麻耶雄嵩「貴族探偵」シリーズがドラマ化!
しかも相葉雅紀さん主演の月9ドラマということで話題になっていますね。
というわけで、さっそく原作小説「貴族探偵」「貴族探偵対女探偵」を読んでみました!
感想を一言でいえば…「予想をはるかに超えた本格ミステリでビックリ!」
自分で推理をしない貴族探偵、なんていうものですからキャラクターを重視した物語かと思いきや、登場するのはミステリファンをも唸らせるシチュエーションやトリックばかり!
さすが「本格ミステリ・ベスト10」1位に輝いた作品だけあって、ミステリーの醍醐味を詰め込んだような小説という印象でした。
さて、というわけで今回はそんな「貴族探偵」の…
- あらすじは?
- 犯人やトリックのネタバレは?
- 貴族探偵の正体は?
- 原作小説の結末は?
- 原作小説とドラマ版との違いは?
- 感想は?
などの点についてチェックしていきたいと思います!
小説「貴族探偵」のあらすじ
本名や国籍など一切の素性が不明…自称「貴族探偵」
豊かな口髭を蓄え、色白細身。外見年齢は20代後半くらい。常にオーダーメイドの高級スーツを身につけている。
さるやんごとなき家柄の人間である彼の態度は、紳士にしてまさに貴族。
事件現場ではリラックスしながら紅茶を嗜んだり、美しい女性を口説いたりしてばかりだ。
そして、いざ推理を始めようという段になると…
貴族探偵「使用人!」
使用人「はい、御前。みなさま、僭越ながら私めが推理を披露させていただきます」
と、この調子だ。
思わず「あなたが推理するのではないのですか?」と周囲の人間が尋ねれば、彼はやれやれといった顔でこう答えるだろう。
「まさか。どうして私がそんな面倒なことを?労働などは家人に任せておけばよいのです」
執事、運転手、メイド…彼の使用人は誰もがずば抜けた推理力を持ち合わせており、事件は使用人の推理で必ず解決される。
その間、貴族探偵は本当に何もしない…果たして、自分で推理をしない彼は本当に「探偵」なのだろうか?
その疑問を口にすれば、やはり貴族探偵はやれやれといった顔で答えるに違いない。
「彼らは私の所有物にすぎません。探偵に求められることは事件解決です。そして、私が現れれば必ず事件は解決される」
なるほど「貴族探偵」である。
彼が使用人をも上回る超天才なのか、それともただの無能なのか、それは誰にもわからない。
小説「貴族探偵」とドラマ「貴族探偵」
小説「貴族探偵」および「貴族探偵対女探偵」には、それぞれ5編ずつの物語が収録されています。
実は短編集なんですね。
登場するのは洋館、密室、孤島…などミステリの王道を行くシチュエーションばかりで、すべての物語において殺人事件が発生します。
「犯人はこの中にいる!」というお決まりの環境下において、貴族探偵はときに興味本位で、ときに美女のために事件解決に乗り出しますが、実際に証拠を集め、推理するのは使用人の役目。
ネタバレになりますが、結局最後まで貴族探偵が自ら推理することはありませんでした。
※加えて、最後まで貴族探偵の素性は不明のままでした。
さて、そんな「貴族探偵」がドラマ化!
主演の相葉雅紀さんを始め、月9でも類を見ない豪華なキャスト陣が話題になっています。
ただ、一口にドラマ化といっても、原作からがらりと設定が変更されている場合もありますよね。
では今回のドラマ「貴族探偵」の場合はどうなのでしょうか?
現段階の情報で気がついた点を挙げてみましょう。
・「貴族探偵対女探偵」からの新キャラである新米探偵・高徳愛香(演・武井咲)が最初から登場する。
・愛香の亡き師匠(演・井川遥)の性別が女性に変更されていて、「過去に貴族探偵との因縁がある」という設定が加えられている(ちなみに原作の師匠には名前すらない)
・ドラマオリジナルキャラである刑事・鼻形雷雨(演:生瀬勝久)の存在。
・「謎」役の仲間由紀恵さん。
・使用人のキャラ設定はわりと原作無視。中山美穂さん演じるメイド・田中は小説では20歳前後の可愛らしい女子ですし、滝藤賢一さん演じる運転手・佐藤は巨躯でムキムキの大男という設定。
このようにドラマ化に当たっての設定変更は多そうです。
おそらく貴族探偵個人のキャラクターや全体を通しての雰囲気も原作とは違ってくるのではないかと思います。
※ドラマ版ではコメディー要素も意識しているようですしね。
個人的にはドラマ「貴族探偵」で注目したいのは松重豊さんと生瀬勝久さん!
2人とも好きな俳優さんということはもちろん、「孤独のグルメ」の印象が強い松重さんによる推理披露はぜひ見てみたいですし、「TRICK」の刑事役のイメージが強い生瀬さんが(しかも仲間由紀恵さんも出演する中で)どんな刑事を演じられるのかが気になります。
あ、もちろん主演の相葉雅紀さんがどのような「貴族探偵」になるのかも楽しみですよ!
小説「貴族探偵」のネタバレ!
※以下、犯人やトリックについてのネタバレがあります。ご注意ください!
小説「貴族探偵」1話:ウィーンの森の物語
被害者は会社社長・都倉政一。密室状態だった別荘の一室で発見された。
容疑者は妻、愛人兼秘書、息子、娘、親友で営業部長でもある正津。
キーアイテムは妻と愛人がそれぞれ持っていた同一のブランドバッグ。
その後、先に自宅に戻っていた愛人も同一犯によって何者にされていたことが発覚する。
都倉の部屋のスペアキーが入っていた妻のバッグから正津の指紋が発見されたことで、犯人は正津かと思われたが…。
<ネタバレ>
真犯人は妻の光恵。
当初の計画ではスペアキーの入ったバッグを愛人のものと入れ替えてアリバイをつくり、罪を愛人になすりつける予定だったが、糸を使った密室トリックに失敗。
仕方なく愛人の自宅までスペアキーをとりに行き、その際に愛人も手にかけた。
その後、光恵はあらためて証拠を残さないように「糸の密室トリックに失敗した(ように見える)現場」をつくり、スペアキーをもつ自分を容疑から外そうとしたのだった。
正津が「触っていない」という光恵のバッグに指紋がついていたのは、それが愛人のものだったため。ひいてはこれが光恵の犯行の証拠となった。
小説「貴族探偵」2話:トラッチ・トラッチ・ポルカ
廃倉庫から頭部と両腕のない遺体が発見された。
被害者は宇和島逸子、31歳。後の捜査で、さまざまな人物を恐喝していたことがわかる。
第一容疑者は宇和島に恐喝されていた高校教師、浜村。
しかし、当日の浜村と宇和島のアリバイをかけあわせると、犯行は不可能であったように思われる。
浜村はどのようにアリバイをつくったのか?それとも犯人は別にいたというのだろうか?
<ネタバレ>
犯人は宇和島のアリバイを証言していた美容師の小関。
小関は「当日の〇○時に宇和島の髪を切っていた」と証言し、さらにその様子を第3者に見せることで犯行時刻を誤認させ、自らのアリバイをもつくりだした。
しかし、第3者も証言した「髪を切られていた宇和島」の正体はマネキンに本人の頭部と両腕をつなげたもの。
「髪をカットされている客」をつくり出すには、頭部と両腕だけあれば十分だったのだ。
おそらく小関もまた宇和島に恐喝されたいた1人だったのだろう。
なお、既婚者である宇和島の浮気相手「K」の正体は貴族探偵であった。
小説「貴族探偵」3話:こうもり
ある高級旅館で事件が起こった。
亡くなった被害者である佐和子から見た容疑者は次の通り。
・旦那:水橋
・実姉:真知子
・真知子の夫で大物作家:大杉
・大杉の友人で佐和子の元カレ:堂島
・たまたま旅行に来ていた佐和子の元カレ:松野
・女子大生の絵美と紀子
佐和子は男性遍歴が激しく、嫉妬にかられた男の犯行かと思われたが…
<ネタバレ>
犯人は大杉と真知子。
実は大杉と佐和子の間には子供ができており、隠ぺいのために犯行に及んだ?(メイドの予想)
アリバイをつくったトリックは「入れ替わり」
有名人である大杉のそっくりさん(貴生川)をつかってアリバイをつくり、その隙に犯行に及んでいた。
しかし、煙草嫌いだったはずの大杉と煙草を吸う貴生川の違いなどから、入れ替わりが露見した。
小説「貴族探偵」4話:加速度円舞曲
作家・厄神が別荘の一室で遺体で発見された。
執筆部屋の間取り、別荘の間取りが確認される。
不可解なのは、犯人が何故か別荘の隅に配置されていた岩を下に落としたことだが…。
<ネタバレ>
犯人は別荘から近い本宅にいた妻と編集者・滝野。
妻は滝野と浮気していて、その現場を目撃してしまったため厄神は亡き者にされたのだと思われる。
2人が厄神を手にかけたのは実際には本宅の方であり、後に別荘に運んだ。
頭部の傷の向きなどを考えて自然な現場になるように執筆部屋を模様替えした結果、車の駐車位置を変えるため「岩」を落とす必要があった。
なお、本来は執筆部屋のベッドの向きを反対にすれば済む話だったが「迷信を信じる厄神が北枕にするはずがない」という理由から隠ぺい作業が大掛かりになってしまった。
小説「貴族探偵」5話:春の声
名家・桜川家の一人娘・弥生に婿を取らせると決めた祖父・桜川老。
3人の婿候補が弥生にアピールするが、弥生は誰にも乗り気ではないようだ。
そんな中、婿候補たちが宿泊する別棟の洋館で事件が起こる。
被害者はなんと3人の婿候補全員。
雪には足跡がなく、一見誰も洋館に出入りしていいないように思われる。
1人の婿候補が焦って他の2人を亡き者にした…というのなら理解できるが、3人とも亡くなり犯人も消えてしまったとはどういうことか?
まさか、桜川老(車いすのため犯行は不可能)や弥生(深層の令嬢でとてもそんなことはできないと思われる)がやったのだろうか…?
水口、高宮、尼子。貴族探偵は3人の被害者それぞれに1人ずつ使用人をあてがい調査をさせた。
その結果、現場の状況から3人それぞれが「別の婿候補を亡き者にした人物」であることが発覚。
しかし、もちろんそれでは話が通らない。いったいどうなっているのか?
<ネタバレ>
犯人は婿候補の3人全員。
尼子は高宮を始末して、水口に罪をなすりつけようと。
水口は尼子を始末して、高宮に罪をなすりつけようと。
高宮は水口を始末して、尼子に罪をなすりつけようと。
3人とも自分が婿になるために、同時に行動に出たのだった。
鍵となるのは水口の行動。
水口は高宮に刺されたが、その後起き上がって、高宮を始末した尼子を始末した。
その後、本邸に電話している途中で意識を失い、そのまま帰らぬ人になった。
3人とも犯人で被害者。
この状況は、義理を立てなければならない家を黙らせたかった桜川老の思惑通りなのかもしれない…。
小説「貴族探偵対女探偵」1話:白きを見れば
新米探偵・高徳愛香。
亡き師匠である偉大な名探偵の後を継ぎ、絶賛売り出し中の若き探偵。
大学生時代の親友・紗知に招かれ骨休めに向かった山荘「ガスコン荘」で、偶然にも事件が起きた。
被害者は紗知の大学の後輩である笹部。
容疑者は同じくガスコン荘に招待されていた大学の後輩たち。
そしてその1人・千明の彼氏で後から合流したという男・亀井。
各人のアリバイを調べた愛香は、亀井こそが事件の犯人だと推理するが…
<ネタバレ>
字の通り「亀井」は仮名だった。その正体は貴族探偵。
自らが犯人だと指摘された貴族探偵はやれやれと言った顔で、使用人を呼び寄せる。
執事・山本「高徳様。あなたの推理は惜しいところまでいっておられました」
真犯人は亡くなった笹部自身。
笹部は恋愛関係の恨みから朱美と交際していた畦野を亡き者にしようとして返り討ちにあった、というのが事件の真相だ。
アリバイを考慮するとき、容疑者の中に被害者を含めていなかった。
愛香の完全な敗北だった。
愛香「…ミスは認めるわ、自分が未熟だったと。でも、だからといって、あなたを探偵だとは認められないわ」
貴族探偵「どうぞご自由に、としか。ですが、探偵とは何ですか?事件を解決できない者は探偵ではないですよね、女探偵さん」
小説「貴族探偵対女探偵」2話:色に出にけり
元華族のお嬢様・依子には3人の恋人がいた。
冴えないサラリーマン・中妻。学者の稲戸井。そして貴族探偵。
依子は3人の恋人を別荘に集め、それぞれを家族に紹介する。
兄の豊。父の規明。若い継母の示津子。両親の間に生まれた赤ちゃん・礼人(のりひと)
ところが、その引き合わせの最中に稲戸井が命を落とした。
現場に残された氷が解ける時間。遺体が失禁した匂いが消えるまでの時間が犯行時間を限定させる。
アリバイを考慮すると最もあやしいのは恋敵にあたる中妻だが…。
依子は中妻の潔白を証明するため、新進気鋭の探偵・高徳愛香を呼び寄せた。
今回の事件で気になることと言えば、礼人のことを占ったとたんに青ざめて自室に下がった稲戸井の態度だ。
犯人は稲戸井の所持品から占いに使った手帳を持ち去ったようだが…?
<ネタバレ>
「犯人はあなたよ!」
愛香は論理的な思考の結果、貴族探偵が犯人であると名指しした。
貴族探偵「君はどうしても私を犯人にしたいようだね」
貴族探偵が合図すると、最高級の料理を振る舞った使用人・高橋が推理披露を始める。
真犯人は豊と示津子。
愛香は「共犯」という可能性を見落としていたため、誤った結論にたどり着いてしまったのだ。
では、なぜ2人は稲戸井を始末しなければならなかったのか?
姓名判断を行った稲戸井は「礼人」の旧字が「禮人」であることに気づき、その出生の秘密に気がついてしまったのだ。
「禮」には豊と示津子の字がそれぞれ入っている…つまり礼人の本当の父親は…。
ともあれ、今回もまた愛香は貴族探偵に敗北した。
小説「貴族探偵対女探偵」3話:むべ山嵐を
現場は大学の研究室。
被害者は院生の大場。
状況的に犯人は内部の人間だと思われる。
鍵となるのは使用する人間によって色分けされた紅茶のカップ。
一つ一つロジックを組み上げた愛香は、犯行が可能なのは貴族探偵しかいないという結論に至るが…。
<ネタバレ>
犯人は院生の原木。
原木は最近まで恋人だった田京を陥れるつもりで現場にカップを残し、田京の新恋人だった大場を手にかけた。
そして、実は本当の第一発見者であった田京がカップを下げ、自身に容疑がかからないように隠ぺい工作をはかったことから事態が混乱していたのだ。
下座上座にうるさい被害者の大場は事後に席を異動させられており、これにより犯人の人物像に関する制約が1つ外れる。
愛香はたどり着けなかったが、冷静に状況を見直せば原木が犯人たりえたことに気がついたはずだ。
愛香は己の未熟さを嚙み締めたのだった。
小説「貴族探偵対女探偵」4話:幣もとりあへず
新潟の山奥にある旅館「浜梨館」
そこでは座敷童子に類する「いづな様」が願掛けをかなえてくれるという。
今回集った6人の男女もまた「いづな様」に願いをかなえてもらおうと別館に一泊する予定だ。
興味本位で参加した紗知の付き添いで来ていた愛香は、参加者の1人・田名部優紀に向けられた憎悪を感じとる。
田名部優紀と言えば、ネットアイドル・有畑しずるの恋人として一部では有名な名前だ。
田名部にフラれた有畑が悲しみのあまり自ら命を絶ってしまったのは最近のこと。
もしや、有畑の熱狂的なファンが田名部を狙っている…?
愛香の予想通り、その夜、事件は起こった。
鍵となるのは筆跡から被害者が残したと思われるメモ、そこから推測される犯行時間だが…。
<ネタバレ>
犯人は有畑しずるのファンだった有戸秀司。
この事件は逆恨みをした有戸が田名部を手にかけた、という非常に単純な事件だ。
ただ、状況をややこしくしていたのは「入れ替わり」
実はネットアイドルの恋人は同性であり、つまり本当の田名部は女性だった。
では、被害者の男は誰なのか?
被害者の真の名前は赤川和美。
赤川と田名部はこの宿において入れ替わっており、性別を勘違いしていた有戸はまったくの別人を手にかけてしまった。
しずるのファンに怯えていた田名部優紀は知り合いの男・赤川和美に頼んで入れ替わり、その上でいづな様にお願いをしに来ていたのだ。
これによりメモの筆跡は被害者のものではなく、赤川和美(本当は田名部優紀)のものであることが発覚。
有戸のアリバイは簡単に崩れ去った。
愛香は屈辱を噛み締める…。
※この話は読者をも騙すいわゆる「叙述トリック」が持ち味。ドラマ化は難しいように思われます。
小説「貴族探偵対女探偵」5話:なほあまりある
何者かによって孤島に呼び寄せられた愛香。
その島は元伯爵の有力者・具同家が所有している島であり、島には具同の3人の孫が集まっていた。
長男の娘・真希。次男の息子・弘基。三男の息子・佳久。
また、弘基は従兄妹である国見奈和を、佳久は大学の先輩である葉子を、真希は幼馴染である依子をそれぞれ連れてきていた。
さらに、依子は恋人である貴族探偵をも連れてきていた。愛香を呼んだのも依子のイタズラであろう。
ところが、島で本当に事件が起きてしまった。
被害者は前日の夜に「かつてひき逃げ事件を目撃したことがあるが、その犯人を思い出した」と発言した葉子。
そして、隠ぺい工作の過程で邪魔になり消されたと思われる使用人の平田。
またしても貴族探偵は震える奈和の介抱にかかりきりで、まったく推理をしようとしない。
頼みの使用人もみな別件で忙しくしているというから、この男には何も期待できない。
鍵は部屋によって違う品種のバラが置かれていたこと、そして何者かがそこにいたと思しき濡れた跡…。
愛香は推理する。
「葉子さんの部屋の状況から、昨晩あの部屋にいたのはあなたしかありえません。これは私の探偵生命を賭けても構いません」
そういって愛香が視線を送ったのは…貴族探偵だった。
<ネタバレ>
「ただ…同時にあなたは犯人ではありません」
今回の事件では疑似的な「部屋の入れ替わり」が起きていた。
犯人は自室で葉子を始末し、遺体を葉子の部屋に運び入れたが、部屋から出る際に貴族探偵に見られてしまったためそこを「自室」にする必要があった。
貴族探偵は被害者の部屋に確かに足を踏み入れていたが、そのとき部屋に同席していたのは葉子ではなく犯人だったのだ。
そしてその犯人とは…ずっと貴族探偵にしがみつき行動を封じていた女性・国見奈和。
おそらく国見こそが葉子が見たというひき逃げ事件の犯人だったのだろう…。
こうして、見事に愛香は貴族探偵の前で事件を解決して見せた。
愛香にとって初の白星…と思いきや、
貴族探偵「君は、誰が君を雇ったと思ってるんだい?」
愛香「依子さんでしょ…まさか、あなたが!」
貴族探偵「そう。事件を解決したのは、いつものように私だ。この島にいる間は、君は私の所有物にすぎないからね」
悔しさのあまり愛香が唇を嚙む。
貴族探偵「ともかく君がそれなりに使えることは判った。使用人が多忙なときは、また臨時の使用人として依頼させてもらうよ」
愛香「お断りします!」
<完>
小説「貴族探偵」の感想
「作者はどれだけ頭がいいんだ…」
予想を裏切り、小説「貴族探偵」は昨今の推理小説では珍しい王道ど真ん中の「本格ミステリ」でした。
余計な会話や描写は排して、シンプルに状況を説明し、読者に謎解きを挑んでくる。もちろん推理披露も最低限だけのシンプルさ。
この小説は、まるで推理小説の形をした「問題集&解答集」のようだな、というのが率直な感想です。
それで、挑戦者たる読者の一員である私の成績はと言うと…まさかの0点!
もうね、どれだけ真剣に考えても真相なんかわかんないんですよ!(笑)
「あ~、そうか!」「えっ!?そうだったの!?」と心の中で叫んでばかりで、ニヤニヤしながら「すべてまるっとお見通しだ!」と宣言することはできませんでした。
でも、個人的にはそれもまた面白かったんですよね。
もちろん自力で事件解決できた方が気持ちいいでしょうが、うんうん唸りながらぐるぐる迷うのもまた楽しみの一つというか。
もしもあなたが「ミステリー作品では解決編の前に犯人やトリックを見抜ける!」と自負するなら、ぜひ小説「貴族探偵」にも挑んでみてください。
本格ミステリファンのための本格推理小説「貴族探偵」…きっと予想を裏切るほどの本格路線と推理難易度を楽しめるはずですよ。
一方、自ら推理するのではなくエンタメ作品として小説「貴族探偵」を楽しむという手ももちろんアリ!
「愛香が一見論理的な破たんがない推理披露をする」→「貴族探偵(の使用人)が愛香の推理の隙を指摘し、真の推理を披露する」という流れは見ているだけでもワクワクさせられます。
自分で事件解決を目指すもよし!ハイレベルなロジックを楽しむのもよし!
読み始めると止まらなくなるほどの面白さ…小説「貴族探偵」、おすすめです!
まとめ
小説「貴族探偵」が相葉雅紀さん主演で月9ドラマに!
最近では調子が悪い月9枠だけに、今回は原作にもキャストにもフジの本気さがうかがえますね…!
というわけで、今回はそんな「貴族探偵」シリーズのあらすじやネタバレなどについてお届けしました!
いや~、それにしても楽しみですね。ドラマ化!
月9でミステリーといえば「ガリレオ」もそうでしたが、今回はそれとはまた毛色がずいぶん違う作品ですしね。
正直、演出・脚本次第ではこの春1番の人気ドラマになる可能性を秘めていると思います。
今まで演じたどのキャラクターとも違う「貴族探偵・相葉雅紀」が見たい!
そして、松重豊さんや生瀬勝久さんなど実力派キャストが織りなす「推理ドラマ」が見たい!
また、原作ファンとしてはドラマオリジナル要素にも注目!
新たに設定が加えられた愛香の師匠と貴族探偵の関係とは?
「謎」役の仲間由紀恵さんはいったいどんな役どころなのか?
実は今からかなりワクワクしています(笑)
注目の新月9ドラマ「貴族探偵」、第一話から絶対に見逃せません!
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