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映画「雪の華」あらすじネタバレ!号泣必至の結末とは?

中島美嘉さんの名曲「雪の華」が映画化!

日本とフィンランドを舞台にした物語は美しくて、切なくて、「雪の華」が流れるラストシーンは特に感動的でした。

今回は映画「雪の華」のあらすじネタバレをお届けします!

彼女の『秘密』を知ったとき、彼がとった行動とは……!?

映画「雪の華」あらすじネタバレ

余命一年。

子供の頃から病弱だった私にとって、それはいつか来るとわかっていた宣告だった。

だから、覚悟はできていた……つもりだった。

だけど、「いつかくる宣告」と「実際の宣告」は全然違う。

目の前が真っ暗になって、とても冷静ではいられない。

 

私の人生は、残り一年。

振り返ってみると、なんと味気のない人生だったことか。

思い切り何かを試したこともなく、恋をすることもなく、私の人生は終わっちゃうんだ……。

 

「百万円で、一か月だけ私の恋人になってください!」

私がそんな突拍子もないことを口走ったのは、だから、恋を知らないまま人生を終わらせたくなかったから。

それと、ちょっぴりの人助け。

私の退職金で、困っている彼を助けることができるのなら、最後のお金の使い道としては悪くない。

彼は思いっきり怪しんでいたけれど、背に腹は代えられないと思ったのか、私の提案に乗ってくれた。

「あんた、本気なんだな」

「はい、だから一か月だけ恋人になってください」

「つまりそれは……俺のカラダが目当てってこと?」

「ち、違います!」

こうして、私たちは一か月間の恋人契約を交わした。

 

彼のことが好きなのかと言われたら、そうですとはいえない。

これが本物の恋になるかどうかなんてわからない。

でも、私には今日から恋人がいる。

そう思うだけで胸が弾んだ。

 

登場人物

平井美雪

21歳。高校卒業後は区立図書館で働いていたが、余命宣告を受けて退職した。

両親の影響でフィンランドが好き。

現地でオーロラを見るのが夢。

綿引悠輔

カフェ「VOICE」の店長。

オーナーの岩永さんが騙されて借金を背負ってしまったため、カフェ存続のために美雪の恋人契約に乗った。

夢はガラス職人。

両親を早くに亡くしていて、弟妹の面倒を一人で見ている。

本人は覚えていないが、美雪のバッグをひったくりから取り返したことがある(2人の出会い)

 


 

初デート

【Side:悠輔】

初めてのデートは、とにかく疲れた。

少女漫画さながらの《理想の彼氏》を演じてほしいという美雪のリクエストはどれも甘すぎて、無理につくった笑顔が引きつりそうだった。

とはいえ、金を出してもらっている以上、これは仕事のようなものだ。

水上バスに乗って、その後は水族館へ。

無邪気にはしゃぎまわる美雪が満足するように、俺なりの《完璧な彼氏》をどうにか演じ続けた。

 

家に帰ると、どっと疲れが押し寄せてきた。

疲れた。とにかく疲れた。

……でも、一緒にいて居心地悪くはなかった。

この分なら、恋人契約は無事に果たせるだろう。

それにしても、ぽんと百万円を出すなんて、やっぱり美雪はどこかのお嬢様なんだろうな……。

 

【Side:美雪】

初めてのデートは、とにかく楽しかった!

彼氏と一緒に過ごすことが、こんなにも楽しいことだったなんて!

恋人と一緒に水上バスに乗った。水族館にも行った。

これで《生きているうちにやりたいこと》が2つも叶った。

この調子で、残りの日々も楽しく過ごしていきたい。

 

家に帰ると、張り切りすぎたせいか、倒れてしまった。

主治医の若村先生に連絡して、病院へ。

「先生、私、まだ大丈夫だよね?」

「ああ、でも、無理をしたら約束できないよ」

大丈夫。私はまだ死なない。

やっとやっと、恋をすることができそうなんだから。

 


 

悠輔の世界

【Side:美雪】

どうせ終わる関係なら、ミステリアスなままでいたい。

だから私は病気のことも住んでいるところも隠して、悠輔の世界を知りたがった。

カフェ「VOICE」で悠輔がオーナーに「彼女の美雪です」と紹介してくれたときは嬉しかったなあ。

悠輔の家で、弟くんや妹さんと一緒に賑やかに食事したのも最高に楽しかった。

カフェ、自宅、それにガラス工房。

彼はどんどん自分の世界を開いて見せてくれる。

私があんなことを言ってしまったのは、だから、ちょっと調子に乗っていたからなんだと思う。

「ひょっとしたら私のこと、本当に好きになっちゃったりして」

冗談めかして、思い切って言ったのに……。

「はあ? そんなことあるわけないでしょ」

「……ないですよね、ハハ」

やっぱり現実は甘くない。

彼はお仕事として恋人を演じてくれているだけなのだ。

彼の答えを聞いて数秒で、私は決断した。

「一気に終わらせましょう、契約。最後の大イベント、そこで終わり」

私はバッグから旅行ガイドブックを取り出した。

行き先は、両親が出会った国……。

「じゃん! フィンランド! レッツゴー!」

自分から男の人を旅行に誘ってしまった。

しかも、海外。すごい。

 

【Side:悠輔】

わけがわからない。

美雪との日々は楽しくて、契約期間が終わっても付き合いたいと思い始めていたのに、もう終わりだなんて。

「好きになっちゃたりして?」と聞かれたとき、つい照れて否定してしまったけれど、本当はいつも楽しそうな美雪に惹かれていた。

それなのに……。

都合があるから終わりって……都合って何?

なんで、フィンランドに旅行?

相変わらず、俺は彼女のことをなんにも知らないままだ。

 

一週間後。

俺は美雪と成田空港にいた。

空港でも、飛行機の中でも、美雪はずっと楽しそうだった。

やがて、飛行機はヘルシンキ・ヴァンター空港に到着した。

季節は夏。

3日間のフィンランド旅行が始まる。

 


 

フィンランドにて(1日目)

【Side:悠輔】

俺は初めての、そしてたぶん最後の美雪との旅を楽しいと思い始めていた。

お嬢様の気まぐれにしては、美雪はいつも真っすぐだった。

わかりやすく素直で、まるで本気でデートを楽しんでいるように見えた。

最初は訳が分からなかったが、ルールがわかって、彼女が望んでいるのは、どうやら普通に出会ったカップルがすることのようだと理解してからは、ただ自然体でいればよかった。

 

いったい、どんな旅になるのだろう。

そして、旅の終わりに美雪は何と言うのだろう。

恋人契約が終わったとき、俺はどう思うのだろうか。

 

【Side:美雪】

――きっと、楽しい旅になる。

 

若村先生から、症状の進行が速いと言われた。

このままだと、近いうちに入院しなくちゃいけなくなる。

そうなれば、悠輔との恋人契約は続けられない。

思い出づくり、それがこの旅の目的だ。

どんなに好きになっても、この恋は実らない。

だから、せめて別れた後、最期の時までときどき思い出して幸せな気分になれるような思い出をつくる。

 

旅行初日。

私たちは両親が出会ったデザイン博物館へと向かった。

両親の話をすると、悠輔はなんだか妙なところに反応していた。

私のことをお金持ちのお嬢様だとでも思っていたのだろうか。

夏のフィンランドは白夜で、真夜中でも空は明るい。

一日目はあっという間に終わった。

 


 

フィンランドにて(2日目)

【Side:美雪】

ホテルに戻ると、疲れがどっと押し寄せてきた。

……まだ、大丈夫。

あと一日、明日が終われば、あとは帰国するだけ。

そしたら、悠輔にはもう会わない。

一緒にいる時間が幸せな分だけ、その後に私を待っている時間を初めて怖いと思った。

 

【Side:悠輔】

いつしか俺たちは、自然に手をつないで歩いていた。

そうして、初めて気づいたことがある。

美雪の体はあまりにも、細く、軽すぎる。

それに、気のせいだろうか、ときどき苦しそうにしていたような……?

俺の中で美雪の存在はどんどん大きくなっていくのに、手をつないでいなければ消えてしまいそうな気がしてならなかった。

 

……きっと、美雪は何か秘密を抱えている。

それはタイムリミットのある何かだと思う。

美雪、君の気持ちがわからない。

美雪の部屋のドアを開けて抱きしめたいと思ったけれど、結局、そうはしなかった。

……美雪を困らせたくなかった。

 


 

フィンランドにて(最終日)

【Side:美雪】

最後の一日もよく晴れた。

美しいフィンランドの景色の中、私はいつのまにか涙を流していた。

『好きだよ、悠輔』

心の中で何度も繰り返す。

……ああ、幸せだ。

もう死んでもいいと思うくらい、私は幸せだった。

 

【Side:悠輔】

美雪の涙の訳を、俺は聞けなかった。

ただの感動の涙とは思えなかったのに、顔を上げた彼女があまりにも幸せそうに微笑んでいたから。

フィンランドでの最後の一日はゆっくりと過ぎていく。

美雪と歩きながら、俺は決めていた。

恋人契約のことだ。

俺はもっと彼女と一緒にいたい。

契約なんかじゃなく、ちゃんと恋人になりたいと心底思っていた。

そのことを美雪に言うつもりだった。

 

「明日、もう帰るんだね」

「……ああ」

「契約終了だね。ご苦労様でした」

「こんなんでよかったの?」

「うん。すっごく楽しかった。ありがとう。これで思い残すことはない……とか」

「……」

「ああ、楽しかった。悠輔の恋人」

俺は美雪にキスをした。

美雪は驚いたように身動き一つしない。

美雪、君が好きだ。

でも、その言葉を言うことはできなかった。

「こういう場所なら、恋人ならするでしょ」

照れてしまって、そんなふうにしか言えなかった。

「契約のことなんだけど、もう少し俺と一緒に……」

いてほしい、と美雪は最後まで言わせてくれなかった。

「今までありがとう。この旅行で終わりにするって決めたの」

美雪の言葉には、有無を言わさぬ力があった。

「……都合ってやつ?」

美雪は答えない。

美雪にとってこの旅は、いや、俺はなんだったんだ。

 

【Side:美雪】

突然のキスだった。

初めての恋。

初めてのキス。

夢のようだった。

あのままいたら、悠輔から離れられなくなると思った。

悠輔は完璧な恋人だった。

なんと幸せな時間だったことだろう。

ノートに書いた《やりたいこと》のリストは、たくさん実現できた。

だから、これで終わりにする。

来年の今ごろ、たぶん私はもうこの世にいない。

これからの闘病生活でボロボロになっていく私を見せたくない。

「買い物あるから、先に行くね」

これ以上、一緒にいたら、私の決心はぐらついてしまう。

私は立ち上がり、悠輔に背を向けた。

涙があとからあとからこぼれて止まらなかった。

でも、私は一度も振り返らなかった。

 

【Side:悠輔】

――美雪は一度も振り返らなかった。

美雪の言葉は絶対で、契約の恋人はこれで完全に終わったのだとわかった。

この三日間の心が浮き立つような思いも、二人の間に流れていた温かい空気も全部ウソだったというのか。

美雪にとってそんな程度の軽いものだったのか。

俺は美雪を追いかけることができなかった。

彼女が決めたことなら、覆すことなどできないだろう。

その夜は眠れなかった。

向かい側の部屋にいるはずの美雪からは、メールすら来なかった。

 

翌朝、フロントに降りていくと、美雪はすでにチェックアウトしていた。

たった一言「先に空港に行きます」という伝言メモが一枚残されていただけだった。

飛行機に乗り込むと、隣だったはずの美雪の席はずっと離れたところになっていて、彼女はすでに座って静かに本を読んでいた。

顔を上げようともしない。

俺はもう用済みで、顔を見る気もないってわけか。

結局、飛行機がフィンランドを離れ、成田空港に到着するまで、俺たちは口をきくこともなかった。

成田空港で最後に交わした言葉は「ありがとう。元気で」だった。

それきり俺たちは別れた。

 


 

再びの冬

【Side:美雪】

帰国してからは、夏じゅう入院することになった。

最初は失恋の痛みで泣いてばかりいたけれど、やがて家族のためにも元気で長生きしようと決めてからは立ち直れた。

入院から半月後には、自宅療養が許された。

 

季節はゆっくり夏から秋、秋から冬へと移り変わっていく。

クリスマスムード一色の12月。

再入院を目前にして、私はわがままをいって、もう一度、海を渡ることにした。

目的地は冬のフィンランド。

「ラストチャンスのオーロラ。最後はやっぱり挑戦してみようと思って」

 

【Side:悠輔】

帰国してからは、しばらく何も手につかなかった。

季節が冬になっても、心に穴が開いたまま。

……美雪は今、なにをしているのだろう?

 

そんな中、たまたま病院で美雪を見かけた。

医師との会話が耳に入ってくる。

……薬を必ず飲め? 何かあったら救急車を呼べ?

どういうことだ?

美雪が去ったのを確認してから、医師に話しかける。

「綿引悠輔です」と名乗ると、若村先生はハッとした顔になった。

先生は守秘義務があるからと何も話してはくれなかったけれど、その代わり、美雪のお母さんの礼子さんにつないでくれた。

「あの子はね、もう長くは生きられないの」

一瞬で頭が真っ白になった。

声を失った俺に、礼子さんは美雪の病気のこと、最後に恋をしようとしていたことを話してくれた。

「……それで、俺を恋人に?」

知らないうちに握りしめていた拳が震えていた。

彼女はなんて重たい荷物を背負っていたんだ。あんなに細い体で。

「君は、去年の冬、ひったくりにあった彼女を助けてあげただろう」

若村先生に言われて、やっと思い出す。

あれは美雪だったのか……。

俺はもう、じっと座ってなどいられなかった。

「すみません、俺……失礼します」

俺は病院を飛び出した。

あの時、なぜ美雪がこれでもう思い残すことはないと言ったのか。

俺は何も知らなかった。

知ろうともしなかった自分が悔しくて、情けなくて、俺は叫んだ。

 


 

冬のフィンランド

【Side:美雪】

ひと晩を過ごしても、オーロラを見ることはできなかった。

でも、もし見られなくても無駄じゃない。

昔の私だったら、どうせ無理と決めつけて、行動を起こすこともなかったと思う。

悠輔のおかげだ。悠輔に恋したから。

夜空を見上げながら、私はもう気づいていた。

……本当の願いは、オーロラを見ることじゃない。

 

【Side:悠輔】

美雪から一日遅れて、ヘルシンキの空港に到着した。

先生と礼子さんが教えてくれた美雪の居場所へ、一秒でも早くたどり着きたい。

そして、美雪に会えたら、もう二度と離さない。

美雪のことばかり考えていたから、交通の便が悪い田舎町までどうやっていくか、まるで考えていなかった。

極寒に加えて豪雪。

冬のフィンランドの厳しい自然が行く手を阻んでいる。

だけど、立ち止まることはできない。

俺はなんとかヒッチハイクで目的地の近くまで行くと、最後は走って目的の町に向かった。

右も左もわからない白い世界を、ただただ突き進む。

美雪、美雪、早く君に会いたい。

 

再会

2日目の夜。

私はオーロラ観測スポットに立っていた。

マイナス20度。

観光客はどこかで開催されているイベントに行っているようで、周りには誰もいない。

 

ふいに激しい頭痛に襲われて、雪の上に膝をついた。

ポケットから痛み止めを取り出し、口に含む。

いやだ、まだ帰りたくない。

諦めたくない。

 

悠輔の口癖は「声を出せ」だった。

声を出さなければ、何も伝わらない。

願いは口にしなければ叶わない。

私は夜空に向かって叫んだ。

「悠輔! 悠輔! 会いたいよー! 悠輔のことが大好きなんだよ!」

会いたくて会いたくてたまらない。

悠輔が好き。

別れてから……ううん、最初に会った時から、1日だって彼のことを考えない日はなかった。

 

「なんだよ」

そのとき、懐かしい声が聞こえた気がした。

懐かしくて、優しくて、大好きな声。

でも、そんな、まさか……。

 

振り返るとそこに、悠輔がいた。

「……なんで?」

私の声は震えている。幻がどうしてしゃべるの。

「恋人だろ」

「でも、もう……」

恋人契約は終わってしまった。

悠輔の人生から私は消えたんじゃないの?

「おまえ、俺に黙ってただろ」

黙ってたって、病気のこと?

「そんなの恋人じゃねえだろ。やり直しだよ」

私は声が出ない。

やり直しって、恋人としてってことなの?

もう一度、悠輔の恋人になれるの……?

私が答えずにいると、悠輔はぶっきらぼうに言った。

「わかったのかよ」

乱暴な言い方だけど、それは彼が最高に照れてる時のクセだと私は知っている。

「……今度はいつまで?」

「俺たちが生きてる限り、ずっとだ」

私は、やっぱり声が出ない。

「文句あんのかよ?」

私は首を横に振る。文句なんてあるわけない。

あれほど会いたかった悠輔がどんどん私に近づいてくる。

そして、私は悠輔の腕の中にいた。

二人とも体は冷え切っていたのに、抱き合った瞬間から温もりが生まれる。

「ありがとう……」

私は心から言った。

 

ふと見上げると、夜空には赤いオーロラが輝きながら揺れていた。

私にとって最高の幸せの象徴。

私がオーロラに目を奪われていると、悠輔がフッと優しい目になった。

そして、私たちはキスをした。

好きだよ、悠輔――。

 


 

エピローグ

あのオーロラの夜から、一年が過ぎた。

私はまだ生きている。

 

あのあと、東京に帰った私はすぐに入院した。

悠輔は毎日お見舞いに来てくれた。

こんなにも幸せなのに、病気は待ってくれなかった。

何かにエネルギーを吸い取られるように、ひどいだるさと痛みで私は間もなく起きていられなくなった。

「次の治療をするとね、副作用で私、ボロボロになるの。髪の毛だって抜けちゃうかもしれない。顔だってむくんじゃうかもしれない。そんな姿見られたくないよ」

悠輔は怒った。

「それがなんだよ。美雪は美雪だろ。約束しろ。どんな姿になっても生きるって」

荒っぽい言葉と裏腹に、悠輔が涙をこらえているのがわかった。

この人と生きたい。

この人のために生きたい。

それが頑張る原動力になった。

 

若村先生に宣告された命の期限を越え、私は悠輔と出会って二度目の冬を迎えることができた。

今、私は「VOICE」に来ている。

今日は私だけのためにお店は貸し切りだ。

ここにいるのは私と悠輔だけ。

私はもう自分の足で立つことができない。

たぶんこれが最後の外出。

どうしてももう一度ここに来たかった。

悠輔が働くこの場所に。

……カフェラテのカップってこんなに重たかったっけ。

 

「あ、雪……」

いつのまにか、窓の外には雪が舞っていた。

「初雪」と悠輔がそっと言って私を見た。

なにも言わなくても、外へ出たいのだとわかってくれる。

悠輔は車椅子から私を抱き上げると、テラスに出た。

 

雪は後から後から降ってくる。

今夜は積もるかもしれない。

ああ、幸せだ。

もう死んでもいいくらい幸せだと思った人だけが、本気で死にたくないって思うんだね。

「ねえ、悠輔。なんだか私、長生きしちゃいそうな気がする」

悠輔は笑って私を優しく抱きよせた。

温かい毛布のような眠気が私を包み込む。

私は愛する人の腕の中でそっと目を閉じた。

まぶたの奥で赤いオーロラが揺らめいているのが見えた。

<雪の華・完>

 


 

まとめ

今回は映画「雪の華」のあらすじ・ネタバレをお届けしました!

ヒロインが余命わずかという時点で号泣の予感しかしない出だしでしたが、ラストは悲しい結末ではなく、とても温かなものでしたね。

両想いの二人がすれ違ってしまう場面ではやきもきしましたが、最後は思いが通じ合って本当によかったです。

映画「雪の華」の物語の舞台は半分くらいフィンランドなのですが、実際に映画のロケもフィンランドで行われたそうです。

美しいフィンランドの景色。

名曲「雪の華」が流れるラストシーン。

映画「雪の華」は泣ける感動作になっています。

 

映画『雪の華』の配信は?

雪の華
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※配信情報は2020年6月時点のものです。最新の配信状況は各サイトにてご確認ください。

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