ラストに驚き

『暴虎の牙』あらすじネタバレと感想!堂々たる完結に大満足

柚木裕子『暴虎の牙』を読みました!

映画化もされた『孤狼の血』シリーズの完結作(3作目)

「孤狼の血」あらすじネタバレ!魂が震える結末に感動!柚月裕子「孤狼の血」を読みました。直木賞候補作にノミネートされ、このミス3位(2016年)など多くの賞を獲得した本作。内...

「おもしろいに違いない」と確信していましたが、読んでみるとやっぱり期待通りの物語でした!

  • ガミさんが生きてる!
  • 日岡がガミさんみたいになってる!

シリーズファンとしてはこれだけで満足なくらいですが、今作では新たに魅力的な登場人物が加わります。

《暴虎》こと沖虎彦。

『暴虎の牙』の主人公は彼であり、彼の人生の破天荒さと哀愁こそ『暴虎の牙』の魅力です。

というわけで、今回は小説『暴虎の牙』のあらすじネタバレと感想をお届けします!

ぱんだ
ぱんだ
いってみよう!

あらすじ

博徒たちの間に戦後の闇が残る昭和57年の広島呉原。

愚連隊「呉寅会」を率いる沖虎彦は、ヤクザも恐れぬ圧倒的な暴力とそのカリスマ性で勢力を拡大していた。

広島北署二課暴力団係の刑事・大上章吾は、沖と呉原最大の暴力団・五十子会との抗争の匂いを嗅ぎ取り、沖を食い止めようと奔走する。

時は移り平成16年、懲役刑を受けて出所した沖がふたたび広島で動き出した。

だがすでに暴対法が施行されて久しく、シノギもままならなくなっていた。

焦燥感に駆られるように沖が暴走を始めた矢先、かつて大上の薫陶を受けた呉原東署の刑事・日岡秀一が沖に接近する……。

不滅の警察小説シリーズ、令和でついに完結!

(「BOOK」データベースより)

物語は前後編

『暴虎の牙』は単行本で約500ページ(※)の大ボリューム作。

※文庫だと600ページくらい

物語は前半が昭和編、後半が平成編という構成になっています。

時系列としてはこんな感じ↓ですね。

  1. 『暴虎の牙』(昭和編)
  2. 『孤狼の血』
  3. 『凶犬の眼』
  4. 『暴虎の牙』(平成編)

昭和編と平成編のタイムラグは約20年。

時代をまたいで登場する沖はそれぞれ20歳と40歳の姿で登場します。

昭和編【ネタバレ】

舞台は昭和57年(『孤狼』の6年前)

「ガミさん」ことマル暴の刑事・大上章吾(38)は、とある不良少年たちに目をつけていました。

  • 沖虎彦
  • 三島考康
  • 重田元

沖が率いる「呉寅会」は向こう見ずな悪ガキたちの組織で、

  • ヤクザの賭場を荒らす
  • 闇取引を襲撃してクスリを奪う

などなど、破天荒なやり方で勢力を伸ばしていました。

それだけ派手に暴れていれば、当然、メンツを潰されたヤクザから追われることになります。

そうして呉原から広島に流れてきた沖たちと大上が出会うところから、物語は始まります。

補足

大上はかつて呉原の大物ヤクザ・五十子(いらこ)に妻子を殺されています。

五十子会と敵対している沖たちには利用価値があると考えたんですね。

※以下、小説より一部抜粋

沖を焚きつけて、五十子に牙を剥かせる。

五十子が沖に手を出せば、五十子を堂々としょっぴくことができる。

その男、沖虎彦

ここで沖虎彦の背景について触れておきましょう。

沖の父親は五十子会の組員・沖勝三。

この勝三というのは心底クズ野郎で、妻子を殴る蹴るして貧しい家から子どもの給食費すら奪っていくような男でした。

沖は子どもの頃からヤク中の父親を憎み、ヤクザを憎んで育ちます。

それから時が流れて……

成長した沖は躊躇なく実の父親を始末しました。

遺体は人の来ない扇山に埋め、そこから沖は外道を狩る外道になります。

  • 暴力
  • 盗み
  • クスリの密売

あらゆる犯罪行為に手を染めながら、決して堅気(一般人)には手を出さず、外道のヤクザだけを狙いました。

※だから尾谷組との間にはトラブルなし

ケンカでは負けなし。

ヤクザを恐がるどころか、逆に見下すほどのふてぶてしさ。

いつしか沖のもとには同じく肝の座った不良少年たちが集い、呉寅会ができあがります。

沖の目的はただ一つ。

ヤクザ(五十子会・加古村組)を潰し、広島で天下を取ること――。

補足

沖はいつも二人の幼なじみと一緒に行動します。

呉寅会で唯一、沖と対等な立場の三島考康。

一歳年下でキレやすい性分の重田元。

三人は小学校からの付き合いで、全員、問題のある家庭で育った過去を持っています。

呉寅会には他にも高木や林といった幹部がいますが、沖の信頼が厚いという点では三島と元は別格だと言っていいでしょう。

決戦前夜

広島でもヤクザの縄張り(シマ)を荒らしまくった沖たちは、ついに笹貫組(※)との全面戦争に突入します。

※五十子のいる呉原ではなく、広島のヤクザ

とはいえ、沖個人としてならともかく、組織としての力の差は歴然。

数百人規模にまで膨れ上がっていた呉寅会は次々に狩られ、みるみるうちに数を減らしていきました。

そして、ついに呉寅会の中核メンバーに死者が出たことで、沖は特攻じみた最終決戦を決意。

一発逆転するべく敵組織のトップ・笹貫の首を狙います。

失敗すれば、もちろん命はありません。

決戦前夜。

さすがの沖も眠れず、暗闇の中じっと夜が明けるのを待っていた、そのときでした。

 

「警察だ! 動くな!」

 

突如として踏み込んできた警察隊によって、沖たちはあっけなく逮捕されていまいました。

※以下、小説より一部抜粋

…………

沖は後ろから、身体を羽交い絞めにされた。

数人がかりで、自由を奪われる。

見知った顔が、目の前に立った。

「大上――」

眉根を寄せ、苦いものでも呑み込むような顔をした大上は、しゃがれ声を発した。

「虎、年貢の納めどきじゃ。往生せい」

沖はすべてを察した。

スパイの仕業だ。

隠れ家を用意してから、まだ日は経っていない。

いくら警察が優秀だとしても、これほど短い日数でここを探り出すのは無理だ。

仮に、探り当てたとしても、沖たちが笹貫を襲撃する直前に踏み込むのは出来すぎている。

(中略)

裏切者は誰だ――。

手錠を嵌められた手が、怒りで震えた。

いったい誰が密告したのか。

大上は誰を飼っていたのか。

<昭和編・おわり>

大上は当初、沖を利用しようと考えていました。

しかし、一般市民に危険が及ぶかもしれない抗争状態は一刻も早く終わらせる必要があります。

しかも、沖の戦争相手は五十子ではなく笹貫。

大上は沖を逮捕するしかありませんでした。

平成編【ネタバレ】

時は流れて、平成16年(『凶犬』の14年後)

懲役18年の刑期を終えて出所した沖は、再び行動を開始します。

本来なら大上に報復してやりたかったところですが、それはもう叶いません。

沖の目的は2つ。

今度こそ広島で天下を取ること。

そして、20年前に密告した裏切者を探しだして制裁すること――。

裏切者の末路

かつての呉寅会の幹部。

新たに刑務所で舎弟にした若い不良たち。

カリスマ性を持つ沖のもとには続々と戦力が集い、新生呉寅会とでもいうべき組織ができあがります。

しかし、そこには当然いるべきはずの『ある人物』の姿がありません。

沖が実の弟のように信頼していた男・重田元。

沖より10年も先に出所したはずの元だけが、まるで逃げ隠れるように消息を絶っていました。

当然、沖はこう考えます。

裏切者は元だったのだ、と。

元の潜伏場所はすぐに割れました。

日雇い労働者たちが暮らす大阪のドヤ街。

貧しい暮らしが見てとれる古びたアパートで沖が見たのは、現実から目を背け、ヤク中になった元。

そして、数年前にふっつりと音信不通になったかつての沖の女・真紀でした。

慌てふためき、みじめに許しを乞う元に、沖の怒りは頂点を極めます。

自分の女を奪ったこと。

呉寅会を裏切り、大神に密告したこと。

そしてなによりヤク中のくせに(真紀と)子どもをつくったこと。

沖「シャブ中の、親を持った子どもの気持ち、お前には、わからんじゃろう」

沖は大阪から広島のアジトへと元を連行し、この世の地獄を思わせる拷問をたっぷりと味わわせてから始末しました。

遺体を埋めたのは、扇山の山中。

勝三を埋めたのと同じ、一本松の根本でした。

自分を苦しめた者、裏切った人間は、同じ墓に埋める。沖はそう決めていた。

大花火

裏切者を始末したことで、沖はもう一つの目的に目を向けます。

『広島で天下を取ること』

そのために今、圧倒的に不足しているのは資金力に他なりません。

沖は新生呉寅会を率いて烈心会(※)の賭場を襲撃し、現金を強奪。

※五十子会・加古村組系の残党組織

さらに別動隊にクスリの隠し場所を同時襲撃させ、売値で四億円相当のブツを手に入れました。

圧倒的な、大勝利といっていい戦果です。

警察はすぐに検問を手配しましたが、沖たちはあざ笑うかのように検問の網を抜けてさびれた船小屋へと潜伏します。

完璧――。

今回の作戦の功労者は、なんといっても旧呉寅会からの幹部・林でしょう。

林は情報の扱いに長けていて、いったいどんな手を使ったのか、烈心会のクスリの隠し場所を調べ上げてきました。

いや、それだけではありません。

今回の作戦を計画したのも、逃走用の車を用意したのも、潜伏先の船小屋を用意したのもすべて林です。

沖は考えます。

林がどうやって情報を仕入れてくるのか、いまもってわからない。

情報源を明かさないのは、自分の存在価値を高めるためだろう。

いずれにしても――林は、呉寅会にとって欠かせない存在だ。

林といえば、20年前に警察隊が踏み込んできた隠れ家の場所を知っていた数少ないメンバーの一人でもあります。

……大上とつながっていた内通者は本当に元だったのでしょうか?

沖が元を始末してからというもの、最高幹部である三島の表情はずっと暗いままです。

強烈な大勝利の影に、どこか崩壊の予兆を思わせる、不穏な雰囲気が漂っていました。

終焉

「のう、兄弟。もうわしら、終(しま)いにしようや」

「……われ、なに言うとるなら」

三島が発した思いもよらない言葉に、沖は驚きます。

広島で天下をとるための輝かしい一歩目を踏み出したばかりだというのに、どうして終わりにしようなどと言いだすのか?

まるで意味がわからないという表情の沖に、三島は噛んで含めるように言い聞かせました。

※以下、小説より一部抜粋

…………

「のう、兄弟。よう聞けよ。仮にシャブの取引が上手くいったところで、わしら広島から身を躱(かわ)さんといかん。今度のヤマがわしらの仕業じゃいうことは、遅かれ早かれ、必ずバレる」

三島はひとつ息を吐くと、語気を強めた。

「わしら、広島中の極道と警察を、敵に回すんで」

(中略)

「いっぺん指名手配くろうたら、広島へは、戻ってこれんので。それでどがあして、広島で天下とるんなら」

…………

順調なスタートを切ったかのようにみえた呉寅会ですが、それはあくまで無鉄砲な奇襲に成功しただけのこと。

これから本腰を入れて呉寅会を狙ってくるであろうヤクザや警察への対応策なんてちっとも考えていません。

沖のやり方は若いころのまま。

「天下をとる」と息巻いてみても、その手段は単なる勢いまかせでしかありません。

しかも、20年前とはもう時代が違います。

昭和の広島で成り上がった沖の成功法則は、いまやもう時代遅れで、通用しません。

三島はかなり前から、そのことに気づいていました。

真実

※以下、小説より一部抜粋

三島が哀れむような目で、沖の顔を見た。

「沖ちゃん、こんなァ(おまえ)、もう終わっとるよ」

三島の言葉が、沖の胸を貫いた。血の気が引き、頭が冷たい幕に包まれる。

「わしが終わっとるなら、わしについてきたお前も終わっとろうが!」

三島がつぶやく。

「ああ、わしも終わっとる」

沖は三島を睨んだ。自分は終わっている――としたら、いつからなのか。

元を殺したときからか。父親を殺したときからか。

それとも、生まれたときからなのか。

(中略)

「こんあァ昔、自分の親父のこと鬼じゃ、言うとったの。自分の欲のためなら、女房も子どもも殺す外道じゃ、いうてよ」

親父の話を、なぜ、いま口にする。

三島は目の端で沖を見た。

「自分の欲のためなら幼なじみも手にかける――いまはあんたが、外道じゃ

「違う!」

沖は三島に食ってかかった。

「外道は元じゃ。自分の命が惜しゅうなって、わしらを売ったんじゃ!」

三島が煙草の煙を深く吸い込み、大きく吐き出した。

「少しは考えんかったんか」

「なにをじゃ」

「元が裏切者じゃない、いう可能性を――よ」

胸がざわついた。

喉の奥から、悪寒と不安をないまぜにした、酸っぱいものが込み上げてくる。

「なにが言いたいんじゃ」

三島は言葉を区切るように、言う。

「二十年前、わしらが笹貫に襲撃かけるいうんをしったとき大上は、あの馬鹿の命を助けるためにはこれしかない、言うとったが、のう」

まさか――。

認めたくはなかった。が、そう考えると、沖が出所してからの三島の言動がすべて腑に落ちる。

三島は元をかばっていた。

「三島――」

怒りで声が震える。

沖は大きく息を吐くと、ベルトの後ろに手を回した。

「なんでじゃ――なんでお前が――」

三島は沖の目を、じっと見据えた。

「二十年前、わしらは刑務所に入ることで生き延びた。ちいたァ考え直すか、思うたが、せっかく命拾いして娑婆に戻っても、同じことの繰り返しじゃ。わしァもう、こんな(おまえ)にゃァついていけん。終わりにするわい」

沖は奥歯を噛み締めた。

「こんな、元を見殺しにしたんか」

三島は顔色を変えずに言う。

「殺したんは、あんたじゃないの」

「われ、ようも――」

沖は後ろに回していた手に力を込めた。

拳銃を引き抜く。

撃鉄を起こした。

夜明けの海に、銃声が響いた。

林はミスリード。本当の裏切者は三島でした。

ただ、それは沖たちの命を守るためだったんですね。

ちなみに林の情報源は烈心会内部のスパイでした。

結末

『暴虎の牙』のラストは、扇山に遺体を埋めに行くシーンでしめくくられます。

プロローグが勝三(沖の父親)を埋めに行くシーンだったので、それと対になっているような感じですね。

不遇な生い立ちに憤り、外道に牙を剥くと決めたあの頃、沖と三島、そして元はまさに一心同体でした。

それなのに、いまは人生の袋小路に一人きり。

死ぬときは一緒だと誓い合った親友たちは、そろって一本松の根本で眠っています。

孤独――。

今はただ、黙々とスコップを動かすだけ……。

※以下、小説のラストシーン

…………

男は地面に、スコップを突き刺した。

土を掻きだし、穴を掘りはじめる。

五十センチほど掘ると、人間(元)の手が出てきた。小指が切断されている。

男は手を止めると、死体を穴に放り込んだ。

右手を背広のポケットに突っ込む。

ポケットの布地には、焼け焦げたような穴が開いていた。

男はポケットから、相手を撃った拳銃を取り出した。

そのまま、死体の上に放る。

血で汚れた上着を脱ぎ、穴へ捨てた。

唇を、真一文字に結ぶ。

男は死体を、上から眺めた。

 

「どうな? 自分が殺した親父と親友――ふたりと同じ穴へ入る気分は」

 

男はそう言うと、黙々と土を被せはじめた。

穴を埋め終えた男は、上を見た。

明るくなりかけている空に、白い月が浮かんでいる。

男はスコップを地面につき立てると、土の上に腰をおろし、煙草を咥えた。

ライターで火をつけ、時間をかけて根元まで吸う。

煙草がフィルターだけになると、男はそれを地面に放った。

煙がしみたのか、目は潤んでいた。

<完>

 

補足

お察しかとは思いますが、結末で穴を掘っていた男は沖ではありません。

《銃声が響いた》の場面で、沖は腰の後ろに差した銃に手をまわしていました。

一方、ラストに登場する男はポケットから銃を撃っています。

そう、男の正体は三島。

沖に撃たれるよりも早く、三島は沖を『終わらせて』いたのでした。

感想

これで完結しないで、もっともっとシリーズを続けてほしい……!

そう願わずにいられないほど、今作もおもしろかったです!

『孤狼』シリーズの魅力は、もう遠い過去になってしまった《昭和》という時代の魅力そのものではないでしょうか。

スマホもない。

警察の捜査も時代遅れ。

でも、人と人とのつながりは強くて、信念さえ持っていれば多少無茶なやり方でも通用する――。

大上はまさに《昭和》を体現した刑事でした。

作中では平成16年の日岡が「もう昔(ガミさん)のような手は使えない」と嘆くシーンがあります。

日岡は監察に厳しくマークされていて、《悪徳警官》として自由に行動できなくなっているようです。

それは組織が健全になった証拠なのか、それとも政治的な意図によるものか。

きっとあの大上でも平成の、さらにいえば令和の今ではもう破天荒な捜査はできないでしょう。

わたしが『孤狼』シリーズに強く惹かれるのは、失われてしまった人情と仁義の時代に憧れているからなのかもしれません。

沖虎彦について

やり場のない怒りを原動力に、道なき道を切り開いて突き進む――。

その生きざまは不器用ながらも、どうしようようもなく格好よくて、前半(昭和編)では若い沖に一気に惚れこんでしまいました。

しかし、そんな沖も後半(平成編)では落ちぶれ、最後にはあっけなく三島に始末されてしまいます。

20年の歳月が、沖を衰えさせてしまったのでしょうか?

いいえ。前半と後半で、沖の本質はまったく変わっていません。

沖はただ進んでいく時代に取り残され、時代遅れになってしまっただけなのです。

三島はそのことに気づいていましたが、当の本人である沖に自覚はありませんでした。

もう時代にそぐわないのだとちっとも気づかず「天下をとる」と息巻く沖――。

言動は若い頃とまったく同じなのに、格好良さは失われ、もの悲しさや哀愁が漂うばかり。

『暴虎の牙』を締めくくるラストシーンは、沖の生い立ちや人生の盛衰、さまざま要素がないまぜになって、しみじみと切ないものでした。

わがままな不満

『暴虎の牙』の主人公はあくまで沖であり、大上・日岡の出番は想像していたよりも少ないものでした。

もちろん沖の物語はおもしろかったし、大上・日岡に関してもシリーズファンがニヤリとするシーンがあったのですが、どこかちょっともの足りない……。

シリーズ三部作のなかでどれが一番好きかと聞かれたら、わたしは迷わず一作目の『孤狼の血』を選びます。

はじめて『孤狼の血』を読んだときの衝撃は、今も忘れません。

たぶん、わたしは『凶犬』にも『暴虎』にも一作目以上の衝撃を求めていたのだと思います。

『暴虎』に感じるもの足りなさは、きっとそのあたりに原因があるのでしょう。

「おもしろいけど、期待値は超えない」というか……。

読者がこんな好き勝手に言うもんですから、シリーズものの作者さんは大変ですね(汗)

『暴虎』ではシリーズ過去作を掘り下げるような内容も描かれていました。

たとえば、大上がかぶっていたパナマ帽は沖からもらった(奪った)ものだったり……。

また、逆に時系列的なシリーズ最新作としては、まるで大上の生き写しのように成長した日岡の姿には胸が熱くなりました。

いろいろ言いましたが、シリーズファンなら絶対に読んで後悔しない一冊だと思います。

ぱんだ
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まとめ

今回は柚月裕子『暴虎の牙』のあらすじネタバレと感想をお届けしました!

ガミさんは相変わらずの《悪徳警官》だし、日岡は10歳以上歳をとってガミさんみたいになってるし、シリーズファンとしては大満足な一冊でした。

ただ、このハードボイルドな物語も今作で完結なんですよね……。

『暴虎』のラストも切ないものでしたし、なんだか寂しく思います。

※まだ映画『孤狼の血2』の公開が控えてるけどね!

余談ですが、『暴虎』を読んでいるとき、大上の姿は映画キャストである役所広司さんの姿と声で脳内再生されていました。

はまり役すぎる……!



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