押切蓮介「ミスミソウ」といえば、漫画界でも屈指の「トラウマ漫画」として有名です。
あらすじとしては、純真な少女がある事件をきっかけに凄惨な復讐劇を繰り広げていく…というものなのですが…もうね…
怖い! グロい! 絶望!
という感じの描写と物語なんですね。
今回はそんな漫画「ミスミソウ」のあらすじ・ネタバレをお届けします。
復讐の果て、漫画最終回で描かれた結末とは!?
漫画「ミスミソウ」あらすじネタバレ!
親の都合で東京からド田舎の中学校に転校してきた野咲春花は、イジメられていた。
春花は卒業を二か月後に控えた3年生。
十数人しかいないクラスメイト達は、卒業間近になって転校してきた春花を疎ましく思っているのだろう。
学校は春花たちの代で廃校となるため、教師たちも熱心ではなく、いじめは黙認されている。
そんな中でただ一人、相場晄というクラスメイトだけが春花の味方をしてくれていた。
カメラ片手に写真を撮っている相場に、春花が話しかける。
「何撮ってるの?」
「三角草。この草は厳しい冬を耐え抜いた後、雪を割るようにして小さな花が咲く。春が来て卒業すれば、今よりもっと笑って過ごせる日がくるだろ」
ミスミソウの花言葉は「はにかみや」
相場は春花に似合う植物だと言って笑った。つられて、春花も微笑んだ。
だが、春花を取り巻く状況は日に日に悪化していった。
くつを隠される。誰も来ないようなゴミ捨て場の深い穴の中に落とされる。
こんなものは序の口だった。
画鋲を靴底にくっつけた上履きで背中を蹴られる。押しピンで体中をめった刺しにされる。
もはや「いじめ」と呼べないほどに、その行為はエスカレートしていた。
常軌を逸している。狂っている。
春花は学校へ行くことを諦め、相場と一緒に写真を撮りながら日々を過ごすようになった。
平穏で幸せな日々。春花は相場の優しさに心惹かれていく。
だが、穏やかな日々は長くは続かなかった。
それどころか、決定的に壊されてしまった。
優しかった父や母、そして幼く可愛かった妹の祥子。
春花の家族は、みな焼け焦げてしまった。
家が放火されたのだ。
玄関には、中の人間が出られないように、棒がつっかえてあった。
両親は他界。父が懸命に守った祥子は一命を取りとめたものの、見るも無残な姿に変り果ててしまった。
祥子は今、全身に包帯が巻かれた祥子は意識不明の重体で、病院のベッドの上に寝かされている。
春花「いやああああああああああ!!!」
いったいどうして、こんなことになってしまったのだろう…?
登場人物
野咲春花
クラスメートの放火により両親を失う。
(あいばみつる)
相場晄春花を支える少年。家事の現場から祥子を救出した。カメラが趣味。
小黒妙子
いじめを扇動していたが放火事件には無関与。クラスのリーダー的存在。
佐山流美
春花が学校に来なくなったことで、新たなイジメの標的にされた。それを逆恨みして放火を首謀した。
★放火事件に関与したクラスメートたち
橘吉絵
両親はクズ。家庭環境のストレスをいじめの原動力にしていた。
加藤理佐子
事件の大きさに怯えながらも放火を見過ごした。
三島ゆり
上に同じ
久賀秀利
金髪でピアス。放火を煽った張本人。
真宮裕明
ボウガンで動物を撃つことが趣味。凶暴。
池川努
真宮とつるむ。モデルガンなどの改造が得意。
南京子
春花たちのクラスの担任教師。学生時代に受けたイジメのトラウマを持つ。
教師としての責任感や使命感はない。
野咲満雄
春花と祥子の祖父。両親を失った2人の保護者となる。
幕開け
流美「ま、バレても大丈夫でしょ?なんせ、私たちはまだ中学生なんだから…」
春花の家に放火したのは、春花をイジメていたクラスメイト達だった。
三島や加藤のように事件の大きさに怯えるものがいたが、そのほとんどには罪悪感も反省もない。
そんな中、春花は再び学校へと通いだした。
事件のショックから、春花は声を失ってしまっている。
放火の首謀者である流美はそんな春花のことが気に入らない。
流美は背後から春花に近づくと、薄ら笑いを浮かべて言った。
流美「バーベキューの焼き具合はどうだったの?」
その言葉を聞いて振り返った春花の目に、深い憎悪と闇が宿っているように感じて、流美はゾッとした。
流美(あの表情…私たちがやったって気づいてる…?)
春花のことが気に食わないのは、流美だけではなかった。
放課後。率先して春花をイジメていた女子の一人・吉絵は、春花を人目のないゴミ捨て場へと呼び出した。
取り巻きの三島や加藤も一緒だ。
吉絵の傍には、灯油が用意されている。
彼女は、家族と同じように春花も焼いてしまうつもりなのだ。
吉絵「人間バーベキューを始めようや。何ビビってんの、私たち見るのは初めてじゃないんだから…。あの時はスゴかったよねぇ。コイツの母親が焼けるトコ。バカみたいにわめきながら暴れちゃってさ、あの慌てぶりが滑稽で笑いがこみあげてきたよ」
吉絵は邪悪な笑みを浮かべ、うなだれている春花に向けてさらに口を開く。
吉絵「あのとき、私は初めて自分が生きてることを実感できた。アンタの母親のおかげでホントにいい経験だったわ」
吉絵は取り巻きに命令して、春花に灯油をかけさせる。
そして、まさに吉絵がマッチを擦って春花に火をつけようとしたその時だった。
「…え?」
勢いよく起き上がった春花が、手にした釘を思いっきり吉絵の目に突き立てていた。
「野ざっ…」
吉絵が隠し持っていた果物ナイフを構えるよりも早く、春花は落ちていた鉄パイプを振りかぶっていた。
ゴッゴッゴッ、ゴシャァ!
何度も何度も鉄パイプを振り下ろす、血しぶきが舞う。
吉絵が動かなくなると、春花は果物ナイフを拾って加藤・三島の方へと歩き出す。
「まってよ…ほんとちょっとまってぇ~~・ちがうの、きいて、わたし…関係ないの~~~」
じりじりと逃げようとしている2人に、向かって春花は躊躇なくナイフを振るう。
骨ごと指が切断される。
「ひっ…ひぃぃ…!」
皮一枚残して足首が切断される。
「マ…マ…ママ!ママ~~!!」
春花は3人が動かなくなるまで、容赦なく鉄パイプを振るった。
…町には大雪が降り始めた。
次なる標的
翌日。大雪はまだ降り続いている。
ただでさえ人目につかない現場だったのに加えて、この雪が「3人」を隠してくれている。
…まだ春花の凶行は露見していない。
流美の放火を煽った久賀が一人で吹雪の中帰っていると、前方に春花の姿が見えてくる。
「お前サボりか?俺に何か用かよ」
無言のまま春花はなおも近づいてくる。
気味悪く思った久賀は、目の前まで迫ってきた春花を突き飛ばした。
「…あ…?」
久賀の腹部から血がにじみ出ている。
春花は立ち上がって、手にした包丁を振るう。
シャッ
久賀の口の中から横なぎされた一閃は、口内から頬にかけての部分を切れ味良く切断した。
「ひ!ひいいいい!」
逃げる久賀を、包丁を手にした春花が追う。
「た…たす…」
無我夢中で逃げまどう久賀は、足を滑らせて古井戸へと落下。
深い井戸に落ちた久賀を放置して、春花は姿を消した。
久賀は助けを呼ぼうとするも、口の怪我の痛みで上手く声が出せない。
あたり一面は猛吹雪。
人が通りがかることはない。
吹雪のため、翌日からの学校は休校になった。
正面対決
放火に関係した生徒が4人も行方不明になっている。
…もはや、春花が無関係だとは思えない。
真宮・池川の凶器コンビは、やられる前にやれと思い立ち、自分たちから春花を仕留めに行くことにした。
真宮「復讐の鬼なんかに俺たちは負けねぇ。鬼退治してやる」
相変わらず雪が降り続いている。
春花は相場に教えてもらったミスミソウを見に、人気の少ない林道に向かっていた。
戦闘開始の合図は「パシュッ」と音を立てて春花の傘を貫いたボウガンの矢の音。
気づかれずに撃った真宮の第一撃は外れ。
春花は急いで木立の中に身を隠した。
真宮と池川は二手に分かれて「狩り」をすることに。
改造モデルガンを手に、池川は春花と出会った時のことを思い出していた。
あまりに美しい存在。だからこそ、自分ではどんなに望んでも手が届かない…。
春花への恋慕は憎悪へと裏返り、今、池川を突き動かしていた。
春花を先に見つけたのは池川だった。
池川は春花を押し倒して馬乗りになると、ナイフを振りかぶる。
池川「僕を拒絶したこと…後悔してよ…っ!!」
その腕が振り下ろされるより、春花が下からハサミを池川の鼻に突き立てるほうが早かった。
刃は両方の鼻の穴にそれぞれ突っ込まれている。
バツン!
春花は手に力を籠め、鼻の境界線を断ち切った。
そのままハサミを顔の奥へと突き刺す。
「ぎゃああああああ!!!」
悲鳴を聞いた真宮が離れた場所から春花を狙撃する。
「あっ」
だが、その矢は近くにいた池川の頭を貫いた。
「ひ…ひひひ…」
錯乱した池川は真宮に詰め寄るとボウガンをはたき落とし、狂った叫びを上げる。
「すぎだ、すすすすすきなんだ。のざぎぐん!」
真宮を春花と間違えているのだろうか。
真宮「とち狂いやがって!」
真宮が池川を蹴り飛ばすと、はずみで池川の頭から脳がこぼれ落ちた。
そして、春花はそんなやりとりの隙を見逃さなかった。
後ろからナイフを真宮の腹部に深々と突き立てると、そのまま腹を切り裂いた。
真宮の腹から臓物がこぼれ落ちる。
真宮「ちょっ…ちょっと…ちょっとタイム!!」
聞く耳はない。突き出された手を両断する。
真宮「ちょっとタイムっていってんだろーーーが!」
真宮は傷をかばいながら林道を逃げ惑う。
気づけばそこは、氷の張った池の上。
真宮(くそ…あ、あんな女、楽勝だったのによ…!)
ズドッ!
真宮の目が最後に捉えたのは、ボウガンを構えた春花の凍てつくような眼差しだった。
池に張った薄氷が割れる。
真宮は池の中へと沈んだ。
希望
春花の様子は、以前とは全く変わってしまっていた。
その目には光が宿っておらず、無反応無感情。
そんな春花を闇から救い上げたのは、相場だった。
相場は罪悪感に苛まれる春花にそっと寄り添い、心のこもった言葉を投げかける。
相場「今が苦しい状況でも…先が…未来が…苦しい状況とは限らないだろ?その時まで耐えなきゃ…。安心しろ、野咲。俺も野咲と一緒に耐える。俺がお前を支える…!」
涙を流す春花を抱きしめ、キスをする。
相場晄こそ、春花にとって一筋の光。
春花「…ありがとう…」
中学卒業後、春花は祖父と一緒に東京に戻ることになっている。
相場は「俺も東京に行く。おまえの近くにいたいんだ」と言ってくれた。
少しだけかつての自分を取り戻せた春花は、祖父に向かって言う。
「私は…お父さんとお母さんのためにも、精一杯生きたい。しょーちゃんも…こんなに生きようと頑張ってるのに、お姉ちゃんの私がいつまでも後ろ向きじゃ…だめだから…。おじいちゃんにも心配かけたくない」
祖父はその言葉を聞いて静かに涙を流していた。
小黒妙子
町にはまだ雪が降り続いている。学校はずっと休校中。
誰もいないバス停で、春花は小黒と出会った。
最初こそ憎まれ口を叩いていた小黒だったが、次第に懺悔の言葉を口にし始める。
小黒「謝って済むハナシじゃないのはわかってる…自分が取り返しのつかないことをしたのも自覚してる。ねえ、どうすればいい?私…アンタになんていえばいい…?」
春花は静かに首を振り、もう十分だと伝える。
春花が最初に転校してきたとき、最初に話しかけてくれたのは小黒だった。
小黒とはずぐに仲良くなり、密かに美容師になる夢も打ち明けてくれた。
それなのに、相場と親密になったせいで小黒を傷つけてしまった。
春花はそのことをずっと後ろめたく思っていたのだ。
小黒「違うよ。べつに…相場のことでアンタに嫉妬してたワケじゃないよ」
小黒(私は…あんな男に傾いていく野咲が許せなかった。私だけを見て欲しかった)
小黒が好きだったのは相場ではなく春花の方だった。
本当の気持ちを打ち明けることなく去っていく小黒の背に、春花は声をかける。
「小黒さん、胸を張って生きて」
その言葉に振り向いた小黒は泣き出す一歩手前の表情を浮かべていた。
懺悔するように春花の前にひざまずき、絞り出すように言う。
小黒「…野咲…。私を…許して…」
野咲と別れ、帰路についた小黒。
その小黒の背に向けて走ってくる足音が聞こえてくる。
流美だ。
その手には包丁が握られている。
いくら「春花に始末される。助けて!」と言っても、小黒は全くとり合おうとしなかった。
(たえちゃんのためにやったのに!)
最初の一撃は空振り。
小黒が流美に気づいて身をかわし、足をかけて転ばせた。
小黒「流美…テメェ…上等だよこの野郎。何を逆恨みしてんのか知らないけど、ちょうどよかったわ。アンタには本当にウンザリしてたから…!」
小黒も懐からナイフを取り出し、流美と対峙する。
刃物で切りつけ合う2人。
流美「まさかアンタがあの女に特別な感情を抱いていたなんてね!クラスのボス面して、野咲に対してみんなに敵対心植え付けて、なんのために私はあの女の家を…!」
小黒「クソウゼーんだよ!おまえも…クラスの奴らも!勝手に病んで…勝手に暴走して、虫唾が走る!特にオメーはな流美…!気色悪くて吐き気がするんだよ!」
流美「ふざけんなあああああ!!!」
ドッ!
流美の包丁が、小黒の胸を貫いた。
流美「ぜんぶおまえが悪い…っ!」
倒れ伏した物言わぬ小黒に向かって、流美は独白する。
流美「小黒さんの怖いものなしの堂々とした存在感が憧れで…好きだった。今はボロ雑巾にしか見えない」
流美「…次は野咲だ。アイツがその気なら…こっちだって…」
やられる前にやれ。今、生き残っているのは流美、春花、相場の3人だ。
薄れゆく意識の中で、小黒は流美にグサグサと刺された手を見ながら思う。
小黒(こんな右手じゃあ、ハサミ持てないじゃん…)
南京子
生徒の多くが行方不明になっている。
担任教師である京子はその責任を親たちに追及されていた。
だが、内心京子は「ざまあみろ」と思っている。
いじめをする人間に生きている価値などないのだ…。
ふてぶてしい態度を貫く京子に、親たちは「あんたがやったんじゃないのか?」と疑いをかけ始める。
親「アンタらもわかってんだろ!?自分の子供がやられるタイプではなく…やるタイプだってな…!安心できるんだ。自分の子供がイジメられるより、イジメる側ならそこまで心配しなくていいってな…!」
親たちの姿が、かつて自分をイジメた連中に重なる。
京子は耐えきれず、胃の中のものをすべて吐いてしまった。
親「前々からアンタは少しおかしいって思っていたんだ!本当のことをいえ!オイ!」
親たちは勢いにのって京子への追及を強める。
限界だった。
まずは両目に指を突っ込んだ。
続いて唇を噛みちぎる。
親たちの絶叫が響く。
京子は建物の外へ逃げ出したが、入り口のところで足を滑らせて転んでしまう。
(私は…あの忌まわしい過去を塗り替えるべく…中学時代をやり直したかった…)
うずくまる京子に向けて地響きが近づいてくる。
(たとえ教師の立場でも…友達を作って中学校を…)
除雪車だ。
(卒業したかった)
血が飛び散る。
京子は除雪車に巻き込まれ肉片となった。
最終回 (1)
春花が祥子の病室へ行くと、そこには包丁を携えた流美がいた。
流美は自衛の手段としてあらかじめ病室中に灯油をまいており、もう片方の手にはライターが握られていた。
流美「ふふ…二度も妹を焼かれたくはないでしょ?これ以上焦がしたら、もう食べられなくなっちゃうよ。アンタの大切なバーベキュー」
その言葉を聞いた春花の胸に、再び憎しみの炎がともる。
春花は一瞬の隙をついて流美を押し倒すと、馬乗りになって首を絞めた。
流美「妹の前で…やるの?」
動揺した春花を押しのけて立ち上がった流美だったが、ちょうど医師たちが病室に入ってきたためその場からは撤退した。
医師は春花に「おじいちゃんが何者かに殴られて緊急搬送された」と伝える。
流美はさっきまでここにいた…。
ならば、いったい誰が祖父を襲ったのか?
気がつけば、流美と入れ替わりに現れていた相場の姿が消えている。
「野咲が病院にいるって聞いてさ。会いたくて来ちまったよ。野咲、心配するな。妹がいなくなっても俺がいるじゃないか」
そういえば、相場は誰から春花が病院にいると聞いたのだろう?
春花は走って病院を飛び出すと、相場に追いついた。
春花「手…見せて。相場君」
相場「…」
相場にあわせて歩いているうちに、あたりは人気のない林道に変わっていく。
春花「手を見せて」
春花が無理やり相場の手を取ると、やはりその手は誰かを殴ってくたことを物語っていた。
相場「違うんだ、野咲!」
相場は弁明する。
これは昨日、自分の保護者である祖母を殴った痕なのだと。
相場は自分が東京に出て春花と暮らすことを認めない祖母を延々と殴り説得したのだと語る。
相場「大人たちは何もわかっていない。俺と野咲ならきっとうまくやっていける。そうだろ、野咲…?」
差し出された手を、春花は叩き落とす。
そうか…相場晄さえも、狂っていたのか…。
春花は知らぬことだが、相場はDV家庭に育ち、共依存関係にある両親を見て育った。意識では否定しつつ、相場もまた暴力によって支配する性質を受け継いでしまっていたのだ。
家庭から父親を追い出した相場は、母親から請われて守りたかったはずの母親を殴る日々を過ごしていた。
相場「…母さんにも捨てられたのに、野咲まで俺を捨てるのか。一緒にいるって、俺がお前を支えるって、誓った仲じゃないか!」
最終回 (2)
「あ~、クソウゼェ…。後をつけてみたらこんなところで恋愛ごっこかよ。異常者同士の」
そこに現れたのは流美。
「オメーが転校してくるまで、それなりに上手くやってたんだ。普通に卒業するはずだったのに、部外者がクラスをかき混ぜやがって…」
春花「それで火をつけたの?お父さんやお母さん…しょーちゃんは全然関係ないのに!」
「最初はさ…ちょっと家を燃やすだけのつもりだったのに」
流美はあの日の真実を語り始める。
本当は小火程度のいたずらにするはずだったのに、春花の母親に見つかってしまい、久賀がちょっとしたミスで母親に火をつけてしまった。
そこからは流美が家を封鎖し、父親と祥子が残る家に火をつけた…。
嬉々として事細かに残虐な行為を語る流美に、春花はもう我慢できなかった。
「あああああ!」
叫びながら流美に突っ込んでいく。だが、これは挑発であり、流美の作戦だった。
ズッ!
懐から包丁を取り出した流美が、春花の腹に深々と包丁を突き立てる。
相場「佐山ぁ!」
すかさず相場が駆け寄り、流美をボコボコに殴り始める。
相場のカバンが飛び、中から写真が飛び散る。
その中の一枚に、春花の目は釘付けになった。
焼け焦げている父と妹の写真。
あの日、燃え盛る家に相場は突っ込んでいってくれた…。その時に撮ったものだろう。
相場「ち、違うんだ、野咲…!」
だが、相場のどんな弁明も、もはや春花の耳には届かない。
春花「あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”!」
春花は腹に突き立つ包丁を引き抜くと、相場に向けて勢いよく振り下ろした。
「ひっ」
グサッ!
相場がとっさに盾にした流美の首筋に包丁が突き刺さっている。致命傷だ。
相場は流美ごと春花を突き飛ばし、倒れた春花を殴りつけ始めた。
「俺から離れようとするどころか、刺そうとするなんて…。俺が、守るっていっただろう。俺が守るっていったじゃねーかよお!!野咲ィッ!」
ゴッゴッ!!
あれからどれくらいの時間が経ったのだろうか。
背を向けてうずくまる春花から少し離れたとこでカメラを構え、相場は春花に言葉をかけていた。
「あの妹はどうせ長くは生きられない。じいさんがいなくなればお前は独りだ。頼れる人間は俺だけ。そうだろ…?どうしてわかってくれないんだ野咲…」
ふと見やると、あたりにはミスミソウが小さな花をつけていた。
この場所は、春花が相場からミスミソウの話を聞いたあの林道だ。
「そのケガじゃおまえはここで散ってしまう。俺と生きると約束してくれ。それから一緒に病院に行こう。そしてふたりで暮らすんだ。春を迎えて、お前の笑顔がまた撮りたいんだ、野咲…」
バッ!
相場がレンズを覗き込んだ瞬間、勢いよく春花が振り返った。
手にはボウガンが握られている。
ここ、真宮や池川と闘った場所でもあったのだ。
放たれた矢はカメラを貫通し、相場の眼球に深々と突き刺さった。
声もなく、相場が倒れ伏す。
春花は立ち上がると、一人歩き始めた。
胸に下げていたペンダントを取り出す。いつか祥子からもらったものだ。
春花「しょーちゃん」
復讐は終わった。春花の目からは次々に涙があふれてくる。
あたり一面は吹雪。腹には包丁の刺し傷。
春花はその場にうずくまって泣き続けた。
(おじいちゃん、心配かけて…ごめんね。お父さん、守ってくれて…うれしかった。もっと甘えたかったよ…お母さん)
(しょーちゃん、ごめんね───)
結末
吹雪がやみ、行方不明生徒たちの遺体が次々に発見された。
中学校最後の卒業式は、多くの生徒が欠けた状態で執り行われた。
春花の祖父・満雄は町から出る電車の中で、目の前の春花に向けて話しかけた。
「春花…寒い思いはしてないか?…お腹は空いてないか?…寂しい思いは…」
祖父の目に涙がにじむ。
「春花…ごめんなぁ…お前に辛い思いをさせて…。ずっと一人で苦しんでいたのに…おじいちゃんは全然気づいてあげられなかった…。何の助けにもならなかったおじいちゃんを…どうか許してくれ…。春花…」
改めて前を見る。そこに春花の姿はない。
春花も、祥子も、もうこの世にはいない。
「祥子…春花…」
町から離れるにつれ、温かくなっていくようだ。車窓からは満開の桜が見える。
「春が来たよ」
<ミスミソウ・完>
感想と解説
登場人物全滅!!(おじいちゃん以外)
最終回で迎えたのは、まったく救いのない結末でした。
まさか唯一の希望だった相場君までクレイジー人物であり、その上、春花まで助からないなんて…。
確かに「トラウマ漫画」と呼ばれるだけのことはありますね。
結末だけではなく、春花の復讐シーンとかホントにグロすぎですし。
間違いなく実写化される映画「ミスミソウ」はR15指定でしょう。
復讐モードの春花ちゃん怖すぎ…。
あと流美、お前だけは許さねぇ。絶対にだ!
「ミスミソウ」解説
改めて事件を振り返ってみると、実はこの町(中学校)自体がもともと狂っていたわけではないんですよね。
流美が言う通り、春花が来るまではみんな普通に過ごしていたんです。
それがなぜあんなことになったのかというと、キーマンはクラスのリーダー格だった小黒妙子。
彼女は春花のことを好きになるのですが、その春花は相場と親密になり始める。
小黒はこの時点で相場の本性を見抜いており、そんな男に近づく春花への愛が裏返っていじめへと発展させてしまった。
で、放火事件の主犯格は久賀と流美なんですが、この2人はどっちも別々の意味で小黒のことが好きだったわけで。
※久賀は普通に異性として、流美は憧れとして
2人は小黒に気に入られたいがために行動をエスカレートさせてしまったんですね。
そんなこと小黒は本心では望んでいないのに。
…てな感じで、もちろん春花は悪くないんですが、そのほかのメンバーも100%悪意の塊だったかと言うとそうではなく、運命のいたずらともいえる「掛け違い」によってあんな凶悪な顛末になってしまったのです。
それぞれの生徒の中には家庭環境に問題を抱える者も少なくなく、そういう意味では親世代のつけが子供たちに回ってきた事件だったとも言えるのかもしれません。
ただし、それらを加味しても流美、テメェだけは許さねえ。絶対にだ!
まとめ
今回は漫画「ミスミソウ」のあらすじ・ネタバレ・解説などをお届けしました!
最初は「最後には希望ある結末がまっているんでしょ…?」と思っていましたが、最終回のふたを開けてみればまさかの全滅エンド!
1ミリの希望もないラストには、衝撃を受けました。
ちなみに、実写映画はR-15指定になっています。
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