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韓国ドラマ「シグナル」あらすじネタバレ!最終回の結末は?

韓国ドラマ「シグナル」がめちゃくちゃおもしろい!

物語の鍵となるのは『過去とつながる無線機』

現在(2015年)と過去(1989~2000年)

2つの時代で同じ事件を追う2人の刑事が『無線機』を通じて情報を交換し、事件を解決していく、というのが基本的な流れなのですが…正直そんな設定は序の口にすぎません。

  • 2000年に失踪した熱血刑事の謎
  • 少しずつ明らかになってくる警察内部の闇
  • 主人公の兄が誤認逮捕された事件の真相
  • そして「そもそもなぜ無線機はつながるのか?」という謎

事件を解決していくごとに深まっていく『謎』が最後の事件で一気に収束していくラストの展開がとにかくアツすぎる!

今回はそんな韓国ドラマ「シグナル」のあらすじとネタバレをお届けします!

最終回の結末は!?

あらすじネタバレ

始まりの事件(2000年‐2015年)

2000年7月29日に発生した『女児(キム・ユンジュン)誘拐事件』

身代金を支払ったにも関わらず、誘拐された女児は無惨にも命を奪われた。

2015年7月27日現在、容疑者である医大生の男(当時)はいまだ逮捕されていない。

時効成立まであと2日…。

 

そんな中、かつてユンジュンが誘拐される現場を目撃していたパク・ヘヨン警部補は不思議な『無線機』と出会う。

「パク警部補、あなたの言うとおりにしたら遺体を発見しました」

無線の相手(イ・ジェハン刑事)はなぜか自分のことを知っているようだ。

詳しく話を聞いてみると、ジェハンは2000年の人間であり、ユンジュン事件の容疑者とされている人物の遺体を発見したのだという。

「パク警部補、真犯人は別にいます」

遺体からは親指が切り取られている。

現場に残った指紋は真犯人の偽装工作だとジェハンは語る。

過去とつながる無線機に半信半疑ながらも、ヘヨンはジェハンの報告に動揺した。

15年前、まだ子供だったヘヨンが目撃した誘拐犯は「女性」だったからだ。

自分でもどうかしていると思いながら、ヘヨンはジェハンから聞いた現場へと向かう。

果たしてそこには…容疑者の医大生の白骨があった。

 


 

時効成立まであと2日。

捜査ミスを隠そうとする警察組織の反対を押し切り、チャ・スヒョン刑事だけがユンジョン事件の再捜査に乗り出した。

そこにプロファイリングに精通しているヘヨンも合流し、2人は真犯人へと近づいていく。

真犯人は当時医大生の恋人だった女だ…!

時効成立まで残り2時間。

容疑者の女の身柄は確保したが、自供か証拠がなければ逮捕はできない。

…いや、それ以前に何かがおかしい…?

「人違いだ!読みを誤った。逃げると思ったのに、警察の焦りを利用して捜査ミスを誘うなんて!」

確保した女は身代わり。真犯人は「怪しい女がいる」と通報してきた女の方だったのだ!

時効成立まで残り40分。

ヘヨンとスヒョンは近くで動向を探っていた真犯人の女を確保。

時効成立まで残り10分…5分…1分。

ヘヨンは言葉巧みに女から自供を引き出そうとするが…

「証拠はないのね。だから自供させようとしている。私が罪を認めると思う?」

時効成立まであと10秒…

「私は…やってないわ」

時効成立。

科学捜査によってDNAの一致(証拠)が確認されたのは、時効直後のことだった…。

 

真犯人の女は悠々と取り調べ室から出て帰ろうとするが、その手首に手錠が嵌められる。

「あなたを逮捕します」

「どういうこと!?」

科学捜査によって、新たな事実が発覚した。

女が医大生の男を手にかけたのは、日付が変わった7月30日のことだったのだ。

女児を手にかけた事件ではもはや逮捕できない。

しかし、医大生を手にかけた事件ならば話は別だ。すでに証拠も出ている。

…こうして、長らく未解決のままだった1つの事件が解決した。

 

…しかし、あの無線はいったい何だったのだろうか?

「パク警部補、これが最後の通信になるかもしれません。でも終わりじゃない。また無線はつながる。その時はあなたが説得するんです。1989年のイ・ジェハンを。過去は変えられます。諦めないでください」

あの後、再度無線がつながったとき、ジェハンは息も絶え絶えにこう言った。

そして銃声が聞こえ、無線は切れた。

いったいどういう意味なのだろうか…?

 

登場人物紹介

パク・ヘヨン

警察組織に不信感を抱くプロファイラー。

兄であるパク・ソヌはとある事件で誤認逮捕され、その後自ら命を絶った。

イ・ジェハン

無線機を通じてヘヨンと交信する過去の刑事。

2000年に失踪している。

チャ・スヒョン

長期未解決チームのチーム長。

新人時代、ジェハンの部下だった。

ジェハンに恋心を抱いており、失踪から15年経った今もその行方を探している。

キム・ボムジュ

過去ではジェハンの直属の上司であり、2015年では捜査局長。黒い噂のある人物。

アン・チス

未解決チームの責任者であり、ボムジュの右腕的存在でもある。

かつてのジェハンの同僚。

 


 

京幾南部連続殺人事件(1989年‐2015年)

ユンジョン事件をきっかけに法改正がなされ、凶悪事件における時効が廃止された。

警察は世論を受けて長期未解決事件専門のチームを設立。

そのリーダーにはユンジョン事件を解決したスヒョンが抜擢され、ヘヨンもプロファイラーとしてメンバーに加わった。

…とはいえ、警察は本気で未解決事件を再捜査する気などない。

そんなことをすれば、自分たちが無能であると証明するようなものだ。

未解決チームは事実上のお飾りだといえる。

その証拠に、チームに命令されたのは「京幾南部連続殺人事件」の捜査だった。

1987年から3年間で10人もの被害者を出した、国内で最も代表的な未解決事件。

26年前の難事件を、いまさら解決できるはずがない…誰もがそう思った。

パク・ヘヨンとチャ・スヒョン以外の誰もが。

 

今回の事件でも、鍵となるのは『過去とつながる無線機』

次に無線がつながったとき、応答したのは「1989年のイ・ジェハン」だった。

前回と違ってジェハンはヘヨンのことなど知らないという。

ヘヨンはそんな事情などお構いなしに「京幾南部連続殺人事件」の概要をジェハンに伝えた。

今まさに事件の真っただ中にいるジェハンにとって、ヘヨンがもたらす情報は「未来の知識(未来予知)」だ。

その結果、何が起こったか?

『過去が変わった』

ヘヨンのもたらした情報によって、ジェハンが1人の被害者を守ることに成功したのだ。

そして、過去が変わったことにより、現在にも変化が起こる。

ジェハンが救った被害者が「本来の歴史では亡くなっていた」という事実が消え、「最初から助かっていた」ということになっていたのだ。

『歴史が変わった』ことを認識できているのはヘヨンだけ。

ヘヨンは無線を使うことにより、過去、ひいては現在の事件を解決することができることに気がつく。

 

ヘヨンとジェハンは協力して「京幾南部連続殺人事件」の真相へと近づいていく。

注目すべきは、事件がある特定のバスの運行ルートに沿って発生していること。

犯人はバスに乗って移動し、そこで獲物を見定めていた可能性が高い。

ジェハンは犯行当日に犯人が乗ったであろうバスを特定するに至るが、運転手は「そのバス停では誰も乗らなかった」と証言。

そんなはずはない。犯人は確かにそのバスに乗ったはずだ。

どういうことだ…?

 


 

一方、2015年の方にも動きが!

「京幾南部連続殺人事件」の手口に酷似した新たな事件が発生したのだ。

被害者に共通する特徴的な縛られ方は公表されていないものであり、過去の事件と同一犯である可能性が高い。

ところが、警察上層部からの圧力により長期未解決チームは捜査から外されてしまう。

こうなれば、残された方法はただ一つ。

無線で過去を変えるしかない。

過去で犯人が逮捕されれば、2015年の被害者を救うこともできるはずだ。

同時に、2015年の新たな事件を調べることで、過去の事件の手がかりを得ることもできるだろう。

2015年の新たな事件、捜査線上に浮かんできた容疑者は「誰も見ていない」と証言したバスの運転手イ・チョング。

奴が一連の事件の犯人なのか?

いや、奴は事件の夜、確かにバスの運転をしていた。犯人であるはずがない。

この事件にはまだ裏がある…!

 

そして、ついに2人は事件の真相へとたどり着く。

真犯人の名はイ・ジニョン。

バスの運転手・チョングの息子だった。

チョングは息子が犯人だと知っていて、それを隠すために嘘の証言をしていたのだ。

1989年、ジニョンはジェハンとの取っ組み合いの最中に屋上から転落し、下半身不随の身体になっていた。

ジェハンは自分も(屋上からジニョンを落とした)罪を受け入れるから息子を自首させろとチョングに迫るが、チョングは頑なにこれを拒否。

結局、証拠・証言が揃わずジニョンを逮捕することはできなかった。

 

2015年、新たに起こった事件の犯人はチョングだった。

新たな被害者は唯一、ジニョンが真犯人だと知る人物。

時効がなくなり事件が再捜査されている今、万が一にも息子を逮捕させるわけにはいかない。

口封じのための犯行だった。

イ・チョングは1989年の事件も含めてすべて自分の犯行だとして自首。

このままでは真犯人を野放しにしたまま、誤認逮捕という形で事件が終わってしまう…!

 

2015年、突破の糸口になったのはある証拠品だった。

1989年最後の被害者・ウォンギョンが持っていたスタンガン。

2015年の事件の被害者がチョングを脅迫する材料として隠していたそれによって、真犯人がジニョンであることが証明された。

 

1989年、ウォンギョンとジェハンは恋人になる寸前、両想いの関係だった。

ジニョン逮捕の物証となったスタンガンは、ジェハンがウォンギョンにプレゼントしたものだった。

 


 

消えたジェハンの謎

ヘヨンはジェハンの足取りを調査。

その結果、ジェハンが収賄の容疑をかけられていたことを知る。

『収賄の事実確認の最中に、ジェハンは失踪』

…不器用なまでに正義感の強いジェハンが、収賄に手を染めるなんてありえない。

それに2000年の通信では、ジェハンは何者かに撃たれていた。

収賄も失踪も、仕組まれたものだ…!

「これほど完璧な証拠偽造には内部の協力者が要る。警察内部に協力者が…」

 

もう一つ、新たに分かったことがある。

ヘヨンが偶然拾った無線機は、保管期限を過ぎて廃棄されるところだった「ジェハンの無線機」だった。

時を超えてつながる2つの無線機は、その実、同一のものだったということだ。

しかし、なぜヘヨンだったのか?

なぜ無線機はつながるのか?

その答えはまだわからない…。

 


 

大盗事件(1995年‐2015年)

次に無線機がつながったとき、応答したのは「1995年のジェハン」だった。

ジェハンが追っているのは、2015年現在でも未解決のままの「大盗事件」

権力者の家ばかりを狙った盗みの事件だ。

ヘヨンはこれまで通り「未来の知識」をジェハンに伝える。

 

『過去が変わった』

大盗事件の犯人が逮捕されたことになっている。

犯人のオ・ギョンテはジェハンとも交流のある元泥棒。

過去を改変した余波で、ジェハンとも親しくしていたギョンテの娘が橋の崩落事故に巻き込まれて亡くなった。

ギョンテは無罪を主張したが、目撃者と現場に残った指紋が決め手となって投獄された。

 

2015年、誘拐事件が発生。

犯人は出所したばかりのオ・ギョンテ。

誘拐された娘(ヨジン)はギョンテの娘が亡くなった橋の崩落事故の生き残りだ。

ギョンテの目的はヨジンの父であるシン・ドンフンに自分と同じ思いをさせること。

(自分は手錠をはめられ娘が亡くなるのを見ていることしかできなかったのに、お前は救急隊員に娘を助けさせた!)

逆恨みだった。

ギョンテは因縁のハニョン大橋にドンフンを呼び出す。

娘が閉じ込められているという冷凍車に駆けだすドンフン。

だが、ギョンテは冷凍車に罠を仕掛けていた。

乗り込んだ瞬間、車は爆発炎上。

その結果…ドンフンに「危険だから下がって」と言い単身乗り込んだチャ・スヒョン刑事が亡くなった。

 

この事件により、ヘヨンもジェハンも過去を変えることの恐ろしさを知ることになった。

ヘヨン(無線を使わなければ…過去を変えなければ…未解決のままにしておけば…こんなことにならなかったのに…)

 


 

後悔の涙を流し終わった後、ヘヨンは立ち上がった。

(まだ、間に合うかもしれない)

その後のジェハンの捜査により、ギョンテは誤認逮捕だったことが判明している。

過去でジェハンが真犯人を逮捕すれば、あるいはスヒョンが生き続けている現在を取り戻せるかもしれない…。

ジェハンにとっても、友人であるギョンテの無実を証明することは何よりの願いだ。

ヘヨンとジェハンは改めて大盗事件の解決に乗り出した。

 

1995年、食らいつくようなジェハンの捜査によって証拠が見つかり、真犯人が逮捕された。

真犯人の正体は被害に遭った権力者の家の息子の一人「ハン・セギュ」

ギョンテはたまたまセギュの家に配達に行った際に指紋を残していただけだったが、検察のお偉方であるセギュの父親の圧力によって犯人に仕立て上げられてしまっていたのだった。

過去が改変されたことにより、現在が変わる。

亡くなったはずのスヒョンは無事に生き返った(爆発事故自体がなかったことになっている)

 


 

汚職事件と殺人事件(1995年-2015年)

「大盗事件」には更なる裏があった。

というのも、実はセギュが盗みに入った家の権力者たちは全員、新都市(チニャン市)開発の汚職に関与していたのだ。

そして、セギュが盗んだものの中に、たまたま汚職の証拠品が混じっていた。

証拠の返却を条件に、セギュはろくに罪を償うこともなく早々に釈放されている。

1995年、ジェハンは単独でこの事件を追うことに。

しかし、一方のヘヨンはスヒョンを失ったトラウマから無線の封印を決意。

無線機を捨ててしまった。

 

そもそも、なぜセギュは権力者の家に盗みに入ったのか?

家は裕福であり、金に困っていたわけではない。

実はセギュが探していたのは『あるビデオテープ』だった。

1995年当時、セギュは他の権力者の息子たちと一緒になってやりたい放題の毎日を送っていた。

酒、薬、女。

いくら犯罪に手を染めても親がもみ消してくれる。

安心して悪行に手を染めていたセギュの姿を、他の息子の一人が映像に収めていた(脅しの材料にするため)

セギュはそのビデオテープを取り返すため盗みに入り、強盗を装うために貴金属なども盗んだ。

その中の1つ、青いダイヤの箱の中にたまたま『汚職の証拠のフロッピーディスク』が入っていた。

ところが、ふと気づくとセギュの手元からは「青いダイヤ」が消えていた。

セギュが弄んだ女優の卵「シン・ダヘ」がセギュから青いダイヤを盗み出していたのだ。

怒り狂ったセギュはダヘを殺害。

父親の権力によって、その事実はもみ消された。

 


 

2015年、長期未解決チームに依頼が舞い込んだ。

依頼主キム・ミンソンはかつてのダヘの恋人。

亡くなったはずのダヘの姿を目撃したのだという。

だとすれば、入水して自ら命を絶ったとされているダヘの遺体は誰のものなのか?

ダヘは今までどこにいて、何のために再び姿を現したのか?

捜査の中で、驚くべき事実が次々に明らかになっていく。

1.ダヘはやはり生きていた。今は「キム・ジヒ」という人物になり替わり、長らくドイツで生活していた。

2.今回ダヘが帰国したのは母親の手術のため。自分の臓器を提供するためだった。

3.当時、ダヘとジヒは同じ女優の卵として友人関係にあった。

4.ハン・セギュが手にかけたのはたまたまダヘの家に泊まりに来ていたジヒだった!(遺体の正体はキム・ジヒ。セギュはこの事実に気づいていない)

長期未解決チームはセギュの犯行の証拠品として、犯行当日の音声を録音していたテープを入手。

数々の妨害工作をかいくぐり、ついに弁護士としてのうのうと暮らしていたハン・セギュを逮捕した。

 

一方、1995年。

地道な捜査の末にジェハンはようやく「汚職の証拠のフロッピーディスク」を手に入れることに成功していた。

だが、わずかな差で直属の上司であるキム・ボムジュに先回りされ、フロッピーの中身の大部分を消去されてしまう。

これにより汚職事件は一部の人間が罪を被る形で終了。

ボムジュの背後にいる権力者たちは一切の罪に問われることはなかった。

警察組織と権力者の癒着に憤るジェハン。

ジェハンは自分の出世のために権力者の犬に成り下がったボムジュと明確に敵対した。

 


 

ホンウォン洞事件(1997年-2015年)

2015年、無線機がヘヨンのもとに戻ってきた。

応答したのは「1997年のジェハン」

次の事件は世に出ていない未解決事件「ホンウォン洞事件」

当初、この事件は「別の管轄内で2人の女性が殺された事件」だと思われていた。

だが、捜査を進めていくうちに2015年までに10人を越える被害者が犠牲になっていたことが発覚する。

かつてないほど大規模な連続殺人事件。

なんとしてでも犯人を捕まえなければ…!

 

事件の特徴は3つ。

  1. うつ傾向のある女性ばかりが狙われていたこと
  2. 特定の地域に関係した人間ばかりが狙われていること
  3. 犯行時、被害者の顔にビニール袋被せて首を絞めていること

 

真犯人はホンウォン洞にあるコンビニの店員だった。

幼い頃から母親に虐待されていたことが犯人の人格を歪めたのだろう。

最後の被害者と犯人はお互いに惹かれあっていたが、愛という感情を知らない犯人には自分の気持ちの正体がわからなかった。

結果、その女性を最後に犯人は人の命を奪うことができなくなる。

自ら首を吊ろうとしていたところを、かつて犠牲者の1人になりかけたスヒョンによって逮捕された(2015年)

ヘヨンは「いたずらに過去を変えることは危険だ」と考え、犯人の正体をジェハンに伝えないことにした。

 

一方、1997年のジェハンは若かりし頃のスヒョンが危うく犠牲者になりかけたことで怒り心頭。

諦めない捜査によって自力で犯人を逮捕し、歴史を変えた。

これにより2000年以降の被害者たちは「ずっと生きていた」ことになり救われた。

 


 

女子高生集団暴行事件(1999年-2015年)

ヘヨンにはどうしても忘れられない事件がある。

1999年、ヘヨンの故郷であるインジュ市で起こった「女子高生集団暴行事件」

この事件の主犯として逮捕されたパク・ソヌはヘヨンの兄だ。

だが、優しく真面目なソヌが犯人だったとは到底思えない。

少年院から出所したソヌは手首を切ってこの世から去った。

『亡き兄の無念を晴らすため、事件の真相を暴くこと』

それはヘヨンの悲願だった。

 

密かに女子高生集団暴行事件の真相を探るヘヨンに一本の電話が入る。

電話の相手は長期未解決チームの責任者にして、捜査局長ボムジュの腹心、そしてかつてジェハンの同僚だった男「アン・チス」

「インジュ市の事件を探るのは危険だ。真実を知れば兄の二の舞になるぞ。だが、もし真実を知る覚悟があるならインジュ市に来い。俺は事件の真相を知っている。…俺が事件の偽装工作をしたんだ」

突然の告白。

ヘヨンは慌ててインジュ市へ向かうが、そこで待っていたのは何者かに刺され今にも息絶えそうなチスだった。

「俺がイ・ジェハンを撃ったんだ。今でも後悔している。すべての始まりはインジュだった」

そう言い残すと、チスは息を引き取った。

かつてインジュ市で何があったのか?

チスの身に何があったのか?

何もわからないまま、ヘヨンは容疑者として警察の監視下におかれてしまった。

 

後で判明したことだが、チスには白血病の娘がいた。

多額の治療費を捻出するため、ボムジュの命令を聞く駒に甘んじていたのだ。

チスが息を引き取る3日前、娘は亡くなっている。

チスは真実を明かそうとして、口封じに命を奪われたのだろう。

それほどまでして守らなければならないインジュ市の事件の秘密とは…?

 


 

1999年、無線で「インジュ市の事件の真相を探ってほしい」とヘヨンに頼まれたジェハンは、女子高生集団暴行事件を担当することに。

1人の女生徒(カン・ヘスン)を大勢の男子生徒が襲ったという残酷な事件。

主犯はパク・ソヌという男子生徒であり、すべては彼の命令によって行われたという。

…だが、何かが引っかかる。

捜査を進めていくうちに浮上してきたのは生徒会幹部の7人。

彼らの親は一様に大企業である「インジュセメント」の幹部だ。

そして、彼らはまるで誰かから指示されたかのように「主犯はソヌだ」と証言している。

逆に言えば、ソヌが犯人であるという説を支えているのは「証言」だけだ。

物証はない。

…怪しい。

さらに捜査を進めたジェハンは、ついにおぞましい事件の裏に辿りついた。

『やはり、パク・ソヌは無実だった』

本当の主犯は生徒会幹部の1人「チャン・テジン」

議員の伯父を持つ権力者の家の息子だ。

カネとコネでテジンの罪はもみ消され、身代わりとなる生贄としてカネもコネもないソヌが選ばれた。

…本当のソヌは友達のいないへスンに勉強を教えていた心優しい生徒だったのに、チャン議員の息がかかった警察内部の駒の偽装工作によって犯人に仕立て上げられてしまったのだ!

金と権力で被害者であるヘスンにまで「犯人はソヌだった」と証言させた人物…その正体はキム・ボムジュ!

だが、真実に辿りついたものの、一歩遅かった。

結局、元の歴史通り、ソヌは事件の主犯として少年院に送られてしまった。

 

一方、2015年のヘヨンとスヒョンもインジュ市の事件の黒幕がボムジュだったという事実にたどり着いていた。

2人は被害者のカン・へスンに接触。

ヘスンがボムジュから指示されて嘘の証言をしたこと、本当の犯人がチャン・テジンであったことなどを知る。

そして、もう一つ、へスンは重要な情報を2人にもたらした。

「少年院でのソヌは『絶対に諦めない。またやり直す』と笑って言っていました。とても自分で命を絶つような様子には見えませんでした」

…どういうことだ?

息を引き取る直前、アン・チスは亡くなる直前のソヌについて調べていたという。

ヘヨンはチスと同じくソヌのデータについて調べ…そして、ある重大な真実に辿りついた。

『15年前、ソヌの血からは意識を失うレベルの精神安定剤が検出されていた』

自殺ではなかった!

チスが命をかけて伝えようとしていたのは、このことだったのだ!

では、ソヌは誰に命を奪われたのか?

…決まっている。犯人はあいつだ!

 


 

真相(1999年)

カン・ヘスンを襲わせた主犯はチャン・テジンだ。

だが、テジンの伯父の議員がボムジュに命令して「パク・ソヌが犯人だった」となるように偽装工作を施させた。

すべての物証は処分され、関係者は一様に「ソヌが主犯だった」と証言。

結果、ソヌは少年院に送られた。

これによってソヌの両親は離婚。

ヘヨンは父親に連れられていき、家族はバラバラになった。

…だが、ソヌは諦めなかった。

少年院から出たソヌは自分の無実を証明するために行動を開始した。

自分の経歴のためではない。家族が再び一緒に暮らせるようにするためだ。

結果、ソヌはテジンが主犯だと証明する証拠品(ヘスンの赤いマフラー)を手に入れることに成功。

唯一信頼できる刑事だと思ったジェハンに電話し「証拠品があるから来てほしい」と話した。

もちろんジェハンはすぐにインジュ市に向かおうとしたが、その前に参加した別の事件の逮捕劇の最中に腹を刺され、病院送りになってしまう。

そして、その隙を突いてインジュ市のソヌの前に現れたのは…ボムジュだった。

ボムジュは「ジェハンの代わりに来た」とソヌを油断させ、証拠品を受け取ると、飲み物の中に薬を入れてソヌを昏倒させた。

そしてボムジュは…ソヌの手首を切った。

あとはソヌが自分で手首を切ったかのように偽装し、何食わぬ顔でソウルに戻った。

 

『ソヌは口封じのためにボムジュに命を奪われた』

これがインジュ市の事件の闇に葬られた真相だ。

…そして、この話はさらに『イ・ジェハンの失踪』へとつながっていく。

 


 

イ・ジェハン失踪の真実(2000年)

ボムジュの犯行後、ジェハンはボムジュが捨てた証拠品(へスンの赤いマフラー)を手に入れていた。

マフラーにはテジンの体液だけでなく、ボムジュの血液も付着していた。

後はしかるべき所に証拠品を提出すれば、テジンもボムジュももう言い逃れはできない…はずだった。

 

そんな中、ユンジョン事件(2000年)が発生。

無線の情報を頼りに、ジェハンは容疑者の医大生の男の遺体を発見する。

だが、人気のない廃病院に一人で向かったのは失策だった。

ジェハンは何者かに襲われ、気絶。

次に目を覚ました時、縛られたジェハンの目の前には3人の男の姿があった。

・娘の治療費のため仕方なくボムジュの駒となった男「アン・チス」

・裏でボムジュと通じている犯罪者「キム・ソンボム」

・ジェハンの不在中に机を漁って証拠品を奪い返していた黒幕「キム・ボムジュ」

実はジェハンが証拠品を持ち込もうとしていた先の機関もボムジュと通じていた。

…惜しくも、あと一歩足らなかったのだ。

証拠品が提出される前にジェハンの計画を掴んだボムジュによる最後通牒が行われる。

「わかっただろう?この世は金と権力がすべてだ。諦めろ。そうすれば命だけは助けてやる」

「断る」

ジェハンは隙を突いてその場から脱出。

だが、脱出時の乱闘でソンボムに刺された傷は重傷であり、とても逃げきれそうにはない。

最後にジェハンは無線を通じてヘヨンにメッセージを残した。

「パク警部補、これが最後の通信になるかもしれません。でも終わりじゃない。また無線はつながる。その時はあなたが説得するんです。1989年のイ・ジェハンを。過去は変えられます。諦めないでください」

気がつくと目の前には拳銃を構えたアン・チスがいた。

娘の命を助けるために同僚を撃たなくてはならない…心中の苦しみが透けて見えるような表情を浮かべつつ、チスは引き金を引く。

夜11時23分。

何故か決まって無線がつながるその時間は、ジェハンの命が散った時刻だった。

 

その後、ジェハンの遺体はソンボムが別荘に埋めた。

ボムジュの工作によりジェハンは収賄に手を染めていたことにされ、懲戒免職扱いとされた。

 


 

最終局面(2015年)

一方、2015年ではヘヨンが「アン・チス」殺害の犯人として逮捕されていた。

ボムジュが偽の目撃者を用意したためだ。

ヘヨンは強引に脱走し、スヒョンと協力してキム・ソンボムの行方を追う。

チスがいなくなった今、ボムジュの不正やヘヨンの無実を証言できるのはソンボムだけだ(チスを刺したのはボムジュの命令を受けたソンボム)

ヘヨンとスヒョンがジェハンの白骨を掘り起こした件で、今やソンボムはボムジュから「イ・ジェハン殺し」の罪をかぶせられようとしている。

ボムジュより先にソンボムの身柄を確保できれば、証言を引き出すことができるはずだ。

警察から逃げながらヘヨンとスヒョンはソンボムと接触することに成功するが、そこにボムジュ(というかチャン議員)の息がかかったならず者たちがなだれ込んでくる。

そして、ソンボムは口封じのため始末されてしまった。

乱闘の最中、ヘヨンはならず者の銃口がスヒョンに向いていることに気がつく。

「危ない!」

スヒョンを庇う形で、ヘヨンの身体に銃弾が撃ち込まれた。

「パク・ヘヨン!」

引き上げていくならず者たち。

搬送された病院で、ヘヨンの心臓は動きを止めた。

 


 

新しい過去(2000年)

ジェハンはアン・チスに撃たれ、ヘヨンもまた凶弾に倒れた。

これは紛れもない事実(歴史)だ。

だが、過去、そして過去から発生した現在は不変のものではない。

「未来からの情報によって過去が変わった」ように。

「過去が変わったことにより現在に甦った事件被害者がいた」ように。

過去も、現在も、変えることができる。

 

思えば、最初に無線で通信したとき、ジェハンは2000年にいた。

そこから通信は一度過去にさかのぼり、次に無線に応答したのは1989年のジェハン。

そこから「過去のジェハン」は1995年、1997年、1999年と現代に近づいていき、いつしか再び無線の相手は2000年のジェハンになった。

1度目の2000年8月3日、まだ何も知らないヘヨンにジェハンは言った。

「あなたから言われた通り(ユンジョン事件の捜査で)ソンイル病院に来ました」と。

だが、2度目の2000年でジェハンに「(アン・チスに撃たれるから)8月3日、ソンイル病院には行かないでください」と涙ながらに伝えたのはヘヨンではなく、スヒョンだった。

※この時ヘヨンは警察の監視下に置かれていたため、一時的に無線機をスヒョンに預けていた

このささいな変化が、過去を大きく変えることになる。

 

2度目の2000年8月3日。

チスがジェハンに向けて銃を構えている。

引き金にかけられたチスの指に力が入り、銃声が響く。

…だが、撃たれたのはアン・チスの方だった。

事前に根回ししておいた同僚の刑事たちが駆けつけ、ジェハンの身を守ったのだ。

仲間たちに付き添われながら署に戻ったジェハンは、スヒョンを抱きしめて言った。

「すぐ戻ってくるって言っただろ?約束は守ったぞ」

1度目の2000年、ジェハンは「戻ったら告白の返事をする」とスヒョンに告げたまま帰らぬ人となった。

だが、2度目の2000年ではそうはならなかった。

無線を通じて「15年も待ったんですよ」と泣きながら訴える2015年のスヒョンの声を聴いたからだ。

スヒョンを孤独にさせないために、2度目の2000年のジェハンは捨て身で敵地に飛び込むことをやめた。

15年間もジェハンのことを待ち続けたスヒョンの愛が、過去を変えたのだ。

 


 

結末(最終回)

過去が変化したことで、現在にも大きな変化が訪れた。

その中でも特に大きな変化はヘヨンの生存だ。

新しい過去では生き残ったジェハンがソヌの無実を証明したため、ヘヨンの両親は離婚しなかった。

結果、ヘヨンはそもそもソウル警察(長期未解決チーム)にいなかったことになり、過去の陰謀を巡る争いに巻き込まれることもなかったというわけだ。

ヘヨンが実家に帰ると、そこには「ジェハンからの預かり物」があった。

中身はチニャン市の汚職について記録されたフロッピーディスク。

ヘヨンがこれを公開したことにより、現在、政界でのチャン議員の立場は揺らいでいる。

 

一方、新しい過去の続き。

2000年8月3日を境に、ボムジュとジェハンの力関係は逆転した。

ボムジュは警察から追われる身となり、最終的にはチャン議員配下のならず者たちの手によって口封じのために葬られた。

その際、現場に居合わせたジェハンは「キム・ボムジュ殺し」の容疑者となり失踪。

2015年時点でも行方不明のままになっていた。

 

新しい2015年、過去改変以前の記憶を保持しているのはヘヨンとスヒョンの2人だけだった。

2人の新しい目的は行方不明になったジェハンを探すこと。

そんな中、スヒョンの携帯に一通のメールが届く。

「2月5日 ジョンヒョン病院には行くな」

差出人は不明。

だが、この文面は…。

地方の小さな病院なら、身元確認されず長期間にわたって潜伏することも可能かもしれない。

ならば、ジョンヒョン病院には…ジェハンがいるのではないか?

警告を無視して、ヘヨンとスヒョンはジョンヒョン病院へと急ぐ。

時を同じくして、チャン議員配下のならず者たちがジョンヒョン病院へと迫っていた。

目的はジェハンの口封じ。

果たしてヘヨンとスヒョンはジェハンを救出することができるのか?

悪の権力と闘う刑事たちの物語はまだ終わらない…。

<シグナル・完>

 

補足

ドラマ「シグナル」最終回の結末は、まさかの「俺たちの闘いはこれからだ!」方式。

まるで打ち切り漫画のようなラストであり、「このあとジョンヒョン病院で何が起こったのか?」「チャン議員は結局どうなったのか?」など多くの謎を残したまま終わりを迎えました。

小説で言えば「この先の展開は読者の想像に委ねる」タイプの結末ですね。

それにしても、せめて「結局、無線機はなぜ過去とつながったのか?」という部分だけでも理由付けして欲しかったところですが…。

個人的には少し物足りない終わり方だったので、日本リメイク版では違った形のラストになってもいいのかな、と思っています。

 


 

解説

過去改変と1話へのループ

結末や黒幕のネタバレに入る前に、もう少しだけ押さえておかなくてはならないポイントがあります。

それはドラマ「シグナル」の鍵となるSF要素について!

具体的には「過去改変」と「1話へのループ」、この2点だけは先に頭に入れておく必要があります。

さっそく、それぞれについて解説していきましょう!

 

★過去改変

ドラマ「シグナル」では現在と過去で並行して1つの事件を追っていきます。

長期未解決事件専門チームである現在のヘヨンたちが事件を追っているということは、「発生当時には事件が(正しく)解決しなかった」という前提があるわけです。

では、過去編のジェハンは何一つ事件を解決できないのでしょうか?

もちろん、そんなカッコ悪いことにはなりません。

未来(2015年)のヘヨンから無線機を通じて捜査情報を得ることで、ジェハンは「本来の歴史では(正しく)解決されなかった事件」を過去の時点でしっかりと解決していきます。

すると、どうなるか?

「犯人は捕まらなかった」という古い(本来の)歴史は消え、「犯人は捕まった」という新しい(2度目の)歴史に上書きされます。

これが「過去改変」です。

過去が変われば、もちろん未来(2015年)にも大きな変化が訪れます。

例えば…

・2015年時点でやっと捕まえたはずの犯人が、過去の時点で逮捕されたことになっていた。

・過去の時点で犯人が逮捕されたことにより、本来の歴史でその後新たに犠牲となった被害者たちが「生き返った(ずっと生きていたことになっていた)」

・逆に、過去を変えたことで本来の歴史では生き続けていたはずの人が亡くなるケースも…。

タイムパラドックスがうんぬんという話は置いておくとして、とにかく「過去改変」を使えば「すでに起こってしまった結果」を変えることができるわけです。これ、超重要。

実際、作中では主人公のヘヨンもヒロインのスヒョンもそれぞれ一度亡くなっているのですが、過去改変によって復活しています。

そして、最終回ではこの「過去改変」がめちゃくちゃ重要な役割を果たすことになるんです…!

 

★1話へのループ

第1話でヘヨンが初めて無線機を拾ったとき、応答したのは「2000年のジェハン」

このときジェハンは第1話の事件である「女児(キム・ユンジョン)誘拐事件」を捜査中でした。

思いっきりネタバレですが、ヘヨンに捜査情報を伝えた後、ジェハン(2000年)は何者かに銃で撃たれて亡くなっています。

凶弾に倒れる直前、ジェハンがヘヨンに言った超重要なセリフがこちら。

「パク警部補、これが最後の通信になるかもしれません。でも終わりじゃない。また無線はつながる。その時はあなたが説得するんです。1989年のイ・ジェハンを。過去は変えられます。諦めないでください」

次に無線機がつながったとき、ヘヨンの呼びかけに応答したのは「1989年のジェハン」でした。

※このとき、1989年のジェハンは「パク・ヘヨンって誰?」という状態

その後、事件を解決するごとに無線機の先の時代はどんどん現代に近づいていき…最終回の近くで2度目の2000年に辿りつきます。

これが「1話へのループ」です。

本来の歴史では亡くなったジェハンですが、2度目の歴史でも同じ末路を辿るのか?それとも…?

 


 

1話時点の歴史の真相

ドラマ「シグナル」には『2つの歴史』が存在しています。

「1話時点の(=本来の)歴史」

「最終回時点の(=改変された)歴史」

まずは、全ての謎が明らかになる「1話時点の歴史の真相」から見ていきましょう!

 

★1999年「女子高生集団暴行事件」の真相

大勢の男子生徒が1人の女子生徒(カン・ヘスン)を襲ったインジュ市の事件。

命令を受けた男子生徒や被害者自身の証言から、主犯としてヘヨンの兄(パク・ソヌ)が逮捕され、少年院に送られた。

これが捜査資料にも残っている1999年「女子高生集団暴行事件」の概要だ。

しかし、ヘヨンにはずっと疑問だった。

「あの優しくて真面目な兄がそんなことをするはずがない」と。

ヘヨンが疑いを抱いたように、実のところ真犯人はソヌではない。

真犯人の名は生徒会のリーダー格だった男子生徒「チャン・テジン」

最初に女子生徒を襲ったのはテジンであり、その後の集団暴行もテジンの指示によるものだった。

ソヌは友達のいない女子生徒にずっと勉強を教えていたという「接点」があったため、身代わりに仕立て上げられてしまったのだ。

では、なぜこの事実は明らかにならなかったのか?

捜査を行っていた警察自身が偽装工作を施していたからだ。

テジンの父は大企業の社長であり、伯父は政界に大きな影響力を持つ議員(チャン議員)だった。

そして、捜査の指揮を執っていたのはそんなチャン議員に取り入ることで異例の出世を果たしていた人物だった。

その人物の名は「キム・ボムジュ」

1999年時点ではジェハンの上司であり、2015年時点では捜査局長にまで出世している男。

要するに、ソヌは権力者の身内を守るための偽装工作に巻き込まれ、犯人に仕立て上げられてしまったのだ。

ジェハンは真実に気づき、テジンを逮捕するべきだと訴えたが、証拠も証言もない状態ではどうすることもできなかった。

 


 

★キム・ボムジュの罪

逮捕から半年、少年院に入っていたソヌが出所した。

今回の事件を受けてソヌの両親は離婚。ヘヨンは父に連れられ家を出ていってしまっていた。

記録では、ソヌは出所直後に自ら手首を切って亡くなっている。

無実の罪を被せられ人生に絶望してのことだったのだろうか?

違う。

ソヌは諦めなかった。

再び家族が一緒に暮らせるようになるには、自らの無実を証明しなければならない。

ソヌは持ち前の賢さと行動力で、警察も見逃していた証拠品(被害者の赤いマフラー)を手に入れ、唯一信頼できる刑事だと見込んだジェハンに連絡した。

だが、折りわるくジェハンはインジュ市に向かう直前、別の事件の捜査中に負傷し、入院することになってしまう。

そんなことになっているとは知らないソヌの前に現れたのは、黒幕のボムジュ。

ボムジュは「ジェハンの代わりに来た」と言葉巧みにソヌから証拠品を受け取ると、薬品でソヌを眠らせ、その手首を切った。

そして、ソヌが自分で手首を切ったように偽装を施すと、何食わぬ顔でソウル署に戻る。

ジェハンは傷口を開きながらソヌの家に駆け付けたが、一歩遅かった。

 


 

★2000年「イ・ジェハン失踪事件」の真相

ソヌと同じように、ジェハンもまた諦めなかった。

ジェハンはボムジュが捨てた証拠品を回収すると、ボムジュの手が届かない海外の研究機関にDNA鑑定を依頼。

ついに「テジンが真犯人だという証拠」と「ボムジュの罪を証明する証拠」を手に入れる。

しかし、そんなジェハンの行動はボムジュに筒抜けだった。

2000年「女児誘拐事件(1話)」の捜査中、ジェハンは何者かに殴られて気絶。

目を覚ますと、目の前には3人の男の姿があった。

・出世のためチャン議員の犬になった男「キム・ボムジュ」

・娘の治療費のため仕方なくボムジュに従っている同僚刑事「アン・チス」

・ボムジュとつながりのある犯罪者「キム・ソンボム」

縛られていて両手は動かせない。

どうやらせっかく手に入れた証拠品も向こうの手に渡ってしまったようだ。

ボムジュは「諦めれば命は助けてやる」と脅してくるが、ジェハンは迷わず「断る」と返答。

一瞬の隙をついて縄から抜け出し、その場から逃走した。

だが、脱出時の乱闘でソンボムに刺された傷は重傷であり、とても逃げきれそうにはない。

最後にジェハンは無線を通じてヘヨンにメッセージを残した。

「パク警部補、これが最後の通信になるかもしれません。でも終わりじゃない。また無線はつながる。その時はあなたが説得するんです。1989年のイ・ジェハンを。過去は変えられます。諦めないでください」

気がつくと目の前には拳銃を構えたアン・チスがいた。

娘の命を助けるために同僚を撃たなくてはならない…心中の苦しみが透けて見えるような表情を浮かべつつ、チスは引き金を引く。

夜11時23分。

何故か決まって無線がつながるその時間は、ジェハンの命が散った時刻だった。

ボムジュの工作によりジェハンは収賄に手を染めていたことにされ、懲戒免職扱いとされた。

→ 2015年(1話)へ

 


 

変わる歴史

無線機には「すでに起こってしまった結果(歴史)」を変える力があります。

そして、時には「ささいな行動の違い」が大きく未来を変えることもあるのです。

1話において、ジェハンはまだ何も知らないヘヨンにこう言いました。

「パク警部補、あなたの言うとおりにしたら(女児誘拐事件の)遺体を発見しました」

この直後、ジェハンはボムジュたちに捕まり、殉職してしまう…というのが1度目の2000年の結果でしたね。

ところが、ドラマの終盤でジェハンにこのことを伝えたのは、ヘヨンではなくスヒョンでした。

「15年もあなたのことを待っていた。帰ったら告白の返事を聞かせてくれるといったのに」と涙ながらに訴えるスヒョンの声が、歴史を大きく変えるターニングポイントになります。

では、2度目の2000年では何が起こったのか?

さっそく見ていきましょう!

 

★変わる歴史

2度目の2000年。

ボムジュたちの元から脱出したジェハンが、アン・チスに銃を突きつけられている。

銃声が響く。

やはり1度目の歴史と同じく、ジェハンは凶弾に倒れた…かのように思われた。

しかし、撃たれたのは銃を構えていたアン・チスの方。

そして撃ったのは、ジェハンが予め根回ししておいた仲間の刑事たちだ。

スヒョンからの警告を受け、ジェハンは捨て身で危険に飛び込むことをやめた。

仲間の刑事たちに事情を話し、協力を取り付けていたのだ。

これにより、ジェハンの生存が確定。

ボムジュは警察から追われる身となり、歴史が大きく変わった。

 


 

最終回の結末は?

ジェハンが生き残る「新しい歴史」が生まれたことで、2000年~2015年の出来事にも大きな影響が現れました。

代表的な変化は以下の通り。

・ソヌの無実が証明されたことで、ヘヨンの両親は離婚しなかった。

・これによりヘヨンの警察に対する不信感が消え、そもそも長期未解決チームにも所属していなかったことに。

・その結果、ヘヨンが生き返った(改変前の歴史ではチャン議員の放った刺客に撃たれて殉職)

・ボムジュはチャン議員の放った刺客により始末された(口封じのため)

・新たにチャン議員から追われることになったジェハンは失踪。2015年段階は行方不明状態に。

ソヌは生き返らなかったものの、その無実が証明されたことでヘヨンの人生はかなり明るい方向に変化していました。

普通ならそのまま穏やかな暮らしを続けていくことになるのですが…ヘヨンは「過去改変による記憶の改ざんを受けない」という性質を持っています。

つまり、身体や環境は改変後の状態、記憶や意識は改変前の状態。

そんな中、ヘヨンがとった行動は「失踪したジェハンの足取りを追うこと」でした。

というわけで、いよいよ最終回!

結末までの流れを見ていきましょう!

 


 

★最終回の結末は?

失踪中のジェハンを探すヘヨンが出会ったのは、同じくジェハンの行方を追うスヒョンだった。

改変後の歴史では、ヘヨンとスヒョンの間に接点はない。

これまでの改変では、改変前の記憶を保持できていたのはヘヨンだけ。

今のスヒョンはヘヨンのことなど覚えていないはずだ。

ところが…

「パク・ヘヨン」

なんとスヒョンは改変前の記憶を保持していた。

2人は協力してジェハンの行方を探すことに。

手がかりは数日前にスヒョンに送られてきた差出人不明の謎のメール。

『2月5日 ジョンヒョン病院には行くな』

その文面は、スヒョンが涙ながらにジェハンに訴えた警告に酷似している。

間違いない。このメールの差出人はジェハンだ。

地方の小さな病院なら、身元を隠したまま長期潜伏することもできるかもしれない。

ジェハンは生きて…この病院にいるのか?

2人は警告を無視してジョンヒョン病院へと向かう。

一方、時を同じくしてジョンヒョン病院にはチャン議員配下のやくざ者たちが一斉に押し寄せていた。

果たしてヘヨンとスヒョンはジェハンを救うことができるのか?

諸悪の根源、チャン議員との決着は?

刑事たちの闘いの日々は続く…。

<シグナル・完>

 


 

無線機の謎とヘヨンとジェハンの接点

最後に少しだけ補足解説を。

ドラマの序盤からずっと提示されていた「なぜ無線機は過去とつながるのか?」「なぜヘヨンが選ばれたのか?」という謎。

1話の時点ではヘヨンは「イ・ジェハン」なんて人間を全く知らないし、1989年のジェハンも「パク・ヘヨン」なんて人間は知りません。

2人には親子ほどの年齢差があるのですから当然です。

では、接点がないはずの2人が、どうしてつながったのか?

その答えは簡単で「実は2人には接点があったから」です。

ドラマ終盤まで見ていれば自然とわかることですが、ジェハンはヘヨンの兄が誤認逮捕された「女子高生集団暴行事件」を担当していたわけで、当然捜査の一環でヘヨンの家にも行っています。

ヘヨンの側には覚えがなかったことですが、ジェハンはソヌを助けられなかったことを悔やみ、家族と引き離され孤独な少年時代を過ごしていたヘヨンをずっと陰から見守っていました。

そこに何かしらの『縁』が発生したことで、2人は時を越えてつながった…と考えるのが自然ではないでしょうか。

ちなみにヘヨンが1話で拾った無線機は「保管期限が過ぎて廃棄されるところだったジェハンの持ち物」です。

つまり、現在と過去でつながる2つの無線機は、その実同一のものだったということですね。

 

では、次に「どうして無線機は時を越えてつながるのか」という謎についてですが…。

これについては、作中で一切の説明がありません。

ヒントを匂わせるような描写もなく、完全にスルーです。

これは私見ですが、このドラマではSF要素に関する真剣な検討は行われていないのだと思います。

よくよく考えてみるまでもなく「あれ?それって矛盾するんじゃない?」というタイムパラドックスが随所に散見されますし。

要するに「細けぇこたぁいいんだよ!」の精神(笑)

あまりそういう設定にはツッコミを入れず、素直に物語を楽しむことをおススメします。


感想

韓国ドラマ「シグナル」に点数をつけるなら「90点」といったところでしょうか。

謎を解き犯人に迫っていく純粋な刑事ドラマとしての面白さは100点!

ミステリー・サスペンスとしてのクオリティも文句なしに100点!

韓国ドラマらしい激しい感情表現に感動するヒューマンドラマとしても100点!

全体的には言うことなしの「100点」な作品だったのですが…個人的にはとにかく終わり方が残念でした。

いや、もちろん「ここから先は想像してね」というラストもありだとは思います。

ただ、けっこう勧善懲悪な作風だったので「せめて黒幕のチャン議員を倒すところまでは見たかったなぁ…」というのが最終回を見た後の率直な感想でした。

また、他にも

・ジェハンが少年時代の自分を見守ってくれていたと知ったヘヨンが2015年のジェハンに会ったときの反応は?

・両想いながらも結局うやむやな関係のまま離別したスヒョンとジェハンが再会したとき、2人はどんな表情で何を語るのか?

・過去改変により長期未解決チームにそもそも所属していなかったことになったヘヨンは今後どうなるのか?

などなど「気になっていたのに結局見られなかったシーン」は少なくありません。

せっかく全体的にはめちゃくちゃ面白かったのに、説明不足気味のラストのせいで、まさに「画竜点睛を欠く」な作品だったというイメージが残ってしまいました。

日本リメイク版ではもう少し区切りのいい終わり方になってほしいなぁ、と思います。


まとめ

今回は韓国ドラマ「シグナル」のあらすじ・ネタバレをお届けしました!

最終回の結末こそ拍子抜けでしたが、伏線の仕込み・回収の鮮やかさや物語の見せ方(演出)は本当にハイクオリティ!

ドラマ「シグナル」は数々の賞を受賞しているのですが、納得の面白さでした。

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POSTED COMMENT

  1. ゆかほう より:

    終盤が難解でしたが
    2度目の2000年8月3日だったのですね。
    分かりやすい説明ありがとうございました。
    続編が楽しみです。

COMMENT

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