切ない・泣ける 記事内にPRを含む場合があります

漫画「パーフェクトワールド」のあらすじとネタバレ!最終回の結末は?【2019年8月号更新】

有賀リエ「パーフェクトワールド」が実写映画化に続いてドラマ化!

漫画の最終回に合わせて盛り上がりを見せていますね!

漫画「パーフェクトワールド」は障害者(男)と健常者(女)の恋を描くラブストーリー。

身体的な不自由や問題はもちろん、障害者本人やその周囲の人間の精神的な不安や問題についてもリアルに描写されているのが特徴的で、一筋縄ではいかない恋模様には胸がキュウと締め付けられるような気持ちになります。

私もさっそく原作漫画を読んでみたのですが、一言で言って「切ない!」

あと、展開があまりにも予想外!

というわけで今回は、映画化が決定した漫画「パーフェクトワールド」のあらすじやネタバレについてチェックしていきたいと思います!

理想だけじゃやっていけない…リアルな2人の恋の結末とは!?

※6月25日追記:KISS8月号(47話)更新しました。目次からジャンプできます。

漫画「パーフェクトワールド」のあらすじとネタバレ!

「鮎川!?」

「川奈!?」

インテリアデザイン会社に勤める川奈つぐみ(26)が取引先との飲み会で偶然再会したのは、高校生時代の同級生で初恋の相手でもあった鮎川樹(26)

久しぶりに会った鮎川は夢だった建築士になっていて、カッコよくなっていて…そして、歩けない体になっていた。

大学時代の交通事故で脊髄損傷。

下半身に感覚がなく、車イスがないと生活できない。

つぐみは仕事に一生懸命で実力も認められつつある樹を眩しく感じる一方、「障害者とは恋愛できない」と思ってしまっている自分に気づく。

樹「大丈夫だよ。俺、誰とも恋愛する気ないから。おまえをそういう目で見ることない。だから、安心して」

樹にそんな本心を見透かされてしまい、つぐみは暗い気持ちになった。

 

そんな中、樹が倒れたという知らせを聞いたつぐみは慌てて病院へ。

『褥瘡(じょくそう)』

ずっと同じ姿勢でいることで皮膚が壊死して肉が抉れてしまうそれに、痛みの感覚がない脊髄損傷者は気づけない。

結果、高熱を出して樹は倒れた。

(私、鮎川のこと何もわかってない…)

つぐみは入院中の樹に付き添うことを決めた。

 

40度の熱がある中、樹は〆切が近い仕事に一心不乱に取り組む。

つぐみは「もういいよ。無理だよ」と樹を止めようとするが…

樹「次じゃだめなんだ。次がある保証もないのに、いつまで生きられるかわからないのに、今やらなきゃダメなんだ!」

(この人は、今までどれほど悔しい思いをしてきたんだろう)

つぐみは最後の仕上げである着色を自分に任せてほしいと樹に頼む。

「…なんて無理だよね。ごめん、私がやったら台無しに…」

「うん、お前が塗って、川奈。俺、見に行ったよ、展覧会。お前の卒業制作、校舎と桜の絵。台無しになんかなりっこない。俺、お前の絵好きだった」

 

2人で協力して、なんとか樹が絶対にやり遂げたいと思っていた仕事は完成した。

満足そうに笑って眠りに落ちる樹を見ながら、つぐみも微笑む。

(高校生の時、初恋だった人。再会した彼は、車イスに乗っていた。私は今、彼に再び恋をしてる

 


 

2人の関係

それから、つぐみと樹は2人きりでちょくちょく出かけるようになった。

世間からの冷たい目、好奇の視線。

樹といることで、つぐみはいかに障害者が生きにくい世の中であるのかを実感する。

 

困難は世間からの目だけじゃない。

いざ結婚するという段になったら、家族は果たして賛成してくれるのだろうか?

それに、障害者のパートナーになるということは、そのケアをも受け持つということだ。

例えば『排泄障害』

脊髄損傷者はどうしようもなく自然に便が流れ出てしまうことがある。

その処理も、一生やっていくのだ。

樹への気持ちが膨らんでいく一方で、つぐみは「自分が責任を負えるのだろうか?」といまいち自信が持てずにいた。

 

そんな中、樹がまた倒れて入院した。

つぐみはそんな樹に付き添うが…

樹「…川奈。俺のカン違いかもしれないけど、もし川奈が俺のことを想ってくれてるんだとしたら、俺、その気持ちには応えられない。一生一人で生きてくって決めたんだ。そういう男といても、おまえ、幸せになれない」

脊髄損傷者は合併症により命を落とす可能性が高い。

例えば、今回入院することになった尿路感染の場合、腎不全に発展すれば命の危険がある。

きっと樹は、そういう事情を考慮して、つぐみのために拒否してくれている。

それでも…

「…私の気持ちを簡単に扱うのやめてよ。自分といても幸せになれないとか、そんなの勝手に決めないで!ぜんぶ一人で結論出すのやめてよ!鮎川の代わりなんて、いないのに…!」

うつむき涙をこぼしながら、か細い声でつぐみは言葉を紡ぐ。

「…鮎川の身体が心配なの…好きなの…。何でも受け止めるから…私じゃ頼りにならないかもしれないけど…」

「…泣くなよ、川奈。泣くな」

つぐみが寄せた顔に、樹が口づける。

この夜、2人の関係は『友達』から『恋人』になった。

 


 

ライバル

年が明け、2人は東京から地元である長野へと帰省した。

初詣の神社でつぐみが再会したのは、高校生の時同じクラスだった是枝洋貴。

当時つぐみが「ヒョロザル」と呼んでいた是枝は見違えるほどの高身長イケメンに変貌していた。

「俺、向こうでSEやってるんだ。今度東京組で会おうぜー」

気さくな調子でつぐみたちと別れた是枝に他の同級生が声をかける。

「今のお前が好きだった川奈?」

「うん」

是枝はつぐみたちが去っていった方向をじっと見つめながら応えた。

 

東京に戻ってきたつぐみはそのまま樹の部屋へ。

扉を開けると、そこにはつぐみの知らないきれいな女の人がいた。

「初めまして。ヘルパーの長沢です」

長沢は樹が歩けなくなった時からずっと樹を支え続けてきた人物。

長沢は結婚して病院を辞めたあとも、樹のサポートのため日常的に樹の部屋に来て世話をしているのだという。

「樹くんのことでわからないことがあれば、何でも聞いてね。私は、彼が一番苦しみもがいてる時期を全部見てきた。心のことも身体のことも、付き合いたてのあなたなんかよりずっと理解してるから」

(この人…何…?)

「障害を負った人と付き合うのは覚悟がいるの。誰にでもできることじゃない。わかる?」

長沢の言葉に反感を覚えるつぐみだったが、いざ樹が怪我をしている場面に直面すると、おろおろするばかりで何もできない。

逆に長沢は冷静に傷の手当てをして、見事に樹をケアして見せた。

自分ももっと樹のために頑張らなきゃいけないと、つぐみは焦る。

 


 

長沢の存在につぐみが不安になっていた頃、長沢は自己嫌悪に陥っていた。

(許されない気持ちだとわかってたから、ただそばにいて見守っていられればそれだけでよかったのに…。みじめな嫉妬で頭がおかしくなってくる…)

長沢は昔から密かに樹に想いを寄せている。

許されない気持ちをを振り切るために結婚したが、それも離婚することになった。

つぐみに辛く当たったのは嫉妬のため。

(私はどうしたいんだろう…。自分が止められなくなりそうで、こわい…)

 

ある日の深夜、樹のPCが突然動かなくなった。

仕事の大事な資料を完成させなきゃならないのに…。

焦ったつぐみはとっさに是枝に連絡を取る。

すぐに来てくれた是枝は簡単そうな顔でPCを修理しながら、樹と言葉を交わす。

「わざわざ悪かったな。こんな時間に来てくれるとは思わなかった」

「そりゃ来るよ。川奈の頼みだから。あいつがもし困ってたら、泣いてたら、俺はすぐにあいつの所へ駆けつける」

「…どういう意味だよ?」

「宣戦布告」

真っすぐに樹の目を見てそういうと、修理を終えた是枝は部屋から出ていった。

マンションの下で、買いだしに行っていたつぐみと鉢合わせする。

思わず抱きしめてしまったことを冗談だと誤魔化して、是枝は帰っていった。

 

順調だった2人の恋の歯車が、少しずつ狂いだしていく…。

 


 

事件

そしてついに事件が起こった。

是枝から向けられた気持ち、長沢に及ばないという不安、障害者と付き合うことに反対している家族。

そして何より樹の力のためになりたいと張り詰めていた気持ち。

限界まで心労をため込んでいたつぐみが、とうとう倒れてしまったのだ。

しかも、場所はよりにもよって駅のホーム。

もうすぐ電車が来るというアナウンスが響く中、つぐみは線路に転落してしまう。

樹は手をのばすが、間に合わない。

「お願いです!誰か助けてください!川奈!川奈ー!!」

ガタンガタン!

電車が通り過ぎる。

駅員の助けが間に合い、なんとかつぐみは助け出された。

しかし車イスの樹では、救急車に乗せられるつぐみに付き添うこともできない!

樹はとっさに是枝に連絡を取り、助けを求めた。

 

その後、病院で合流した樹と是枝は、つぐみの状況について医師から聞く。

「命に別状はないです。左足を骨折して全治2カ月。本人は自覚していなかったかもしれませんが、相当疲労がたまっていた状態だったと思われます」

 

樹はつぐみの寝顔を見ながら、つぐみは夢の中で、それぞれ事故の時のことを思い返す。

樹(目の前にいたのに…。車イスじゃなかったら簡単に助けられたはずなのに…。俺は…俺は…)

つぐみ(鮎川の手が届いてしまっていたら、私は彼を巻き添えにしたかもしれない…)

2人はそれぞれ、自分の無力さを痛感していた。

 


 

それぞれの気持ち

「おまえ、責任とって別れようとか考えてないよな」

2人が付き合っていることを知る樹の同僚の問いかけに、樹は迷いながら答えた。

「…わからないんです。歩けなくなってから、もう誰とも付き合うつもりはなかったんです。誰かにこの障害を背負わすことなんてできない。何年もそう思って生きてきました」

「…そんな時、川奈と再会した。あいつ、最初から素直で正直だった。俺の障害への戸惑いも、うわべだけの言葉でごまかすことができない。嘘、つけないヤツだなって思った。それからあいつはいつも近くにいてくれて、いつも真っすぐぶつかってきてくれた。あいつといるようになってから、冷たかった俺の世界は、どんどん温かくなっていった」

「──だけど」

「あいつは身をすり減らして俺に一生懸命になってくれるのに、俺は負担をかけるばっかりで、肝心な時に守ることもできない。俺たち本当に一緒にいていいのか?それが、わからなくなってきた…」

昏い瞳をした樹を真っすぐ見つめて、同僚は言葉を返す。

「…一人で結論出すなよ。相手の気持ちもしっかり受け止めないと。それが恋人としての責任じゃないのか?」

 

つぐみの見舞いに来ていたつぐみの父親と、ばったり鉢合わせる樹。

つぐみ父はいかに娘を大切に思っているかを話し、唐突に土下座して言った。

「鮎川さん!頼む、頼む、娘と別れてくれ!」

身体を壊し、もう自分がつぐみを守ってやれないと悟った父親の本音。

「娘が障害を持つ人を支えていけるほど強い人間とはどうしても思えない。あなたの身に起きたことは本当に大変だったろう。だけど、だけど私はやっぱり…自分の娘は、自分の代わりに背負って歩いてくれる人に任せたいんだ…」

樹には何も言い返すことがない。

別れよう、と樹は心の中で決めた。

 

そして、つぐみが療養のため地元へ帰る日。

樹は決意を伝えるため病院へ。

だが…

「鮎川!ちょっとだけ向こう行ってくるけど、待ってて、お願い。離れていかないで…」

目にいっぱいの涙をためたつぐみを、樹は抱きしめずにはいられなかった。

「…会いに行くから…」

「絶対だよ…」

樹(手放しちゃだめなんだ。手放すことは俺にとって、世界がなくなってしまうことと同じなんだ

 


 

それぞれの気持ち(2)

地元で療養中のつぐみに会いに行こうとした直前、樹が倒れた。

『空洞症』

脊髄の中に水がたまり空洞ができてしまう症状で、発症原因は不明。

検査結果次第では障害がより重くなり、もう仕事もできないかもしれない…。

 

電話で樹が入院中だと知ったつぐみは家族の反対を押し切って東京に戻ることに。

家を出たつぐみを待っていたのは、たまたま地元に戻ってきていた是枝。

先ほどつぐみが「車を出して」を頼もうとして結局「…何でもない」と言って切った電話。

その電話でつぐみの異変に気付いた是枝が、家まで駆けつけてきていたのだ。

是枝「川奈になにかあったら、俺はどこからでも駆けつける。俺は川奈が好きだから

(是枝くん…)

是枝の告白に混乱しつつ、つぐみは東京へ。

 

病院につくと、ずっと看病していた長沢がいた。

自分もなにか手伝えることはないかと意気込むつぐみだったが、ここでも元看護師である長沢との格の違いを実感してしまう。

「摘便」

自分で排泄するのが難しい場合、指を挿入してかきだすように便を出してやる必要がある。

その日、樹の摘便は長沢が行った。

「私がやります」と言ってはみたものの、やり方すらわからないのだ。

(…できない。私には、何もできない…)

落ち込むつぐみに、長沢が追い打ちをかける。

『愛があれば障害は乗りこえられる』そんなふうに思ってるなら大間違いよ。歩けないこと、生活の介助、日々起こる合併症、病気への不安、全部『日常』なの!障害を日常としてとらえることができなければ、どんなに愛してても共に生きてくことはできないのよ!」

(…悔しい。けど言い返せない。自分が嫌だ。情けない)

「どうして帰ってきたの?あなたがいたら彼が苦しむだけなのに。もう、はっきり言っておく。私は樹くんが好き。あなたが現れる前から、ずっと好きだったの。私には自信がある。何が起こっても、彼を支えていく自信が」

 

打ちのめされたつぐみに、そっと是枝が寄り添う。

「優しくしないで。私、是枝くんを利用してるだけだから」

「利用なんていくらでもすればいいんだ。好きになった方が負けなんだから」

「…でも、私は鮎川が」

「川奈には鮎川しか見えてないってそんなことわかってる。でも気になってしょうがないんだよ。辛そうな川奈はもう見てられない!だから気持ちを伝えた!…俺が川奈を守りたいって思ったんだ」

「…そんなにストレートに自分の感情言っちゃうなんて、すごいね」

是枝の言葉に励まされて、つぐみは少しだけ元気を取り戻す。

 

そんな2人の様子を病室から樹に見せながら、長沢は言った。

「たとえ川奈さんの気持ちが樹くんにあっても、こんなこと言ったら悪いけど、川奈さんには是枝さんの方が合ってるんじゃないかしら。考えた方がいいと思うわ。お互いの幸せのためにも」

 


 

デート

数日後、検査の結果は「問題なし」

また仕事ができると喜び笑顔を見せる樹。

樹は「川奈の足が治ったら旅行に行こう」と誘う。

 

4月、満開の桜に雪が積もった不思議な日。

2人は久しぶりに笑いあえる幸せな一日を過ごした。

そして、デートの締めくくりは夜景が見える観覧車。

「…川奈、今日はありがと。俺の一生の思い出だ」

「うん、私も。また来ようね。来年も、桜の季節に」

「…あの川奈が描いた桜の木の絵も、もう一回見たかったな」

「そんなのいつだって見られるよ」

「戻りてーな。あの頃に。あの頃の身体のままで、もう一度、川奈と再会できたら…」

樹の目に涙が浮かぶ。驚くつぐみを抱きしめて樹は心の中のものをぶちまけた。

「悔しい…。悔しい、悔しい…!恋人らしいことも、なんにもしてやれない!ホームから落ちた時だって、俺が立ち上がって手をのばせてたら。川奈の両親にも反対されて、それを説得することもできなくて、一人にさせて、傷つけて…お前のことどんどん不幸にしてく…。なんで俺の身体、こんなことに…なんで…!」

樹の叫びを聞いて、つぐみの目にも涙がにじんでくる。

(ずっと考えてた。鮎川と付き合いだしたときから。どうすれば彼の支えになれるのか、彼の痛みを癒せるのか、彼の苦しみを分かち合えるのか。だけどそんなこと、私にできるわけなかった。だって、長沢さんの言う通りだ。彼を一番苦しめてるのは、私だ

「川奈、俺は川奈のこと本当に大切に想ってる。一緒にいられるのも、かけがえのないことだと感じてる。それだけは信じてくれ」

観覧車が地上に降りようとしている。

「今日、最後、川奈との思い出が欲しかった。もういい。もういいんだ。川奈の人生を大切にしてくれ」

ボロボロと涙をこぼすつぐみに、感情を抑え込んだような微笑みを向けて、樹は最後の一言を告げた。

「別れよう」

 

観覧車からの帰り道。

2人とも口を開かない。

心の中で(好きだよ。別れたくない)と繰り返しながらも、それを口にすることは許されない。

これが、現実。

つぐみ(私たちの恋は、終わったんだ──)

 


 

前進と後悔

別れた後、つぐみは久しぶりに絵を描いて、それを樹に贈った。

最後に乗った観覧車と、そこから見えた桜の絵。

つぐみは今さら言葉にできない気持ちを、全部その絵に込めた。

(最後の旅行、とても悲しかったけれど大切な思い出になりました。私を受け入れてくれてありがとう。あなたといられて私は誰よりも幸せだった。だからこれで、お別れです。さよなら…)

樹との別れをなんとか受け入れたつぐみ。

一方、樹はその絵を見て「本当に別れて良かったのか?」と悩み始める。

『心のバリア』

障害者と健常者との間には、身体的な障害(バリア)だけでなく、精神的なバリアも存在する。

樹は自分の方が遠慮しすぎて2人の間に壁を作っていたのではないか?あのとき本当は「それでも一緒にいてほしい」と伝えるべきだったんじゃないか?と思い直す。

だが、それは遅すぎる後悔だった。

 

時間は少し遡る。

樹に絵を贈った後、つぐみは「父が倒れたから地元に戻ってきてほしい」という報せを受ける。

悩んだ末、つぐみは仕事を辞めて地元に帰ることに。

そのことを是枝に話すと…

「じゃあ、俺も決めた」

是枝はつぐみにキスをして抱きしめる。

「遠距離でもかまわない。このまま諦めたくない!川奈、お前が好きだ!お前が必要なんだ!

是枝の真っすぐな気持ちを受けて、つぐみの強張った気持ちがほぐれていく。

(私は彼と一緒にいるべきなのかもしれない。それが彼と再会した運命の帰結であるなら。そして私に、まだ誰かを抱きしめる力が、残っているなら…)

「是枝くんの気持ち…受け止めたから」

「…受けとめた?」

「私でいいなら」

是枝はわたわたと慌てつつ、つぐみに手を差し出した。

「手、つなごっか!」

「うん」

(男の人と手をつなぐのなんて、いつぶりだろう。こんなに大きな人なのに、威圧感を感じたことがなかった。不思議な人だな、是枝くんて…)

是枝はつぐみを家まで送ると、ぎゅっと抱きしめてから帰ってきた。

…その光景を、失ったものを取り戻そうとしていた樹が目撃してしまっていた。

 


 

そしてついに、つぐみが地元に帰る日がやってきた。

新幹線のホーム。

是枝がつぐみを見送っている。

「…週末、会いに行くから」

「うん」

新幹線に乗り込もうとしたその時、つぐみの耳に聞き覚えのある声が飛び込んでくる。

「川奈!」

「…鮎川!?」

とっさに是枝を押しのけて、つぐみは樹と向かい合う。

樹は考え抜いた末に出した結論を伝える。

「自分から別れといて、こんなこと言って怒るかもしれない。もう気持ちも離れてるかもしれない。だけど…これだけは聞いてくれ。俺と一緒にいてほしい

発車のアナウンスがホームに響く。

是枝「川奈!電車が出る、早く乗れ!川奈!」

つぐみが出した結論は…

「─ありがとう、鮎川…」

「!」

「今まで、ありがとう」

つぐみが乗り込むと同時に、新幹線が動き出す。

(ごめん、鮎川。ごめんなさい…。ああ言うしかなかった。是枝くんの前で。もう、遅かったの…)

 

ほんやりと新幹線が去った方向を見つめる樹に、是枝が語りかける。

「…川奈の一番は鮎川だ。いい奴ぶって言ってるわけじゃない。本当のことだ。ただ俺は自分の想いを通したい。それだけだ…。すげえわがままなんだよ俺は。俺は自分のやり方で、川奈を大事にしていく」

 


 

樹と長沢

夜の道を、樹と長沢が歩いている。

「あいつを苦しめてたのは、身体の障害じゃなくて俺の心だった。もう一度やり直せるんじゃないかと思ったけど、遅かった。でも自分の気持ちは伝えられたから、閉じこもったままの自分から、少しは抜け出せたのかな」

「じゃあ…川奈さんは…」

「川奈、松本に帰ったんだ。もう会うことはないと思う」

「────」

いつも鬼のように厳しく冷静な長沢の目に、涙が浮かんでいる。

「…え、長沢さん、どうしたの?」

「…寂しかった。川奈さんが来てから、私の居場所はなくなってしまった。樹くんの部屋にも、樹くんの心にも。彼女と別れた後も壁にはあの絵があって、いつまでも彼女が樹くんの隣にいるみたいだった」

「長沢さん…」

「…気づかなかったでしょ…ずっとあなたが好きだったの。出会った頃から、ずっと…

 


 

それぞれの気持ち(3)

松本に帰ったつぐみの前に、突然長沢が現れる。

川奈さん、私、樹くんと付き合うことになったから。お互い幸せになりましょうね」

長沢の言葉に、つぐみの心は揺れる。

 

しかし、それは長沢がついた嘘だった。

長沢は樹に想いを伝えたが、樹からの返事はなし。

沈黙に耐えきれず「…ごめんね。忘れてね」と言ってあの夜の会話は終わっていた。

長沢(川奈さんの顔を見てたら、思わず口にしてしまった。付き合ってるなんて…。それで樹くんが振り向いてくれるわけでもないのに、自分が惨めなだけなのに…。でも、これで2人の縁は完全に切れた。川奈さんが樹くんのところに戻ってくることはない…)

ただの様子見のはずだった。

それでも嘘が口から出たのは、長沢がすでに自分自身の心をコントロールすることができないほど弱っていることを意味していた。

 

長沢の言葉にショックを受けたものの、「未来を見よう」と前向きに立ち直るつぐみ。

ある日、是枝とのデートの帰り道。

大雨で身動きが取れなくなった2人は、ホテルに泊まることに。

その夜、2人はついに一線を越えようとするが、ぎゅっと目をつぶって是枝を受け入れようとしているつぐみを見て、是枝ははっとする。

「ごめん。やっぱよそう。川奈の中が俺一人になるまで待つわ」

(是枝くん…そこまで…そこまで大切に…)

つぐみは是枝に抱きつく。

「やめないで…っ!」

(私…一体いつまで、鮎川を引きずるつもりなの?大切にしたい。愛しい人。離れたくない…)

過去を振り返るのではなく、今目の前にいる大切な人と一緒にいたい…。

その夜、つぐみと是枝は結ばれた。

 

一方、樹は長沢がつぐみに会いに行ったことを知り、問い詰める。

「ごめん…ごめんなさい…もうここには来ないわ…」

すっかり弱りきってしまった長沢を見て、樹は愕然とする。

(こんな長沢さん初めてだ。どこか壊れてしまったみたいに…。この人の心に、こんな陰をつくってしまったのは、俺…?)

「また、来てください。…今まで通り、来てください」

樹の言葉を聞いて、長沢は驚いたように顔を上げる。

樹(支え続けてくれたこの人に、俺はなにひとつ返してない。こんなにも俺を想ってくれる人は、いないのかもしれない…

 


 

交錯する運命

つぐみは入院中の父親をきっかけに、楓と圭吾というカップルと出会う。

楓は車イスに乗る障害者。圭吾は大柄で無骨な健常者。

進行性の障害を持ち、いつ人生が終わるとも知れない楓のために、圭吾は自分のレストランを開くための金を使って家を建ててやりたいのだという。

だが、楓は圭吾の夢を潰したくないと反対。

また、障害者用の家について詳しい建築士を探す必要もあった。

圭吾は樹に設計を頼むが、樹は楓が反対していることを理由に仕事を断る。

圭吾「確信した。頼むならあの人しかいない。…なのに…早くしなきゃいけないのに…!」

 

つぐみは意を決して、楓と圭吾のための家を設計してほしいと樹に頼みに行く。

久しぶりに再会する2人。

つぐみ(お互い傷ついて、傷つけて終わってしまった。それでも、私たちが出会ったことに意味がなかったわけじゃない。意味はあったはずなんだ)

樹(それなら俺も前に進まなきゃ。出会ったことに意味がないなんて、思いたくないから)

別れを肯定的にとらえ始めたことで、2人の間に漂う気まずい空気がなくなっていく。

「もう関係が戻ることはない」と断言して、2人はまた一緒に仕事をすることになった。

樹は楓たちの住居の設計。つぐみはインテリアデザイン担当。

是枝は2人がまた近づいたことに不安を覚えたが、つぐみを信じて支えていこうと決意する。

 

3か月後。

ついに上棟式の日が来た。

樹が設計したのは最初からレストランとしてリフォームすることを前提とした家。

見事に楓と圭吾の要望を満たしている。

この仕事が終われば、つぐみと樹の接点はなくなる。

きっとこれからも、こうしてたまに線が交錯するだけの関係になるのだろう…。

 

そんな中、地震が起きた。

樹は一人で東京から松本に出てきている…もし何かあれば一大事になりかねない。

連絡を取ろうと試みるが、電話にも一切出ない!

もし樹が身動きできない状態にあるとすれば、半日で命が危険になる可能性もある!

つぐみ、是枝、長沢…樹を心配した人々が一斉に樹の元へと走る。

最初に到着したのはつぐみと圭吾。

そこで見つかった樹は…

 


 

後悔

樹は無事だった。

しかし、むしろ問題はその後。

避難所はバリアフリー化されていないため諦めざるをえず、次に向かった病院にも空きのベッドはなかった。

結局、樹は車中泊で夜を過ごすことに。

病院の駐車場。

大きめの車の後部座席。

樹のことが心配で様子を見に行ったつぐみは、少しの間、樹と2人きりで話をした。

地震で身動きが取れなくなって「もうダメだ」と思った樹は、高校時代のつぐみのことを思い出していたのだという。

樹「助けに来てくれて、本当に嬉しかった。ありがとう」

一方、つぐみもまた「樹がいなくなってしまったらと思うと怖かった」と素直な気持ちを伝える。

つぐみ「鮎川が無事でよかった。鮎川、生きててくれて、ありがとう」

2人を隔てているのは、たった数十センチの距離。

もう関係を終えた2人には、近すぎる距離。

つぐみ(でも…今夜だけは昔の2人に戻ろう)

明日からはまた、いつも通りの関係に戻るのだから…。

 

翌朝には是枝と長沢も合流した。

樹は長沢に付き添われて別の病院へ。

一方、つぐみと是枝は、是枝の実家へ。

是枝家はつぐみを嫁として歓迎してくれた。

是枝「今、俺は幸せだよ」

その言葉を、つぐみを複雑な思いで聞いた。

 

数日後、つぐみは是枝のいる東京へ。

今夜は、是枝の部屋に泊まる予定。

是枝「いいワインを買ってきたんだ。うちまで来れる?」

電話口から聞こえる是枝の声は弾んでいる。

つぐみはスマホを握りしめたまま、姿の見えない是枝に頭を下げながら言った。

つぐみ「…ごめんなさい。私、行けない」

 

東京の夜空の下、つぐみは扉の前に立つとインターホンを押した。

ガチャ

扉が開く。

そこには驚いた顔の樹がいた。

つぐみ「鮎川、私、後悔がある。後悔があるの」

 


 

パーフェクトワールド

つぐみ(今夜、是枝くんのところへ行くつもりだった。でも、ダメだった。もうすべてを裏切っても、失っても、私は鮎川が好きなんだ

地震の日を境に、つぐみはあらためて自分の気持ちと向き合って、答えを出した。

一生に一度の恋。

自分の正直な気持ちに、嘘はつけない。

だけど、それが樹の重荷になるのなら…。

葛藤するつぐみが口を開くよりも早く、樹がつぐみの手を握った。

つぐみ「え…なに…?」

樹「俺も後悔があるんだ。松本で別れてからずっと考えてた。後悔をどんな言葉で伝えればいいのか…この言葉しか見つからなかった」

樹はつぐみの手をぎゅっと握る。

樹「川奈が好きだ」

つぐみの目から大粒の涙がこぼれた。

気づけば、樹も涙を流している。

『あなたさえいてくれたら、この世界は完璧なんだ』

 

つぐみ(この終わった恋を、もう一度始めることは許されることじゃない。あんなに大切にしてくれた人の愛情を、信頼を、踏みにじった。もうどんな言い訳も許されない)

 

一方、是枝はそんなつぐみの気持ちに気づいていた。

つぐみから別れを告げられる前に足を向けたのは、樹のところ。

是枝「俺たちが戻ることは絶対にないって、俺に言ったよね」

樹「…ごめん」

是枝はため息をつくと「ズルかったのは俺の方かもね」とつぶやく。

「内心では障害のある樹になら勝てると思っていた」と告白し、「最悪だろ」と自嘲する。

樹はそんな是枝の告白を「そう思うのは当たり前だよ」と肯定した。

樹「俺にできることは限られている。俺よりあいつにふさわしい相手がいると思う。だけど、どうしようもないんだ。何度も断ち切ろうとしたけど、どうしても切れなかったんだ」

事故に遭って、普通の恋愛を諦めていた樹。

でも、つぐみとの再会がそんな樹を変えた。

樹「本当は俺だって幸せになりたいんだ!」

心からの叫び。

是枝は頷くと、樹にエールを送ってから去った。

是枝「だったらもう別れるなよ!絶対にお前らこれから大変だよ!誰も味方してくれないかもしれない。だけど、3度目はない。もし、もう一度川奈の手を離したら、その時は本当に殴るから」

樹「わかった」

 

つぐみの携帯にメールが届く。

差出人は是枝。

『川奈。ちゃんと鮎川と話は済ませたから。このメールに返信はいらないし、もう俺とは会わなくていい。短い時間だったけど、川奈との時間は本当に幸せだったよ』

『ひとつだけ心残りがあるなら、昨日の夜、会えたらプロポーズするつもりだったんだ。それで派手にフラれようと思ってたけど、結局言えなかった』

『だけどそれ以外が、俺は何も後悔していない。全力で人を好きになったんだから。今までありがとう。どうか、元気で。俺はこの先も、ずっと君の幸せを祈っています』

つぐみは床に座り込み、倒れるようにして泣いた。

 


 

樹が入院した。

褥瘡が悪化したためで、手術の後、1か月は入院しなければならないという。

長沢から連絡を受けて、つぐみは病院へと駆けつけた。

以前なら、長沢と自分とを比べて、自分の無力さに打ちひしがれていたかもしれない。

しかし、今のつぐみは違う。

つぐみ「私、これで帰ります」

病院には樹の母親も、長沢もいる。

樹と話して、つぐみは樹が何よりも気にしている圭吾たちの家の状況を伝えることにしたのだ。

長沢「あなた心配じゃないの?」

つぐみ「心配です。本当はこのまま彼のそばにいたいです。だけど、いつも一緒にいることが最善じゃない。それが長沢さんの、あのときの言葉の意味なんでしょう?」

『障害を日常としてとらえることができなければ、共に生きていくことはできない』

いつかの長沢の言葉への答えを、つぐみはもう得ていた。

長沢はつぐみの成長と、樹との絆の強さに愕然とする。

 

つぐみを追い払うと、長沢は樹に言った。

長沢「大丈夫。川奈さんがいなくても、私がついてるから」

それに対して、樹は…

樹「長沢さんは、人生で一番苦しいとき、そばにいてくれた。親とも、川奈とも、誰とも違う、俺にとってただ一人の人なんだ。でも…長沢さんがくれる愛情を、同じ形では返せない…

これまでの樹との日々が思い出されて、長沢は涙ぐむ。

それでも涙はこぼさない。

長沢「樹くんは変わったんだね。川奈さんと一緒に、樹くんは変われたんだね。この手術が終わるまでは、そばにいてもいいかな。看護士として。それが私とあなたの関係だもの」

樹にとって長沢が恩人であるように、長沢にとってもまた樹は救いだった。

いつか終わると予感していた日が来たことを知り、長沢は病院から出てやっと涙を流した。

 


 

父親

樹の手術は無事に終了。

再び恋人関係になった樹とつぐみにとって、残る『壁』はあと1つ。

親からの反対だ。

以前からずっと、つぐみの両親は樹との関係にいい顔をしてこなかった。

特につぐみ父は、入院した今でも断固として樹との関係に反対している。

それは差別からではなく、現実的な娘の幸せを願ってのことであり、責められるものではない。

つぐみ「私はもう、この世界に2人きりでいられればいい。他には何もいらない。みんなを敵に回しても、2人で生きていこうよ」

つぐみは理解を得ることを諦めかけたが、樹はどうしてもつぐみの両親から祝福されて結ばれたいと言う。

 

その日から、樹は何度も何度も、繰り返しつぐみ父の病室へと足を運んだ。

しかし、つぐみ父は樹の言葉に聞く耳持たず。

それでも樹は粘り強く説得を続け、つぐみ父と腹を割って話すところまでこぎつけた。

しかし…

つぐみ父「私の妻は、私の介助を続けているせいで辛くなってきている。体力・時間・精神・お金、生活のすべてが私のために削られている。いつかあなたも、私たちと同じ状態になるだろう。だとすればそこに、幸せがあるとは思えない。あなたの痛みが分かるからこそ、私は賛成できない。お願いです、どうかもう2度と、来ないでいただきたい…」

樹には返す言葉がなかった。

 

樹「…俺には人を愛する権利も、愛される権利もないのかな」

つぐみ「そんなわけない。だって私、こんなにあなたを愛してる。鮎川も私を愛してくれてるんでしょう?」

励まし合う2人。

 

そんな中、つぐみ父の病状が急激に悪化!

命の危機に陥ったが、最後には奇跡的に持ち直した。

安心して涙を流すつぐみ。

そこに現れたのは、樹だった。

つぐみ「なんで鮎川がここに?」

つぐみ父「俺が来てくれと頼んだ。二人揃ったところで、話がしたい」

生死の狭間を漂っていた時、つぐみ父は薄れゆく意識の中でつぐみと樹の声を聞いたのだという。

つぐみ父「君とつぐみの声が私を呼び戻してくれた時、私は見た。悲しむ娘を支えようとする男の姿を。どんな言葉よりもその光景が物語っていた。この2人は出会うべくして出会ったんだと……」

車椅子から立ち上がると、つぐみ父は深々と頭を下げた。

つぐみ父「鮎川くん、娘をどうかよろしくお願いします。つぐみ、お父さんに花嫁姿見せてくれ!」

ずっと父から聞きたいと願っていた言葉に、つぐみは思わず涙を流した。


結婚

樹「つぐみ、結婚しよう」

つぐみ「はい」

夜景が一望できる高台で、樹はつぐみの薬指に指輪を通した。

 

そして月日は流れ……結婚式の日。

たくさんの人に祝福されて、2人は夫婦になった。

今日からは、本当の意味での運命共同体。

これから始まる新しい結婚生活に、つぐみは思いを馳せた。

これからの未来(45話)

2人の結婚式から間もなくして、つぐみ父は他界した。

きっと娘の幸せな姿を見て安心したからだろう。

結婚式の日、つぐみ父が「もう十分だ」と繰り返し言っていたことが思い出された。

 

一方、夫婦として新しい人生を歩みはじめた樹とつぐみ。

夫婦となった2人は自然と「子どもをどうするか」という現実問題について考えていた。

2人の場合、子どもを望むなら人工授精しかない。

ただし、樹は事故後に精子を保存しておかなかったため、今では精子が劣化している可能性もある。

もしかしたら、もう子どもはつくれないかもしれない。

それ以前に、ちゃんと親としての役割を果たすことができるのか、という不安もある。

簡単には決断できない問題。

2人が出した答えは……

樹「つぐみ、俺たちやっぱり子どもつくろう」

たとえ困難な道を進むことになっても、子どもが欲しい。

子どもと一緒に笑いあえる幸せな未来を目指したい。

2人の心にはもう迷いはなかった。

樹・つぐみ(きっと乗り越えられる。いつだってそうやって幸せを掴んできたんだから……)


希望と暗雲(46話)

樹とつぐみの場合、子どものつくり方は健常者とは異なる。

樹から取り出した精子とつぐみから取り出した卵子をかけあわせ、受精卵が『胚盤胞』という段階にまで育ったら、つぐみの子宮に移植する。

その後、受精卵が子宮に着床すれば妊娠確定だ。

どのステップで失敗してもおかしくなく、1回目で妊娠できる確率は極めて低い。

そのうえ、治療では女性側に大きな身体的負担がかかるうえ、治療費も決して安くはない。

それでも樹とつぐみは希望をもって治療に臨んだ。

そして、1度目の胚移植手術。

意識がある状態での手術はつぐみにとって長く辛いものだったが、新しい命への希望を胸にどうにか乗り越えた。

つぐみ(私の子宮に、たしかにある)

無意識のうちにお腹に手を当てるつぐみ。

結果がでるのは約10日後。

2人は期待を胸に、赤ちゃんの性別や名前について話し合いながら日々を過ごした。

しかし……

医師「今回はダメでしたね、鮎川さん」

つぐみ「え……?」

結果は失敗。

もちろん最初からそうなる可能性が高いことは2人とも理解していた。

けれど、いくつものステップを越えてようやくたどり着いた手術だっただけに、2人ともすっかり期待してしまっていた。

特にダメージが大きいのは精神的にも身体的にも負担の大きいつぐみの方。

樹「でも、次があるから」

励まそうとする樹の言葉も、心に響かない。

樹とつぐみに残されたチャンスは残り3回。

もし、あと3回のうちに妊娠できなかったら……。

つぐみ(次もチャンスがある。でも……私は本当に樹の子どもを産めるのだろうか。私はこれから、何をすればいいのだろう……)

つぐみの心中には虚しさと不安が渦巻いていた。

命(47話)

3度目の治療で、つぐみは妊娠した。

ただし、妊娠を示す数値が少し弱く、まだ完全に安心はできない。

とはいえ、次の検査で問題がなければ、今度こそ妊娠が決定する。

樹「うおーーー!! マジかーーー!!」

待ち望んでいた吉報に樹も大喜び。

こっそりと準備しておいた新居の模型をつぐみに見せる。

新しい家。

新しい命。

つぐみ(これまで大切にしてきた私と樹、二人だけの世界。それが新しい形に変わっていくかもしれない。お願い。未来へ広がって)


もうすぐ最終回!

続きが気になるところですが、今回(2019年8月号連載まで)はここまで!

ついに実を結んだ不妊治療!

ただ、上げてから落とすのが少女漫画の常……はたしてどうなる!?

最終回はもうすぐそこ!

ドラマも始まって、いよいよクライマックスな漫画「パーフェクトワールド」から目が離せません!

まとめ

有賀リエ「パーフェクトワールド」のあらすじ・ネタバレをお届けしました!

「障害者と健常者の恋」という段階で「切ない」「感動」というキーワードがすぐに浮かんできますが、この「パーフェクトワールド」の素晴らしさは、それがとても現実的に描かれていること!

想像上の話としてではなく、すごそこで実際に進んでいる恋だと感じられるほど生々しい心理描写に惹きこまれます。

実写版「パーフェクトワールド」でもそんな原作漫画の持ち味が活かされているといいなぁ。

※映画では岩田剛典さんと杉咲花さんのW主演。ドラマでは松坂桃李さんと山本美月さんが主演。

ちなみに原作漫画では同級生設定のつぐみと樹ですが、映画版では年齢設定が変わっていて、樹が先輩でつぐみが後輩…となっています。

なにせW主演の二人ときたら9歳も年の差がありますからね。

※公開時、岩田剛典さんが28歳。杉咲花さんが19歳。

岩田剛典さんは原作の年齢に近いですが、十代の杉咲花さんはつぐみにしてはやっぱり若すぎるような…?

その点、ドラマ版のキャストは年齢的にあまり違和感がないですね。

※放送時、松坂桃李さんが30歳。山本美月さんが27歳。

個人的にはドラマ版のキャストのほうが原作のイメージに近い気がします。

原作がもともと長い作品ですし、映画よりドラマのほうがじっくり物語を進められそう、という点も高評価。

2019年4月からのドラマ「パーフェクトワールド」に注目です!



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