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漫画「刻刻」のあらすじとネタバレ!最終回の結末は?

漫画「刻刻」全8巻を一気読みしたのですが…おもしろい!

「時が止まった世界」という特殊な状況下で繰り広げられる緊迫したバトル!

徐々に明らかになっていく敵の目的や世界の真実。

そして、あの最終回!

他に類を見ないような独特な面白さのある作品でした。

というわけで、今回は漫画「刻刻」のあらすじネタバレをお届けします!

予測不能! 衝撃的な結末とは!?

佑河家の人々

・樹里(28)…主人公。彼氏と別れたばかり。就職活動中。

・じいさん…樹里の祖父。

・貴文…樹里の父。無職の「中年ニート」

・翼(31)…樹里の兄。ひきこもり。

・早苗(25)…樹里の妹。シングルマザー。

・真…早苗の息子。幼稚園に通っている。

 

あらすじ

真が誘拐された!

珍しく幼稚園まで迎えに行っていた翼も一緒に拉致された。

犯人から身代金要求の電話が入るが、どう考えても指定された時間には間に合わない!

佑河家最大のピンチ!

覚悟を決めたような表情をした爺さんが手にしたのは、テレビの上に置いてあった『石』

爺さんは石の頂点に開いている穴に血を注ぐと、呪文を唱えた。

「衛盒(えいごう)…」

白いクラゲのような霊が爺さん、樹里、貴文の体に入ってくる。

そして気づけば…時が止まっていた。

爺さん「行くか。時間はいくらでもある」

 

漫画「刻刻」あらすじネタバレ

止界にて

流れていく時間の一瞬を切り取った世界…『止界』

佑河家は代々「止界術」とそれを発動させるための「石」を受け継いできた家系だった。

樹里は幼い頃に一度だけ爺さんに連れられて止界に入ったことがある。

ずっと夢だと思ってきたそれが、まさか現実の出来事だったとは…。

状況に混乱しつつも、樹里たちは真と翼の救出に向かう。

誘拐犯たちは軒並み『止者(時間が止まっている状態の人間)』になってしまっている。

救出は簡単に済む…はずだった。

ところが、2人を助けようとしたその時、『敵』が現れた。

時間が止まっているはずの止界の中で、なぜか動いている正体不明の人間たち。

手に武器を持って襲ってくる。

とっさに爺さんは『瞬間移動』の能力を使って、樹里とその場から逃げた。

 

【補足解説】

敵の正体

宗教団体「実愛会」。

教祖・佐河がリーダー。

佑河家の石(本石)の付属品である「属石」を使って止界に侵入してきた。

※属石単体では止界に出入りできない。本石の発動にあわせて起動するしかない。

真と翼の安全

止者の命を奪おうとすると、それに反応して『神ノ離忍(カヌリニ)』と呼ばれる人型の化け物が現れて、害意ある人間の命を奪う。

つまり、止者である真と翼の身柄は安全。ちなみに貴文は普通に置いてきた。

瞬間移動

最大10メートルくらいの距離を一瞬で移動できる。

誰かを連れて飛ぶことも可能。

ただし、正確な狙いはつけられず、頭から着地することも。

これは体内に入った白いクラゲこと『霊回忍(タマワニ)』の力。代々止界と関係のあった祐河家の人間は、このような特殊能力に目覚めることがある。

 

 

覚醒

爺さんは捕らわれた貴文を助けるため、敵の本拠地へ。

一方、樹里は『石』を確保するため一度自宅に戻る。

しかし、そこにはすでに敵がいて、祐河家の人間を待ち伏せしていた。

多勢に無勢。

ピンチに陥ったその時、樹里にも能力が覚醒する。

『手で触れた相手の中から、霊回忍を追い出す』

霊回忍が身体から抜ければ、もう止界内で活動することはできない。

つまり、樹里に触れられたものは止者となり、無力化されてしまうのだ。

ある意味、最強の能力。

樹里は能力を使って石を取り戻すと、その場から逃走。

樹里を案じて一度戻ってきた爺さんと合流した。

 

【補足解説】

実愛会の目的

本石を使って世界を救済する。

そのためにまず佑河家の人間を誘拐させ、本石を使わせた。

目的は石の奪取。

翼と真

神ノ離忍や樹里の能力によって人体の外に出た霊回忍は、佑河家の血に惹かれて翼と真の体内に入った。

結果、2人は止界内で動けるように。

実愛会の監視下から逃げ出した。

佐河の相談役

敵の一味に間島という女がいる。

間島は幼い頃に止界に入った経験があり、そこで両親と兄を失った。

間島自身も危ないところだったが、同じく止界内にいた樹里の能力により通常世界に戻ってきた。

※止界内で精神の安定を失った人間は神ノ離忍になってしまう。間島の家族は神ノ離忍化した。

 

 

一家合流

樹里と爺さんは実愛会の本拠地から貴文を奪還。

そのまま佑河家へと向かった。

一方、その佑河家には一足先に翼と真が帰ってきていた。

2人が家の中に足を踏み入れると、実愛会の残党が襲い掛かってくる。

真を逃がした翼は無我夢中になって実愛会の刺客と戦闘。

これを返り討ちにすることに成功した。

だが、ふと我に返ってみると真の姿が見えない。

翼にとって、この意味のわからない世界での心の拠りどころは家族だけ。

絶望から精神のバランスを崩してしまった翼は神ノ離忍化へと変貌し始めた…。

 

【補足解説】

間島の目的

間島の目的は神ノ離忍となった家族を救い出すこと。

樹里の能力があれば、それも可能かもしれない。

間島は実愛会に雇われていた迫と一緒に佑河家を追う。

※事実上、実愛会グループからの離脱

 

 

間島の家族

間一髪。翼の神ノ離忍化に遭遇した樹里は、霊回忍を追い出す能力で翼を止者化。神ノ離忍化を阻止した。

一方、佑河家から逃げた真は間島たちに捕まっていた。

間島は真の安全を条件に、家族の奪還を樹里に命じる。

樹里「あなたを手伝う。…でも、あなたがやったことは許さない」

一行は止者への殺意をエサに神ノ離忍を呼び出す。

狙い通り、出てきたのは間島の家族の成れの果て。

激しい攻防の末、樹里は3体の神ノ離忍から霊回忍を追い出した。

神ノ離忍の中から現れたのは…両親の骸。

そして、奇跡的に生存していた間島の兄(神ノ離忍化した当時、子供の頃のままの外見)

樹里はすぐに間島の兄を止者化。

これにより、間島の目的が達成された。

樹里「元の世界に無事に戻ったら、あの石を処分する。あなたに…立ち会ってほしい」

涙の跡が残る顔を伏せたまま、間島は頷いた。

もう二度と、同じ悲劇を繰り返さないために。

 

迫「俺らは実愛会には戻らねえ。お前らと組む」

個人的な憎しみを堪えて、樹里たちは迫・間島と手を組むことに。

残る実愛会側のメンバーは7人。それも一枚岩ではない。

世界の救済を目指す信者が、教祖・佐河の真の目的を知ったことで離反。

佐河と敵対する勢力となっていた。

 

佐河の目的。それは…

佐河「世界を永く見たい。理想を言えば、人の何千倍もの長さの時間を見たい。私を少し手伝ってくれれば…実愛会を君(潮見)にやるよ」

文献によれば、実愛会の創始者は500年は生きていた。

霊回忍を制御することができれば、人間には到底不可能だと思われる佐河の個人的な願望も叶うはずだ。

佐河は今後の実愛会の事件を報酬に、外部から雇った潮見を仲間に引き入れた。

…その会話を実愛会の信者に聞かれているとも知らずに。

 

隠していた本石が、実愛会の人間に見つかってしまう。

佐河は当然のように石を引き渡すよう命じるが、ここで信者・宮尾の疑念が爆発。

ナイフを片手に、佐河との敵対を表明した。

だが、凶器を見せられても佐河は少しも動じない。

佐河「好機かもしれないな…。予定より少し早いが…。最後の講話です。霊回忍の完全支配とはどういうものか…うまく…実演できるかな…」

佐河の身体に異変が現れる。それは神ノ離忍化する時の予兆とよく似ていた…。

 

【補足解説】

潮見

祐河家を盗撮するために実愛会が外部から雇った人間。

合理主義者であり、自分に利益があると判断して佐河の側についた。

 

 

佐河、覚醒

佐河の言う「霊回忍の完全支配」とは、自我を残したままの神ノ離忍化。

佐河は霊回忍の制御に成功し、意識を残したまま神ノ離忍の力を手に入れた。

もはや実愛会の人間など佐河の敵ではない。

佐河はまず「この世界にまだ他の神ノ離忍はいるのか?」を調べるため、実愛会の人間に命令し、止者化した翼を刺させようとする。

先ほどまでいた間島の家族の神ノ離忍はもういない…。

もし他に神ノ離忍がいなければ、翼の命が危ない…!

こっそりと状況を見ていた樹里だったが、思わず飛び出し、実愛会の人間を止者化した。

だが、今の佐河とまともにやりあうのは危険すぎる。

爺さんはとっさの判断で樹里を連れて瞬間移動。そのまま、その場から逃走した。

…佐河は追ってこない。

翼はそのまま人質として佐河に連れていかれてしまった。

 

佐河と潮見はスーパーへと移動。

神ノ離忍となった佐河の身体はエネルギー消耗が激しく、食事が必要だったのだ。

間島はスーパー内に1人でいた潮見を説得して仲間に引き入れようとするも失敗。

佐河に追い詰められてピンチに陥るも、なんとか佐河のアキレス腱を切って屋上から落とすことで、命からがら助かった。

一方、落下した佐河のダメージは軽微。

だが、息つく暇もなく、今度は佐河の前に急造りの槍を携えた熱心な信者・宮尾と、宮尾の側についた雇われ戦闘員・飛野が立ちふさがる。

足を負傷して立ち上がれない佐河から距離を取って、宮尾は槍で何度もその身体を突き刺す。

さすがの佐河もここでお終いかと思われたが…いつの間にかぐちゃぐちゃだったはずの足が歪な形に再生している。

驚異の再生能力とパワー。

見た目も力も、とっくに人間の域を超えている。

立ち上がった佐河は、槍を奪うと飛野の胸に深々と突き刺した。

 

 

VS 佐河

復活したとはいえダメージを負った佐河はその場から逃走。

樹里たちはスーパーに隠されたいた翼の奪還に成功する(本石はまだ佐河の手中)

一方、その場に残された宮尾は、一時的に佑河家と停戦することに。

一行は潮見狙いで佐河たちに奇襲を仕掛けるが、失敗。

決め手がないまま膠着状態に突入した。

 

状況に変化があったのは、それから少し後のこと。

宮尾が佐河に襲われ、重傷を負ってしまったのだ。

宮尾は駆け付けてきた樹里たちに、佐河たちが話していた会話の内容を伝える。

「…!」

佐河の狙いは厄介な能力者である爺さんを止界から追い出すこと。

奴らのもつ本石と爺さんの体液があれば、それは可能。

そして奴らは爺さんの血を手に入れたと話していた…。

急がなければ、唯一の対抗策である「瞬間移動&霊回忍追い出し」の技が封じられてしまう!

樹里たちは慌てて佐河らを追うが時すでに遅し。

爺さんの身体から霊回忍が抜け始める。

このままではマズい…!

ふと、樹里の頭に閃くものがあった。

強く念じれば、爺さんの能力で本石まで瞬間移動できるのではないか?

樹里は爺さんを鼓舞して遠距離の瞬間移動を試させる。

…成功だ!

次の瞬間、樹里と爺さんは佐河らが現在根城にしている部屋へと飛んでいた。

…だが、一度起動した術を止める方法がわからない。

一瞬の判断。

樹里は『本石を破壊して』爺さんの止者化を食い止めた。

 

もちろん、樹里はすべてを理解していた。

他の人間は、樹里の能力で通常世界に戻れる。

だが、樹里だけは本石がなければ通常世界に戻れない。

一生、この止界の中から出られない。

本石の破壊は、樹里の覚悟の表れだった。

すべては、まだ幼い真を、そして家族を守るために。

 

本石を破壊したことで状況は一変した。

状況を理解した瞬間、潮見は寝返りを決意(自分が外に出るため)

樹里たちと一緒に、爺さんの能力でその場から離脱した。

 

【補足解説】

飛野の変貌

重傷を負った飛野は命が尽きる前に神ノ離忍化した。

だが、従来の神ノ離忍とは様子が明らかに異なる。

その一例として、常に実体化している。狂った神ノ離忍。

これも佐河というイレギュラーの影響なのか。

真の覚醒

真にも能力が発言した。それは『神ノ離忍を操る能力』

神ノ離忍化した飛野は、真の意のままに動くように。

 

 

激化する闘い

味方になった潮見は。佐河の目的を語った。

『歴史や宇宙の行く末を見届けるものになること』

佐河によれば、霊回忍を制御することができれば、止界での活動とは『逆』のことができるのだという。

即ち、通常世界での止者化。

自分の時間を極限まで遅くすることにより、相対的に世界の時間が矢のように過ぎていく…。

それはつまり、未来への移動。

人類はどのように栄枯盛衰していくのか?

宇宙開発の末には、何が待っているのか?

100年程度しか生きられない人間には知りえない未来の世界を見ること。

佐河の目的は『真理の体感』と言うべきものだった。

 

一方、当の佐河は真の操る神ノ離忍(飛野)と戦闘していた。

飛野は善戦し、佐河を激しく消耗させることに成功。

今や、佐河の身体はエネルギー不足でヒョロヒョロ…力に溢れていた先ほどまでの面影はない。

真のところに瞬間移動してきた樹里と爺さんは勝利を確信するが、佐河の執念は想像を超えるものだった。

佐河は、飛野を『食べた』

神ノ離忍の中心部にある人間の内臓を、エネルギーにするために。

思わぬ奇襲により、飛野は無力化した。

だが、依然として佐河の身体は弱ったまま。

佐河はその場から逃亡した。

…だが、ここで佐河を逃がす手はない。

回復の隙なく追い詰めるため、樹里が先行して佐河の後を追う。

そしてついに、樹里は満身創痍の佐河を追い詰めた。

決着をつけようとした、その時だった。

「俺が出してやろうか。お前を、止界から」

予想外の言葉に、樹里は動揺する。

後から追いついてきた爺さんは、樹里よりも激しくその言葉に惹かれているようだ。

佐河はなおも言葉を紡ぐ。

ここで和平を締結すれば、今後一切、お互いに干渉しない。

佐河が真理の探究者になろうと、現代には何一つ影響はない。

樹里たちは、再び平穏な日常へと戻れる…。

その場の雰囲気が緩む。和平成立を佐河は確信した。

だが…

樹里は鋭く踏み込むと、佐河に触れて霊回忍を追い出そうとした。

会話の中の小さな違和感。

樹里は佐河の言葉がその場しのぎの嘘であることを見抜いていた。

「…残念。しゃべり過ぎたか」

 

樹里の能力にも抵抗して見せた佐河だったが、すでに衰弱しきっている。

これからの家族の安全を思えば、いっそこの場で始末しておくべきだ…。

樹里を庇って「自分がとどめを刺す」と言ったものの、爺さんは元人間の命を奪うことに躊躇して踏み出せない。

すると…

「ふん!ふん!ふん!…成敗」

いきなり後ろからしゃしゃり出てきた貴文が、何の躊躇もなく佐河を模造刀でめった刺しにした。

手柄は頂いたと言わんばかりのドヤ顔。

威張り散らす貴文を目前にして、樹里と爺さんは心底あきれかえった。

 

…だが、まだ終わっていない。

神ノ離忍と同じように肉体が消滅したはずの佐河だったが、驚くべきことにその執念は健在だった。

『目玉と脳』

そしてそれらを取り巻く砂塵。

異形の姿に変貌した佐河は、宙を飛んでその場から逃走した。

 

次に佐河を見つけた時、その姿はまた少し変わっていた。

肺と心臓が見える。まさか、もう快復したのだろうか?

宙に浮く臓器からは、無数に『糸』が伸びている。

貴文は張り巡らされた糸を一刀両断しようとするが…切れたのは刀、そして貴文の指だった。

「はァァ―――!?」

鉄だろうと肉だろうと簡単に裂いてしまうほど強靭な『糸』

これでは中心部の佐河にたどり着けない…!

 

 

決着、そして誕生

依然として佐河らしき『何か』に動きはない。

回復しているのか、最後の悪あがきなのか…。

樹里はまず負傷した貴文を止界から追い出す。

続いて、度重なる戦闘がストレスになっていたであろう真も通常世界に戻した。

 

ふと気がつくと、佐河がさらに姿を変えていた。

糸で出来た『繭』に閉じこもっているような状態。

もう、あの気味の悪い臓器は見えない。

霊回忍と相性のいい樹里だけが、はっきりと『繭』の中の佐河の姿を視認できた。

『胎児』

繭の中にいたのは、間違いなく人間の胎児だった。

おそらく佐河の身体を再生させるに当たって、霊回忍が遺伝子を読み取りイチから作り直すことを選択したのだろう。

つまり、それは佐河の遺伝子からつくられた、まぎれもない『胎児』そのものだった。

…さすがの樹里も躊躇った。

だが、すべては家族の安全のため。

樹里は意を決して『繭』に手を重ねて、能力を使う。

ベチャ

繭は崩れ、胎児が『生まれた』

放置しておけば息の根は止まるだろう。

だが、樹里は生まれたばかりの赤ん坊を取り上げた。

「ふぎゃあ!ふぎゃあ!」

産声が上がった。

 

結局、樹里は赤ん坊を生かすことに決めた。

遺伝子が同じだからといって、同じような怪物になるとは限らない。

歪な環境ではない、まっとうな家庭で育てば、また違う人間になるだろう。

 

すべての始まりであり、最大の敵だった佐河はもういない。

すべて、終わったのだ。

樹里は残るメンバーである間島、迫、潮見を通常世界に帰した。

これで、止界内に残っているのは樹里と爺さんだけ(あとは赤ん坊と神ノ離忍飛野)

爺さんは樹里とこの止まった世界で生きていくと言い張った。

赤ん坊を育てながら、しばらく樹里と爺さん、2人だけの平穏な日々が続く。

そしてある日の夜、樹里は寝ている爺さんにそっと手を置き、通常世界に戻したのだった。

………。

……。

…。

爺さんがハッと目を覚ますと、そこは通常世界の佑河家。

泣き声を上げている赤ん坊。

テーブルの上には、樹里が書いた日記が置かれていた。

赤ん坊の成育記録。家族へのメッセージ。

その最後のページには、こう書かれていた。

『(約)152日目 ちょっと遠出します。帰ってきたらまた書くね』

その次のページは、白紙だった…。

 

 

第66話(最終回の1つ前)

止まった世界で、樹里が赤ん坊を育てている。

霊回忍を追い出す時の衝撃に耐えられるよう、ある程度まで大きくなってから通常世界に戻すつもりなのだ。

初めての子育て。夜泣き。お出かけ。

気づけば赤ん坊は充分に大きくなっていた。

「あんた、このままあたしと暮らす?あたしの話し相手をするためだけに、ここで生きるの。…そしたらあんたは、結局佐河以上の怪人に育っちゃうのかな」

赤ん坊を見つめる樹里は、自然と微笑んでいる。

「じゃあね」

急に泣き出した赤ん坊を前に、決心が揺らぐ。

だから、樹里は奥歯をきつく噛みしめた。

霊回忍が抜ける。もう、赤ん坊は動かない。

 

それからどのくらいの時が経ったのだろうか。

1人になった樹里は、当てもなく街をぶらついていた。

だんだんと正気が失われていくのがわかる。

(…そうか、あの子を帰したとき、あの瞬間に私という存在が終わったんだ。あれ…?そう考えるとなんか急に、楽になった)

(ああ、なんだか今やっと、この世界に慣れた気がする。ものすごい安心感が押し寄せてくる…もう大丈夫…あたしは…)

(ここで、生きて、いける)

自我が霊回忍に乗っ取られていく。

この世界で精神のバランスを崩した人間は…神ノ離忍になる。

今まさに、樹里は神ノ離忍になろうとしていた。

 

 

第67話(最終回)

抵抗する気も起きない。徐々に樹里の身体が宙に浮いていく。

(頭の中が溶けていく。それがこんなに心地いいなんて。必然なのかな。もう考えることが何もないから)

目の前がだんだん暗くなっていく。闇。

薄れゆく意識の中、かすかな樹里の意識は最後の思考を巡らせる。

(本当に…?だって、やっぱり…帰りたい、のに)

ふと、目の前に光が見える。

(なんだろう…出口…?…あそこへ行ってみよう。行けるかな。意識が完全に消える前に。あそこまで)

(…人…?)

 

人型の光に触れたと思った瞬間、樹里は目覚めた。

神ノ離忍にはなっていない。

そして目の前には…見知らぬ女性がいた。

「あんたの霊回忍は落ち着かせたから、もう大丈夫だよ」

混乱する樹里に、女性はこう自己紹介した。

「私はね、あんたが止界に来るのに使った石、それをつくった人…の嫁」

 

女性は樹里の質問に次々と答えていく。

すべての始まりは、この女性だった。

女性は生まれつき霊回忍と相性が良く、自由に止界に出入りできたし、歳もとらなかった。

そんな女性と恋に落ちたのが、止界術の創始者(明治13年没)

創始者はいつしか止界研究に没頭するようになり、実愛会の前身に身を寄せ、やがて石をつくった。

そして時が流れ…今に至るというわけだ。

 

「さて…あんたは普通に帰った方がいいね」

一通り話し終えると、女性はこともなげにそういった。

「…帰るって、どうやって」

「言ったでしょ。よくうちの人を連れてきたって。私にとっては、水や酸素の出し入れと同じ」

女性の手が樹里の手に重なる。周りの空間が変質していく。

「じゃね。昔話ができて楽しかったよ」

刹那。

樹里は通常世界に戻ってきていた。

人が歩いている。風が吹いている。音が聞こえる。

「…どうしよ。ケータイもサイフもないや…」

樹里はふらふらと家路についた。

………。

……。

…。

時が、流れた。

佑河家の人々は新しい「今日」を生きている。

翼は家を出て独り立ちした。

爺さんは天寿をまっとうしてあの世へ旅立った。

真も成長しているし、何よりあの赤ん坊が元気な子供になっている。

「ママ!」

佐河だった子供は、樹里のことをそう呼ぶ。

2人は本当の親子のように、何気ない会話を交わして笑いあう。

チッチッチッ…。

時計が時を刻んでいる。

チッチッチッ…。

刻刻と、時が刻まれていく…。

<刻刻・完>

 

 

まとめ

今回は漫画「刻刻」のあらすじとネタバレをお届けしました!

樹里・爺さん VS 佐河!

佑河家の勝利で終わるというのはセオリーとして、まさか佐河が赤ん坊として再生し、それを樹里が育てる結末になるとは誰も予想できなかったのではないでしょうか。

また、結末と言えば「樹里、神ノ離忍化!」というまさかの流れから、すべての始まりである女性に助けられ、通常世界に戻ってくるというあの最終回!

正直「うおお! やられた!」と叫びたくなるほどおもしろかったです!

そして、最後に行きつくのはタイトル「刻刻」を体現したような、時計の音だけが響く静かなラストページ。

深い余韻、しみじみとした感動の残るラストでした。

アニメ『刻刻』の配信は?

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※配信情報は2020年6月時点のものです。最新の配信状況は各サイトにてご確認ください。



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