細田守監督の『竜とそばかすの姫』を観てきました。
生きてきてこんなに感動したことはない、と本気で思った
あふれてくる感情のまま、わあわあと泣きたくなるのを堪えるのが大変だった#竜とそばかすの姫
— わかたけ@読んでネタバレ (@wakatake_panda) July 18, 2021
エンドロールが終わり、家に帰ってきた今でもまだ感動の余韻が残っています。
素晴らしい作品でした。
家族の物語として
細田守監督の作品にはいつも「家族の物語」という視点があるように思われます。
そして、最新作『竜とそばかすの姫』もまた家族の物語でありました。
物語のスタート時点において、鈴はネガティブで、自信がなく、心を閉ざしていました。
それは子どもの頃に母親を喪った、という体験に起因しています。
「なぜ母さんは見ず知らずの子どものために命を落としたのか?」
鈴にはその理由がわからず、「なぜ」と自問し続けていました。
「自分(実の娘)のことが大事じゃなかったんだ。そうじゃなかったら命を危険にさらすわけない」
鈴は心のどこかで、そんな解釈を捨てきれずにいたのではないかと想像します。
鈴の主観としては(そして母親不在という事実においても)「親の愛情を充分に受けられなかった」わけで、それが鈴の健康的な成長の妨げになっていた、という状況が見てとれました。
ところが、です。
物語終盤、鈴は見ず知らず(※)の虐待されている兄弟のためにとんでもない行動力と勇気を発揮します。
※「U」では会ってたけどね
それは若者らしい恋のためだったでしょうか?
きっと違うでしょう。
鈴は母親と同じように純粋に「助けたい」という思いから行動していました。
母親と同じ行動をとることになってようやく、鈴は「なぜ」という自問への答えを見つけ、長年の呪いから解き放たれます。
※作中でも一瞬、鈴が《そのこと》に気づいてハッとする場面がありましたね。
映画のラスト。父親とも正面から向き合えるようになった鈴の成長ぶりを(見守っていた人間として)とても誇らしく思いました。
鈴が深夜バスに乗るシーン。父親(CV.役所広司)からのメッセージが読み上げられるところで涙腺崩壊しました。
個人的に映画でいちばん涙があふれた場面です。あんなん泣くて。
そして世界は三分される
ケイくん派、忍派、カミシン派の三派閥によって世界は分断された……!
みなさんは誰派ですか?
わたしは忍くん推しです。
母親を喪った鈴のことを見守り続けている10年来の幼なじみ(イケメン)で、誰よりも鈴のことを見てきていて、「素顔のまま歌う」なんて無茶も鈴ならできるって信じていたからこそ提案していたんですよね。
で、なんですか。
てっきり鈴に気があるんだろうと思っていたら、ずっと言いたかったことは「見守るんじゃなくてこれからは普通につきあいたい」ですって!?
どういう意味? ねえそれどういう意味?
このちょっとはぐらかすような言い方……理一おじさん(※)の系譜のもの……?
※『サマーウォーズ』で「ちょっと言えないとこ」に所属している人
鈴ちゃん……がんばれ……超がんばれ……!!!
最後に
わたしはふだん同じ作品を何度も観ないほうですが、『竜とそばかすの姫』は映画館で観られるうちに繰り返し観ておきたいです。
2回目では竜の正体がわかっているので、もっといろいろと細かい伏線にも気づけそうですよね。
- ルカちゃんとカミシンの赤面シーン
- 「U」での大合唱シーン
- ヒロちゃんの悪い笑い方
どこもかしかこもお気に入りのシーンばかりで、登場する人たちもみんな大好きです。
※ただし、DV野郎は別
新しい「夏の劇場アニメの顔」になるであろう『竜とそばかすの姫』
もしも「まだ観てないんだよね」という方がいらっしゃったら、明日にでも観に行ってください。
決して後悔はさせません。
あなたの好きだったシーンや感想、誰推しかなど、よかったらコメントで教えてください。わたしが個人的にニコニコします。
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もう新しい記事は書かないのでしょうか。
随分と更新のない日が続いてるので心配です。
わかたけさんの文章が好きなので、時間のある時にまた読める日を楽しみにしてます。
ご心配ありがとうございます。
つらつらと駄文を書いてきた身として、これほどうれしい言葉もありません。
現在、諸事情により更新をお休みしておりますが、もう一月ほどで復活できるかと思います。
実のところ「誰にも求められていないのでは?」と思ったりしていたのですが、こうして温かいお言葉をいただけて本当に冥利に尽きます。
もしよろしければ、またふらりと遊びにきてくれるとうれしいですm(_ _)m
わかたけ
話題の作品をわかりやすく紹介して下さっていたので、毎回楽しみに読ませて頂いていました。
もう更新されないのかと思っていましたが、あと1月程で再開されるとのことでホッとしました。くれぐれも無理なさらないで下さいね。
>ゴンさん
温かいお言葉をありがとうございます。
これまで定期的に読んでくださっている方がいるのか疑問に思っていました。なので「毎回楽しみに」というお言葉がとてもまばゆく目に映りました。
まだまだ読みたい作品がいっぱいあります!
どうぞ今後ともゆるっとお付き合いくださいm(_ _)m
語られないけど、「竜の母親」が対比となる母親像だった気がします。
鈴にとって「私を置いて、助けに行った母親」だけど、竜にとって「私を置いて、助けに来なかった母親」だから、竜は城にある写真と、待受け画面を割って消した。
もし、死に別れたならもっと大切にする。竜に母親への想いがあれば、そのように抹殺しない、竜の母親は「置いて去った」と思われる。そしてベルはその写真で衝撃を受ける。
鈴は「母が置いて去っていった」のはトラウマだけど、母は自分が死ぬとは思わずに、溺れる子供への無償の愛だった。鈴には「母が置いて去っていった」という竜のトラウマを共感できたが、鈴の母とは違い竜の母は捨てた、ことが理解でき救うためには会う、行動をするきっかけになった気がします。鈴も自分がひどい目にあうとかは、少しは考えたのでしょうが母と同じと、理解できたのでしょうか。
竜の母の伏線は、写真の前にベルが立ちすくんだだけなので、大したことは言えないのですが、細田さんの「母親の愛」では、竜の母では語られてない深みを感じました。
>竜の方の母親は さん
素晴らしい考察ですね!
「なるほど、たしかに!」と深く納得しました。
劇中ではわずかなヒントしかなかったものの、竜の母親が家を出て行ったことは想像に難くなく、そうすると竜は見捨てられたという立場になるんですよね。
終盤の鈴の大胆な行動についての説得力がいっそう増した気がします。