岡崎京子「リバーズエッジ」が映画化!
「主演=二階堂ふみ、監督=行定勲」という豪華な顔ぶれが話題になっていますね。
また、原作となる漫画「リバーズエッジ」も1994年刊行の作品でありながら、その後も愛蔵版や復刻版などが制作され、今なお絶大な支持を受けている伝説的な漫画。
そのため映像化に当たっては賛否両論あるようですが、とにかく映画「リバーズエッジ」もかなりの話題作になりそうな予感です。
というわけで今回は、漫画「リバーズエッジ」のあらすじや感想などをお届けしたいと思います!
※結末のネタバレなども含みます。ご注意下さい!
その前に…漫画「リバーズエッジ」の世界(解説)
ネットで漫画「リバーズエッジ」の感想を探すと「意味がわからなかった」という声が散見されます。
一方で、まったく反対に「とても感動した」「大好きな漫画」という意見も多いですね。
このことからもわかるように、漫画「リバーズエッジ」は「わかりやすく大衆的な漫画」ではなく「一定の『感性』を持った人に突き刺さる漫画」なのだと思います。
作中で描かれているのは、感受性の強い十代の本音と欲望、少数派(マイノリティー)の生きざまなど。
20年以上昔の漫画であるにも関わらず、岡崎京子さんならではの鋭い心情描写は今なおとても鮮烈で、「リバーズエッジ」に共感できる感性を持つ人々を虜にしています。
ただし「お、ラブストーリーかな?」と安易な気持ちでつっつくと「わけがわからないぞ…?」で終わってしまう可能性大!
実際に私も漫画を読んだのですが「人を選ぶ作品だな」と思いました。
…って長々と前置きしても、それこそ意味が解らないですよね(笑)
次項からは、できるだけわかりやすく漫画「リバーズエッジ」のあらすじや見どころをご紹介していきたいと思います!
漫画「リバーズエッジ」のあらすじとネタバレ!
ハルナ(山田君は、クラスでは気配を消しているよな、おとなしめで目立たないひっそりとした男の子で、でもオシャレでキレイな顔をしているから女子にはヒソカに人気があって、しかし男子には『攻撃誘発性』のマトでいつもけっこうボコボコにされているのであった)
ハルナ「もー!いーかげんにしなさよ!あんた達ィ!!」
若草ハルナは見るに見かねて、観音崎たちにいじめられている山田一郎を助けた。
それをきっかけに、ハルナは山田と仲良くなる。
彼氏の観音崎はいい顔をしなかったが、知ったことではない。
観音崎への愛情など失せて久しいのだ。
山田「ボクの秘密の宝物、教えてあげる。誰にもまだ教えてないやつ。見てほしいんだ」
そういって山田に連れていかれたのは、背の高い雑草が生い茂る河原。
山田「あった、これが僕の宝物だよ」
そういって山田がハルナに見せたのは、朽ちて白骨化している誰かの骸だった。
山田「自分が生きてるのかどうかいつもわからないでいるけど、これを見ると勇気が出るんだ」
そういう山田君は同性愛者だ。
田島カンナと付き合っているのはカモフラージュのため。
本当は1学年上の男の先輩が好きなのだそうだ。
その後の展開と結末(ネタバレ大!)
漫画「リバーズエッジ」の登場人物はみんなコンプレックスや問題だらけ。
・山田くんを通じて仲良くなったモデルの吉川こずえは、食べたものを全部吐いてしまう体質で、レズビアンの気がある。
・ハルナの友達・小山ルミは体を売って小遣いを稼いでいる。
・田島カンナは山田くんから愛されていないことに気づき始め、ハルナと山田の仲に嫉妬してハルナのストーカーに変貌していく。
・観音崎は兄や家族にコンプレックスがあり、それが転じて暴力やクスリなどに身を任せてしまう。
それぞれの「欲望」や「不安」、「悩み」が混じり合いながら物語は結末へと向かっていきます。
「リバーズエッジ」あらすじ後の展開
まず最初に起こった事件は、小山ルミの妊娠。
ルミは大勢の男と関係していて父親は不明。最近、ルミを都合よく抱いてばかりの観音崎に「あんたの子かもしれない!」と言って詰め寄る。
ルミに押し切られる形で不承不承「金は出す」と言う観音崎だったが、その態度に傷ついたルミは…
ルミ「ハルナ言ってたもん。“観音崎くんなんて全然好きじゃない。バカで困る。やらせないとすぐ怒る” あたしだってあんたなんか全然好きじゃない」
観音崎のコンプレックスを突き刺す言葉ばかり並びたてるルミに、観音崎は激昂。
気がつけばルミの首を絞め落としていた。
河原の草むらのなかにどさりとルミの身体が崩れ落ちる。
たまたま現場を目撃していた山田は観音崎に…
山田「何やってんの?手なんかじゃ掘れないよ。スコップ持ってきた方がいいんじゃない?」
動揺しまくる観音崎に対して、いつも白骨を見ている山田は冷静そのもの。
むしろ「新しい宝物が見つかった」とばかりに吉川こずえとハルナに連絡し「見にきなよ」と誘いをかける。
一方その頃、ハルナへの恨みが頂点に達した田島カンナはハルナの家に放火。
そうとは知らず、山田・観音崎に合流したハルナ・こずえはルミの遺体が転がっている場所へと向かう。
しかし、そこには何もなし…。
ルミにはまだ息があって、命からがら自宅へと戻っていたのだった。
ルミが部屋に戻ると、ルミが毛嫌いしているオタクの姉・マコが勝手に部屋に入って日記を読んでいて…
ルミ「何やってんの!欲求不満のブス!ブヒブヒ言わず豚小屋に帰れ!」
一閃。
マコは手にしたカッターナイフでルミの胸を切り裂きます。
マコ「あんたが悪いのよ。いつもいつもチャラチャラして…男に媚びることばっか覚えて…あんたのこと大嫌いだった!いなくなっちゃえばいいと思ってた」
「ぎゃーー!!」
血まみれで倒れるルミを見た両親の絶叫が響く…。
河原からの帰り道、山田と吉川は「新しい宝物」を見つけた。
それは、放火のどさくさで自分に火をつけてしまい息絶えた黒こげの田島カンナ。
一方、ハルナはまだ河原で、なんだか興奮してしまった山田に押し倒されていた。
ハルナ(あたしと観音崎くんはそこで何回もした。観音崎くんは不安と怒りを一緒くたに全部あそこにぶち込むしかなかったんだと思う。で、あたしはあそこで受け止めるしかできなかったし)
家に帰ったハルナを待っていたのは、燃えてしまった部屋と泣いている母親の姿だった。
結末
ルミは一命を取りとめたが、赤ちゃんは流れてしまった。
吉川こずえは多忙により学校を辞めるそうだ。
そしてハルナは放火をきっかけに転校することになった。
ハルナ(というか団地村のソガイにあってママがヒステリーを起こしたのだ)
観音崎「ウィーっす!手伝いにきたっす」
(観音崎くんが引越しの手伝いに来てくれた。あれから私たちは何もない。何も言わないし話さない)
(あたしは明日引っ越しする。観音崎くんはほっとするだろう)
観音崎「じゃ、あしたガッコあるし見送りには行けないから」
(きっともう二度と観音崎くんと逢うことはないんだろうな、と思った)
最後の夜、ハルナは山田と散歩する。
(山田くんと河沿いを歩く。橋を渡る。何も喋らずに行く。今頃ママはにやにやしてるだろう。“あの子もすみにおけないわね。2人もボーイフレンドがやってきて!”)
(全然そんなんじゃない。そんなんじゃないのにね。あたしは何だか可笑しくて少し笑った)
山田「最近、田島さんの幽霊見るんだ。ぼくは生きているときの田島さんより幽霊の田島さんの方が好きだ」
山田「酷いよね。生きている間にもっと好きになってあげられたらよかったのにね」
ハルナ「…山田君は黒焦げになってないと人を好きになれない?」
山田「そんなことないよ。僕は生きている若草さんのことが好きだよ」
山田「本当だよ。若草さんがいなくなって本当にさみしい」
(涙がぽたぽたと河に落ちていった。うつむいて山田くんに顔を見られないよう。声を抑えて山田くんに泣き声を聞かれないよう)
(苦しい。ただ胸が苦しい)
そして朝が来る。
ハルナ(あたしたちの住んでいる街には河が流れていて、それはもう河口にほど近く、広くゆっくりとよどみ、臭い)
ハルナ(河原にある地上げされたままの場所にはセイタカアワダチソウがおいしげっていて、よくネコの骸が転がっていたりする)
<リバーズエッジ・完>
漫画「リバーズエッジ」の感想(と補足)
小説では「行間を読む」ことが1つの醍醐味ですよね。
文字で表現されていない部分を想像し、補い、楽しむ。
通常、これに対して漫画は視覚情報が多いぶん親切で、あまり想像の翼を広げなくても物語が楽しめるようになっています。
しかし、この「リバーズエッジ」はその通例に当てはまりません。
読者は「何が起こっているか」という情報から、登場人物それぞれの『気持ち』を汲み取っていかなければなりません。
彼らは現実の人間と同じく、自分の抱えた苦しみや本音、弱音を簡単にはこちらに見せてはくれません。
しかし、読者は『彼ら(彼女ら)の心の中で、何かが起こっている』ことだけはわかるので、どうにか彼らに共感しようと試みることなります。
あるいは、豊かな感受性を持っていれば、深く考えるまでもなく自然と彼ら(彼女ら)の気持ちに寄り添うことができるでしょう。
そうして自分なりに登場人物それぞれの『気持ち』を見つけることができたとき、漫画「リバーズエッジ」は『二度と手放せない大好きな一冊』になるのだと思います。
漫画「リバーズエッジ」の感想…を言語化するのはとても難しいことです。
「あー、面白かった!」という類の作品ではありませんし、「この漫画のどこが好きだった?」と聞かれても明確に答えることができません。
怒りも、悲しみも、寂しさも、恋心も、ぜんぶ単純じゃない。
それこそ言語化できないくらい複雑な感情同士がぶつかって、化学反応を起こして…。
あえて言うなら、そのすべてが…漫画「リバーズエッジ」の世界そのものが、なんだか心に突き刺さる。
漫画「リバーズエッジ」はそんな特殊で、特別な作品なのだと感じました。
まとめ
岡崎京子「リバーズエッジ」が映画化!
今回は原作漫画のあらすじた結末のネタバレ、感想などをお届けしました。
とはいえ、実際のところこの漫画はかなり「読まなきゃわからない」類の作品。
現在ではなかなか手に入りにくいようですが、機会があればぜひ漫画そのものを読んでいただきたいと思います。
さて、改めて映画「リバーズエッジ」のキャストを見てみると「二階堂ふみ=若草ハルナ」はかなりピッタリな配役という気がしますね。
個人的には二階堂ふみさん大好きなので、映画「リバーズエッジ」でどのようなハルナを、どのような表情を見せてくれるのか非常に楽しみです。
また、行定勲監督にしても漫画原作の実写映画化をやるのは珍しいので、そのあたりにも注目!
監督の映画の世界観と漫画「リバーズエッジ」の世界観には共通した雰囲気を感じるので、いい化学反応が見られそうな予感がします。
そんな映画「リバーズエッジ」は2018年公開!
今から封切りが楽しみです。
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