日本アレンジ版も公開された韓国映画「サニー 永遠の仲間たち」
私は原作の韓国映画「サニー」を見たのですが、こちらもすごくおもしろかったです。
今回は韓国映画「サニー」のあらすじとネタバレ(と感想)をお届けします!
感動必至の結末とは!?
はじめに
★最初にちょっとだけ解説
映画「サニー」は現代と1980年代、「今」と「過去」の物語が交互に入れ替わりながら進んでいきます。
その入れ替わりの見せ方なんかもとても面白いのですが、今回はわかりやすさを優先して「現代」を中心にあらすじ・ネタバレをお届けしていきたいと思います。
また、原作映画における仲間グループ「SUNNY」のメンバーは7人ですが、日本版ではどうやらちょっと人数が減っている様子。
そのあたりを比較しながら日本版を見てみるのも面白そうです。
登場人物
イム・ナミ
主人公。現代では平凡な主婦。
高校時代、田舎からソウルの学校へ転校し「SUNNY」の一員となる。
※演:篠原涼子(高校時代は広瀬すず)
ハ・チュナ
不良グループ「SUNNY」のリーダー。
現代では末期がんで余命わずか。
※演:真木よう子(代役:板谷由夏)
キム・チャンミ
ぽっちゃり系のムードメーカー。
現代では落ちこぼれの保険営業員。
※演:渡辺直美
ファン・ジニ
罵り言葉がトレードマーク。
現代では整形・豊胸でほとんど別人になり、上品なセレブ妻を演じている。
※演:小池栄子
ソ・クムオク
文学少女だが、武器を持たせると凶暴化する。
現代では職につけず、貧しい家庭で姑にいびられている。
リュ・ポッキ
「ミス・コリアになる」が口癖の少女。
現代では親の借金返済のため、水商売の店で働いている。
※演:ともさかりえ
チョン・スジ
雑誌モデルも務めるクールな美人。現代では行方知れずに…。
あらすじネタバレ
母親の見舞いで病院に行った際、ナミは偶然チュナと再会する。
実に25年ぶりに再会したチュナは末期がんに侵されており、余命は約2カ月。
「何かできることはない?」
「…1つだけ、頼んでいい?」
「何?」
「みんなに会いたくなった…。『サニー』のみんなに、最後にもう一度だけ会いたいな」
チュナの願いを叶えるため、ナミはメンバー探しを始める。
探偵を使ったので、メンバーの居所は次々に見つかっていく。
相変わらずぽっちゃり系のポンコツ保険屋・チャンミ。
整形と猫かぶりですっかり別人に見えるものの、一皮剥げば昔のままのジニ。
金持ちと結婚したジニとは真逆で、貧乏と姑に苦しんでいるクムオク。
娘を施設に預け、水商売の店でどん底の生活を送っているポッキ。
それぞれが、それぞれの人生を歩んでいた。
高校生の頃に夢見た、輝かしい未来とは違っていたとしても…。
残るメンバーは学校一の美人だったスジだけ。
しかし、スジの行方はいつまで待っても見つからなかった…。
過去。1980年年代後半
田舎からソウルの高校に転校してきたナミは、強い不良として一目置かれているチュナのグループに仲間入りした。
不良グループの名前は『SUNNY(サニー)』
当時流行していたボニーMの曲「Sunny」が由来だ。
「サニー」での日々は毎日が刺激的。
敵対する不良グループと喧嘩したり。
学園祭で披露するダンスの練習をしたり。
チャンミの兄の友人であるジュノ(超イケメン)に恋したり…。
時には危ない目に会うこともあったけれど、いつもチュナやみんなが守ってくれた。
スジには最初嫌われていたけれど、腹を割って話し合った日からは親友になった。
結局、ジュノはスジとつきあっていて、ナミは失恋してしまったけれど、「サニー」のみんなで過ごす日々は、毎日がバカみたいに楽しい最高の日々だった。
そう、あの事件が起こるまでは…。
それは、学園祭の日の出来事。
シンナーを吸ってチュナから絶交された少女が、ナミを襲ってきたのだ。
途中でチュナが来てナミは無事だったものの、少女の凶刃はスジへと向けられた。
「よお、美人」
少女が腕を振るう。スジの頬に一筋の線が入る。線からは次から次に血が溢れ出してくる。
あろうことか雑誌モデルとして人気が出てきたスジの頬が、ざっくりと切られていた。
…。
少女は警察に連行され、スジは救急車で病院に運ばれた。
そして後日…スジは自ら命を絶とうとした。
幸い未遂に終わったものの、「サニー」のメンバーが受けたショックは計り知れない。
スジの家の前に集まり、おいおいと誰もが泣いている。
自らもとめどなく涙を流しながら、チュナがみんなに言った。
「サニーはこれで終わりじゃない。絶対に、また集まろうな。出世したからって無視したらただじゃおかないよ。もし苦しんでたら幸せになるまで一緒にいる。誰が先に死ぬかわからないけど、その時まで…いや、あの世に行っても、サニーは永遠だ」
チュナが差し出した手に、全員の手のひらが重なった。
サニー再集合
チュナと会ったその日から、ナミの日常は大きく変わった。
娘がいじめられていると知ると、チュナを含むサニーのメンバーと仕返しに行った。
ポッキが仕方なく水商売で働いていると知ると、懸命に「新しい職を探そう」と説得した。
久しぶりにジュノに会い、昔言えなかった気持ちを伝えた。
…それは、久しぶりに過ごす『自分自身の時間』
母でもない、妻でもない…自分が『人生の主役』だと感じられる日々だった。
チュナから渡されたDVDを再生する。
映し出されたのは、高校生の頃の自分たち。
「将来の自分へ」
それぞれが好き勝手に未来の自分に話しかけている。
ポッキ「ミス・コリアになってると思う」
チャンミ「すごい美人になってるよね」
ナミ「画家になってるはず。…ああ、でも女優や、ダンサーになってるかも」
仲睦まじげにじゃれ合うメンバーたちは、キラキラしていて眩しかった。
自然とナミの目に涙がにじんだ。
その日は、本当に突然訪れた。
ナミはチャンミからの電話で、そのことを知った。
チュナが…この世を去った。
イジメっ子たちと喧嘩したときには、誰よりも元気に見えたのに…そんな…。
誰よりも強く、いつもみんなを導いてくれたチュナが…。
結末
一般的な葬儀の後、ナミたちは身内だけで改めてチュナの葬儀を執り行うことにした。
ナミ、チャンミ、ジニ。
後から、クムオクやポッキも現れる。
残すメンバーはスジだけ。
最後の手段として新聞に広告を出してみたが…やはり現れないのか…。
話をしながらスジを待つ。
ポッキは水商売から足を洗い、新しい仕事を探し始めたそうだ。
その報告に、ナミは喜ぶ。
…12時を回った。やはり、スジは来ないのだろう。
諦めて葬儀を始めようとしたその時、1人の人物がその場に現れた。
…?
見覚えのない男だ。
「私はハ・チュナ社長の弁護士です。社長から遺言を預かっています」
そう言うと男はチュナの遺言状を読み上げ始めた。
『クソ女ども、そろってるか?来てない奴は事情があるんだろうね。25年前、スジの家の前でまた集まろうと誓ったのに、お互い守れなかった。…ごめんな。守れずに逝く私が、一番ダメ人間だね。ナミ、みんなを探してくれてありがとう。あと少しの命だけど、あんたのおかげで、あたしは自分が人生の主役だったと実感しながら逝ける。いい思い出とともに去っていける。そうだ、サニーのリーダーはナミに継がせるよ。今まで離れていた分も、これからはずっと一緒にいて、みんなで楽しく生きるんだよ。私の分まで。じゃあね』
チュナらしい遺言だった。
うっすらと涙ぐみながら、みんながナミのリーダー就任を祝ってくれた。
「おめでとう」
「ありがとう」
ところが、まだチュナの置き土産には続きがあった。
「社長は他の皆さんにも贈り物を遺されました」
保険の外交員であるチャンミには『メンバーを強制的に保険に加入』
保険料は一括でチュナの会社から支払われる。
“あんたが保険女王だよ、クソ女”
喜ぶチャンミ。周りのメンバーは笑っている。
セレブ妻であるジニには『副リーダーになれ』
ジニがなんとなく不満そうな顔を見せると、見越したようにチュナの遺言が続く。
“あんたは金持ってんだろうが”
その言葉に全員が思わず吹き出して笑った。
元文学少女、現貧乏環境のクムオクには『子会社の出版社に採用する』
まずは見習いから、半年後には正社員。6年後に売上150%を2年間維持できた場合、社長に任命する、と遺言は続いた。
“つぶしたら覚悟しな”
救われて良かった…全員が安堵したように笑いあった。
そして、最後は一番どん底にいるポッキ。
『親子で暮らせるマンションを1つあげる』
今は離れて暮らしている娘との生活費、娘の教育費から結婚費用まで、そのすべてを支給。
さらにポッキには職業訓練を受けた後、クムオクの出版社の1階に好きな業種の店舗を出すように、と遺言は続いた。
感激のあまりに、ポッキの目から涙があふれる。
チュナはやっぱり最高のリーダーだ。
最後まで、メンバー全員の面倒を見てくれたのだから…。
弁護士が最後に言った。
「これらすべての条件として、今からあることをしていただきます。みなさん、送られてきたDVDは見ましたね?」
チュナが最後に望んだこと…それは、あの学園祭の日に踊るはずだったダンスのリベンジ。
笑顔で見つめているチュナの遺影を前に、全員が立ち上がって位置についた。
音楽が鳴り始める。
曲目はボニーM『Sunny』
葬儀場で、チュナの遺影の前で、ナミが、チャンミが、ジニが、クムオクが、ポッキが踊り始める。
とても生き生きと、笑いあいながら。
まるで、あの頃に戻ったかのように。
思わず弁護士も踊り出してしまうほどの大盛り上がりを見せて、約束のダンスが終わった。
…ふと見やると、入り口に誰か人が来ている。
言葉はない。
その女性と、みんなの視線が交差する。
どちらともなく笑みがこぼれた。
スジだ。
ここに『SUNNY』が復活したのだ。
いくら時が経っても、7人の絆は変わらない。
少女たちは大人になった。
だが、あの日結んだ絆だけは変わらない。
チュナの墓石には、こう刻まれている。
『永遠なるサニーのリーダー ハ・チュナの墓』
<完>
感想
「うん、これは名作だ!」というのが見終わった後の素直な感想でした。
何が良いって、この映画はすごく多面的な表情を持っている作品だと思うんです。
まずは、エンタメ映画としての一面。
過去編を中心に、特に前半はコメディーパートが多め。
演出もポップで見ていて惹きこまれますし、笑いの感覚も特にズレているということもなく、今の日本人の感覚で見ても素直に笑える作品でした。
音楽や映像の使い方はかなり現代的で、そういう意味では日本版の大根仁監督の手法に近いものを感じます。
「サニー」は2011年の韓国映画なのですが「思っている以上に、韓国映画も進んでいるんだなぁ」と思いました。
次に、ヒューマンドラマとしての一面。
おそらくこちらの方が「サニー」の本質だと思うのですが、かなり心にグッとくるものがありました。
キーワードは「ノスタルジー」と「人生」
高校生の頃のキラキラしていた自分たちと、42歳になった自分たち。
うまくいかないことも多い「今」の自分が「あの頃」の記憶を振り返ると、えもいわれぬ懐かしさと切なさが蘇ってくる…。
この感覚は大人ならきっと誰もが持ち合わせているものだと思います。
だから、この映画を真に楽しめるのは、ナミたちと同じように高校生だった自分を忘れてしまっているような大人たちなのでしょう。
この映画を観ていると、ナミにつられて自分の青春時代が自然と思い出されてくる…そんな気がしました。
さて、次はキーワードの2つ目「人生」について!
何といっても特筆すべきはあのラストでしょう!
チュナの計らいで人生のどん底に沈んでしまっていたメンバーにも希望の手が差し伸べられる…からのダンス!そしてスジとの再会!
ここまでいわば「現実って上手くいくことばかりじゃないよね」と語りかけてきた映画「サニー」が、その表情をガラッと180度変えた瞬間でした。
新しいメッセージは「仲間がいれば大丈夫!人生、自分らしく楽しく生きていこうよ!」
最後のダンスシーン、誰もが「これからの人生、前向きに生きていこう!」といわんばかりの生き生きとした表情をしていて、本当に印象的でした。
前半に「懐かしさ・切なさ」を配置していたからこそ、まるで少女時代に戻ったかのように無邪気に踊るラストが心に残ったのでしょうね。
見ているこっちまで元気が出てくるような素敵なシーンでした。
そんな結末で締めくくられていたので、映画を観終わったあとの気分は最高!
観る前より確実に人生に前向きになれている…そんな自分に気がつきます。
もし、あなたが人生に少しだけ味気なさを感じているのなら、是非この映画を見てみてください。
心が軽くなるだけではなく、きっと昔の友人に連絡を取りたくなるはずですよ!
まとめ
今回は韓国映画「サニー」のあらすじ・ネタバレ・感想をお届けしました!
作品の軸となるのはかつての不良グループ「SUNNY」のメンバーたちの絆と友情。
グループのリーダーだったチュナが亡くなるという結末を迎えるものの、湿っぽい終わり方ではなく、人生に前向きになれるような希望あふれるラストが素敵でした。
かつて女子高生だったすべての大人女子たちにおススメしたい作品です。
ノスタルジーを感じてちょっと切なくなるシーンもあるのですが、見終わった後にはきっと元気になれていると思いますよ!
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