映画「天空の蜂」を見てきました！
「天空の蜂」は東野圭吾作品の中でも特にメッセージ性が強く、また設定的にも映像化は難しいと長年言われてきた作品です。
しかし、そこは流石の堤幸彦監督！
ボリュームのある原作を見事にまとめ、迫力ある映像と実力派キャストの好演でしっかりと見ごたえのある映画に仕上がっていました！
個人的には「いい実写化だった！」という感想です。
ただ、やはり映画の尺的に「詰め込み感」が出ているのも事実。
原作ファンなら問題ないとしても、初見であの展開の早さはちょっと厳しいかもしれないな、と思いました。
というわけで今回は映画「天空の蜂」の解説や感想とともに、原作になかった結末シーンにも触れていきたいと思います。
映画「天空の蜂」感想＆解説
各映画サイトによる「天空の蜂」公開初日時点の口コミ評価はおおよそ星4つ（5つ中）というところ。
概ね高評価のようです。
やっぱり「高高度でホバリングする巨大ヘリ」はド迫力の映像でしたし、中盤までの「中に取り残された子供を助ける」という流れはハラハラドキドキでしたし、映像・展開に関してはわかりやすく面白かったのだと思います。
特に自衛隊員の上条（永瀬匡）が自衛隊ヘリから巨大ヘリへと命がけでジャンプするところなどは、展開を知っていても手に汗握りました。
その後、映画の後半では「犯人と真意」「ヘリが原子炉に落下するのか」という展開にシフト。
思いっきりネタバレですが、犯人グループがそれぞれ仲間由紀恵・綾野剛・本木雅弘という実力派揃いだったのはすごく良かったと思います。
展開的には「時間内に犯人それぞれは警察にみつかる」という普通の流れなのですが、華のある俳優・女優さんが演じるとやっぱり劇的な場面になるものですね。
特に物語のメッセージ性の代表者である三島（本木雅弘）の狂気じみた信念は原作に恥じない素晴らしい完成度だったと思いました。
「天空の蜂」解説
身もふたもなく結末までのあらすじだけ見れば、映画「天空の蜂」は「子供が乗った巨大ヘリが原子炉に落ちそうだったけど、子ども助かったしヘリは海に落ちたし、そもそも原子炉に落ちても大丈夫だったよ」というシンプルなお話です（？）
しかし、「天空の蜂」のメインテーマはズバリ「原発」
結論から言えば、犯人グループのリーダー格だった三嶋の主張は「原発には恩恵もあるがリスクもある。だが国民は恩恵ばかりに目を向けてその危険性を知ろうともしていない。原発に無関心な大衆（国民）は一人一人が原発に関心を持ち自らの考えを持て」というものでした。
だから三嶋は「巨大ヘリ事件」を起こすことで国民の関心を煽ったわけです（実際にはヘリが落ちても大丈夫だった）
今でこそ「3.11」を経験し、日本国民は多かれ少なかれ原発について学びました。
しかし、小説「天空の蜂」が世に出たのは1995年。
当時はまだ原発のリスクについて周知されていなかった頃で、もちろん舞台設定も当時の日本となっています。
今後、何か重大な変革が私たちの生活に訪れる際には「流れてくる情報を鵜呑みにするだけではなく、自ら関心を持ち学ぶ姿勢こそが大事」という教訓を思い出したいものです。
※「天空の蜂」の中で、政府は国民を騙し情報操作をしていました。
結局、三嶋は極悪人として逮捕されたわけですが、作者の主張・作品の教訓は、三嶋の思想そのものだったわけですね。
沈黙する群衆
作中では三嶋の息子が「原発屋の息子」といじめられて身投げし、そのいじめを主導した反原発の一家が「沈黙する群衆」によって排斥されました。
無知・無関心な大衆は「自らを危険にさらしている」だけではなく「他を害する存在」でもある、と言ったところでしょうか。
例えば現代のネット社会なんてのは「沈黙する群衆」の温床であると同時に、「知ろう」という気持ちさえあればすぐに行動できる環境でもあると言えます。
なるべくなら「沈黙する群衆」の一員にはなりたくないものですね。
原作と違う結末
正確には「原作のその後のエピソードが追加されていた」ですね。
原作小説のラストシーンは三嶋が警察に連れて行かれる場面です。
映画「天空の蜂」では、月日が流れ「3.11」後の登場人物たちの姿が描かれています。
巨大ヘリの中に閉じ込められていた湯原の息子・高彦は、ヘリで被災地を回る自衛隊員に成長していました。
※ちなみに成人後の高彦キャストは向井理さん！
主人公の湯原（江口洋介）も白髪交じりになりながら被災地を支援。
親子で会話を交わすシーンが映画結末のシーンでした。
なお、会話の中で「三嶋は獄中で息絶えた」と湯原が告げていました。
まとめ
劇場公開された映画「天空の蜂」を見てきた感想や解説でした！
全体的な感想としては「満足！」
迫力ある映像や、豪華キャスト陣の醸し出す緊迫感など見ごたえ十分の作品でした。
映画『天空の蜂』の配信は？
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※配信情報は2020年6月時点のものです。最新の配信状況は各サイトにてご確認ください。
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