小出もと貴「アイリウム」が「明日へのワープ」と改題し「世にも奇妙な物語」でドラマ化！
私は原作漫画を読んでいるので、どのように映像化されるのか楽しみです！
漫画「アイリウム」には7つの短編が収録されているのですが、今回ドラマ化されるのは第一話の『映画監督志望』
「言われてみれば確かに世にも奇妙な物語にピッタリ！」という感じの作品です。
というわけで今回は、ドラマ化される漫画「アイリウム」第一話のあらすじとネタバレ！
記憶を消すことで嫌な出来事から逃げ続けた主人公がたどり着く結末とは…！？
漫画「アイリウム」のあらすじとネタバレ！
★file1『映画監督志望』
峰雄は焦っていた。
映画監督を夢見て10年。大した受賞歴はいまだにない。
周りの人間が順調に出世したり結婚したりしている中、峰雄はバイトでどうにか食いつないでいる。
明日は同窓会に出席する予定だが、きっと劣等感を煽られることになる…。
かといって出席しなければ陰で何を言われることか…。
「そんな峰雄ちゃんにピッタリな薬があるよ」
峰雄の憂鬱を聞くと、知り合いのジャンキー（ドラマでは精神科医）である宇堂は見慣れないクスリを取り出した。
「アイリウムっていうんだけどね、こいつは一日先にワープできる薬なんだ」
「ワープ？」
「そう、単純に記憶喪失になるってことなんだけどね…。こいつを飲めば24時間後にかっきりその24時間分の記憶を失うことができる」
例えばアイリウムを飲んで24時間以内にトラウマになるような出来事に遭遇するとしよう。
その直後はもちろん精神的に辛いが、アイリウムの効果でその記憶が消えれば心に傷は残らない。
「24時間後の自分」にとっての最後の記憶は「24時間前の自分」となるため、体感的には『一日先の未来にワープした』と感じることになる。
半信半疑ながらも、峰雄はアイリウムを試してみることにした。
錠剤を一錠手に取り、水で飲み下す。
ゴクリ。
一瞬の暗転。
気が付くと峰雄は全く別の場所に立っていた。
スマホの時計はちょうど一日後の日時を示している。
どうやら同窓会からの帰り道にいるようだ。
昔の友人に確認してみると、峰雄は普通に同窓会に参加していたということだった。
（すげぇ！嫌な思いを一気に引き受けてもらった気分だ…。あれほど気の重かった同窓会を楽々乗り切っちまった）
アイリウムは2錠で3日、3錠で1週間、記憶を飛ばすことができる。
ちょうど1週間後は応募しているPLA映画祭の結果発表日。
いち早く結果を知りたくなった峰雄はアイリウムを3錠飲むことにした。
一瞬の暗転。
気が付くとそこは1週間後の未来。
そこに待ち受けていたのは『落選』という残酷な結果。
そして、同棲していた恋人・由紀との破局。
いつのまにか部屋の中からは由紀の荷物がきれいさっぱり消えていた。
別れた日の辛い記憶がアイリウムのおかげで消えていることは、峰雄にとって不幸中の幸いだった。
それからというもの、峰雄はアイリウムを飲みまくった。
1週間後には事態が好転しているかもしれないと願ってワープしてみるが、いつも待っているのは何も変わらない現実だけ。
そんな現実から逃げるために、峰雄はさらにアイリウムを飲んだ。
一瞬の暗転。
気がつくと、そこは15年後の未来だった。
アイリウムを飲みすぎたせいで、一気に15年分の記憶を失ってしまったのだ。
鏡に映っているのは42歳になった峰雄のおっさん顔。
軽くパニックになりながらも、峰雄はどうにか情報を整理してみることにした。
調査の結果、判明したこと。
・現在の峰雄の仕事は映画関係のライター。
・バイト先で知り合って結婚したという32歳の妻と小学4年生になる娘がいる。
・東京を出て名古屋に住んでいる。
あれほど欲しかったPLA映画祭のトロフィーは、埃をかぶって部屋の隅に転がっていた。
いったい自分は何に挫折したのか、あるいは何に満足したのか、今の峰雄は覚えていない。
胸の奥から、ざわざわと一つの疑問が湧き上がってくる。
（嫌な現実から逃げて逃げて…本当にこれで良かったのかな…？）
いつの間にか涙が頬を伝っている。
（俺は戦っていたんだ。苦しかった日も迷った日も…。どうせ終わるなら全てこの身に刻めばよかった…）
暗転。
「どうだい？アイリウムは？」
気がつくとそこは宇堂の部屋。同窓会の前日、アイリウムを飲んでからまだ数時間しか経過していない。
今までのすべてはアイリウムが見せた夢だったのだと、宇堂は言う。
再び始まる「嫌な現実」
しかし、峰雄はもう未来にワープしたいとは思わない。
記憶こそが、人生をかたどるものなのだから。
<アイリウム第1話『映画監督志望』・完>
おまけ：アイリウム第2話～第７話
漫画「アイリウム」第2話以降はこんな話！
★第2話『兵士』
アイリウムを飲んで戦場に出るのが兵士の常識。
そうすれば罪悪感が残らないし、責任能力からも解放される。
戦場で命を落とせば、目覚めないというだけの話だ。
★第3話『ママ友』
アイリウムを四分の一錠飲めば、2時間の記憶が消える。
ママ友たちはアイリウムを飲んで秘密を暴露しあう『告白会』を開催することに。
夫の浮気やリストラ、冷めきった夫婦生活…幸せそうに見えたママたちも裏では苦労しているようだ。
しかし『告白会』の本当の狙いは単なるストレス発散ではなかった。
真の目的は、他のママに対してマウントを取ろうとする異分子ママの排除。
アイリウムを飲んでない状態で夫の浮気を知らされた異分子ママは、数か月後に引っ越していった。
それが他のママたちが口裏を合わせただけの嘘だとも知らずに…。
★第4話『ロックンローラー』
ロックンローラーの父と、離婚した母、そして結婚を控えた娘の話。
アイリウムを飲んだ状態で、娘は父と母が離婚した原因について父に尋ねる。
娘はずっとロックンローラーの父に原因があると思い込んでいたが、実は離婚の原因は母にあった。
母は10年分のアイリウムを飲んだ状態で父と結婚していたのだ。
幼い娘を中心にした幸せな家族は、母の精神年齢が28歳から18歳に戻った瞬間に崩壊した。
愛は、記憶にこそ宿る。
★第5話『ホスト』
アイリウムを盛られて借金をしたことにされてしまい、ホストから抜け出せなくなった伊豆見。
ヤバすぎるオーナーから借用書を取り返すため、アイリウムを使った作戦を考える。
ところが作戦はすぐに崩壊。
危機一髪というところで思いついた機転のおかげで、伊豆見はどうにか裏の世界から抜け出すことに成功した。
★第6話『女医』
患者の命にかかわり、しかも高確率で失敗するであろう手術の際には、アイリウムを飲む決まりになっている。
だが、女医の深津だけはアイリウムを飲まない。
医者として、患者の命と正面から向き合うため。
どうせ忘れるからと、手術に全力を尽くさないことなどあってはならないはずだ。
★第7話『研究者』
アイリウムを開発した仁科教授がつくった新薬『ヒプノリウム』
その効能は「自由に明晰夢を見れること」
あまりに幸せな夢を見られるため、服用者の脳は覚醒を拒否し、肉体はやがて衰弱していく。
そして、服用者はそのまま息を引き取ることになる。
仁科教授の実験のため人生をめちゃくちゃにされた元研究者の真田は、そんな幸せな夢の世界の中で、それでも現実に戻ることを選んだ。
幸せな夢より、辛くても現実にこそ意味があると信じて。
ちょっとした感想
もし『記憶を消す薬』が存在したとしたら、どのように使われるのか？
その社会的な意義や悪用の方法がいろいろと考えられているのが面白い！
個人的には第3話の『ママ友』が後味悪くて一番好きでした（笑）
マウンティングしようと嘘をついた性格の悪いママが、逆に罠にはめられて排除される…という内容なんですが、『アイリウム』の存在によって他の同系統の話とは一味違う印象になっているのが良かったですね。
ちなみに、ドラマ化される第1話の結末では「アイリウム＝未来にワープできる夢を見せる薬」ということになっていますが、第2話以降の話では普通に「アイリウム＝記憶を消す薬」という設定になっていました。
「もともとは精神病治療のための薬」という設定だったようです。ちょっとリアルな感じがしますね。
もし将来的に「アイリウム」が開発されたら、あなたはどんな時にそれを飲みますか？
あるいは、何のために、誰に飲ませますか？
そんな想像をしてみるとちょっと面白いかもしれません。
私だったら…2時間待ちの行列に並ぶときに四分の一錠飲むとかでしょうか。
我ながら小市民的ですね（笑）
まとめ
小出もと貴「アイリウム」がドラマ化！
今回は原作漫画のあらすじ・ネタバレをお届けしました！
世にも奇妙な物語では「明日へのワープ」という題で放送され、主演は三浦春馬さんだそうです。
15年後の峰雄は三浦春馬さんの特殊メイクなのか、別の人が演じるのか、どちらなんでしょうね？
いずれにしても、かなり「世にも奇妙な物語」向きな作品なので、どんな風に映像化されるのかとても楽しみです。
あ、ドラマが面白かったら、原作漫画の方もおすすめですよ！
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