今回注目したいのは、フジの特別ドラマ「ドラマ・ミステリーズ~カリスマ書店員が選んだ珠玉の一冊~」
短編ミステリー3本が豪華キャストでドラマ化されるということで、楽しみにしています。
まず1本目の短編ミステリーは小野真理子「妻の女友達」より表題作「妻の女友達」
ドラマでは大泉洋さんが主演を務める作品です。
さっそく原作小説を読んでみたところ…面白い!
短編ミステリーらしく、すべてをひっくり返すような結末にグッときました!
というわけで、今回は小野真理子「妻の女友達」結末までのあらすじをご紹介したいと思います!
※重大なネタバレを含みます。ご注意ください!
小池真理子「妻の女友達」のあらすじとネタバレ!
広中肇(38)は田舎の市役所で戸籍係を担当している。
退屈で地味な仕事、単調な生活。
しかし、ただ平穏に暮らしたいと願う広中は、自分の境遇に満足していた。
5年前に見合い結婚した妻・志津子や3歳になる長女・ちえみには何一つ不満はない。
特に志津子は美人ではないものの控えめで思慮深く、自分にはピッタリの女房だ。
右足に軽い障害を持っているが、家事も育児も完璧すぎるほどにこなしてくれている。
口にこそ出さないが、広中は家族を深く愛していた。
そんな中、志津子の生活に2つの変化が訪れた。
1つは、駅前の料理教室に通い始めたこと。
もう1つは、高校時代の同級生・多田美雪が近所に引っ越してきたことだ。
美雪は有名な女流評論家で、とても志津子と同級生とは思えない派手で下品な女だった。
そのうえ、美雪はわがままで図々しい。
美雪は志津子に「週に一度、部屋を掃除しに来てほしい」と頼んだのだ。
広中は「やめろ」と言いたかったが、志津子の数少ない友人だし、何より志津子が乗り気なので口は出せない。
こうして毎週水曜日、志津子は料理教室に通い、その帰りに美雪の家に寄るようになった。
承
ここのところ、美雪はちょっとした用事でも志津子を呼び出すようになった。
頻度も週に2,3回に増える。
まるで専用の小間使いのようだ。
また、志津子は時折、美雪からお下がりの服やアクセサリーをもらったと言って広中に見せてくる。
それだって志津子を都合よく使うためのエサに過ぎないと広中は不快に思い、妻にお下がりをもらうのはやめるようにいった。
美雪が来てからというもの、広中は不愉快な思いをしてばかりだ。
広中(…アイツサエ、イナケレバ…)
転
広中は美雪を始末してしまおうと決意する。
大丈夫だ。誰も「女房とふたりきりで暮らしたいから、女房の女友達を手にかけた」などと疑う者はいないだろう。
そして、チャンスの夜がやってきた。
病に倒れた母の様子を、志津子が見に行くことになったのだ。
ちえみも連れていくので、一晩、家には誰もいなくなる。
さらに、その晩に風邪を引いた美雪が自宅にいることも確認済みだ。
広中は「見舞いの品を持っていく」という口実で電話をかけ、美雪の家に上がり込むことに成功する。
意外に元気そうな美雪は豪勢なリビングで酒を飲んでいた。
広中の酒をつくろうとキッチンで背を向けた美雪の背後に忍び寄り、ベルトで首を絞める。
広中が手を放すと、美雪の身体がぐにゃりと折れ、床に崩れ落ちた。
突然、たとえようもない恐怖が広中を襲う。
広中は急いで自宅に戻った。途中、誰にも見られてはない。
すべて終わった、と広中は思った。
ところが、広中はあることに気づいて愕然とする。
(袖口のボタンが千切れてなくなっている…!)
もしや美雪の家に落ちてしまったのだろうか?
ボタンには「H・H」のイニシャルまで入っているというのに!
しかし、かといってもう1度、美雪の家に行くというのも危険だ。
広中は(ボタンはどこか別のところに落としたに違いない)と信じ、美雪の家に引き返さないことに決めた。
結
美雪のことはすぐにニュースになった。
なんと、第一発見者は実家から帰ってきた志津子。
それとなく探りを入れてみるものの、志津子はボタンのことは知らないようだ。
警察が事情を聴きに広中家にやってくる。
志津子は誰が見ても心を痛めているとわかる様子で受け答え、広中はどうにか平静を装って質問に答えた。
どうやら、疑われてはいないらしい…。
警察が家から帰ろうとしたその時…
「お嬢さんですね。いくつ」
ちえみ「3歳」
「かわいいぬいぐるみだねえ。お母さんが作ったの?」
ちえみ「うん、クマさんなの」
全員の目が、ちえみが手にするぬいぐるみに向けられる。
広中の胸がどくんと鳴る。
クマの両目に縫い付けられていたのは、あの「H・H」とイニシャルが入ったボタンだった。
警察が帰った後、広中は志津子と向かい合う。
広中「おまえ、このボタン、どこで見つけたんだ」
志津子「あなたったら、私にそんなことを言わせるの?」
志津子は美雪の遺体を発見したときに目ざとくボタンを回収していたのだ。
むいぐるみにすれば、誰も重要な証拠だとは気づかないと思ったという。
志津子は広中を庇ったのだ。志津子が天使のように見える。
志津子「友達とはいえ、彼女は私をなめてかかってましたものね。あなたの気持ち…彼女を消したいと思った気持ちはよく理解できます」
志津子「これであなたは疑われないわ。完全犯罪というところでしょう。私はあなたを庇います。でも、その代わり」
志津子「私と離婚してください」
志津子「私、実を言うとずっと、あなたとの結婚生活にうんざりしていたの。退屈で、まるで隠居した老夫婦みたいな生活に」
志津子「それで、お料理教室に通うようになったら…あなた、ごめんなさいね。そこの先生と私、今、愛し合っているの」
志津子は広中と離婚して、ちえみと連れて新しい男とやり直すという。さらに…
志津子「美雪さんは、夜、私と先生が心ゆくまで会えるようにって時々、用事を言いつけるための偽の電話をかけてくれたりしたわ。それに先生からいろいろ、プレゼントを受けることも多かったのだけど、全部、美雪さんからの戴きものということにしておいたし」
志津子「あなたにはいろいろ、嘘をつきました。この場を借りてあやまります」
広中「許さん…そんなこと…俺が許すわけが…」
志津子「別れてくださらなかったら」
志津子は優しくさえぎった。
志津子「私、ボタンのこと、警察に喋りますから」
彼女はクマのぬいぐるみをいとおしそうに抱き、恋しい人を思い浮かべるように、視線を宙に走らせた。
<妻の女友達・完>
感想
まさに「イヤミス」と言うべき結末!
前提としていた思い込みが、予想もしない形で覆されるのは気持ちがいいですね。
短編ミステリーならではの面白さが味わえました。
また、50ページほどの短い作品のなかに、細やかな伏線がいくつも張られている点にも感服!
2回目に読んでみると新たな発見がいくつもあり、構成の素晴らしさを感じました。
結局、作中で一番の食わせ物だったのは妻の志津子。
物語は一貫して広中の視点で進むため「妻=おとなしくて控えめな女」という印象を読者は自然と持ってしまうのですが、これが結末でぐるりと裏切られる形でした。
作品としては、広中が妻の女友達を手にかけた時点で「山場を越えた」とも解釈できるため、最後の展開には「え!?まだこんなに裏切ってくるの!?」とビックリ!
美雪のことをさして悲しむでもなく、ニッコリと「浮気→離婚→間男と再婚」を認めるよう広中を脅迫する志津子の姿には本当に痺れました。
最後にもう一つだけ。
個人的には、この作品の魅力の一つは「結末の後、どうなるのか?」を想像できる点だと思います。
あの後、広中は志津子に言われるまま離婚したのでしょうか?
その後はふつうの生活に戻った?自暴自棄になって警察に自首した?それと志津子に復讐しようと思った?
私は、広中はあくまでも志津子を許さなかったんじゃないかな、と想像しました。
離婚などせず、間男か志津子本人を手にかけたんじゃないかな。
広中には、どこかそういうサイコパスな一面があるように感じられましたからね。
こんなふうに「結末の先」を想像してみるのも面白いものです。
※「ドラマ・ミステリーズ」その他の作品
2本目:北山猛邦「恋煩い」のあらすじとネタバレ!(土屋太鳳)
まとめ
小池真理子「妻の女友達」がドラマ化!
大泉洋主演で「ドラマ・ミステリーズ~カリスマ書店員が選んだ珠玉の一冊~」の1本目として放送されるということで、今回は原作小説のあらすじとネタバレをお届けしました!
結末のネタバレまで知ったうえで考えてみると、大泉洋さんが広中肇役というのは妙にしっくりきますね。
どこか小市民的で、いざ事を済ませた後にあたふたしてしまう様子とか、最後の最後に信じた妻にしてやられてしまう様子とか、目に浮かぶようです。
志津子役の戸田菜穂さんには、徹底的に怖い笑顔で大泉さんを追い詰めてもらいたいものですね(笑)
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ドラマみました
なかなか怖かったです
私の考える結末は
広中は「沖縄旅行楽しかったな
志津子は俺がいないとダメなんだから」
といっていることから
志津子を殺して一緒に死ぬと思います
これなら 志津子の隣には
俺がいるから安心ですよね
ん? この手の答えどっかできいたような
子供を殺して 犬も殺して 寂しく・・・