切ない・泣ける

『よだかの片想い』あらすじネタバレ解説|切なくも素敵な結末【映画原作小説】

島本理生『よだかの片想い』を読みました。

胸がつまるような恋愛小説です。

身も心も投げ出して捧げるような全身全霊の恋。

若く危なっかしい恋の行く末は……?

今回は小説『よだかの片想い』のあらすじがよくわかるネタバレ解説をお届けします!

ぱんだ
ぱんだ
いってみよう!

あらすじ

顔に目立つ大きなアザがある大学院生のアイコ、二十四歳。

恋や遊びからは距離を置いて生きていたが、「顔にアザや怪我を負った人」をテーマにした本の取材を受け、表紙になってから、状況は一変。

本が映画化されることになり、監督の飛坂逢太と出会ったアイコは彼に恋をする。

だが女性に不自由しないタイプの飛坂の気持ちがわからず、暴走したり、妄想したり……。

一途な彼女の初恋の行方は!?

(文庫裏表紙のあらすじより)

出会い

アイコはずっと顔のアザを気にして生きてきました。

気味悪がられる、恐れられる、かわいそうだと哀れまれる。

それらすべての視線から逃げているうちに、いつのまにかアイコは地味で野暮ったい物理学専攻の大学院生になっていました。

もちろん恋の経験はゼロです。

大半の男の人は私の自信を奪ったり、気を遣いすぎて疲れるだけの存在だったから

ところが、そんなアイコが人生ではじめて恋に落ちる瞬間が訪れます。

相手は映画監督の飛坂逢太。

飛坂の第一声は、アイコをひどく動揺させました。

「僕、あの(本の表紙の)写真、大好きだったんです」

本の表紙を飾ったアイコの写真は、キッと何かを睨むような、言ってしまえば愛想のない仏頂面でした。

アイコは自分らしくていいと気に入っていたのですが、周囲の人間の反応は散々でした。

両親は「プロのカメラマンが撮ったのにあんまりだ」と憤慨し、信頼している教授は「あなたは笑顔が得意じゃないから」とフォローしました。

だから、飛坂だけだったんです。

アイコらしい表紙の写真を褒めてくれたのは。

「最近はみんな同じような笑顔で、同じようなメイクでしょう。あんなに真っすぐ強い目ができる人は、そうそういないから。きっとすごく芯が通っていて、がんばってる人なんだって」

抑えきれず、涙があふれだしました。

アザとつきあってきたこれまでの人生をまるごと肯定されたような、アザをひっくるめたありのままの自分を受け入れられたような、それはアイコが心から欲していた一言でした。

初恋

飛坂はこれまでアイコが接してきたどの男性とも違っていました。

たとえば、飛坂はアイコのアザを気にしません。

彼はアザを経由せずに直接、私の目を見た。

いきなりくれたプレゼントは、アイコが嫌いな鏡でした。

「(嫌い)でも不便でしょう。だから、少しでも気に入ってもらえるように、ちょっとだけ高価で綺麗な物をあげたかったんです」

アイコが飛坂への恋心を自覚するまで、それほど時間は必要ありませんでした。

とはいえ、24歳にして初めての恋です。

アイコは「まっすぐ突っ込んでいく」以外のやり方を知りません。

「次はいつ会えますか」

彼は苦笑して頭を搔いた。

「アイコさんは、余韻を楽しむとかかけひきとか、そういうことができない人なんだな」

「できないです。そんなのは自信のある人のすることだから」

そして、決定的な瞬間が訪れます。

一緒に行ったお花見での一幕です。

アイコが通行人からアザのことで心無い言葉を投げかけられたとき、飛坂は若い男の子たちを呼び止め、言いました。

「今のは、人として、とても失礼だ。謝って」

淡々と、しかし力強く謝罪を要求する飛坂。男の子たちは憮然とした表情で謝って去っていったものの、一歩間違えば逆上して殴りかかられていたかもしれません。

アイコがそう指摘すると、飛坂はさも当たり前だと言わんばかりの表情で言いました。

「一緒のときにあなたが悪く言われたら、反論する責任が僕にはあるでしょう。一緒にいるっていうのは、相手を肯定しながら同じ場所にいることなんだからさ。それは立派な責任だし理由だ」

そう言って背を向けた飛坂の後ろ姿に、アイコは両腕でしがみつきます。

抑えられず、気持ちが口からあふれだしていました。

※以下、小説より一部抜粋

…………

「好きです」

とうとう、言ってしまった。

飛坂さんは小さく、アイコさん、と呟いた。

私は遮るように声を絞り出して、好きです、好き、好きです、とくり返した。

髪の毛や指先から溶けて泡になってしまう気がした。

彼が向き直ろうとしていたので、私は両手を離した。こちらに注がれた、気の毒がるような視線に耐えながら。

「僕は気まぐれだし、思ったようにしか動けないから。付き合うと大変だし、苦労するよ?」

私は深く頷いた。

「大丈夫、私、頑丈ですから。あなたが、好きです」

彼はなにか言おうとしていたけど、口を閉じた。そして静かに私の頭を撫でた。

ゆっくりと、なにかを確かめるみたいに。

ざっと木の枝が大きく揺れて、二人の間を桜の花びらが通り過ぎた。

飛坂さんはまるで子供に言い聞かせるように告げた。

「先に言っておく。僕が、アイコさんを幸せにしてあげることはできないと思う」

私は、なにもいりません、と宣言して、強く深く頷いた。

飛坂の事情

飛坂は女性にモテるタイプですが、だからといって初心(うぶ)なアイコを弄ぶような男ではありません。

彼は彼なりにちゃんとアイコに惹かれていました。

たとえば、飛坂が《とある事情》で弱っていた時のことです。

渦中の話題に触れず、いつもと同じように自然に隣にいてくれるアイコの存在は飛坂の心をなによりも癒しました。

「色んな相手が、色んなことを言ってきた。でも心配も、干渉も同情も、等しく苦痛だった。誰にも会いたくなかった。なにも押しつけず、ただ僕の話を聞こうとしたのは、あなただけだ」

ぱんだ
ぱんだ
なにがあったの?

きっかけは飛坂の父・双見恭介の訃報です。

双見はもともと人気の俳優だったのですが、再婚した若い女優の妻を飲酒運転で死なせてしまいます。

それは薬物に溺れ、生きる意志のなかった妻が引き起こした事故だったのですが、周囲の人間はそうは見ません。

妻の生命保険金を受け取ったこともあり、双見はそれまで懇意にしていた人々から見放され、芸能界を追放されました。

そして当時まだ子どもだった飛坂は、そんな様子を間近で見ていました。

手のひらを反すように父親との縁を切っていった人々への怒り。

なにも悪くないはずの父が連日ニュースでなじられる理不尽への憤り。

話を聞くうち、アイコは飛坂のことがだんだんとわかってきました。

この人は、お父さんを好きだと言うことさえ許されなかったのだ。そのことで、ずっと一人ぼっちだったのだ。

訃報をきっかけに父の事件が改めて掘り返され、心が弱っていたからでもあったでしょう。

飛坂はまっすぐ彼の辛さを受け止めてくれたアイコを抱き寄せ、涙を流します。

飛坂がアイコをはじめて抱いたのは、その日のことでした。

※以下、小説より一部抜粋

…………

「僕は、君の真剣さが怖かった。でも、本当は、見たくないものから逃げるためにへらへら笑って生きてきた自分が嫌いだったんだと思う」

「飛坂さんは、逃げてないです」

「そんなことないよ。君の気持ちにだって気づいてたのに、突き放したり嫌われたりするのは嫌だし面倒で、でも背負うほどの覚悟はなくて」

「でも、あなたには映画があるから」

彼はかすかに疑うような視線を向けた。

「人の見たくないものや、見てもらえないものを、ちゃんと映してる。だから、あんまり無理しないで。私は『家を建てる』(※)を観て、ニュースでお父さんのことを知って、あんなにたくさんの悲しみを乗り越えてきたあなたのことを、とても尊敬しました。でも、つらくもなった。だって、どんどん自分の中を覗き込んで、あえて一人になろうとしてるみたいだったから」

※『家を建てる』は飛坂が父と再婚した妻をモチーフに撮影した映画

(中略)

飛坂さんが近付いてきて、こっち向いて、と囁いた。

おそるおそる振り向いたら、下唇を噛むようなキスをされて息が止まった。

飛坂さんは明かりを消すと、真っ暗なホテルの天井に偽物の星空が広がった。

ネタバレ

ホテルでの一夜が明け、アイコは晴れて飛坂の恋人になりました。

ここで物語が終われば文句なしのハッピーエンドだったのですが、しかし、そうは問屋が卸しません。

飛坂のスキャンダルによって、アイコの幸せはぐちゃぐちゃに叩き潰されてしまいます。

ぱんだ
ぱんだ
スキャンダル?

週刊誌に掲載された路上キス報道。相手は飛坂の映画に出演していた端整な顔立ちの女優でした。

飛坂さんに裏切られた。飛坂さんはやっぱり私のことを好きじゃなかった。飛坂さんがいなくなる。どれ一つ、受け入れたくなかった。今写真で見たばかりの女優の美しい顔立ちが視界に焼き付けられていた。

こんなのはずるい、と思った。どんなにがんばっても敵わない。

ぱんだ
ぱんだ
しんどい……

飛坂は会うなり「魔が差しただけで深い関係はない。もうしない(意訳)」と平謝りしてきました。

しかし、アイコは頑として謝罪を受け入れません。

大好きだからこそ、許せませんでした。

そして、勢いのままアイコはうっかり口を滑らせてしまって……。

※以下、小説より一部抜粋

…………

「飛坂さんは、一人になったほうがいいです。そばにいたら、みんな、あなたに優しくしたくなる。そういう魅力があるから。でも、そんなことをしてたら、あなたはずっと、お父さんのことで傷つきながら小さくなってた子供のままで」

そのとき飛坂さんの表情が硬くなった。

ひるんだ私を、突き放すように

「僕は、ずっと一人だよ」

と彼は言うと、伝票を手にして立ち上がった。

「飛坂さん?」

と私は不安になって、呼びかけた。さっきまで大人しく話を聞いてくれていた彼が、別人のように硬い殻をまとったように感じられた。

(中略)

「でもアイコさんは、僕を許せないだろうから」

どうしてそんな話の流れになるのか分からなかった。

今すぐに私が彼のことを許せないのは当たり前じゃないか。

責めて、責め続ける私に、どうして謝り続けてくれないのか。

込み上げる理不尽さを呑み込んで

「時間が経てば、いつかは」

と言いかけた私の頭に、飛坂さんは労わるような目をして手を置いた。

「ごめん。傷つけただけで」

「飛坂さん。そんな、ずるいです。なんで」

最後まで言葉にならなくて下を向いたら、(誕生日プレゼントの)手首のブレスレットがシャツの袖口から覗いて、涙腺が抑制を失った。

泣いている私の背中を、彼は優しくさすった。嫌だ、と思った。

行かないで。半日前からやり直したかった。あんな週刊誌なんて見なければ良かった。

「駅まで送っていくよ」

とっさに首を振って、嫌です、と答えた。駄々をこねればなんとかなるかもしれないと期待したけれど、彼は、分かった、と言ってレジへ向かった。

痣(あざ)

はっきり別れを告げられたわけではありませんが、事実上の破局です。

いくら後悔しても時は戻りません。

アイコは飛坂との関係をふりかえり、自分がいかに身勝手だったのかに気づきます。

飛坂さんは私の顔写真を見て、強い、と言ってくれた。私自身もそう思っていた。だけど実際はコンプレックスを肥大化させて、意地になっていただけじゃないだろうか。

自分のことはすべて認めてほしくて、相手の弱さは受け入れられなくて。そんなの、ただの子供じゃないか。

アイコはレーザー治療で顔の痣を消す選択について検討し始めます。

早くても2年。時間もお金もかかりますが、やろうと思いさえすれば痣は消すことができます。

家族に治療について告げると、アイコの母は心配そうに尋ねました。

「あの人とつき合いだして、なにか否定的なことでも言われたのかと思って」

アイコは即座に反論しました。

「飛坂さんはそんなこと言ったりしない。前だって私が」

言いかけて、はっとしました。

アイコが飛坂に心底惚れたのは、いったいどうしてだったのでしょうか?

当たり前すぎて見落としていたその答えに、アイコは思い至ります。

私にアザがあったから、飛坂さんの素敵なところをたくさん知ることができて、好きになった。

アイコはアザを消さないことに決めました。

※以下、小説より一部抜粋(ひどい火傷を負った先輩との会話)

…………

「私はずっとこのアザを通して人を見てた。でも、だからこそ信頼できる人とだけ付き合ってこられたんです」

「本当、に、そう思う? アイコちゃんはアザがあって良かったって、そんなふうに本当に思ってるの?」

考えるよりも先に、はい、と頷いていた。

まばたきするたびに、闇夜いっぱいに広がった桜の記憶が揺れた。

飛坂さんが見知らぬ男の子に、謝って、と言ってくれたこと。

泣きそうなくらい嬉しかったこと。

あんなにも激しく体の奥底から、好き、という気持ちが溢れたこと。

「最初から無ければ、やっぱりそのほうが良かったのかもしれないけど、でも、そんなに悪いものじゃないです。大丈夫です」

よだかの片想い

アイコと飛坂は再び会う約束を交わします。

一時は感情のまますれ違ってしまった二人ですが、お互いに惹かれ合っている根っこの気持ちはそのままだったということでしょう。

きっとお互いに謝りあって元通りの関係に戻れるはず……期待するアイコでしたが、思いもよらぬ事態に阻まれ、一転大ピンチに陥ってしまいます。

ぱんだ
ぱんだ
なにごと!?

待ち合わせに向かう前にと入った大学のシャワー室の鍵がイタズラされていて、なんとアイコは閉じ込められてしまうんです。

スマホは研究室に置きっぱなし。シャワー室の周囲は人通りが少なく、大声で助けを呼んでも救助は望めません。

このままでは待ち合わせをすっぽかしてしまう……アイコの顔がさっと青ざめました。

今日、飛坂さんに逢わなかったら、今度こそ決定的に消えてしまう気がした。

飛坂との縁だけはなにがなんでも繋ぎとめておかなければならない……焦ったアイコは強行突破に踏み切ることにしました。

鍵のかかったドアの中央にはめ込まれた半透明のガラスを打ち割り、そこから脱出しようという作戦です。

掃除用具のデッキブラシを手に取り、力いっぱい叩きつけると、はたしてガラスは割れました。

ガラスを割っていくたびに、そこに写った自分の顔も欠けていきます。

額が消えて、鼻が消えて頬のアザが消えて、どんどん自分がなくなっていった。

ガラスがほとんど割れて視界が開けると、蒸した風が流れ込んできた。

奇妙な解放感だった。濡れたままの髪が張り付いて、気持ち悪いはずなのに、すごく清々しかった。

この後、アイコはガラスが割れる音を聞きつけてきた研究室の仲間に無事発見されます。

ドアの解錠を待つ間に取ってきてもらった携帯を見ると、飛坂からの着信が何件か入っていました。

もしも遅れる旨の連絡だとしたらかえって好都合だな、なんて思いながら折り返すと電話の向こうで飛坂は言いました。

「ごめん。急な打ち合わせが入ったから、今日の約束はべつの日に」

一瞬で全身の力が抜け、次の瞬間には思わず笑い声をあげていました。

※以下、小説より一部抜粋

…………

「アイコさん、なんで笑ってるの……?」

「だって、私と飛坂さん、あまりに変わらないから」

「それはどういう、意味かな?」

飛坂さんがちょっと警戒したように尋ねた。

「私、飛坂さんのこと、すごく好きでした。同じくらい好きになってもらえなくてもいい、て、そう思ってたんです。でもね、ずっとずっとそれじゃあ」

それじゃあ、の後の言葉に詰まると、彼が呟いた。

「さすがに、嫌気が差すか」

そうじゃないです、と私は首を振った。

「夢みたいでした。あなたに会えて、付き合えて」

でも私がこんなに会いたくて必死になっている間に、飛坂さんはべつの用事を優先させることを決めていた。

私たちの関係性は、きっと変わらない。

この先も。

「僕はいつもこうなんだ。一人の相手をちゃんと支えることすらできなくて」

と飛坂さんは淋しそうに言った。

「それは、違います。私は何度も飛坂さんの言葉に支えられました。たとえ、あなたにとっての私は大勢の中の一人でも」

彼は、迷ったように口ごもってから、思い切ったように

「そんなことはない」

と言った。

「僕だって、君の一生懸命な言葉、真摯な対応、そういうものが無性に欲しくなるときがあった。僕は君に出会って、初めて本当の意味で他人に受け入れられるということを知った。でも、それはアイコさんばかりに負担をかける、残酷なことだから。少しずつ変わることはできても、僕はまた君を傷つけると思う。それでもいいなら、また僕とやり直してほしいって伝えたかった」

私は頷きたいのを必死に堪えて、ごめんなさい、と答えた。

これが、今の飛坂さんの精一杯。

出会った頃だったら、私はこの言葉だけで、一生、満足できただろう。

でも今は知ってしまった。求められることの幸福を。そうしたら、もっと欲張りになっていた。

約束は守ってほしいし、私と会うことを一番楽しみにしていてほしい。

相手にも、こちらが想うのと同じくらい、好きになってほしい。

付き合っているのに片想いみたいな状態じゃなくて。

もう前の私には戻れない。

それはわがままじゃなくて、自分にとって必要な変化だと思うから。

(中略)

「あなたは、すごく成長したよ。良い部分はそのままに」

飛坂さんはまるで結婚する娘を見送る父親のように告げると、じゃあ、と続けた。

私ははい、と答えて、電話を切った。

携帯を握った手の甲を見ると、直線状に血が滲んでいた。ガラスの破片でいつの間にか切っていたのだ。

今日だけは仕事を放り出して私を優先して。

一度きりでいいから、一番にしてくれたら、あとはもうずっと待つから。一生だって待ち続けるから。

そんな本音を、前に進むために呑み込んで、私は壁に額を押し付けて、声を殺して泣いた。

結末

失恋の痛みと引き換えに、大きく成長したアイコ。

彼女はその後、同じ研究室の原田くんという男の子といい雰囲気になります。

周りに流されず、しっかりの自分の考えを持っている原田くんはなかなかの好青年です。

彼は気負うことなく、ごく自然に《その言葉》を口にしました。

アイコがずっと飛坂の口から聞きたいと思って、でも最後まで聞けなかった言葉。

私はたくさんの想いを嚙みしめるように、ゆっくりと告げた。

「男の人から、可愛い、て生まれて初めて言われた」

アイコはまだ原田君のことがはっきりと好きなわけではありません。

けれど、今日という日をずっと忘れないとアイコは思うのでした。

ぱんだ
ぱんだ
うんうん

物語のラストシーン。

アイコは完成した飛坂の映画の試写会に足を運びます。

舞台上で飛坂は映画のモデル(アイコ)について語りました。

「アザと呼べば、まるで欠点のように聞こえてしまうけど、僕は純粋に目を奪われました。その女性が葛藤しながらも強く生きてきた証に」

アイコは飛坂と出会い、アザとの向き合い方が変わったことを想います。

アイコがアザのある自分を肯定し、それをひっくるめて自分だと前進できたのは、飛坂との出会いがったからこそでした。

試写会からの帰路、冬の夜空を見上げながらアイコは飛坂さん、と堪えきれずに呟きます。

(あなたを好きになって本当に良かった)

<おわり>

タイトルの意味

小説のタイトルの元ネタは宮沢賢治『よだかの星』です。

動物たちからいじめられ、星になりたいと願った《よだか》

タカに名前を変えることをよしとせず、あくまで自分のままであり続けた姿は、どこかアイコの生き様にも重なります。

アイコから『よだかの星』を連想したのは、もちろん飛坂でした。

感想

正直、最初は「顔に痣のある女の子の恋の話」というストーリーにちょっと身構えて読み始めました。

暗い自己嫌悪のような感情が描かれるのかしら、と警戒してのことです。

けれど、読み進めていくうちにそんな杞憂はどこかへ飛んで行ってしまいました。

なぜならアイコは両親からいっぱいの愛情を受けて育った、健やかに恋する乙女だったからです。

アザはたしかにアイコのコンプレックスではありますが、それは彼女の本質ではありません。

不器用なところ。真っすぐなところ。他人の痛みに寄りそえる優しさ。

アイコはとても魅力的な女の子で、アザはそんな彼女を構成するいくつもの要素のたったひとつでしかないのです。

人間だれしも、ひとつやふたつくらい大小のコンプレックスを抱えて生きているものだと思います。

自分を誤魔化さず、アザ(コンプレックス)を受け入れて進むアイコの強さには何度もハッとさせられましたし、勇気づけられました。

『よだかの片想い』は恋愛小説ではあるのですが、読後はアイコが成長する物語だったのだな、という印象が強く残ります。

飛坂との出会いを通じて、アイコは「自信が持てなかった自分」から成長し、自身を愛せるようになりました。

結局、飛坂とアイコは結ばれませんでしたが、それはそれとしてとても前向きで、清々しいい物語でした。

ぱんだ
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まとめ

今回は島本理生『よだかの片想い』のあらすじネタバレ解説をお届けしました。

飛坂はまるきりダメ男というわけでもないのですが、ずるずるとつき合いが長くなっていくと沼にハマってしまいそうな気配がありました。

都合のいい女でもいいからそばにいたいという心の叫びを押し込めてきっぱりと別れを選んだアイコは、本当に強い女性だと思います。

島本理生さんの描く魅力的な女性たちのなかでも、わたしは特にアイコが好きになりました。

比較的短い小説(文庫で約240ページ)ですので、ぜひお手に取ってみてください。

恋の嬉しさや切なさがぎゅうっと詰まった一冊です。きっとお気に入りの一節が見つかりますよ!

 

映画情報

キャスト

  • 松井玲奈
  • 中島歩

公開日

2022年公開

ぱんだ
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