映画「愚行録」を見てきました!
『仕掛けられた3度の衝撃。あなたの日常が壊される』
これは映画「愚行録」のキャッチコピーですが、まさにその通り!と納得してしまう物語展開。
物語のネタバレを知っていたにも関わらず、あっという間に上映時間が過ぎていってしまいました。
まあ、一言で言えば「面白かった!」ということなんですが…(笑)
今回はそんな映画「愚行録」の感想や解説などについて書いていきたいと思います。
※映画・原作小説のネタバレを含みますのでご注意ください!
映画「愚行録」のネタバレ解説
映画「愚行録」には現在と過去、2つの時間軸が存在しています。
現在の時間軸
主人公・田中の妹が育児放棄によって逮捕され、子供は生命の危機。妹の光子は精神鑑定にかけられている。
過去の時間軸
記者である田中が調査している約1年前に起きた「田向家惨殺事件」
物語が進むにつれて観客の興味は「誰が1年前の事件の犯人なのか?」という点に集中していきますが、そこにいきなり「光子」の存在が浮上してきて、2つの時間軸の物語が交わっていく…。
そして訪れる『仕掛けられた3度の衝撃』
小説の方もそうでしたが、映画で見てみても「素晴らしい構成だな」と感心してしまいました。
であ、改めて映画「愚行録」の内容を整理してみましょう。
犯人は誰?
結論から言えば、田向家を血祭りにあげた犯人は田中光子。主人公・田中武志の妹です。
では、なぜ光子はそんな犯行に及んでしまったのか?
光子について時系列順に箇条書きしていくとこんな感じです。
◆
・田中家では兄妹への虐待が日常的に行われていた。
・大学生になった光子は、幸せな家庭を築くために「内部生」と呼ばれる家柄のよい男子との結婚を夢見る。
・しかし、実際には体目当ての内部性にとっての「都合のいい女」というポジションになってしまう。その際に光子を内部生の男子に斡旋していたのが田向夫人。
・その後、光子はシングルマザーに。子供は光子に笑顔を見せてくれない。
・ある日、幸せそうな家庭を築いている田向家を見て光子のなかの何かが崩壊。一家全員の命を奪う。
◆
一見すると動機は「復讐」に見えますが、小説によればそうではありません。
世の中の不公平さ。理不尽さ。
「自分はどうあっても田向家のような幸せな家庭を築けない」という悟りこそが、衝動的な犯行の理由でした。
田向家はその気づきのトリガーになったため、犠牲になってしまったんですね。
※まあ、映画を見ていると「自業自得だな」とも思えるのですが…
記者・田中の目的
物語の主人公である田中はなぜ「田向家事件」を調査していたのでしょうか?
記者としての仕事に没頭することで妹の事件から思考を切り離すため…ではありません。
なぜなら、兄である田中は妹・光子が田向家の犯人であることを最初から知っているからです。
田中の真の目的は『光子が犯人であることを知っている人物がいないか確認すること』でした。
光子は育児放棄の件で逮捕されてはいるものの、田向家の事件の犯人であることはまだバレていません。
田中は光子を守るために、インタビューをする一方で真実を知る人間がいないか調査していたんですね。
そして物語の後半、宮村という女が(動機については誤解しているものの)光子が犯人だと睨んでいることが発覚。
ついに現れた「田中兄妹にとってやっかいな人間」です。
そこで田中がとった行動は…宮村の命を奪うことでした。
真実に気づいた人間は、始末する。しかも、一切の迷いを見せず。
別の人物を犯人に仕立て上げる偽装工作まで用意していたところに、田中の本気さがうかがえます。
仕掛けられた3度の衝撃
このキャッチコピーは映画内のどの部分を意味しているのでしょうか?
個人的な感想としては
- 田向家の犯人が光子だったこと
- 田中が宮村を亡き者にしたこと
- 映画のラストシーン
だったのかな、と思います。
3つ目の「ラストシーン」についてですが、これは光子の子どもに関する出来事です。
結局、育児放棄により危篤状態だった子どもは息を引き取ってしまったわけなんですが、最後まで残った謎は「この子の父親は誰なのか?」という点。
- 田向家の旦那?
- 大学の内部生の誰か?
- 光子に性的な虐待をしていた実の父親?
いろいろな憶測が頭の中をよぎりますが、最終的な答えは『兄』
明言こそされませんでしたが、子供の父親が田中その人であることは間違いないでしょう。
それもまた、愚行。
最後に大きくスクリーンに映し出されたタイトル「愚行録」の文字がひどく印象的でした。
映画「愚行録」の感想
タイトルの通り「愚かさ」について考えさせられる作品。というのが見終わった直後の感想ですね。
小説「愚行録」はミステリー要素が強く、物語の展開そのものに強く引き付けられました。
一方、それに比べると映画「愚行録」では最初から田中と光子が兄妹だと明かされていたりと、ミステリー要素は弱まっていた印象です。
その代わり、映画版では小説よりも鮮明に「愚かさ」が描かれていたように思います。
では映画「愚行録」で表現されている「愚かさ」とは何なのか?
例えば、映画内にはこんな場面がありました。
・バスで田中に「お年寄りに席を譲れ」と高圧的に言ってきたおじさん。田中が足を不自由にする演技をしながら席を譲ると、気まずい顔をしながら何も言ってはこない。
・さんざん会社の女性を弄んだ田向とその同僚。同僚は亡き田向のことを思い出し「なんであんなに良い奴が…」と涙ぐむ。
・大学内のヒエラルキー。家柄のよい内部生と、大学から入った外部性を巡る嫉妬や羨望。宮村は内部生に受け入れられていた田向夫人に憧れ、嫉妬していたものの、記者・田中には『自分の方が立場が上だった』と話す。
映画を見ていると、登場人物の「愚かさ」が手にとるように理解できます。
しかし、かといって映画「愚行録」は「一部の愚かしい人間」に焦点を当てた作品ではないように思われます。
むしろ、逆ではないのか、と。
「愚かな人間がいる」のではなく「人間とは愚かなのだ」という考え方。
誰しもが善的な一面と同時に、悪的な一面をも必ず持ち合わせている、という教示。
映画「愚行録」を見ると「登場人物全員、悪いやつ・愚かなやつばっかり」という感想を抱くと思います。
しかし、改めて考えてみると映画内の登場人物って案外「どこにでもいるような普通の人たち」ばかりなんです。
自己中心的で、他人を見下し、外面をよく見せようとする。
これって、言葉こそ悪いけど「普通の人たち」の言動だと思うんです。
そして、映画を見ている私たちもまた「愚かな、そして普通の人間」の1人なのではないかと…。
映画「愚行録」を見て、私はこんなことを考えました。
小説と映画との違いは?
先述のように、映画と小説では少し構成が変わっていました。
小説では田中と光子の関係は終盤で明かされますし、田中がインタビューした人々の人数や設定にも違いが見られます。
もともとが「田中のインタビュー」の間に「謎の女(光子)の独白」が入るという構成なので、確かに小説版のままでは映像化には向かないでしょうからね。
映画サイトによれば「映像化不可能と言われた超問題作、ついに完全映画化!」とのこと。
小説では「インタビューした人によって証言が食い違う」という点が面白く、特に田向夫妻の評判がどんどん下がっていく過程などが肝だったと思うのですが、映画ではその過程はかなり省略されていました。
代わりに、映画版ではそれぞれの証言が映像化されることにより「起こった出来事」がより生々しく感じられました。
映画「愚行録」と小説「愚行録」
ほぼ同じストーリーなのに媒体によって印象がかなり変わる、というのも面白い話ですよね。
小説か映画、どちらか一方しか見ていないという方は、ぜひ、もう一つの「愚行録」もチェックしてみてください!
きっと新たな面白さを発見できるはずですよ。
※小説「愚行録」のあらすじはコチラ
関連記事:「愚行録」のネタバレ!貫井徳郎の原作小説は極上のイヤミス!
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まとめ
映画「愚行録」を見てきました!
「愚かさ」について考えさせられる独特な雰囲気と、初見だと「えっ!?」と声をあげたくなるような意外な展開の連続。
「面白い」という言葉が適当かはわかりませんが、引き込まれる作品でした。
また、感想の方に書き忘れたのですが、なんといってもまずはキャストがいい味出してます!
私の目当ては満島ひかりさんだったのですが、他のキャストも演技派ぞろいですね。
特に、個人的には市川由衣さんの演技に引き込まれました。
また、妻夫木聡さんの若人にはできないような渋い演技にもグッときました。
ネタバレでストーリーを知っていたとしても十分に楽しめる映画なので、興味を持たれた方はぜひチェックしてみてくださいね!
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