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映画「ユリゴコロ」あらすじとネタバレ!原作小説の衝撃的な結末とは?

      2017/02/08

こんにちは、若竹です。

沼田まほかる「ユリゴコロ」が映画化!

原作は本屋大賞や「このミス」にもノミネートされ話題となった小説ですね。

また、映画化に当たっては吉高由里子さんが主演ということで注目ポイントは高し!

さっそく各ミステリー誌で絶賛されたという小説「ユリゴコロ」を読んでみました。

感想を一言で表すなら…「今世紀最大級の“やられた”感!」

ホラーサスペンスが愛の物語に変わっていくストーリーにも惹きつけられましたし、何より結末がすごい!

私にとって、小説でも映画でも「見ないのはもったいない!」と声を大にしておすすめしたい作品になりました。

というわけで今回は、映画化される小説「ユリゴコロ」のあらすじを結末までネタバレしていきたいと思います!

※以下、ネタバレ注意!

 

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「ユリゴコロ」のあらすじ・ネタバレ!

順風満帆だった亮介の人生は、たった数カ月の間に激変してしまった。

婚約者・千絵の失踪。

父親の末期がん発覚。

母は交通事故で亡くなった。

戦力だった千絵の失踪により、亮介が経営している喫茶店の経営も傾いている。

本当は実家に戻って父親と暮らすべきなのだろうが、それもできない状況だった。

 

ある日のこと。

亮介は父親の様子を見に実家に戻ったが、父親はケアハウスにいる祖母の見舞いに行っていて留守だった。

何気なく父親の書斎をのぞいた亮介は、使われていないはずの押入れに違和感を覚える。

押入れにあった段ボールから出てきたのは女物のバッグと「美紗子」という名前が添えられた黒い髪束、そして4冊のノートが入った茶封筒だった。

美紗子とは母の名前だが、近年の母の髪は白髪であり黒い髪束とは重ならない。

亮介は急に子供の頃に感じていた違和感を思い出す。

肺炎で亮介が入院していた時期を境に母親が“入れ替わった”かのように感じていたのだった。

 

亮介は4冊あるノートの1冊目を読んでみることにした。

ノートのタイトルは『ユリゴコロ』

 

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ユリゴコロ①

私は他とは違う子供でした。

母は私を何度も医師のもとへと連れていき「私にはユリゴコロがない」といった話を交わしていました。

小学生になっても、私はあまり他人とは言葉を交わさない子供のまま。

唯一、クラスの中心であるミチルちゃんは私を豪華な家に招いてくれたましたが、それは中心人物の備える鷹揚さというものだったのでしょう。

ミチルちゃんの家では、井戸に虫を落として過ごしていました。

それによって虫がどうなるかはわかっていましたが、心が痛むどころか何か不思議な安心感を覚えていました。

 

ある雨の日、ミチルちゃんが池に落ちた帽子を取ろうとして落ちてしまいました。

ソックスが引っかかっていて、このままでは溺れてしまう。

私は池の前にいて、ミチルちゃんが動かなくなるまでじっと見つめていました。

満たされていく感覚。

命消える瞬間に立ち会うこの感覚こそが、私に必要な「ユリゴコロ」だと気づきました。

私は他のクラスメイトや家族に気づかれないように、そっとミチルちゃんの家を後にしました。

 

亮介①

このノートはなんだ?過去なのか、小説なのか?

そもそも誰が書いたものなのか?母か、父か?

それとも入れ替わる前の母?

亮介は2冊目の「ユリゴコロ」を手に取る。

 

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ユリゴコロ②

私は中学生になりました。

周りは甘酸っぱい恋愛で頭がいっぱいのようでしたが、私の心は「ユリゴコロ」を求めていました。

 

ある日の公園。

幼い兄妹のうち、妹の帽子が風に飛ばされ、道路わきの側溝へと落ちてしまいました。

通りがかった若い男が重い側溝のふたを持ち上げ、兄が側溝へと潜って帽子をとろうとしています。

兄はもう少しで帽子に手が届きそうでしたが、ふたを持ち上げる若い男の限界も近そうです。

私は、さも通りがかってふたを支える手伝いをするように見せかけ、若い男の持つふたを押しました。

ふたは簡単に落ち、兄は側溝に頭を突っ込み足だけを地上に出している形のまま絶命しました。

全ては「ユリゴコロ」のため。

 

いや、実際には「ユリゴコロ」という言葉はありません。

幼い私が「拠りどころ」を聞き間違えたのだと推測しています。

しかし、私にとってそれは「ユリゴコロ」なのです。

私にとってのユリゴコロとは「誰かの命が消えていくときに生じる、言葉では言い表せない現象」

 

亮介②

父が帰ってきたため、慌ててノートを戻して出迎えた。

ノートを書いたのは父ではないだろうか?

だとすると、父は以前の母や今の母を手にかけたのかもしれない。

 

ノートのことを大学生になる弟の洋平に話したが、真剣には受け取ってくれない。

そういえば、弟と今の母には外見や体質に共通点があるが、亮介にはそれがない。

(洋平とは異母兄弟なのかもしれない)

亮介は何が何だかわからなくなった。

とにかく、ノートの続きを見るしかない。

洋平に父親を連れ出してもらい、亮介は再び実家でノートの続きを読むことにした。

店を任せきりにしている細谷さんには申し訳ないが…。

 

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ユリゴコロ②の続き

私は高校を卒業し、専門学校へと進みました。

そこで出会ったのが、みつ子です。

みつ子は拒食症でリストカット常習者であり、どこか私と同類であるように感じました。

私はみつ子と友人になりました。

みつ子を絶命させたいと思いながら、彼女の健康のために手料理を何とか食べさせたいと思ったり、リストカットを止めさせたいと思ったりするのは矛盾でしょうか。

その頃、みつ子や私に言い寄ってきた男を一人手にかけましたが、私の「ユリゴコロ」は満たされませんでした。

誰でもいいわけではないのです。大切な人でなければ。

 

私は手を尽くしてみつ子にリストカットをやめさせようとしましたが、結局みつ子はやめられませんでした。

その最後が訪れることは、2人とも予感していたのだと思います。

私は何度かそうしてあげたように、みつ子の手首を切ってあげました。

確実に逝けるように、深く。

私もみつ子も満たされた気持ちでした。

私はみつ子が冷たくなるまで、そばにいてあげました。

 

亮介③

文中の記載から、筆者が女だということがわかった。

筆者は母なのだろうか?

ということは、以前の母は今の母によって亡き者にされた?

いや、そもそも母は本当に交通事故で亡くなったのだろうか?

このノートの内容は、もちろん父も知っているはずだ。

…いったい、なにがあったのか?

亮介は3冊目の「ユリゴコロ」を読み始めた。

どうやら、2冊目と3冊目との間には<長い間>があったようだ。

 

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ユリゴコロ③

一度は就職しましたが、社会的なふるまいができずに1年で追い出されてしまいました。

その後、生活に行き詰った私は体を売るようになりました。

突発的に何人かの客を手にかけましたが、やはりユリゴコロは満たされません。

対象は私にとって大切な人でなければならないのです。

 

そして、私は『アナタ』に出会いました。

私を抱くことなく、何度も定食屋に連れて行ってくれるアナタ。

アナタは私にとって特別な人になっていきました。

 

ある夜、アナタは私に「かつて子供の命を奪ったことがある」という罪を告白しました。

なんということでしょう。

中学生時代に側溝のふたを持っていたあの若い男こそがアナタだったのです。

アナタは私のせいで人生を狂わされました。

同時に、そのおかげで私とあなたは出会ったのです。

アナタは事件のトラウマから性的不能者になっていると告げました。

私もまた、ある意味での「不能者」であるのでしょう。

アナタの言う通り、私たちは波長があう者同士なのかもしれません。

 

アナタと出会ってからも、私は客をとっていました。

そして、誰ともわからない男の子供を妊娠しました。

「結婚しよう。結婚して、一緒にお腹の子を育てよう」

アナタが言った時にはびっくりしました。

アナタは一人の子供の命を奪った代わりに、新しい子供の父親になろうとしているようでした。

罪滅ぼし…アナタ風に言うなら「運命」

私たちは結婚し、新しい家に引っ越しました。

アナタはそれまでの生活を捨て、きちんと就職しました。

そして、ある雨の日に赤ん坊が生まれました。

 

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亮介④

弟から連絡が入った。まもなく父が帰ってくるようだ。

しかし、ノートはまだ3冊目の途中。

亮介は3冊目のノートを持ち帰ることにした。

 

ここまでの内容で確信したことがある。

筆者がアナタと呼ぶ男は父のことだ。

父は簿記関係の資格をいくつか持っているし、本文中にあるように早くに両親を亡くしている。

それに、父親が日ごろから熱心に子供の権利問題について調べたり、団体に寄付したりしている姿が「アナタ」に重なる。

 

問題は書き手が誰かという事だ。

母か、それとも以前の母か。

亮介は3冊目の「ユリゴコロ」の続きを読み始めた。

 

ユリゴコロ③の続き

ある雨の日に、男の子が生まれました。

アナタは赤ちゃんをとても可愛がっていましたし、赤ちゃんを見ているうちに私のなかに初めて「楽しい」という感覚が生まれました。

私には分不相応な幸せな家庭だったと思います。

 

そのうちに、アナタは私を抱くようになりました。

今まで感じたことのない、ユリゴコロと同じくらいの幸福感を感じました。

 

アナタの強い意見にしたがって、両親の家にあいさつにいきました。

私はどことなく嫌だったのですが、アナタが楽しそうにしているのを見ているうちに、それほど苦ではなくなりました。

両親を早くに亡くしたアナタと、男子供のいない私の両親は、どちらも新しい家族が増えて幸せそうです。

そのうち、月に2度ほど実家に泊まるのが習慣になりました。

 

そんな風に数年が過ぎました。

それから壊れ始めたのです。

 

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亮介⑤

この赤ん坊とは、自分のことではないのか?

全身に鳥肌が立つような気分だ。

早く4冊目を読まなくては…。

しかし、その機会が訪れるのは1週間後だ。

 

仕事をしていても、どうにも調子が出ない。

だから、店の主戦力である細谷さんから「話がある」と言われたときはヒヤッとした。

開店当初からのスタッフである細谷さんに辞められるのは困る。

バイトの那智君は「細谷さんは店長に気があるから辞めませんよ」なんて軽口をきいていたが、そんなわけはない。

 

閉店後。

細谷さんの話は予想外の物だった。

「落ち着いて聞いてください。千絵ちゃんのことです。だいたいの事情が分かりました」

細谷さんは千絵ととても仲良くしていて、失踪した時も心を痛めていた。

千絵の失踪後は休みを使って行方を探っていたのだという。

「あの子、夫のところへ戻ったようです」

千絵は結婚していた。

相手の男は結婚後に豹変し、ギャンブルにのめり込み、千絵に暴力を振るう日々が続いたという。

男から逃げ出した千絵がたどり着いたのが、この喫茶店だったのだ。

 

今はまだ千絵の現住所はわからないが、必ず突き止めると細谷さんは言う。

亮介は細谷さんに頭が上がらない気持ちでいっぱいだった。

 

一方、協力を頼んでいた弟の方にも動きがあった。

謄本を確認した結果、母・美紗子には英実子という妹がいたことがわかったのだ。

英実子は失踪した扱いとなっており、現在の家族の戸籍からは抹消されている。

この人が、本当の母なのだろうか?

 

そして、1週間が過ぎた。

しかし、実家へ行くとノートが消えている。

そして、父親が帰ってきた。

「ノート、どこへやったの」

「お前に読ませたくないからこそ、俺が元気なうちに処分しようと思って引っ張り出したってのにな」

「でももう読み始めたからには、最後まで読むしかないよ」

「そうかもしれないな」

亮介は父から手渡された4冊目の「ユリゴコロ」を開く。

 

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ユリゴコロ④

子どもを連れて歩いていると、昔の職場で知り合いだった人に出会いました。

その人は私をお茶に誘いながら、私が手にかけた人の事件について語ってきます。

私は青くなって逃げ帰ってきましたが、不審に思われたことでしょう。

 

それからしばらくの後、家に刑事が訪ねてきました。

例の知り合いが通報していたのです。

昔の事件という事もあり真実が露見することはありませんでしたが、私はアナタに嘘をついてしまいました。

何かを隠していることは、アナタにも伝わったことでしょう。

アナタに嘘をついてしまったことに対する罪の意識。

それはこれまで幾人もの命を奪ってきたことよりも、私の心を苦しめました。

 

(いっそ、この子を手にかけてしまおうか)

そうすれば、アナタはきっと私の命を絶ってくれるでしょう。

それは、私にとっての救いになるように思われました。

 

それでももし、これは運命なんだ、とアナタが言ったあのときのような魔法が再びはたらいて、私がいつかまた生きてアナタに抱かれることがあるとしたら、もう一度子供を産みたい。

消えてしまうこの子のかわりに、今度こそ、アナタの本当の子供を産みたい。

そう思います。

 

亮介⑥

ノートを読み終わった亮介は、父親に尋ねる。

「僕を生んだのは、あのノートを書いた人だろう」

「そうだ」

父も母も、祖父母も、一家が結託して亮介を騙していたのだ。

「英実子、というのが僕の実の母親の名前だね」

「亮介、お前を生んだのは美紗子だ。だから、あのノートを書いたのも美紗子だ」

「え、でも、母さんは…」

「先だって亡くなったあの母さんが、ほんとうは英実子なんだ。つまり、お前を産んだ美紗子の妹だよ。お前が退院した日から、英実子は年齢を偽って、ずっと姉の美紗子として生きてきたんだ」

「じゃあ、殺されたのは…」

「…美紗子」

 

段ボールにしまわれていた黒い髪束は、本物の美紗子の遺髪。

父は「ユリゴコロ」のノートの続きを語りだした。

 

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父の話①

あれが起きたのは、美紗子と幼かったお前とで、両親の家に泊まりに行った時のことだ。

夜起きると美紗子とお前がいない。

嫌な予感がして家族総出で探したところ、川に流されている美紗子とお前を見つけた。

美紗子の手首には真新しい切り傷があった。

お前を手にかける前に自ら消えようと思ったのだろう。

一方、お前は母親を探して川に落ちてしまったようだった。

幸い、2人とも命に別状はない。

しかし、念のためアパートに向かっていた英実子が、遺書のように置かれていた「ユリゴコロ」を読んでしまった。

家族に、とんでもない罪人がいる。

本来なら自首させるべきだが、閉所を極端に怖がる美紗子にとって、それはこの上ない拷問に等しい。

そして義両親、英実子との話し合いの末、私たちは1つの結論を下した。

 

罪のない子供のため、父親である自分は直接手を下さなかった。

そのかわりに義両親がその役目を負った。

退院した美紗子を睡眠薬で眠らせ、目隠しし、手足を縛ってダムの底に沈めた。

亡骸が上がらないように、石をくくりつけた。

美紗子のハンドバッグと遺髪を渡されたとき、義父からそう聞いた。

 

その後は自然な流れで、英実子が母親に成り代わることになった。

子どもには母親が必要だ。

英実子は密かに自分に好意を寄せていたようで、姉から夫を奪った罪悪感に苛まれていたようだった。

 

残念だよ。お前には今の母さんの優しさだけを覚えていてほしかったのに。

理屈では説明できないが、今の母さんのなかに美紗子も一緒に生きていた。

そう思わないか。

 

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亮介⑦

父は、そこまで話して体力を使い果たしてしまったようだ。

話しの続きはまた今度という事になった。

 

その2日後、細谷さんは再び千絵を探しに出かけた。

そして帰ってきたとき、細谷さんは痩せこけてボロボロになった千絵を連れていた。

亮介は反射的に千絵を抱きしめる。

「千絵――」

「ごめんなさい」

哀れな、やっと聞き取れるくらいの声だった。

「もう、どこへも行くな」

 

千絵を休ませている間、亮介は細谷さんから事の顛末を聞いた。

夫・塩見哲治の素行はさらに悪化しており、ヤクザからの借金の果てに千絵を脅して無理やり「働かせて」いたのだという。

千絵はもはや考えることすらできず、塩見の操り人形のようになっていたのだそうだ。

「殺してやる」

自分の中に流れる血がそうさせるのか。

亮介は千絵を守るためなら、嬉々として塩見を亡き者にできる気がした。

「そんなことを考えてはいけません」

細谷さんが眉を寄せてキッと僕を見つめた。

 

千絵はいかがわしい写真を撮られて、塩見に脅迫されている。

塩見はいよいよ金に困っているらしく、すぐにこの場所を嗅ぎ当てるだろう。

 

塩見から細谷さんに電話に連絡が入った。

百万円を持ってくれば写真のネガは渡すという。

とうに覚悟は決まっている。

塩見を亡き者にするのだ。

 

指定された時間に待ち合わせ場所にたどりついた。

塩見の車が見える。助手席に乗ってから包丁で刺すのが理想的だ。

亮介が車に近づくと、中には誰もいなかった。

そしてシートには流れ出したばかりのおびただしい量の血が染みついていた。

遺体はない。

自分がやる前に、ヤクザに始末されてしまったのかもしれない。

 

そして、唐突に平穏な日々が戻ってきた。

あれから塩見からの連絡はない。

千絵も徐々に回復してきているし、店の経営状態も良くなっていった。

こんなに平穏に過ごせるのは、その大部分は細谷さんのおかげだ。

「細谷さんは千絵のことを亡くした娘さんのように思っているんじゃないかな」

「私を実の娘のように思ってくれているのは、それはそのとおりよ。でも、あなたの考えとは少し違うわ」

「どんなふうに?」

「亮介さん、意外と鈍感だから」

うふっと千絵が笑った。

 

ある日、父親から呼び出しを受けた。

弟の洋平も一緒にだ。

父の容体はいよいよよくない。

本当に、もう少しでその時を迎えるだろう。

そして、父は家族の物語の結末を語りだした。

 

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父の話②

美紗子は生きている。

何年も前から、俺たちは時々会っていた。

ずいぶん前に、突然現れたんだ。

あれから10年以上が経っていた。

美紗子は俺たち家族のことを聞いて、涙ぐみながら笑っていた。

不思議なことに、俺もあいつも何の不自然さも感じなかった。

 

義両親は、すんでのところで美紗子をダムから救出していた。

「お前のような罪人がいると、まわりの者がみな不幸になる」

そして、二度と家族に関わらず別人として生きていくように言い渡して解放していたんだ。

とはいえ、美紗子にはもはや戸籍も住民票もない。

苦労して生きていくことになった。

 

それから俺たちは1年に1度会うようになった。

家族の写真を見せると、美紗子は喜んだ。

母さんには悪いが、俺にとっても特別な女は美紗子だけだった。

 

最後に会ったのは数カ月前。

そのときから俺は、最後はこうなるような気がしていたよ。

つまり、美紗子が迎えに来てくれて、一緒に旅行にでも出かけるんじゃないかってな。

亮介、美紗子はもうそこに来ている。

会うか会わないかは、お前次第だ。

さあ亮介、どうする。

 

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亮介⑧

玄関で物音がした。誰かが、いや母が来ている。

亮介は玄関へと向かう。

逆光で黒っぽくなっている輪郭に、心当たりがあった。

ずっと前からそばにいて、苦しい時期を支え続けてくれた人。

「店長、お父様をお迎えに来ました」

細谷さんはいつもと変わらない声で言って、軽く頭を下げた。

返事もできなかった。

 

父は細谷さん、いや母と一緒に旅行に行くという。

手荷物はない。まるでもう帰ることがないから必要ないと言わんばかりだ。

細谷さんは辞職すると亮介に告げる。

「しかし、いきなり、そんな困ります」

どうしてもまだ母と細谷さんが重ならない。

「もう、大丈夫ですよ。千絵ちゃんと一緒にしっかりやっていってください」

 

細谷さんはいったん父から離れてそばにくると、耳元で早口にささやいた。

「千絵ちゃんのネガのことは心配しないで。私が全部奪い返して処分しましたから」

細谷さんの仕業だったのか。

きっと待ち合わせ時間をずらして伝えていたのだ。

僕の手が汚れないように、細谷さんが始末してくれたに違いない。

 

「それじゃ、店長、洋平さんも、お元気で」

細谷さんの運転で車が動き出す。

2人きりの空間で母と父は「私とアナタ」に戻っていた。

「さて、どこへ行く」

「どこへでも。アナタの行きたいところへ」

「そうだなあ、それじゃあ――」

言葉は聞き取れない。2人が楽しそうに頷き合うのが見える。

車が走り出す。

弟があんまり激しく泣くので、背中に片手をまわした。

肩と肩をくっつけたまま、人影ひとつない道路のアスファルトを長い間眺めていた。

<ユリゴコロ・完>

 

※同じ沼田まほかる小説が2017年秋に映画化!こちらも要チェックです!

関連記事:映画「彼女がその名を知らない鳥たち」あらすじとネタバレ!

 

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まとめと感想

小説「ユリゴコロ」が実写映画化!

今回は結末までのあらすじとネタバレでした。

いやもう、あらすじネタバレでは伝えきれない部分が多すぎなので、できれば原作小説読んでみてください!

前半は完全にホラーサスペンスの怖い雰囲気なのに、徐々に愛の物語に変わっていくなんて不思議な体験はなかなかできませんよ。

さらに結末では、まさかの「細谷さん=美紗子」発覚に加えて、細谷さんが塩見を始末した犯人であることも明かされてダブルの衝撃!

本を読んでいて「マジか!」と声が出るほど驚かされました(笑)

また、トリック部分もさることながら各登場人物の心情描写も深くて、その点にも惹きつけられます。

今回は触れていませんが、亮介と洋平の関係なんかもとっても素敵なんですよ。

 

そういえば、映画では主演の吉高由里子さんが美紗子役という事ですが、細谷さんも吉高由里子さんが演じるんでしょうか?

いずれにせよ、あらゆる意味での衝撃作「ユリゴコロ」は必見の映画になりそうです。

期待の映画「ユリゴコロ」は2017年9月公開!お見逃しなく!

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