青春・少女漫画系

漫画「はいからさんが通る」あらすじとネタバレ!最終回の結末は?

ぱんだ
ぱんだ
ようこそ!

みなさんは「はいからさんが通る」という漫画をご存知でしょうか?

私は「名前は知ってるけど…」という感じだったのですが、それもそのはず。

漫画「はいからさんが通る」は1970年代の作品であり、全然私の世代の作品じゃなかったんですね。

ところが、この「はいからさんが通る」…劇場版アニメ化や宝塚での舞台化など、近年再び盛り上がってきている様子。

特に前後編で公開される劇場版アニメはキャストが超好み&超豪華!(主演は宮野真守 × 早見沙織)

そんなわけで、すっかり気になってしまった私は原作漫画を一気読みしちゃいました!

その感想を一言で言うと…めちゃめちゃ面白い!

絵のタッチには時代を感じますが、まるで大河ドラマのような壮大なラブストーリーにノックアウトされてしまいました!

今では劇場版アニメの公開が楽しみで仕方ありません(笑)

というわけで、今回は往年の名作漫画「はいからさんが通る」のあらすじとネタバレ!

幾多の障害を越えて辿りついた最終回の結末とは…!?

漫画「はいからさんが通る」のあらすじとネタバレ!

時は大正七年。

新たな文化が花咲き、やっと女性が社会進出しだした頃。

西洋風、あるいは先進的…つまり「イケてる」という意味合いで「ハイカラ」という言葉が使われた。

この物語は激動の時代に恋をした「はいからさん」の物語である。

 

花村紅緒は華の17歳。

大和なでしことは正反対の男勝りな性格で、ケンカの腕前は一級品。

父親の花村少佐も手を焼くおてんば娘だった。

ある日、そんな紅緒の前に現れたのは容姿端麗な陸軍少尉・伊集院忍。

実は忍と紅緒は祖父祖母の代から決められていた婚約者だった!

この時代、女の側から縁談を断ることなどできない。

「親の決めた相手と結婚するなんてまっぴら!」とあの手この手で忍に嫌われようとする紅緒だったが、忍は一向に幻滅した様子を見せない。

というのも、忍は親がわりに自分を育ててくれた祖母の願いを叶えるため、是が非でも結婚を成立させようと思っていたのだった。

そうこうしているうちに、紅緒は花嫁修業のため伊集院家に入ることに。

家事全般ができないうえに気が短く喧嘩っ早い紅緒は、連日のように騒動を巻き起こす。

忍はそんな紅緒の行動に一本筋の通った誠実さを見出し、徐々に惹かれていく。

一方、紅緒もまた優しく誠実な忍に惹かれ始めていた。

 

そんな中、忍が九州の小倉へと転属することが決定する。

原因は酒乱の紅緒が酔って忍の上司と喧嘩したこと。

これまで散々忍に迷惑をかけてきた紅緒だったが、今回のことは真摯に反省していた。

「泣いてるの?紅緒さん」

「だって…あたしのせいなんですもの。こんなことになっちゃうなんて…」

「もういいんですよ。そんなこと…。僕が選んだあなただから、あなたの受けた運命を僕も一緒に生きていくんです」

それは、忍が初めて口にした紅緒への好意だった。

「少尉…冗談…」

「好きでしたよ。もうずっと前から」

 

忍、出発の日。

紅緒は熱い視線で…けれども言葉少なに忍を見送った。

紅緒(照れくさくって言いだせなかった。昨夜、寝ないで考えたのに…。今までつまんない意地なんかはっててごめんなさい。本当はあたしもあなたのこと好きだったんです。どうぞ一日も早くお帰りになって…。今度、あなたがここに帰ってきたら…その時こそ私は言うの。ああ…そのとき私は心からあなたの花嫁です)

 

 

日本軍、介入戦争でロシアへと出兵。

忍のいる小倉の師団もシベリアへ派兵されることになった。

最初は後方に配属されたが、後に前線へと送られる。

そして…

『伊集院忍、戦死』

撤退中、前線に取り残された部下を助けようとしての最期だった。

紅緒(嘘よ…嘘だわ。あなたがいないなんて…)

 

忍の葬儀の日。

現れた紅緒の姿を見て、集まった親族たちはどよめく。

紅緒が着ていたのは、白い喪服。

それは「決して二夫に嫁さず」という決意の表れ。

紅緒(少尉…これが私の花嫁衣裳…。あなたへの生涯変わらぬ愛の誓い…)

紅緒「いったん嫁したからには紅緒はもう花村家の娘ではありません。これからは少尉のかわりに…紅緒はおじいさまとおばあささまの孫になります!」

まだ若く、しかも正式には籍を入れていない紅緒がそこまでする必要はない、と周囲は思いとどまらせようとしたが、紅緒の決意は固い。

こうして、紅緒はそのまま伊集院家に残ることになった。

 

明けて大正八年。

葉族と謳いながらも、実は伊集院家の経済状況はギリギリ。

紅緒はそんな伊集院家を取り仕切り、なんとか切り盛りしていた。

だが、このままでは生活すらままならなくなる日も近い…。

考えた末、紅緒は仕事に就くことに決めた。

家計を助けるため、紅緒が就職したのは小さな出版社。

社長で編集長の美形・青江冬星は極度の女嫌いだったが、女らしくない紅緒を気に入って採用した。

 

 

ロシアからの来訪者

大正十年。紅緒は出版社の仕事に打ち込んでいた。

そんな中、旧ロシアの貴族・ミハイロフ伯爵とその夫人・ラリサが日本に亡命してきて、大きな話題になる。

さっそく取材に向かった紅緒が目にしたのは…

紅緒(少…尉…?)

ミハイロフ伯爵の姿は、まるで忍の生き写し。

だが、当然ながらミハイロフはロシア語しか話せず、紅緒を見ても何の反応も示さない。

やはり別人なのか…。

だが、諦めきれない紅緒は冬星とともに侯爵の身辺を探ることにした。

「どういう事情があるのか知らないが、ともかく現在の侯爵は結婚までしてるんだ。今さらおまえさんが割り込んだって傷つくだけだぜ?…それでも、知りたいと思うのか?」

「あたし、少尉がシベリアで亡くなったなんて、ずっと信じられなくて…きっと生きてるって…。だから…もし、生きていたら…それが万に一つの望みでも、生きていてくれさえしたら…それだけでいい」

涙ながらに話す紅緒を見て、冬星のはらわたは煮えくり返った。

冬星(俺は許さない…!どんな事情があろうと許嫁を忘れて他の女と…!許さない!こいつをこんな目にあわせた奴!)

一途に亡き恋人を思い続ける紅緒に、いつしか冬星は心惹かれていたのだった…。

2人は裏工作をして侯爵のいる屋敷へと潜入。

そこで見たのは、忍とは似ても似つかぬ女好きな性格のミハイロフ伯爵。

そして、ミハイロフ伯爵とラリサとの思い出が詰まったアルバム。

そこには、子供のころからのミハイロフ伯爵の写真が納められていた。

決定的だ。

やはり侯爵は少尉とは別人…!

 

 

その男、青江冬星

冬星の女嫌いの原因は母にある。

冬星の母は成金の銀行家である父に、金で買われ結婚した。

だが、そのときすでに母は身籠っていた。

結婚した後の母はわがまま放題で遊びまわってばかり。

父親は冬星を実の子同然に可愛がったが、それがかえって冬星には辛かった。

まるで、自らの存在そのものが罪であるようで…。

だから、冬星は家を出て出版社を立ち上げ、そして女嫌いになった。

 

ある日、母親から金目当ての政略結婚をさせられそうになった冬星は、婚約者として紅緒を家に連れていく。

「僕はこの人と結婚するつもりです」

「冬星が…あんなげせんな女と…」

その一言で、冬星の母はふらふらと倒れてしまった。

そんな母の失望を見て「胸がすっとした」と言って笑う冬星。

何も聞かされていなかった紅緒は後になって抗議した。

「いくら言い逃れのためとはいえ、あんな嘘をつくなんて!みんなが本気にしたらどうするんですか」

「…だって本当だから仕方ない」

「…編集長?」

「おまえさんが好きだ。愛している…と思う」

「なっ…」

「もう少し時を待つつもりだったんだが…でも、俺の気持ちにいつわりはない」

「でも、あたしには少尉という許嫁が…」

「…残酷なことを言うようだが、その男はもういない。亡き許嫁にはいつまでもあんたを縛りつける権利はないはずだ。あんたの人生や自由までも奪う権利はないはずだ。もちろん今すぐにとは言わない…。いつかあんたの心の中の許嫁の影がなくなるときがきたら…俺のことを思い出してくれれば…それでいい…」

(編集長…)

もちろん今でも紅緒の心は忍にある。だが、冬星の誠意ある言葉に紅緒の胸はときめいた。

 

 

真実

忍が最期に助けようとした部下の名は鬼島という。

鬼島は戦場から逃げ延び、後に満州で馬賊となった。

その鬼島が、日本に帰国。

大切なことを話すために、紅緒の元を訪れた。

「紅緒さん。サーシャ=ミハイロフという人物は確かに存在するよ。それに、その人が少尉どのとそっくりだとしても不思議じゃないんだ」

「それ…どういうこと?」

忍はハーフであり、母親はドイツ人だ。

母は忍を産んだ後、ロシアの侯爵夫人となりサーシャを産んだ。

つまり、忍とサーシャは異父兄弟。

鬼島はそのことを亡命中に行き倒れていた忍とサーシャの母から聞いたという。

母はそのまま亡くなったため、こうして鬼島が帰国し、そのことを伊集院家に報せに来たというわけだった。

まだミハイロフ侯爵が忍ではないかと一縷の望みを持っていた紅緒は落胆した。

 

鬼島は実母の最期を伝えるため、ミハイロフ伯爵のいる屋敷へ。

報告を済ませると「では、私はこれから故郷に戻ります」と言って辞そうとした。その時…

「そうですね。小倉はいいところだから」

「…!あんた…今…小倉と…言ったな…なぜ、それを…」

鬼島の頭に閃くものがった。

「少尉…どの。あんた少尉殿だろ!え?」

「そうだよ…鬼島軍曹」

すぐに紅緒に知らせようとする鬼島を、ミハイロフ侯爵…いや、忍が止める。

「なぜだ!なぜ名乗ってやらない!紅緒さんを愛していないのか!あんたを思って待ち続けたんだぜ!」

「…」

 

忍が正体を明かせない理由、それは妻のラリサ。

ラリサは不治の病である結核にかかり、今も日に日に痩せ衰えていっている。

あのシベリアで敵兵に刺され、息も絶え絶えだった忍の命を救ってくれたのはラリサだ。

亡命中に本物のサーシャはこの世を去った。今のラリサが頼れるのは忍しかいない。

恩人がこうして不幸な目に合っているというのに、どうして自分だけが正体を明かし幸せになることができるだろうか。

誠実な性格ゆえの、苦渋の決断だった。

※助けられた時、忍は記憶喪失になっていた。ラリサの言葉を信じ、途中までは自分を本物のサーシャと思い込んでいた。日本に来て何度も紅緒と会ううちに、忍は本来の記憶を取り戻した。自分の意思ではないとはいえ、いっときは他の女の夫となっていた…そのこともまた忍が紅緒に顔向けできない理由の一つ。

 

こうして記憶が戻ったいまも、忍はミハイロフとしてしか紅緒に会うことができない。

(編集長…か。あの男も紅緒さんを…。あなたが誰を愛そうと…僕にはもう黙って見守ることしか残されていないのだろうか…)

 

 

事件

青天の霹靂!

紅緒が警察に逮捕されてしまった!

反政府主義者の思想犯だと勘違いされてしまったのだ。

もちろん、そんな事実はない全くの濡れ衣だが、だからといって警察が簡単に身柄を引き渡すとも思われない。

忍、冬星。それぞれが紅緒を助けるために動き出す。

それはいわば、愛をかけた勝負でもあった。

※このとき、冬星は侯爵の正体が忍だと看破

冬星は忍に宣戦布告する。

「あいつが好きだ。はじめて愛した女だ。あいつがこの世にいないかもしれん許嫁を待ち続けていると知ってからも…その気持ちは変わらない」

「…」

「だが、俺は土足であいつの心に立ち入るような真似だけはすまいと思った。だから黙ってここまで来た。俺はあいつを大切に想っている。だから俺はあいつがあんたを思い続けている限り諦めるしかないだろう。だが…もしも…」

珍しく感情を表し、冬星は忍をにらみつける。

「理由はどうでもあんたがあいつの心を傷つけるような真似をするなら、俺はあんたを許さないぜ!あんたが俺の納得のいく男でなければ…俺は…あいつを渡しはしない!」

忍(いい男だ…うらやましいほどの…。あんなにも堂々と愛の宣言をできる…その権利が今の僕にはない…。ラリサの夫として暮らしてしまった僕にはもう、あなたを愛する資格はない…)

己の運命を恨みながらも、忍がとる行動は一つだけ。

「どこへ行く?」

「彼女を助ける。何をしても…僕の命と引き換えにしてでも…それが今の…僕の紅緒さんに対する真実だから…」

忍(たとえ運命が動かせぬものにしろ…僕たちの愛をこんな形で終わらせはしない…!)

冬星(そうだ…このままには終わらせはしない…。運命よ、いつまでもお前を笑わせはしない…!)

 

冬星は新聞社に連絡を取り、紅緒の不当逮捕について世間に訴えかけさせた。

加えて署名運動も開始。世論動かし紅緒を助けようとする。

一方、忍は陸軍へと戻り、軍部の口添えにより紅緒を助けようとする。

それでも紅緒が釈放されないと知ると、忍は反政府主義者のアジトへと殴り込み、紅緒の無実を証明するよう訴えた。

無謀な行動の甲斐あって紅緒の無実を証明する証書を手に入れたものの、血気盛んな構成員の一人に刺され、忍は重傷を負ってしまう。

すぐに忍は病院に運び込まれたが、命が助かるかどうかはわからない…。

生死の狭間を彷徨う忍の脳裏に浮かんだもの…それは紅緒との思い出だった。

そして、忍は無事に目を覚ます。

まぎれもなく紅緒の存在こそが、忍の命を救ったのだった。

 

一方、忍が手に入れた証書が決定打となり、紅緒も無事に釈放された。

冬星(あの男…本当に命をかけて…。参ったな…。あいつは今もあの男を愛しているのだろう…そしてあの男も…。となると俺は…)

冬星はひそかに身を引く決意を固めたのだった。

 

 

再会

牢獄から解放された紅緒は、侯爵が忍だったことを知る。

忍の回復を待ち、ついにその時が来た。

忍と紅緒の再会。

「少尉…?」

念願の瞬間、紅緒は涙を流しながら忍の胸に飛び込んだ。

(もうこの腕で涙を流すことはないと思っていた。ああ…どんなにか待っていたこの胸の温かさ…。どんなに思い続けたことか…こうして手に抱きしめる日を…あの時には語りきれなかった…あの頃には気づきもしなかった…この胸の思いを…いまこそ…)

(愛している…!)

ところが、言葉を発する前に、紅緒は忍の怪我に気がつく。

傷口が開いて、血がにじんでいる。

紅緒は忍の制止も聞かず、薬箱を探しに部屋を出た。

そして…

「薬箱はここにありますわ」

ラリサと出会った。

束の間、紅緒はラリサが話し出した身の上話に耳を傾けることに。

心からサーシャを愛していたこと。

だから容姿が瓜二つな忍を夫の身代わりにしてしまったこと。

すべてを語り終えた後、ラリサは謝罪の言葉を口にした。

「あの方は悪くないんです。すべて悪かったのは私…。長い間あなたを悲しませて…お詫びでは済まされないけれど…どうぞ…あの方とお幸せに…」

ラリサの目からは涙があふれている。

「さあ!早く薬箱を持っていって!私の気持ちが変わらないうちに!」

本来の恋人の元に忍を返そうというラリサの決意。

それを知った紅緒は…そっと薬箱をラリサに返した。

「あなたが手当てしてあげてください…。そして…お願い…少尉に…伝えてください。ひとつはおじいさまとおばあさまのために…一日も早く伊集院家へ帰ること」

「紅緒さん…」

「…と、もう一つ。あたしは…もう二度と…少尉には会いません。許嫁がありながら、それにあるまじき行動は許せません」

「そ…それは違います!」

「さようなら…と、伝えてください…」

そう言うと紅緒は、溢れそうになる涙をこらえながら走って屋敷を去った。

 

そのことを知るも、忍は目の前で倒れてしまったラリサを放っておけない。

それに、自分がラリサの夫として暮らしていたことは事実だ。その後ろめたさもある。

忍は、紅緒を追いかけることができなかった。

 

 

すべては運命の仕業。

紅緒は伊集院家の人々に引き止められ、惜しまれながらも、長年過ごした伊集院邸を出て花村家へと戻った。

紅緒(ミハイロフ夫人は少尉に頼り切っていて、今では夫の身代わりとしてじゃなく少尉を愛している…私にはわかる。あたしと少尉が結ばれたらあの人は不幸の中で人生を終えることになる…少尉だってそのことで一生苦しみ続けるに違いない…。やさしい…やさしすぎる人だから…。だから、きっと苦しむ…)

ミハイロフ夫人の不幸の身の上を思えば、自分だけ幸せになることなどできない。

そう思ったがゆえの決別だった。

(だから、もう待ってはいけない…)

心から血を、目からは涙を流し、紅緒は忍を諦めようと誓った。

 

だが、運命はそん紅緒すらもあざ笑う。

小倉から近衛師団に転属になった忍とは、東京で暮らしていれば会うこともある。

一目忍の姿を見かけるたびに、紅緒は決心が崩れ去りそうになる心を戒める。

一方、忍もまた「自分は嫌われている」と思い込みながらも、紅緒の姿を目で追いかけてしまう。

2人の心に浮かぶのは、同じ想い。

忍・紅緒(まだ求めている…。心の片隅で…。あなたを…)

これほどに強く愛し合っているのに、2人は結ばれない…。

 

 

1年半後

大正十二年。紅緒は少尉のことを忘れられないまま、仕事にまい進していた。

一方、冬星は紅緒が簡単に忍のことを忘れたと勘違いして幻滅していた。

(あんなに伊集院という男を愛していると思ったのに…。ひたむきに恋を追うあいつを…俺は愛したのに…)

 

そんな中、またしても事件が起こる。

冬星の母のわがままで、伊集院邸が借金のカタとして取り上げられることになったのだ。

ひどく忍や伊集院家のことを心配する紅緒を見て、冬星の誤解は解けた。

(花村…おまえは…。消えていなかった…炎は…。笑う時もはしゃぐときも、いつも胸の奥に瞳の向こうに…おまえはあの男の影を隠し続けてきたというのか。誰にも知られずに、ただ1人きりで…。許してくれ。もう少しで俺はお前のことを見誤るところだった…)

紅緒のため、冬星は母に伊集院邸を諦めるよう頭を下げて頼む。

「冬星さんがこの家へ戻ってお父様の後を継ぐという条件なら…。どう?不可能でしょう?」

これまで冬星は父の後を継ぐこと、家に戻ることを徹底的に拒んできた。しかし…

「…お母さん。僕がこの家へ帰れば、あの家は諦めますね…?」

冬星は紅緒のため、己の信念を曲げるに等しい条件を受け入れた。

これにより、冬星の出版社は解散することに。

やがてすべての事情をしった紅緒は、静かに澄んだ面持ちで冬星の元を訪ねた。

 

「編集長…あの、お願いがあります。あたしを…編集長のお嫁さんにしてください

「!!…は…悪い冗談だな…」

「冗談じゃありません、真剣です!あたし…編集長のことが好きです!」

冬星は紅緒が伊集院邸のことを気にしているのだと気づく。

「勘ぐるのはよせ…。なにも伊集院やあんたのために家に帰るわけじゃない。この仕事が嫌になったからちょうどいい機会だと…」

「嘘です…編集長。あなたがこの仕事を嫌いになるなんて…そんな嘘、あたしには通じない…」

紅緒の頬を涙が伝う。

「あたし…編集長が嫌いな銀行家になるのなら…編集長一人だけそんな辛い思いをしてほしくない…。あたしも…あたしも連れていって。いつまでも編集長と一緒に…」

冬星の心は揺れる。

「本当に…?」

「本当です!」

「そんな重大な発言はよく考えてからするものだ!一時の感情に押し流されるのはよくない!お前は本当にそれでいいのか。伊集院は…」

一瞬、紅緒の脳裏に忍の顔が浮かぶ。しかし…

「いいえ…もう忘れます。その方がいいんです。あなたならきっと忘れさせてくれる…」

(忘れてしまおう…思い続けてもあの人を苦しめるだけの恋…)

冬星は紅緒の覚悟を受け取り、そっと腕の中に抱き寄せた。

(今日からはもう、あなたしかあたしには見えない…)

 

 

結婚式

話はとんとん拍子に進み、式の日取りも決まった。

紅緒の結婚のことを知った忍は、冬星の元を訪ねる。

あの時とは逆の立場。

「あの人を不幸にしたら許さない…と、今度は僕が言う番ですね。だが、覚えておいてください。もしも紅緒さんの身に何かあったら…僕は地の果てからでも駆け付けてあなたの息の根を止める!」

「…確かにうけたまわっておこう」

「…失礼する」

胸の痛みを秘めたまま、忍は身を引いた。

 

そして、結婚式当日。

大正十二年九月一日。紅緒、22歳。

「愛している…」

「あたしも…」

(今日からこの人と一緒に生きる。この人ならばあたしは安心して自分を投げ出すことができる。この人ならばいつでもあたしを優しく受け止めてくれる…。あ…)

一瞬、紅緒は忍のことを思い出す。

(みんな忘れよう…青春の思い出と一緒に埋めてしまおう。当分の間…胸はこうして時々苦しく切なく痛むだろうけれど…それでもなお…よどみなく…人生はさらさらと思い出を押し流していくに違いない…)

 

 

それは、まさに指輪交換をしようとした時だった。

大正十二年九月一日午前十一時五十八分、関東大震災発生

轟音とともに、恐ろしい災害がすべてを呑み込んでいく。

 

伊集院邸では、落ちてくるシャンデリアから忍を守ろうと、ラリサが身代わりとなって押しつぶされた。

「ラリサ!」

「いいの…これで…サーシャの…ところへ…。忍さん…約束…あたしのあげた命…あなたの恋…取り…戻して」

最期の言葉を紡ぐと、ラリサは息を引き取った。

ラリサの言葉が蘇る。紅緒の姿が浮かぶ。

(紅緒さん…!)

混乱する街の中、忍は紅緒の元へと駆け出した。

 

一方、冬星は燃え盛り崩れた教会を呆然と見つめていた。

我に返って、中にいるであろう紅緒を助けに行こうとするも、周囲の人々から止められて動くことができない。

 

そして、紅緒は…。

なんとか無事でいたものの、あたりは一面の火事。煙も充満している。

煙のせいか、頭がくらくらして倒れてしまう。

(今日は一生で一番幸せな日になるはずだったのに…。立ち上がれない…。熱い…。あたし…このまま…)

命を終わりを察したとき、真っ先に浮かんだのは忍の顔。

(このまま二度と少尉に会えないなんて嫌…!せめて最期に少尉に会いたい…。助けてよ…助けてよ少尉…!

 

 

恋の結末

苦しみ倒れた紅緒の元に先に辿りついたのは、忍だった。

「ああ…少尉!」

紅緒は忍に会えた喜びで涙を流す。

忍は急いで避難しようと紅緒に手を貸すが…

「ごめんなさい…歩けない。少尉…一人で逃げて。伊集院家のため…そしてラリサさんため、あなたは生きなきゃいけないのよ…」

忍はラリサの最期を紅緒に伝える。

『私のあげた生命…あなたの恋を取り戻して…』

「…そう言って…?」

「そうだ。だから紅緒さんが死ぬなら僕も死にます。最後まで一緒だ」

(少尉…)

「もう二度と…離さない…!」

「離さないで…!もう…」

震災で崩れた街の中、2人は抱き合って唇を重ねた。

 

いまだ周りは火の海。忍は紅緒を庇って足にケガを負ってしまう。

「紅緒さん…逃げてください」

「少尉!」

「僕はここまであなたを助けにきたんだ。もう二人では逃げられない。だからあなただけにはどうか生き延びてほしい…」

「いや…!なぜ…そんな酷いことを…!もう二度と離さないと言ったのはあなたなのに…!」

誰か助けを呼ぼうとその場を離れた紅緒が出会ったのは、紅緒を探して彷徨っていた冬星だった。

申し訳ないと紅緒は冬星を一目見るなり逃げ出そうとするが、捕まえられてしまう。

「離してください編集長…」

「花村…?」

「あたし…あなたに助けてもらう資格なんかない…!」

事情を察して、冬星の表情が変わる。

「あたし…あなたに愛を誓ったのに…でもやっぱり…少尉を思い続けた…長い年月に勝てなかった…だから…」

「…。俺と逃げるより、あいつとここで死ぬことを選ぶのか…?」

うなだれたまま、紅緒は頷く。

その言葉を聞き、冬星は辛いながらも穏やかな心持ちになる。

「しっかりしろ!以前のあんたならそんな弱音は吐かなかったぜ!」

冬星は紅緒の案内で忍の元へ。忍に肩を貸して歩き出す。

(これが運命…苦き盃…。愛しい者よ、今ここでおまえを奪って去れば…それで世界のすべては俺のものになるのか?いや…違う…!お前を奪ったその瞬間に…この世の全ては俺の前で粉々に散るだろう…)

安全なところまで忍を運ぶと、冬星は背を向けて歩き出した。

「どこへ?」

「家族のところへ…おふくろも心配しているだろうしな…」

紅緒をその場に残し、去っていく冬星を忍が追いかける。

「いい加減にしろ。不自由な足でどこまでついてくるつもりだ」

「あなたに話がある」

「話など何もないね俺は!…それともどうしても話したいというのなら…これでも受け取れ!」

振り向きざまに殴りかかる冬星。

倒れた忍はニッと笑いながら起き上がると、冬星の頬にパンチを見舞った。

「ふ…すこしはすっきりしたな…」

視線を交わす忍と冬星。言葉は必要ない。

「幸せにしてやりな…」

「ああ…そうするよ」

去っていく冬星。

そこに紅緒が現れる。

「編集長!」

(花村…!)

「来るな!」

冬星の剣幕に、紅緒の足が止まる。

「幸せになれ…。もう二度と伊集院を離すんじゃないぞ」

「編集長…あ…ありがとう」

(東京は焼け野原…見渡す限りの廃墟…。だが、いつかこの廃墟にも新しい家が立ち並び、人々の新しい暮らしが始まるときがくる…。人々が生きていく限りそれは繰り返し繰り返し…。愛も人生もそれに似て…壊れてはつくりあげ…来たっては去りゆくもの…。いつか俺もそれに倣おう…)

忍と肩を寄せ合い、紅緒は去っていく冬星の背を見送り続けた。

 

 

最終回

震災から一週間後。

今日は忍と紅緒の結婚式。

これまで出会った人々が祝いに駆け付けてきてくれた。

そして、冬星からは伊集院邸の登記書が届く。

冬星はまた編集者に戻ったそうだが、最後に伊集院邸だけは守ってくれたのだった。

 

式の後、紅緒はラリサの墓へ。

後から忍が現れる。

「なにをしてたんですか?」

「ラリサさんとお話ししてました」

「何を?」

「安らかに眠ってくださいって…それから…ラリサさんのくれた愛を…私もう決して手離さないって…」

「彼女は…喜んでくれたでしょう?」

涙をこぼしながら、紅緒は頷く。

(ラリサさん、ありがとう…。私たち…生きていきます。これからも、いつまでも…。たとえこれからどんな世の中になろうとも、この世に人のある限り…命ある限り…愛し合って生きていく)

紅緒は目を閉じ、幸せそうな表情で忍と口づけを交わした。

<はいからさんが通る・完>

 

 

まとめ

大和和紀「はいからさんが通る」に再ブームの兆し!

今回は漫画「はいからさんが通る」最終回までのあらすじ・ネタバレをお届けしました!

過去にはドラマ化やアニメ化もされた「はいからさんが通る」ですが、原作漫画の最後まで描かれるのは実は今度の劇場版アニメが初なんだそうです。

漫画と違って(失礼)、絵柄も現代風できれいになっていますし、何より声優キャストがいい!

前後編で公開される劇場版アニメは今の感覚で見ても120%楽しめる作品になると思うので、気になった方は是非ご覧あれ!

数々の少女マンガの源流となった往年の名作を見ておくというのも、きっと面白いと思いますよ!

劇場版アニメ「はいからさんが通る」前編は11月11日より公開。後編は2018年公開です!

※余談

ちなみに過去の劇場版ドラマでは紅緒役が南野陽子さん、忍役が阿部寛さんだったそうな。へー。


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POSTED COMMENT

  1. くみ より:

    CSでアニメを見てました。変な最終回だったので、ネット検索してここを読みました。おもしろくて、結局漫画本を探して読もうと思っています。書くのが上手いですね!
    ありがとうございました。

  2. みゅ より:

    はいからさんが通る!いつ見ても良いですね♥️
    劇場版を見てまた初代が見たくなりました。
    CSで昨日劇場版前編を見て最後どうなったか忘れてしまい気になって検索してしまいました(笑)
    とても上手くまとまっていて忘れていた記憶がよみがえりました。
    ありがとうございました。

  3. パール より:

    紅緒さんの最後は少尉の元に戻れたこと嬉しいです。
    私の人生も同じ様に進行しています、が、最終回はどうなるのか…

    n/fへの愛が・・・

  4. あき より:

    私は原作の絵の方が好きです♪
    ファッションもオシャレだし作者のセンスの良さが見て取れます
    昔読んで、どんな終わり方だったかなと思いたどり着きましたがまとめ方が上手でとても助かりました♡♡
    昔の少女漫画では「エースをねらえ!」も大好きです

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