相沢沙呼『小説の神様』の感想ですが、
- よかったこと
- 不満だったこと
両方について思うところがありました。
今回はそれぞれについて書いていきたいと思います!
よかったこと
- かわいいヒロイン
- 情けなくも共感できる主人公
- 王道エンタメなストーリー
「ここがよかった!」と思うところは指折り数えて両手で足りないくらいあるのですが、まずは言わせてください。
九ノ里くん最高に好き!
はい。なぜかというと、小説を読んでいて「うわ、最高だ!」と思ったのが、九ノ里のセリフだったからです。
そのセリフが登場するのは物語の終盤。
詩凪の《秘密》が明かされ、一也は彼女が深く傷ついていたことを知りました。
※なに言ってるかわからない人は先にあらすじをどうぞ
けれど、我らが主人公はやっぱり情けないやつで、詩凪をケアするために何をどうすればいいのかわからず思い悩むばかり。
そんなダメダメ主人公の背中を押したのが、どこか大人びた雰囲気をまとう親友の九ノ里でした。
うじうじと「自分には何もできない理由」を並べ立てる一也の歪みを少しずつ治療するように、九ノ里は「お前は本当は凄いやつなんだよ」と穏やかに伝えます。
そして、このシーンですよ!
…………
「一也、俺はいろいろな作品を読む雑食人間だ。けれど、いちばん好きなジャンルがある。それがどんな物語か、知っているか?」
僕(一也)はかぶりを振る。知るかよ。そんなこと。
「主人公が、傷ついたヒロインを助ける話だ。王道だろう」
…………
はい、ここ!
それまで
- 冷静
- 真面目
- 中立
というキャラだった九ノ里が急にエモいこと言い出すとは思っていなかったので、「やられた!」って感じでした。
「もう九ノ里くんが主人公でいいんじゃないかな」と思いましたね(笑)
というわけで、『小説の神様』で一番好きなシーン(セリフ)の話でした。
「わかる!」というあなたとは美味しいお酒が呑めそうです。
よかったらコメントであなたが好きだったセリフやシーンも教えてくださいね。
ちなみに映画『小説の神様 君としか描けない物語』で九ノ里を演じるのは佐藤流司さん。
正直、九ノ里っぽくはない気がしますが、どうなるのでしょう……。
せめて↑のセリフだけはカットしないでほしいと願っています。
青春のまぶしさ
- 小説家のリアルな苦悩
- 詩凪の秘密というミステリ要素
- 巧みな心情描写
またまた「よかったところ」を指折り数えてみましたが、なによりわたしがグッときたのは『青春のまぶしさ』です。
正直にいえば、わたしはもういい年をした大人なので、主人公の一也にガッツリ共感する、ということはありませんでした。
※物語は一也の一人称視点で描かれているので、本来、感情移入しやすいはずなんですけどね
とはいえ「じゃあ、一也の心情描写に何も感じることはなかったのか?」と聞かれればそうでもなくて、わたしは
「ああ、懐かしいなあ。まぶしいなあ」
と思いました。
自分のことばっかりでまわりが見えていない一也の未熟さも、こうと決めたら突っ走れる一也の情熱も、「ああ、わたしにもそんな頃があったな」という気持ちをつれてきました。
悩んで、泣いて、叫んで、そうして手を取り合う一也と詩凪はキラキラとまぶしくて……。
まさに青春。まさに若さ。
彼らの物語を読んで、わたしはちょっとだけ元気になったような気がします。
言葉にするなら
「これからきっといいことが起こる」
「信じて進めば道は拓ける」
みたいな気持ちでした。
もしかしたら一也や詩凪に感化されて、ちょっぴり気持ちが若返ったのかもしれません。
というわけで「青春っていいよね」という感想でした。
不満だったこと
まず前提として、わたしにとって相沢沙呼作品はこれが2冊目で、最初に読んだのはミステリランキング3冠の『medium』でした。
だから、『小説の神様』には正直、
「あ、思ってたのと違うな」
という思いがありました。
詩凪が小説を書けない状態にあるのはバレバレで、ミステリとしての驚きはなし。
『medium』は高度などんでん返しが売りの作品でしたが、『小説の神様』は王道ど真ん中ストレートな青春ストーリーです。
もちろんそれはそれでよかったのですが、相沢沙呼の小説という目線で読み始めてしまったため、「これじゃないな」という違和感が最後までちらついてしまいました。
これは作品や作者ではなく読み手の問題ですが、正直な感想ではあるので書いておくことにします。
作家で小説を買う人にはけっこう「あるある」な現象ではないでしょうか。
軽く調べたところ、相沢沙呼さんは特に幅広い作風が評価されていて、既刊のジャンルも毛色が異なるものが多かったです。先に調べとけって話ですね。
ライトノベル感
『小説の神様』はライトノベルに近い作品だと思います。
好意的にとらえるなら
- 幅広い層が楽しめる大衆的なエンタメ
- ふだん本を読まない人や若い世代も手に取りやすい
という特徴があります。
一方で、わたしが気になったのはライトノベルに特有の『軽さ』です。
- 挫折した主人公が
- 隣の席の美少女作家と小説をつくることになり
- ヒロインに励まされ立ち直るも
- 再び挫折してヒロインを傷つけてしまう
- そんななか主人公はヒロインの弱さを知り
- 逆に手を差し伸べてヒロインを救うのだった
- めでたしめでたし
あまりにフィクションめいているというか、ご都合主義的な印象を受けました。
わたしがイマイチ主人公の一也に共感できなかったのは、年齢や(相沢沙呼作品という)先入観のせいだけでなく、こうした都合のよさが原因だったのではないかと思います。
とはいえ、別にわたしは「ライトノベルはちょっと無理」と言いたいわけではありません。
むしろ、ラノベは大好物で一時期は読み漁っていました。
だから『小説の神様』で不満に思ったのは、
「一般文芸だと思って読んでみたらライトノベルだった」
というズレです。
寿司もケーキもおいしいけど、寿司だと思って食べたのがケーキだったらなんかイヤ、みたいな。
※絶望的なたとえの下手さ
ただ、これも作品の欠陥というより、わたしの先入観の問題です。
表紙はイラストだし、講談社タイガ文庫だし、今考えてみると十分ライトノベルっぽい内容だと予想できたと思います。
なのに、最初の「あの本格ミステリを書いた相沢沙呼の小説」という先入観も相まって、すっかり読む姿勢を間違えちゃってたんですよね……。
そんなわけで
『事前情報ゼロで読み始めるのもいいけど、本を読む前にちょっとあらすじとかレビューとか参考にした方がいいかもしれない』
というお話でした。
まとめ
今回は相沢沙呼『小説の神様』の感想をお届けしました!
では、最後にまとめです。
- 王道の青春もの(ボーイミーツガール)で幅広い層におすすめできる。
- 読み味はライトノベルに近い。一般文芸だと思って読むと違和感があるかも。
- 九ノ里くん推し。
わたしは妙な思い込みのせいでちょっと物語に入り込めなかったところもあったのですが、あなたはどう思いましたか?
- 小説の感想
- 映画の感想
- 好きなキャラやセリフ
などなど、よかったらコメントで教えてください!
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