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「そして、バトンは渡された」あらすじネタバレと感想!穏やかな感動作!

本屋大賞1位の本が、おもしろくないわけがない!

そんな軽い気持ちで瀬尾まいこ「そして、バトンは渡された」を読みました。


瀬尾まいこさんの本を読むのは初めてだったので、ちょっと不安もあったのですが……

結果はご覧のとおり。

もうね、一発で瀬尾まいこさんのファンになりました。

本屋大賞1位にも納得!

  • 幸せな気持ちをわけてもらえる本
  • だからこそ、大切な人に読んでもらいたい本

だと思いました。

というわけで、今回はそんな「そして、バトンは渡された」のあらすじと感想をお届けします!

※ネタバレを含みます。ご注意ください。

簡単なあらすじ

森宮優子(17)には父親が3人、母親が2人いる。

家族の形態は、17年間で7回も変わった。

ころころと親と名字が変わる優子に、大人たちはよく同情の眼差しを向ける。

「これまで辛い思いをしてきたんだね」

「悩んでることがあったら言ってね」

そんなことを言われるたびに、優子は困ってしまう。

だって、深刻な悩みなんてないから。

それは、子ども心にさびしい思いをしたこともある。

けれど、優子は5人の親のことが大好きだった。

血がつながっていても、いなくても、優子のことを何より大事にしてくれる親たちのことが。

登場人物

【森宮優子】
主人公。第1章では高校三年生。保護者の森宮さんと二人暮らし。

【森宮壮介】
東大卒で、一流企業に勤めている。37歳。ちょっと天然。

【水戸秀平】
優子の実の父親。

【田中梨花】
優子の2人目の母親。思いついたら即行動のエネルギッシュな女性。

【泉ヶ原茂雄】
優子の2人目の父親。不動産会社の社長。

【早瀬賢人】
優子の同級生で、初恋の人。ちょっと天然。


「そして、バトンは渡された」ってどんな話?

「そして、バトンが渡された」は全2章構成。

といっても第2章は最後の100ページくらいなので、メインは第1章ですね。

第1章では主に優子の高校三年生の一年間が描かれています。

球技大会、合唱祭、受験勉強。

ときには女子のいざこざでいじめられることも……。

でも、優子はいじめられて泣くような子じゃありません。

「時間が解決するでしょ」と平気な顔でひとりお昼を食べるような強い子です。

その強さの源は、17年間で7回も家族形態が変わった優子の生い立ちにあります。

といっても大変な思いをしながら育ったから強い、のではありません。

5人の親たちから惜しみのない愛情を注がれて育ったから、優子はちょっとしたいじめなんかじゃ傷つかないんです。

第1章では、森宮さんとの暮らしぶりが描かれる『現在』と並行して、これまでの経緯を回想する『過去』の場面も描かれています。

ぱんだ
ぱんだ
優子の過去にいったい何があったの?
わかたけ
わかたけ
簡単にまとめてみたよ!


優子の家族の変遷【第1章あらすじ】

『水戸優子』

それが優子の最初の名前でした。

優子が3歳になる前に、実の母親が交通事故で他界。

優子は水戸秀平(実の父親)との二人暮らしになります。

優子が小学三年生になるころ、水戸秀平は田中梨花と再婚。

幼い優子は美人で優しい梨花のことがすぐに大好きになります。

ところがその1年後、なんと秀平がブラジルに転勤することに!

それによって秀平と梨花は離婚。

どちらの親についていくかは、小学4年生だった優子に選択が委ねられました。

優子はよくわからないまま「友だちと離れたくないから」と梨花と一緒に日本に残ることを選択。

こうして、梨花との二人暮らしが始まります。

計画性なくお金を使ってしまう梨花との生活は貧しいものでしたが、明るく自由な梨花との生活は優子にとって楽しいものでした。

 

『田中優子』

その名前が変わるきっかけになったのは、ほんのささいな一言でした。

「ピアノが欲しい」

それは優子にとって、ただ言ってみただけのことでした。

ピアノを習っている友だちが楽しそうだったから、ぽろっと口にした言葉。

毎月の生活費にも困っている現状では無理だということくらい、小学生の優子にもわかっていました。

ところが梨花は思いもかけない方法で優子にピアノをプレゼントしてしまいます。

その方法とは、お金持ちである泉ヶ原茂雄との再婚。

梨花は優子のために結婚相手をつかまえてきたと言います。

「結婚ぐらい大したことじゃないよ。洋服買っても鞄買ってもちっとも喜ばない優子ちゃんが、ピアノは自分から欲しいって言うんだもん。どうしたって叶えなきゃって思うじゃない」

こうして、中学生にあがると同時に優子の生活は激変したのでした。

 

『泉ヶ原優子』

小さなボロアパートから、大きな邸宅へ。

お手伝いさんがいる泉ヶ原家では、優子は一切の家事をしなくてよくなりました。

必要なものがあれば買ってくれる。

欲しいものがあれば買ってくれる。

何一つ不自由のない生活。

梨花が「退屈だ。窮屈だ」と言い出すまでに、時間はかかりませんでした。

結婚から1年を数える前に、梨花は泉ヶ原家から飛び出してしまいます。

梨花と泉ヶ原は離婚。

梨花は何度も泉ヶ原家を訪ねてきては「私と一緒に行こう。また二人で暮らそう」と優子を誘いましたが、優子は泉ヶ原がかわいそうで家に残り続けました。

 

『森宮優子』

高校生にあがると同時に、再び優子の名前は変わりました。

梨花が再婚し、泉ヶ原から優子を引き取ったのです。

あたらしい父親の名前は森宮壮介。

優子の第一印象は「梨花さんのタイプじゃなさそう」というものでした。

そして、その予感はすぐに当たります。

新婚生活が始まってたったの2か月で、梨花はいなくなりました。

「探さないでください 梨花」という置手紙を置いて。

後日届いた離婚届に、森宮は平気な顔でハンコを押しました。

そうして、家に残ったのは会ってまだ数か月の優子と森宮だけ。

……で、今(優子17歳)に至る、というわけです。

家族の形態が7回変わった
  1. 実の両親との暮らし
  2. 実の父親(水戸秀平)との二人暮らし
  3. 水戸秀平と梨花との暮らし
  4. 梨花とふたり暮らし
  5. 泉ヶ原茂雄と梨花との暮らし
  6. 泉ヶ原とふたり暮らし
  7. 森宮壮介と梨花との暮らし
  8. 森宮とふたり暮らし


好きなシーン【第1章ラスト】

ぱんだ
ぱんだ
梨花さん自由すぎない?
わかたけ
わかたけ
その理由は第2章でわかるんだけど……その前にどうしてもこのシーンを紹介したい!

以下、梨花が出ていった直後の森宮さんと優子の会話です(優子視点)

「この離婚届出したら、結婚相手の子どもじゃなく、正真正銘の優子ちゃんの父親になれるってことだよな。なんか得した気分」

森宮さんはなぜかうきうきしているけれど、何のつながりもない娘を押しつけられることのどこが得なのか、私にはわからなかった。

「森宮さん、好きな人と結婚したら子どもまでついてきて。で、最後には好きな人がいなくなっちゃってついてきた娘だけ残っちゃったんだよ」

「しっかりと考えて判断して、優子ちゃんの父親になるって決めたんだ。結婚したら勝手に優子ちゃんがついてきたわけじゃない」

「そうだろうけど……」

「梨花が言ってた。優子ちゃんの母親になってから明日が二つになったって」

「明日が二つ?」

「そう。自分の未来と、自分よりたくさんの可能性と未来を含んだ明日が、やってくるんだって。親になるって、未来が二倍以上になることだよって。明日が二つにできるなんて、すごいと思わない? 未来が倍になるなら絶対にしたいだろう」

森宮さんと結婚したかった梨花さんが、うまいこと言って私のことを承諾させようとしただけだ。

私はますます気の毒になって、「梨花さん、口がうまいから」と言った。

「いや、梨花の言うとおりだった。優子ちゃんと暮らし始めて、明日はちゃんと二つになったよ。自分のと、自分のよりずっと大事な明日が、毎日やってくる。すごいよな」

「すごいかな」

「うん。すごい。どんな厄介なことがついて回ったとしても、自分以外の未来に手が触れられる毎日を手放すなんて、俺は考えられない」

森宮さんは血のつながらない子どもと共に生活することが、私を引き受けることが、大きな決断になるということがわかっているのだろうか。

「俺、再婚もしないし、どこにもいかないし、平均寿命までは死ぬこともないから。俺にとって、親になるって、そういうことだから」

森宮さんはそう宣言して、戸惑っている私に「よろしくお願いします」と最初に会った時と同じように、深く頭を下げた。

そのまま場面は優子の卒業式へ

森宮さんと暮らし始めて、三年。

その年月が長いのか短いのかよくわからない。

親子という関係が築けたのかは不明だし、この先何年暮らそうとも森宮さんをお父さんとは呼べそうにはない。

ただ、私の家はここしかない。

森宮さんが腹をくくってくれたのと同じ。私だって覚悟をしている。

一つ家族が変わるたびに、誰かと別れるたびに、心は強く淡々としていった。

でも、今の私は家族を失うことが平気なんかじゃない。

万が一、森宮さんが私の父親でなくなるようなことが起きれば、暴れてでも泣いてでも阻止するだろう。

この暮らしをこの家を、私はどうしたって守りたい。

「森宮優子」

先生の声に「はい」と答えて起立する。

森宮優子、いい響きの名前だ。

次、自分の苗字を変えることがあるとするなら、それは自分自身だ。

それまでは森宮優子。

それが私の名前だ。

<第1章・おわり>

わかたけ
わかたけ
未読の方には伝わらないかもしれませんが、ここで泣きました


第2章のあらすじと結末

第2章の舞台は4年後。

優子は短大を卒業し、栄養士の資格を取って地元の小さな食堂に就職しています。

相変わらず森宮さんとのふたり暮らし……と思いきやもうすぐ結婚!?

相手は早瀬君という高校時代の同級生で、卒業後にたまたま再会して交際開始。

で、いよいよ結婚! というところから第2章はスタートします。

新たな娘の旅立ちに森宮さんはさぞ喜んでいるだろうと思いきや、まさかの大反対!

第2章は

  • 空いた4年間の回想
  • 森宮さんの説得
  • 他の親たちへのあいさつ回り

という内容になっています。

結末をネタバレすると「そしてバトンは渡された」のラストは優子と早瀬君の結婚式!

強情に反対していた森宮さんも、他の親たちの賛成と優子・早瀬君の説得に折れて結婚を認めることになったのでした。

結婚式には新婦側の親として秀平も梨花も泉ヶ原も勢ぞろい。

みんなに祝福されながら、優子は自分の意志で『早瀬優子』になったのでした。

 

ぱんだ
ぱんだ
なんで森宮さん結婚に反対してたの?

早瀬君はピアニストとして音大に通っていたのですが、途中退学して料理方面に夢をシフトしています。

ピザの修行のためイタリアへ。

ハンバーグの修行のためアメリカへ。

夢も本人もふらふらしている風来坊だと感じて、森宮さんは賛成できなかったんですね。

ちなみに、物語が進む中で早瀬君は「やっぱりピアノが弾きたい」という本心に気づきます。

フランス料理店の正社員をやめて音楽教室の講師とイベントでピアノを弾く派遣の仕事にチェンジ。

森宮さんがふたりの結婚を認めるに至った最後の一押しは、早瀬君の迫力のあるピアノを耳にしたことでした。

 

ぱんだ
ぱんだ
梨花さんが消えた理由は?

結婚してはすぐに出ていくという突飛な行動をとっていた梨花ですが、実は深刻な病気に冒されていました。

中学生(泉ヶ原)時代から、梨花が優子と暮らすのを避けるようになったのは、病気を隠すため。

森宮さんと結婚したのは、優子の親にピッタリだと思ったからでした。

第2章では、梨花は病院で入院生活中。

病室のネームプレートには『泉ヶ原梨花』という名前が書かれています。

そう、梨花は森宮さんと離婚した後、泉ヶ原と再婚していたんです。

梨花は泉ヶ原家を窮屈に思いこそすれ、泉ヶ原のことは「いい人」として好きでした。

落ち着くべきところに落ち着いた、という感じですね。


好きなシーン【第2章ラスト】

わかたけ
わかたけ
第2章は名シーンが多いんですが、なかでもお伝えしたいのはここ!

以下、結婚式場に入場する直前の優子と森宮さんとの会話です。

※なんとラストは森宮さん視点!

「なんて渋い顔してるの?」

教会の入り口までつれられ俺が隣に並ぶと、優子ちゃんが眉をひそめた。

ウェディングドレスを着た優子ちゃんは当たり前だけどきれいで、でも、もう俺が大事に育てていく子どもではないんだと改めて知らされているようだった。

「そりゃ、こんなセンチメンタルな役割させられるんだから。最後って損だよな」

「最後?」

「そう。最後の親だからバージンロード歩くの、俺に回ってきちゃったんだろう」

「まさか。最後だからじゃないよ。森宮さんだけでしょ。ずっと変わらず父親でいてくれたのは。私が旅立つ場所も、この先戻れる場所も森宮さんのところしかないよ」

優子ちゃんはきっぱり言うと、俺の顔を見てにこりと笑った。

「ありがとう。森宮さん」

「最後はお父さんと呼ぶのかと思った」

「そんなの、似合わないのに?」

優子ちゃんは声を立てて笑うと、

「お父さんやお母さんにパパやママ、どんな呼び名も森宮さんを越えられないよ」

と俺の腕に手を置いた。

どうしてだろう。

こんなにも大事なものを手放す時が来たのに、今胸にあるのは曇りのない透き通った幸福感だけだ。

「笑顔で歩いてくださいね」

スタッフの合図に、目の前の大きな扉が一気に開かれた。

光が差し込む道の向こうに、早瀬君が立つのが見える。

本当に幸せなのは、誰かと共に喜びを紡いでいるときじゃない。

自分の知らない大きな未来へとバトンを渡す時だ。

あの日決めた覚悟が、ここへ連れてきてくれた。

「さあ、行こう」

一歩足を踏み出すと、そこはもう光が満ちあふれていた。

<完>

わかたけ
わかたけ
今ラストだけ読み返してもじわっと涙が出てきます


感想

本来なら適切な表現で作品の魅力をお伝えしたいところなのですが、まずは言わせてください。

めちゃくちゃエモい!

読書中に書いたメモには他にも「尊い」「かわいい」「森宮さんと結婚したい」など、全然伝わらない感想が残っていました(笑)

こうして脳みそ直結の感想が並んでいるということは、私の場合、それだけ作品に没頭していたという証拠です。

「本屋大賞の本って面白いのかな?」

という疑問に、私は即答します。

「もうホント最高だから、絶対読んで!」

誰かの子どもであるか、誰かの親である限り、この本はかけがえのない一冊になると思います。

きっと本棚の一番いい場所に飾りたくなるはずです。

森宮さんと優子

「そして、バトンは渡された」はある意味、W主人公の物語です。

作品の中心にいるのは優子と森宮さん。

もうね、この2人の関係性がとにかくいいんです!

ひとことで言えば「距離感が近くて、自然」

優子には10代女子に特有の「げえっ、お父さん汚い」みたいな価値観は一切なく、とてもリラックスして毎日の出来事を森宮さんに話します。

一方の森宮さんもいい意味で父親らしくなく、常に優子と同じ目線で会話を盛り上げます。

そんな2人は親子というより、まるで気心の知れた親友同士のよう。

血のつながってない父と娘。

出会ってまだ3年もたっていない急ごしらえの家族。

だけど、そんな2人のことを私は『理想の家族』だと思いました。

「自分の命よりも優子が大切」だと本気で思っている森宮さんと、そんな親からの愛情を肌で感じ、素直に感謝している優子。

この2人の関係性からは「親子関係において何が大事なのか」という問題の答えを教えてもらったような気がしました。


森宮さん大好き!

「『そして、バトンは渡された』の中で一番好きな登場人物は?」と聞かれたら、一瞬で答える自信があります。

森宮壮介さんです!

読みながら何度、森宮さんのことを「かわいすぎか!」と思ったかわかりません。

まずは、あらためて森宮さんの基本スペックを確認してみましょう。

森宮さん情報
  1. 東大卒。一流企業勤務。
  2. 毎日のご飯をつくっている。
  3. 優子の大事な日には、有休を使う。
  4. 優子の友だち曰く「かっこいい」

もっといえば、優子の父親になるという覚悟からは男らしさを感じますよね。

でもでも、普段の言動はちょっと天然というかとぼけていて、親しみやすさはMAX。

仕事よりも家族を優先するし、家事能力も平均値以上。

……完璧かな?

やっぱり結婚してほしい。

どうして私がこんなにも森宮さんに惹かれるのかといえば、『ギャップ』にやられたんじゃないかと思います。

ふだんの森宮さんって、まるで小学生前の子どもを育てているような過保護ぶりで、まあ空回ってるんですよね。

たかが始業式に「縁起物だから」と朝からかつ丼をつくったり、「受験勉強といえば夜食だ!」と夕飯食べたばっかりなのに差し入れをもってきたり。

「ちゃんと親しなきゃ!」という気持ちからの行動だということはわかるんですが、その様子がもうかわいくてかわいくて!

そんなおかしな親バカっぷりを発揮する一方で、ちらちらと娘への真摯な愛情が垣間見えてごらんなさいよ!

そりゃ、好きになりますて!

30代半ばでいきなり高校生の娘ができたら、ふつうはこうはいきません。

もっと距離感がわからないはずだし、自分より娘を優先させる覚悟なんてまあ決められないでしょう。

何度考えても、森宮さんは本当に稀有な人材だと思います。

「なにひとりで盛り上がってんの?」とお思いの方は、騙されたと思って「そして、バトンは渡された」を読んでみてください。

きっと森宮さんのことが大好きになるはずです。


優子と早瀬くん

「そして、バトンは渡された」の登場人物はみんな好きですが、なかでも優子と早瀬君の組み合わせについては語らざるをえません。

第1章の合唱祭でお互いにピアノ伴奏だった優子と早瀬君。

読みながら「あ、これは優子と早瀬君くっつくな」と思ったのもつかの間、なんと早瀬君が彼女持ちだということが発覚し、優子の恋は終わります。

その後、優子は別の男の子とつきあったりしていたので「早瀬君はサブキャラだったか……」と思っていたところ、あの第2章ですよ。

え!? 結婚!? 早瀬君と!?

とリアルに声が出ました(笑)

第2章では早瀬くんの人柄が深掘りされていくのですが、私はすぐに好感を抱きました。

その理由は、優子が働く食堂の店長が語ってくれています。

 

「娘って、父親に似てる人を結婚相手に選ぶってよく聞くけど、本当なんだな」

 

そう、店長にいわれるまでもなく感じていたことですが、早瀬君ってどことなく森宮さんに似てるんですよね。

それに気づいた瞬間、たまらなくグッときました。

エモい。これはエモい。

早瀬君を通じて、あらためて優子と森宮さんとの絆が見えたようで、温かい気持ちになりました。

わかたけ
わかたけ
あれ? 結局、森宮さんのこと語ってるような……


総評

いつもミステリーや恋愛系の小説を好んで読んでいる私にとって、「そして、バトンは渡された」は新鮮な小説でした。

恐ろしい事件は起こらない。

ドラマティックな出来事も起きない。

舞台は『家庭』であり、主に描かれているのはなんてことのない親子のやりとり。

それが、こんなにも感動的だなんて。

正直に言えば、100ページほど読み進めたころ、まさか自分がこの小説で泣くとは思ってもみませんでした。

その頃は「優子の過去に何があったのか?」に夢中で、『家族の形態が7回変わった』の解明に興味が向いていました。

ところが、半分ほど読み進めた頃からでしょうか。

だんだんと意識は「森宮さん、なんてかわいいんだ」に向いていき、優子と森宮さんの親子関係から目が離せなくなっていきました。

そして、あれは忘れもしない、合唱祭のために優子が家の電子ピアノで練習しているシーン。

森宮さんは歌が苦手なのにネットで合唱曲を覚えて「親なら娘のクラスの合唱曲くらい歌えるものだろう?」と伴奏にあわせて歌ってみせました。

それに対して優子は「そんな親いないよ」といいながら、森宮さんが高校生の時に歌った合唱曲を調べていて、弾きはじめます。

曲は中島みゆき『糸』

ただでさえ感動的な歌詞が優子と森宮さんの境遇に重なり、気づけばどうしようもなく涙がこみあげてきていました。

こんなにグッとくる父娘のやりとり、私はどの小説の中でも見たことがありません。

このとき、私は心から「この本に巡り合えてよかった」と思いました。

でも、このシーンでの感動は、あとからすぐに上書きされてしまいます。

1章ラスト、卒業式のシーン。

2章ラスト、結婚式のシーン。

もう大号泣でした。

「大切な人が亡くなった」とか「奇跡が起こった」とか、そういうことへの涙とは質が違います。

ただただ幸せな気持ちで満たされた結果、あふれだした涙。

読書中に涙を流すことはあっても、こんなに温かな気持ちで「よかった。本当によかった」と思いながら泣くことはなかなかありません。

この名作を読み終えた今、私はとにかくひとりでも多くの人にこの本を読んでもらいたいと思っています。

「どんな本?」と聞かれたら

「『幸せ』が詰まっている本だよ」

をおススメしようと思います。


まとめ

結論:本屋大賞はやっぱり面白い

今回は「そして、バトンは渡された」のストーリーや感想をお届けしましたが、正直、小説の魅力の3割も伝えられていないと思います。

とてもじゃありませんが「こういう本だった」「ここが面白かった」と一口に語れる本ではありません。

あえて一言でまとめるなら、「そして、バトンは渡された」は

『読んだ後、大好きな人におススメしたくなる本』

といったところでしょうか。

この小説のことを「苦手だ」という人はたぶんいません。

読めばかなりの高確率で幸福度があがります。

会話が多くてすいすい読めるので、一気読みもおすすめです。

本屋大賞で話題になっている本ですし、ぜひ、お手に取って実際に読んでみてください。

 

映画情報

キャスト

  • 永野芽郁
  • 田中圭
  • 石原さとみ

公開日

2021年10月29日公開

ぱんだ
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またね!


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