切ない・泣ける

漫画「4分間のマリーゴールド」あらすじネタバレ!最終回の結末は?

漫画「4分間のマリーゴールド」を読みました!

「ドラマ化するらしいし読んでみるか」という軽い気持ちで読み始めたのですが、控えめに言って最高でした!

『楽しいシーンや幸せなシーンであるほどに、切ない』

ヒロインには避けられない《死の運命》が待ち受けています。

それを知っているのは主人公だけ。

「ずっと一緒にいようね」なんて幸せな言葉でさえ、同じぶんだけの悲しみ・切なさを運んできます。

何も知らないヒロインの天使のような笑顔と、笑いながら内心では葛藤している主人公の表情。

そのコントラストがまあ、エモいこと!

というわけで今回は、漫画「4分間のマリーゴールド」の物語がまるっとわかるあらすじネタバレです!

最終回に待ち受けている結末とは……!?

あらすじネタバレ

父一人子一人だったおれに、母親と3人の兄ができたのは9歳の時だった。

父親は再婚後すぐに亡くなり、母はフリーカメラマンで不在がち。

兄の廉(れん)は警備員。

弟の藍(あい)は高校生。

姉の沙羅(さら)は画家。

そして、おれ、花巻みことの職業は救命士。

現場から医療機関まで傷病者に救急措置を行うことが任務だ。

※一言でいうと救急車の人ですね。

救命士になって気づいた自分の特殊な能力。

おれには視える。

人の《死ぬ運命》が。

手を重ねた人の最期の姿が視える。

その死の運命は必ず現実になる。

……どれだけ手を尽くしても。

人の最期がわかっても、助けられないなら意味がない。

どんなにあがいても無駄だった。

一度見た死は変えられない。

おれには、誰の命も救えない。

今日は姉の沙羅の誕生日。

今年もおれは大きなマリーゴールドの花束を彼女に贈った。

みこと「……マリーゴールドを、庭に植えるのはどうかな?」

沙羅「庭に?」

みこと「育てやすいらしいよ。1年……咲くらしいし……」

沙羅「う~ん、いいや! 1年中咲くマリーゴールドより、1年に一度のみことの花束の方がいい」

彼女の横顔に目を奪われる。

沙羅「しわしわのおばあちゃんになっても、毎年ちょうだいね」

みこと「……」

1年。

たった8760時間。

たった3153万6千秒。

せめて1秒残らず、幸せでいてほしい。

花巻沙羅。

1年後、27歳の誕生日に、彼女は死ぬ。

そばにいるよ

一家で父の墓参りへ。

あとから到着したおれと沙羅を見て、老婦人が「若い夫婦なのに感心ねえ」と言った。

沙羅「ふふ、そう見えるんだね。でもさ、二人とも結婚しなかったら、一緒のお墓に入れるね」

沙羅は結婚することも、子供を産むことも、1年後の今日、笑っていることさえ叶わない。

それを知っているのは、おれだけだ。

みこと「おれは……おれだけはずっとそばにいるよ」

これからも。

死んだ後も。

沙羅はにっこりとほほ笑むと、目をつぶって合掌した。

同じように、おれも父の墓に手を合わせて祈る。

父さん、聞こえてる?

生涯何一つ祈らないと誓うから、どうか沙羅を助けてください。

失いたくないんだ。どうしても。

私はずっと

外は土砂降りの大雨。

路肩にとめた車の中にはおれと沙羅の二人きり。

近くで土砂崩れが起きたというニュースがラジオから流れてきた。

みこと「おれ、様子見てくる」

沙羅「え!? 危ないよっ」

みこと「怪我人がいるかもしれないし……ちょっと様子見てくるだけ。すぐ戻るから」

傘を広げて車の外に出る。

数歩進んだところで、後ろから切実な沙羅の叫び声が聞こえてきた。

沙羅「行かないで! みこと!!」

振り返ると、傘もささずに沙羅が雨の中に立っていた。

訴えるような目で、こっちを見ていた。

沙羅「みことが誰かを救うために、怪我したら……もっと怖いことになったら……私は……」

みこと「過保護だな、姉さんは」

沙羅「姉じゃない! 姉として……言ってるんじゃない……!! 私はずっと……ずっと……」

ハッとして沙羅の顔を見る。

真剣な表情。

大粒の涙が目にたまっている。

……。

沙羅の運命を知ってからずっと、沙羅に何をしてあげられるかばかり考えていた。

ウエディングドレスを着せてあげたい。

相手がだれでも幸せになってほしい。

だけど、本当は――

髪に触れたい。

腕にも頬にも爪にすら触れたい。

夜眠る前に思い出す大切な思い出を知りたい。

どうしようもなく寂しい時、救われる言葉を知りたい。

出会って今までどの瞬間も大好きだったことを伝えたい。

そしてなにより……抱きしめたい。

みこと「おれもだよ」

傘を捨てて、沙羅を抱きしめる。

……。

二人の未来の話をしたい。

来年も再来年もその先も――ずっとマリーゴールドを贈りたい。

運命の別れ道

夜店が並ぶ秋祭り。

ステージでは消防音楽隊のパフォーマンスをバックに、防災意識を高めるためのアナウンスが行われている。

『――呼吸が停止してから心肺蘇生を行わなければ、助かる可能性は1分ごとに7~10%低下します』

沙羅「たった1分でそんなに……」

つぶやく沙羅に言う。

みこと「そう。救命は時間との戦い。呼吸停止から2分以内に蘇生開始すれば、助かる可能性は90%。3分で75%。そして……」

「4分で50%」

みこと「もちろん処置は1秒でも早い方がいいんだけど、なんとなくこの『4分』て数字が運命の別れ道って気がして。1秒1秒命が減っていくから、ものすごく焦る」

沙羅「……ふ。また」

みこと「え?」

沙羅「みこと2年くらい前から、私のことそういう表情で見るようになった」

不安・決意・愛しさ……みことの心がにじみ出た表情。

沙羅「そういう表情で見られるたび、姉弟ってこと忘れそうになった」

みこと「……」

沙羅「姉さんって呼ばれてもいいの。……一生近くにいれたらいいの」

なんでもないことを言うように、けれどどこか寂しそうな顔で沙羅は言う。

これまでずっと、沙羅に気持ちを伝えるつもりはなかった。

ただ、おれが想ってさえいればいいと飲み込んできた。

なのに――

おれと生きる。

たったそれだけのことを、沙羅が心から願ってくれるなら――

姉さん、と音にしようとした口を閉じる。

みこと「沙羅」

愛しい人が、驚いた表情でこちらを見た。

みこと「生意気かな」

驚いきの表情が、曇りのない笑顔に変わっていく。

目をつぶって、少しだけ背の低い彼女にキスをした。

救命士として、取れる資格はすべて取ろう。

死なせない。

すべてをかけて沙羅を救うんだ。

幸せを思うなら

沙羅との関係が、廉にバレた。

秋祭りでのキスを見られていたのだ。

言い逃れはできない。

廉「みこと。どうするつもりだ、沙羅と。おまえが沙羅に何をしてやれる? 血はつながってないとはいえ姉弟なんだぞ。こんな狭い田舎、すぐ噂になって陰口だ」

みこと「……」

廉「本気で沙羅の幸せを思うなら、どうするのが正解か死ぬほど考えろ」

沙羅にとっての幸せ。

今、花巻家には廉の友人で世界的な写真家の広洋(ひろうみ)が居候している。

広洋は、前から海外に行きたいと言っていた沙羅をアシスタントして連れて行ってもいいと言っている。

沙羅の幸せを思うなら……

沙羅とこっそり続けている『交換ノート』に、みことはこう書いた。

『チャンスがあるのに先延ばしにするのは、もったいないと思う。ヒロちゃんと行くことで沙羅の夢が叶うなら、おれは応援するよ』

おれは沙羅から、何も奪いたくない。

家族の絆

沙羅「私が海外行っちゃって平気なの?」

みこと「……だって、これチャンスだよ? 沙羅、夢だったんだよね?」

沙羅「レン兄が私たちのこと反対してるから?」

みこと「……レン兄はずっと親代わりだったから、家族への責任感が誰よりも強い。幼い沙羅と藍の面倒だけでも大変なのに、おれまで来て……家族の絆と均衡を保つのは、容易じゃなかったと思う」

沙羅「……」

みこと「それでもレン兄は、おれを家族にしてくれた。レン兄が家族になってくれたから、おれはいつも安心していられた」

廉「おれはあいつらに責任がある」

沙羅とみことの関係を認めないのか、という広洋の言葉に廉は答える。

廉「姉弟だからゴチャゴチャ言う奴らは山ほどいる。傷つくのはあいつらだ。それに、先のことはわからねえ。もしも、あいつらが疲弊して最悪の終わり方でもしたら……おれたちは家族に戻れねえ」

告げられない

広洋には不思議な魅力がある。

人を構えさせない、なんでも受け止めてくれる器がある。

沙羅の死を告げるべきか?

自分はなにをするべきか?

みことは遠回しに広洋に尋ねた。

みこと「……昨日、傷病者の方で、余命わずかな人がいて……本人にも家族にも告げられないって、どうするのが正しいのかわからなくて……。大切な人が死ぬ近い未来を、人は知っていたいかな。知ったらどうしたいかなって」

広洋「どっちでもいいっちゃない?」

みこと「え?」

広洋「例えば、しろちゃん(花巻家の飼い犬)が明日天国に行くとする。おいしいごはんたっぷりあげる? 遊びたおして可愛がりたおして、『めっちゃ好いとおよ!』って伝える?」

みこと「……」

広洋「明日死ぬからそうすると? それなら今すぐ、してあげたらいいやん」

みことは廉を呼び出した。

広洋に背中を押してもらう形で、やっと覚悟を決めたから。

みこと「この状況は違う。みんな、お互いを思ってるのに、誰も笑ってないこの状況は違う。この状況が続けば、必ずみんな後悔する」

家族が一番大切なことを、当たり前に毎日できるように。

みこと「もう時間は無駄にできない」

廉「何……言ってる?」

みこと「来年の8月23日、沙羅は死ぬ」

みことは《死の運命》が視える能力のことを打ち明けた。

もちろん廉は信じない。

だから、みことは廉が警備している病院の入院患者の最期を、こと細かに予言して見せた。

手のひらを重ねることで視える《ビジョン》

それは必ず現実のものになる。

みことの予言通りの出来事が、廉の目の前で起こった。

廉「……本当なのか。本当に、沙羅は死ぬのか」

みこと「……本当だよ」

音が耳に届くと同時に、廉の目から一筋の涙がこぼれた。

廉「沙羅には言うな」

落ち着きを取り戻すと、長兄は言った。

廉「あいつはあっけらかんとして見えて、けっこう気落ちするし、思い悩むだろう」

みこと「でも、おれは! 絶対沙羅を救うつもりで――」

廉「わかってる。それでもおれにこの話をしたってことは厳しいんだろ、それが」

みこと「……」

廉「あいつが大事なら隠し通してやれ。だけど、あとは好きにしろ

みこと「レン兄……」

廉「おまえが納得いくように。後悔しねえように。おまえのその能力……まだ信じがたい気分だが、おまえが苦しんできたのはわかる。おまえと沙羅が笑ってんなら、おれはもう何も言わねえ」

信じてくれるから

沙羅はみことと廉の会話を聞いていた。

沙羅「私、死ぬの?」

目線がまっすぐぶつかりあう。

廉からは「言うな」と言われている。

でも……ああ、無理だ。

すべてを信じてくれるから、この人にだけは嘘はつけない。

みこと「――そうだよ」

と、みことは言った。

短い沈黙の時間が流れる。

そうして、沙羅が選んだ言葉は……

沙羅「怖かったでしょ?」

だった。

沙羅「みこと、そのこと知っててずっと隠してたんだよね? ごめんね……みことが苦しんでること何も知らずに、私は何も知らずに……」

沙羅はみことのためにボロボロと泣く。

沙羅「私はずっと! ずーっと近くにいたのに! 私は姉なのに、恋人なのに、みことがそんな怖い思いしてるって、何一つ知らなかった……ごめんね……」

自分のために泣けない人を、おれのために泣かせてしまった。

好きにしていいんだよ、沙羅。

「死にたくない」って泣いて喚いて、自分のことだけ考えた人生を選択していいんだよ。

みことの届かない願いは、一筋の涙になって頬を流れた。

世界一の幸せ者

救命士として関わった患者さんの追悼ミサに出席する。

みこと「亡くなられた後までこんなに大切にされて、奥様は幸せですね」

夫「生きてるうちは喧嘩もしましたよ。46年も一緒にいればね」

みこと「46年……おれには、なんだか夢物語みたいだな」

夫「彼女は授かった生を、私の家族であるために、友であるために、妻であるために使ってくれました。46年だろうと1日だろうと、そんな人が存在してくれた。私は世界一の幸せ者です

真心のこもったその言葉が、気づかせてくれた。

選択の結果より、過ごせる時間の長さより、沙羅を愛するために使った一瞬を大切にしたい。

沙羅。

沙羅。

今、会いたい。

沙羅「みことっ! どうしたの。急に……呼び出し」

みこと「おれはずっと……沙羅と過ごせる時間のことばっかり気にしてた。あと何日……何秒、そんなこと毎日」

それは、今までわざと触れないようにしてきた話題。

不安げな表情の沙羅に「大丈夫だよ」と目で合図して、みことは静かに続ける。

みこと「だけど、一緒に生きられなくなっても、沙羅の弟だったこと、沙羅の家族だったこと、沙羅の恋人だったこと、おれは一生幸せだよ」

みこと「それでも、もし……もう一つ……もう一つ望みが叶うなら……」

「おれは沙羅の夫になりたい。結婚しよう」

まっすぐに、沙羅の目を見て言う。。

見開かれた沙羅の目に、みるみるうちに涙がたまっていく。

みこと「沙羅が海外に行っても、どんな選択をしてもかまわない。おれはただ、沙羅の夫として生きたい」

沙羅「どこにも行かない」

涙まじりの、けれどはっきりとした意思が込められた声で沙羅は言う。

沙羅「明日死ぬとしても、あと100年生きられるとしても、みことのお嫁さんになれたら、一生幸せ」

お互いの気持ちを確かめ合うように、ふたりは抱きしめあった。

孤独を怖がるな

沙羅「ねえ、みこと。籍は今すぐじゃなくていいと思う」

みこと「……」

沙羅「ほら、私たちそもそも家族だし、戸籍とかいろいろ面倒だし、だから当分はこのままでいいかなって」

みこと(沙羅の、言葉にしない声が聞こえる。自分がいなくなっても、おれに何も残らないように。おれのこの先の人生を考えてる)

みこと「沙羅。やっぱりすぐ籍入れよう。おれ、沙羅とちゃんと夫婦になって、ずっと……」

みことの言葉を遮るように、沙羅が手のひらをこちらに向けた。

沙羅「視て」

手のひらを重ねれば、沙羅の《最後の姿》が脳裏に克明に浮かびあがる。

沙羅「みこと、目、つむっちゃってない? 本当のことから逃げちゃってない? みことが現実を見ずに行動して、孤独になってしまうことが、私は怖い」

みこと(沙羅の夫として生きられることは幸せだ。だけど怖くないはずがない。姉を、恋人を、妻を失ってしまう孤独。ともに生きなければ知らずに済んだ孤独が……怖い)

それでも、みことは手のひらを重ねた。

『孤独を怖がるな』

亡き父親が遺した言葉が、背中を押してくれた。

『本当の絆があれば、本当の孤独にはならないから』

みこと(沙羅の残す孤独を、おれは怖がってはいけない)

結婚指輪

季節は春。

その日が、近づいている。

たまに考えることがある。

沙羅よりも先に旅立ってしまえば、沙羅の最期を見ずに済むのに、と。

だけど、おれはきっと投げ出せない。

救命士としての使命を。

レン兄を、藍を。

沙羅を。

捨てて死ぬことなんてできない。

だから、おれは生きて、一秒で一年分このひとを愛そう。

みこと「沙羅。手、出して」

指輪の箱を開く。

みこと「これ、父さんの結婚指輪。きっとずっと沙羅のこと、守ってくれるから」

沙羅の目に涙が浮かぶ。

みこと「ちゃんと結婚しよう、沙羅。籍もちゃんと。この先何があっても、沙羅とした楽しいことが多ければ多いほど、おれは孤独にはならないから」

沙羅が指輪を薬指に通す。

まだ加工していない指輪は、沙羅の細い指には大きすぎる。

それでも沙羅は満面の笑みを咲かせて、みことの胸に飛び込んだ。

母からの贈り物

廉が多忙な母を日本に呼び戻した。

母も、そして藍も、みことと沙羅の結婚に反対しなかった。

母の短い滞在時間のうちに結婚式を挙げるため、式場を見て回る。

父と母が式をあげた、小さな教会に決めた。

夜。

寝室には母と沙羅が寝ている。

沙羅「――お母さん、私とみことの結婚のことどう思ってる? 血つながってなくても姉弟だし、ほんとは抵抗ある?」

母「みことはお父さんに似て、大切な人との時間を宝物みたいに扱う子。世界一思いやりのあるあんたと、世界一あんたを大切にしてるみことの結婚。なんの問題があるの?

沙羅「お母さん、私、幸せ。私はお母さんの娘で、レン兄の妹で、藍の姉で……みことに出会えて、すごくすごく幸せなの。ありがとうお母さん」

ずっと生き続ける

たくさんの傷病者と向き合って、関わって、そして気づいたことがある。

みこと「人は死なないんじゃないかなって」

『死んだ人はその人を想う人の心のなかで生き続ける』

みこと「よく言う言葉が、綺麗ごとじゃないなぁって思えて」

信号が赤になり、車が止まる。

運転席の沙羅がこちらを向いて言った。

沙羅「それなら私は、ずーっと生き続けられるね」

視線がぶつかり、微笑みあう。

先に視線を外したのは、みことの方だった。

だから、みことが先に『それ』に気づいた。

 

暴走トラック。

 

『それ』は一直線に突っ込んできて、

信号で停止している沙羅たちの車を、

ぐしゃぐしゃに押し潰した。

一瞬の気絶から意識を取り戻し、状況を確認する。

トラックは運転席側に突っ込んだ。

運転席で強い衝撃を受けた沙羅は意識を失っている。

みこと(冷静になれ!)

みことは救命士として考えうる限り最適な行動をとった。

沙羅を車から出し、トラックの運転手(軽傷。泥酔していた)を救出。

次に通報。

止血に取り掛かろうとしたところで、沙羅が目を覚ました。

みこと「沙羅! 沙羅! わかる? どこが痛い?」

沙羅はうつろな目でみことを見ながら、口を動かす。

消え入りそうなほど小さな声だったから、何を言ったかは聞き取れない。

みこと「何?」

耳を近づけたみことの頬に弱々しく手を伸ばし、沙羅は言った。

 

沙羅「……大好き」

 

たった一言だけ残して、沙羅は再び意識を失った。

みこと「沙羅!」

呼吸が、止まっている。

救急隊が到着するまでの間、みことは必死に心臓マッサージをと人工呼吸を繰り返した。

みこと(沙羅、生きてくれ……!!)

沙羅がいたから

6月21日、沙羅は事故に遭った。

昏睡状態に陥り、目覚めない。

おれの《ビジョン》通りならこのまま目覚めず、8月23日、沙羅は……

沙羅の病室。

ここのところは家にもろくに帰らず、沙羅につきそっている。

深爪がちの指先。

下がる片眉。

思いやるようにのぞき込む目。

笑いすぎてかすれる声。

……全部、なくなるのか。

8月22日。

明日は沙羅の誕生日。

今年もマリーゴールドを贈ろう。

『絶望』

『別れの悲しみ』

マリーゴールドの花言葉を知ったとき、贈り物には向かない花だと思った。

でも、沙羅は言ってくれたんだ。

「マリーゴールドの花言葉、それだけじゃないよ」

『生きる』

それもマリーゴールドの花言葉。

……。

笑うと下がる片眉。

思いやるようにのぞき込む目。

そのすべてが、「愛している」と伝えてくれていた。

おれと生きる幸せを伝えてくれていた。

それは生涯、絶対に絶対に失くならない。

……。

子ども時代の記憶。

あれは父が亡くなったばかりの頃だった。

「お父さんを助けてあげられなかったなんて思っちゃだめ! でも、どうしてもそう思って悲しいなら、これからいろんな人いっぱい助けてあげたらいいよ!

沙羅。

沙羅がいたから、おれは……。

沙羅がああ言ってくれたから……。

うつむいていた顔をあげる。

沙羅が1年かけて完成させた絵をまっすぐ見つめる。

描かれているのは制服姿のみことと、マリーゴールド。

みこと(沙羅と生きた1秒1秒が、おれをつくった。沙羅がいたからおれは、救命士として生きていく)

いつも沙羅が座っていた、キャンバスの前。

今でもそこに沙羅がいるような気がして。

キャンバスにそっと手を触れて、想いを伝える。

みこと「ありがとう。沙羅」

最終回

8月23日。

マリーゴールドの花束を持って病院へ。

廉「――今日が《その日》か。おまえはずっと沙羅のそばにいてやった。全力で大事にしてやった。……沙羅は幸せだ」

涙は流さない。

悲しい顔もしない。

廉も、みことも。

「沙羅がっ!」

叫ぶような母の声を合図に、病室へと走る。

沙羅のベッドの横に、医師がじっと佇んでいる。

医師は淡々とした声色で、ただ事実だけを告げた。

「助かる確率は呼吸が止まってから、どれだけ早く心肺蘇生を始められたかで決まります」

2分で90%。

3分で75%。

4分で50%。

 

「彼女は幸運でしたね。あなたがそばにいたからよかった」

 

1歩、1歩、ベッドに近づく。

沙羅の顔を覗き込む。

そこには……

1年後。

小さな教会の結婚式。

ウェディングドレスに身を包んだ花嫁がバージンロードを歩いている。

両手で持つブーケは、マリーゴールドの花束だ。

大切な家族の笑顔と涙に見送られ、花嫁は愛する人のもとに到着した。

沙羅「ちゃんと自力で歩きたかったから、一年もかかっちゃった」

笑いながら手のひらを合わせる。

《ビジョン》は視えない。

あの事故の日から、おれの能力は消えた。

だけど何も変わらない。

大切な人との別れは50年後かもしれないし、明日かもしれない。

だから今、この瞬間。

言葉で、行動で、心で、『愛している』と伝えよう。

 

この1秒を愛して、生きる。

<完>

最終回の感想

まずは何といっても安心しました!

正直「沙羅は絶対に助からないだろう」と思っていたので、本当に嬉しい予想外れでした。

  • 最初から一貫して「運命は変えられない」と繰り返してきた。
  • 物語自体も「大切に想っていれば、故人は心の中で生き続ける」という方向でまとめていた。
  • 「奇跡が起きて助かる」という安易な結末が許されない雰囲気があった。

どう考えても、最終回は「沙羅は亡くなったけれど、みこととの絆は永遠」みたいなラストになるとしか思えませんでした。

辛い結末を受け止める覚悟をしていました。

だから、

『彼女は幸運でしたね』

という医師のセリフを読んだ瞬間、本当に心臓が止まるかと思いました!

「えっ! それって!? うそ! マジで!?」

みたいな声がリアルに出ていたと思います(笑)

とにかく喜ぶよりもホッとするよりも、衝撃と混乱でいっぱいいっぱいで、ようやく落ち着きを取り戻せたのは、ラストシーンになってからでした。

沙羅とみことの結婚式。

ほとんどセリフのないこのシーンは、「4分間のマリーゴールド」の中でも屈指の名シーンだと思います。

微笑んでいるみことの目が、沙羅の眉が、どんなセリフでも伝えられない2人の幸せな気持ちを鮮やかに語っているようでした。

そして、最後を飾ったみことのモノローグ。

大切な人との別れは50年後かもしれないし、明日かもしれない。

だから今、この瞬間。

言葉で、行動で、心で、『愛している』と伝えよう。

大切な人に「あなたのことが大切だよ」と無性に伝えたくなる、とっても素敵なラストでした。

ぱんだ
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まとめ

今回はキリエ「4分間のマリーゴールド」のあらすじネタバレをお届けしました!

では、最後にまとめです。

3行まとめ
  • みことと沙羅は両思いだった。恋人になる。
  • 結婚を約束しあうも、交通事故で沙羅は昏睡状態に!
  • 沙羅は死ななかった! 最終回は2人の結婚式。

絵も言葉選びもすごく繊細で、綺麗で、心に残る漫画でした。

ドラマ情報

そんな「4分間のマリーゴールド」がドラマ化!

みこと役を演じるのは福士蒼汰さん!

そして沙羅役は菜々緒さんです!

原作が単行本全3巻と短いので、今回のあらすじネタバレに出てきた名台詞・名シーンもドラマに登場しそうですね!

どんなドラマになるのか楽しみです!

ぱんだ
ぱんだ
放送は金曜10時から!

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POSTED COMMENT

  1. ポポンタ より:

    七緒さん、今までの役柄は悪女やら、バリバリの女性役でお化粧もきついメイクだったので、今回は役柄がらなのか、おとなしいメイクに変わり七緒さんの女優目線が変わりましたとても感動しました

    • わかたけ より:

      >ポポンタ さん

      わかります!

      菜々緒さん優しい雰囲気でとってもよかったですよね!

  2. ありす より:

    ドラマがとても良かったので、不安になって(苦笑)原作あらすじを探しました。
    わかたけさんのあらすじを読んで号泣しましたが、安心しました。
    まさか、最後を変えないよね?と信用して見ます。

    • わかたけ より:

      >ありす さん

      やっぱり「最終回では沙羅どうなるの!?」って気になりますよね(笑)

      わたしも原作知ってるはずなのにドキドキしました。

      かなり原作に忠実な実写化なので、ラストも変わらないはず!

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