南波あつこ「青夏」は爽やかすぎる青春恋愛漫画!
田舎で過ごす一夏の恋。
ド直球ストレートで青春!
ドロドロした恋愛の駆け引きなどは一切なく、ただただ爽やかで甘酸っぱいお話でした。
今回は映画化もされた「青夏」のあらすじネタバレをお届けします!
漫画最終回の結末は!?
はじめに
まずは「青夏」の基本情報を押さえておきましょう!
・舞台は山間部にある架空の村「上湖村」
・夏休みスタートから8月31日まで、約40日間の物語
・都会から田舎にやってきた理緒(高1)は地元民の吟蔵(高3)に恋をする。でも、2人の間には障害が…!
続いて登場人物紹介!
だいたい以下の4人だけ押さえてればOKです。
船見理緒
東京に住む高校1年生。学校は女子校で恋愛経験はなし。
運命の出会いに憧れている。
泉吟蔵
上湖村の高校3年生。家業の酒屋の手伝いをしている。
万里香
上湖村の「大鳥百貨店(日用品店)」の娘。
20歳。吟蔵とは幼馴染で許嫁。
周囲からは「吟蔵の未来の嫁」と言われている。
菅野
東京の男子高校生。理緒のことが好き。
理緒と吟蔵の恋の障害、それは「家の(田舎の)しがらみ」
吟蔵は酒屋の一人息子ですから、いずれは家業を継がなくてはなりません。
父親もそう望んでいますし、上湖村の人々も当然そうなると思っています。
責任感の強い吟蔵は、そんな周囲からの期待を裏切れないんですね。
実は吟蔵の夢はデザイン系の仕事をすることなのですが、自分の夢よりも責任をまっとうすることを優先するべきだと考えています。
※ちなみに吟蔵の夢は、かつて上湖村に住んでいた奈緒(理緒の母親。WEBデザイナー)の影響
また、何より吟蔵自身が上湖村のことが大好きだということも地元を離れられない大きな理由の一つでもあります。
問題は家の事情であり吟蔵の決意。
理緒もさすがに軽々しく「東京に来ればいい」なんて言えません。
でも、ということは2人の恋は夏休みと一緒に終了してしまうことに…。
あらすじネタバレ
告白
「吟蔵、すきだ…」
ふとした拍子に、ぽろっと口からこぼれ出てしまった気持ち。
理緒の告白は上湖の高校生たちにも聞かれてしまい、瞬く間に上湖の村人全員に知れ渡ってしまいます。
面白がる同級生たちに対して、吟蔵は「別にこいつだって、本気で言ったわけじゃないでしょ」と一蹴。
というのも吟蔵は万里香との関係が公認されているので、これまで周囲から冗談の告白しかされてこなかったんですね。
なので無神経にも「…冗談だろ?」と理緒本人にも言ってしまいます。
それに対して理緒は…
「本気だ、馬鹿」
涙目の本気宣言。
これには吟蔵も同級生たちも反省せざるをえませんでした。
告白の返事は後日、今度は2人っきりの場所で。
「…冗談でしょ、とか言って…すみませんでした…。たぶん、俺とあんたは住む世界が違くて…きっと、大事なものも違くて…気持ちはすげえ嬉しい。でも俺はここでやらなきゃいけないことがあるから、今はそういうの考えられない。ごめん。ありがとう」
まっすぐで誠実な答え。
フラれたのに、理緒の心はすっと軽くなりました。
「吟蔵、ありがとう」
(人生初の青春始まったと思ったら、短かったな。いや、夏だから青夏か)
「残りの夏休み、楽しくしてやんぞー!!」
変わる気持ち
理緒と吟蔵の関係を変えたのは、ライバルの存在。
東京から菅野がやってきたことで、吟蔵は理緒のことを改めて意識するようになっていきます。
「理緒ちゃん、夏休みが終わって東京に帰ってきたら、俺と付き合ってくんないかな」
菅野は理緒に告白し、さらに吟蔵にもライバル宣言。
「理緒ちゃんに好きな男いんのは知ってんすけどね。はっきり言って、東京帰ってからが勝負だと思ってます。俺は近くにいれますからね」
実は理緒はまだまだ吟蔵のことが大好きなので、菅野に心揺れたりは全然していなかったのですが、この状況に吟蔵は焦りを感じ始めます。
で、ぽろっと言っちゃったのがこのセリフ。
「おまえ、俺のこと好きなんじゃねーのかよ」
もちろん、理緒のリアクションは「はあ?」って感じです。
「…な、何それ…ひどい、最低!意味不明!」
「…いや、俺だってこんなん言うつもり…」
「あたしなんて別に好きじゃないくせに」
フラれてスッキリしたなんて嘘。納得したなんて嘘。
「…あたしは…好きだよ…」
万里香や家の事情に遠慮するのはやめて、理緒は自分の気持ちに素直になることにしました。
(1回好きになっちゃったら、もう自分じゃどうしようもないし、好きなままでいい。いつか好きじゃなくなる時が来るまで)
2人の気持ちに波を立てるだけ立てて、菅野は東京へと戻っていきました。
菅野からの告白の返事は東京に戻ってから、ということに。
帰っていく菅野に理緒の姿を重ねて、吟蔵はぽつりとつぶやきました。
「帰したくねーな…」
期間限定の恋人
夏休みも残り半分。
吟蔵は近くの花火大会に理緒を誘います。
「行きてえ?花火大会…つうか、俺があんたと行きたいんだけど」
吟蔵が案内してくれたのは、花火がよく見える2人だけの特等席。
次々と打ちあがる花火の下、浴衣姿の理緒は花火よりも吟蔵の横顔を見つめながら、少し泣き出しそうな表情で言いました。
「吟蔵…夏休み、終わるまででいいから…東京帰ったら、ちゃんとなかったことにするから…あたしとつき合ってくれませんか」
吟蔵の返事は…
「…夏休み終わるまででも、もうなんでもいいから、俺と一緒にいよう」
こうして2人は夏休み期間限定の恋人になったのでした。
期間限定の恋人だからこそ、吟蔵は理緒に手を出そうとしません。
一向にキスしてくれない吟蔵に、理緒はどんどん不安になっていってしまいます。
「吟蔵は…あたしのこと、そんなに好きじゃないかもしれないけど…あたしは大好きだからね…」
理緒の勘違いに気づいた吟蔵は、すぐに理緒を抱きしめて言いました。
「好きだからだろうが!夏休み終わっても一緒にいていいんなら、もうとっくにっ…。離れなきゃなんねえのに…そう簡単に手ぇだせるか…」
「吟蔵…好き」
夏休み、残り2週間。
別れ
夏休みが終わりに近づくにつれて、2人の意識は少しずつ変化していきました。
吟蔵は「家業を継がなければいけない」という考えから、「自分の夢を追いたい」という素直な気持ちへ。
一方、理緒は「夏休みが終わったら吟蔵との関係も終わってしまう…」という不安な気持ちへ。
ある時、万里香が吟蔵と仲良さそうにじゃれているのを目撃してしまった理緒は、ふっと「諦めよう」と思ってしまいます。
(…あれがきっと、ずっと続いてきた、この村の風景。あたしは急に現れただけの部外者で、もし今すぐ東京に帰ったとしても、ここはあたしがいないだけの、いつもの日常に戻るんだ。離れた場所で、どんだけ好きでいたとしても…)
「なんか…急によそよそしくないか」
「…うん。吟蔵とは、もうこれでいいかなって…」
「…は?」
「これ以上、吟蔵に近づいて、もっと好きになって、もっと離れたくないってなっちゃって…でも、やっぱり『ずっと一緒にはいられないんだ』って戻るの。…ちょっと疲れちゃった」
(少しでも吟蔵も同じ気持ちの瞬間があったなら、もうそれで充分)
何も言えない吟蔵に涙を見られないように背を向けて、理緒は歩き出しました。
(ばいばい、吟蔵)
「どうしようもないなら、好きになんてなりたくなかった。『好き』なんて言わなきゃよかった…」
理緒がそうこばしたのは、上湖でできた女友達のさっちゃん。
「わかるよ。あたしも同じだから」
さっちゃんの好きな人は、プロの少女漫画家としてもうすぐ上湖を出ていく同級生のナミオ。
「…さっちゃんは告白しないの?」
「…もしあたしが告白しても来年の春には結局はなればなれだし…離れるまでの間、もしつき合えたとしても、よけい別れがつらくなって、気持ち伝えたこと、後悔しそうだから…」
さっちゃんの言葉を聞きながら、理緒はこの夏の記憶を思い出していました。
吟蔵と過ごしたこの夏を、後悔している…?
「…そんなことない!楽しかったし、幸せだった!…あ」
それは無意識に出た言葉でした。
「…理緒ちゃん。『好きなんて言わなきゃよかった』って自分で言ったくせに」
隣で笑うさっちゃんのおかげで、理緒は大切なことを思い出すことができました。
「…そうだよ…うれしかった…幸せだった…後悔なんて絶対しない…」
8月30日。上湖村のお祭りの日。
理緒が東京に帰るまで、あと1日。
夏の終わり
夏のお祭りで吟蔵たち高校生が企画したのは、自主製作映画の上映。
ナミオの少女漫画を実写映画化したそれは、上湖のPR動画を兼ねていて、ネットでも同時配信されました。
みんなで泳いだ川。吟蔵が連れて行ってくれた神社や、願いが叶うという上湖の泉。
映画の中の景色は、理緒のこの夏の思い出そのもの。
映画を観ている理緒の目からは、いつの間にか涙がこぼれていました。
映画上映は大成功。
理緒と吟蔵は、上湖の泉で最後の時間を過ごすことに。
「そういえば、何、願ったの?」
「吟蔵と、キスがしたい」
「う…」
「叶わないけどさ。…吟蔵、明日、あたし笑って帰るから、吟蔵も笑って見送ってね。絶対泣かないから。約束だよ」
理緒の表情は、いつもと同じ明るい笑顔。
「あたしの今年の夏、最高に楽しかった!」
8月31日。
上湖で出会ったみんなに見送られて、理緒は東京へと帰っていきました。
最終回
「…お母さん、あたし上湖に移住する」
「…は?」
「行くもん。運命は自分でつくるの…!!」
東京に戻ってきてからも、吟蔵への気持ちは募るばかり。
菅野にもお断りの返事をして、理緒が出した答えは「上湖に住む」という無茶なものでした。
お母さんの制止を振り切って、まとめた荷物を持って1回へと降りる理緒。
するとそこには…
「よう、理緒」
なぜかいるはずのない吟蔵がいたのです!
「理緒、上湖行くの?そしたら入れ違いになるな」
「…え?」
「俺、来年の春から奈緒(理緒ママ)さんの職場でお世話になろうと思って。今日来たのは、奈緒さんにその挨拶」
遡ること数日前、吟蔵はお父さんに「家を出させてください」と初めて頼みました。
お父さんの返事は…
「ふん、やっと言ったか。自分で行きたい道も面と向かって言えねえなら絶対認めねえと思って、村をあげて阻止する方向で動いてたんだ。酒屋のことなら心配すんな。オメーひとりいないくらい痛くもかゆくもねぇ」
お父さんはずっと前から吟蔵の夢に気づいていて、吟蔵が話したら認めようと思っていたのでした。
これで家の問題は解決。
最後に残った万里香のことも、きちんと素直な気持ちを伝えて決着をつけました。
万里香「…一度出てくからには覚悟できてんでしょうね。二度と帰ってくんな、バァーーカ!!」
「…え、嘘だ」
あまりの展開に、理緒は頭がついていきません。
「嘘じゃねえよ。『好きなもんは、やっぱり好きだ』って、俺の運命ひっくり返したのはおまえだろ」
ゆっくりと理緒に近づいていく吟蔵。
「…まあ、つっても、こっち来るの来年の4月だけど。…とりあえずあと半年、待ってろ」
顔を涙でぐしゃぐしゃにしながら、理緒は言います。
「…半年待って、『やっぱ気が変わってこっち来るのやめた』って言ったって、そしたらあたしがそっち行ってやるんだからね…」
「あぁ?」
「待ってる間だって、あたしのこと放置したら許さないし」
「…おぉ」
「知らないんだからね…あたしモテるんだからね…」
「もう、知ってる」
晴れた夏空の下、2人は幸せいっぱいの顔でキスをしました。
それから半年後。
吟蔵が東京に引っ越してくる日。
ちょっと寝坊してしまった理緒は慌てて吟蔵の部屋に走っていきました。
「吟蔵ごめんね!遅くなった!」
「…来なくてもよかったのに。荷物少ないし」
「…!」
「ぷっ。何その顔。とりあえず腹減ったからメシにしよう」
「りょ!じゃあ材料、買い行こ!」
引っ越し荷物の片付けもそこそこに、2人は買い物へと出かけることに。
たわいもない雑談をかわしながら、自然に手をつなぐ2人。
部屋を出る直前、吟蔵はぽつりとつぶやきました。
「…理緒、ホントはスゲー会いたかった」
<青夏・完>
まとめと感想
今回は映画「青夏 きみに恋した30日」の原作漫画「青夏 Ao-Natsu」のあらすじ・ネタバレをお届けしました!
「青夏」は何といっても状況設定がいいですよね。
タイトルの通り、季節は常に夏!
田舎の村で地元の高校生たちと青春を送る夏休みって、普通に都会で過ごす夏休みよりも価値があるように思われます。
ラブストーリーとしては、実は2人ともずっと両思いなのが素敵。
問題は家の事情とか田舎のしがらみであって、他の人に心揺れたりは全然しないんですよね。
そういう意味では菅野もそうですが、下手したら10年レベルで吟蔵のことを想っていた万里香はちょっと可哀そう。
でも、吟蔵は理緒と出会ったことで「自分の夢を追いたい」という気持ちと素直に向き合えたんですし、やっぱり吟蔵にとって必要なパートナーは理緒の方なんですよね。
まあ、万里香は100%モテには困らないでしょうし、次に期待ということで…。
一応、まとめということで最終話の結末を振り返っておくと、ラストは予想通りハッピーエンド!
「吟蔵が自分の夢のために東京に出てくる」というベストな形での結末になりました。
これから理緒には「吟蔵と過ごす高校生活」が、吟蔵には「やりたかった仕事」が待っているわけです。
物語的にはもちろんここで終わりなのですが、2人はこれからもっと幸せになっていくんでしょうね。
そんな未来を想像すると、なんだか微笑ましくって、幸せな気持ちになれる気がします。
映画『青夏』の配信は?
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※配信情報は2020年6月時点のものです。最新の配信状況は各サイトにてご確認ください。
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夏の終わりの理緒の表情は、いつのと同じ明るい笑顔のところいつもではないでしょうか?
>ご指摘ありがとうございます。