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小説『君が落とした青空』あらすじネタバレ解説|タイムリープの結末【映画原作】

櫻いいよ『君が落とした青空』を読みました。

ジャンルは「青春恋愛 × タイムリープ」

主人公は高校一年生の女の子で、同じ結末を迎える一日を何度も何度も繰り返します。

はたして彼女は恋人の死の運命を変えられるのでしょうか?

今回は小説『君が落とした青空』のあらすじがよくわかるネタバレ解説をお届けします!

ぱんだ
ぱんだ
いってみよう!

あらすじ

付き合いはじめて2年が経つ高校生の実結(みゆ)と修弥(しゅうや)

気まずい雰囲気で別れたある日の放課後、修弥が交通事故に遭ってしまう。

実結は突然の事故にパニックになるが、気がつくと同じ日の朝を迎えていた。

何度も「同じ日」を繰り返す中、修弥の隠された事実が明らかになる。

そして迎えた7日目。

ふたりを待ち受けていたのは予想もしない結末だった。

号泣必至の青春ストーリー!

(文庫裏表紙のあらすじより)

物語中盤まで

まずは小説の目次に注目してみましょう。

もくじ
  • 君が残した雨
  • 最初の最後
  • 二度目の困惑
  • 三度目の抵抗
  • 四度目の足掻き
  • 五度目の諦め
  • 六度目の意識
  • 最後の笑顔
  • 君が落とした青空

主人公の実結は七回も《今日》を繰り返します。

天気はずっと雨。

登校、昼休み、放課後……どんな行動をとってみても修弥は絶対にトラックに轢かれてしまいます。

状況はまさに絶望的です。

しかも、実結には事故の他にも深刻な悩みがありました。

ぱんだ
ぱんだ
悩み?

実結の悩みとは、ズバリ修弥との関係です。

実結は修弥から一度も「好きだ」と言ってもらったことがありません。

つき合った経緯だって「お前ら、つき合っちゃえば?」なんて冷やかしに修弥が「じゃ、付き合おっか」なんてノリで応えたのがきっかけです。

修弥は昔からクラスの中心にいる人気者。

一方、どちらかといえば地味なタイプの実結は「修弥とはつりあわないんじゃないか?」とどうしても考えてしまいます。

最近では手もつながなくなったし、デートも二週間に一度で、しかも放課後に映画を見るだけ……。

これでは恋人というよりただの友だち……いいえ、修弥はクラスの友だちと一緒にいるときのほうが楽しそうだから、実結は友だち以下です。

(ねえ修弥、なんで一緒にいるの?)

修弥からの気持ちを信じられないし、自分に自信もない……そんな実結をさらに追いつめるように、修弥には浮気(本気?)の疑惑も浮上してきます。

修弥と同じクラスの、ふわふわした可愛い女の子。

トモカというその子と修弥が「深夜に一緒に歩いていた」と噂になっていました。

修弥がトラックに轢かれるのは、いつも《誰か》からの電話がかかってきた直後です。

実結との久しぶりのデートを中断してまで《電話の用事》を優先するのは、その相手がトモカだから……?

「誰からの電話?」

「どこにいくの?」

尋ねてみても、修弥はあいまいに誤魔化すだけで、答えてくれません。

「行くなら……別れる」

涙ながらに最後の切り札を突きつけても、修弥は止まってくれませんでした。

くり返される絶望の《今日》

すっかりこじれてしまった修弥との関係。

実結はもう、限界でした。

「修弥、別れよう。もう、無理だよ」

タイムリープ五回目の夕方。

修弥がトラックに轢かれる《いつもの結末》は何も変わりませんでした。

物語中盤までの謎は2つ。

【1】修弥とトモカの関係は?

【2】修弥にかかってくる電話は誰からで、どんな要件なのか?


ネタバレ

実結は「修弥はトモカのほうが好きなんだ」と思い込んでしまうのですが、もちろん勘違いです。

修弥は実結に隠れてバイトしています。

トモカとは同じバイト先で働いているというだけの関係で、深夜に一緒に歩いていたというのもただバイト帰りだっただけです。

※ちなみにトモカはバイト先の社員とつきあっています

ぱんだ
ぱんだ
じゃあ、あの電話は?

電話の相手はバイト先の店長でした。

要件は「急で悪いけどシフトに入ってほしい」というお願いです。

ここ半年、修弥はほぼ毎日バイトを入れていて、シフトの穴埋めも積極的に引き受けていました。

※デートの頻度が少なくなっていたのもバイトのため

だから《今日》も修弥にバイトの応援のお願いが回ってきてしまったんですね。

※実結とデートしてんだから断れよって話ですが……

ぱんだ
ぱんだ
バイトだったのね

『修弥は実結に黙ってめちゃくちゃアルバイトしていた』

あらすじにある《修弥の秘密》とはこのこと↑です。

わかってしまえば《秘密》ってほど大げさなものでもないですね。

でも、修弥が最初から実結に「バイトしてるんだ。トモカから紹介してもらったファミレスでさ」と伝えていれば、実結は浮気を心配したり、デートが少ないと不満に思ったりせずに済んでいたはずです。

少なくとも実結にとっては天地がひっくり返るほどの《秘密》だったといえるでしょう。

ぱんだ
ぱんだ
修弥はなんで隠してたんだろう?

修弥がこっそりアルバイトしていたのは、もちろん実結のためです。

去年、修弥はつきあって一年目の記念日を忘れて、実結を悲しませています。

さっぱりと明るい性格の修弥ですが、このときはさすがに反省して「来年こそちゃんとする」と約束していました。

だから、アルバイトを頑張っていた理由は……

修弥「来年はちゃんとするって約束したから、ちゃんとしようかなって思って」

もうすぐ二年目の記念日。

その日のために修弥は半年も前からアルバイトをしていたんですね。

一方、実結はというと……

実結(……そんな約束、知らないよ……)

実結は「来年はちゃんとする」という修弥の言葉を覚えていませんでした。

なぜ、覚えていなかったのか?

それは実結が修弥に期待していなかったから……修弥を信じられていなかったからです。

実結はようやく気づきます。

(原因は修弥じゃなくて、きっと私だったんだ)

※以下、小説より一部抜粋

…………

本当にごめんね。ちゃんと修弥を見ようとしなくて。

大好きだったのに、大好きなのに、どうして私は逃げたんだろう。

大好きだからこそ、なにがあっても、私は修弥ともっと本音で、想いを伝えないといけなかったのに。

わからないのは、私がわかろうとしなかったから。

知らなかったのは、私が聞かなかったから。

信じられなかったのは、自分が、修弥から逃げたから。

ちゃんと、私が修弥を好きな気持ちに向かい合っていたら、きっと今、私と修弥は、もっとたくさんの思い出に満たされていたはずなのに。

「あ、そういえば俺、今日バイト休みなんだ。映画でも行かねぇか?」

「……うん」

まだまだ、話したいことがあるよ。今日だけじゃ足りないくらい。

明日も明後日も、これからずっと、いろんなことを話して、一緒に笑いたい。

それだけで、すごくすごく特別なことなんだよね。

……なのに、どうして、時間には限りがあるんだろう。

どうして《今日》、修弥は……。

…………

補足解説

実結は修弥からの気持ちに自信が持てなくて不安になっていたのですが、実際には修弥は実結のことがずっと大好きでした。

つき合ったきっかけだって、たまたま冷やかされて告白したわけじゃなくて、修弥がそうなるよう友達に頼んでいたからです。

でも、その事実を実結は知りません。

実結の胸の内の「修弥は私のこと好きなのかな?」という不安はどんどん膨らんでいってしまいました。

実結はずっと修弥から「好きだ」と言ってもらっていないことを気にしていましたが、それは実結も同じことです。

もし実結がもっと早く修弥に「好き」を伝えていれば、二人の関係はここまでこじれずに済んだでしょう。

ぜんぶ実結の独り相撲だったというか、自縄自縛だったというか。

ほんとうはこれ以上ないほどの相思相愛だったのに、実結はどんどん悪い方向に考えてしまっていたんですね。

7回目のタイムリープ。

実結はようやく修弥の気持ちを知り、笑顔を取り戻します。

けれど、《今日》の終わりにはやっぱり修弥の交通事故が待っているわけで……。


最後の笑顔

7回目の放課後。

残された《今日》の時間はあとわずかです。

結局、修弥を事故から救う方法はわからないまま。

せっかく気持ちが通じ合ったのに、次の《今日》になればまたリセットされてしまいます。

……いや、それならまだマシです。

タイムリープはいつ終わってもおかしくありません。

《今日》の繰り返しが終われば、その後には修弥のいない世界が待ち受けています。

だから……

実結「修弥、手、繋いでいい?」

だから、実結は修弥とならんで歩く《いまこの時》を大切にすることにしました。

浮かない顔も、ましてや泣き顔なんて、修弥には見せられません。

せめて最後は、笑顔で。

久しぶりに手をつなぐのはなんだか恥ずかしくて、実結はなんだか緊張していまいます。

修弥「なんだこの緊張、中学生みたいだな」

隣を見れば、修弥も耳まで真っ赤にしていました。

※以下、小説より一部抜粋

…………

「今日は、よく笑うな」

ふと、修弥が私を見て、本当にうれしそうな顔をして言った。

うれしそうで、優しそうな笑顔だ。

今、見ることができてよかった。

「そう?」

「おう、中学の頃みたいだ。お前の第一印象って、よく笑うやつ、だったのに。最近はずーっと、つまんなそうな顔しかしねぇんだもんな、お前。俺と一緒にいたくないのかと思った」

「そんなこと……」

今までの私は、そんな風に修弥に思われてたんだ……。

そう思うと、胸が痛む。

ごめん、と謝ろうかと少し口を開いたけれど、それがいいのか悪いのかわからない。

そんなことないよ、楽しかったよ、と嘘でも言えればいいのに、それも言えない。

ごめん、と心の中で謝ることしかできない。

言葉にできない代わりに、少しだけ手を強く握った。

修弥もそれに応えるように、私の手を強く握り返してくれた。

そんな風に思わせて、ごめん。

好きだったから。大好きだったから。だから、抱いてしまった気持ちだったのに。

一度だってそんなことを修弥に伝えもしないで、ごめん。

それでも、一緒にいてくれてありがとう。

(中略)

「お前の笑った顔が、好きなんだよ」

え……?

はじめて聞く修弥の気持ちは、私を泣かせようとしているとしか思えない。

だって、今までそんなこと、一度も口に出してくれなかったのに。

「もういいよ……」

はずかしさと胸の痛みに歪む顔を、傘で隠すようにして、うつむいた。

泣くな。最後まで泣くな。

まだ、終わってないんだから。

楽しまなくちゃ。最後まで、ギリギリまで、楽しい気持ちも好きな想いも伝わるように、思いきり笑わなくちゃ。

必死に自分に言い聞かせながら、涙をこらえる。

気をゆるめたら、一気にあふれでそうだから、何度も唇を嚙んだ。

私が泣いていることを知ったら、きっと修弥は困るから。

きっと「笑え」って言うから。

涙は、悲しんでいるみたいに見えるから。

そんな風に思わないで。

修弥はいつもどおりに笑ってて?

最後まで。

《今日》が終わる最後まで。

私に笑顔を見せて。

私に……青空のような笑顔を、ちょうだい。


結末

バイト先からの電話。

どんなに止めても修弥が行ってしまうことを、実結はイヤというほど知っています。

だから、実結は去っていく修弥の後ろ姿に叫びました。

「好きだよ、修弥」

今までで一番の笑顔で、修弥が好きだと言ってくれた笑顔で、伝えます。

修弥は驚きながらも嬉しそうにして、とびきりの笑顔を返してくれました。

「おう、俺も好き」

雲ひとつない空のような、晴れ渡った笑顔。

実結はあふれだしそうな気持をこらえながら、修弥を見送ります。

そして……いつもと同じように、事故は起こりました。

ぱんだ
ぱんだ
えっ?

何度も聞いたトラックのブレーキ音。

事故現場に集まった人をかきわけて、実結は修弥に駆け寄ります。

血の赤。倒れている修弥。

変わらない現実のなか、ひとつだけ、いつもと違っていたのは……

修弥「……み、ゆ?」

いつもは目を閉じ、何の反応もしなかった修弥が、《今日》は実結に目を向け、実結の名前を呼んでいます。

修弥「なに泣いてんだよ。大丈夫だから……」

そう言いつつ、修弥は血だらけです。どう見ても大丈夫ではありません。

ぼたぼたと涙をこぼす実結に修弥は……

※以下、小説より一部抜粋

…………

修弥は私を見て、痛みに顔をゆがめながら、少し、笑った。

いつもと変わらない晴れやかな笑顔を私に向けてくれる。

修弥は、なんでこんなときにも、笑えるんだろう?

なんで、そんなにも強くいられるんだろう?

つらいのは、修弥の方なのに。

もしかして、私に笑ってほしいから?

だから、修弥はいつも私に笑顔を見せてくれるの?

「泣くな、大丈夫だから、お前は笑ってろ」

笑えないよ。

笑うどころか、涙を止めることもできないのに。

「言っただろ……? 俺、お前の笑顔が好きだって。だから、笑って?」

「バカ……」

そうつぶやいて、修弥の笑顔を見つめながら手を強く握って……。

 

笑った。……泣きながら。

 

必死で、涙を落としながら、ただ笑う。

今までで一番の笑顔になるように、修弥の手を強く握って、泣きながら笑う。

修弥は私に負けないくらい、強く手を握って、私の大好きな笑顔を見せてくれた。

<おわり>

明確な描写こそありませんでしたが、おそらく修弥のケガは命にかかわるものではなかったのでしょう。7度目のタイムリープで、実結はついに《修弥を喪う今日》から抜け出せたわけですね。


感想

残念ながら、『君が落とした青空』はわたしのための物語ではありませんでした。

この物語に素直に感動できるのは、10代の子の特権だと思います。

高校を卒業して100か月どころじゃないほど年齢を重ねてしまったわたしは人生経験的にも読書経験的にもすっかりスレていて、1ミリも泣けやしませんでした。寂しいことです。

もし、あなたがわたしと同じようにすっかり大人なら、胸が締め付けられる切なさを期待して『君が落とした青空』を読むとガッカリするかもしれません。

反対に、もしあなたがまだ若い感受性を持ちあわせているのなら、今のうちに『君が落とした青空』を読んでおくことを強くおすすめします。

食べ物に賞味期限や旬があるように、実は読書にもまた《期間限定》でしか味わえない感動(価値)があります。

『君が落とした青空』は、修弥や実結と同じように学生服に袖を通しているあなたのための物語です。

※もしあなたが大人で、身近に10代の子がいるのなら、おすすめしてあげるといいかもしれませんね

わたしは偏屈な大人なので「えっ、タイムリープの原因とか明かされないの?」とかそんなことばかりが気になってしまいました。これだから大人は……。

くり返しじゃない今日を生きる

『君が落とした青空』に込められているメッセージは明確です。

毎日は退屈な繰り返しではなく、どんな日もたった一度きりの特別な日であること。

だから、一日一日を後悔のないように過ごすべきだということ。

そして、大切な人にはちゃんと言葉にして想いを伝えるべきだということ。

こうして文字にして書くのは簡単ですが、実践するとなるとどれも難しいことばかりですよね。

「正論だし、頭ではわかっているんだけど……」なんて自分に言い訳して、結局、行動に移せません。

そんなわたしの怠惰をまるで見抜いているかのように、作中にはこんな一文が用意されていました。

なんで、今まで、私たちはたくさんの時間があったはずなのに、残された時間がわずかになってから気づくんだろう。

このフレーズには胸をグサッと刺されました。

10代の子たちよりも長く生きているぶん、もうすでに身に覚えがあるからです。

極端な話、わたしだって明日には修弥のように事故に遭うかもしれないし、実結のように大切な人をなんの前触れもなく失ってしまうかもしれないんですよね。

決して、他人事ではありません。

タイムリープのできない私たちにできるのは、今のこの瞬間、大事な人に素直な気持ちを伝えることだけです。

修弥や実結の身に起こったことを思えば、照れたり先延ばしにしたりしている場合ではありませんよね。

『君が落とした青空』は生きるうえで本当に大切なことをあらためて示し、そのために行動するきっかけをくれるような一冊でした。

修弥の事故は、まさに『メメント・モリ』(※)そのものでしたね。

※いつ死ぬかわからないんだから毎日を後悔のないように生きよう(意訳)

ぱんだ
ぱんだ
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まとめ

今回は櫻いいよ『君が落とした青空』のあらすじネタバレ解説(と感想)をお届けしました。

実結や修弥と同年代の中学生~高校生くらいのあなたに読んでほしい小説です。

当たり前の毎日、となりにいて当たり前の人は、実は『当たり前』ではありません。

本当なら手遅れになってから気づくしかない「もっとこうしたかった」を、なんでもない今日、言葉や行動にしてみませんか?

『君が落とした青空』は後悔する前にちゃんと大切な人に気持ちを伝えようと思わせてくれる一冊でした。

 

映画情報

キャスト

  • 松田元太(Travis Japan/ジャニーズJr.)
  • 福本莉子

公開日

2022年2月18日公開

ぱんだ
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またね!


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