祝・漫画「パーフェクトクライム」ドラマ化!
私は原作小説を読んだのですが、確かにドラマ向きな作品だと思います。
人間関係が目まぐるしく二転三転していくストーリーはまるでミステリーのよう。
きっとドラマ版も毎回「えっ!そうだったの!?」と驚かせてくるような内容になることと思います。
……となると、気になるのはやっぱり結末ですよね。
個人的には、ドラマは漫画を原作としつつも、そもそもの原作である小説版と同じ内容・結末になると予想します。
長さ的にもキリがいいですからね。
「え? 小説の結末って漫画の最終回と同じじゃないの?」と思ったそこのあなた!
今回は小説と漫画のラストの違いについても解説しますので、最後まで読んでいってくださいね!
というわけで、今回は「パーフェクトクライム」のネタバレです!
Contents
「パーフェクトクライム」のあらすじと中盤までのネタバレ!
★「パーフェクトクライム」のあらすじ
舞台は大手住宅メーカーのデザイン部。
デザイン部部長の冬木拓馬(36)と不倫関係にあるプランナー・前島香織(33)が物語のヒロインです。
香織は決して一番手になれない立場を理解しつつも、尊敬する上司である拓馬との7年間に及ぶ関係に満足していました。
そんな中、突如として香織の前に現れたのは香港支社から異動してきた東雲遥斗(33)
遥斗はなぜか香織に執着していて、やや強引な流れで拓馬から香織を寝取ります。
最初は嫌がっていた香織も、やがて拓馬より遥斗に恋心を抱くようになり、そのまま拓馬とは関係を清算しました。
別れ際、拓馬は香織に不吉な言葉を投げかけます。
「君はあいつのことを知らない。真実を知ればきっと傷つく。だけど、それは俺より東雲を選んだ罰だ」
果たして、拓馬の予言通り、香織は知りたくなかった真実を知ることになります。
『東雲遥斗は冬木拓馬の妻である冬木沙織のことを愛している』
つまり、遥斗が拓馬と香織を別れさせたのは、夫の浮気に苦しむ沙織のためだったのです。
「もう2度と、私に関わらないで」
悔しさと失恋に涙を流しながら、香織は遥斗に絶縁を突きつけたのでした……。
……ここまでが小説でいえば第1章、漫画では第2巻くらいまでの内容ですね。
第2章(漫画3巻)に入ると、遥斗視点で物語が描きなおされ、第1章(漫画2巻)まででは見えてこなかった景色が見えてきます。
というわけで、さっそくあらすじの続きを見ていきましょう。
もうひとつの罠【ネタバレ注意】
話は10年前にさかのぼります。
当時、遥斗は香港支社で沙織とつき合っていました。
ところが、沙織の本命は同じく香港支社に在籍していた冬木拓馬だったのです。
日本に異動していく拓馬を追いかけて、沙織はそのまま拓馬の妻になりました。
一方、愛する沙織と尊敬する拓馬から裏切られた遥斗は、気持ちを整理することができないまま沙織を求め続けます。
沙織が香港に帰ってきたときだけの不倫関係。
その歪な関係の中、遥斗は拓馬が香織と不倫していることを知り、それを沙織に伝えます。
もしかしたら、沙織が自分を見てくれるかもしれない……。
そんな遥斗の淡い期待は、すぐに打ち砕かれることになります。
沙織は夫の浮気を知ってもなお、全身全霊で冬木拓馬を愛し続けたのです。
沙織の気持ちを変えることはできないと悟った遥斗は、ようやく沙織のことを諦めましたが、それ以降は無感動・無表情な仕事人間へと変貌してしまいました。
そうして月日が流れたある日のこと。
社内のデザインコンペで最優秀賞を獲得した香織の作品を見た遥斗の中に、どす黒い感情が芽生えてきました。
そうだ……全部この女が悪いんだ……なのに仕事でも成功しているなんて許せない……。
遥斗は夫の浮気に苦しむ沙織のためにも、佳織を潰すと決意。
これが《東雲遥斗が台湾支社から本社に異動してきた理由》です。
このことを知った香織は泣きながら「もう2度と、私に関わらないで」と遥斗に言い渡したわけですが……実はこの話にはまだ《裏》があります。
日本で香織と仕事をともにし、ベッドをともにしているうちに、遥斗は香織のことを本当に愛するようになっていたのです。
それがなぜ、こんな結末を迎えてしまったのか?
そもそも遥斗と沙織の不倫関係は何年も昔に終わっているのです。
香織は「遥斗と沙織がまだつながっている」と勘違いをしているのですが、それは事実ではありません。
そして、香織がそう勘違いしてしまった経緯は、誰かによって仕組まれたものでした。
その黒幕とは……
……ここまでが小説の第2章、漫画でいえば第4巻(~5巻)くらいまでの内容ですね。
遥斗視点の物語の裏で、香織には遥斗や拓馬にも縁が深い本社ナンバーワンデザイナーの小野幸哉が《第三の男》として近づいていきます。
というか、告白しています。
遥斗に心を残しつつも、裏切られたショックから立ち直れない香織が最後に選ぶのは……?
そして、遥斗と香織が別れるように仕組んだ黒幕とは!?
続きを見ていきましょう!
悪魔たちの思惑【ネタバレ注意!】
遥斗と香織を別れさせた黒幕の正体は、加藤千夏。
デザイン部の若手で、社内人気ナンバーワンの肩書を持つ「可愛いだけの子」と思われていた存在です。
千夏は実は冬木拓馬の親戚であり、心から香織のことを愛していた拓馬の幸せを守るために、遥斗と香織を別れさせたのでした。
駅で遥斗と沙織が抱き合っているところを香織に目撃させたのも、デート中の香織と遥斗に冬木夫妻を目撃させたのも、すべては千夏が仕組んだこと。
……香織から完全に拒否されてしまった以上、遥斗は説明して誤解を解くことは不可能だと諦めます。
その代わり、遥斗は千夏の魔の手がこれ以上香織を傷つけることがないように、独自に千夏の調査を開始するのでした。
そんな中、事件が起こります。
香織と小野が組んでいる案件で、発注ミスによるトラブルが発生したのです。
関係者はそれぞれ「香織に嫌がらせをするために、わざと千夏が発注書を書きかえた」という裏を見抜きます。
すぐに千夏を呼び出す遥斗。
千夏を問い詰めていく中で、遥斗は《さらなる黒幕》の存在を確信するのでした。
「加藤千夏。お前のご主人様は……小野幸哉だな?」
話はまた過去へとさかのぼります。
当初、千夏は拓馬と香織の不倫関係を壊そうとしていました。
理由は「尊敬する拓馬に不倫などしてほしくなかったから」
情報を得るため、千夏は拓馬とは香港支社からの付き合いである小野に近づきます。
ところが、小野は愛する香織の幸せのために「冬木拓馬と親戚であることを黙っているかわりに、2人をそっとしてあげてほしい」と提案。
千夏は小野の優しさに驚き、提案を受け入れました。
……小野はずっと香織のことが好きだったのに、拓馬との不倫関係に満足している香織の幸せを守ろうとしたんですね。大人です。
ところが……
「だけど、ある日を境に小野さんまでが壊れ始めたの……。わかるでしょう?」
「俺が香織と部長を別れさせた日……か?」
遥斗はかつて、小野の信頼を裏切ったことがありました。
まだ沙織とつながっている時代に「沙織とはもう別れた」と言って、遥斗は小野から「拓馬と香織が不倫している」という情報を引き出したことがあったのです。
つまり、小野にしてみれば遥斗は《要注意人物》
そんな信用ならない人間に、今でも好きな香織を黙って渡すわけにはいきません。
そこで、小野は千夏に命令して遥斗と香織を別れさせたのでした。
「全部、あなたが悪いのよ。あんなに優しかった小野さんも、沙織さんを大切にしてた琢磨くんも、全部あなたが壊したのよ!」
もとはといえば、拓馬が不倫に走ったのは、沙織と遥斗の不倫関係に傷ついていたから。
遥斗はそれでも不倫関係ながらお互いに愛し合っていた拓馬と香織の中を引き裂き、自分の気持ちを抑えて2人の幸せを見守っていた小野の目の前で香織を寝取ったのです。
すべての元凶だと言われても、仕方がありません。
遥斗は香織のことを諦め、後のことは小野に任せようと決意するのでした。
一方、香織は遥斗と情報交換している後輩の礼子から思い違いを正されていました。
『遥斗と沙織の関係は6年前に終わっている』
じゃあ、遥斗の本心は……?
香織は遥斗と過ごした至福の日々がすべて嘘だったわけではないのかもしれない、と希望を再び持ち始めます。
そんな中、小野からの告白。
自分との未来を考えてほしい、という小野に、香織はハッキリと自分の本心を伝えました。
「私は……小野さんに恋心を感じていません」
「……だよね。わかってたよ、ずっと。だけど、君が好きだった」
優しくて、仕事ができて、気配りもできる小野。
でも、あの日から、香織の心に棲みついているのは遥斗だた一人だけなのでした。
……ところが、運命は紙一重のタイミングですれ違ってしまいます。
遥斗は香織が小野を振ったと知らないので「これからは小野さんと幸せになってください」なんて言ってしまうんです。
香織も香織で「やっぱり遥斗は自分になんか興味はなかったんだ」と受け取って、再燃しかけていた恋心を諦めてしまいます。
本当はこれ以上ないほどの相思相愛なのに、2人同時に『もうこの恋は終わったんだ』と思ってしまう切ない展開……。
そして、なんと遥斗は拓馬にかけあって予定を繰り上げてそのまま香港へと帰ってしまいます。
……物語はいよいよ佳境に突入!
すべての思惑が明らかになり、しかし運命のいたずらからすれ違ってしまった遥斗と香織はいったいどうなるのか!?
もうすぐ結末です!
※補足1……ここまでの内容は小説第3章、漫画7巻まで。
※補足2……千夏が発注をわざとミスしたのは小野の指示ではなく独断による行動。千夏は小野のことが好きだったのですが、どうしても小野に振り向いてもらえないと悟り、小野から突き放されるためにわざと嫌われるようなことをしたのでした。
「パーフェクトクライム」終盤~結末のあらすじとネタバレ!
社内デザインコンペ発表の日。
前回ナンバーワンを獲得した遥斗が出品した作品は……いつか彼が香織に「つくってやる」と約束したロッキングチェアでした。
そのデザインを一目見た瞬間、香織の目から涙がこぼれだします。
遥斗の優しさ、そして香織のことを想う気持ち。
それらが伝わってきて、香織はようやく遥斗から愛されていたことを知りました。
香織(もう一度、彼に会いたい……。そして未来を二人で探したい……)
香織の願いに応えるように、小野が封筒を手渡してきます。
中身は香港の遥斗の家の地図と、香港行きのチケット。
小野は自分が2人の関係を引き裂く罠を仕掛けた張本人だったと告白し、謝罪すると同時に香織の背中を押します。
「もう迷わないでさ、東雲の胸に飛び込むべきだよ。行っておいで。会ってきちんとその思いを東雲に伝えてあげてほしい」
小野、拓馬、そして礼子からも見送られて、香織は会社を飛び出しました。
行き先はもちろん香港です。
香織(もう迷わない。自分の思いを全部、素直になって伝えたい。あなたと私の未来は……きっとあるはずだから)
香港に到着。
香織がさて、どうしようかと思案していると自分の名前を呼ぶ声が聞こえてきます。
「香織っ!」
振り向いた香織の目に映ったのは……優しく微笑んでいる東雲遥斗の姿。
「捕まえた」
抱き寄せられた遥斗の胸の中、香織はあふれる涙をとめることができません。
人目もはばからず濃厚なキスをしながら、遥斗は香織に告げました。
「愛してる」
言うや否やまた唇をふさがれたので、香織は返事をすることができません。
だから、香織はピッタリと重なった心の中で想いを伝えることにしました。
私も愛してる、と。
その日、香織は遥斗の家で熱い夜を過ごし、翌日には帰国することに。
これからは香港と日本での遠距離恋愛。
だけど、香織は少しも不安に思いませんでした。
数々の困難を乗り越えて結ばれたからこそ、どれだけ距離が離れても心が離れることはないと信じられたのです。
ふたりの絆【ネタバレ注意!】
一年後。
その日は、遥斗が一年ぶりに帰国する日でした。
空港から家までの帰路、東京の星空を見上げながら遥斗が言います。
「ねえ、香織。俺がいつか日本に戻ったらさ」
「うん?」
「俺と結婚してくれる?」
突然のプロポーズ。
香織はこみあげてくる涙もそのままに、遥斗に「……はいっ……」と返事を返します。
遥斗は満面の笑みを浮かべて頷き、香織に口づけました。
その後、2人は一緒に香織の実家へ。
緊張していたのが馬鹿らしくなるほど温かく家族の一員に迎え入れてくれた前島家の人々に、遥斗は感動を覚えます。
両親と楽しそうに話す香織の薬指には、2人の絆を示す指輪が光っていました。
遥斗「俺の今までの人生の中で、一番幸せだと思える一年だったよ。俺が仕掛けた浅はかな罠から始まった関係だったけど、お前と出会えたことも、こうして一緒に歩めることも、すべてが本当に幸せだったと思う。この幸せを来年も再来年も、俺たちが年老いて旅立つその時まで毎年ここでこうして分かち合おう」
香織「遥斗はズルい。あなたは優しい人なのか、意地悪なサディストなのか本当にわからないわ」
香織の言葉に遥斗はフッと笑みをこぼします。
それは2人が出会ってから何度も交わされた会話。
遥斗の返事はいつも……
「どっちでもねぇよ」
2人は笑い合いながら、唇を重ね合わせました。
エピローグ
新しい辞令がくだりました。
拓馬は香港支社長に、小野は香港支社デザイン部の部長に昇進。
そして……
『東雲遥斗 命 本社デザイン部 部長』
香織と遥斗が初めて出会った場所で、2人は再び出会います。
「ただいま、香織」
「おかえり、遥斗」
<パーフェクトクライム・完>
【おまけ】タイトル「Perfect Crime」の意味は?
小説のラストは、こんな香織のモノローグで締めくくられます。
いわゆる『タイトル回収』の部分ですね。
あの日……。遥斗が私に仕掛けた罠はたくさんの人々を巻き込んだけれど、複雑に絡んでいた糸をほどいた。
そして暗闇の中でもがき苦しんでいた私の心の扉を壊してくれたのは……。
あなたが仕掛けたPerfect Crime。
ねぇ、遥斗……あなたが仕掛けたこの罠は、やっぱり完全犯罪だったみたい。
だってね、すべてはそこから始まったことに、私だけしか気づいていないもの。
漫画の最終回は原作小説の結末と違う?
ややこしいこと言いますが、同じだけど同じじゃないという感じでしょうか。
というのも、漫画は単行本10巻を越えて連載中なのですが、実は原作小説の内容は9巻の途中で終わっているんです。
じゃあ、漫画はどんな展開になっているのかというと、香港で遠距離恋愛を決めて帰ってきた後の香織の様子が新たに描かれているんですね。
だから厳密には小説で「それから一年」と省略された部分を描いている、と解釈して問題ないでしょう。
最終的には漫画の最終回と原作小説の結末は同じになると思われますが、漫画では新たにエピソードが(大幅に)加えられているわけです。
で、気になる漫画オリジナルの展開ですが……こんな感じです。
後ろ髪を引かれる想いで帰国した香織を待ち受けていたのは、「女性プランナー指名」の新しい案件だった。千夏をアシスタントとして伴って打ち合わせに出向いた香織の目の前に現れたのは、思いも寄らない人物で…!? 東雲と結ばれ、心の凪を得た香織の心中を再び波立たせる事態が起きる……!
(9巻あらすじより)
香港と東京、それぞれの場所で仕事に力を注ぐことを決意した二人。距離を感じさせない愛情をはぐくむ二人だったが、ある日、香織の前に東雲と姿かたちがそっくりな男・音楽プロデューサーの朝日奈恭一がクライアントとして現れる。朝日奈は香織に東雲が住んでいた部屋とそっくりな部屋をオーダー。しかも香織の疑念を深めるような発言を繰り返し…。朝日奈の正体、それは、香織と東雲の未来を大きく左右するものだった。この人物と深く関わってはいけない、そう感じる香織をよそに、朝日奈は香織との距離を詰めてきて…!?
(10巻あらすじより)
原作小説では遥斗の不幸な家庭環境が少しだけ描写されていたのですが、遥斗には両親の離婚によって離れ離れになった弟がいます。
というわけで、朝比奈の正体は遥斗の双子の弟。
原作小説ではあまり描かれなかった遥斗の生い立ちや家庭の話が、漫画では追加されているんですね。
果たして朝比奈は敵か味方か……。
最終的には原作通りのハッピーエンドに落ち着くと思われますが、朝比奈編がどんな展開になるのか楽しみですね。
パーフェクトクライムの感想と補足情報
あらすじの方ではサクッと省略しましたが、この作品、かなり『大人な』シーンが多いです。
いやまあ、ベッドシーンやキスシーンのことなんですけれども。
しかも、頻出するだけではなく、表現がまた濃密でかなり刺激が強いんですね。
主人公・ヒロインの年齢が33歳という妙な生々しさもあいまって、全体的にアダルトな雰囲気が漂っていました。
なので、健全な青少年というよりは、酸いも甘いも嚙み分ける大人の女性におススメしたい作品です!
さて、真っ先に情事方面の感想を取り上げてしまいましたが、次いで『物語としての完成度の高さ』にも触れないわけにはいきません。
特に中盤までのパーフェクトクライムは「これミステリー小説だったっけ?」と思わずつぶやいてしまうほど『謎』に満ちていて、「これからどうなるんだろう?」とワクワクさせてくれました。
ページを繰っていくごとに
「おお、淡泊キャラだった遥斗が俺様系ドSキャラになって香織を寝取ったぞ!?」
「あれ、別れたぞ? 千夏が曲者だったの!? え、その裏には小野がいて……!?」
と人間関係の認識が怒涛の勢いでくるくる変わっていくので、まったく飽きる暇がありませんでした。
全体的に伏線の設置と回収が鮮やかで、何度も「あ、それはそういうことだったのか!」と後から気づかされる構成は、本当にミステリー小説のようで面白かったですね。
それでいて最後には『誰も悪い人間はいなかった』となる落としどころもキレイで、読後には「あのドロドロだった展開からよくもまあこんな爽やかで温かいハッピーエンドになったものだ」と感心したものです。
これを機に中島梨里緒さんの他の小説にも手を出してみようかな、と思いました。
【あらすじ補足】登場人物の整理とサブストーリーの結末
パーフェクトクライムでは次々と後出しで情報が追加されていくので、ときどき「あれ、この人はどういう思惑を持っているどういう立ち位置の人なんだったっけ?」と混乱しそうになることがありました。
そこで、この項では結末から振り返って「それぞれの登場人物はどういう思惑で動いていたのか」という点についてまとめていきたいと思います。
また、あらすじ本編では省略したそれぞれの登場人物(サブストーリー)の結末についても補足しておこうと思います。
1.冬木拓馬
この物語の出発点は、香港で冬木拓馬が東雲遥斗から沙織を奪ったことでした。
ですが、実はこのとき拓馬は遥斗と沙織がつきあっていることを知らなかったんですね。
作中では「知っていたら受け入れなかった」と拓馬が遥斗に詫びるシーンがあります。
もし「この物語の中で悪かったのは誰か?」という話をするのなら、1位は押しかけて結婚するほど拓馬が好きなのに遥斗とつき合っていた沙織であり、2位は沙織を奪い返そうと画策していた(過去の)遥斗ということになるでしょう。
拓馬は自分のことを全身全霊で(依存気味に)愛してくる沙織のことをやがて心から愛するようになりますが、その沙織と遥斗の不倫関係に傷つき、香織に手を出しました(ここの順番大事)
最初は割り切った関係にしようと考えていた拓馬ですが、やがて沙織と同じくらい香織を愛するようになります。
遥斗によって別れさせられたあとは、香織の幸せのためにあれこれと手を尽くしてくれる『最大の理解者』という立ち位置に収まりました。
最終的には「遥斗と沙織の関係は6年前に終わっている」と知り、夫婦円満な家庭へと戻っています。
2.小野幸哉
作中で一番立ち位置がややこしい人。
小野は「千夏を操って遥斗と香織を別れさせた黒幕」なのですが、結論からいえば全然悪い人じゃないんですよね。
むしろ、かなり善良で優しい人です。
そもそも、小野は最初から香織に想いを寄せていました。
なのに、それを香港支社時代からの上司である拓馬にとられて、同じ職場で指をくわえて見ているしかなかったんです。
はい、まず可哀想ポイント1。
小野は略奪愛ではなく、健気にも「香織が幸せそうだから」という理由で2人の関係を見守ることに。
千夏が拓馬と香織を別れさせようとしたときも、恋敵である拓馬から香織を奪うチャンスだとは思わず、2人の関係を守ることを選択しました。
実に健気です。
では、そんな紳士たる小野がどうしてラスボスっぽい立ち位置に収まったのかといえば、これはもう遥斗のせいですよね。
せっかく拓馬と香織の仲を見守っていたのに、かつて可愛がっていた香港支社時代の後輩である遥斗がサクッと寝取っていったのですから、小野としては立場がありません。
可哀想ポイント2。
しかも、小野はかつて遥斗から裏切られた経験があったものですから、それはもう善意から「遥斗から香織を守らないと」と思いますよね。
その結果がラスボス的行動と、香織への急接近・告白だったわけですが……結果は惨敗。
やってることだけ見れば小野のほうがよっぽど真摯なのですが、香織の心は遥斗一筋で、小野には1ミリもなびきませんでした。
ああ、なんて報われない人なんでしょうか。
可哀想ポイントMAX。
そんな小野ですが、エピローグではなんと千夏と結婚したという後日談が!
彼には幸せになってほしいものです。
3.宇佐美礼子
香織を慕っている後輩で、恋愛に関して鈍感な香織を強力にサポートした名脇役。
あらすじでは出番が少なかったですけれど、礼子の存在がなければ香織と遥斗がハッピーエンドを迎えることはなかったでしょう。
それくらい重要なポジションで香織を支えていました。
最終的には遥斗のクライアントである二代目社長・青木明仁とくっつくという結末を迎えています。
こちらもハッピーエンドですね。
番外……東雲遥斗
遥斗は生い立ちの背景として両親が離婚しており、母親に引き取られたのですが、その母親を若いころに亡くしています。
それからたまたま双子の弟と再会し、父親に会いに行ったのですが、そこで「何しに来たんだ」と冷たくされて歪んじゃったんですね。
入社してすぐに香港へ移ったのも、「日本には自分の居場所はない」と思ったから。
で、香港でようやく恋人との幸せを掴んだと思ったら、またしてもバッチリ裏切られて、精神を病んでしまいます。
……そんな遥斗の心の氷を溶かしたのが、誰であろう香織でした。
最終的には温かい前島家の人々という『新しい居場所』を手に入れて、ようやく遥斗もこれから幸せになれそうでめでたしめでたし。
まとめ
今回はドラマ化も決定した「パーフェクトクライム」のあらすじ・ネタバレなどをお届けしました。
深夜帯のドラマにふさわしい刺激的な大人のラブストーリーということで、主演のトリンドル玲奈さんの好演に期待です。
ドラマの原作は漫画版ということですが、漫画と小説の違いは「漫画では結末の前にエピソードが足されている(現在連載分)」という点。
ドラマでは遥斗の双子の弟が登場する朝比奈編まではやらないと思うのですが……どうなるのでしょうね?
原作小説にはないオリジナルエピソードが連載中の漫画に加えて、今後はドラマ版にも要注目!
2019年も「パーフェクトクライム」の展開から目が離せません!
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はじめまして。あらすじから登場人物まとめまでわかりやすく作品を読んだ気になれました。ありがとうございました^ ^
はじめまして。
こんなにていねいなネタバレはじめてでした。
マンガの内容より文章に感動しました。
ありがとうございました。