直木賞初の平成生まれ受賞者・朝井リョウが描く就活生のリアル。
小説「何者」は実際の大学生たちの就活戦線を間近で見ていた著者だからこそ書けるリアルすぎる「イマドキの就活」を描いた作品です。
今の就活生たちの心の闇というか、いわゆる「イタい」部分も包み隠さず浮き彫りにしています。
今回は映画化もされた小説「何者」のあらすじや結末のネタバレをお届けします!
あらすじ
主人公・二宮拓人は御山大学社会学部の大学生。
拓人は大学で演劇サークル「劇団プラネット」の脚本家として活動していたが、就職活動を機に演劇とは決別した。
そして、今は就活を通して仲間になった同じ大学の4人と一緒に、内定を狙って活動している。
・神谷光太郎は拓人とルームシェアしている元・バンドマン。就活を機に金髪を黒髪短髪へと変えた。
・田名部瑞月はアメリカ留学していた光太郎の元カノで、拓人が片思いしている相手でもある。
・小早川理香は瑞月の友達で、意識が高い就活生。エントリーシートやOB訪問などの活動にも余念がない。
・宮本隆良は理香と同棲している彼氏で、就活にはあまり興味がなくクリエイティブな活動で生きていきたいと思っている。
拓人たち5人は表現上は仲良くやっているものの、本音はそれぞれ。
特に観察者気質の拓人は、メンバーのTwitterなどを逐一チェックし、内心では他のメンバーの事を見下していた。
しかし、かといって拓人の就活自体も難航している。
拓人は同じ演劇サークル出身で、今は自分の劇団を立ち上げて活動しているギンジの生き様を見ては複雑な心境になるのであった。
補足と解説
正直、主人公の拓人はちょっと嫌な奴です。
自分のことは棚に上げて、いつも他人を観察してばかり。
同棲している理香と隆良の生活空間がキレイすぎる点から「この2人はまだお互いにカッコ悪いところを見せていない」とか
片思いしている瑞月のことが気になって「瑞月が帰国してから光太郎とはTwitterで一度話しただけだ」とか
理香が「面接頑張る!」とつぶやけば「WEB試験に受かっていない理香は面接まで行っていないはずだ」とか
時には仲間の裏アカウントを特定してまで、その内容をチェックする粘着質っぷり。
しかし、そのしつこいまでの観察は「自分が何者でもない」という不安を隠すためのものでもありました。
就活ではいつも自分を拒絶されることにビクビクして、特に誇るべき点のない自分に絶望したり。
就活に見向きもしなかったギンジの事を見下しつつも、生き生きと自分のやりたいことをやっている姿に焦燥感を覚えたり。
そうして、いつまで経っても内定の出ない不安に押しつぶされそうになっているんです。
手作りの名刺までつくる意識高い系の女子大生・理香や、自分は特別だと思い込んで他人を見下している隆良もたいがい「あるある!」な「イタイ奴」ですが、きっと一番就活生の心をえぐっているのは拓人。
「何者でもない」自分から目をそらして、それでも不安に耐え切れずに他者の批評に執着するようになった、どこにでもいる普通の大学生です。
はたして拓人はどんな結末を迎えるのでしょうか?
結末のネタバレ
光太郎に内定が出た。
拓人は光太郎の内定先が気になり「総合書院 2ちゃん 評判」とネット検索する。
すると、そこに理香が現れ、拓人の気持ち悪い検索が目撃されてしまった。
「……私、拓人くんに内定出ない理由、わかるよ」
そして理香は続けて「みんなそんな拓人のこと『痛い』って思ってるよ」と告げる。
拓人の中で何かが崩れていく。
しかし、さらに理香は続ける。
「私、ずっと読んでたよ」
「あんたのもうひとつのツイッターのアカウント」
「カッコ悪い姿を見せたくないって観察者ぶってる人なんか、どの会社だって欲しいと思うわけないじゃん」
実は拓人自身も裏アカウントを持っており、そこで誰にも吐きだせない本音をつぶやいていだのだ。
そこには、こんなつぶやきもあった。
「今年も、内定が出ない。理由がわからない」
拓人は就活2年目の就職浪人だったのだ。
ラストシーン。拓人は面接に臨んでいる。
あの事件の後、拓人は少しだけ成長することができた。
「短所は、カッコ悪いところです」
「長所は、自分はカッコ悪いということを、認めることができたところです」
<何者・完>
まとめと感想
今回は朝井リョウ「何者」のネタバレをお届けしました!
「何者」で描かれている就活生たちは創作されたキャラクターとは思えないほどリアル!
特に誰もが持っているドロドロした感情や、見栄、「自分だけは特別だ」なんて心情の描写には「もう!もうやめてくれ!」と叫びだしそうになるほど覚えがあって怖くなるほどでした。
また「何者」は就活をテーマにした作品ですが、その根底には「生き方」という深い題材も見えてきます。
主人公・拓人は内定をゴールに走っているけれど、就職はスタートであってゴールではありません。
じゃあ、その先の人生って?
拓人は「自分で自分のやりたい道を突き進んでいるギンジの姿」に複雑な感情を抱きます。
もちろん答えは1つではありません。
ただ、拓人のように流されて就職をゴールにしてしまうのは、きっと良くない。
そんなテーマについても考えさせられる「何者」
豪華すぎるキャストが集結した映画も要チェックです!
映画キャスト
- 佐藤健:二宮拓人
- 有村架純:田名部瑞月
- 二階堂ふみ:小早川理香
- 菅田将暉:神谷光太郎
- 岡田将生:宮本隆良
- 山田孝之:サワ先輩
映画『何者』の配信は?
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