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漫画「電影少女(あい編)」あらすじとネタバレ!最終回は?

最近は昔の作品に再びスポットライトが当たることが多いですが、桂正和「電影少女」のドラマ化には驚きました!

しかも、西野七瀬さん(乃木坂46)と野村周平さんのW主演ということで、注目度も高そう!

個人的にも大好きな作品なので、私も期待しています!

さて、ドラマ化の一報を聞いて久しぶりに「電影少女」を一気読みしてみたのですが…やはり『ド名作』!

1990年前後の作品とは思えないほどに瑞々しく、まさしくこれが「色あせない作品」なんだな、と思いました。

最近のそこらのラブコメなど足元にも及ばない描写の秀逸さには、何度読んでも感動させられます。

というわけで、今回はドラマで甦る漫画「電影少女(あい編)」のあらすじとネタバレ!

感動の最終回とは!?

※「電影少女」単行本全15巻中13巻までが「あい編」、残りの2巻は(打ち切られたっぽい)「恋編」。多くの場合「電影少女」といえば「あい編」のことを指します。

※ドラマ版の設定は「原作から25年後」。原作漫画の主人公である洋太の息子が新たな主人公となります。

あらすじネタバレ

弄内洋太(16)は「モテない」ことに定評のある恋愛初心者のマニュアル男。

洋太は美人な早川もえみに片思いしていたが、もえみがイケメンの親友・新舞貴志に恋をしていると知り、告白すらしないまま失恋してしまった。

さらに最悪なのは、洋太の気持ちを知っている貴志がもえみを振ってしまったことだ。

(自分のせいでもえみを傷つけてしまった…)

自己嫌悪に陥る洋太の前に現れたのは、見慣れぬレンタルビデオ店「GOKURAKU」

そこで1本のビデオを借りた洋太は、さっそく家に帰って再生してみる。

すると…

「ビデオから女の子が出てきたァ!?」

彼女の名前は天野あい(16)

本来は洋太をなぐさめるための存在なのだという。

しかし、故障気味のビデオデッキで再生してしまったせいで、あいは実体化するときに異常をきたしてしまった。

具体的に言えば、ちょっぴりガサツで男っぽくなってしまったのだ(一人称は「オレ」)

あいの再生時間は3カ月。

期間が終わればあいは消えてしまうらしい。

洋太が失恋の経緯を話すと、あいは元気よく言った。

「目標!ヨータをイイ男にして、もえみちゃんと付き合えるよーにする!このあいちゃんにまっかせなさい!」

こうしてドタバタと騒がしい、あいとの共同生活が始まった。

 


 

あいと洋太(~3巻)

一見、優柔不断な洋太だが、それは誰に対しても誠実に考えすぎてしまうため。

一緒に生活していくうちに、あいはそんな洋太に惹かれていく。

 

実のところ、あいはビデオガールとしては不良品だった。

だから本分を超えて洋太のことを好きになってしまった。

あいをつくった「コートの男(ローレック)」は不良品であるあいを回収。

洋太から引き離し、あいを消滅させようとする。

だが、お互いに懸命に求めあう洋太とあいを見て、ローレックは条件つきであいを復活させることにした。

その条件とは「洋太と洋太の恋する娘との仲をとりもつこと」

期間は無制限。定められた10の項目をクリアしていかなければ、あいは消滅する。

洋太のことを愛してしまったあいには辛い条件だ。

それでもあいは「洋太のそばにいられるのなら」と条件を飲んだ。

1つめのミッションは「ヨータばなれ」

あいは無理をしてヨータから距離をとり、わざと冷たく振る舞おうとする。

だが…限界はすぐに訪れた。

「今日…この家を出ていくつもりだったんだ。でも、できなかった…お前から離れるなんて…そんなの辛くて。オレはお前の恋の応援をしなきゃいけない。お前のこと好きになっちゃいけないんだ。でも…」

もえみは今や貴志の恋人だ。未練を残しつつも、洋太の心はあいに傾いている。

うっすらと瞳を濡らすあいに洋太が顔を近づけた、その時だった。

「うう!」

突然、あいが激しく苦しみだした。

「…オレはね、人を好きになると消えちゃうんだ。今、心の中で…お前のこと大好きって…強く思ったから…」

あいにはどうしても自分の気持ちを抑えることができなかった。

洋太をへの愛を抱えたまま消えることを、あいは選んだのだ。

スーっと、あいの全身が透明になっていく。

「好きだぜ…ヨータ。大好きだ」

どうにかあいをつなぎとめようと懸命に方法を探す洋太に「おまえの…いいとこ…また…ひとつめっけ」と言い残し、あいは消滅した。

「あいィィィーーーッ!!」

 

…。

 

洋太は「GOKURAKU」の店主である「じいさん」に頼み込んで、あいが幽閉されているという空間へ。

そこには厳しい試練が待ち受けており、洋太は心身ともにボロボロになりながら進んでいく。

そして、ついに洋太はあいを取り戻し、通常の世界に連れ戻すことに成功した。

だが、それはあくまでも「じいさん」の独断専行。

じいさんより上の立場にいるローレックに事が露見してしまい、結局、あいは消滅させられてしまった…。

 


 

初めての恋人(3巻~6巻)

季節は巡り、また春が来た。

洋太はあいにちょかいを出そうとしていたゲス野郎を殴った件で留年。再び一年生。

もえみや貴志のいない新しいクラスでは、2つの出会いが洋太を待っていた。

まずは1つ目。

仁崎伸子は中学時代の洋太の後輩。

美術クラブで指導してもらったことをきっかけに洋太のことを好きになり、高校には洋太を追って入学してきたのだという。

※ちなみに洋太の夢は絵本作家

そして、2つ目。

堂々と遅刻してやってきた問題児な彼女は…どう見ても天野あいだった。

「あい!」

しかし、あいは洋太のことなど知らないという。

信じられない思いであいにつきまとっていると…

「おまえのいいとこ、ひとつめっけ!」

間違いない。記憶はなくても彼女はあい本人だ。

 

あいに心惹かれる一方で、洋太はストレートにアタックして来てくれる伸子の気持ちに応えたくなっていた。

いつまでもあいのことを追いかけていても仕方がない…。

洋太はあいへの思いを振り切って、伸子と付き合うことにした。

洋太にとっては初めての彼女だ。

 

日を重ねるごとに伸子のことを好きになっていく。

一方で、あいを見かけるたびに、つい目で追ってしまう。

洋太のどっちつかずな態度は伸子を、そして少しずつ記憶を取り戻し始めたあいをも傷つけていく…。

 


 

あいはじいさんを問い詰めて、すべての事情を聞いた。

自分が愛を知ってしまった不良品であること。

じいさんが「GOKURAKU」を追放され、せめてもの抵抗であいを持ち出したこと。

再生時間(≒寿命)が残り約一年であること。

そんな中、ローレックは失敗作であるあいを始末するために、「神尾まい」を刺客として放つ。

じいさんは自分の力不足を感じ、あいを再び洋太に預けることにした。

久しぶりの共同生活。

記憶が戻っていないあいは物珍しそうに洋太の家を眺めていた。

 

それはささいなすれ違いの結果だったのかもしれないし、洋太の中途半端な態度が招いた結果だったのかもしれない。

何度も別れの危機に瀕しては仲直りしてきた洋太と伸子だったが、最近では会う機会もめっきり少なくなってしまっている。

伸子は洋太以上に洋太のあいへの気持ちに気づいていたし、洋太も命を狙われているあいに構ってばかり。

だから、それは自然な結末だったのだろう。

「ごめんなさい…ごめんなさい…」

「あやまるな…きみがあやまるなよ…」

破局。

夜の井の頭公園で、洋太と伸子の交際は幕を閉じた。

 


 

条件(6巻~7巻)

パワーアップしたまいが再び襲ってきた。

洋太が駆けつけた時には、すでにあいは虫の息。

今にも消滅してしまいそうになるあいを、洋太は文字通り命がけで守る。

そうして、先に洋太の命が尽きようとした、その時…

「やめてェ!」

あいは磁力を操る力に目覚め、逆にまいを消滅させたのだった。

 

その様子を陰から見ていたローレックは、意外ななりゆきに興味を抱く。

ローレックはあいの始末をひとまず取りやめ、あいを観察することにした。

後日、ローレックはあいと対峙し、ひとつの条件を提示する。

『ひとりの男性と愛を結んでみせること』

その条件が達成されたとき、あいは人間になることができる。

ただし、この条件を相手に話してはいけない。

また、愛を結ぶことができずに再生時間の終わりを迎えた場合、あいは消滅する。

あいはイチも二もなく、この条件を受け入れた。

(願ったり叶ったりだ。ひとりの男性といえばオレにはヨータしかいない!これからは好きな気持ちを押さえなくていいんだ!一生懸命になっていいんだ!)

 

一方、喜ぶあいとは対照的に、洋太の心中は複雑だった。

あいはいつか消えてしまう存在…ならば、そんなあいに恋をしてはいけない。別れがつらくなるだけだ…。

条件のことを知らない洋太は、以前のように真っすぐあいを愛することができない。

別れの辛さを知ったばかりの洋太は、あいを愛してしまわないよう、どこか距離をとってしまう…。

 


 

急転(7巻~8巻)

もえみと貴志は恋人同士だ。

だが、はた目から見ても貴志のもえみに対する態度は冷たく、もえみを大事に思っていないように見える。

そんな中、事件は起こった。

嵐の日の学校で、もえみが男たちに無理やり乱暴されそうになったのだ。

その日、もえみは貴志に呼ばれて学校に行ったのだが、そこに現れたのはなにやら貴志の知り合いらしい下卑た態度の男たちだけ。

肝心の貴志の姿はない。

間一髪で洋太が助けに入ったことでもえみの純潔は無事だったが、この件がもえみの心に深い傷をつけたのは間違いない。

逃げていく男たちの言葉は、洋太に最悪の想像をさせた。

(まさか、貴志が男たちにもえみを襲わせたのか!?)

 

もう貴志には任せられない。

洋太はもえみに告白する。

この時、もえみは多くのことを初めて知ることになった。

実はずっと昔から洋太がもえみを好きだったこと。

それなのに貴志との恋を応援して、いつも励ましてくれていたこと。

辛い恋を経験して、いつのまにか洋太がたくましい男に成長していたこと。

あの後、もえみは貴志から直接フラれている。

数日間考えた後、もえみは洋太の告白を受け入れることに決めた。

「今まで、ちっとも弄内くんの気持ちに気づかないで勝手なことばかり言って…ごめんね。ずっと…そばにいてくれる?弄内くん…」

 

その頃、貴志はケジメをつけるため、もえみを襲った男たちを殴っていた。

実のところ、貴志はほぼ事件とは無関係だった。

だが、普段からそっけない態度をとっていたことが原因の一端ではある。

貴志は過去のトラウマを振り切り、ようやくもえみと真剣に向き合おうとしていた。

その矢先の事件だった。

全ては自分のせい。そう背負いこんだ貴志は、真実を明らかにすることなく親友と彼女を失ったのだった…。

 

もえみと洋太は恋人同士。

順調に交際している二人を見て、あいは洋太のことを諦めようと決心する。

だが、どんなに平気だと言い聞かせても、胸の痛みは酷くなるばかり。

また、あいは過去の記憶を思い出しつつあった。

今でもこんなに胸が痛いのだ。

洋太のことをもっと愛していたであろう過去の記憶が甦ったら、どうなってしまうのだろう…。

 


 

オレはもえみちゃんが好きです(9巻~12巻)

あいの記憶が戻った。

洋太への愛が甦るが、あいはグッとこらえてそれを悟らせないようにした。

だが、このまま一緒にいるのは辛すぎる…。

あいは洋太の家から出ていく。

あいの再生時間、残り46日…。

 

あいと離れても、洋太の心の中にはあいがいる。

そのことをもえみは敏感に察知していた。

昔の競争が苦手なもえみなら、洋太をあいに譲っていたかもしれない。

しかし、今のもえみは違う。

今度こそ、好きな人を失うわけにはいかない。

もえみは洋太の気を引こうと努力する。

だが、もえみの中には嵐の日に植え付けられた男性への恐怖心がまだ残っている。

洋太はそんなもえみの状態に気づき、誠実に「焦らなくてもいい」と受け止めた。

もえみの当初の思惑とは違うものの、結果的に2人の絆はより一層深まったのだった。

 

その一方で、洋太は切実にあいを必要としてもいた。

というのも、賞への応募をきっかけに、洋太に絵本の仕事が舞い込んできていたのだ。

先方の話によれば、評価されたのはあいが手伝ってくれた着色の部分らしい。

仕事として絵本をつくるためにも、洋太にはあいが必要だった。

…いや、本当はそんなことは口実で、ただあいに会いたいだけだったのかもしれない。

もえみとあい。自分が本当はどちらをより強く求めているのか、洋太自身にもわからなかった。

 

あいは街中を転々としており、なかなか見つからない。

長い時間離ればなれだった2人だったが、とあるきっかけから再び巡り合うことができた。

再会したことで、2人はお互いへの愛をはっきりと理解する。

それから、再びあいは洋太の家に来るようになった。

出版の話は中止になったが、洋太とあいは絵本の制作にとりかかる。

そんな中、気にかかるのはやはりもえみのことだ。

あいと2人で絵本をつくっていると知ったら、もえみはきっと傷つくだろう…。

洋太は苦しみながらも一つの決断を下した。

 


 

正月明け。誰もいない学校の教室で、洋太ともえみは2人きり。

洋太は考える。

(オレはもえみちゃんが好きです…。だけど、今日、別れようとしている。もえみちゃんは何かを感じとっているようだ)

確かにもえみは洋太が別れを切り出そうとしていることに気づいていた。

もえみは目に大粒の涙をたたえ、しぼりだすようにして言った。

「もう…ひとりぼっちにしないで…」

(オレはもえみちゃんが好きです…今でも大好きです。だけど今日、別れようと思ってます。もえみちゃんも好きだけど、あいちゃんも大切な人だから…。あの娘はもうすぐ消えてしまう…。だから、ほっとけないのです。オレはもえみちゃんが好きです…)

(あいちゃんが消えるまでの日々をできるだけあいちゃんと一緒にいてあげたいから。そうなればもえみちゃんの事がおろそかになってしまうのは目に見えている…)

(オレはもえみちゃんが好きです…。だからこそ待っててくれって事が、あいちゃんが消えちゃうまで我慢してくれなんて調子のいいことが言えないから、結果的にオレのそばから誰もいなくなるのがわかっていても、オレはもえみちゃんと別れようと思います)

もえみを前にしても、頭の中に浮かぶのはあいの姿。

洋太は心を痛めながら、もえみに別れを切り出した。

「ごめんなさい…」

「そんなにあいちゃんがいいの?ねェ!あいちゃんみたいになれば好きになってくれるの?ねェ!」

「もえみちゃんは何も悪くないよ…」

「だったら、どうして…どうしてよ…」

「ごめん…」

2人の目からはとめどなく涙が溢れ出していた。

 


 

洋太とあい(12巻~最終巻)

あれから、もえみは髪を切り「勝手に待ってるから」と宣言。

洋太は「あいとの絵本製作が終わったら必ず戻るから」と返事をした。

洋太が戻ることに期待する一方、もえみはきっと洋太は戻ってこない、とどこかで予感していた…。

 

あいの再生時間は残り1か月。

洋太は学校を休み、あいと絵本をつくる毎日を過ごしていた。

当初、あいはもえみと洋太のことを思い、絵本製作が終わったら消えようと思っていた。

洋太が最後に戻るつもりなのは、もえみのところだとわかっている。

そうなるように説得もした。

だけど、洋太の優しさが、誠実さが、あいの決心を鈍らせる。

そしてついに、あいは自分がどうしようもなく洋太を愛してしまっていることを隠しきれなくなってしまった。

「まさか…おまえ…オレは…やっとおまえへの気持ちを整理したんだぞ…。それを…今さら…」

「だったら半端にやさしさ見せんなよ!バカー!!」

あいともえみ、どちらを選ぶのか。問題は振り出しへと戻った。

次の日から、あいはまた姿を見せなくなった。

 

そんな中、洋太に「GOKURAKU」のじいさんから電話がかかってくる。

じいさんはローレックを裏切り、「あいを人間にする装置」を開発したのだという。

じいさんと会った洋太は、そのためのスイッチを託された。

それを押せば「意志あり」としてじいさんがあいを人間にするために動いてくれる。

だが、スイッチを押すということはローレックを完全に敵に回すということだ。

率直に言えば、命の保証はない。

完璧主義のローレックは必ずやあいと洋太を始末しに来るだろう。

あいの再生時間は残り7日。

決断にかけられる時間は少ない…。

 


 

その日、命が消える恐怖に怯えながら、洋太は目覚めた。

外は雪。洋太は強い確信をもって玄関の扉を開ける。

すると、そこには…

「オス!」

久しぶりに見るあいは、満面の笑みを浮かべていた。

(ああ…)

あいの姿を見た瞬間、洋太の心が決まる。

あいを強く抱きしめて、洋太はスイッチを押した。

 

その日から、あいは再び洋太の家に泊まり込むことになった。

そして、ついに再生終了予定日の前夜。

「絵本、終わんなかったね…」

「別に今日中に終わらせなくてもいい。〆切なんてないんだ。これから飽きるほど時間はあるさ」

不安に押しつぶされそうになりながら、洋太は素直な気持ちをあいに伝える。

「もし…絵本ができなくなるとしたら…それはきっと、おまえが誰かに恋をしたときだよ。人間になったらおまえは自由だろ。そうなっても仕方ないと思うよ…。けどね、オレは昔みたいにあきらめないよ。人に頼ったりもしない!振り向いてくれるまで男を磨いて頑張るよ」

あいの手にはローレックから渡された「記憶を消すクスリ」が握られている。

本当はもえみや伸子など、あいと深く関わった者の記憶を消すために渡されたものだが、あいはそれを洋太に飲ませようと思っていた。

洋太の言葉はなおも続く。

「人が一人生まれるんだ。悩んで悩んで覚悟を決めたんだ。同時にハッキリわかったことは…」

紆余曲折を経て、洋太が最後にたどり着いた答え。

「オレにはお前しかいない…。誰よりも好きだ」

あいの手から、クスリがポトリと落ちた。

 


 

じいさんからの通信が入る。

「成功じゃ!あとはこのコード一本つなぐだけで、明日からあいは人間じゃ!」

喜ぶ洋太とあいだったが…

「お遊びはここまでだ」

あと一歩…あと一歩のところでローレックに気づかれてしまった。

じいさんは始末されてしまう。

「負けるな弄内くん!愛を信じるのじゃ!!」

計画は失敗した。

 

「ヨータ、ホントにお別れだね…」

涙ぐむあいに、洋太は険しい表情で近づく。

「ヨータ?」

「絶対、人間にしてやる…」

洋太はローレックの定めた「あいが人間になる条件」を耳にしていた。

「愛を結ぶ」ことで、あいを生き延びさせようとしているのだ。

洋太から愛される幸福に一瞬流されそうになったあい。

しかし、それでも、あいは洋太にクスリを飲ませた。

ゴクン

「なに?何を?」

「オレのことを忘れる薬…こうするのが一番いいんだ…」

直後、洋太は激しく苦しみだし、そして…洋太はあいのことを忘れた。

 

(ヨータは記憶を失くした…。もうオレはやることがない…。【あいのテープを再生しているビデオデッキの】電源を切って消えよう…)

消滅を覚悟したあいの前に、ローレックが現れる。

ローレックはテープを巻き戻すことで観察を続けようとするが、あいはそれを拒否する(巻き戻すとあいの記憶は消える)

「あんたにはわかんねェだろうな!ヨータのこと愛した気持ちを失くしてしまうくらいなら!消えちまった方がいいんだよ!」

あいは磁力の力でローレックに攻撃するが、創造主に敵うはずもない。

「バカ者め…おまえごときが愛を語るな!」

ローレックの反撃により、あいは倒れる。もう指さえ動かすことができない。

このままローレックの思い通りになってしまうのか…。

ローレックが部屋から出ると、すぐそこに洋太の姿が。

「これ以上…あいを弄ぶなよ。あいを返せ」

洋太の頭からは血が流れている。洋太は自身の脳が傷つくことさえ恐れず、無理やりあいの記憶を思い出していたのだった。

 


 

最終回の1話前

今や洋太はローレックのことを恐れてはいない。

命を捨てる覚悟でローレックと対峙している。

「オレはもう!絶対に!あいを愛す事を!やめたりしない!!」

『愛』という言葉を忌み嫌うローレックは洋太をボコボコにすると、手元のスイッチを押した。

「キャァァァ!」

あいの悲鳴が響く。

慌てて部屋の中に駆けこんだ洋太が見たものは…

「こんにちは。わたし、天野あい…16歳。よろしくね」

一人称が違う。それに、あいとはこの前17歳の誕生日を祝ったばかりだ。

これは…本来の、完全なあい。洋太の愛したあいは…消えてしまったのか…。

あいは本来の『なぐさめる』という使命に従い、嘆き暮れる洋太にピッタリと身を寄せてくる。

洋太はそんなあいの身体を離し、涙を流しながら言った。

「あいちゃん…愛してるよ。いつまでもお前のことは忘れない…」

その言葉を聞いた瞬間、あいは激しく苦しみだす。

ひときわ大きな悲鳴を上げると、あいの表情は一変していた。

「オレも…愛してるぜ…ヨータ…」

「あい…」

ローレックは舌打ちしながら再び愛を回収しようとするが、すでに洋太の覚悟は決まっていた。

「ダメだね。もうあいちゃんはあんたのものじゃない。今、あいちゃんはあんたの手から離れたんだ!」

「何をする気だ!?」

「デッキを壊すのさ」

「バカな!そんなことをすれば二度とあいに会えんぞ!おまえにあいを失う勇気などあるものか」

洋太は静かにデッキを持ち上げる。

「ひとつ教えてやるよ…あんたの考えてる愛がすべてじゃない事を!!」

勢いよく腕を振り下ろし、洋太はデッキを破壊した。

その瞬間、じいさんが密かに仕込んでいたプログラムが作動する。

デッキの破壊と同時にローレックを消滅させる…それがじいさんの最後に仕掛けだった。

「なにィ!?だが、こんなことをしてもあいは消える!わかるか!無意味なんだよ!」

呪いの言葉を残して、ローレックは消滅した。

「無意味なんかじゃない…」

 

ふと見ると、あいの身体が光っている。

光の粒になって、消えていっている。

そして…

 

ナレーション『あいは消えました…。別れの言葉すら交わせなかったけど…強い絆と深い愛を結べた二人の心は、世の中の誰よりも満ち足りていたのかもしれません。あいの光の粒はビデオに帰ることなく洋太の部屋に散りばめられ、まるで小宇宙のようです。美しく輝くその光は洋太を見守るように温かく…温かく…』

 

洋太(2月3日。あいは光の粒になった。オレはいろんな人を傷つけてきたんだ。一途になりきれず伸子ちゃんを傷つけ…不誠実な優しさでもえみちゃんを傷つけ…信じることを忘れて貴志を傷つけた…。オレは生まれ変わろう。それがせめてもの償いじゃないかと思う。あいの光の欠片に見守られてオレは生まれ変わろうと思う…)

 


 

最終回

4月。再び春がやってきた。

伸子、もえみ、貴志…それぞれが新しい環境の中、心の中で洋太のことを応援している。

一方、その洋太は家にこもって絵本の制作を続けていた。

あいに頼んでいた着色の部分も、一人でやっている。

絵本のタイトルは『ココロくん』

町にやってきた「ココロくん」というロボットが、人々を助け、幸せにし、そして最後は人知れず朽ちていくという話だ。

(あい…この絵本はおまえが受け取ってくれ。ココロくんがスクラップ置き場で静かに動かなくなるラストからさらに描き足してエンディングを変えたんだ。それが俺からのメッセージだよ。あいちゃん…)

絵本が完成した瞬間、部屋の中に満ちていた「あいの欠片」が消えていく。

「そうか…とうとう消えるんだね。これまで一緒にいられたんだ。もう充分だよ。オレはもう一人でも平気だから…安心しろよ。最後の最後まで見守ってくれてありがとう…あいちゃん」

(さよなら…)

光の粒が束になって背後へと消えていく、涙をぬぐうこともせず振り向いた洋太の目に映ったものは……女の子だった。

何か、信じられないと言いたげな顔をしている。

「ヨータ…」

「あい!!」

洋太の涙の温度が変わっていく。悲痛な涙から喜びの涙へ。

あいの目にも大粒の涙が溜まっている。

「ヨータ!!」

「あいちゃん!」

抱きしめ合う2人。

それはまるで『ココロくん』のエンディングにも似て…

 

『ココロくんのおかげで町中の人々は幸せになりました。「ボクはロボットだ。みんなが幸せになったらボクは用済みだね」ココロくんは静かに目を閉じました』

『スクラップ場で動かなくなったココロくんを見つけた時、町中の人たちが泣きました。「せっかくみんな幸せになったと思ったのに、これでは本当に幸せにはなれない」「ココロくんはもう町の一員なんだから」そして町中の人たちは祈りました。「この世に神様がいるのなら、どうか私たちの願いを聞いてください!」』

『何時間も何時間も祈りました。強く…強く…。すると夜空から一筋の光がこぼれ、声が聞こえてきたのです。「おまえたちの願い聞き入れよう」町中の人たちの想いが神さまに届いたのです!』

 

『ココロくんは、人間になりました』

<電影少女(あい編)・完>

 


 

まとめと感想・解説

桂正和「電影少女」がドラマ化!

今回は原作漫画のあらすじとネタバレをお届けしました!

注目の最終回は、あいが人間になって戻ってくるというハッピーエンド!

桂先生は当初、そのまま消えてしまうアンハッピーエンドを考えていたらしいのですが、読者の熱烈な声によって考えを改めたそうですよ。

何度読んでもつい涙腺がゆるんでしまう、不朽の名作にふさわしい結末だったと思います。

さて、ちょっぴり漫画史的な話をすると、桂先生はもともと恋愛漫画の人ではなかったんですよね。

それがこの「電影少女」をきっかけにブレイクし、その後も歴史に残る恋愛漫画を生み出されたわけです。

当時の恋愛ものというのは表情や行動のニュアンスで「心情を読み取ってね」というスタイルのものが多かったのですが、桂先生は「何か新しいことを」と考え、反対に登場人物の心情を事細かに描写する方式をとりました(今では当たり前の手法ですが、この点における元祖は桂先生と言っていいはずです)

その手法にも関係することですが、桂先生が「電影少女」を描くに当たって1つのテーマとして掲げていたのが「リアルさ」

とても男性作者の作品とは思われないほど登場人物(特に女性)の心情が生々しく描かれているという点でも、「電影少女」は大きな話題となりました。

この後に世に出た多くの恋愛漫画が「電影少女(桂正和作品)」の影響を受けていると思うと、感慨深いものがありますね。

さて、この「電影少女」は「ラブコメ」ではなく「恋愛漫画」だと個人的には思っています。

変にちゃかしたりせず、登場人物全員が真剣に悩み、迷い、行動していく…。

その様子は「誰かの実体験なのでは?」と思ってしまうほど生々しく、だからこそ作品の放つ切なさ、アツさ、もどかしさ、そして愛がより輝きを増しているように思われます。

原点にして一つの最高傑作。

きっと私は何度読み返しても「電影少女」のことを『ド名作だな』と思い続けていくのだと思います。

ドラマ『電影少女』の配信は?

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