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漫画『ノイズ』あらすじネタバレ解説|最終回の結末は?【映画原作】

筒井哲也『ノイズ【noise】』を読みました!

この漫画の魅力は手に汗握る「隠ぺい工作」です。

招かれざる極悪人の息の根を止めてしまった主人公。

田舎の青年の偽装工作なんて素人仕事で、とても刑事の目を誤魔化せるものではありません。

ところが、村社会ならではの味方によって、事件は巧妙に隠されていって……。

今回はそんな漫画『ノイズ【noise】』のあらすじがよくわかるネタバレ解説をお届けします!

ぱんだ
ぱんだ
いってみよう!

あらすじ

のどかな田園風景が広がる猪狩町では、黒イチジクを地域の特産として、限界集落から一転、活況を呈し始めた。

そんな中、イチジク農園を営む泉圭太のもとに鈴木睦雄と名乗る怪しい言動の男が現れる。

彼は14年前に女子大生ストーカー殺人を犯した元受刑者だった。

平穏な地域社会に投げ込まれた異物が生んだ小さな波紋が、徐々に広がっていく──…!!

始まりの事件

泉圭太は鈴木睦雄を殺してしまいます。

状況的にはほとんど正当防衛で、そうしていなければ逆に圭太が殺されていたかもしれません。

鈴木睦雄は逃亡中の殺人犯で、圭太たちは彼を警察に突き出そうとしていました。

鈴木睦雄がナイフを取り出そうとしたので、反射的に首を絞めて取り押さえていたら、そのまま……というのが事件の全貌です。

「もう死んじまったよ、こいつ」

ところで、殺人現場には加害者(圭太)と被害者(鈴木睦雄)以外に、二人の人物が居合わせていました。

圭太の親友である猟師の田辺純(32)

赴任したばかりの新米警官・守屋真一郎(25)

二人は事件を隠ぺいする共犯者になります。

警官の守屋まで隠ぺいに加担したのは、彼がもっと手早く手錠をかけられていたら睦雄を穏便に無力化できていたからという後悔のためです。

そしてもうひとつ。

鈴木睦雄という一片の同情の余地もない最低最悪の人間のクズのために、猪狩町の住民が不幸になることはないと考えたからでもあります。

ぱんだ
ぱんだ
どゆこと?

猪狩町の経済は圭太のイチジク農園に頼りきりです。

もし圭太が逮捕されでもしたら、名産のイチジクはふるさと納税の指定品から除外され、農園の恩恵を受けていた住民たちは路頭に迷ってしまうでしょう。

「田舎のお巡りさん」の使命は凶悪犯の逮捕ではなく、地域の平穏を守ることだと、守屋は考えたのですね。

 

3人は鈴木睦雄の遺体をひとまず純の家の冷温室に隠します。

一方、町には鈴木睦雄の足取りを追って、愛知県警捜査一課の刑事・畠山努(56)が迫ってきていました……。

<すぐ下のネタバレにつづく>

鈴木睦雄は刑務所から出た後、保護司の鈴木賢治を殺害して逃亡していました。

純度120%の悪人で、圭太の妻に乱暴しようとしたり、理解も同情もできないやつです。


ネタバレ

猪狩町に到着するやいなや、刑事の畠山は事件の真相をほとんど見抜いてしまいました。

ぱんだ
ぱんだ
えっ
  • ビクビクと落ち着かない守屋
  • その守屋と頻繁に会っている圭太と純
  • 圭太の腕に残っていた鈴木睦雄の噛み痕

百戦錬磨の刑事の目から見れば、明らかに不審な点ばかりです。

畠山は14年前の鈴木睦雄の事件と因縁があり、その追跡に並々ならぬ執念を燃やしています。

どうにも頼りない守屋が秘密を隠し通せるわけもなく、犯行は早々にバレてしまう……かのように思われました。

ところが、です。

結論から言うと、守屋から秘密が洩れることはありませんでした。

なぜなら、守屋はすべてを背負って自殺したからです。

ぱんだ
ぱんだ
えっ!!

厳密には拳銃を持つ手元が狂ったため「未遂」だったのですが、意識不明の昏睡状態になったため、秘密を守ったという点では変わりません。

守屋はボイスレコーダーに罪の告白を録音していました。

「鈴木睦雄は、私が殺しました」

圭太……というよりも猪狩町を守るための偽証です。

畠山はそれが嘘の証言であるとすぐに理解しましたが、状況は一気に圭太たちの有利へと傾きます。

圭太は34歳と若いながらも地元の名士であり、警察としても慎重に扱わなければならない(一般人扱いではない)対象です。

畠山は上層部から圧力をかけられ、身動きが取れなくなってしまいました。

この頃、圭太の黒イチジクは農林水産大臣賞に内定。

猪狩町には3億円の交付が下りることになっています。


第二の事件

平和な猪狩町で第二の殺人事件が発生します。

加害者は田辺純、そして被害者は庄司義昭(59)

ぱんだ
ぱんだ
誰!?

庄司は猪狩町の町議会助役であり、事実上、自治体のトップです。

庄司は(住民の目撃情報によって)圭太たちの犯行を知っていて、それをネタに「イズミ農園」の乗っ取りを企んでいました。

簡単に言ってしまえば、ずる賢い小悪党、といったポジションですね。

庄司の要求は次の三点でした。

  1. 純がすべての罪を背負って自首すること
  2. 圭太が猪狩町から出て行くこと
  3. イチジク農園を譲り渡すこと

庄司は純に自首させてイチジク農園の評判を守り、そのうえで町の経済基盤を私物化しようとしていたんです。

「お前たちには感謝しとる。感謝しとるが……もう消えてくれんかなあ。町の住民は皆、平穏な生活を望んどる。だからお前たちは町の平和を乱すノイズだ

場所は純の家の冷温室。室内には庄司と純だけ。

迷っている時間はありません。

純は手斧で庄司の後頭部をかち割ります。

衝動的な犯行ながらも、もはや純は覚悟を決めていました。

圭太には農園もあるし、家族もいます。

純は鈴木睦雄の事件も含めて、すべてを背負って自首するつもりでした。

「朝になったら警察に行く。今まで世話になった。足を引っ張ってすまなかったな」

しかし、圭太はそんな純を止めます。

「何か問題が生まれると、まず自分で抱え込んで身を退こうとする。お前はずっとそうだったな」

圭太は学生時代の思い出をふり返っていました。

妻の加奈を好きになったのは、もとはといえば純の方が先だったのです。

ところが純は加奈の気持ちが自分ではなく圭太に向いていると悟り、身を引きました。

ある意味、圭太の今の幸せは純の自己犠牲のおかげでもあるのです。

自首するという純をまっすぐ見つめながら、圭太は言いました。

「……純。俺はお前に大きな借りがあると思ってる。ずいぶん時間が経っちまったが、多分、今がその時なんだろう。全部、俺が片をつける

迷いのない、いっそ清々しいまでの表情。

圭太の瞳には一点の曇りもありませんでした。


覚悟の幕引き

圭太の計画はシンプルでした。

鈴木睦雄と庄司義昭の遺体を冷温室ごと燃やしたのです。

もちろんそれだけでは何の解決にもなりませんから、ちゃんとシナリオも用意しています。

  1. 冷温室にいたのは庄司と圭太だった
  2. 圭太は庄司の横領疑惑を問い詰めていた
  3. 言い争いの末、圭太は庄司を殺してしまう
  4. 圭太は冷温室に火をつけ自殺した

つまり、鈴木睦雄の遺体を圭太の遺体だと錯覚させることですべてを解決しようとしたんですね。

とはいえ、圭太と鈴木睦雄では身長が10㎝も違います。

畠山の目には真相が明らかでした。

しかし、猪狩町の住民全員が「これは圭太の遺体だ」と証言している以上、手も足も出ません。

敵は猪狩町という自治体そのもの。町民全員が共犯者だと認識するべきだ。

猪狩町は自治体にとって都合のいい《真実》を結託して証言します。

畠山に残された道はもはや「失踪した圭太を探しだすこと」だけです。

しかし、純の偽装工作や陽動作戦により「圭太探し」はことごとく妨害され、やがて捜査本部は解散。

一連の事件は誰ひとり逮捕者を出さず幕引きを迎えます。

猪狩町の老人たちは口々につぶやきました。

「……まあ、一件落着とは言えんが、ほんでも、ようやっと雑音が消えてくれたわ」

結末(最終回)

~3年後~

猪狩町はイチジク農園の恩恵によってますます発展しています。

3億円の交付によって町には小学校が建ち、外部からの若い転入者もずいぶんと増えました。

田辺純は加奈(圭太の妻)と再婚。

イズミ農園はタナベ農園へと名前を変えています。

圭太の自己犠牲によって、町には平和と繁栄がもたらされていました。

ぱんだ
ぱんだ
ふくざつ……

そんなある日のこと、小学6年生になった恵理奈(圭太の娘)は父親がまだ生きていることに気づきます。

純が山に潜伏している圭太に定期的に支援物資を届けている事実を知ったのです。

恵理奈は父親に会いたい一心で山に登り……事故に遭います。

崖から転落し、脚には太い木の枝が刺さっていて、立ち上がることすらできません。

ゆっくりと意識が薄れていくなか、残酷にも太陽は山の向こうへと沈んでいきます。

命の危機でした。

ぱんだ
ぱんだ
はらはら

一方、恵理奈が帰らないことを心配した純はいつかと逆の覚悟を決めていました。

「……圭太、すまない。3年前のあの時決めた約束は、今日で全部終わりだ」

恵理奈の命より優先させるべきものなど何もありません。

捜索隊を頼むため、純は執念深く事件を追っていた畠山にすべての真実を白状しました。

「今はお嬢さんの捜索が最優先です」

そうして畠山が指揮する捜索隊が山に足を踏み入れようとした、まさにその時です。

山から下りてきた一人の人物に、一同は息を呑みました。

無造作に伸びた髪と髭。山に溶け込む薄汚れた衣服。野性味と迫力の増した顔。

《彼》の腕にはすやすやと眠る恵理奈が抱きかかえられていました。

※以下、漫画より一部抜粋

…………

「……右脚、腿の外側、木の枝が深く刺さっていました。処置はしましたが、かなり出血しています。輸血が必要なら俺の血を使ってください。畠山さん。できれば手錠はその後で」

「いいだろう、泉圭太」

「全て俺の指示です。町を守るために考えたことですが、それも今日で終わりにします。恵理奈の命より優先するものは他に何もないからです」

「……長い取り調べになりそうだな」

…………

物語のラストシーンは、純と圭太の短いやりとりで締めくくられます。

 

「圭太、ありがとう。これで俺も罪を償うことができる。……おかえり」

「……ただいま」

力尽きたようにふらりと倒れた圭太を、純と畠山の腕が受けとめました。


ノイズ【noise】

※以下、ラストページの畠山のモノローグ

全てが明らかになる時が来た。

被告人は3年間山中で潜伏生活を送っていた男と、その生活を支援し続けた幼なじみの男。

容疑は殺人と死体遺棄。

3年前、平和な町に突然、悪意の塊のような異物(鈴木睦雄)が現れた。

その脅威を排除するために彼らは、決して許されない過ちを犯した。

その過ちを隠すために重ねた嘘が、いつしか深い闇となって彼らの町を覆っていった。

その闇を打ち払ったのは、最も純粋な思いを持つ者(恵理奈)の力だった。

今はまだ混乱の最中だが、やがて周囲の雑音も消えるだろう。

いつかその時まで、傷を負った者達の元に寄り添いたいと思う。

<完>

ぱんだ
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映画ではちょっと設定が違う

映画のあらすじを見ると、いくつか原作漫画との相違点があることに気がつきます。

たとえば

  • 舞台は絶海の孤島「猪狩島」
  • 圭太が妻子と別居していない
  • 「第3の死体」の存在

などなど。

全体的にサスペンス色を強くしているような印象を受けます。

映画ではどのようなシーンが追加されているのか、そして原作漫画と同じ結末になるのか、楽しみです。

映画『ノイズ』公式サイト

まとめ

今回は筒井哲也『ノイズ【noise】』のあらすじネタバレ解説をお届けしました!

  • 圭太
  • 守屋

共犯関係の三人だけではなく、自治体の利益のために猪狩町の住民みんなが隠ぺい工作に協力していたのがおもしろかったです。

また、冬の山をひとりで何度も乗り越えてまで潜伏していた圭太の精神力にも目を瞠るものがあり、そんな圭太が恵理奈のために警察の前に姿を現すラストも印象的でした。

全3巻と読みやすいので「短くておもしろい漫画ってないかな?」とお探しの方におすすめです。

 

映画情報

予告動画

キャスト

  • 藤原竜也(泉圭太)
  • 松山ケンイチ(田辺純)

公開日

2022年1月28日公開

ぱんだ
ぱんだ
またね!


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