ラストに驚き

「九月の恋と出会うまで」ネタバレ解説!2周目の前に!

「九月の恋と出会うまで」は爽やかな美男美女が登場するラブストーリーというだけではなく「時間系SF」の要素を含むミステリー作品でもあるのが特徴です。

物語の中には伏線が散りばめられていて、結末では真実が明らかになる「謎解き」の場面もあります。

探偵モノなら「おまえが犯人だ!」となるシーンですが、「九月の恋」の場合、明らかになるのは犯人ではなく「愛」!

「なるほど、そういうことだったのか!」というスッキリ感と、感動的なラブストーリーの結末、ダブルで味わえて読後感は最高でした!

今回は映画化もされた小説「九月の恋と出会うまで」のネタバレ解説をお届けします!

あらすじ

「そちらは2004年の9月1日ですか。ちょうど1年間ずれているわけですね」

新居に引っ越してきた北村志織(27)は、部屋の壁の穴から不思議な声を聞いた。

穴は本来エアコン用に空けられたもので、ちょうどマグカップ一杯分くらいの空間が外側(ベランダ側)に向かって出っ張っている。

当たり前だが、そこから声が聞こえてくるだなんておかしい。

声の主は自分のことを「2005年9月1日の平野進」だという。

平野といえば隣の部屋の男だが、すれ違ったことはあっても話したことはない。

未来の平野は志織に「2004年の平野を尾行してほしい」と頼んできた。

「今はまだ理由を明かせませんが、とても重要なことなのです」

仕方なく承知する志織。

しかし、その依頼の裏には『信じられない真実』が隠されていた…!

 

主な登場人物

北村志織

アパート「アビタシオン・ゴトー」2階B号室の住人。趣味はカメラ。

平野進

同じく2階A号室の住人。

志織と同い年のサラリーマン。

小説家志望で、新人賞に応募する作品を執筆中。

権藤玲一

「アビタシオン・ゴトー」のオーナー。芸術家の老人。

権藤真一

オーナーの孫。小学生の頃、志織とクラスメイトだったことがある。

当時、志織との別れ際に「再会したら街で一番高いレストランに連れて行ってあげる」と言った。

シラノ

未来の平野を区別するための呼称。

しかし、その正体は本当に平野なのか…?

 

 

ネタバレ解説

『なぜ、シラノ(2005年の平野)は志織に1年前の自分を尾行させたのか?』

これが物語前半における大きな謎ですね。

シラノの指示通り、志織は平野の姿を追いかけてその姿を写真に収めていきますが、別に何か事件が起きるというわけでもありません。

「自分の無罪を証明するためのアリバイ写真なのかも?」と志織は推測しますが、それだったらそうと理由を説明すればいいはずです。

なのに、いくら頼んでもシラノは尾行の理由について「説明するけど、もう少し待ってほしい」とはぐらかすばかり。

結局、シラノはそのままいなくなってしまいました。

 

結論から言えば「2004年の平野を尾行すること」には何の意味もありませんでした。

シラノの真の目的は「ある時間帯に、志織を部屋から遠ざけておくこと」だったのです。

具体的にいえば、それは2004年9月29日の水曜日。

志織は3度目の尾行を遂行するため一日中外出していましたが、一方、志織の部屋には空き巣が侵入していました。

尾行から帰ってきた志織は荒らされた部屋を見て肩を落とすことになるのですが、ここで少し考えてみましょう。

1.その日、志織は酷く体調が悪かった。

2.もし尾行任務がなければ、志織は一日中ベッドで寝ていたはず。もちろん部屋の明かりを消して。

3.その場合、外から見れば志織の部屋は無人のように見える。空き巣は寝ている志織に気づかず、そのまま部屋に入ってくる。

もしここで空き巣が「やばい!部屋に人がいる!」と慌てて逃げ出すような人物なら、シラノもわざわざ過去を変えようとは思いませんよね。

つまり、本来の歴史の2004年9月29日には、シラノが「過去を変えたい」と願うほどの『何か』が起こったと考えられます。

もうお気づきの方も多いでしょうから、もったいぶらずに言いましょう。

本来の歴史では、志織は鉢合わせした空き巣に殺されていたのです!

シラノは意味のない任務を志織に与えることで、最悪の事態を回避させたわけですね。

詳しくは後述しますが、この日を境にシラノの声が聞こえなくなったのは『志織が生き続けている世界』に突入したからです。

 

 

シラノの正体は?

「尾行の謎」が解決したのも束の間、志織は新たな謎について考えなければならなくなります。

『シラノの正体はいったい誰なのか?』

シラノに禁じられていたため、志織はこれまで2004年の平野と接点を持たないように心がけてきました。

尾行の際も一定の距離を保っていたので、声すら聞いたことがなかったのです。

ところが、シラノが消えた9月29日、志織はひょんなことから平野と会話を交わすことになります。

そして、その声はシラノの声ではなかったのです。

平野の声

高く澄んでいる。落ち着きがなく、若い声。おどおどした印象。

シラノの声

低くかすれている。声には余裕があり、自信が感じられる。年上のような印象。

このように、声の印象はほぼ真逆。

たった1年間でそこまで声が変わるとは思えません。

 

ならば、シラノの正体は誰なのか?

前提として、平野には借金があり、金銭的な理由で引っ越しは不可能です。

また、平野は9月末時点で譲ってもらったエアコンを設置しており、2階A号室からは「穴」がなくなっています。

つまり「シラノは2階A号室から声を届けていた」という話は嘘。

じゃあ、シラノがどこから過去に声を届けていたのかというと「2階B号室から」と考えるのが自然でしょう。

というわけで、シラノの人物像はこんな感じになります。

  • (事故物件である)2階B号室の次の住人
  • 奇跡を起こしてまで志織を助けたいと思ってくれるような男性

・2004年9月29日時点で、すでに志織と知り合っている人物(本来の歴史の志織は9月29日に亡くなっているため、それ以上知り合いは増えない)

この条件にピッタリ当てはまる人物について、志織には心当たりがありました。

名前は権藤真一。

小学生の頃、一時期だけクラスメイトだった男の子で、アパートのオーナーである権藤老人の孫。

真一は長く海外に勤めていたのですが、もうすぐ帰国することがわかっています。

タイミング的に、2階B号室の次の住人にはピッタリです。

また、他にも「どう考えても真一がシラノだよね」と思われるフラグはたくさんあって…

  • ・小学生の頃、真一は志織に恩を感じていた。別れ際には「再会したら街で一番高いレストランに連れて行ってあげる」と発言。
  • ・今でも真一は志織のことを覚えている。
  • ・真一であれば「大切な祖父母のアパートで起きた事件をなかったことにしたい」という動機も考えられる。
  • ・真一の祖母には魔法のような不思議な力があった。隔世遺伝でその力を受け継いでいてもおかしくない。

ここまでくると「うん、やっぱり真一がシラノでしょ!」という感じですよね。

というわけで、志織は真一に『頼み事』をすることしました。

タイムパラドックス問題

志織の『頼み事』というのは、ズバリ『タイムパラドックス』の解決です。

シラノによって一命を取りとめた志織でしたが、このタイムパラドックス問題を解決しないと、最悪の場合「消滅」してしまう危険性があります。

 

★タイムパラドックス問題

  • 志織が亡くなったから、シラノは過去に声を届けた(旧歴史)
  • 志織が生きているから、シラノは何もしない(新歴史)

要するに、この2つの事象が矛盾しているわけです。

シラノが何もしなければ、志織はやはり亡くなります。

すると再びシラノが過去に声を届け、志織を助けます。

しかし、そうすると次の2005年にシラノは現れないから、志織は助からないわけで…。

以下、無限ループ。

とはいえ、いつまでもこの「ぐるぐる」を続けるわけにもいきません。

いずれはどちらかの矛盾が無視され、正常な時の流れに戻るはずです。

この場合、最終的に志織が生き残れる確率は50%。

そもそも最初の「過去に声を届ける」というシラノの行動こそが不自然なわけで、それが「なかったことになる」可能性は高いと言わざるを得ません。

おそらくタイムリミットは(新歴史の)志織から見て約1年後の2005年9月1日。

そこで「シラノは現れなかった」という選択肢の方が選ばれた場合、志織はやはり2004年9月29日時点で亡くなっていたことになり、新歴史の志織は「消滅する」というわけです。

 

志織の消滅を防ぐ方法はたった1つ。

シラノを見つけ出して、過去に声を届けてもらうことだけ。

要するに「志織の生存」と「シラノの登場」を両立させればいいわけです。

「2004年の志織はシラノのおかげで助かった。2005年のシラノは過去の志織を助けるために声を届けた」

この状況をつくり出せれば、矛盾はなくなります。

とはいえ、そのためには「本物のシラノ」を見つけ出し、事情を説明して、2005年の2階B号室から声を送ってもらわなければなりません。

 

というわけで、志織は真一に『頼み事』をすることにしました。

運命の9月を乗り越えた後、志織は転勤することが決定。

空き部屋になる2階B号室には、やはり真一が入居することになりそうです。

本来なら直接事情を話すなりするべきところですが、ちょっとした経緯があって、志織は真一に向けて手紙を書き、それを2階B号室の「穴」に隠すことにしました。

 

 

志織と平野

意外な真実が明らかになる結末の前に、もう一つだけ。

志織と平野の関係について触れておかなくてはなりません。

9月29日の夜、志織は平野と話し、壁の穴から聞こえる声やシラノのことについて打ち明けました。

最初はまったく信じていなかった平野ですが、シラノが残していた「未来の新聞見出しの予言」が的中したことにより、志織に協力してくれるようになります。

そうして一連の謎について話し合ううちに、いつしか2人の関係は少しずつ変化していって…

「ぼくは、北村さんが好きだ」

志織の引っ越しを控えた11月、ついに平野は志織に告白!

しかし、志織の返事は「ごめんなさい」

実のところ、志織も平野には好意を持っていました。

しかし、それよりも恩人でもある『シラノ』への気持ちの方が強かったのです。

志織は引っ越しの日程について嘘をつきました。

平野が小説新人賞に応募する作品にかかりきりになっている隙を突いて、逃げるように引っ越していったのです。

 

 

結末

志織は神奈川へと引っ越し、年が明け、いつしか春になりました。

その電話がかかってきたのは4月下旬のこと。

久しぶりに聞くシラノの声。

翌日、志織はシラノと待ち合わせることになりました。

 

翌日、約束の時間。

「すべてうまくいきました。今年の9月ではなく、3月だった。『シラノ』と当時の北村さんとの時間のずれは、1年ではなく半年だったのです。ずれが1年というのは、シラノがそう言っていただけで、何の証拠もなかったことでしょう?とにかく、ぼくはやりました。『シラノ』の役を務めたのです。聞いていた通り、壁に空いた穴から、北村さんと話して」

現れたのは真一ではなく、平野でした。

そして平野はすべての謎を明らかにしていきます。

「最初からぼくがシラノだった」

 

というわけで、解説タイム!

平野のセリフ通り、シラノの正体は平野でした。

・シラノの声は低かったはずでは?⇒平野が声を送っていたのは2005年3月。花粉症で喉が腫れていて、低いしゃがれ声になっていた。4月下旬の待ち合わせの日も風邪をひいていて低い声になっていた。

・シラノの声には自信や余裕があったはずでは?⇒平野は2月に新人賞を獲得。それにより声に自信がついていた。

・金銭的な理由で引っ越しはできなかったはずでは?⇒アパート内の引っ越しには2年分の家賃先払いが必要。新人賞の賞金300万円のおかげで2階B号室への引っ越しが可能になった。

・シラノの正体は真一だったはずでは?⇒帰国後、真一は2階B号室に入居したものの、祖父であるオーナーが心配になり、オーナーの家に同居することに。その後、平野が2階B号室に入居した。真一は手紙を発見しなかった。

以上の説明により「平野≠シラノ、真一=シラノ」の流れはひっくり返されました。

平野がシラノとして過去に声を送ったため、タイムパラドックス問題は解決!

残る問題は、平野と志織の恋の問題…と1つの疑問だけ。

 

 

『なぜ、旧歴史の平野は志織を助けたのか?』

順番で考えていくと

  1. 志織が亡くなる(旧歴史)
  2. 平野が過去に声を届ける(旧歴史)
  3. 志織が生き残る(新歴史)
  4. 平野が過去に声を届ける(新歴史)

という出来事が起こったわけです。

【4】の平野が志織を助けようとしたのはわかります。好きなんですから。

一方、【2】の平野には志織を助ける理由がないように思われます。

旧歴史の志織は平野を尾行してもいなければ、平野と話したこともありません。そのまま9月29日に亡くなっています。

接点があるとしたら、8月に1度階段ですれちがったことがあるくらい。

そんな相手を、なぜ旧歴史の平野は助けようと思ったのでしょうか?

もちろん、北村さんのことが好きだったから。それではおかしいですか?たった1度階段ですれ違った北村さんのことを、素敵な人だとずっと思っていたから。『旧歴史』や『新歴史』なんてものができる前の8月に」

歴史が分かれる前の8月時点で、すでに平野は志織のことが好きだったから。

これが「最後の疑問」に対する答えです。

旧歴史の平野は志織を失った後、せめて志織を偲ぼうと2階B号室に引っ越しました。

そして、壁の穴が2004年の志織とつながっていることに偶然気づき、とっさの機転で過去を変えることを思いついたのです。

 

小説のラストシーンは、平野からの2度目の告白。

「ぼくは北村さんが好きです。好きだから、ぼくと一緒にいてほしい。というより、北村さんはそうするべきなんです」

平野は言います。

これから先、志織は罪悪感に囚われることになるかもしれない、と。

「過去を変えたい」「大切な人を救いたい」という数多の願いの中から、自分一人だけが助かってしまったことに、負い目を感じるかもしれない、と。

「だから、北村さんはぼくと一緒にいないといけない。そんな気持ちにとらわれた時のために。その時に、悪いのは北村さんではなくこのぼくだと言うために。一緒にいないといけない。ぼくに感謝するためではなく、ぼくを責めるために。ぼくは一生、それを引き受けます。だから一緒にいなくちゃいけない。暑い夏も、寒い冬も、病気の時にも、元気な時にも。夜中にふっと目が覚めた時にも」

平野の優しい言葉を聞いて、志織の目からは涙がこぼれました。

告白の返事は…言うまでもありませんね?

 

というわけで、小説「九月の恋と出会うまで」の結末は爽やかなハッピーエンド!

平野の純粋な愛が奇跡を起こした、そんな素敵な物語でした。

 

※もっと詳しくストーリーを知りたい方はこちら!セリフ入りです!

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まとめと感想

今回は小説「九月の恋と出会うまで」のネタバレ解説をお届けしました!

大方の予想通り、ラストは志織と平野が結ばれてハッピーエンド。

特に最後の平野の告白シーンがとてもよかったですね。

「あなたはぼくと一緒にいるべきです」

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POSTED COMMENT

  1. たれぱんだ より:

    2回目の告白されてみたい。REAL小倉さんに。好きな人?。追いかけられたいな。花粉症どっかで聞いたな。楽しい。でも、恋があったら最高級。風邪引いたら看病されたいな。隣にいたいな。REAL小倉さん本人に告白されたいな

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