島本理生「ナラタージュ」が松本潤さんと有村架純さんで実写映画化！
さっそく小説を読んでみました。
原作小説は400ページ以上となかなかのボリューム。
正直、前回のネタバレ記事では全然お伝えできていないこともありました。
そこで今回はあらすじを踏まえたうえで、物語の感想・解説・補足などをしていきたいと思います！
泉と葉山先生の関係は？
教師と（元）教え子の恋愛。
ナラタージュをその一言で片づけることはできません。
きっかけは、葉山先生が泉のいじめ被害に気づいて寄り添ったことでした。
「解決」ではなく「寄り添う」
葉山先生は泉の逃げ場所になることで、一時は命を断とうとすら考えた泉を救いました。
一方で、葉山先生にとってもまた泉は特別な存在でした。
「自分の判断ミスで妻を精神的に追い詰め放火まで起こさせてしまった」
泉は、そんなボロボロの状態の葉山先生を癒す存在だったのです。
ある意味では相思相愛、言い換えれば共依存。
心の底ではお互いに求めあっているのに、葉山先生は結婚していて泉の気持ちには答えられない。
でも、葉山先生にとっても泉は大事な存在だからふっと甘えたり、特別扱いしたりする。
そしてついには卒業式の日に抑えきれなくなって葉山先生はキスしてしまうし、演劇の参加を建前に声をかける。
葉山先生については「ずるい男だ」という評価が多いみたいですね。
結局、物語の結末で2人が結ばれることはありませんでした。
でも、2人がもう会うことがなくても、2人はいつまでも相手のことを覚えている。
これって、うまく言えませんが、尋常じゃありませんよね。
泉が最後の夜に葉山先生に抱かれながら考えていたことがとても印象に残っています。
「この先もう誰と寝ても同じように満たされることはない。あるいはこの日がすべてとなって、その余力で残りの一生を持ちこたえていくのではないか」
この2人を指して単に「最後には別れた」「教師と生徒の恋愛」と評することはできないでしょう。
ある意味では、究極の愛の形だと言ってもいいのかもしれません。
時系列は？
実は「ナラタージュ」の中では季節が一巡しています。
ちょっと出来事を簡単にまとめてみましょう。
春
演劇の練習開始。大学生組が楽しそうに遊ぶ。実はこの時点で柚子ちゃんはすでに暴行されていた。
夏
小野君が告白するもフラれる。その後、葉山先生が実はまだ離婚していないことを知り泉が大ショック。本番が終わり、改めて小野君と付き合うことになる。
秋
小野君が徐々に壊れていく。最高のさわやか好青年から、最低のクソ男まで転落するギャップがすさまじい。
冬
柚子ちゃんの飛び降り。小野君と別れる。葉山先生と一夜を過ごす。そして最後の別れ。
卒業後
職場の同僚と結婚。しかし、泉の中にはまだ葉山先生がいる。
小説「ナラタージュ」は場面によって、かなり印象の違う作品です。
最初の100ページ過ぎくらいまでは大学生たちの楽しい日常を描いた作品として面白いのに、葉山先生と泉に焦点が当たり始めると感情が激しく揺さぶられてしまいます。
そして切なすぎる結末。
400ページ分の感情が一気に迫ってくるラストシーンには、読んだ人にしかわからないすさまじい感動がありました。
ナラタージュの評価は？
ネットで「ナラタージュ」の感想を見てみると、はっきりと賛否両論な意見になっているようですね。
傾向としては女性は「恋愛小説の傑作」としてみている一方で、男性の評価は低い印象。
確かに、客観的に見てみると「ナラタージュ」の登場人物はかなり自分勝手です。
表面上どう言おうと、自分の気持ちを優先してばかりだと言えます。
でも、これに関しては実際の人間も同じだと思うんです。
相手のことを思っているようで、その実自分を守っているだけ…なんてこともよくあります。
そう考えてみると、ナラタージュの登場人物はかなり生々しく描かれたリアリティのある人々だとも言えそうです。
個人的なことを言えば、ナラタージュは「最高！」とまでは言わないものの面白く読めました。
でも、きっと10代のころに読んでいたら、もっと面白かったんじゃないかなと思います。
大人向けというよりは、10代の若者に刺さる小説という印象です。
ナラタージュの感想は？
誰に感情移入するかで、ナラタージュの感想は大きく変わってくると思います。
私の場合、やっぱり主人公の泉に共感しながら読んでいました。
泉の感情が揺れる時は、こっちまで同じような気持ちになってしまいます。
ふいに葉山先生にドキッとさせられるときめき。
葉山先生が心配になってしょうがない不安や焦燥感。
私たちが日常で感じる10倍くらい心を動かしている泉の気持ちが伝わってくるのが、ナラタージュの素敵なところだと思いました。
個人的には少し文章が読みにくく感じましたが、決して読んで損はない小説だと思いますよ！
余談ですが、ナラタージュが出版されたのは平成20年のこと。
作品に「MD」が登場したりして、一世代昔に現役だった私にとっては懐かしさも心地よかったです。
映画の注目ポイントは？
なんといっても松本潤さんと有村架純さんという超豪華キャストが話題の映画「ナラタージュ」！
注目ポイントといえばキスシーンやベッドシーンは外せません！
生々しく描写されている最後のベッドシーンは、小説では6ページも使われています。
物語的にもとても重要なシーンなので、ここがぼかされることはないはず。
「いやいや、松本潤と有村架純の濃厚ベッドシーンてアンタ！」
正直、この場面のためだけでも映画を見る価値があると言って過言ではないでしょう（？）
そして最後に、小野君。
完璧好青年からズブズブのメンヘラに急転直下で落ちていく落差がすごいんです。
- 勝手に手帳を見てブチギレ
- 嫌がっても一方的に抱くクソ野郎っぷり（ゴムなし）
- 別れ際に彼女を土下座させる
- かと思ったら情けなく泣きながら「いかないでくれ！」と懇願
坂口健太郎さんの熱演に注目です！
関連記事：映画「ナラタージュ」の感想！感動作品だけど賛否両論？
まとめ
以上、映画化される「ナラタージュ」の感想や解説、前回の補足などでした。
この「ナラタージュ」という小説は、とにかく言葉にしにくい作品です。
泉の気持ち、葉山先生の気持ち。
とてもじゃありませんが、短い言葉で適切に表現することなんてできません。
複雑で、深くて、激しい。
この言葉にできない感情は、小説を読んでいる人、映画を見ている人の心に突き刺さります。
映画も小説もおすすめです。
映画『ナラタージュ』の配信は？
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※配信情報は2020年6月時点のものです。最新の配信状況は各サイトにてご確認ください。
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