本格ミステリ

「アクロイド殺し」あらすじネタバレ!犯人や結末は?

今回はアガサ・クリスティーの小説「アクロイド殺し」のあらすじとネタバレをお届けします!

名作にふさわしいトリックは必見です!

あらすじネタバレ

アクロイド殺し

フェラーズ夫人が睡眠薬の過剰摂取で亡くなった翌日、村の医師であるジェームズ・シェパードは旧友であるロジャー・アクロイドから食事に招待された。

ロジャーは立派な屋敷に住む金持ちの地主であり、フェラーズ夫人との婚約が噂されていた人物だ。

案の定、ロジャーの相談はフェラーズ夫人に関する事柄だった。

曰く、

1.ロジャーはフェラーズ夫人(未亡人)に結婚を申し込んでいたが、夫の喪中だということで返事を先延ばしにされていた。

2.やがて喪が明けてから再度ロジャーが求婚すると、フェラーズ夫人は「実は酒乱の夫に耐えられず、自分が毒を盛って夫の息の根を止めたのだ」と罪を告白した。

3.ロジャーの愛が一瞬で冷めたことを理解したフェラーズ夫人は自ら命を絶った。

4.フェラーズ夫人は「夫に毒を盛っていたことを知る何者か」によって脅迫され、大金を巻き上げられていた。

つまり、ロジャーの悩み事は「フェラーズ夫人を脅迫していた犯人を捜すべきかどうか」

犯人を明らかにすればフェラーズ夫人の名誉が傷つくし、何よりどうやら犯人はロージャーの身内にいるらしいのだ。

そんな中、折りよくロジャーに生前のフェラーズ夫人からの手紙が届く。

手紙には「犯人への罰を望んでいる」というフェラーズ夫人の意向が綴られていた。

そして、犯人の正体も…。

「この続きは1人で読みたい」というロジャーの言葉に従い、シェパード医師は屋敷から去る。

そして、その夜…ロジャー・アクロイドは何者かによって殺された。

「何者かからによる電話」を受けてシェパード医師が屋敷に戻り、執事のパーカーとともにロジャーの部屋に入ったとき、例の手紙はどこかへ消えてしまっていた。

おそらく「ロジャーを刺した犯人」と「フェラーズ夫人を脅迫していた犯人」は同一人物だろう。

しかし、いったい誰がこんなことを…。

 

 

登場人物

エルキュール・ポアロ

私立探偵。引退してキングス・アボット村に住み始めたばかり。

ロジャー・アクロイド

大金持ちの地主。金についてはうるさく、無駄な出費は好まない。

何者かに命を奪われる。

ラルフ・ペイトン

ロジャーの養子(亡き妻の連れ子)

セシル・アクロイド夫人

ロジャーの義妹(亡き弟の妻)

娘とともにロジャーの屋敷に居候している。

フローラ・アクロイド

セシルの娘。登場人物の中で唯一ロジャーと血がつながっている。

ジェフリー・レイモンド

ロジャーの秘書。溌溂とした好青年。

ジョン・パーカー

アクロイド家の執事。

ミス・ラッセル

アクロイド家の家政婦。

アーシュラ・ボーン

アクロイド家の雑用メイド。

ヘクター・ブラント

ロジャーの旧友。猛獣狩りの名人として有名な人物。

口下手で寡黙。

フェラーズ夫人

ロジャーに求婚されていた未亡人。

罪の告白をして自ら命を絶った。何者かに脅迫されていた。

ジェームズ・シェパード

村の医師。今作でのいわゆる「ワトソン役」。

物語はシェパードの視点で描かれている。

キャロライン

噂好きなジェームズの姉。

謎の男

事件の夜、ロジャーの屋敷に向かっていたところが目撃されている外部の人間。

事件の概要

最も重要なのは犯行時刻の確認だ。

・シェパードがロジャーの部屋から去ったのが「8時50分」

・「9時30分」にはレイモンドとブラントがそれぞれ部屋の外から「ロジャーが何者かと会話している声」を聞いている。

・最後にロジャーの姿を見たのはフローラで時刻は「9時45分」。ロジャーの部屋におやすみの挨拶に行っていた。部屋から出てきたばかりのフローラをパーカーが目撃している。

すべての情報を整理すると、犯行時刻は「9時45分~10時0分」の15分間ということになる。

 

次に調べるべきは容疑者のアリバイ確認。

ロジャーの屋敷にいた人間にはおおむね「9時45分~10時0分」のアリバイが存在していた。

 

最後に必要な情報をつけ加えておく。

・事件当夜、村の宿屋に泊まっていたはずのラルフの姿が屋敷で目撃されている。

・事件後、ラルフは行方不明に。

・ラルフとフローラは婚約していた。

・シェパードが退室したとき、部屋の窓は閉まっていた(シェパード自身が閉めた)。犯行後、窓は開いていて、ドアには内側からカギがかけられていた。窓枠の近くには侵入・逃走時の足跡が残されている。

・遺体の第一発見者はシェパードとパーカー。パーカーはすぐに警察に電話をかけに行った。

・遺体を発見したとき、パーカーは「不自然に引き出された椅子」を目撃していた。次に気づいた時、椅子は元の場所に戻っていた。

 

 

ラグラン警部の推理

ラグラン警部は失踪中のラルフ・ペイトンこそが犯人だと推理した。

警部によると、事件当日の流れは以下の通り。

1.「9時25分」ラルフが門番小屋で目撃されている。

2.「9時30分」ラルフはロジャーの部屋で金の無心をしていた(会話の内容は「金の無心を断るものだった」とレイモンドの証言)

3.「9時45分」フローラがロジャーにおやすみの挨拶。

4.「9時45分~10時0分」窓から戻ってきたラルフがロジャーを刺した。凶器の「チュニジアの短剣」は応接間のシルバーテーブル(※)からとってきたもの。

※中に収納スペースがある蓋つきのテーブル

その後の捜査により、部屋に残っていた足跡はラルフの靴と一致するものだと判明した。

間違いない。

犯人は逃走中のラルフ・ペイトンだ。

きっと遺産目当ての犯行だろう。

ロジャーはラルフを実の息子のように思っていたが、近頃のラルフの奔放な行動(特に女性関係)には目に余るものがあったようだ。

ラルフは遺言状を書き換えられないうちにロジャーの息の根を止めたというわけだ。

実際、ロジャーの遺言によってラルフは莫大な財産を手にすることになった。

 

 

ロジャーの遺産

ロジャーが亡くなったことで恩恵を受けたのはラルフだけではない。

ロジャーは屋敷の多くの人間に財産を残していた。

以下にそれを記す。

※当時の価値では「100ポンド=大金」

  • ミス・ラッセルに1000ポンド
  • レイモンドに500ポンド
  • セシルには1万ポンド相当の株式
  • フローラに2万ポンド
  • ラルフに屋敷を含む「残りすべて」

最も莫大な財産を得たのはラルフだが、それに次いでフローラもかなりの財産を得ることになった。

 

新たな情報

・ポアロが発見した「女性用の金の結婚指輪」には『Rより 3月13日(約半年前の日付)』と刻まれていた。

・ロジャーの財布から40ポンドがなくなっていた。

・事件当日、アーシュラ・ボーンは「ロジャーの書類をぐちゃぐちゃにした」という理由で解雇を言い渡されていた。ロジャーとアーシュラの話し合いは「30分」ほどだった。なお、アーシュラだけは犯行時刻にはっきりとしたアリバイがない。

・シェパードにかかってきた「謎の電話」は駅からかけられたものだった(物理的に関係者には電話をかけることは不可能)

・ポアロ曰く「関係者全員がそれぞれ何かを隠している」

 

前半終了

捜査を進めれば進めるほどに、ラルフ犯人説が濃くなってくる。

少なくても、ラルフには3つの犯行動機が考えられるのだ。

1.遺産を手に入れるため

2.フェラーズ夫人を脅迫していたことを隠すため(口封じのため)

3.何らかの窮地にあることを継父に知られたなくなかったため

ラルフの一番の理解者たるシェパード医師でさえも、これではラルフが犯人だと疑わざるを得ない。

しかし、灰色の脳細胞を持つ探偵は言った。

「動機が三つ…いくらなんでも多すぎる。こうなるとかえってラルフ・ペイトンは無実だと信じたくなりますね」

 

 

後半開始

ベルギー人の探偵が指摘した通り、屋敷の人間はそれぞれ大小の隠し事をしていた。

 

★セシル夫人の隠し事

セシルは借金を申し込むほど金に困っていた。

そんなセシルにとって唯一の希望は、ロジャーから入るであろう遺産。

セシルはこっそりとロジャーの部屋に入り、遺言状を探した。

※アーシュラが解雇されるきっかけとなった「書類の散乱」はセシルのせい

もう1つ。

事件当日の夕食前、シェパードは応接間に入る前に「(凶器が入っていた)シルバーテーブルが閉まる音」を聞いている。

応接間のシルバーテーブルを開けたのはセシルだった(高価な食器を盗むため)

その後、ラッセルがなぜか窓から入ってきたので、セシルは慌ててふたを開けっぱなしにしたまま逃走。

シェパードが聞いた音は、ラッセルがシルバーテーブルを閉めた音だった。

それにしても、なぜラッセルは外から入ってきたのだろう?あのとき、ラッセルはまるで走ってきたかのように息を切らせていた。

 

★ジェフリー・レイモンドの隠し事

レイモンドには借金があった。

遺産の500ポンドによってそれは帳消しになり、むしろ少し余った。

 

★パーカーの隠し事

パーカーは前の主人を脅して大金を搾り取っていた。

脅迫の話題が出るたびにパーカーがビクビクしていたのはこのため。

なお、フェラーズ夫人が脅迫者に支払った金額はおよそ2万ポンド。

それだけの金を得てまで執事を続ける理由はないように思われる(ので、パーカーは脅迫者ではない)

 

 

★フローラ・アクロイドの隠し事

「9時45分」にロジャーを目撃したという証言は嘘だった。

本当はフローラは部屋に入ってすらいない。

やってきたパーカーを誤魔化すためにドアノブに手をかけて「部屋から出てきたばかり」のように見せかけ、パーカーを追い払ったのだ。

では、ロジャーの部屋の近くでフローラは何をしていたのか?

実は、ロジャーの寝室の財布から40ポンドを盗んだのはフローラだった。

セシルと同じく、フローラもまた金に困っていたのだ。

さらに、フローラにはまだ隠し事があった。

『実は、フローラはラルフを愛してなどいなかった』

ラルフと婚約すれば、少なくとも金も自由もない屋敷から抜け出すことができる。

打算による婚約だったのだ。

※フローラの証言が嘘だと判明したことで、全員のアリバイは一度白紙に戻った。犯行は「9時45分」よりも前に行われたのかもしれない。

 

★ブラント大佐の隠し事

ブラント大佐は娘ほどの年齢であるフローラのことを愛していた。

フローラがラルフのことを愛していなかったと知り、ブラント大佐は喜んだ。

※後にブラント大佐とフローラは婚約する

 

★ミス・ラッセルの隠し事

事件の夜に目撃されていた謎の男(チャールズ・ケント)はミス・ラッセルの息子だった。

未婚で産んだ子だったため、苗字は当時いた「ケント州」からとって「ケント」に。

あの夜、チャールズが屋敷に訪れたのはラッセルに会い、金の無心をするためだった。

密会の場所は屋敷の離れにある東屋。

ラッセルが窓から応接間に入ってきたのは、東屋に行っていたため。

ただし、このときはまだチャールズは到着していなかった。

実際に2人が東屋で会っていたのは「9時20分~9時25分」くらいの間。

つまり、「9時30分」に部屋でロジャーと話していた相手はチャールズではない。

 

★アーシュラの隠し事

アーシュラは実はラルフの妻だった!

2人は半年前にこっそり結婚していたのだ。

※『Rより 3月13日(約半年前の日付)』と刻まれた「女性用の金の結婚指輪」はラルフからアーシュラに贈られたもの

ラルフがフローラと婚約したのは、金のため。

莫大な借金を背負っていたラルフは、アーシュラとの新しい生活のため、偽の婚約で借金を帳消しにしたかったのだ。

しかし、そのことをアーシュラに隠していたのがマズかった。

ラルフとフローラとの婚約を知ったアーシュラは自分たちの結婚をロジャーに話し、大ゲンカの末に辞職を願い出た。

※ロジャーとアーシュラが「解雇について話していた(にしては長すぎる)30分」の真相

事件の夜にラルフが目撃されていたのは、アーシュラに会いに来ていたため。

ラルフとアーシュラは東屋で落ち合い、やはり大いにケンカした。

時刻は「9時30分~9時45分」くらいの間。

つまり、アーシュラにもラルフにも犯行は可能だった。

※とりわけラルフは密かな結婚のことでロジャーを怒らせてしまっていたので「遺書を書きかえられる前にロジャーの息の根を止めておかなければならない」という動機があることに

 

 

ポアロの小さな集まり

必要な情報はすべて出そろった。

ポアロは関係者(容疑者)を集めると、まず2つの真実について明らかにした。

 

1.「9時30分」にロジャーと一緒に部屋にいたのは誰だったのか?

答えは「誰もいなかった」

実はロジャーはこっそり録音機を購入していた。

会話だと思われたロジャーの声は、録音機に向けて手紙の内容を話していた声だったのだ。

だから、レイモンドとブラントが聞いた「話し声」の断片は『文体』だった。

 

2.ラルフ・ペイトンはどこにいるのか?

「彼は…あそこです!」

小男の探偵が指し示した先には、驚くべきことにこれまでずっと姿を消していたラルフ・ペイトンの姿があった。

騒ぎが落ち着いたころ、ポアロは「1人だけ隠し事を明かさなかった人物がいる」と指摘する。

そう…ポアロが関係者たちに「全員、何か隠しごとをしていますね?」と糾弾した夜、その場にはジェームズ・シェパード医師もいた。

実のところ、ラルフを隠していたのはシェパードだったのだ。

隠し場所はクランチェスター(近くの都市)の療養所。

シェパードは医師である利点を活かし、精神障害者用の施設にラルフを匿っていたのだった。

しかし、なぜラルフは逃げることを選んだのか?

それは妻のためだった。

事件の日にロジャーに辞職を言い渡され、しかも犯行時刻にアリバイのなかったアーシュラに疑いの目が向くのは自明の理。

ラルフは妻から疑いの目を背けるために、自分を最有力容疑者にしたまま失踪したのだった。

…ただし、ラルフは犯行を否定するものの、アリバイがあるわけではない。

ラルフもまた、容疑者の1人であることには変わりがない。

 

2つの真実を明らかにすると、私立探偵は全員を見回して言った。

「みなさんに申し上げておきます。このわたしは、アクロイド氏の命を奪った犯人が今この部屋にいることを知っています。犯人に言います。明日、真相をラグラン警部に伝えます。おわかりですか?明日の朝、真相はラグラン警部に伝えられます」

 

 

すべての真相

小さな集会から関係者たちが帰っていく中、ポアロから目で合図されたシェパードだけがその場に残った。

駅からシェパードにかけられた電話、不自然に引き出されていた椅子…まだ解き明かされていない謎が残っている。

ポアロはシェパードだけに、それらの真相を語り始めた。

まず、電話について。

もしも電話がなければ、遺体は翌日、パーカーやレイモンドが発見していたはずだ。

つまり、電話の役割は「遺体が発見されたとき、犯人が現場に居合わせる機会を与えるためのもの」だった。

では、なぜ犯人は遺体発見の現場に居合わせなければならなかったのか?

それは、録音機を隠すための目隠しとして引き出されていた椅子を元の場所に戻すためだ。

あの一瞬でパーカーが「椅子が不自然に引き出されていたこと」を記憶していたのは、犯人にとって大きな誤算だったことだろう。

言うまでもないことだが、犯行現場に録音機は残っていなかった。

つまり、録音機は犯人が持ち去ったのだ。

なぜか?

録音機が見つかれば、そこに施されていた細工が露見してしまうためだ。

シェパードが趣味で目覚まし時計を工夫しているように、録音機には「時間になると自動的に作動する仕掛け」が施されてあった。

なぜか?答えは簡単だ。

「9時30分にアクロイド氏はすでに死んでいたのです。話していたのは録音機で…本人ではなかったのです」

これにより、9時30分以前に犯行を行うことが可能になった。

 

さて、ここで改めて犯人像を整理してみよう。

犯人は

1.ロジャーが録音機を買ったことを知っているほど彼と親しい人物

2.その日早く、ラルフの泊まっていた宿屋にいた(ラルフの靴を手に入れるため)

3.録音機を隠すのに都合のいい入れ物を持っていた(たとえば往診用の黒いカバンなど)

4.機械いじりが得意

5.フローラが応接間に来る前にシルバーテーブルから短剣をとる機会があった(フローラが応接間に入ったのはシェパードに次いで2番目。彼女は「そのときにはもう短剣はなかった」と証言している)

6.犯行が発見された後、パーカーが警察に電話しているあいだ、数分間、書斎で1人きりになった人物

 

犯人像を語り終えた後、ポアロは言った。

「つまり、犯人は…シェパード先生、あなたです!」

 

 

そして真実があるだけ

シェパードは「何を馬鹿な」とポアロの指摘を一蹴したが、もはや言い逃れは許されなかった。

ポアロの灰色の脳細胞は、事件のあらましをすべて見抜いてしまっていたのだ。

 

★犯行方法

犯行が行われたのは、夕食後、シェパードがロジャーの部屋に呼ばれたとき。

ロジャーの身体に背後から短剣が突き立てられたのは、ちょうど亡きフェラーズ夫人からの手紙が届き、ロジャーが「続きは1人で読みたい」と告げた後だ。

直前の会話で、シェパードはロジャーに「窓の鍵は閉めた」と言っていたが、これは嘘だった。

シェパードは「8時50分」にドアを通って書斎から出ると、くつをラルフのものに履き替え、わざとぬかるみを通り、外から回って再び窓から書斎に侵入した。

そしてドアのカギを内側から閉め、窓から出ていった。

シェパードが門番小屋の前を通ったのは「9時0分」

本来なら5分しかかからないはずの道に10分も使ったのは、こういう理由があったからだ。

「9時30分」仕掛け通りに録音機がひとりでに作動し、ロジャーがまだ生きているかのように見せかける。

やがてシェパードはパーカーとともに書斎に入り、遺体を発見。

パーカーが警察に電話しているあいだに椅子を元の場所に戻し、録音機を回収した。

 

★犯行動機

フェラーズ夫人を脅迫していたのはシェパードだった。

そもそもフェラーズ夫人が夫に毒を盛っていたことを見抜ける一番の人物は、村の医師であるシェパードに他ならない。

シェパードは「遺産が手に入ったが、投機で失った」と話していたが、金の出所は遺産ではなく脅迫によるものだった。

強欲にもシェパードはさらに夫人から金を搾り取ろうとしたため、思い詰めた夫人は罪をロジャーに告白し、受け入れられないと知るや自ら命を絶つことを選んだ。

真実をロジャーが知れば、もちろんシェパードの身は破滅する。

シェパードがロジャー・アクロイドの身体に短剣を突き立てた動機は、身の安全を図るためだったのだ。

※「フェラーズ夫人からの手紙」が犯行現場から消えていたのは、当然、シェパードが回収したため

 

★電話の謎

駅からかけられた電話は、シェパードがちょうど海外へ行く患者に頼んでかけてもらったものだった。

もちろん「ロジャーが危ない」などという内容を話させたわけではない。

電話の内容はすべてシェパードによるでっちあげだったのだ。

 

こうして、一分の隙も無くシェパードが犯人であることが証明された。

ポアロは目の前の犯人に告げる。

「朝になったら真相がラグラン警部の耳に入ります。しかし、あなたの善良なお姉さんのために、別の逃げ道を選ぶチャンスをさしあげるつもりです。たとえば、睡眠薬の飲み過ぎという方法もあるでしょうね。おわかりですか?しかし、ペイトン大尉(ラルフ)の容疑は晴らされなければなりません。あなたの大変に興味深い手記(※)を完成させることをお勧めします。…ただし、これまでのような控えめな表現はなさらないように」

「提案がずいぶん多いんですね。これで本当に話は終わりですか?」

「そう言われて思い出しました。たしかに、あとひとつあります。アクロイド氏の口を封じたように、わたしを黙らせようとするのは賢明ではないのですよ。そういう手はエルキュール・ポアロには通じません。おわかりですな」

「ムッシュー・ポアロ」

シェパードはうっすらと微笑んで言った。

「とにもかくにも、わたしは馬鹿ではありませんよ」

 

 

手記について

実はこの小説自体が「シェパード(真犯人)の手によって記された事件の記録」だった。

作中には「シェパードが事件を記録している」というくだりがある。

シェパードは何一つ嘘を記していないが、肝心なことを書かなかったりぼかしたりしている。

小説「アクロイド殺し」はこの「シェパードによる一人称の物語と見せかけて、実はシェパードによる手記だった」という手法において、探偵小説業界に大きな議論を巻き起こした。

結果として「語り部=ワトソン役(助手役)=真犯人」となった点も、この小説の面白いところである。

 

結末

シェパードは家に帰ると、明け方までかけて手記を完成させた。

新たに追加した最終章のタイトルは「弁明」

包み隠さずにすべてを記したこの手記は、いずれポアロのもとへ届くだろう。

だが、シェパードがそれを見届けることはない。

結局、姉に真実を伏したまま事件を終わらせるため、シェパードは「逃げ道」を選ぶしかないからだ。

目の前には、用意した大量の睡眠薬がある。

(それにしても、エルキュール・ポアロが仕事を引退して、カボチャ栽培のためなどにここに来なければよかったのに)

最期の瞬間、シェパードはそんなことを思った。

<アクロイド殺し・完>

 

 

まとめ

今回はアガサ・クリスティーの名作「アクロイド殺し」のあらすじ・ネタバレをお届けしました!

この作品における最も大胆なトリックは「そもそもワトソン役の一人称による物語」かのように見せかけておいて、その実は「真犯人により都合よく書かれていた手記」だったことです。

何一つ嘘は書かれていないけれど、語り部の言動や思惑がすべて書かれているとは限らない。

この部分が探偵小説の決まり事である「ワトソン役は思ったことを隠してはならない」に反するとして、当時、探偵小説業界では大きな議論が巻き起こりました。

しかし、探偵小説の常として「必要な情報」はすべて作中で提示されているため、本当に鋭い読者ならば「ははん、実は真犯人は村の医師で、これは真犯人によって書かれた手記の内容なのだな」と見抜くことが(一応)できるはずです。

…とはいえ、多くの読者は私と同じように「えー!そうだったの!?」とただただ驚くことしかできなかったことでしょう。

「語り部 = ワトソン役 = 真犯人」という真相は、多くの読者にとって「まったく考えてもみなかったこと」に違いありません。

だからこそ謎解きが「犯人はあなたです、シェパード先生」と締めくくられたとき、読者は最大級の「やられた!」と「面白い!」を味わえる…これはそんな小説だったのだろうと思います。

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