この秋の注目映画といえば、カンヌ国際映画祭で「ある視点」部門監督賞を受賞した作品「岸辺の旅」
「岸辺の旅」は湯本香樹実さんの原作小説を浅野忠信さん・深津絵里さんの主演で実写化した映画です。
主人公はとある夫婦。
3年前に失踪した夫が「幽霊(後述)」となって妻の前に現れる場面から物語はスタートします。
なかなか気になる設定…というわけで映画公開に先駆けて原作小説を読んでみました!
正直、好き嫌いの別れる作品だと思いますが、確かに「映像化に向いているな」とも思われます。
というわけで今回は、そんな映画「岸辺の旅」の内容をあらすじから結末までネタバレありでチェック!
映画「岸辺の旅」に注目!
まずは、あらすじから見ていきましょう。
妻・瑞希(みずき)の前から夫・優介がいなくなって3年が経つ。
ある夜、いきなり瑞希の前に優介が現れた。
「俺、しんだよ」
足もある、心臓も動く、ヒゲも髪も伸びる…目の前の夫はそれでもすでに「あちら側」の存在なのだという。
「俺の体は、海の底で蟹に食べられたんだ」
「幽霊」となった優介はそこから歩いて、旅をしながら帰ってきたのだという。
「じゃあ、いこうか」
優介は瑞希と一緒に「来た道をさかのぼる旅」に出ようと誘う。
「目的は?」と尋ねると、瑞希がこの3年間で書き溜めた「写経」を燃やすためだと優介は答えた。
ネタバレ1・島影さん
列車やバスを乗り継ぎ、時には歩いて進む旅が始まる。
それは不思議な旅だった。
方向感覚や時間の感覚は失われていき、海辺にいたかと思うと山間に着き、晩秋を過ぎたかと思えば初夏になっている。
安宿や民宿を渡り歩く中で、夫妻は「優介が来る旅の中で出会った人々」に再開することもあった。
そうした時は、そんな人々の元で働きながら一定期間を過ごすことになる。
2人が最初に出会ったのは、小さな町の新聞屋・島影さんだった。
優介は新聞屋のパソコン関係を整え、瑞希はチラシの折り込みを手伝う。
ある日、優介は「実は島影さんも『俺と同じ』なんだ」と言った。
ただし、島影さんにはその自覚がない。「幽霊」には個人差があるのだという。
そして2人が出ていく日の前日、夫妻と島影さんはささやかな宴会をすることに。
島影「どこかわからんが、行かなくてはならないところがあるような…」
寝てしまった島影さんを部屋に運ぶと、島影さんの部屋には趣味で集めていた「花」の写真の切り抜きが所狭しと貼り付けられていた。
瑞希は思った「きっとここで島影さんは息絶えたのだ」
ネタバレ2・神内夫妻
旅の途中、満月の夜になると優介は決まって水辺でぼうっとしていた。
「交信しているんだ。俺を食べた蟹と。義務なんだ」
その夜、瑞希は優介と同衾しようとしたが、断られてしまった。
旅を続けていると、夫妻は2人目の「知り合い」に出会う。
そして神内夫妻の営む町の中華料理店で2人は働くことになった。
優介は元歯科医だけあって手先が器用で、餃子を包むのが上手い。
瑞希は神内妻・フジエさんの持っていたピアノを弾くのが日課になる。
神内夫妻の昔話を聞きながら、瑞希は自分の過去や、優介との思い出を思い出していた。
ネタバレ3・朋子さん
「嫌になったり、帰りたくなったら、いつでもどこでもお経を燃やせばいい」と優介は言った。
ある日、何かを燃やしている瑞希を見て優介の表情はこわばる。
「お経じゃないよ。手紙、朋子さんからの」
優介は生前、職場の女性・朋子さんと不倫をしていた。
優介が失踪してから、瑞希は朋子と話をしたと言う。
「朋子さんは私が知らないあなたを見ていた。でも、あなたが気分の振れ幅が激しい性分で、たまに急激に落ち込むことは知らなかった」
生きている間には、2人ともお互いのことを全然知らなかったのだと気づく。
旅の中で、2人はそれぞれ新しい相手の一面を発見し、知らなかった過去について語り合う。
…それにしても優介は生前に比べてよく食べるようになった。
ネタバレ4・星谷家
2人は山奥の集落で、最後の「知り合い」に出会う。
星谷老人はタバコ畑の主で、星谷老人の家には、義娘の薫と、薫の息子である良太が一緒に暮らしていた。
優介はこの村では「先生」と呼ばれる。
優介は昼には星谷老人のタバコ畑で働き、夜には良太や近所の子供たちに勉強を教えていた。
ある日、瑞希は良太が川で溺れているのを発見し、助けようとして自らも川に飲まれてしまう。
幸い、良太も瑞希も一命を取り留めたが、この事件を機に星谷老人はいっきに老け込んでしまった。
星谷老人は語る。
「2年前に放蕩息子がしんだ。その後、薫は行方不明になったが、半年後に優介と一緒に帰ってきた」
瑞希は「薫も『あちら側の存在』なのではないか」と思う。
ネタバレ5・薫の亭主
「薫さんとどこで知り合ったの?」
優介は「薫さんが夫だった男と一緒にいるのを見た」と言う。
しかし、薫が行方不明になったのは夫が他界してからのはず…。
「俺と同じなのは薫さんじゃなくて、亭主の方。亭主はもう崩れかけていたのに女房を連れまわして…酷かった」
…。
優介と薫の亭主が川辺で話をしている。
男は言う。
「いつまでも2人で旅をしていたかった。でもダメみたいだ。最初は字が読めなくなる。そして体が透けていく」
「飯だけは食えよ。飯が食えなくなったら、おしまいだぞ」
そういって男は光の粒になって消えた。
ネタバレ6・結末
旅の終わりが近づいていた。
瑞希は言う「家に帰ろうよ。一緒に帰ろうよ」
だが、優介は止まらない。
途中で寄った安宿で、2人は旅に出て初めて本当の意味で抱き合った。
翌日、2人はついに目的地の海辺のたどり着く。
「本当は適当なこと言っただけなんだ。お経は関係ない」
優介は言う。
「ちゃんと、あやまりたかったんだ」
瑞希「行かないで」
「みっちゃん、とどまってるのはもう限界だと思う」
2人は流木に腰かけて、空を見ながら優介が持ってきた熱いコーヒーを飲む。
…瑞希が目を覚ますと、あたりは夜になっていて、優介の姿はなかった。
瑞希は2人分の荷物を抱えて歩きはじめる。
<完>
※物語の解釈や、原作を読んでの感想などは?
まとめ
原作小説「岸辺の旅」はとにかく、情緒的で、誌的で、抽象的な作品です。
なので「主人公夫妻がどこからどう進み、どこへたどり着いた」という足跡は全然順序立てて描かれていません。
小説なら「行間」に、映画なら「沈黙」に全てが詰まっている、そんな作品だと思います。
その中でも、一応「ストーリーの大筋」として拾い上げられるものを今回は「ネタバレ」として結末までお伝えしました。
結局「なぜ優介は妻と旅をしたのか」など、多くの疑問には明確な答えはなく、それぞれの読者が「感じたモノ」を大事にすればいいんだと思います。
また、そんな「岸辺の旅」ですから、その魅力の多くは今回拾い上げなかった「描写」の中にあるのかも知れません。
映画を見る前に、原作小説を読んでみるのも面白いと思いますよ!
なお、映画「岸辺の旅」は10月1日全国公開予定です。
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