降旗康男監督の「追憶」!
主演の岡田准一さんを始め、小栗旬さんや長澤まさみさんなど豪華キャストが話題になりました。
予想外の犯人、そして明かされる意外な真実…物語の結末に待っていたのは、ただただ感動ばかり。
今回は映画「追憶」結末までのあらすじをネタバレしていきたいと思います!
あらすじ(過去編)
映画「追憶」は、タイトルの通り「過去」が重要なキーワードになっています。
13歳の頃に少年たちが犯した罪と現在の事件がどのようにリンクしていくのか?
まずは「過去編」の出来事から見ていきましょう。
1977年
王選手がホームランの世界記録を樹立しようとしていた頃、北海道のとある場所に佇む喫茶店「アンブレラ」に3人の少年がいた。
アツシ(13)、ケイタ(13)、サトシ(12)はそれぞれ親に捨てられたり、親から逃げてきたり、施設から脱走してきたりと訳アリばかり。
3人はたまたまアンブレラの店主・仁科涼子(33)に拾われ、涼子を母と慕い楽しい時間を過ごしていた。
ところが、そんな平穏な日々に突然終わりがやってくる。
刑務所から出所した涼子の元恋人・貴船誠一(37)が、アンブレラに押し入り、入り浸るようになったのだ。
背中に夜叉の刺青を彫っている貴船はヤクザだろうか。
毎夜、涼子は貴船に暴行されているようだが、子供である3人には何もできず、ただただ悔しい思いをかみしめていた。
そしてついに、涼子は3人を元の場所に帰すことを決意する。
涼子と懇意にしているトラック運転手・山形の車に乗せられ、3人は札幌へと連れられて行く。
しかし、道中である決意をしたアツシは2人に目配せし、山形に黙ってアンブレラへと引き返した。
アツシの手には金属バットが握られていた。貴船を待ち伏せし、思い切り振り下ろす。
しかし、目測は外れ、バットは貴船の体をかすめただけ。
貴船「この糞ガキ!」
貴船はアツシを容赦なく蹴り上げ続けた。このままではアツシの命が危ない。
物陰に隠れていたケイタはとっさに金属バットを拾い上げ、貴船の頭めがけて振り下ろした。
貴船は奇妙なうめき声をあげ、動かなくなる。
外に出てきた涼子は、貴船と3人の少年を見て事情を察した。
涼子「あんた、ごめんね…」
貴船にそう声をかけた涼子を見て、アツシは自分が間違ったことをしたのかもしれないと混乱する。
涼子「忘れなさい。今起こったことは忘れるの。後のことは私に任せなさい。あんたたちは何もしてない。何もしらない。いいわね、全部忘れるのよ」
涼子は3人の罪を背負い、逮捕された。
その日の新聞の一面を飾ったのは、ホームラン世界記録を樹立した王貞治選手だった。
あらすじ(現在編)
そして舞台は「現在」へ。
あれから29年の歳月が流れた2006年。
少年だった3人は40歳を超え、それぞれ結婚して家庭を築いています。
再会するあの頃の少年たち。そして発生する事件。
果たして犯人は誰なのか?
※ちなみに映画「追憶」では「25年後」の設定になっています。岡田さんは36歳ですしね。
2006年
王監督がWBCで世界優勝を狙っている頃、道警本部捜査一課の刑事・四方篤(アツシ)は息絶えた事件の被害者を見て愕然としていた。
その人物が、昨夜たまたま会ったばかりの旧友・川端悟(サトシ)だったからだ。
昨夜、悟は言っていた。
「経営するガラス店の資金繰りに困っている。土建屋の社長をしている田所啓太(ケイタ)に金を借りに行く」
四方の脳内に嫌な想像が浮かんだ。
29年前の事件の実行犯は啓太だった。すでに時効になっているとはいえ、世間にその事実がバレれば会社は立ち行かなくなるだろう。
悟は啓太を脅していたのではないか?
とすれば悟をめった刺しにした犯人は…啓太?
四方は被害者と面識があることを本部に隠し、独自に捜査を進めることに決めた。
過去に囚われた心
悟の家で見つかった年賀状を頼りに、四方は29年ぶりに啓太に会いに行く。
啓太の妻・真理の腹は大きく膨らんでいて、出産が近いことを思わせた。
四方は自分が刑事であることを告げ、真相を話すよう啓太を説得するが…
啓太「刑事になって、自分だけは綺麗になったつもりか?あれはおまえがやらせたんだろうが!あの人(涼子)を刑務所に入れちまって、俺がどれだけ苦しんだか、お前に判るか?」
啓太はそう吐き捨てて去っていった。
みな、あの事件に心を囚われたままだ。
四方自身もあの事件をきっかけに心を閉ざすようになった。
現在、妻とは別居中で、母は先日薬を過剰摂取して入院している…それも元をたどれば自分が心を開かなかったことが原因なのだろう。
四方は周囲の人間に気を配れなかったことを深く反省する。
一方で、四方は事件について新たな考えを巡らせていた。
亡くなる直前、悟は家に電話し、娘の梓に上機嫌で言ったそうだ。
悟「ずっと会いたかったけど、会えなかった人に会った。だから父さん、帰ったら頑張るからな」
会いたかったけど会えなかった人たち…これは啓太と自分のことだと思っていたが、もしかしたら違うのかもしれない。
あの頃、悟が自分たち以外で親しくしていた人間がいるとすれば、涼子か山形くらいのものだが…?
涼子の現在
四方は、悟が使っていたレンタカーの履歴に残っていた通所介護施設「手稲光の丘」に向かう。
そこの利用者に「山形涼子」の名前を見つけ、四方は衝撃を受ける。
出所後、涼子は山形と結婚していたのだ。
涼子は現在は若年性認知症となり、過去の記憶を思い出せない状態にあるのだという。
四方は涼子を迎えに来た山形をこっそりと尾行する。
山形は朽ちた「アンブレラ」の前の浜に涼子と腰を落とし、沈みゆく夕日を眺めていた。
きっと、あの日の悟もこうして2人を見て、心を入れ替えたに違いない。
金に振り回されていた悟が、梓への電話で「帰ったら父さんがんばるからな」と妙にすっきりしていたのは、このためだろう。
しかし…だとしてなぜ悟は命を奪われなければならなかったのか?
あの日、悟は啓太から三百万円を受け取っていた。
いったい犯人は誰なのだろうか?
ネタバレ
いよいよ物語はクライマックスへ!
犯人はやはり啓太なのか?
もし違うならなぜ啓太は警察に協力しないのか?
そこには驚きの展開と感動の結末が用意されていました!
犯人は
ついに警察が田所啓太の存在をつかんだ。
捜査から外された四方だったが、服務規程違反を承知で啓太に会いに行く。
四方「悟は俺に言ったんだ。アっちゃんは忘れていい、ケイちゃんに任せておけば大丈夫だからと…今さらだが、おまえが背負ってきたものを教えてほしいんだ」
四方「昨日、あの人と山ちゃんに会った。あの人に何があったんだ…それがおまえが背負ってきたことか?」
啓太「…会ったのならわかるだろ。あの人は関係ない。もう何も憶えていないんだ!だから、守ってやらなければいけないんだ!」
その時、啓太の事務所から悲鳴が聞こえてきた。
妊婦の真理が突然倒れたのだ。啓太は打って変わって動揺してしまい何もできずにいる。
四方は真理の安全を最優先し、受け入れ先の病院を手配。
真理と啓太と車に乗せ、張り込みしている刑事たちを押しのけて病院へと向かった。
病院で真理と啓太をおろした四方は同僚に詰め寄られた。
「四方!おまえ、自分が何をしてるのか判っているのか!」
四方が答えられずにいた、その時…
「犯人が挙がりました!」
別の同僚が声を上げた。
「小夜子と小川が自白しました。二人による保険金狙いの犯行だったんです!」
四方は意外な結末に愕然とした。
小夜子は悟の妻、小川は川端ガラス店の従業員だ。
悟は家族を守ろうと一生懸命に頑張っていたのに、まさか妻に裏切られてしまうなんてあんまりだ…。
とにかく事件は一気に解決へと向かった。
刑事たちは急いで本部へと戻り、四方の違反行為についての言及は一時保留となった。
啓太が語る「真相」
啓太「悟は俺を強請ってなんかいない。俺たちは友達だったんだ」
真理の帝王切開手術を待つ間、啓太は四方に『真相』を語る。
啓太「真理は、涼子さんが刑務所で産んだ娘なんだ。父親はあの男(貴船)だ」
四方は、啓太の告白に絶句した。
啓太によれば、真理は養父母に育てられ、涼子のことは名前しか知らないらしい。
3年前、啓太は山形から連絡を受けた。涼子に病気の兆候が出始めた頃だった。
山形「啓太君に、ひとつだけお願いがあるんだ。あの人が忘れてしまっても、覚えていてほしいことがあるんだ」
そうして、啓太は真理の存在を知った。
啓太「最初は遠くから見ているつもりだった。でもな、惚れてしまったんだ」
啓太は真理と恋人になり、プロポーズをした。
自分は真理にとって「父親を手にかけた男」でもある。そのことが明るみに出れば啓太はすべてを失うことになるだろう。
それでも、啓太は真理を愛し、守り抜くと決めた。
(だから、啓太は悟の事件には積極的に関与しなかった)
啓太「俺、(アンブレラのある)あの土地を買ったんだ。あそこで真理と一緒に家族をつくる。そして、毎日、浜に夕陽を見に行くんだ…」
四方は、啓太が描く光景を思い浮かべた。
浜に時々夕陽を見に来る老夫婦がいる。浜近くの家に住む若い母子と出会ううちに、言葉を交わすようになり、幼子に声をかけ、母親に勧められるままにその子を抱き上げる。
やがて家に呼ばれてお茶をご馳走になるようになり、取りとめもない話をするだろう。
そして失った記憶の代わりに、その時間が記録されていく――。
そんな日が来てほしいと、四方は強く願った。
手術は無事成功した。医師の知らせを聞き、啓太の目から涙があふれる。
生まれてきた女の子の名前は、真理の母親から一字をとって「涼」
四方「おめでとう、ケイちゃん」
四方は29年ぶりにその名を呼んだ。
啓太「ありがとう、アっちゃん」
啓太も29年ぶりにその名を返した。
ロビーで歓声が上がる。
王監督率いるチームがWBCの初代世界一になったのだ。
結末
四方は夕刻の浜に佇む2人に声をかけた。
四方「お久しぶりです」
山形「犯人が捕まったね」
山形の予期せぬ言葉に、四方は驚いた。
山形「悟君の事件が起こった後にね、啓太君が電話をくれたんだ。君が刑事になった。だから、犯人をきっと捕まえてくれるはずだと」
涼子「ひょっとして、あなたも、私の息子なの?」
あの日、悟も2人に声をかけていたのか…。
山形「おまえには、息子が三人いたじゃないか」
山形が穏やかな声で言った。
涼子「自分の子供を忘れるなんて、ダメな母親ね」
悟もこのやりとりを見たのだろう。その時に、悟が口にしたかもしれない。
もし言わなかったのなら、悟の分も言おう。
四方「いいんです。あなたが忘れても、みんなが憶えていますから」
四方の言葉に、山形が頷いた。
過去の呪縛に誰よりも囚われていたのは、四方自身。
今回の騒動で、四方はその呪縛から解き放たれたように感じた。
妻と、母と、ちゃんと向き合っていこう。
刑事を言い訳にして、逃げるのはもうやめよう。
四方は、そう決意した。
エピローグ
四方篤は留置管理課に異動になった。
いわゆる看守だ。どんな組織の思惑があるにせよ、四方は決定に従うだけだ。
四方は官舎を引き払い、賃貸マンションを借りて再び美那子と暮らし始めた。
新しい家は、美那子の職場と母の家の中間にある。
捜査一課時代の元同僚・山崎が四方を訪ねてきた。2人で近所の中華料理屋へ行く。
小川と小夜子を調べていた山崎は語る。
『なぜ小川と小夜子は自白したのか?』
悟が刺された犯行現場には、真新しいお守りが残されていた。
それは悟が「厄除けに行った方がいい」という小川の言葉を聞いて買ったものだった。
山崎「小川の父親が本厄の時に、仕事上の事故で亡くなったんだそうです。被害者が札幌に行く前日に、運の悪さを愚痴るのを聞いて、とっさに口から出たと」
鞄についているお守りを見た小川は狼狽し、お守りを持ち去ることができずに咄嗟に凶器で切断した。
犯行現場で、犯人が理屈では判らぬ行動をとることがある。被害者も加害者も人間なのだと、四方は改めて思った。
四方「山崎にお守りのことを突かれて、小夜子ではなく、小川が動揺したのはそういうことだったのか」
山崎「父親と被害者が、一瞬重なったんだそうです」
四方は嘆きのようなため息を小さく漏らした。
山崎「小夜子に、お守りのことを聞いてほしいと言ったのは四方さんでしたね」
四方「そうだったか?もう忘れたよ」
山崎「あの言葉があったから、小川の自供を引き出せたんです。それなのに」
四方「麵が伸びるぞ」
四方は山崎の言葉を遮って麵を手繰った。
娘の真理が生まれてから一カ月。
啓太はアンブレラの解体作業に入ろうとしていた。
29年間建ち続けてくれた奇跡に感謝すると、啓太は万感の思いを込めてバゲットを振り下ろした。
アンブレラの外壁があっけなく崩れ落ちると、大量の塵芥が舞った。
29年分の時間が飛び出し、一瞬にして消えていった。
啓太の耳に、どこからか、女の声が聞こえてきた。
それは三人の少年の名を呼ぶ声だった。
「アツシ、ケイタ、サトシ!野球中継が始まるよ!」
<完>
感想
「追憶」のタイトル通り、物語の焦点となっているのは「過去を憶えている現在の自分(四方篤)」
意外な真犯人や啓太が告白した秘密にも驚かされましたが、何よりも物語の中心にいたのは四方篤自身でした。
だって結果的に実行犯にならなかったとはいえ、貴船をやろうとした発案者(首謀者)ですからね。
一見、普通そうに取り繕っていても(本人が無自覚でも)、四方の闇は周囲との軋轢や、妻との別居、母との折り合いの悪さといった部分に顕著に現れていました。
悟の事件、啓太の話、涼子・山形との再会…これらの出来事を通して、四方は自らの闇と向き合い、そして過去の呪縛から解き放たれます。
そうして、過去ではなく現在に目を向けることができるようになった四方は、物語の終わりでやっと家族を大切にすることができるようになる…「追憶」はそういう物語だったのだと思います。
まとめ
今回は映画「追憶」のあらすじ・犯人・結末などをネタバレ紹介しました。
では、ここで改めて映画のキャストを見てみましょう。
四方篤…岡田准一
田所啓太…小栗旬
川端悟…柄本佑
四方美那子…長澤まさみ
田所真理…木村文乃
物語の結末を知っていると、このキャスト配役にもいろいろ思うところが出てきますね。
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