今回は映画化もされた漫画「未成年だけどコドモじゃない」のあらすじネタバレをお届けします!
2人に訪れる離婚の危機!最終回で迎える結末とは!?
あらすじネタバレ
甘やかし放題の父、身の回りのことを何でもやってくれる使用人たち。
誰もが羨む豪邸に住む折山香琳(おりやまかりん)はワガママ放題のお嬢様!
そんな香琳が16歳の誕生日を迎えた日、いきなり父親から切り出されたのは、なんと結婚話!
友人夫婦の息子とすぐにでも結婚させるという父に猛反発する香琳だったが、相手の写真を見て態度が急変!
「香琳、この人と結婚してあげてもよくてよ?」
香琳の結婚相手…それはずっと香琳が憧れ続けてきた初恋の人・鶴木尚センパイ(高3、18歳)だった!
(ほらね。香琳が願えば叶わないことなんてひとつもないの!)
「香琳!結婚の話を受けてくれてありがとう…!オレは日本一の幸せ者だよ」
成績優秀、容姿端麗、学校中の女子が「王子」と呼び追いかけるサッカー部のエース…鶴木尚(つるぎなお)
ずっと好きだった相手と結婚できると、すっかり香琳は舞い上がっていた。
話はとんとん拍子に進み、身内だけのささやかな結婚式も無事に終わった。
これからは香琳パパが用意した新居で結婚生活を送ることになる。
夢のような結婚生活を思い描き上機嫌な香琳だったが、なんと連れていかれたのは超がつくほどのボロアパート!
香琳はもちろん猛反対したが、尚の説得を受け入れて、香琳の両親が愛を育んだというボロ部屋に住むことに。
(…そうよ、愛があればどんな場所だってきっと平気よ)
ポジティブに考える香琳。
だが、尚が発した一言に全てを打ち砕かれてしまう。
「折山さんも災難だよな…親の跡取り欲しさのために16歳になったとたん愛のない政略結婚をさせられるなんて」
「ちょっと待ってよ…どういう…?」
尚は香琳に事情を説明する。
2人の結婚によって、香琳パパが鶴木夫妻の借金を肩代わりし、今後の生活費の援助まで保障していること。
尚にも大学進学費用と生活費が保障されること。
何より尚には、争いが絶えない大嫌いな両親から離れられるというメリットがあること。
…つまり、これは打算による結婚。尚は香琳のことなんか好きでもなんでもない。
混乱した香琳はずっと尚のことが好きだったと告白する。
一目顔を見た時から、尚こそ理想の王子様だと確信していた、と。
だが…
「折山さんて見た目が気に入れば、よく知りもしない男と結婚しちゃえるんだ。俺、そういう浅はかな女、大っ嫌いなんだよな」
軽蔑しきったような、今まで香琳が見たことのない表情を浮かべて、尚は吐き捨てた。
「とは言っても結婚しちまったわけだし…ルールを決めようか」
- 自分のことは自分でする。
- 勝手に人の部屋に入らない
- 結婚してることは2人だけのヒミツ
- 恋愛はお互い自由にしてOK
尚は「独り立ちできるようになったら、離婚してあげる」と言って、2人の部屋を分ける間仕切りを閉じた。
(大好きだったセンパイに、大嫌いって言われた…)
香琳には、その場にへたり込むことしかできなかった。
新生活
翌日から、いよいよ新生活が始まった。
ところが今まで車で送迎してもらっていた香琳は、1人で高校に歩いていくことすらできない。
学校では尚に無視され、帰りもまた3時間以上かかってしまう。
最初は完全に香琳を突き放していた尚だったが、『お嬢様育ち』である香琳が予想以上に何もできないのだと知り、少しだけ態度を改めた。
「折山さんがちゃんと生活できるようになるまで、これからは俺がフォローするから」
「じゃあ…センパイは香琳が色々できるようになったら、好きになってくれる?」
「ならないと思います。…でもまあ、見直すのは間違いないけど」
優しく微笑む尚を見て、香琳は決意を固めた。
(見ててセンパイ。見直すどころか好きにさせてみせるから!)
その日から、2人の距離は少しずつ縮んでいく。
いつしか尚は「折山さん」ではなく「香琳」と呼ぶようになっていた。
「好き」の理由
あんなに酷いことを最初に言ったのに、今でも香琳は真っすぐ尚に『好き』という気持ちを向けてくる。
だが、なぜそんなにも自分を好きでいてくれるのか尚にはわからない。
「なんで香琳は俺のこと嫌いじゃないわけ?愛のない結婚を仕組まれて、あんなボロアパートで暮らすハメになって…顔も見たくないってなるのがフツーだろ?俺の見た目を気に入ってたんならなおさら―…」
尚の脳裏に両親の言い争う場面が浮かぶ。
父は見た目こそいいが貧乏な浮気者で、そんな父を外見で選んだ母は「尚さえできていなければ…」といつも後悔していた。
「そうだよ…顔なんかで選ぶから失敗すんだよ…!」
「センパイ…?香琳はこの結婚…失敗したなんて思ってないけど…?」
意外な言葉にハッとする尚。
「それに、顔で選んでどこが悪いの?」
子供のころからずっとずっと探してきた運命の王子様。
尚を一目見た瞬間、香琳は「やっと見つけた!」と直感したのだ。
だから、その日からずっとずっと、香琳は尚のことを見つめ続けてきた。
「尚センパイの顔ってスゴイのよ!?ちょっと見るだけで香琳を幸せな気持ちにさせちゃうんだから!」
学校での尚は女子に媚びず、目が合うことはなかった。でも…
「結婚した今、センパイはこんなに近くで香琳と目を合わせて、たまに笑ったりしてくれるでしょう?だからこの結婚が失敗だったなんて思ったことはないわ。…まあ、尚センパイが香琳のこと大っ嫌いだったのはちょっと予想外だったけど、でも、それは…」
「これから好きになってもらえばいいことよ!」
花が咲いたような満面の笑みで言い切る香琳。
(…俺と結婚してから香琳には厳しいことばかりだったはずなのに…たしかに…実家に帰るとか離婚したいとか一回も言ったことなかったな)
思わず尚は「嫌いじゃない」と香琳に伝えていた。
新居の部屋を分けたのは、自分を抑えきれなくなって香琳を傷つけてしまわないように。
恋愛を自由にしたのも、香琳がもっとふさわしい相手を見つけられるように考えてのこと。
抱えていた罪悪感を吐露する尚の顔は暗かったが、対照的に香琳はガッツポーズをとり全身で喜びを表現していた。
「センパイ香琳のこと嫌いじゃないって…『大っ嫌い』って言われてからたった一週間で嫌いじゃないって!これならセンパイが香琳を大好きって言うのもあっというまね!」
どこまでもポジティブな香琳の様子に、すっかり毒気を抜けれてしまった様子の尚。
いつも明るく前向きで、頑張り屋で、一途で真っすぐ。
尚はそんな香琳に心惹かれている自分に気づき始める。
離婚の危機
海老名五十鈴(えびないすず)は香琳の幼馴染で、数少ない友達の一人。
見た目こそ美少女のようだが、口調はぶっきらぼうで男らしい。
家は折山家以上のお金持ちであり、香琳とは「リンリン(五十鈴)」「カーリー(香琳)」と呼び合う仲だ。
そんなリンリンに、香琳と尚の結婚がバレた。
香琳が尚に利用されていると知ったリンリンは怒り心頭!
2人を離婚させると決め、香琳を自らの家に閉じ込めた。
そんな香琳の状況を知った尚は海老名家へと急ぐ。
そして対峙するリンリンと尚。
「テメェみたいな最低ヤローがいるあのクソボロアパートなんかに、香琳は絶対に帰さねぇっ…!」
リンリンは2人の関係を学校中にバラすと言って脅すが、尚は「お前は香琳をさらし者にするようなことなんてしないはずだ」と言い返す。
「ムカツク…!あいつは(結婚相手が)誰でもいいとか言ってるこんな男なんかにあてがわれていい女じゃねぇんだ!!」
「…本当に香琳には失礼なことばかりしたと思う。俺は自分のことしか考えてなくて…結婚するってどういうことか全然わかってなかった…。けど…そう気づいたからって簡単に離婚するわけには…」
「バツイチの記録を消してやるって言ったら?」
尚の顔色が変わる。リンリンは親父の力があれば戸籍くらい変えられると断言。
「バツイチにはならねぇ、愛だってねぇ。離婚できねぇ理由が1個もなくなったわけだ。今すぐ離婚できるよな…?」
揺れる尚。
「…離婚をどうするかは少し時間をくれ。親にも話さなきゃならねぇから。来週の終業式には答えを出す。それまで香琳とは別々に暮らす。約束するよ…だからもう二度と、香琳を脅したりすんじゃねぇ」
香琳を実家に戻し、1人アパートに戻る尚。
「1人って…こんな静かなんだな…」
初デート
終業式の前日。
尚と香琳は初めてのデートで江の島へ。
途中で入った喫茶店で皿の割れる音を聞いた尚が、いきなり顔面を蒼白にさせる。
「俺…物が割れる音…ちょっと苦手でさ…」
その音は父親の浮気に怒り狂った母親が皿を割っている光景を、尚に思い出させる。
母親は決まって「尚さえできなければ」と叫んでいた。
子供の頃、尚は自分が生まれてきてはいけなかったんじゃないかと思い悩み…今でも皿が割れる音を聞くと息が止まる。
そんな深刻な告白を聞いた香琳は…
「ごめんなさい…。私もよくやってたの『お皿割り発散法』。きっと尚センパイのママもあの爽快感にハマっちゃったのね~。あっ、でも結婚してからは一回もやってなくてよ!?」
(おい、ちょっと待て…俺のトラウマってその程度の話なのか…?)
なんだかおかしくなってきて笑えてくる尚。
「ふふっ…なんかもうトラウマとかどうでもよくなってきたな…」
「そのトラウマはもう解決してるじゃない。今センパイに一番近い家族が…香琳が尚センパイだけは生きてなくちゃ絶対ダメって思ってるんだから!ほらね、解決!」
一瞬ハッとした表情を浮かべた尚は、泣きそうな笑顔になってつぶやいた。
「…なんだよ…解決…してたのか…」
2人は当初の目的地である『恋人の丘』へ。
そこで一緒に鐘を鳴らしたカップルは、永遠に結ばれるのだという。
「さっきも言ったけど俺の家ってさ、しょっちゅう親がケンカしててうるさくて、なのに孤独で仕方なくて…俺はそこから抜け出したい一心だった。結婚して幸せになりたいなんて思わなかった。親から離れて静かな孤独の中に身を置きたかった。それなのに香琳ていうお嬢様は育ちは全然思い通りになんなくて、こんなはずじゃなかったのにの連続で…」
香琳を後ろから抱きしめる尚。
「ほんと…こんなに笑って、楽しく過ごすつもりじゃなかったのに。香琳てすげぇよ。香琳じゃなかったらこんなふうにならなかった」
尚の『好き』が香琳に伝わる。
「尚センパイ…ほんとに鳴らしちゃっていいの?香琳との仲、永遠になっちゃうよ…?」
「そうなったらいいよな」
2人の想いが通じ合う。
鐘を鳴らし、幸せな気持ちのまま家路につく。
明日は終業式だ。
別離
終業式が終わり、香琳と尚はリンリンの家へ。
昨日のデートで2人の気持ちを確かめ合ったばかり。
香琳は安心して尚の言葉を促したが、その口から出た言葉は予想とは真逆のものだった。
「香琳…離婚しよう」
(え…?)
一瞬で思考停止し、何も考えられなくなる香琳。
「俺…間違ってた。俺が浅はかだったせいで色々傷つけてごめん…。今までありがとう。サイン…してほしい」
尚は話し続けているが、香琳の耳には届いていない。
(なんで!?わけわかんない!)
香琳は思わずその場から走り去る。
向かった先は一週間ぶりのあのアパート。
だが、そこにはもう尚の荷物は一つも残ってなかった…。
リンリンに「あの男に弄ばれただけだ」と言われて不安になる香琳。
それでもまだ離婚届にサインできないでいたが、リンリンはしつこく「離婚しろ!」と迫ってくる。
「うるさいなぁ!これは夫婦の問題よ!リンリンに関係ない!」
「…関係なくなんかねぇんだよ。香琳のことは…全部…っ!」
「どうして…?」
正面から香琳を抱きしめ、顔を真っ赤にしながらリンリンはその理由を告げた。
「オレがっ…お前を好きだからだ…!」
一世一代の告白をしたリンリンだったが、「私も(友達として)好きよ?」と天然で返され不発に終わってしまう。
そこでリンリンは香琳を連れて旅行に行くことに。
豪華で、素敵で、夢のような『世界プリンセスツアー』
「キャー!ステキー!お姫様になったみたーいっ」と久々に笑顔を見せた香琳に、リンリンは改めて告白する。
「なぁ、ヘンな意地はってねーで、キッパリ離婚しちまえよ。18になったら、オレが香琳を理想のお姫様にしてやるから」
ひざまずき香琳の手に口づけるリンリン。空には大輪の花火が上がっている。
(離婚…したほうがいいのかな…)
香琳の心は揺れ始めていた。
今日は夏休みのなかの登校日。
香琳とリンリンは一緒に学校へ。
ふと見やると、校門には尚の姿が。
それに気づいたリンリンは尚の目の前で香琳にキスして見せた。
「オレらいずれ結婚すんの。婚前旅行も行ってきたし。キスくらいたいしたことじゃねーんだよ。…香琳、オレはお前との仲をコソコソ隠そうとしたあいつとは違う」
リンリンの言葉にハッとして、尚に見られていたことに気づいた香琳はその場から走り去る。
リンリンに釘を刺され、尚はその場から動けなかった。
だが…
「見つけた…!」
後から尚は香琳を追いかけてきた。
心配する様子を見せる尚に「離婚するくせに!」と反発する香琳。
尚は香琳が説明を聞いていなかったと理解して、改めて離婚の理由を告げた。
「…離婚するのは、香琳に幸せになってほしいからだよ」
「…なにそれ」
「俺…香琳と暮らしてていいコだなって思えば思うほど罪悪感でいっぱいになってったんだ。香琳は貧乏な俺との生活を頑張って受け入れて、この結婚に一生を捧げる覚悟がちゃんとあって…。香琳ならちゃんと愛されて幸せな結婚をできたはずなのに、自分勝手な政略結婚に巻き込んだことを本当に後悔した。そんな時、海老名から離婚歴を消せるって聞いたから…」
「そうだったんだ…。でも、もし…リンリンが離婚歴消せるなんて言わなかったらどうしてた…?」
「俺の一生を捧げて、香琳を大事にしていくつもりだったよ」
その言葉を聞いて泣きそうになる香琳
「…なんか、わけわかんないわ!離婚しても結局一緒にいるような気がするし」
「いや、離婚したらもう会わない。俺みたいなのは香琳の近くにいるべきじゃないから。けど…もっと大人になって、香琳にちゃんと胸を張れるくらい成長できたら…その時は会ってほしいって頼みに行ってもいいかな…?」
少し考えて香琳は宣言した。
「離婚届にサイン、してあげてもよくてよ」
2人の結論
離婚届を提出すると決めた日。
2人は偶然にも待ち合わせ時間前に、あのアパートで再会する。
香琳はリンリンとの旅行で気づいたことを尚に話す。
「たとえ理想とかけ離れたこんなボロアパートの生活でも、やっぱり香琳が一緒にいたいのは…」
だが、その言葉を聞いても尚の決心は揺らがない。
仕方なく、香琳は離婚届にペンを走らせ始めた。
「これを書くだけであたしたち…結婚してなかったことになるんだね。やだ…線がガタガタ…なんでこんなに手が震えるのかしら…」
尚に背を向けて離婚届を書く香琳の肩は震え、目からは大粒の涙が次々にこぼれている。
(いやだ…離婚なんてしたくないよ…)
ふと、背中に重みと温かさを感じる。
尚が後ろから香琳を抱きしめている。
「ごめん…覚悟ができてないのは、俺の方だ…。今から俺…今までで一番自分勝手で最低なことするから。一生、許さなくていいから…」
そう言って、尚は初めて香琳に口づけた。
「尚…センパ…」
「ごめん。俺なんかより海老名の方が香琳にはふさわしいと思ったのに…いざ目の当りにしたらムカついてどうしようもなくて。ほんとは…香琳を誰にも渡したくないんだ」
「そ、それってとうとう、香琳を好きになっちゃったってこと…?」
「そんなの…もうずいぶん前からそうだったよ。だからこそ、こんなダメな始まり方をした結婚を一回リセットして、出会いからやり直したかった」
「何よそれ…何から何まで勝手ね!許せない!よっぽどのことをしてくれないとムリだわ!」
「俺が香琳にしてやれることなんて…えっと…」
少し顔を赤らめながら、真っすぐに香琳の目を見つめる尚。
「たくさん…ひどいことして傷つけたぶん…一生、誰よりも香琳のことを愛していくって誓うよ」
みるみる香琳の目に涙が浮かぶ。
「ちょっとやそっとの愛し方じゃ納得しなくてよ!?」
「うん」
「そんなに香琳のこと好きなの!?しようがないわね!」
「…うん」
尚の手が香琳の頬に添えられる。
「好きだよ」
キスをした2人の顔には、幸せそうな表情が浮かんでいた。
失恋
結局、2人は離婚届を提出しなかった。
翌日、そのことでリンリンに詰め寄られたが、香琳は「あたしたち、離婚しないことにしたの」とあっさり。
リンリンは怒りに震えて尚につかみかかる。
「テメェ、どういうつもりだよ!?香琳のためを思ったら離婚した方がいいって言ってたじゃねーかよ!気まぐれか?ほんとサイテーなウソツキ野郎だな!」
尚は怒りに燃えるリンリンの目を真っすぐに見つめ返す。
「最低でもなんでも、香琳と一緒にいることにしたんだ。香琳がそれを許してくれたから」
香琳の名前が出て、怒りの矛先を失うリンリン。
「リンリン、ほんとは戸籍から離婚歴消すなんてできないんでしょ?」
ギクリとするリンリン。尚も「なんで言わなかったんだよ!?」と混乱。
「戸籍とかじゃなく、センパイの香琳への気持ちで決めてほしかったの。そもそもねぇ、わかってたのよ。センパイほんとは離婚したくないって思ってること!…離婚しようって言われたとき、センパイ、つくり笑いしてたから」
「すげえな」「妻だもん!」とイチャつき始めた2人の前から、リンリンが去っていく。
「…リンリンのことは好きだし大切だけど、やっぱりどうしてもセンパイに対する好きとは同じにならないの。ごめん…でも、香琳を想ってくれてありがとう」
背中を向けたまま、リンリンはぶっきらぼうに吐き捨てる。
「ほかのヤツと結婚すんなら、ちゃんと幸せになれバカ」
「うん…心配かけてごめんね。幸せだよ」
見つめ合う香琳と尚からは見えないが、リンリンは寂しそうな…泣きそうな顔をしていた。
結末
こうしてまたアパートでの夫婦生活が始まった。
尚は結婚式では割愛させていた結婚指輪の交換を2人きりの部屋で行う。
「尚センパイとペアリングなんて夢みたい…!!」
左手薬指につけた指輪を見て、香琳は幸せそうに笑った。
夏休みが終わり、また学校が始まった。
「2人は一体どういう関係なの!?」
香琳と尚は学校中の女子たちから追い詰められていた。
登校日に尚が人前で香琳と親しくしていた瞬間を、多くの女子が目撃している。
「まさか彼女ですとかないわよね…!?」
2人は同時に「あ、それは違います」と否定。
尚「このコは大事な…俺の身内だよ」
その言葉を聞いた女子たちは「そーなんだ!親戚だったの!!」と安心して解散。
女子たちが去っていく中、香琳と尚は誰にも聞こえないような小声で言った。
「…恋人じゃあないものね」
「その段階はすっとばしてるし」
2人はこっそりと背中側で手をつないでいる。
「夫婦っていう大事な家族だよ」
<未成年だけどコドモじゃない第一部(※)・完>
※補足説明
この話で「みせコド」第4巻が終了。当時、この回を持って「みせコド」は長期休載に突入しました(作者の出産のため)
5巻で明かされているのですが、再開しない可能性もあったため、この回は「最終回としても使える」ように書いたのだとか。
しかし、作者が「連載再開」を選択したため、後に真の最終巻である「みせコド」第5巻が出ることに。4巻までは「第一部」として扱われることになりました。
ただし、5巻の内容は基本的に「香琳と尚がラブラブする話」であり、物語的にはやはりこの4巻がクライマックスだったように思われます。個人的には映画化の内容も、ほぼ4巻までの話で構成されるのではないかと予想しています。
とはいえ第5巻にはしっかりとした「最終回」が収録されているため、ラストだけはそちらが採用されるかも。
というわけで、続いては「みせコド」第5巻のあらすじ・ネタバレについて!
ハネムーン(第5巻)
月日が経ち、尚が高校を卒業した。
香琳パパの計らいで、2人は卒業祝い兼ハネムーンとしてハワイ旅行へ!
ラブラブな時間を思いっきり過ごせるとウキウキする香琳。
だが、そんな2人の前に尚の元カノ・松井沙綾が現れた。
香琳の前で「ただの同級生」と紹介された沙綾は、ちょっとした嫉妬から2人にちょっかいをかけ始める。
気まぐれで香琳の乙女心を弄ぶ沙綾。
沙綾の言う通り「尚の好みのタイプ」にイメチェンした香琳だったが、実はそれはまったくの逆効果。
沙綾を思い出させる香水、髪型、服…尚は嫌な記憶を思い出し、香琳との初夜を拒否してしまう。
傷ついた香琳は先に帰ると言って姿を消してしまった。
後からそのことに気づいた尚は顔色を変えて走り回り、香琳のことを探す。
沙綾が香琳の居場所を知っていると気づいた尚は、仕方なく沙綾の話に付き合うことに。
尚は回想する。
家の中に居場所がなかった尚にとって、沙綾が大切な存在だったこと。
そんな沙綾が「鶴木家には多額の借金がある」と知るやいなや、あっさりと尚をフって別の男と付き合い始めたこと。
あの頃から、沙綾は清楚そうに見えて本性はとんでもない性悪だった。
沙綾から裏切られ、尚がどれだけ傷ついたことか。
「…やぁだ。カレシの父親にものすごい借金があるってわかったら、みーんな同じことすると思うよ?巻き込まれたらコワイもん。私だけが冷たいとか思わないでよねー」
今、目の前にいる沙綾はそう言って笑う。
「でも今は借金ないんでしょ?そのために結婚したわけだし。セレブな毎日送ってるんでしょ~?ねぇ…日本に戻ったら昔みたく仲良くしてあげてもいいよ…。お互い相手にはヒミツで…ね?」
尚は思わず苦笑する。
「借金がないってわかったとたんかよ。お前っていっそ清々しいなー」
沙綾の目が期待に輝く。
「おかげで香琳がどれだけいい女で、どれだけ愛しい存在なのかを思い知ることができた」
尚はセレブな毎日などではなく、ボロアパートで生活していることを伝える。
「いくらなんでも…お嬢様じゃない私でもイヤよ、こんな家…」
「うん、俺もすぐ実家に帰りたがるって思ってた。でも香琳はそうしなかった…一度も」
沙綾が見たこともないような満面の笑みを浮かべる尚。
「そんな人が花嫁になってくれたなんて、俺は世界一幸せなヤツだよ」
2人のハネムーンを台無しにしようとしていた沙綾だったが、そんな尚を見て「もういいわ」とつぶやいた。
尚は沙綾から教えられた香琳の居場所へと急ぐ。
やっと出会えた香琳は泣いていた。
沙綾に連れていかれた美容室で、勝手にバッサリと髪を切られてしまっていたのだ。
尚はすべて沙綾の意地悪だったのだと説明。
そして「俺、この髪めちゃくちゃ好みでヤバいんだけど」と言って笑う。
自分が尚好みになれたと知った香琳は一転して笑顔を浮かべる。
「じゃあ、香琳もこの髪好き…!」
この旅行中ずっとやろうとしてできなかったこと…。
今夜、2人は遅くなった初夜を迎える。
最終回
「ベッド…行くよ…?」
「は…はいっ…」
恥ずかしがって「電気を消して」を言う香琳のくちを、尚が塞ぐ。
「…だめ。香琳と初めての今日のこと…一生覚えておきたいから。隠さなくていいよ。いつもと違う顔も…声も、香琳の全部がすげぇ愛しいよ」
折山香琳16歳。折山尚18歳。今日、結婚することのイミを知って、本当の夫婦になれたから。
(あたしたちは未成年だけど、もうコドモじゃない)
………。
……。
…。
「ただいまー!」
日本に帰国した2人は、ボロアパートへと戻ってきた。
今までずっと閉めていた、2人の部屋を分ける間仕切りを外す。
(同居することになった最初の日。センパイにこの扉で部屋を仕切られて、香琳は本当に拒絶されたんだって悲しかった。この扉はセンパイの心の扉。きっとカンタンじゃない。だけど、扉が開く日は絶対に来るって信じてた)
(ほらね、香琳が願えば叶わないことなんてひとつもないの!)
尚はこれまでのルールを撤回し、新たに一つだけルールを決めた。
『お互いに相手のことを思いやること』
「え、それだけ?」
「だって相手を思いやる気持ちさえあれば、傷つけたり悲しませるようなことなんてできないだろ?」
「そうね…!さすが尚センパイ、頭いーわっ♡」
尚は自然に香琳にキスをする。
「末永くよろしく…奥さん」
「はい…!旦那サマ」
笑いあう2人。
(これから先、何があっても同じ屋根の下で暮らしていくの。ずっとずっと何十年も、2人で)
………。
……。
…。
約10年後。
「…おはよ香琳…」
「おはよ…尚クン」
同じベッドで目覚めた香琳と尚はおはようのキスを交わす。
「うわ、またチューしてるぞ!」
男の子と女の子、2人の子供がそれをからかう。
棚の上に飾られた写真立てには、2人がそれぞれ大学と短大を卒業した時に挙げた2回目の結婚式の写真が飾られている。
大勢の友人に囲まれて幸せそうに笑う2人…。
香琳はその写真を愛おしそうに眺めた。
<未成年だけどコドモじゃない・完>
番外編
(大学を卒業した俺と、短大を卒業した香琳は、今日2回目の結婚式を挙げる)
尚は思う。
5年前はうわべだけの結婚式だった。みんなの頭には欲しかなかった。
そんな中で彼女だけが、純粋に俺を想ってくれてた。
覚悟をもって、最低な俺との生活に飛び込んできてくれた。
「今、あの扉の向こうにいるのが俺の最愛の妻です」
駆け付けた友人たちに堂々と言う尚。
「俺のこれからの人生は彼女のためにある。そう思わずにはいられないほど、香琳は最高の女性なんです…!」
(彼女に触れると、自分までキレイになっていくような気がする)
(俺は、彼女より美しいものをほかに知らない)
扉が開く。ウェディングドレスに身を包んだ香琳の目には大粒の涙が浮かんでいる。
「もう…式の前にあんなこと言うなんてっ…メイク崩れちゃうわよ…!」
(5年前、平然と嘘をついた俺の言葉を、神様は聞き入れてくれるだろうか)
神父が読み上げる。
「新郎・尚さん。あなたは新婦・香琳さんが病めるときも健やかなるときも愛を持って生涯支え合うことを誓いますか?」
(…まあ、別に、香琳にだけ伝わってくれればいいんだけど)
誓いのキスを交わして、尚は宣誓する。
「誓います」
<未成年だけどコドモじゃない番外編・完>
まとめ
今回は水波風南「未成年だけどコドモじゃない」のあらすじ・ネタバレをお届けしました!
最終回では心身ともに夫婦として結ばれた2人。
10年後も変わらずラブラブなままというハッピーな結末を迎えました。
また、後に掲載された番外編では尚目線の「結婚式」の様子が描かれ、尚がいかに香琳に救われ、香琳のことを大好きになったか…という部分が描かれました。
最初こそ「なんだこの男…サイテーかよ…」とドン引きからスタートした「みせコド」でしたが、そこから2人の距離が縮んでいく様子を見ていくうちに評価は一転。
尚が自分の罪悪感を認め、素直な気持ちで香琳のことを好きになったあたりからは胸キュン漫画として楽しく読むことができました。
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