。真はすぐに意味を察した。

「琴莉……それ、どういう意味か分かってんのか?」

「え? どういう意味?」

私はわからないふりをした。

真が大事なことを言おうとしているのがわかる。

真は姿勢を正して口を開いた。

「琴莉」

「ん?」

「僕は……君のことが」

 

β世界-Ⅰ(コトコ)

首都・新宿にそびえる公居。

公女の間のベランダから街並みを見下ろしながら、我は遠い日の記憶を思い浮かべた。

ジンは思えていないだろうが、公女に仕立て上げられる前の子供時代、我はジンと一緒に遊んでいた。

父親同士が仲が良かったのだ。

だから、国のためとはいえジンの父親を処刑しなければならなかったのは辛かった。

ジンはさぞ我のことを恨んでいるのだろう……。

 

胸に痛みを感じながら室内に戻ると、そこにはいつの間にか大勢の兵士と公卿たちが待ち構えていた。

我は一瞬で計画が露見したのだと悟る。

生き残った公卿たちと兵士に取り囲まれた時、我は計画が失敗したことの無念さよりも、異世界の琴莉のことを思った。

ごめんなさい、と。

 


 

α世界-Ⅵ(琴莉)

真の告白は、リコの絶叫によってさえぎられた。

「コトコ様!コトコ様が!」

異常に取り乱すリコを見て、私たちは計画の失敗を知る。

それがどういう意味なのか、私にはもちろんわかっていた。

「ごめん、真。私、もうすぐ死んじゃうみたい」

平気なふりをしようとしたけれど、ダメだった。

怖い。怖い。怖い。

どうしようもなく、怖い。

抱き寄せられた真の腕の中、どんどん体温が下がっていくのを感じる。

「真、助けて」

そう言った瞬間、私の人生は終わった。

真が私の名前を叫んでいるけれど、もう聞こえない。

あーあ、真を守りたかったな……。

 

β世界-Ⅱ(リコ)

私が駆けつけたときには、もう遅かった。

コトコ様は四方八方から剣に貫かれ、白い着物は暗い赤に染まっていた。

「これですべて、終わりだ」

公卿の重々しい宣言と同時に、コトコ様の首が切り落とされる。

ふと、公卿の一人がこちらを見た。

「コトコの残した人形か…。都合がいい。次の人柱はこれにしよう」

そうして、私は公卿に操られる次の公女になった。

「我は、公女リコである」

公卿たち全員とフィックスしたせいで、徐々に自我が虚ろになっていく。

私は……我は……我々は……誰だっけ?

 


 

α世界-Ⅶ(ジン)

琴莉が死んだ。

警察から戻ってきた真は、しばらく部屋に閉じこもっていた。

……無理もないだろう。

目の前で、誰よりも大切な人を失ったのだから。

 

琴莉を喪失したことによる停滞は、黒スーツの男たちの来訪によって破られた。

スーツの男たちに案内されてたどり着いたのは「泉重工東京研究所」

琴莉の父親の会社であり、真の父親が働いていた研究所だ。

そこで俺たちを待ち受けていたのは、琴莉の父にして大財閥のトップ・泉宗だった。

「無理やり連れてきて悪いね、真君」

威厳のある声とたたずまいだ。

「話してくれないか。琴莉に……君たちに何が起きているのか」

 

相対世界と現状についての説明は、すべて俺がした。

宗はあらかじめ状況をある程度把握していたようで、俺の話に驚くこともなく、最後にはゆっくりと頷いた。

「直ちに対策本部を設立する。もうひとつの日本からの接触に対し、万全の態勢を整えるんだ」

宗の号令によって、大人たちは慌ただしく戦いの準備を始めた。

 

……真とミコはずっと黙り続けている。

琴莉の遺志により、ミコは真しか《フィクサー》として受けつけなくなっているという。

日本公民共和国との戦いでは、ミコの戦力は不可欠。

……真は戦えるのだろうか?

 

「現れました!」

研究所員の叫び声と同時に、モニターに映像が映し出された。

行きかう人で埋め尽くされた新宿。

そこに突如として黒くグロテスクな人型兵器たちが出現していた。

そして、惨劇の幕が上がる。

無差別に市民たちを真っ二つにしていく怪物たち。

すぐに自衛隊が到着したが、まったく歯が立たないままに全滅した。

それだけではない。

兵器の侵攻と同時に、国を動かす閣僚たちが一斉に絶命した。

β世界で相対がまとめて処刑されたのだ。

それはつまり、政府中枢が機能停止したということに他ならない。

このままでは、α世界の日本は公国に乗っ取られてしまうだろう。

それだけは、なんとしてでも阻止しなくてはならない。

今この瞬間、事態を打破できる存在がいるとすれば、それはここにいる俺たちだけだ。

宗の指示によって、俺たちは現地へと急行した。

……だというのに、真はまだうつむいたままで、まるで戦意が感じられない。

現地に向かうトラックの中、俺はひとりで戦いを始めなければならないことを覚悟した。

 

現地に到着。

「俺が時間を稼ぐ。必ず来いよ」

真からの返事はない。

だが、今は信じるしかない。

真はもうひとりの俺だ。

だとしたら、きっと立ち上がれる。

 

《アルマ》の剣は、不気味な人型兵器を真っ二つにした。

どうやら研究所で施された改造が効いているらしい。

一対一なら確実に勝てる。

だが、奴らは圧倒的な数を誇っている。

アルマが押し切られるのが先か、真が立ち直るのが先か……。

消耗戦だな、と俺は心の中でつぶやいた。

 


 

α世界-Ⅷ(真)

僕は、真っ白な世界にいた。

膝を抱え、うつむいたまま。

あたりには白い光だけが満ち、天も地も何もない。

そのとき、僕は背後から優しく抱かれるのを感じた。

琴莉の声が、耳元でささやく。

「私は真を守りたかった……」

「僕だって……琴莉を守りたかったんだ」

だけど、守れなかった。

結果は変えられない。

「もう無理だ……。僕は、琴莉がいてくれたから、前を見ていられたんだ。父さんを失ったときも、母さんを失ったときも。琴莉がいない世界なんて……もう」

「真……諦めないで」

琴莉の声は、僕の耳から胸の奥にまで染みわたる。

「諦めないで……。世界を守って……。私は、そんな真のことが……」

最後まで言い終わることなく、琴莉は細かい光の粒子になって消えた。

だけど、僕にはわかっていた。

琴莉が言おうとしたこと。

そして、これから僕がするべきこと。

「あぁ、琴莉……僕は……諦めない!」

僕は目をはっきり開き、立ち上がった。

 

トラックから飛び降りて戦場に駆けつける。

ジンに迫っていた剣をミコが弾き飛ばす。

「遅いぞ!」

「悪い。待たせた」

怪物たちを蹴散らしながら、ジンが言う。

「よし、この世界を守るぞ」

「あぁ」

僕は守る。琴莉との約束だ。

 

あした世界が終わるとしても、この世界を守るのだ。

 

α世界-Ⅸ(真)

攻め込んできた怪物たち《アルマティック》は全滅させた。

しかし、公国はすぐに次の一手を打ってきた。

おそらく、向こうの世界で大規模な兵器を使用したのだろう。

つい先ほど、何十万もの人々が一斉に絶命した。

公卿たちは自国の民を消すことに躊躇がないようだ。

……こうなった以上、もう侵攻を防いでいるだけではダメだ。

こちらから打って出なければ。

「明日、午前三時より、敵国の拠点に攻め込んでもらいたい」

宗の言葉に、僕とジンは無言でうなずいた。

 

出発前、僕だけが宗に呼び出された。

案内された一室には巨大な水槽があり、中には琴莉の肉体が浮かんでいた。

宗によれば、父・源司は《2つの世界の法則》に関する研究を完成させていたらしい。

その理論を実践すれば《命のリンク》を断ち切ることだ出来るかもしれない。

つまり……

「真君、君になら救うことができるかもしれない」

「琴莉……」

僕は意を新たにする。

この世界を守るだけじゃない。

琴莉を救うんだ。

 


 

β世界-Ⅲ(真)

日本公民共和国へと乗り込む。

巨大なドームに守られた首都・新宿の外には、荒れ果てた大地が広がっている。

この世界では一部の特権階級だけがドームの中で暮らし、その他の大勢の人々は荒れた土地で貧しく暮らしているらしい。

……歪な世界だ。

 

ドーム内に侵入し、公居へと向かう。

ここまでは順調だったが、公居の門には数え切れないほどの《アルマティック》が配置されていた。

「行け!」

ジンの号令で、僕とミコは走り出す。

ジンとアルマが敵を引き受けている間に、僕たちは場内へと足を踏み入れた。

 

城の奥の公女の間。

そこには公卿に操られているリコが待ち構えていた。

公卿たち全員とフィックスしたせいで、かつてのリコの面影は感じられない。

フィックスしているミコの激しい怒りを感じる。

そして、最後の戦闘が始まった。

 

……強い!!

リコの性能は明らかに僕とミコのそれを上回っていた。

長引く戦いの中、機械的な音声が耳に届く。

『100%、充填完了』

その瞬間、リコが両手を掲げ、高らかに宣言した。

「これより!日本公民共和国は新たな領土に首都を移す!」

部屋に設置されている大がかりな装置が起動し、光が満ち始める。

マズイ!

奴らはドームごと日本に乗り込む気だ!

緊急事態を察したジンとアルマが窓から加勢に来たが、4人がかりでもリコは押し切れない。

……こうなったら、最後の手段を使うしかない。

出発前に、僕とジンに一丁ずつ手渡された特殊な銃《レシクファー》

その弾丸をリコに打ち込めば、フィックスをさかのぼってフィクサーである公卿たちの脳を破壊することができるという。

弾はそれぞれ一発ずつ。

……だというのに、僕が撃ち込んだ弾丸は、リコの自動防衛パネルによって防がれてしまった。

残る希望は、ジンの持つ一発のみ。

 

「ジン、次の一撃に賭けさせてくれ」

ジンはニヤリと笑うと、僕に弾の入ったレシクファーを差し出した。

「お前が賭けるなら、俺もかける。どのみち同じ命だ」

最後の希望を受け取ると、僕は高らかに声をあげた。

「世界を守るぞ!」

正真正銘、最後の戦いが始まる。

 

アルマは壊され、僕は肩口に大怪我を負い、ミコの攻撃は自動防衛パネルを一枚割るにとどまり、ジンが手にした銃も弾き飛ばされた。

でも、それでいい。十分だ。

全員でつくった一瞬の隙をついて、僕はレシクファーのトリガーを引いた。

弾丸は真っすぐリコの頭部へと飛んでいき……命中!

これで公卿たちの脳は破壊されたはずだ。

遠くで公卿たちの断末魔が聞こえたような気がした。

 

ミコが装置を破壊したことで、世界観の移動も止められた。

「終わったのか……」

ジンがつぶやく。

そう、長かったジンの戦いは、ここでひとまず終わる。

この世界を支配していた黒幕は倒された。

これから国の体制も変わっていくだろう。

ジンの目的は達せられたのだ。

だけど、僕にはまだやるべきことが残っている。

「行けよ。元気でな」

ジンの言葉に送られ、僕は相対空間への転移を始める。

2つの世界の法則……命のリンクを断ち切るのだ。

 


 

相対空間

2つの世界をつなぐ相対空間。

僕とフィックスしたリコとミコが、巨大な光の玉に包み込まれる。

そして、ゆっくりと2つにわかれていく。

僕は、それをずっと見ていた。

これまでに見た何よりも美しい光景だった。

 

β世界-エピローグ(ジン)

よく晴れていて、昼寝でもしたくなるような陽気だ。

 

ドームの外、荒れ果てた大地に小さな墓がたっている。

刻まれた名は『イズミ・コトコ』

俺は小さくて可憐な花をその墓に供えた。

 

よく晴れた日で、よかったと思った。

 

α世界-エピローグ(真)

よく晴れていて、昼寝でもしたくなるような陽気だ。

 

あの日、言えなかった言葉を、僕は今度こそ伝える。

隣にいる、かけがえのない彼女に。

「琴莉」

「ん?」

琴莉が振り返る。

「僕は、琴莉のことが好きだ」

 

よく晴れた日で、よかったと思った。

<あした世界が終わるとしても・完>

 


 

まとめ

劇場アニメ「あした世界が終わるとしても」のあらすじとネタバレでした!

途中で琴莉が物語から消えたときには「え、そんな展開!?」とビックリしましたが、ラストはハッピーエンドで安心しました。

※β世界のコトコや真の両親のことを考えると、ぼちぼちハードな結末とも言えますが……

少年少女が出会い、冒険し、主人公がヒロインを救うついでに世界も救う。

なかなか王道のストーリーでおもしろかったですね。

 

ちなみに、映画「あした世界が終わるとしても」のキャストは以下の通り!

真:梶裕貴
琴莉:内田真礼
ジン:中島ヨシキ
コトコ:千本木彩花
ミコ:悠木碧
リコ:水瀬いのり

なかなか豪華な顔ぶれだな、という印象。

個人的には、主人公の声が梶さんというのは、モロにイメージ通りです。



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