本格ミステリ

『たかが殺人じゃないか』ネタバレ解説と感想!拍手喝采の快作!

辻真先『たかが殺人じゃないか』を読みました!

2020年12月発表のミステリランキングで三冠を達成した本作。

  • このミステリーがすごい!1位
  • 週刊文春ミステリーランキング1位
  • ミステリが読みたい!1位

正直、あらすじを読んだ時点では「おもしろいのかな?」とピンときていませんでした。

でも、読み終わった今なら断言できます。

 

これはすごいぞ!

 

ラストの《アレ》には心底やられました。

三冠にも大いに納得の傑作です。

今回はそんな小説『たかが殺人じゃないか』のネタバレ解説と感想をお届けします。

「感想だけ読みたい!」という人は目次の【感想】を押してジャンプしてください

あらすじ

昭和二四年、ミステリ作家を目指しているカツ丼こと風早勝利は、名古屋市内の新制高校三年生になった。

旧制中学卒業後の、たった一年だけの男女共学の高校生活。

そんな中、顧問の勧めで勝利たち推理小説研究会は、映画研究会と合同で一泊旅行を計画する。

顧問と男女生徒五名で湯谷温泉へ、修学旅行代わりの小旅行だった――。

そこで巻き込まれた密室殺人事件。

さらに夏休み最終日の夜、キティ台風が襲来する中で起きた廃墟での首切り殺人事件!

二つの不可解な事件に遭遇した勝利たちは果たして……。

著者自らが経験した戦後日本の混乱期と、青春の日々をみずみずしく描き出す。

(「BOOK」データベースより)

登場人物

あらすじにもあるように、作中では2つの殺人事件が起こります。

  • 密室殺人
  • バラバラ殺人

主人公たち東名学園(推理・映研)の生徒たちはその第一発見者です。

ふつう第一発見者といえば容疑者としても有力候補ですが、状況的に生徒たち(と顧問)にはアリバイがあり、警察からも深くは疑われません。

とはいえ、ミステリ小説的にぽっと出てきた脇役が真犯人だった……なんてオチなわけもなく。

ズバリ、犯人はこの中↓にいます。

名前備考
風早勝利主人公 推理研究部部長
大杉日出夫勝利の親友 映研部長
薬師寺弥生大杉の恋人 映研部員
神北礼子推研部員
咲原鏡子上海から帰国した編入生
別宮操両部の顧問 28歳

明らかに怪しいのは咲原鏡子です。

大人たちが彼女に接する態度にはなんだか《含み》があり、鏡子がなんらかの《秘密》を抱えていることが序盤から提示されています。

さらに鏡子の親友だった野々村節が行方不明になっているという事実。

その節の日記を持ち去ったという謎の人物。

これらの《謎》も事件に関係していそうです。

ネタバレ解説

  • 誰がやったのか?(Who done it
  • どのようにやったか?(How done it)
  • なぜやったのか?(Why done it)

ミステリ小説につきものの視点ですが、『たかが殺人じゃないか』のおもしろさの8割くらいは犯行動機(Why done it)に詰まっている、と個人的には思います。

実際、小説の終盤でも

  1. 犯行トリック
  2. 犯人
  3. 犯行動機

の順番で明らかになっていって、その度にどんどん盛り上がっていきました。

今回のネタバレ解説でも小説にならって、まずは犯行トリック(How done it)から解き明かしていきたいと思います。

第一の事件

現場は(勝利たちが泊まった)湯谷温泉からやや離れた山間に建てられたモデルハウス。

顧問の操先生がドアを蹴破って中を確かめたところ、はたして遺体が見つかりました。

被害者は徳永信太郎(68)

全国的に名の知れた地元の名士で、古武士のような老人です。

遺体の頭部には挫傷があり、木材のようなもので殴られたものと思われます。

 

密室

2つあるモデルハウスの出入り口は内側から施錠されていました。

窓はひとつだけ開かれていましたが、格子があるためせいぜい腕を差し込む隙間しかありません。

窓から遺体までの距離は遠く、差し込んだ腕で徳永を殺害するのは不可能です。

ぱんだ
ぱんだ
ふむふむ

では、上下の移動はどうでしょう?

地下はコンクリートの基礎があるため穴を掘って脱出するのは不可能。

屋根板は(釘を使わないはめ込み式の構造のため)スライドさせて取り外すことが可能ではありますが、家の外側からしか動かせないようになっています。

内側から屋根板を外すことは不可能で、犯人の脱出経路にはなりえません。

さて、犯人はどうやって密室から抜け出したのでしょうか?

答えはこの後すぐ!

※もちろん「家の中に隠れていた」なんてオチではありません

ここからは思いっきりネタバレです。ご注意ください。

 

犯行トリック

結論からいえば、犯人はそもそも家の中に入っていませんでした。

先ほど説明したように、屋根板は外側からなら取り外すことができます。

犯人は別の場所で殺害した徳永を、屋根から家の中に放り込んだんです。

場所は人気のない山の中。

屋根板を取り外している間に、遺体だけではなく落ち葉までもが家の中に入ってしまいます。

犯人はそれを隠すため、わざと格子付きの窓を全開にしておいて、そこから落ち葉が家の中に入ったように見せかけました。

また、犯人は遺体発見時に「玄関に履物があった」と用意していた靴を見せることで、徳永が家まで歩いてきた(=犯行現場は家の中だった)ように見せかけてもいました。

ホントは上方の遊園地跡から滑り台の残骸を滑車にして遺体を運んだ、とかもっといろいろトリックがあるのですが、ぜんぶ拾うと長くなるので割愛します

第二の事件

現場は東名学園に併設されたコンクリート三階建ての建物。

元は軍の施設でしたが、空襲で燃やされ、床には地下まで貫通した不発弾による穴が開いていたりします。

勝利たちはそこで文化祭で発表する映画(スチールドラマ)を撮影していました。

日が沈み、撮影を終えた一同が撤収しようとしていた、その時です。

勝利たちは二階の床に置かれた生首を発見します。

被害者は市会議員の郡司英輔(50)

一人目の被害者である徳永とも交流のある人物です。

 

アリバイと謎

どう考えても勝利たち6人のなかの誰かが犯人なのですが、問題は時間です。

各登場人物の行動を振り返ってみると、なるほど何人か単独行動していた者もいます。

しかし、アリバイのない時間はいずれも5分や10分程度。

殺害するだけならともかく、遺体を解体する時間なんて絶対に誰にもありませんでした。

にもかかわらず、被害者の遺体は鋭利な刃物で両腕両足がバラバラにされています。

さて、犯人はいったいどうやってあるはずのない解体時間を捻出したのでしょうか?

そして、犯人はどうして遺体を解体したのでしょうか?

 

犯行トリック

犯人がわざわざ遺体をバラバラにしたのは「そんな時間はなかった」というアリバイをつくるためです。

そして、実際に犯人には遺体を解体する時間なんてありませんでした。

ぱんだ
ぱんだ
どゆこと?

勝利たちが目撃した生首。

実はこのとき首はまだ切断されていなかったんです。

生首が発見されたのは二階の床。

そして、建物には不発弾が貫通した穴が開いています。

勝利が生首だと思ったものは「穴を通して二階に頭だけを見せている遺体」であり、一階にはまだ首とつながった胴体がありました。

生首発見後、勝利たちは呼ぶため守衛室に向かいます。

そして、現場には見張りとして《ある人物》だけが残りました。

勝利たちが人を連れて戻ってくるまでには時間がかかります。

《ある人物》はその間に遺体を解体。

戻ってきた勝利たちに「建物内にバラバラ遺体があった」と告げることで、あたかも生首の発見時にはすでに解体が終わっていたかのように見せかけたというわけです。

もちろん犯人はいくつかのトリックをつかって、不発弾の穴とは別の場所に生首が置かれているように見せかけたりしていたのですが、今回は省略

犯人

犯人は別宮操です。

 

生徒に慕われている先生で、武道全般の達人で、勝利たちの顧問。

さっぱりした性格は親しみやすく、ここぞというときには頼りになる……ストレートに言えば勝利たちが全幅の信頼を寄せ、姉のように慕っていた人物です。

それは読者にとっても同じで、この物語を読んで操先生に好感を抱かない人はまずいないといっていいでしょう。

だからこそ、理屈では犯人の可能性が高いとわかっていても、探偵が犯人を指さすシーンはショックでした。

(まさか、そんな、先生が……)

生徒たちが真っ先に操先生を庇おうとしたように、読者としても信じられない思いでした。

  • 刀剣の達人である操には遺体の解体ができる
  • そもそも郡司の用向きは「操に会うため」だった

第二の事件ひとつとっても、操先生は怪しさ抜群でした。

犯行動機

操先生と徳永・郡司の間にはコレといった関係なんてないはずでした。

しかも、操先生は問題解決の方法に殺人を選ぶような思慮の浅い人間ではありません。

では、いったいなぜ操先生は二人の命を奪ったのでしょうか?

 

あえて表現するなら《復讐》ということになるのでしょう。

 

とはいえ、話はそう簡単ではありません。

第一の事件に関しては正当防衛だったという見方もできます。

ぱんだ
ぱんだ
なにがあったの?

話は終戦当日(昭和20年8月15日)にまでさかのぼります。

その日、徳永・郡司は墜落機に搭乗していた米兵の生き残りを探して、山狩りをしていました。

終戦を告げる玉音放送があったからといって、にわかに信じることも受け入れることもできない頑固な二人です。

ついに負傷した米兵の生き残りを発見した徳永は、容赦なく敵兵を日本刀で斬り捨てます。

戦時中なら非難されるどころか賞賛されるべき行いです。

しかし、終戦が告げられている以上、徳永の行いはただの人殺しに他なりません。

徳永・郡司は裏から手をまわし、秘密裏のうちに米兵の遺体を焼却しました。

ぱんだ
ぱんだ
で、操先生は?

はい。本題はここからです。

負傷した米兵を最初に発見したのは地元の少女でした。

数日前、まだ戦時中のことでしたが、少女は傷ついた米兵を見捨てることができず、打ち捨てられた小屋にかくまうことにしました。

結局、その小屋は徳永たちに見つかってしまうのですが……。

少女は「もう戦争は終わったのだから」と徳永たちを止めようとしましたが、火に油を注ぐ逆効果。

逆上した郡司に手ひどく殴られ続けた少女は、あわれ米兵もろとも命を散らされてしまいます。

もちろん、これも立派な殺人です。

郡司は手近な井戸に少女の遺体を隠し、のうのうと今では市会議員として偉ぶっています。

 

亡くなった少女の名前は野々村節。

かつての鏡子の親友であり、操にとっては母親違いの妹にあたる人物です。

ぱんだ
ぱんだ
えっ!?

操の両親は離婚していて、父親がよその女と子どもをつくって逃げた、という話が作中では開示されていました。

たかが殺人じゃないか

操は行方不明になった妹(野々村節)の身に何が起こったのかを調べていました。

節の祖母・カヤの手から節の日記を持ち去ったのも操です。

やがて、操は終戦の日になにが起こったのかに気づきます。

第一の事件が起こった日の早朝、操は真実を問い質すため徳永を山中の博物館に呼び出していました。

妹を殺したのはお前たちだろう、と。

最初こそとぼけていた徳永ですが、うっかり口を滑らせ、ついには犯行を認め……というか開き直り始めました。

徳永「殺したのはたったふたりだ、10万100万の命をやりとりする戦争を思えば児戯に等しい。さよう……」

 

徳永「たかが殺人ではないか!」

 

徳永は操を一刀両断せんと刀を振りかぶり、襲いかかってきました。

しかし、老いさらばえた評論家きどりに後れをとる操ではありません、

とっさに手近な廃材を引っこ抜くと、木刀の要領で徳永を迎えうち、その頭部に致命の一撃をくらわせて……。

これが第一の事件の真相です。

操には徳永の命を奪うつもりなんてありませんでした。

状況としては完全に正当防衛です。

しかし、それを証明する目撃者は誰もいません。

それになにより、徳永と郡司は時代を考慮してもなお許されがたき《悪》です。

操は徳永の遺体を《密室》に詰め込むと、第二の事件では郡司を呼び出して容赦なく始末しました。

徳永は戦時中に米兵憎しを煽っておきながら、今では進駐軍(米軍)にとりいって偉ぶっているような汚い大人です。

郡司も似たようなもので、同情の余地はまったくありませんでした。

結末

操の逮捕によって二つの不可能殺人事件は幕を閉じます。

ひとつだけ補足しておくと、那珂一兵という探偵に謎を解かせたのは他ならぬ操自身でした。

つまり、探偵の謎解きは操にとって遠回しな自白だったわけです。

もし操が望んでいたなら、事件は迷宮入りしていたかもしれません。

では、いったいなぜ操は自分の首を絞めるような真似をしたのでしょうか?

ここでは操の言葉をそのまま借りてご紹介します。

※以下、小説より一部抜粋

…………

「情けないじゃないか。けっきょく私は、二度の殺人計画のどちらも生徒を利用してしまった。

目撃者として、証人として。

教師が生徒を盾にしたんだ、自分の保身のためにね。

そう考えると私は私を許せなくなった。

だからいっちゃん(那珂一兵)に一肌脱いでもらったんだ。

だが誤解しないでほしい。

私はあいつらを殺したことを、ただの一度も後悔したことは……ない」

この部分だけでも一本筋の通った操の人柄がわかるかと思います。

まさに《高潔》という言葉がピッタリの、尊敬できる女性でした。

衝撃のエピローグ

警察に逮捕された操は、現場検証中に人命を助けて死亡。

※増水した川に落ちた人を助けたが、自身には手錠がかかっていた

生徒たちが悲しみに暮れるなか、勝利は操にかけられた最後の言葉を思い出します。

「風早、書くんだよ」

今回の一連の事件を、勝利はそのまま推理小説として書き進めていました。

操が犯人という結末まで小説を書ききりなさい、と推理研究部の顧問は最後に言い残したのです。

勝利は筆を力強く握りしめ、700枚を超える大作を書き上げました。

 

そう、最初からこの物語は勝利が執筆した小説だったのです。

 

それを踏まえて……物語のラストはある意味で《最高の衝撃》をもって締めくくられます。

それがこちらです↓

※以下、小説より一部抜粋

…………

「トースト(大杉日出夫)だったわね。本格ミステリはどうでもいい話が長々つづいて、終わりになるまで犯人がわからない、民主的じゃないといったのは。だから意地になって書いたんですって」

「へえ。どんな具合に書いたんだ」

 

「最初の一ページで、すぐ犯人を紹介する!」

 

級長(神北礼子)の宣言に、トーストと姫(薬師寺弥生)が吹き出し白い息を吐いた。

「事件も始まらないのに、犯人が出せるかよ」

「うまくいったらお慰みですわね」

テーブルの上でカリカリと音をたてていた勝利が、その手を止めて声をかけた。

「お待たせ! 最後まで書いたから、もういいぞ。こいつを印刷する間に、きみたちは一ページから読んでくれ!」

いわれるまで律儀に待っていた三人が額を寄せてきた。

そして読み始めた。

 

「犯人はお前だ!」

鉄筆の先端で、廊下に面した戸を指したとたん。

タイミングよくその戸が開いたから、驚いた。

部室に入ろうとしていた別宮操先生も、目をまるくして立っている。

「ヘエ、私が犯人?」

 

<たかが殺人じゃないか・完>

小説のラストを飾った文章は、そのまま小説の冒頭と同じ文面です。

生徒たちの会話にあったように、読者ははじめから犯人を知らされていた、ということになります。

感想

やられた!

というのが読後すぐの感想でした。

「まいった!」とバンザイしたくなるほどの、あのラスト!(「犯人はお前だ!」)

  • 不可能犯罪のトリック
  • (心情的にも)意外な犯人
  • やりきれない犯行動機

探偵の謎解きが終わって「もう十分お腹いっぱい」と満足したところに、あのラストは最高すぎました。

わたしなんかはミステリ小説を読んでると「最後にもう一押しほしい」とつい思ってしまう性質(たち)なのですが、そこを見事に撃ち抜かれた気分です。

100点満点を突き抜けた、120点を贈りたい!

ミステリ三冠にも納得の素晴らしい作品でした。

最初はハズレかと思った

とまあ、絶賛しておいてなんですが、実は100ページくらいまでは

「これ、おもしろくなるの……?」

と半信半疑でした。

というのは昭和24年という時代の描写と(わたしに馴染みのない)名古屋の地理歴史なんかが多くて、どうにもピンとこなかったからです。

それが一気におもしろくなり始めたのは、ズバリ3章から!

クーニャン(咲原鏡子)の《秘密》が明らかになったときには、衝撃のあまり心臓が止まるかと思いました。

 

切ない、あまりにも切ない失恋!

 

主人公である勝利に感情移入させておいて、こんな想いを味わわせるのか……とちょっとだけ辻先生を恨めしく思ったほどです。

ただ、今ふり返ってみると「だからこそ良かった」んですよね。

あのまま勝利と鏡子がくっつきでもしようものなら、こう言っちゃなんですがつまらなかったと思います。

3章の失恋は昭和24年という時代を色濃くあらわすエピソードでありましたし、勝利や鏡子の人柄をはっきりと浮き彫りにする意味でも効果的でした。

そこでグイっと物語の世界に引き込まれたのでしょう、4章から先は夢中になって読み進めました。

 

補足

【未読の方へ】

ネタバレのほうで少しだけ触れて放置していましたが、咲原鏡子には秘密がありました。

それは父親が病気であり、薬(ペニシリン)を手に入れるため色街で身体を売っていたという衝撃的な事実です。

幸いというべきか、鏡子は軍医のハヤト・ロビンソンの「専属」であり、作中で二人は(愛しあって)結婚します。

勝利は鏡子に惚れていたので、彼女の《秘密》を知ったときには気持ちを抑えきれず、涙をこぼしました。

※心にグッとくる、名シーンでした

操先生が罪を自白した理由のひとつは、鏡子を無事に渡米させるためでもありました。

※事件が解決しないと関係者として日本から出られない。一方でハヤトの祖母が危篤で、急いで渡米する必要があった。

ラストシーンに鏡子がいないのは退学して渡米していたからです。

終盤の盛り上がりがすごい

凪のように穏やかだった前半100ページにくらべて、終盤数十ページの盛り上がりには目を瞠(みは)るものがありました。

不可能殺人のトリックの種明かしが一番の山場かと思いきや、操先生が犯人として指さされ、その背景が明らかになっていく……。

正直、トリックに関しては全然わからなかったので「そうだったのかー」とそこまで盛り上がらずに読んでいたのですが、犯行動機の段になると

  • 行方不明の節
  • 消えた節の日記
  • 操の両親が離婚した経緯

など《見えていた伏線》が次々あらわれるものですから、

 

「あっ! しまった!」

 

という(ミステリ小説でいちばん味わいたい)不意の驚きがあり、とても満足しました。

そして、なんといっても秀逸だったのはタイトル回収でもあるあのセリフ!

 

「たかが殺人ではないか!」

 

このセリフにはしびれました。

舞台が現代だったら「ただの犯人の開き直り」と切って捨てるところですが、作中の年代は昭和24年。

戦中から戦後へと急激に価値観が変化するなかで、そこには数えきれない理不尽さもあったことでしょう。

たとえば、米兵を斬る行為が戦勲から殺人へと変化したように。

かといって、もちろん徳永に同情の余地はありません。

ただ、昭和24年という時代の手触りがありありと感じられたという意味で、とても印象的な、心にグッとくるセリフでした。

ぱんだ
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まとめ

今回は辻真先『たかが殺人じゃないか』のネタバレ解説と感想をお届けしました。

くり返すようですが、加速度的におもしろくなる終盤~結末の流れが最高で、ミステリ三冠にも全力で頷ける傑作でした。

今回の記事ではあまり触れられませんでしたが、勝利たちの青春を描いたシーン(ミステリじゃない部分)もおもしろかったです。

ホントのところは、まだまだ紹介したい伏線やエピソードが山盛りだったのですが、ぜんぶ書いていくと長くなりすぎるので今回の記事ではバッサリ省略しています。

未読の方は、ぜひご自身の目でミステリ三冠のすごさを確かめてみてください!

 

ぱんだ
ぱんだ
またね!


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