小説「君の膵臓をたべたい」を読みました!
多くは語りません。号泣でした。
今回は小説「君の膵臓をたべたい」のあらすじを結末までネタバレしていきたいと思います!
ネタバレあらすじ
「君の膵臓をたべたい」
図書室の蔵書整理をしながら、唐突に彼女・山内桜良はそう言った。
患った膵臓を治すために同じ部位を食べたいという軽口らしい。
高校2年生の彼女は膵臓を病んでおり、余命はあと1年ほど。
医学の進歩により、元気に学校に通っている彼女の秘密を知るのは僕だけだ。
出会い
彼女と出会ったのは今年の4月、病院で。
たまたま落ちていた『共病文庫』の中を見てしまったのがきっかけだった。
『共病文庫』は桜良がつけている日記のようなもので、当然余命のことも書かれていた。
彼女はあっけらかんと自分の秘密を僕にばらし、クラスでも地味な僕と人気者の彼女とに接点ができたという次第だ。
◆
そして、現在。
なぜか僕は彼女と焼き肉を食べに来ている。
僕は基本的に流されやすい草舟のような人間なので、強く誘われると断ることができない。
彼女は秘密を知る僕といると息抜きになると言って、何かと僕を誘ってくれるのだった。
普通の肉が好きで、小説を読むのが好きで、人間関係が希薄な僕。
ホルモンが大好きで、ファッション雑誌を読み、友人が多い彼女。
僕たち2人はまるっきり反対の人間だった。
デート
近所で通り魔が出たというのに、クラスの話題は僕と彼女がデートをしていたということで持ち切りだった。
あろうことか彼女が僕のことを「仲良し」だと言ったので、僕はそれを否定しておいた。
それが彼女のためだし、僕も面倒ごとは避けたい。
しかし、彼女はそのことで不機嫌になってしまい、罰として僕は女子だらけのデザート食べ放題に連れてこられてしまった。
最悪なことに、そこでは彼女の親友である恭子に鉢合わせてしまった。
体育会系の恭子から不審な目を向けられ、僕はたじろぐ。
彼女は命の火が消えかかっているとは思えないくらい上機嫌で、「うわははっ」と笑っていた。
旅行
テストが終わり、僕はまたしても彼女に呼び出された。
2人きりで新幹線に乗って泊まりの旅行に行くと聞き驚いたが、結局草舟である僕に拒否権はない。
行き先は彼女が生きているうちに行きたかったという新幹線の終着駅。
僕たちはラーメンを食べ、学問の神様に参って、もつ鍋を食べた。
そして、高校生には身分不相応なホテルに向かう。
向こうの手違いで同室になってしまったと聞いたときには心底驚いたが、僕は草舟。
とはいえ、僕たちは潔白であり、何もやましいことはなかった。
その代わり、僕たちは梅酒を飲みながら「真実か挑戦」ゲームをした。
お互いにトランプを引き数字が大きい方が勝者。敗者は勝者の質問に答える(真実)か命令に従う(挑戦)というのがルールだ。
酔いも回ってきた十番勝負の最後、勝ったのは彼女だった。
「私が、本当は死ぬのがめちゃくちゃ怖いって言ったら、どうする?」
僕には何も言うことができず、挑戦を選び彼女をお姫様抱っこしてソファからベッドに抱き移した。
◆
2日目の朝、恭子からの電話で目が覚める。
旅行がバレたのだ。
帰ったらライオンのような彼女に亡き者にされてしまうかもしれない。
僕たちは彼女や家族へのお土産を買い、僕たちの町へと戻った。
雨降って
またしても僕と彼女のことがクラスで噂になっていた。
関係があるかは知らないが、僕の上靴がトイレのゴミ箱から見つかる。
◆
その日、彼女は僕を家に招待した。草舟は流されるのみ。
テレビゲームをしながら、彼女は僕にこんな質問をした。
「私を彼女にする気は、何があってもないよね?」
「……ないよ」
帰り際、僕は突然背中から壁に押し付けられる。
息がかかるほどの近さから、彼女がささやく。甘ったるく。
「生きているうちにしたいこと。恋人でも、好きな人でもない男の子と、いけないことをする」
状況が把握できず、僕はただ混乱することしかできない。
すると…
「んふっ。なーんちゃって」
彼女は満面の笑みを浮かべ、いつもの冗談だと大笑いする。
理由はわからないけれど、それに僕は心底腹がたった。侮辱されているように感じた。
だから……
今度は僕が彼女をベッドに押し倒す。
手を拘束して、じっと顔を見つめる。
彼女は笑い、困り、焦り、怒り、そして泣いた。
彼女の涙を見て、とんでもない後悔が押し寄せる。
「ごめん……」
逃げるようにして、僕は彼女の家を後にした。
◆
その帰り道、温和なイメージの学級委員と出会う。
「桜良はどうしてお前なんかと」
なるほど。彼は彼女のことが好きだったのだ。上靴を隠したのも彼だった。
「お前みたいな協調性のない暗いだけの奴と!」
僕の人間性については、特に異論はない。
彼はそのまましばらく動かなくなったので、背を向けて帰ろうとしたが引き留められる。しつこい。
僕は彼を傷つけるつもりで言った。
「あの子は、しつこい人間は嫌いだそうだよ。前の彼氏がそうだったらしい」
左目に強い衝撃を受けて、僕は雨の中地面に倒れこんだ。
人に殴られるのは、確か初めてだ。なかなかに痛い。
息を荒げる彼の奥、立つ人影を見つけた。
「何、してんの……?」
彼女が現れて、状況は終わった。
彼は彼女の「最低」の一言に崩れ落ち、僕は彼女の家で服を変えることになる。
そこから僕は、彼女と人生で初めての経験をした。
彼女はそれは「仲直り」と呼んだ。
予兆
彼女が入院した。
容体が急変したわけではなく、検査入院らしい。
彼女のお見舞いに行くと、なぜだか決まって親友の恭子と鉢合わせた。
その度、僕は明らかな敵意の視線を向けられて恐怖する。
「あの子は人一倍傷つきやすいの。中途半端な気持ちであの子に近づいて傷つけたら、私が許さない」
やはり恭子は獰猛なライオンのようだった。
◆
彼女の様子に、違和感を覚える。
「一回だけでいいからさ、真実か挑戦、やってくれない?」
申し出を受け入れたはいいが、間の悪いことに僕が勝ってしまう。
質問を考えなければ……
「君にとって、生きるっていうのは、どういうこと?」
彼女は少し考えてから答える。
「生きるっていうのはね、きっと誰かと心を通わせること。そのものを指して、生きるって呼ぶんだよ」
(……ああ、そうか)
僕はその答えで、探し続けてきた答えが分かった。
(……そうだ、僕は君になりたかったんだ)
君の膵臓をたべたい
彼女の入院が2週間延びた。
僕は気が気じゃなかったけれど、彼女があっけらかんとしていたので安心する。
彼女が言う。
「もう一度、旅行したかったなあ」
「どうして、もう二度と旅行には行けないみたいな言い方するの?」
彼女はごまかしたが、僕の気は動転していた。
「この前から、君は様子がおかしい。何か隠してるでしょ。ばればれなんだよ」
僕は一気に心配事をまくしたてる。まだ、彼女には生きていてほしい。
彼女は大きな口を開けて、まるで幸せそうに答えた。
「なーんにもないよ。ただ、君のことを考えてたの」
リッピサービスかもしれないが、肩の力が一気に抜けた。
「うふふふふふ」
「……どうしたの?」
「いやぁ、私、今幸せだなぁって思って」
僕は、素直に彼女に生きていてほしいと伝える。
彼女は、それを聞いて嬉しそうな、幸せそうな顔をする。
僕たちは、彼女が退院した後のデートの約束を交わした。
海に行くのだという。
そして、彼女の退院の日はすぐに来た。
◆
待ち合わせのカフェにつくと、まだ彼女は来ていなかった。
通行人を眺めながら、僕は他人に興味を持てている自分に気づく。
全部、彼女が変えてくれた。
僕の人間性も、日常も、死生観も。
彼女がからのメールが届く。今からこちらに向かうとのことだ。
『退院おめでとう。今、君のことを考えてたよ』
『珍しく嬉しいことを言うね。どうしたの、病気?』
『君とは違って健康体だよ』
『ひどい、私を傷つけたね! 罰として私を褒めなさい!』
彼女をほめる点なんて、山のようにある。携帯のメモリに収まりきらないくらいに。
君は本当にすごい人だ。
僕はどうかすれば君になれるだろうか。そうだ。
『君の爪の垢を煎じて飲みたい』
いや、違う。もっとふさわしい言葉がある。
『君の膵臓を食べたい』
渾身の出来だった。
しかし、彼女からの返信はなく、その日、彼女は現れなかった。
◆
その理由を、僕はニュースで知ることになる。
山内桜良は、通り魔に刺された。
住宅街に倒れており、治療もむなしく息を引き取った。
◆
葬儀には出なかった。10日ほど部屋に閉じこもった。
そうして、僕は思い至る。
『共病文庫』を、読まなければならない。
共病文庫
亡き後、共病文庫はみんなに公開されるようにすると彼女は言っていた。
彼女が僕のことをどう思っていたか、その答えがあるかもしれない。
僕は山内家に向かう。
線香をあげて、彼女と似ている母親と向かい合う。
「実は僕は彼女の病気のことを知っていました。共病文庫を見てせいただけませんか」
お母さんは、その言葉を聞いて両の目から涙を流した。
「君、だったのね……。来てくれて、本当に良かった……。」
「桜良は、あなたに向けてこれを残したんだもの」
「……え?」
彼女は僕にこの文庫が渡るように言い残していたという。話が違う。
僕は共病文庫を開く。
◆
そこには、彼女の本音がつづられていた。
僕と出会ってからの日々も書かれている。
僕がそうだったように、彼女も僕に自分にはない魅力を感じていたと書かれてある。
7月28日『寿命が、半分になった』
僕は絶句した。彼女はやはり僕に隠し事をしていたのだ。
『私の心配をしてくれてた。嘘をついた。あんなにほっとした顔をされたらさ、伝えられないじゃん。でも、嬉しかった。生きてて、こんなに嬉しいことがあるのかと思うくらい。嬉しくて嬉しくて、1人になった後たくさん泣いちゃった』
彼女は他に、僕と恭子が仲良くなってほしいとも書いていた。
そして退院の日、日記は途絶えていた。核心の部分を知ることはできなかった。
すると
「桜良が、あなたに本当に読んでほしかったのは、きっとまだ先」
共病文庫の後ろの方のページに、遺書の下書きが記されていた。
クラスメイト、家族、恭子への感謝の言葉。
そして、僕に向けたメッセージがそこにはあった。
『私はね、君に憧れてたの』
『君は誰とも関わらず、1人で自分の魅力をつくっている。だから、君が私を必要としてくれて嬉しかった。17年間、私は君に必要とされるのを待っていたのかもしれない』
『誰かをこんなに幸せにできるなんて、君は本当にすごい人間だね。君の爪の垢でも煎じて飲みたいな』
『そんなありふれた言葉じゃ駄目だよね。私と君との関係は、そんなどこにでもある言葉で表すのはもったいない。私はやっぱり』
『君の膵臓を食べたい』
◆
遺書を読み終わり、お母さんに頼んで彼女の携帯電話を見せてもらう。
僕からの最後のメールは、開かれていた。届いて、いた。
「……お門違いだとはわかっているんですが……ごめんなさい……もう、泣いてもいいですか」
涙を流し、彼女のお母さんがうなずく。
「うわああああああああああああああああああああああああ! あああああああああああああああああああ!」
僕は泣いた。嬉しかったんだ。
僕こそが、彼女に出会うために生きてきた。
僕は彼女のおかげで、この4か月間を生きてきた。きっと人生で初めて。
ありがとう。
だけど、僕はもう彼女になにもしてあげられない……。
友だち
あの日と同じ、指定されたカフェで待っていた。
ほどなく相手が現れ、僕を憎しみの目で見つめる。
僕は、恭子に『共病文庫』を見せることにしたのだ。
恭子は膵臓の病のことを知らなかったが、彼女の字を見てハッとする。
そして一日かけて共病文庫を読み終わり、涙をぬぐったティッシュの山をつくった。
「……許さない。桜良があんたを好きで、大切で、必要だったとしても、あたしは許さない」
僕が恭子に病気のことを教えなかったことを、恭子は強く非難した。
しかし、僕もくじけるわけにはいかない。
「ごめん、でも、少しづつでもいいから、僕を許してほしいんだ。そして……もしよかったら、僕と……いつか……」
「と、友達になってほしいんだ」
彼女の遺志だけじゃない、僕自身がそうしたいと思った。
沈黙の時間が流れ、恭子は僕の顔も見ずに去っていった。
「これは、難しい」
僕は自転車に乗って、家に帰ることにした。
夏休みが。もうすぐ終わる。
結末
夏休みが始まる炎天下、僕は石段を地道に上っていた。
先に行く彼女が余裕ぶって手をたたく。
「弱っちいなあ。がんばれ、がんばれ!」
そうして僕たちは桜良の墓前にたどり着く。
合掌し、僕らは仲良く想いを送った。
あれから、1年。
恭子とは、思い出の地に泊まり旅行に行くほど仲良くなれた。
これから、2人揃って山内家を訪ねに行く予定だ。
◆
僕は、この一年の困難っぷりを彼女に報告した。
そして、嘘をひとつ明かそうと思う。
僕の初恋の相手は、君だったよ。
◆
僕と恭子は軽口を言い合いながら、来た道を戻る。
「うわははっ」
彼女の笑い声が聞こえた気がして、2人同時に振り返る。
もちろん、僕らの後ろには誰もいなかった。
僕らは、うわははっと笑いながら長い階段を下りた。
<完>
※よかったら感想もどうぞ。
※追記:映画「君の膵臓をたべたい」を観てきました!
まとめ
「君の膵臓をたべたい」のあらすじネタバレでした!
大筋のみのあらすじ・ネタバレでしたので伝わらない部分が多いと思うのですが、本当におすすめしたい1冊です。
実は、この文章を書きながら思い出し泣きまでしてしまいました。
それほど胸に来る文章と物語なんです。
気になった方は映画版はもちろん、ぜひ原作小説の方も読んでみてください!
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