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池井戸潤「アキラとあきら」のあらすじとネタバレ解説!結末は?

ぱんだ
ぱんだ
ようこそ!

池井戸潤「アキラとあきら」がWOWOWドラマ化!

向井理さんと斎藤工さんがW主演を務めるということで早くも話題になっています。

原作小説は2006~2009年に連載されたものの、長く書籍化されなかった『幻の長編』

2017年5月にいきなり文庫で書籍化したのとほぼ同時にドラマ化が発表されました。

そんな小説「アキラとあきら」は約700ページという大長編で綴られる壮大な物語!

さっそく私も小説を読んでみたのですが…さすが池井戸潤、面白い!

というわけで今回は、そんな小説「アキラとあきら」のあらすじやネタバレなどについて!

運命に立ち向かう2人の男が迎える結末とは!?

 

 

1.池井戸潤「アキラとあきら」のあらすじ

まずは、簡単に作品全体について説明しましょう。

物語のW主人公は2人の「アキラ」

零細工場の息子・山崎瑛(やまざきあきら)は「子供の頃に父親の工場が倒産した」という経験を持つ実力派銀行員。

一方、大手海運会社である東海郵船の御曹司・階堂彬(かいどうあきら)は、父の後を継ぐだけの人生を拒否し、実力で一流銀行へと入行したエリート。

2人のアキラは大手都市銀行・産業中央銀行に同期入行し、同期300人の中でも特に優秀な存在として知れ渡ることになります。

…ということで、池井戸潤作品だけあって物語の舞台は、やはり「銀行」!

そして物語中の時代は、バブル前後を含んだ1970年代前半~2000年代前半。

物語は2人のアキラの少年時代から始まり、2人の成長や苦悩を描きつつ、約30年後の結末へと向かっていきます。

文庫の帯に大きく打ち出されているキャッチコピーは『運命を、乗り越えろ!』

小説「アキラとあきら」は2人の生き様を描いた壮大な感動巨編となっています。

※ちなみに、2人が入った産業中央銀行はあの半沢直樹が所属していた銀行ですね。

 

では、次項からはより詳しく小説「アキラとあきら」のあらすじを追っていきたいと思います!

 

 

山崎瑛の過去

貧しくても温かな家族。

そんな山崎家が崩壊したのは、まだ瑛が小学生だった頃だ。

瑛の父親は真面目で実直な男だったが、取引先に騙されて運転資金がショート。

銀行から融資を受けることができれば望みはあったが、彼らは冷徹にそれを拒否し、工場の機材を持ち去っていった。

瑛は父と離れ、夜逃げ同然に母の実家へ。

そのうち母の姿も見えなくなり、不安と絶望の日々を過ごした。

 

その後、父は自己破産し、多額の借金を整理。

再就職先も見つかり、なんとか山崎家には平穏な日々が戻ってきた。

 

高校三年生になった瑛が進路に悩んでいる頃、再び父に危機が訪れた。

再就職先の会社でトラブルが起こり、責任を被せられて辞めさせられそうになったのだ。

父も諦めかけていたその時、若き銀行員・工藤だけは父を支え、会社の体質改善を条件になんとか融資を決めた。

おかげで父の会社は存続。瑛も本来希望していた大学進学の道を選ぶことができた。

 

聞けば、実は工藤は大学に進んだものの親の会社が倒産して退学。

未練を残しつつ銀行に入った口であり、瑛の境遇に自らの過去を重ねていたのだった。

これまでの銀行員像とまったく違う工藤の姿に胸を打たれた瑛は東大へ入学し、経済を学ぶ。

大学内でもピカイチに優秀な学生として、産業中央銀行からお呼びがかかった。

 

 

階堂彬の過去

階堂家は裕福ではあったが、一族内には不穏な空気が流れていた。

彰の父・一磨は長男であり、東海郵船を興した祖父から目をかけられる実力を持っていたが、次男の晋、三男の崇には実力がなく、ただ兄へのコンプレックスだけを抱えていた。

そんな兄弟間の不和を憂いた祖父・雅恒は、東海郵船を分社化。

晋には繊維専門の東海商会、崇には観光業の東海観光を与え、それぞれの社長を任せた。

 

彬が17歳の頃、そんな祖父が亡くなった。

晋と崇はここぞとばかりに強欲に声を上げ、自分勝手な遺産相続の配分を一磨に求める。

結果、一磨は金額的に大した相続ができなかったばかりか、晋と崇の会社が抱えていた赤字事業まで引き受ける羽目になってしまう。

だが、口ばかりの2人と違い、一磨の経営手腕は確かなものだった。

悩みぬいた末に、赤字事業を再建させ、逆に有益なものにしてしまったのだ。

その成功を陰で支えていたのは、確かな経営戦略能力のある銀行員・安堂。

彬は父と安堂が成した事業再建の面白さに強く惹かれた。

 

東海郵船は、弟の龍馬が継げばいい。

彬は「家業を継ぐ」という既定路線を嫌い、自由に生きることを選ぶ。

東大で経済学を修めた彬は、産業中央銀行に入行した。

 

 

交錯

三週間に及ぶ産業中央銀行の新人研修は、最後のメインイベントで幕を閉じる。

同期300人の中から特に優秀と評され、最終戦を争うことになったのは、瑛のチームと彬のチーム。

イベントの内容は、彬のチームが会社側を演じて融資を申し込み、瑛のチームが融資を審査するというもの。

ところが、彬は渡された企業データを見て愕然とする。

(この企業は、もうすぐショートする…!)

 

同期300人の目の前で行われる最終イベント。

彬は前代未聞の奇策に打って出た。

財務データの「粉飾」

しかも、恐ろしく巧妙な。

彬は堂々とデータを改ざんし増収増益に見せかけ、銀行から多額の融資を引き出そうとする。

思わぬ展開に、成り行きを見守る銀行員たちも息を呑んだ。

 

一方、瑛も負けてはいない。

「私たちの結論は、融資見送りです。この財務データは粉飾です

常人なら見逃すほどの小さな不自然さ、そこから考えられる粉飾の方法について、瑛は説明する。

彬「さすが、山崎瑛」

それだけでは終わらない、瑛は彬が自分たちの優位性を加味して「わざと小さなヒントをデータ上に残していたこと」まで見抜いていた。

誰もが認めざるを得ない、本物の実力者2人。

この新人研修は、後々にまで語り継がれる伝説となった。

 

 

在るべき姿

時代はバブル景気。入行3年目の瑛と彬は、それぞれ違う場所で1つの言葉を噛み締めていた。

『カネは人のために貸せ』

彬は、企業のことを考えず自分たちの業績だけのために強引に不必要な融資を迫る上司に反発。

案の定、企業からのクレームに首が回らなくなったところを、実力で解決して上司に能力を認めさせた。

 

一方、瑛は自らの経験から「企業を救いたい」と強く願うものの、現実的な問題から融資を都合できない案件に苦しんでいた。

結果、瑛の奮闘もむなしく担当していた零細企業は倒産。

しかし、瑛は自らの危険も顧みず、最後にその企業の社長にアドバイスをしていた。

「今すぐ通帳を移してください。娘さんの命を救いたいんでしょう!?」

社長には難病と闘う小さな娘がいて、治療のための資金を預金していた。

倒産となれば、その金まで銀行が押さえる可能性があったのだ。

後日、社長夫妻から感謝の手紙が届いた。

海外で受けた子供の手術は成功。瑛は命の恩人だと綴ってある。

瑛は会社こそ救えなかったが、子供の命だけは守ることができたのだ。

 

『カネは人のために貸せ』

この言葉を胸に、2人は銀行内でもトップクラスのバンカー(銀行員)へと成長していく。

 

 

2.池井戸潤「アキラとあきら」のネタバレ(~結末)

小説「アキラとあきら」はここからが本番!

とある問題が徐々に巨大に膨らんでいき、瑛と彬はとんでもない難問にぶつかってしまいます。

一見、解決不可能な現実を、2人はどのようにひっくり返すのか!?

あらすじの続きを見ていきましょう!

※ここからはネタバレ度大!ご注意ください!

 

階堂一磨の遺言

入行6年目。

彬の父・一磨が倒れた。くも膜下出血に加えて、肺がんが見つかり、余命は一年。

日に日に痩せ細っていく一磨だったが、最後まで精力的に仕事をこなしていく。

目下の問題は、次期社長を誰にするか?ということ。

彬は番頭格の役員・小西が妥当だろうと考えたが、なんと入社4年目の龍馬が次期社長に手を上げた。

確かに龍馬はいずれ同族会社である東海郵船の社長になるだろうが、経験が浅すぎる。

龍馬は最後まで自分が社長になると主張したが、一磨が小西を指名したことで一度は諦める。

しかし、もし一磨が亡くなれば東海郵船の大株主は龍馬になるわけで、そうなれば事実上、会社は龍馬に支配されてしまう…。

 

一磨「彬、お前に頼みがある。お前にしか頼めないことだ…」

その言葉を最後に、一磨はこの世を去った。

しかし、弁護士が発表した遺言状の中で、父の真意が明らかになる。

『さて、最後に東海郵船の株式についてだが、私が有する全ての株式は──彬に譲ることとする

親族一同がざわつく。

長男とはいえ、彬は社外の人間だ。本来なら社内の人間である龍馬が継ぐべきなのだろうが…。

彬(こういうことだったのか…)

父は、彬に会社を託したのだ。300人の従業員とその家族を、路頭に迷わせないように、と。

叔父らと同じく優秀な実兄にコンプレックスを抱えている龍馬は反発したが、遺言の力は絶対だ。

彬は東海郵船の筆頭株主となった。

 

 

ロイヤルマリン下田

一磨と彬の猛反対を押し切り、晋と崇がバブル期に伊豆に建設した高級リゾートホテル「ロイヤルマリン下田」

このホテルの建設に反対した産業中央銀行を見限り、叔父たちは三友銀行にメインバンクを変更。

90億円の融資を受け、商会と観光の命運をかけた一大事業として打ち出していた。

しかし、このホテルが一向に黒字化しない。それどころか毎年5億円の赤字を垂れ流している。

すでにバブルも崩壊している。

崇が連れてきたコンサルタント・紀田の言葉を信じて辛抱強く利益が出る日を待った晋だったが、もはやそうも言ってられない。

このままでは資金繰りがショートしてしまう。

そうなれば、70億円を出資した晋の商会も、20億円出資した崇の観光も、共倒れしてしまうだろう。

焦った晋と崇は、一計を案じた。

東海郵船から金を引き出そうと企んだのだ。

2人の叔父は社内の反小西派勢力と龍馬をそそのかし、クーデターを起こさせた。

これにより小西は社長解任。新たな社長には龍馬が就いた。

そして2人の叔父は龍馬に持ちかける。

「ロイヤルマリン下田には金が要る。50億円を東海郵船で連帯保証してくれ。何、大丈夫だ。必ず黒字化する。一族の結束を固めようじゃないか」

彬は懸命に引き留めたが、叔父の言葉にころっと騙された龍馬は申し出を快諾。

東海郵船は50億円を連帯保証してしまった。

一磨が亡くなってから2年が過ぎた頃だった。

 

 

宿命

それから1年後。

龍馬が社長になったことで、東海郵船の業績は悪化していた。

ロイヤルマリン下田にも業績回復の兆しはなく、赤字を垂れ流し続けている。

この頃になって、ようやく晋と崇はコンサルタント・紀田に騙されていたことに気づいた。

このままでは商会も観光も、倒産してしまうかもしれない…。

 

そんな中、龍馬が過労で倒れた。統合失調症と診断され長期入院。

龍馬はやっと自分が器不足だったことを素直に認め、彬に社長を任せたいと頭を下げた。

彬は最初こそ断固拒否していたものの、役員たちと龍馬の懇願にされ、自らの運命に向き合う覚悟を決めた。

銀行内でもトップバンカーだった彬は、辞職願を提出。

沈みかけの船である東海郵船の社長に就任した。

 

再交錯

叔父たちが用意していたロイヤルマリン下田の財務データには粉飾が施されていた。

龍馬は騙せても元銀行員の彬は騙せない。

その実情は、もはや手の施しようがない不良債権そのものだった。

このままでは商会・観光・郵船は早晩に連鎖倒産してしまうだろう。

もはや売却するしかない…そう考えた彬は東海郵船のメインバンクである産業中央銀行の手を借りることに。

難しい事案である今回の件の担当者には、瑛が選任された。

 

この不景気だ。なかなかロイヤルマリン下田の買い手はない。外資もダメだった。

そんな中、唯一見つけた希望は、国内で買収・再建を繰り返している金沢の「能登島ホテル」

なんとか能登島ホテルに売却できそうだと安心したのもつかの間、三友銀行の情報漏洩が原因で売却の話は白紙に戻ってしまう。

「終わっちまったぞ、アキラ…」

能登島ホテルのバックについていた企業売買専門の会社「ゴールドベルグ」の担当者であり、瑛の幼馴染でもある三原は心中でそうつぶやいた。

 

 

新たな解決策

いくら探しても、ロイヤルマリン下田の買い手は見つからない。

そんな時、瑛はふと閃いた。

ロイヤルマリン下田だけでは売れないが、その最大出資者である東海商会ごと売るならどうだろうか?

東海商会には独自の販売チャンネルがある。

負債であるロイヤルマリン下田がセットになっているとしても、メリットのある買い手はいるはずだ。

 

まずは、東海商会の社長である晋を彬が説得する。

これまで散々好き放題してきた晋だったが、倒産の危機に怯え、最近ではすっかり意気消沈していた。

彬が順序立てて説明すると、ついに晋は自らの敗北を認め、会社売却に同意。

共同出資者である観光の崇は、状況がわかっておらず最後まで反対していたが、晋の了解さえとれれば問題ない。

 

瑛はゴールドベルグの三原に商会の買い手を探すよう依頼。

最近、繊維部門の新製品開発に力を入れているという「大日麦酒」が最有力候補としてピックアップされた。

 

最後の問題

交渉の結果、大日麦酒は東海商会単体でなら買いたいという。

売却価格はおよそ50億。

全額返済に充てたとしても、現在、三友銀行に140億円の借金があるロイヤルマリン下田は助からない。

瑛と彬は三友銀行に対し、50億円返済する代わりに残りの返済条件を譲歩してほしいと頼むが、三友はこれを受け入れず。

もし50億円で商会を売るなら、商会の残りの保証分20億円を郵船が追加で保証してほしい、と言ってきた。

今や彬の東海郵船にも余裕はない。20億円の保証は危険だ。

かといって、保証しなければ商会を大日麦酒に売ることはできず、結果的に東海グループ三社は連鎖倒産するだろう…。

いずれにせよ、苦渋の選択。

 

彬は一つの結論にたどり着く。

残された道は、ロイヤルマリン下田の黒字化だけ…!

ゴールドベルグの三原の力を借りれば、ホテル再建のノウハウは手に入る。

三友銀行から産業中央銀行にメインバンクを移すことができれば、三友の高利子地獄から脱出し、黒字化することは可能だ。

しかし、そのためにはホテル再建費用に加えて、三友への借金を一時返済する金が必要。

言い換えれば、産業中央銀行から融資を引き出さなければならない。

しかし、普通に考えれば、まず不可能な融資だ。

 

彬「ロイヤルマリン下田は絶対に倒産させない」

社員と、その家族の生活を守らなければならない。

運命と闘う男の決意が、その眼差しに滲む。

彬「だから、産業中央銀行で同社に融資してもらえないか。それでロイヤルマリン下田への三友銀行の融資を全額返済したい。必ず、あのホテルを黒字にしてみせる。必要な資金は140億円だ」

普通の銀行員なら即座に断る案件だが、瑛は彬の申し出を引き受けた。

「企業を救いたい」「人のためにカネを貸せ」…瑛にとっても、今度の案件は自らの運命との闘いだった。

 

 

最終稟議

ロイヤルマリン下田は、誰がどう考えても採算の取れない案件だ。

いかに瑛が優れたバンカーだといっても、通常のやり方ではまず稟議が通るはずがない。

そこで瑛と彬は大胆な計画を立てることにした。

 

準備段階。彬は晋と崇と説得。

肥大したコンプレックスとプライドから最後まで彬の提案をはねのけようとした崇だったが、ついに現実的に会社運営が不可能になると悟り首を縦に振る。

叔父たちの敗北宣言によって、計画の第一段階は完了。

あとは、瑛の仕事だ。

 

稟議書を抱えた瑛が部長室に入る。

部長の不動はその名の通り保守的な男であり、無茶な稟議は断固として通さないことで知られている。

瑛は稟議書を不動に提出して、言い放った。

「お読みいただいた通り、ロイヤルマリン下田には融資をしません

すっと不動が息をのむ。

「まず東海郵船に140億円を融資します。同社はそれを全額ロイヤルマリン下田に出資し、三友銀行からの借入金を返済し、同行との取引を解消させます。この時点で同ホテルは年間数億円の金利負担から解放されます。同時に、赤字のホテルに配当を期待することはできないので、資本コストはほぼゼロになり、新経営戦略の立ち上げとともに損益は一気に些少の赤字程度まで改善されます」

「ただし、この三友銀行の肩代わりについては条件があります。ロイヤルマリン下田の借入に関しては、東海商会は70億円、東海観光は20億円の連帯保証を三友銀行に差し入れていました。この時点で両者の連帯保証債務が解消することになるわけですが、それと引き換えに、東海商会、東海観光は、全株を東海郵船に譲渡します。ロイヤルマリン下田はもともと東海商会の100%子会社ですから、これで関連会社のすべてが東海郵船の傘下に入ることになるわけです。ここまでが第一段階」

「第二段階は、東海郵船の傘下企業となった東海商会の大日麦酒への売却です。条件についてはすでに詰められており、売却金額は50億円になる見込みです。売却と同時にその金額を当行に返済。本件にかかる東海郵船への融資額は140億円から90億円に減額されます。その金額は、東海郵船の財務内容を勘案すれば十分に許容範囲内だと考えます」

「さらに、東海商会を売却するときの条件として、東海商会にからむ海運を東海郵船で独占する旨の条件を含めることで大筋同意しております。当初の取引金額は年間数億円程度ですが、将来的には収益の柱に育つことが期待できますし、その可能性は十分にあります。残る東海観光ですが、こちらは本社を東海郵船ビルへ移転する他、事務部門を統合することで年間一億円程度の経費削減が期待できます。以上について、詳細な分析資料などとともにまとめました。ご承認を賜りたい」

 

不動はしばらく黙考していたが、不意に立ち上がり、稟議書の承認欄に捺印し、決済箱に放り込んだ。

不動「いい稟議だった」

瑛「ありがとうございます」

礼を言って立ち上がった瑛に不動が声をかけた。

「おい山崎、お前のその(父の会社が倒産した時の)経験、決して無駄じゃなかったと思う」

刹那驚いたように目を見開いた瑛は、静かに一礼しその部屋を出た。

 

 

エピローグ

瑛と彬の計画が成功し、融資が通ってから5年後。

瑛は妻と2人の子供を連れて、再建したロイヤルマリン下田に向かっていた。

 

あれから、東海商会は飛躍的に成長し、売り上げは三年で倍近くまで伸びた。

それにより、商会と取引をしている郵船も好調。

観光では引退した崇の代わりに龍馬が社長に就き、堅実な経営で増収増益を記録している。

ロイヤルマリン下田が黒字化したのは、融資が通ってから2年後のことだった。

 

伊豆の道をドライブする瑛は、ふと思い立って、寄り道をした。

何もない、雑草の生い茂る土地…そこはかつて瑛の父の工場があった場所だ。

あれから長い月日が流れた。瑛がこの場所に来るのは、子供のころ以来だ。

昔は、この場所に来るのが恐ろしかった。

悲しい記憶を思い出す場所。自らの宿命を感じさせる場所。

だがいま、瑛はようやく、自分の原点ともいえるこの場所に再び立つことができた。

「ぼくは、ここに戻ってきたんだな」

瑛の心の中に沈んでいた重石が、いつのまにか取り除かれている。

瑛も、そして彬も、自らの運命を乗り越えたのだ。

<アキラとあきら・完>

 

 

3.池井戸潤「アキラとあきら」の感想(とドラマ化について)

銀行の内情や企業の財務などを詳しく取り上げた専門的な内容。

それに加えて、それぞれの立場の思惑が交錯する人間ドラマ。

小説「アキラとあきら」はまさに「これぞ池井戸潤!」という感じの作品でした。

作中時間にして30年!文庫の厚みは実に約700ページ!

とても読みごたえがある、まるで大河のような物語に大満足でした!

 

「アキラとあきら」

タイトルからは最初「2人のアキラはコンビ(あるいはライバル)なのかな?」という印象を受けましたが、実際にはそれぞれ独立した存在であり、それぞれの物語を紡いでいきます。

父の会社が倒産したという悲しい過去(運命)を乗り越えるべく、他人を救うバンカーになっていく瑛。

宿命により沈みゆく一族の家業を継ぐことになりつつも、なんとか企業を守ろうと奮闘する彬。

それぞれの物語だけでも十分に魅力的なのですが、そんな2人の立場が交錯するとき「アキラとあきら」は実に味わい深い面白さを放ち始めました。

そして結末!

瑛が繰り広げた最終稟議の内容には、驚きとともに心が震えるのを感じました。

「そんな手があったのか!」「彬と瑛、なんてすごい2人なんだ!」と圧倒されましたね。

ラストシーンは映像化で映える場面だと思うので、ドラマの方にも期待したいと思います。

 

あと、ドラマ化で個人的に注目したいのは、晋叔父と崇叔父。

基本的には勧善懲悪な内容になっている「アキラとあきら」ですが、とにかくこの2人の叔父が半端なくムカつくんです!(笑)

わがままで、横暴で、反省せず、ふてぶてしく…しかも「ああ、こんな人いるよね」という感じが本当にストレス!

だからこそ、終盤で2人の叔父が彬に膝を屈して敗北宣言するシーンは実に爽快なんですよね(笑)

ぜひドラマでも存分に「目の前にいたら殴ってやりたい」と思えるほどの憎まれっぷりと、それを帳消しにするほどの負けっぷりを演じてほしいと思います。

 

 

まとめ

池井戸潤「アキラとあきら」がWOWOWドラマ化!

今回は原作小説のあらすじ・ネタバレ・感想などをお届けしました。

専門的なやりとりも人間ドラマもピカイチ!

小説「アキラとあきら」は池井戸潤作品らしい、読みごたえのある面白い作品です。

ドラマはもちろん、気になった方には小説の方もおすすめ!

パッと見は厚みがあってとっつきにくそうですが、読み始めると意外にすらすら読めちゃいますよ!

 

さて、そんなドラマ「アキラとあきら」

豪華なW主演が話題ですが、向井理さんが彬役、斎藤工さんが瑛役ですね。

その他、キャストには小泉孝太郎さんや松重豊さんらの名前も!

いやぁ、本当に最近のWOWOWドラマはキャスト豪華ですよね。

また、これまでの池井戸順原作ドラマは全5話だったのですが、今回は全9話ということで長く楽しめるのもポイント。

2017年7月9日(日)午後10時スタートのWOWOWドラマ「アキラとあきら」に注目です!

ぱんだ
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