サスペンス

『ただ離婚してないだけ』あらすじネタバレ解説|結末の考察【ドラマ原作漫画】

本田優貴『ただ離婚してないだけ』を読みました!

キャッチコピーは「衝撃の一般人サスペンス!」

夫の不倫から狂い始める日常。もしかしたら明日は我が身……?

生々しすぎる描写に惹き込まれて、気づけば一気読みしていました(全5巻)

今回はそんな漫画『ただ離婚してないだけ』のあらすじがよくわかるネタバレ解説(+α)をお届けします!

ぱんだ
ぱんだ
いってみよう!

あらすじ

結婚7年目の正隆と雪映は冷え切った関係で毎日を送っていた。

正隆は17歳の萌と不倫をし、雪映はそれに気づきつつ何も聞かなかった。

雪映の妊娠で萌との関係を絶った正隆だが、萌はストーカーとなりついに夫婦を襲撃する。

夫婦は無我夢中で萌に抵抗し、勢いあまって殺してしまう……。

(単行本第1巻のあらすじ)

それぞれの事情

「いや殺すか!?」とツッコみたくなるあらすじですが、実のところ「まぁ、殺すよね……」と納得せざるを得ない事情がありました。

妻・雪映の妊娠です。

正隆と雪映は一度お腹の中の子どもを失っていて、その後はなかなか子宝に恵まれず、不妊治療に行っても効果なし……。

そんななか、ようやく宿った命でした。

もし萌を殺さなければ、萌は間違いなくそんな雪映のお腹に包丁を突き立てていたでしょう。

それだけはどうしても、どんな手段を使っても止めなければなりませんでした。

ぱんだ
ぱんだ
萌、やばすぎ……

ただ、萌にも同情すべき事情があります。

萌は本気で正隆を愛していて、いつか結婚できるはずだと信じていました。

そのために妊娠した正隆との子どもを中絶しさえしました。

いつか正隆が雪映と離婚し、自分と結婚したら、そのときこそちゃんと祝福された子どもを産もう、と。

それなのに正隆は勝手に不倫を反省して、勝手に雪映に土下座して、あまつさえLINEで一方的に萌を捨てたのです。

『萌ちゃん

ゴメンなさい

妻に全部バレてしまいました

会えなかったのはその為です……

妻をこれ以上傷つけたくないので、

終わりにしたいです

急で一方的で本当にゴメン

申し訳ない

さようなら』

ぱんだ
ぱんだ
は?

萌はまだ17歳で、家庭環境にも問題を抱えていて、それなのに心から信頼していた正隆にあっさり裏切られて……そりゃあ般若(はんにゃ)にもなろうというものです。

「その女にも、同じ(中絶の)気持ち味わわせてやるから!」

正気を失って包丁を振り回す萌に、どんな言葉を投げかけても無駄だったでしょう。

かといって通報する隙も、警察の到着を待つ時間もありません。

夫婦は電気ヒーターのコードを両側から引っ張り、無我夢中で萌の首を絞めました。

殺そうと思って殺したわけではありません。

実際、クズ男である正隆の自業自得とはいえ、法律的には正当防衛(最悪でも過剰防衛)が認められる状況です。

夫婦はすぐに自首するべきでした。

しかし……

「私はこの子の未来を優先させたい」

涙を流しながら110番を押す夫を、雪映は止めました。

「警察には……いかない……何も無かったことにしよ? やっとできた私達の子供よ……殺人者の子供にしたくないよね?」

正隆は雪映の意志に従い、こうして「殺人共同生活」が始まります。

萌の死体は家の裏の狭い敷地に埋めました。

だいたいぜんぶ正隆のせい。クズ男の中のクズ男。しかもヘタレ。

ネタバレ

萌のほかに、夫婦はもう一人殺します。

ぱんだ
ぱんだ
えっ

佐野義文というその男は萌が働いていたガールズバーのオーナーです。

未成年の萌を店で働かせていたくらいですから、ろくな男ではありません。

借金取りに追われていた佐野は、萌の彼氏を名乗り、萌を妊娠・中絶させた正隆から法外な慰謝料を脅し取ろうとしました。

そして、佐野は正隆が萌を殺した事実を知ってしまいます。

一瞬の判断でした。

正隆は佐野を階段から突き落とし、意識のない間に体を縛り上げ、二階の一室に閉じ込めました。

それはすべて、雪映が実家に帰っていた間の出来事です。

二階の一室に(正隆のせいで)最悪な問題が増えたと知るやいなや、雪映は包丁を手に取りました。

「これは私たちの秘密を知ってるのよ! 後からじゃない。今すぐ片付けて!!」

雪映の言うことはもっともです。男であり、諸悪の根源である正隆が責任をもって「ちゃんとする」べきでしょう。

しかし、正隆にはどうしても決心がつきませんでした。

能動的に、確信的に、自分で意思で、人の命を奪う。

いわば正当防衛だった萌の時とは違います。

最低のクズ不倫野郎ですが、それでも正隆はどこにでもいる一般人にすぎません。

道徳が、倫理が、罪の意識が、正隆をためらわせました。

結局、佐野の処分は保留……というと聞こえがいいですが、実態は佐野を監禁するという措置で夫婦は合意します。

佐野が殺されるのはそれから約8か月後のことです。

ぱんだ
ぱんだ
長っ!

日常と非日常

漫画『ただ離婚してないだけ』の見どころは、8か月に及ぶ佐野の監禁生活にあります。

最初は雑にビニール紐やらガムテープやらでぐるぐる巻きにしただけの素人拘束でした。

それが8か月後にはどうでしょう。

専門の拘束具を使って絶対に逃げられないようにして、ペットや幼児を見守るのに使う遠隔カメラでモニタリングするようになり、一般人である夫婦の管理は完璧に洗練されています。

毎日定時の食事の時間は、まるでペットに餌をやるような気軽さで行われます。

最初はヤクザのように屈強で迫力のあった佐野ですが、8か月の監禁生活の末にはすっかり筋肉が削げ落ち、一回りも二回りも縮んで、別人としか思えないほどみずぼらしく変貌していまいました。

それはもう、プロレスラーがエスパー伊藤になったくらいの変わりようです。

頑固に抵抗していたのは最初だけ。

排泄は大人用の紙おむつに垂れ流しで、動物のエサのような食事は手づかみ。

人間としての尊厳を完全に奪われた佐野は、考えることを放棄した「人間の抜け殻」のように変わってしまいました。

ぱんだ
ぱんだ
こわっ

なによりゾッとするのは、佐野の監禁という非日常が、いつのまにか夫婦にとっての日常になっていることです。

佐野がみすぼらしくやせ細っていくのと反比例するように、正隆と雪映は穏やかな日常をとり戻していきます。

なんたって待望の赤ちゃんがお腹のなかですくすく育っていくのです。

幸福でない訳がありません。

雪映の妊娠は親族から祝福され、町の人々から祝福され、たまには温泉旅行に行ったりもして、かつての冷え込みが嘘だったみたいに夫婦は笑顔でいっぱいです。

大人一人を惨たらしく監禁しているのに、です。

佐野の監禁という非日常が夫婦にとっての日常として描かれている様子に、わたしはゾッとしました。

佐野の管理は、夫婦にとってゴミ出しとなんら変わらない日常の一部になっていました。

運命の分岐点

《ある事件》をきっかけに、物語は一気に結末へと収束していきます。

佐野の脱走です。

佐野は呆けたふりをして夫婦を油断させる一方で、割れた食器を何度も首輪に打ち付けて少しずつ破損させていました。

その間、実に8か月。

脱獄する囚人もかくやという執念深さです。

手足の自由を取り戻した佐野は一目散に家から飛び出しました。

もちろん丁寧に玄関から出て行ったりはしません。

二階の窓から飛び降りました。

時刻は昼。佐野は餓鬼のように不健康にやせこけ、身につけているのはオムツだけです。

誰でもいい、誰かと出会いさえすれば、

蔑まれるにせよ、哀れまれるにせよ、気持ち悪がられるにせよ、

佐野の安全は保障され、柿野夫婦は破滅します。

その日は妙に人通りが少なかったのですが、佐野はついに若い女性二人組の目に留まりました。

彼女たちの反応は……

「クオリティー高けー」

その日は偶然にもコスプレイベントの開催日でした。

町中にいてはいけない格好の佐野も、あろうことかコスプレだと認識されたのです。

佐野が振り返ると、鬼の形相の柿野夫婦が追いかけてきていました。

逃げようにも、佐野は体力も筋力も失ってしまっています。

佐野は毛布でぐるぐる巻きにされ、他の市民の目に一切留まることなく柿野家へと連れ戻されたのでした。

ぱんだ
ぱんだ
間一髪!

ただ離婚してないだけ

その日の夜、正隆と雪映はひとつの決断を下しました。

 

「佐野を……処分しよう」

雪映は妊娠9か月。お腹も大きくなっています。

もう佐野の始末を先延ばしにはできません。

「あの時と同じやり方で行きましょう。2人で紐を使って、左右から首を締めるやり方」

時間はたっぷりありました。最初の時に比べて、雪映はもちろん正隆もかなり冷静です。

佐野さえ始末してしまえば、不安要素はひとつもなくなります。

8か月。長い道のりでした。

※以下、漫画より一部抜粋

…………

「俺が原因でこんな事に……雪映にはいっぱい心配かけてしまうな……ほんま……ゴメン……」

「ううん。違うよ、まーたん。元々の原因はもっと前にあった」

まだ夫婦が道を踏み外す前、同じ食卓に着きながら一言も交わさず、目線も合わなかった頃。

「不満を溜め込んで吐き出すタイミングも見失って、お互い意地張って折れたら負けみたいな……それが……いつしか大きなしこりみたいになってしまって……」

 

「ただ離婚してないだけだった」

雪映の言葉は淡々としていて、妻として母親としての強さがにじみ出ている。

「8年……結婚して8年が経ったけど……」

深く暗い穴のイメージ。穴の奥底には折りたたまれた細い男の遺体。

「これまでの全部は、アレと一緒に埋める」

正隆はハッとして顔を上げた。少し驚いているようにも見える。

「そしたら、今までの事は一切口に出すことも考えることも禁止。私達は新しく始める」

「新しく……」

今度は正隆が口を開いた。

「雪映が……前に言ってた未来予想図覚えてる? 子供が産まれる日のこととか……初めて我が子を抱く瞬間とか……あん時はまだ実感なかったけど、今……子供が産まれる日を前にしてホンマに思う……」

正隆の脳裏に家族の光景が浮かんだ。

小さな子どもが伸ばした両手を、優しい父親と慈愛に満ちた母親が両側から掴んでいる。

「そんな事が……ホンマに起こったら、俺は……」

幸せそうな両親は、正隆と雪映の顔をしていた。

「泣けてしまう」

声を震わせる正隆。雪映は目頭が熱くなるのを堪えながら、夫にティッシュを差し出した。

「いや……もう泣いてる」

「あ……すまん」

いつのまにか正隆と雪映はちゃんと夫婦になっていました。

その原因は妊娠だったのか、あるいは殺人だったのか……なんとも複雑な気持ちにさせられます。

末路

ステーキにお寿司、果物の盛り合わせ、ホールケーキにビールまで。

「その日」の昼食には、まるで誕生日パーティーのようなメニューがずらりと並べられました。

とても佐野一人で食べきれる量ではありません。

それは夫婦が用意した最後の晩餐でした。

待つこと3時間。

夫婦は再び佐野の前に現れます。

「佐野さん……今日は……お願いがありまして、今から……なんですが……」

正隆は両手を床につき、深々と頭を下げました。

「死んでもらいます」

夫婦は飛びかかるようにして佐野の首に縄を巻きつけました。

精も根も尽き果てた様子の佐野の目には、うっすらと涙が滲んでいました。

※以下、漫画より一部抜粋

…………

佐野は最後の飯には一切、口をつけてなかった。

ケガの痛みで食べられなかったのか、それとも殺されることを悟りそれどころじゃなかったのか。

早く死んでほしい。早く動かなくなってほしい。

俺らは力の限り全身全霊で引っ張り続けた。

数分……数十分かもしれない。

佐野は……小さなうめき声を立て抵抗もなく、事は終わった。

萌を殺したときと同じくらい強烈で、でも萌のときとはまったく違う感情が渦巻く、印象的な場面でした。

このシーンでは佐野に感情移入した人も多いのではないかと思います。

最終回(結末)

「今は自分の事より子供が最優先って感じですよ」

無事生まれてきた夫婦の第一子は、かわいい女の子でした。

名前は凜ちゃん。

あれから正隆はときおり罪の意識に苛まれるようになりましたが、なんとか愛娘のおかげで日常を保てています。

(夫婦にはいろんな形があって、色んな幸せがある。それがたまたま俺らには殺人やった。秘密で繋がり、子供で強くなる)

それから約1年が経過し……

(結婚9年目。お互いを気遣い、毎日少しずつ夫婦の形になっていく。前は想像すらできへんかった。今が人生で一番幸せ)

もうすべては「なかったこと」になっています。

食卓を囲む夫婦の表情は明るく、冷えきっていた第1話の食卓と比べてみると、まるで別の家庭のようです。

残りページ数もわずか。

このままハッピーエンドで終わる……そんな雰囲気が漂っていました。

ぱんだ
ぱんだ
でも……?

はい。そうは問屋が卸しません。

ピンポーン、と平和に響くチャイムに呼ばれて玄関を開けると、そこには2人組の刑事が立っていました。

一枚の写真をぺらりと見せて、若い方の刑事が訊ねます。

「この方……ご存じないでしょうか? 夏川萌さんという方でして……2年程前から行方が分からないんです」

正隆の顔が一瞬で強張ります。

焦り、不安、緊張。

素人目にも知っている、と白状しているような表情です。

まして刑事たちなら、なおさら見逃すはずもありません。

「ど……どう――?」

正隆が振り返ると、娘を抱いた雪映は能面のような無表情でした。

「知りません。もし……何か思い出しましたらご連絡しますので」

母は強し。情けない正隆とは違って、頼もしい受け答えです。

しかし、正隆の腕を掴む手は小さく震えていました。

 

それは本当に突然の出来事でした。

「あれ。何……コレ!?」

無意識のうちに、正隆の目から涙があふれて来ていました。

どう考えても不自然です。

堪えようとしても、むしろ次から次へと涙が流れてきて止まりません。

「雪映……俺……」

「横になろっ、ね? あなたここの所、仕事しすぎだったでしょ? 楽になるから……そうしよ?」

雪映のとっさのカバーは完璧でした。

膨らんでいた刑事たちの警戒も少しゆるんだようです。

あとは正隆が体調不良を理由に奥に引っ込めば……少なくともこの場はやり過ごせるでしょう。

しかし、雪映の言葉が聞こえているのかいないのか、正隆はしゃがみこんだまま動こうとしません。

まさか……

「お願い……だから……」

不安に歪んでいく雪映の表情。

こちらをぽかんと見つめている愛娘の無垢な視線。

次の正隆の一言ですべてが決まる……再び空気が張り詰めます。

雪映の目にうっすらと涙がにじみました。

「……もしかして、あなた……その……新聞配達の人(萌)……知ってるの……?」

正隆は涙で顔をぐしゃぐしゃにして、絞り出すように言いました。

 

「……ごめんなさい……全部……話します……」

<完>

正隆のこのセリフで物語は幕を閉じます。

自白エンド、といったところでしょうか。

最終回の考察

もしかしたら最後の最後で、正隆は最良の選択をしたのかもしれません。

ぱんだ
ぱんだ
え?

疑問はもっともです。

倫理さえ無視すれば、正隆は沈黙を守るべきでしたよね。

愛娘の輝かしい人生を「殺人者の子供」というレッテルで汚さないためにも、雪映のようにしらばっくれる選択をすべきでした。

それはそれで間違っていないと思うのですが、そのかわり、危険な賭けになってしまうことを覚悟しなければならなかったでしょう。

ぱんだ
ぱんだ
賭けって?

考えてもみてください。

2年前の行方不明者を今さら警察が捜しているなんて、事件性を嗅ぎつけているからとしか考えられません。

柿野夫婦の殺人は、あくまでも素人仕事です。

たまたま萌の家庭環境が崩壊していて、誰も捜索願を出さなかったから、あるいは単なる家出少女案件だと警察に判断されたから、見つからなかっただけです。

萌と正隆を結びつける線なんて、それこそ無数にあります。

警察が一度腰を上げれば、夫婦の罪はあっさりと白日の下に晒されていたに違いありません。

刑事たちが柿野家の玄関先に現れた時点で状況はもう詰んでいたという見立ては、そう大きく外れてはいないでしょう。

であれば、あの場でしらばっくれても無駄ですし、なんならさらに罪を重くするだけです。

この仮定を踏まえてふり返ってみると、正隆の行動は被害を最小限に抑えるという意味で最良の選択でした。

ぱんだ
ぱんだ
でもなー……

あの土壇場の一瞬、夫婦は《ある記憶》を思い出していたのだと、わたしは思います。

それはかつて正隆が雪映に言ったセリフです。

「もし……全部バレたとしたら……俺が全部……責任取るから……。元々は俺が原因やし……雪映は……全く関係ないって事で……全部……俺がやった事にするから……」

ぱんだ
ぱんだ

正隆は「全部自分一人でやった」と警察署で話したのではないでしょうか。

わたしはそう信じています。

自白する直前、最後の一線で葛藤する正隆にかけた、雪映の言葉が印象的でした。

「……もしかしてあなた……その……新聞配達の人……知ってるの……?」

この短い台詞に込められた膨大な感情を、わたしは想像せずにはいられません。

「自白するつもりなのか?」という絶望の最終確認……だけではないはずです。

この雪映の台詞は《許し》だったのではないでしょうか。

「わたしは事件に無関係だ」と言外に匂わせるこの雪映の台詞に乗れば、正隆は自然に「全部自分一人でやりました」と自白することができます。

雪映も凜も暗い人生を歩むことになるでしょうけれど、それでも夫婦ともに逮捕されるという《最悪》だけは免れます。

雪映は心のどこかで正隆が限界だと気づいていたのかもしれませんね。

「……もしかしてあなた……その……新聞配達の人……知ってるの……?」

この直後、正隆は一瞬ハッと目を見開き、そして滂沱(ぼうだ)の涙を流してぐしゃぐしゃに顔を歪ませます。

コマが一つ進むその刹那に、正隆の心にはいったいどんな感情が渦巻いていたのでしょうか。

正隆も、雪映も、とても言葉では書き尽くせない幾千万の気持ちが表情にありありと表れている、すさまじいラストシーンでした。

 

 

もしもの世界

以下は漫画第5巻のあらすじです。

時計を巻き戻し、2年前に。

出来事をやり直し、殺人前に。

これは【if】(もしも)の物語。

もしも夫婦が殺人を犯さなければ、4人はどうなっていたか――……。

物語は事実上、第4巻で結末を迎えました。

第5巻ではあの玄関先から未来の物語は一切描かれていません。

その代わり、最終巻ではまるまる「もしもの世界」が描かれました。

簡単に内容を要約すると、こんな感じ↓です。

 

雪映の場合

雪映は教育実習生の若い男と不倫し、身体の関係を結んでしまいます。

※雪映は高校教師

大学生の男にとっては一夜限りの関係です。

夫婦はお互いに不倫していると知りながら、表面上は何事もないように暮らします。

夫婦の銀行口座を確認すると、また正隆が大金を引き出していました。

いつからこうなってしまったんだろう?

こんな夫婦生活に意味なんてあるのだろうか?

雪映は涙を流しながら離婚を決意しました――……。

 

萌の場合

もしも萌がストーカーにならなかったら――……。

正隆にLINEで捨てられたあと、萌は団地のベランダから身を投げようとします。

お腹には正隆に嘘をついて、堕ろさなかった赤ちゃんがいます。

空へと続く柵を越えようとした瞬間、一本の電話が萌を室内に呼び戻しました。

不良の弟が人を殴って警察にいるという報せでした。

弟は萌が子どもを産むつもりだと知ってこっそり働き出していて、今回の事件も家族を悪く言われたからカッとなって……ということでした。

いつのまにか、萌の気持ちは前を向いていました。

「家族も増えるしさ、これからって言ってんの。あんた(弟)も私も」

 

佐野の場合

ヤクザから借りた金が返せなくて、やっぱり殺されます。

佐野はもともと悪人だしクズだからね……。

 

正隆の場合

雪映の不倫を知りつつ、正隆は何もしない選択をとります。

聞いたら言わなアカンし、言いたくないし聞きたくなかった。

不都合なことは触れずにやり過ごす。

それは雪映も同じやったと思う。

そう……俺らはそういう選択をしたんや。

アプリで知り合った若い女に金を払って奉仕させてみても、心までは満たされません。

食卓に座れば、能面のようなつくりものの笑顔が、雪映の顔に浮かんでいます。

きっと正隆も同じ表情をしていました。

見て見ぬふり。からっぽの夫婦。

愛情も、絆も、信頼も、なにひとつ彼らの間にはありません。

だから、そう……

 

「今日も、ただ離婚してないだけ」

<おわり>

 

平和な【if】の世界のラストと、罪を犯した本編のラスト、どちらがよりバッドエンドなのでしょうか?

少なくとも殺人を犯してしまった本編の方が、正隆と雪映は夫婦として心を通わせていました。なんとも皮肉な対比です。

感想

正隆がクズすぎて今すぐ殴りたい。

……という感想は万人共通だと思うので、あえて長々と書きはしません。

※いろんな人がすごい語彙力でけなしてくれてるのでね

正隆のアレをああしてこうしてやろう(自主規制)という憎しみをのぞいても、『ただ離婚してないだけ』はとても印象的な漫画でした。

特にわたしが好きだったシーンは、雪映がまだ監禁し始めたばかりの佐野を傘で殴りつけて「躾(しつけ)」をする場面です。

「人だと思ったらその時にやりにくくなるでしょ? 人の形をしたモノとして見るの。分かった?」

それまでも「いざという時はやっぱり女性の方が肝が据わってるものだよなぁ」と思っていましたが、この躾の場面では特に雪映の冷徹さが際立っていてサイコーでした。

思うに、雪映のこうした非情さは多かれ少なかれ誰もが持ち合わせているものなんだと思います。

漫画のキャラクターと違って、現実の人間にはいくつも「顔」があるのが普通です。

雪映は犯罪生活の先導役で、頼れる女王でもありましたが、一方では不安定になって飛び降りたり、気弱な一面をのぞかせる場面もありました。

雪映は強い母親でありながら、か弱い妻でもありました。

これって、めちゃくちゃリアルな描写だと思います。

「同じ立場に置かれたら、わたしも雪映と同じように強くなり、同じくらい弱くなるのかもしれない」とありありと想像させる生々しさがわたしを強く惹きつけました。

犯罪者になってしまった一般人という目線。

簡単にはわかりあえない夫婦という目線。

『ただ離婚してないだけ』の大きな魅力は、「あっ、これ他人事じゃないな」と思わせるほどの説得力だと思います。

「明日は我が身」「もし自分が雪映だったら……」

そんな想像をしながら読み進めるのが楽しかったです。

 

最後にもうひとつだけ。

あの結末のあと、もし正隆が「全部自分一人の罪だ」と主張して、運良くそれが認められて、正隆だけが長い懲役刑を言い渡されたとしたら……。

雪映は正隆と離婚するでしょうか?

秘密を共有した2年間を通して、夫婦の絆は見違えるほど固く結ばれました。その点では離婚しないように思われます。

一方で、愛娘の未来を考えれば離婚するのがベストな選択ですよね。

わたしは結局のところ離婚したんじゃないかな、と想像しました。

夫婦にとっての最優先事項は凜ちゃんです。

正隆もまさか文句は言わないでしょう。

正隆と雪映の離婚は、夫婦として二人が成長した証なのだと思います。

妙な話ですが「ただ離婚してないだけ」の状態よりも、愛娘のために離婚するという選択肢の方がよっぽどちゃんとした夫婦らしいのではないか、と思いました。

あなたはあの結末をどう思いましたか? 正隆と雪映は離婚すると思いますか?

コメントで教えてくれると嬉しいです。

ぱんだ
ぱんだ
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まとめ

今回は本田優貴『ただ離婚してないだけ』のあらすじネタバレ解説(等々)をお届けしました!

小説にしてもおもしろそうだと思うくらい心理描写が胸に迫ってくる漫画でした。

一度決めたことを貫き続けるって、簡単ではありません。

愛しあって結んだ結婚も、隠し通すと決めた殺人も、ときに「本当にこれでよかったのか?」と不安になる……夫婦の不安定な心情が本当にリアルだと思いました。

2年間の果てにたどり着いた、自白直前の正隆の表情。

濁流のような感情のうねりが手に取るように伝わってきて、思わず「うっ」と息が詰まりました。

 

ドラマ情報

キャスト

  • 北山宏光(Kis-My-Ft2)
  • 中村ゆり

※本当に正隆なんかを北山宏光くんに演じさせていいのかい……?

放送日

2021年7月スタート(水曜深夜枠)

見逃し配信

ドラマ『ただ離婚してないだけ』はParaviで視聴できます。

Paraviで見る

ぱんだ
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またね!


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